説明

コンロ装置及びコンロ装置を利用する暖房機

【課題】 枠体内をきれいな状態に維持でき、更に暖房機としても利用できる構造を備えたコンロ装置に関する。
【解決手段】 扁平な枠体1の上面板3に開口5を設け、枠体1内のバーナ6の外側方に筒状バーナ枠体10を設け、筒状バーナ枠体10の上端にリング状のバーナ天板11を配置し、バーナ天板11の加熱ガス放出口12を上面板3よりも高い位置に設定する。開口5と加熱ガス放出口12との間に装着するリング状の煮こぼれ受け7は内縁3bを最高部として上面板3側が低くなっている。煮こぼれ受け7は係合部14がバーナ天板11の位置決め部13に嵌合して位置決めされた状態で、煮こぼれ受け7の取り付け部16と上面板3の固定金具15との間で着脱自在となっている。また、加熱ガス放出口12の上方には煮こぼれ受け7に代えて、燃焼室24が装着可能となっており、燃焼室24は燃焼室取り付け部26を固定金具15に係合して固定できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は形状が特定されたコンロ装置とそのコンロ装置を利用して暖房機として利用するための構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のコンロ装置は扁平な枠体で構成され、この枠体の上面板には枠体内に設置したバーナを臨むことができる開口が設けてあり、この開口の縁部には上面に凹部を形成した煮こぼれ受けが着脱自在に取り付けられている。
そして、バーナは枠体天板の高さよりも低い位置に設置され、前記煮こぼれ受けの上方に配置した五徳に調理器具を載せて煮炊きするとき、調理器具からこぼれた煮こぼれは前記リング状の煮こぼれ受けの凹部に溜まり、また、一部はバーナと煮こぼれ受けの間から枠体内に落ちてしまうものである。
【0003】
このとき、調理器具から大量の煮こぼれが発生して、煮こぼれ受けの凹部から枠体の上面板側に溢れ出るときには、この煮こぼれの一部は上面板の上に流れるが、多くは前記開口と煮こぼれ受けの隙間から枠体内に落ち、また、バーナ側にあふれた煮こぼれはバーナと煮こぼれ受けの間から直接枠体内に落ちるものであり、例え使用時間が短くとも、煮こぼれを発生させたときには、枠体内を煮こぼれで汚してしまうからその清掃は大変であった。また、枠体内に入った煮こぼれは乾燥しにくく何時までも液状であるから、枠体を傾けるとこぼれ出て周囲を汚してしまうこともあった。
【0004】
特に枠体の大きさと比べて高発熱燃焼が可能なバーナをコンロ装置のバーナとして利用するときには、少し目を離した隙に大量の煮こぼれを発生させる場合が頻繁に発生するものであり、また、従来のコンロ装置の使用の実態から考察すると、枠体の上面板の上に流れた煮こぼれは非常に目立つから、その都度清掃することによって清潔できれいな状態を維持する必要に迫られるが、一度枠体内に落ちた煮こぼれは目立ちにくく、この煮こぼれを清掃する機会は後回しにされることが多く、このことが枠体内を汚す理由になっていることがわった。
【0005】
また、扁平な枠体内に設置されたバーナとして都市ガスを燃料とするものでは、システムキッチンのように一つの固定設備として実施されるが、最近のコンロ装置の熱源は都市ガスに限定されることなく、可搬式の燃料ボンベの燃料ガスを利用したり、灯油などの液体燃料を利用したりするコンロ装置が増えてきている(特許文献1参照)。
【特許文献1】実開平6−69609号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
この発明の第一の課題は、上記の様に枠体内に流れて、清掃せずに長期間放置されることになる煮こぼれを如何に少なくして、清潔できれいな状態を維持することができるコンロ装置を提案することにあり、このような課題が達成できれば、このコンロ装置は積極的に可搬できるコンロ装置としての使用法が定着できることになり、移動中にコンロ装置を傾けたときに、残っていた煮こぼれが漏れ出てきて周囲を汚すという、可搬できるコンロ装置の最大の問題点が解決することになる。
