説明

コンロ燃焼器

【課題】 本発明は、加熱対象物Nを載せる天板1を備え、天板1の下方に形成された燃焼流路2の燃焼部10において燃料を燃焼させ、加熱対象物Nを天板1を介して加熱するコンロ燃焼器100において、必要な出力熱量を確保しながら熱交率を向上し、燃焼排ガスを屋外へ排出することができる技術を得ることを目的とする。
【解決手段】 燃焼部10から排出される燃焼排ガスEの熱を蓄熱し、蓄熱された熱によって燃焼部10に供給される燃焼用の酸素含有ガスAを予熱する蓄熱型熱交換手段を備える。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】加熱対象物を載せる天板を備え、前記天板の下方に形成された燃焼流路の燃焼部において燃料を燃焼させ、前記加熱対象物を前記天板を介して加熱するコンロ燃焼器に関する。
【0002】
【従来の技術】上記のようなコンロ燃焼器は、鍋等の加熱対象物を加熱するコンロ燃焼器として利用されるものである。このようなコンロ燃焼器として、複数の炎口を穿設したセラミック製の燃焼面部材を有し、予め燃焼用空気と混合された燃料ガスを炎口から噴出させて全一次燃焼させ、その燃焼により燃焼面部材を赤熱させて赤外線を放射するセラミックバーナを利用したものがあり、詳しくは、耐熱ガラス等の天板の下方にセラミックバーナを設け、天板と燃焼面部材との隙間に燃焼流路を形成し、燃焼流路から排出される燃焼排ガスを天板の側方から屋内へ排出するように構成されていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】このようなセラミックバーナを利用した従来のコンロ燃焼器は、以下のような不都合があった。即ち、セラミックバーナの燃焼面部材における単位面積当たりの燃焼負荷は11.6〜17.4W/cm2 (10〜15kcal/cm2 h)程度と小さいので、例えば直径が10cmの燃焼面部材を有するものでは、入力熱量は高々913〜1372W(785〜1180kcal/h)程度であり、さらに、燃焼面部材からの輻射による熱効率は20〜30%程度であるため、鍋等を加熱するコンロ燃焼器として必要な出力熱量を充分に確保することができなかった。また、熱効率の低いことからも判るように、燃焼流路から排出される燃焼排ガスの温度は600〜700℃程度と高く、燃焼排ガスを誘引して屋外へ排出するための誘引ファンを設けることが困難であり、燃焼排ガスを天板の側方から屋内に排出せざるを得なかった。
【0004】従って、本発明は、上記の事情に鑑みて、必要な出力熱量を確保しながら熱交率を向上し、燃焼排ガスを屋外へ排出することができるコンロ燃焼器を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】〔構成1〕本発明に係るコンロ燃焼器は、請求項1に記載したごとく、前記燃焼部から排出される燃焼排ガスの熱を蓄熱し、前記蓄熱された熱によって前記燃焼部に供給される燃焼用の酸素含有ガスを予熱する蓄熱型熱交換手段を備えることを特徴とする。
【0006】〔作用効果〕鍋等の加熱対象物を載せるための耐熱ガラス若しくはガラスセラミック等の天板を備え、その天板の下方に形成された燃焼流路の燃焼部において燃料を燃焼させ、加熱対象物を天板を介して加熱するコンロ燃焼器において、本構成のごとく、上記の蓄熱型熱交換手段を備え、例えば燃焼部から排出される燃焼排ガスの熱を、例えばアルミナセラミック製の球体を蓄熱材として充填した蓄熱部に蓄熱し、その蓄熱部に蓄熱した熱を利用して燃焼部に供給される燃焼用の空気(酸素含有ガス)を予熱するようにコンロ燃焼器を構成することで、蓄熱型熱交換手段から排出される燃焼排ガスは低温となるため、燃焼排ガスを吸引する誘引ファン等を設けて、その低温の燃焼排ガスを強制的に屋外へ排出することができる。さらに、蓄熱型熱交換手段によって燃焼排ガスと燃料の燃焼に利用される空気との熱交換を行う所謂リジェネレーション(熱再生)を行うことができるので、高い熱効率を達成して燃焼温度と燃焼負荷を高くすることができ、コンロ燃焼器として鍋等の加熱対象物を好ましい状態で加熱するのに必要である1700〜2300W(1500〜2000kcal/h)程度の出力熱量を得ることができる。従って、必要な出力熱量を確保しながら熱交率を向上し、強制的に燃焼排ガスを屋外へ排出することができるコンロ燃焼器を実現することができる。