【0007】
また、このような可搬できるコンロ装置としての第2の課題は、単にコンロとしての使用法だけではなく、コンロの熱源であるバーナを利用して、暖房装置として使用したいという要求であり、コンロとして煮炊き中は排気された燃焼ガス中に含まれる熱量によってテントなどの簡易の部屋の暖房が可能となり、煮炊きが終われば、暖房装置に変身して室内の暖房が継続できるという特徴が享受できるようになる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明は、扁平な枠体の上面板に開口を設け、その枠体内には燃焼ガスを上方に向けて吹出すバーナを備え、かつ、前記上面板の前記開口にはリング状に形成した煮こぼれ受けを配置し、その煮こぼれ受けの上に五徳を設け、その五徳に載架した調理器具で煮炊きするコンロ装置において、前記バーナの外側方には筒状バーナ枠体を設け、その筒状バーナ枠体の上端には、中央部を高くして加熱ガス放出口を形成したリング状のバーナ天板を配置し、前記加熱ガス放出口が前記枠体の上面板よりも高所に位置する形態を成して、前記バーナの燃焼ガスを加熱ガス放出口から上昇させ、前記煮こぼれ受けの内縁が、その煮こぼれ受けの最高所となって前記加熱ガス放出口の外側に位置し、前記煮こぼれ受けの外縁が前記上面板の開口側に形成した上向き縁部の外側に位置しており、前記筒状バーナ枠体の上端に配置した前記バーナ天板の前記煮こぼれ受け側に位置決め部を形成し、その位置決め部に嵌合する係合部を前記煮こぼれ受けに形成し、かつ、前記上向き縁部周辺の上面板には固定金具を設け、前記煮こぼれ受けにはその固定金具との間で着脱する取り付け部を設け、前記煮こぼれ受けの内縁と前記加熱ガス放出口との間の嵌合間隔を、前記位置決め部と係合部とが嵌合して一定に維持しながら前記煮こぼれ受けが前記固定金具と取り付け部との間で着脱自在になっており、前記コンロ装置の着脱自在を成した前記煮こぼれ受けに代えて、前記加熱ガス放出口の上方を覆う円筒状の燃焼室を配置すると共に、その燃焼室には前記枠体の上面板に設けた固定金具と係合する燃焼室取り付け部を備え、取り外した前記煮こぼれ受けに代えて、その燃焼室取り付け部を前記固定金具に固定し、前記加熱ガス放出口から上昇する加熱ガスを前記燃焼室に誘導して、加熱する燃焼室からの放熱で採暖することを特徴とする。
【0009】
また、前記円筒状の燃焼室には前記リング状のバーナ天板に形成した前記位置決め部に嵌合する燃焼室係合部を備え、前記燃焼室の中心が前記加熱ガス放出口の中心と一致し、燃焼室の外壁が均一に赤熱して、見栄えが良くなっている。
【0010】
また、前記筒状バーナ枠体内に配置した前記バーナは、有底状の筒状バーナ体と、その筒状バーナ体の側壁面の上部に集中して穿設した多数の燃焼空気供給孔と、その燃焼空気供給孔から燃焼空気を前記筒状バーナ体内に供給する燃焼用送風手段と、前記燃焼空気供給孔よりも下方の前記筒状バーナ体の側壁面からその筒状バーナ体内に燃料を供給する燃料供給手段と、前記燃焼空気供給孔の付近の前記筒状バーナ体内に配置した孔なしの皿状で前記加熱ガス放出口よりも大径の加熱盤とを備えたから、調理器具からの煮こぼれがバーナの働きで枠体内に入りにくくなった。
【発明の効果】
【0011】
この発明は、扁平な枠体の上面板に開口を設け、その開口には中央部分でバーナの燃焼ガスを上昇させることができるリング状の煮こぼれ受けを配置し、この煮こぼれ受けには調理器具を載架する五徳を取り付けるという、一般的なコンロ装置において、その目的とするところは、コンロ装置を使用して調理中の調理器具から溢れた煮こぼれがコンロ枠体内に落ちにくくして、枠体内の煮こぼれの清掃をほとんどしなくとも良くなる構成を提案し、更にこのように改善されたコンロ装置にあっては、その利用範囲が暖房にまで拡大できるという特徴が生まれたものである。
【0012】
即ち、この発明では煮こぼれ受けの下方に位置してバーナの外側方を覆う筒状バーナ枠体を配置し、この筒状バーナ枠体の上端にリング状のバーナ天板を取り付けており、そのバーナ天板の加熱ガス放出口は枠体の上面板よりも高い位置に設定している。また、前記煮こぼれ受けは枠体の上面板の開口とバーナ天板の加熱ガス放出口との間に装着されている。
このため、バーナで発生した燃焼ガスは、加熱ガス放出口の働きでバーナの中央に絞られて上昇した後、調理器具の外側に向かって流れるから、調理器具からの煮こぼれが加熱ガス放出口に向かうときでも、水滴状や固形のものは必ず燃焼ガスによって押し戻され、液状で調理器具の外壁を伝って流れるものは、調理器具の外壁に沿ったこの高温の燃焼ガスの流れに押し戻されて加熱ガス放出口付近へ近づくことがなくなり、調理器具からの煮こぼれは全てこの煮こぼれ受けで受け止められる。
【0013】
また、前記枠体の上面板の開口とバーナ天板の加熱ガス放出口との間に装着された煮こぼれ受けは、加熱ガス放出口と嵌合する内縁を最高部として、枠体の上面板側が低くなるように限定したから、この煮こぼれ受けに溜まり溢れた煮こぼれは、その内縁よりも低い枠体の上面板に向かって流れるようになり、この枠体の上面板の汚れや煮こぼれ受けの汚れは非常に目立つから速やかに清掃され、コンロ装置が常にきれいに保たれるという効果が得られた。
【0014】
一方、調理器具からの煮こぼれのうちで、この発明で問題としているコンロ枠体内に流入する煮こぼれは、加熱ガス放出口と煮こぼれ受けの内縁との嵌合部に直接ぶつかるような煮こぼれだけになる。この煮こぼれに対して、この発明ではリング状のバーナ天板に位置決め部を形成し、煮こぼれ受けにもこの位置決め部に嵌合する係合部を形成している。また、枠体の上面板には固定金具を設け、煮こぼれ受けにはこの固定金具との間で着脱できる取り付け部を設けており、煮こぼれ受けは係合部が位置決め部に嵌合して位置決めされた状態で、枠体の上面板の固定金具と煮こぼれ受けの取り付け部との間で着脱自在となっている。
このため、加熱ガス放出口と煮こぼれ受けの内縁との嵌合部には、加熱ガス放出口が熱伸縮の影響を避けることができないから微小な隙間を形成せざるを得ないが、この発明の構成によれば常に一定の関係が維持されているので、局部的に大きな隙間が発生するように偏心することはなく、もし、加熱ガス放出口と煮こぼれ受けの内縁との嵌合部に直接ぶつかるような煮こぼれが発生しても、ほとんどは煮こぼれ受けもしくは加熱ガス放出口内に流れ、隙間を通ってコンロ枠体内に侵入することがあっても、その量を最小に制限することができた。
また、加熱ガス放出口と煮こぼれ受けの内縁との嵌合部が常に所定の微細な間隙を介して対峙しているときには、バーナ天板が熱膨張を起こして煮こぼれ受けの内縁と擦れ合ってギーギー音を出すことは無くなった。
【0015】
一方、この発明の構成のコンロ装置では、枠体内への煮こぼれの侵入を抑えることができたから、このような構造は可搬できるコンロ装置として最適な構造となる。
この発明は、コンロ装置の枠体内への煮こぼれの侵入を抑える構成を流用して暖房機としても機能させることができるようにするもので、円筒状の燃焼室にはコンロ装置の枠体の上面板に設けた固定金具と係合する燃焼室取り付け部を備えており、取り外した前記煮こぼれ受けに代えて、この固定金具に燃焼室取り付け部を固定することができるようになった。
このため、コンロ装置に固定された燃焼室内には前記加熱ガス放出口から上昇する加熱ガスが誘導され、燃焼室が加熱されて多量の熱線や遠赤外線が放射され、安全な暖房機として機能できるようになるという効果が得られるようになった。
【0016】
また、コンロ装置におけるリング状のバーナ天板に形成した位置決め部に嵌合する燃焼室係合部を、円筒状の燃焼室に設けたときには、燃焼室の中心部に正確に加熱ガスが供給できるようになり、燃焼室の外壁が均一に赤熱するという優れた効果を得ることができた。