【0007】〔構成2〕本発明に係るコンロ燃焼器は、請求項2に記載したごとく、上記構成1のコンロ燃焼器の構成に加えて、前記燃焼部が、前記燃料を部分予混合燃焼させるものであり、前記蓄熱型熱交換手段が、前記燃焼部に供給される二次燃焼用の酸素含有ガスを予熱する手段であることを特徴とする。
【0008】〔作用効果〕本構成のごとく、燃焼部において、少量の一次空気と混合された燃料を、蓄熱型熱交換手段によって予熱された二次空気(二次燃焼用の酸素含有ガス)を利用して部分予混合燃焼 (ブンゼン燃焼)させることで、燃焼負荷を上げることができ、入力熱量を増加させて燃焼部の燃焼温度を高くすることができる。従って、燃焼排ガスを屋外へ排出することができるコンロ燃焼器において、出力熱量を一層高く設定することができる。
【0009】〔構成3〕本発明に係るコンロ燃焼器は、請求項3に記載したごとく、上記構成1又は2のコンロ燃焼器の構成に加えて、前記蓄熱型熱交換手段が、前記燃焼流路の前記燃焼部の両側に設けられた一対の蓄熱部と、前記燃焼後の排ガスを誘引する誘引ファンと、前記誘引ファンに接続される前記蓄熱部を周期的に切り換える切換弁とを有して構成されていることを特徴とする。
【0010】〔作用効果〕本構成のごとく、上記の蓄熱型熱交換手段を、一対の蓄熱部と、燃焼排ガスを誘引するための誘引ファンと、その誘引ファンに接続される蓄熱部を周期的に切り換える切換弁とによって構成することで、夫々の蓄熱部において、燃焼排ガスの熱を蓄熱する状態と、燃焼部へ供給される二次空気を蓄熱した燃焼排ガスの熱を利用して予熱する状態とを周期的に繰り返し、夫々の蓄熱部から交互に予熱された二次空気を燃焼部に供給して、燃焼部において燃料を乱流拡散燃焼若しくはブンゼン燃焼させるとともに、誘引ファン側へ排出される燃焼排ガスの温度を低下させることができ、結果的に燃焼部において高効率、高温の燃焼を達成することができる。また、このような蓄熱部を天板の下方に形成された燃焼流路に設けることで、その蓄熱部からの輻射を天板に置かれた鍋等の加熱対象物の加熱に利用することもできる。従って、簡単な構成で高効率且つ高燃焼負荷のコンロ燃焼器を実現することができる。
【0011】〔構成4〕本発明に係るコンロ燃焼器は、請求項4に記載したごとく、上記構成3のコンロ燃焼器の構成に加えて、前記天板の下方に設けられ、前記天板と共に前記燃焼流路を形成するケーシング部材を備え、前記燃焼流路が、前記天板の表面に垂直な軸芯廻りにリング状に形成された前記燃焼部と、前記燃焼部の内側及び外側に形成された前記一対の蓄熱部によって構成されているることを特徴とする。
【0012】〔作用効果〕本構成のごとく、耐火性のセラミック製等のケーシング部材を天板下方に設け、そのケーシング部材と天板とによって形成された燃焼流路に、燃焼部及び蓄熱部を配設することで、燃焼部及び蓄熱部からの輻射熱と共にそのケーシング部材の燃焼部及び蓄熱部の壁面からの輻射をも加熱対象物の加熱に利用することができ、一層の高効率化を図ることができる。また、燃焼流路を上記のようにリング状の燃焼部と、その外側及び内側に形成された一対の蓄熱部とによって構成することで、加熱対象物としての鍋等の形状に合った燃焼流路を形成して好ましい状態で鍋を加熱することができる。
【0013】
【発明の実施の形態】本発明のコンロ燃焼器の実施の形態として、鍋N(加熱対象物の一例)を加熱する家庭用のコンロ燃焼器100について、図面に基づいて説明する。図1(イ), (ロ)及び図2に示すコンロ燃焼器100は、鍋Nを載せるための強度と耐熱性を持ち、後述の燃焼流路2からの輻射を透過させることができる耐熱ガラス1(天板の一例)を備え、耐熱ガラス1下方において燃料を燃焼させ、耐熱ガラス1を介して鍋N等を加熱するものである。また、本発明に係るコンロ燃焼器100は、後述の燃焼室10から排出される燃焼排ガスEの熱を蓄熱し、蓄熱された熱によって燃焼室10に供給される燃焼用の二次空気A(酸素含有ガスの一例)を予熱することができ、その特徴構成について以下に説明する。
【0014】耐熱ガラス1の下方には、セラミック製のケーシング部材5が設けられており、そのケーシング部材5は、円盤上の底部5dを有すると共に、その底部5dから耐熱ガラス1に延出した筒状の壁面5a,5b,5cを、内側より順に同心円状に有し、耐熱ガラス1の下面と共にその内部に燃焼流路2を形成している。