【0017】
また、このコンロ装置に使用する専用バーナは、筒状バーナ枠体の内側に配置した有底状の筒状バーナ体と、その筒状バーナ体の側壁面の上部に集中して穿設した多数の燃焼空気供給孔とを有し、この燃焼空気供給孔から燃焼用送風手段による、強制的な空気の吹き込みが行われる構成になっている。
このため、燃焼部の中央から加熱ガス放出口の中央を上昇して調理器具の外側に沿った加熱ガスの流れは、燃焼によって発生するドラフト力だけではなく、燃焼用送風手段による強制的なガスの流れはすべて加熱ガス放出口に向って流れ、この流れにドラフト力が付加したものとなっているから、このバーナと組み合わせた時には、調理器具の外側面に沿った強力なガスの流れを作り出すことができるようになった。したがって、調理器具の外壁を伝って加熱ガス放出口に向う煮こぼれは、前記調理器具の外面に沿って外方へ向う強力なガスの流れによって押し戻され、加熱ガス放出口付近へ落下しなくなることが確認できた。
【0018】
また、コンロ装置に使用するこのバーナは、前記燃焼空気供給孔よりも下方の筒状バーナ体の側壁面からその筒状バーナ体内に液体燃料を供給し、更に、加熱ガス放出口よりも大径で燃焼空気供給孔の付近の筒状バーナ体内に孔なしの皿状の加熱盤を配置した構造を成している。
このため、もし加熱ガスの流れに抗して加熱ガス放出口に向う煮こぼれが存在しても、この液状の煮こぼれはバーナ内の加熱盤に触れると直ちに気化ガスもしくは細かい水滴となり、燃焼ガスの流れによって押し戻され、また、大きな水滴のままでバーナ内に入り込むことがあっても、バーナを構成する筒状バーナ体は有底状であり、空気や燃料の供給は筒状バーナ体の側壁面から行われる構成であるから、筒状バーナ体の底に流入しても燃料と一緒に筒状バーナ体内で気化して、ガスとなって排出されるから、結局、加熱ガス放出口からバーナに向かって煮こぼれが流れても、このバーナに構造を特定することによって、コンロ装置の内を汚さないという効果が得られた。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明の実施例を添付図面に基づいて説明する。
図1及び図2において、1は扁平な形状を成した背が低いコンロの枠体、2は枠体1の前後左右の側面を形成する外周板、3は外周板2の上部に位置するように配置した平面状をなす上面板、4は外周板2が取り付けられる枠体底板であり、前記枠体1は上面板3と外周板2と枠体底板4によって箱状に形成されている。
5は枠体1の上面板3に形成した開口、3aはその開口5の縁部に位置して上方へ向けた筒形の上向き縁部、6はこの開口5付近の枠体1内に配置したバーナ、7はこの開口5の上向き縁部3aに装着されるリング状に形成された煮こぼれ受け、7aは煮こぼれ受け7の中央開口、8は煮こぼれ受け7の上方で前記中央開口7aよりも外方に位置して取り付けられた五徳、9は五徳8の上に載架した調理器具であり、前記バーナ6から発生した燃焼ガスは煮こぼれ受け7の中央開口7aから上方に向かう加熱ガスとなり、前記調理器具9の底面と調理器具9の周縁を加熱して煮炊きすることができる。
【0020】
実施例を示す図1において、2aは外周板2の一側の面に配置した操作パネルであり、コンロ装置として使用するために前記操作パネル2aは煮こぼれがかからないように枠体1の上面板3に取り付けない方がよい。また、実施例の枠体1の上面板3と外周板2はプレス加工などによって一枚の鋼板から形成されているが、上面板3と外周板2とは別部材で構成して、外周板2の上部の外側に上面板3の周縁が被さるようにしても良い。
また、2bは外周板2に形成した燃焼空気取入口であり、実施例の燃焼空気取入口2bは傾斜面が形成できる切押し加工によって構成されており、枠体1の上面板3にかかった煮こぼれはこの傾斜面に誘導されて燃焼空気取入口2bから枠体1内に入らないようにしている。
【0021】
10は枠体1内に設置したバーナ6の外側方を覆うように前記枠体底板4に取り付けた筒状バーナ枠体、11はその筒状バーナ枠体10の上端に取り付けたリング状のバーナ天板、12はリング状のバーナ天板11の中央に形成した加熱ガス放出口、11aは前記バーナ天板11の加熱ガス放出口12を形成するために内縁を上方に伸ばして筒状に形成した筒状縁であり、実施例の前記筒状バーナ枠体10は前記枠体1の開口5内に位置してその筒状バーナ枠体10の上端は枠体1の上面板3よりも高い位置になっており、その筒状バーナ枠体10とバーナ天板11は前記バーナ6の収容室を形成している。また、そのバーナ天板11は中央の加熱ガス放出口12、即ち筒状縁11aの先端が最高位置となり、筒状バーナ枠体10に取り付けられる外縁部が最低位置となるような形状に構成されている。
【0022】
7bは前記煮こぼれ受け7の中央開口7a側の内縁であり、前記バーナ天板11の加熱ガス放出口12を形成する筒状縁11aの外側に実施例である図2に示すように筒状に形成した前記内縁7bが位置しており、前記筒状縁11aと内縁7bとの間は密着もしくは所定の隙間をもって嵌合状態を作り出している。
そして、筒状縁11aと内縁7bとの間が密着しているときには、煮こぼれが枠体1内に入りにくくなり、また、筒状縁11aと内縁7bとの間に隙間を有するときは、前記バーナ天板11が燃焼熱によって熱膨張しても異常な接触音が出ないようになっており、更に、前記筒状バーナ枠体10の側方にも煮こぼれ受け7が位置しているから、前記筒状バーナ枠体10と煮こぼれ受け7の間に上昇気流が発生するときには、筒状縁11aと内縁7bとの間の隙間からこの上昇空気流を吐出する働きが生まれる。
【0023】
7cは前記上面板3の開口5の上向き縁部3aに装着される煮こぼれ受け7の外縁、7dは煮こぼれ受け7の内縁7bと外縁7cとの間に凹部で形成した煮こぼれ溜まりであり、前記煮こぼれ受け7は内縁7b部分が最高位置となっており、煮こぼれ溜まり7dや外縁7cに向かって煮こぼれが流れる位置関係となっている。そして、前記煮こぼれ受け7の外縁7cは下方に向けた筒状に形成されており、前記上面板3の開口5の上向き縁部3aに外側から煮こぼれ受け7の筒状の外縁7cが嵌め合うようになっているから、前記煮こぼれ溜まり7dから溢れた煮こぼれは枠体1の上面板3に向って流れ、煮こぼれ受け7の外縁7cの下端が上面板3の上向き縁部3aの上端よりも低い位置にあるから、溢れた煮こぼれが枠体1内に流入することはない。
【0024】
前記バーナ天板11と煮こぼれ受け7の内縁7bとの間隔を一定に保つために、13はバーナ天板11の煮こぼれ受け7側に形成した位置決め部、14はその位置決め部13に嵌合できるように煮こぼれ受け7に形成した係合部であり、前記位置決め部13と係合部14とが嵌合したときに、前記煮こぼれ受け7の内縁7bとバーナ天板11の加熱ガス放出口12を形成する筒状縁11aとを所定の間隔に、かつ均一に形成できるようになり、一部の間隔が異常に広くなって煮こぼれが枠体1内に侵入しやすくなるという問題点が解決できた。
【0025】
図に示す実施例において、13aは中央開口である加熱ガス放出口12の位置が高くなるバーナ天板11の途中をリング状の階段状に形成した段部であり、前記位置決め部13はこの段部13aの側面で構成することができる。
このため、煮こぼれ受け7側の前記係合部14が複数個形成されていても、位置決め部13はリング状に配置された複数箇所の段部13aの一つであるから、係合部14は確実にリング状の段部13aに係合できるようになり、煮こぼれ受け7の取り付け動作が素早くできるようになった。
【0026】
15は枠体1の上面板3に設けた固定金具、16は前記上面板3に煮こぼれ受け7を着脱可能に装着するための取り付け部であり、実施例の前記固定金具15は上面板3に固定されて上方に突出する棒状の雄螺子とその雄螺子に螺合する雌螺子で構成され、前記取り付け部16は煮こぼれ受け7の外縁7cの下端から側方に伸びる板状体で構成され、この板状体に前記雄螺子に嵌め合う孔が開けられている。このため、雄螺子に板状体の孔を嵌めて雌螺子で固定することによって、上面板3に煮こぼれ受け7が固定できる。