【0015】この燃焼流路2において、壁面5aと壁面5bの間の空間が、燃焼室10として形成されており、燃焼室10の下方の底部5dには、複数の炎口10aが周方向等間隔で配設されている。炎口10aには、燃料と若干の一次空気との混合気である燃料ガスGが供給され、燃焼室10において、後述のファン4によって燃焼流路2内に吸引される二次空気Aを利用してその燃料ガスGを燃焼させるブンゼン燃焼を行うことができる。
【0016】また、燃焼流路2において、壁面5aの内側の空間が第1蓄熱室11として形成されており、その内部にはセラミック製の球体である蓄熱材11bが充填されている。また、第1蓄熱室11は、壁面5aに設けられた複数の連通孔13によって燃焼室10と連通しており、その下方の底部5dに開口する開口11aが設けられ、その開口11aは流路7に接続されている。さらに、壁面5bと最も外側に形成された壁面5cとの間の空間が第2蓄熱室12として形成されており、その内部にはセラミック製の球体である蓄熱材12bが充填されている。また、第2蓄熱室12は、壁面5bに設けられた複数の連通孔14によって燃焼室10と連通しており、その下方の底部5dに開口する複数の開口12aが周方向等間隔で配設され、その複数の開口12aは流路8に接続されている。
【0017】また、コンロ燃焼器100には、室内へ開放される空気流路6と、燃焼排ガスEを吸引して屋外へ排出するためのファン4を備えた排ガス流路5が設けられ、夫々の流路5,6と前述の流路7,8は周期的に切り換えられる四方切換弁3に夫々接続されている。
【0018】即ち、四方切換弁3は、先ず、図1(イ)に示すように、開口11aに接続されている流路7と排ガス流路5とを連通状態とすると共に、開口12aに接続されている流路8と空気流路6とを連通状態とする第1状態となり、ファン4によって、燃焼室10において発生する燃焼排ガスEを、第1蓄熱部11から屋外へ排出すると共に、二次空気Aを第2蓄熱室12を介して燃焼室10へ供給する。この第1状態において、燃焼排ガスEの熱が第1蓄熱室11の蓄熱材11bに蓄熱されると共に、燃焼室10に供給される二次空気Aが、後述の第2状態において第2蓄熱室12の蓄熱材12bに蓄熱された燃焼排ガスEの熱によって予熱される。
【0019】次に、図1(ロ)に示すように、四方切換弁3は、開口11aに接続されている流路7と空気流路6とを連通状態とすると共に、開口12aに接続されている流路8と排ガス流路5とを連通状態とする第2状態となり、ファン4によって、燃焼室10において発生する燃焼排ガスEを第2蓄熱部12から屋外へ排出すると共に、二次空気Aを第1蓄熱室11を介して燃焼室10へ供給する。この第2状態において、燃焼排ガスEの熱が第2蓄熱室12の蓄熱材12bに蓄熱されると共に、燃焼室10に供給される二次空気Aが、前述の第1状態において第1蓄熱室11の蓄熱材11bに蓄熱された燃焼排ガスEの熱によって予熱される。
【0020】このように、第1及び第2蓄熱室11,12に接続された四方切換弁3を、図1(イ)及び(ロ)の状態、即ち第1状態及び第2状態とに周期的に切り換えて、燃焼室10から排出される燃焼排ガスEの熱を蓄熱し、蓄熱された熱によって燃焼室10に供給される燃焼用の二次空気Aを予熱する手段を蓄熱型熱交換手段と呼び、この蓄熱型熱交換手段によって、所謂リジェネレーション(熱再生)を行い、高い熱効率を達成して燃焼室10における燃焼温度と燃焼負荷を高くすることができ、さらに、排ガス流路5に排出される燃焼排ガスEの温度は200℃以下まで低下するので、排ガス流路5にファン4を設けて燃焼排ガスEを強制的に屋外へ排出することができる。
【0021】このようなコンロ燃焼器100において、耐熱ガラス1上に載せられた鍋Nは、燃焼室10における火炎F及び燃焼室10を形成するケーシング部材5の壁面からの輻射によって加熱されると共に、第1及び第2蓄熱室11,12のケーシング部材の壁面及び蓄熱材11b,12bからの輻射によっても加熱される。さらに、耐熱ガラス1は前述の輻射の一部と燃焼排ガスEの耐熱ガラス1への対流伝熱により加熱され、鍋Nは加熱された耐熱ガラス1からの輻射、伝導及び自然対流にて一層加熱される。