このとき、前記取り付け部16を構成する板状体の孔を、固定金具15を構成する雄螺子の直径よりも少し大きくすることによって、上面板3と煮こぼれ受け7との固定位置関係を可変することができ、前記筒状バーナ枠体10のバーナ天板11によって前記位置決め部13が決まり、この位置決め部13に係合部14を使って位置固定された煮こぼれ受け7は、バーナ天板11の筒状縁11aと煮こぼれ受け7の内縁7bとの隙間を均一に保ちながら前記上面板3に固定できるようになった。
この固定金具15は、雄螺子と雌螺子とが螺合するときに煮こぼれ受け7を固定する図示した構成の他に、バネ材を用いるクランプ構造で構成してもよく、また、前記取り付け部16との組み合わせを変更すれば、更に各種の変形例の構成が利用できる。
【0027】
上記のように、調理器具9からの煮こぼれを前記煮こぼれ受け7に落下させるには、バーナ天板11とその最高所に位置する加熱ガス放出口12から高速な加熱ガスの流れを作り出す必要があるが、このような高速な加熱ガスの流れが作り出し易いバーナ6を選択することは、コンロ装置の形状を特定することと同様に有効な手段である。
【0028】
図に示す実施例において、17はバーナ5の主要部を構成する筒状バーナ体であり、この筒状バーナ体17は前記筒状バーナ枠体10の内側でバーナ天板11の下方に配置された有底筒体で構成されている。17aは筒状バーナ体17の側壁面、18はその側壁面17aに穿設して形成した燃焼空気供給孔、19は前記筒状バーナ枠体10と前記筒状バーナ体17の間に燃焼用空気を強制送風する燃焼用送風手段であり、前記燃焼空気供給孔18は側壁面17aの上部に集中して多数穿設され、その側壁面17aの中央から下部の燃焼空気供給孔18はまばらであり、また、底面には燃焼空気供給孔18は開けられていない。前記燃焼用送風手段19によって筒状バーナ枠体10と筒状バーナ体17の間に送られた燃焼用空気は、筒状バーナ体17の側壁面17aの燃焼空気供給孔18から筒状バーナ体17内に供給されている。
【0029】
20は前記筒状バーナ体17内に燃料を供給するための燃料供給手段、21は前記筒状バーナ体17の側壁面17aで多数の燃焼用空気供給孔18が穿設された付近の筒状バーナ体17内に配置した加熱盤であり、前記燃料供給手段20は前記加熱盤21よりも下方の側壁面17aから筒状バーナ体17内に燃料を供給している。
22は筒状バーナ体17内に前記燃料供給手段20から送られる燃料に着火する点火手段であり、筒状バーナ体17内の前記加熱盤21よりも下方空間において、燃料は点火手段22によって着火されて一部燃焼を行いながら気化し、その気化燃料と前記燃焼用空気供給孔18から送られた燃焼空気との予混合を行っている。
そして、この空間で得られた予混合された可燃ガスが孔なしの加熱盤21によって上方への流れが遮られ、加熱盤21と側壁面17aとの間隔から上方に誘導され、この部分の側壁面17aに集中してあけられた燃焼空気供給孔18から送られる空気の供給を受けて加熱盤21の上方で可燃ガスが完全燃焼する。この時、加熱盤21は燃焼熱で加熱されて発生する輻射熱によって加熱盤21より下部の空間を高温度にするから、前記点火手段22の作動を止めても燃焼を継続することができる。
【0030】
実施例において、前記加熱盤21の側方位置から上方の筒状バーナ体17の側壁面17aには燃焼空気供給孔18が集中してあけられ、加熱盤21の下方で作られた可燃ガスの燃焼に供される空気は主として加熱盤21の側方位置の燃焼空気供給孔18であって、この加熱盤21の側方位置の燃焼空気供給孔18よりも上方の燃焼空気供給孔18から筒状バーナ体17内に送られる空気は、直接可燃ガスの燃焼には利用されないようになっている。
そして、この可燃ガスの燃焼に利用されない空気は燃焼の結果得られる燃焼ガスの上部に流入して上方のバーナ天板11や煮こぼれ受け7の温度上昇を抑えると共に、燃焼ガスと混合して多量の加熱ガスを作り出している。このため、前記バーナ天板11の加熱ガス放出口12から吹出す加熱ガスの量は燃料の供給を絞ったときでも加熱ガスの流速の減少がわずかで済むようになっており、バーナ6の燃焼量に関係なく調理器具9からの煮こぼれを、加熱ガス放出口12と煮こぼれ受け7の内縁7bとの隙間や、加熱ガス放出口12内に落下させずに、煮こぼれ受け7の上に落下することができるようになった。
【0031】
実施例を示す図において、20aは枠体1内や枠体1付近に配置した油タンクから送られる燃料を圧送する加圧ポンプ、20bは加圧ポンプ20aで加圧された燃料を直接前記筒状バーナ体17に滴下供給するために筒状バーナ体17内に伸ばした燃料供給パイプであり、加圧ポンプ20aと燃料供給パイプ20bは前記燃料供給手段20の構成部品である。また、22aは前記筒状バーナ体17の側壁面17aから筒状バーナ体17内に伸ばした予熱兼点火ヒータであり、この予熱兼点火ヒータ22aは前記点火手段22の構成部品となっている。23は前記加熱盤21の下方の筒状バーナ体17内に配置した助燃部材であり、燃料供給パイプ20bによって筒状バーナ体17内に供給された燃料は予熱兼点火ヒータ22aの発熱によって着火し、助燃部材23の働きによって筒状バーナ体17内で燃焼に適する可燃ガスを作り出している。
図3に示すバーナは、図1に示す実施例のバーナとは燃料の供給方法を異にしており、20cは加圧ポンプ20aで加圧された燃料を霧状にして前記筒状バーナ体17内に送り込む噴霧ノズル、22bは噴霧ノズル20cから噴霧された霧状燃料に着火するための放電電極であり、図示せざる高圧電流発生装置によって放電火花22bから火花が発生し、この火花によって前記噴霧ノズル20cから筒状バーナ体17内に吹き込まれた霧状燃料は着火する。そして、着火後は図1の実施例のバーナ6と同様に、助燃部材23の働きによって燃焼に適する可燃ガスを作り出している。
【0032】
図に示すように、バーナ6で発生した燃焼ガスは加熱盤21と前記バーナ天板11との間から加熱ガス放出口12に誘導される。そして、前記調理器具9からの煮こぼれが前記加熱ガス放出口12から吹出す加熱ガスの流れに逆らって、その加熱ガス放出口12に飛び込んだ時には、この煮こぼれは高温となった加熱盤21に触れて気化し、細かい水滴となって飛び散るので、この水滴は燃焼ガスと一緒に加熱ガス放出口12へ押し戻される。このため、前記筒状バーナ体17の底まで流入する煮こぼれは稀であり、もし、煮こぼれが前記筒状バーナ体17の底まで流入しても、その高温雰囲気によって直ぐに気化し、燃焼ガスの流れに乗って前記加熱ガス放出口12から外部に排出されてしまう。
【0033】
上記のような構成のコンロ装置では、調理器具9からの煮こぼれはバーナ6内や、枠体1内に流入して溜まることは無く、常に清潔に保たれるから、可搬式のコンロ装置として最適になる。そして、この種の可搬できるコンロ装置の使い方として、冬季において煮炊きとしての機能だけでなく、そのまま何も調理器具を載せないで燃焼することで、テント内などでは簡易式の暖房を得る使い方が行なわれる。このような簡易な暖房を得る使い方は焚き火のように裸火による暖房であり、管理された状態では趣があるかもしれないが、危険と隣り合わせとなる。
【0034】
図4に示す実施例は、このコンロ装置の主要部を使って暖房装置を提供するもので、24は前記着脱自在の煮こぼれ受け7に代えて加熱ガス放出口12の上方に配置する燃焼室、25は燃焼室24の下部で前記上面板3の上向き縁部3aの外側に位置した燃焼室下部外端、26はその燃焼室下部外端25の下端から外方に向け伸ばした燃焼室取り付け部である。
また、前記燃焼室24において、24aは前記加熱ガス放出口12の上方に形成した燃焼室空間、24bはその燃焼室空間の外方に位置した燃焼室外壁、24cは放熱面積を増やすために燃焼室空間24aの上方に配置した放熱筒、27は高温となる燃焼室外壁24bや放熱筒24cの外側に配置したガードであり、これらの各部品は一体と成して燃焼室24を構成している。