【0022】〔別実施の形態〕次に、本発明のコンロ燃焼器の別の実施の形態を図面に基づいて説明する。
〈1〉 上記の実施の形態において、燃焼部としてブンゼン燃焼を行う燃焼室10について説明したが、燃焼部をその他の燃焼方式により燃料を燃焼させるように構成することもでき、例えば、炎口10aから燃料のみを噴出させ、その燃料を二次空気のみで燃焼させる拡散燃焼を行うように構成することもできる。
【0023】〈2〉 上記の実施の形態において、蓄熱型熱交換手段を、燃焼室10に供給される二次空気を予熱する構成を説明したが、別に予熱する燃焼用の空気は燃焼室10で燃焼する燃料に予め混合される一次空気の一部を予熱するように構成することもできる。
【0024】〈3〉 上記の実施の形態において、蓄熱型熱交換手段として、耐熱ガラス1の下面に接する第1及び第2蓄熱室11,12における燃焼排ガスE及び二次空気Aの流通方向を切り換えて蓄熱された燃焼排ガスEの熱によって二次空気Aを予熱する構成を説明したが、別に、蓄熱型熱交換手段としては、燃焼排ガスE及び二次空気Aの流通方向は一方向として、夫々の流路間に渡って回転する円盤型の蓄熱部を設けた回転形の蓄熱型熱交換器により構成することもできる。
【0025】〈4〉 上記の実施の形態において、一般的な例として、燃料ガスの燃焼のための酸素含有ガスとして空気を利用したものを説明したが、空気の以外の燃焼用酸素含有ガスとしては、例えば、酸素成分含有量が空気に対して高い酸素富化ガス等を利用することが可能である。
【0026】
【発明の効果】本発明に係るコンロ燃焼器は、JISによって規定される40%以上の熱効率を実現し、さらに高燃焼負荷運転が可能であるので、家庭用のコンロ燃焼器として必要な熱出力を確保できる。また、排出される燃焼排ガスを屋外へ強制排気することができるので、室内の汚染等を解消することができる。また、フラットな天板を実現することができるので、清掃等の手入れを容易にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るコンロ燃焼器の実施の形態を示す側面断面図
【図2】図1のコンロ燃焼器の平面断面図
【符号の説明】
1 耐熱ガラス(天板)
2 燃焼流路
3 四方切換弁
4 ファン
5 ケーシング部材
6 空気流路
7 排ガス流路
8 流路
9 流路
10 燃焼室(燃焼部)
11 第1蓄熱室(蓄熱部)
12 第2蓄熱室(蓄熱部)
13 第1連通路
14 第2連通路
A 二次空気
G 燃料ガス
N 鍋(加熱対象物)

【特許請求の範囲】
【請求項1】 加熱対象物を載せる天板を備え、前記天板の下方に形成された燃焼流路の燃焼部において燃料を燃焼させ、前記加熱対象物を前記天板を介して加熱するコンロ燃焼器であって、前記燃焼部から排出される燃焼排ガスの熱を蓄熱し、前記蓄熱された熱によって前記燃焼部に供給される燃焼用の酸素含有ガスを予熱する蓄熱型熱交換手段を備えたコンロ燃焼器。
【請求項2】 前記燃焼部が、前記燃料を部分予混合燃焼させるものであり、前記蓄熱型熱交換手段が、前記燃焼部に供給される二次燃焼用の酸素含有ガスを予熱する手段である請求項1に記載のコンロ燃焼器。
【請求項3】 前記蓄熱型熱交換手段が、前記燃焼流路の前記燃焼部の両側に設けられた一対の蓄熱部と、前記燃焼後の排ガスを誘引する誘引ファンと、前記誘引ファンに接続される前記蓄熱部を周期的に切り換える切換弁とを有して構成されている請求項1又は2に記載のコンロ燃焼器。
【請求項4】 前記天板の下方に設けられ、前記天板と共に前記燃焼流路を形成するケーシング部材を備え、前記燃焼流路が、前記天板の表面に垂直な軸芯廻りにリング状に形成された前記燃焼部と、前記燃焼部の内側及び外側に形成された前記一対の蓄熱部によって構成されている請求項3に記載のコンロ燃焼器。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2001−296030(P2001−296030A)
【公開日】平成13年10月26日(2001.10.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2000−110969(P2000−110969)
【出願日】平成12年4月12日(2000.4.12)
【出願人】(000000284)大阪瓦斯株式会社 (2,453)