前記燃焼室取り付け部26は前記枠体1の上面板3に設置した固定金具15と係合しており、この係合によって前記燃焼室24を構成する各部品は一体となってコンロ装置のバーナ6部分の上方に配置することができる。
【0035】
したがって、コンロ装置によって煮炊きしないとき、また、煮炊き後に暖房を必要とする時には、前記煮こぼれ受け7の取り付け部16と枠体1の上面板3の固定金具15との係合を外し、代って燃焼室24の燃焼室取り付け部26を前記固定金具15に係合して固定すれば、コンロ装置が暖房装置として使用できるようになる。
【0036】
28は前記燃焼室24の底部で前記バーナ天板11の位置決め部13と嵌合するように配置した燃焼室係合部であり、前記燃焼室24を前記バーナ天板11の上方に配置したときには、燃焼室係合部28がバーナ天板11の位置決め部13と嵌合するから、燃焼室24の中央とバーナ天板11の加熱ガス放出口12の中心が正確に位置合わせでき、この位置に保持したまま前記燃焼室取り付け部26と上面板3の固定金具15とが係合固定できるものである。
このため、燃焼室外壁24bは熱源から均等な位置となって全周均等加熱され、この高温となって赤熱した燃焼室外壁24bと前記放熱筒24cから熱線が放出できるようになり、優れた採暖効果が得られるようになった。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】この発明の実施例を示すコンロ装置を表す断面図である。
【図2】図1の実施例に示すコンロ装置の要部断面図である。
【図3】他の実施例のバーナを示す要部断面図である。
【図4】図1の実施例に示すコンロ装置を使う暖房機を表す断面図である。
【符号の説明】
【0038】
1 枠体
3 上面板
3a 上向き縁部
5 開口
6 バーナ
7 煮こぼれ受け
7b 内縁
7c 外縁
8 五徳
9 調理器具
10 筒状バーナ枠体
11 バーナ天板
12 加熱ガス放出口
13 位置決め部
13a 段部
14 係合部
15 固定金具
16 取り付け部
17 筒状バーナ体
17a 側壁面
18 燃焼空気供給孔
19 燃焼用送風手段
20 燃料供給手段
21 加熱盤
24 燃焼室
26 燃焼室取り付け部
28 燃焼室係合部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
扁平な枠体の上面板に開口を設け、その枠体内には燃焼ガスを上方に向けて吹出すバーナを備え、かつ、前記上面板の前記開口にはリング状に形成した煮こぼれ受けを配置し、その煮こぼれ受けの上に五徳を設け、その五徳に載架した調理器具で煮炊きするコンロ装置において、
前記バーナの外側方には筒状バーナ枠体を設け、その筒状バーナ枠体の上端には、中央部を高くして加熱ガス放出口を形成したリング状のバーナ天板を配置し、前記加熱ガス放出口が前記枠体の上面板よりも高所に位置する形態を成して、前記バーナの燃焼ガスを加熱ガス放出口から上昇させ、
前記煮こぼれ受けの内縁が、その煮こぼれ受けの最高所となって前記加熱ガス放出口の外側に位置し、前記煮こぼれ受けの外縁が前記上面板の開口側に形成した上向き縁部の外側に位置しており、
前記筒状バーナ枠体の上端に配置した前記バーナ天板の前記煮こぼれ受け側に位置決め部を形成し、その位置決め部に嵌合する係合部を前記煮こぼれ受けに形成し、かつ、前記上向き縁部周辺の上面板には固定金具を設け、前記煮こぼれ受けにはその固定金具との間で着脱する取り付け部を設け、前記煮こぼれ受けの内縁と前記加熱ガス放出口との間の嵌合間隔を、前記位置決め部と係合部とが嵌合して一定に維持しながら前記煮こぼれ受けが前記固定金具と取り付け部との間で着脱自在になっており、
前記コンロ装置の着脱自在を成した前記煮こぼれ受けに代えて、前記加熱ガス放出口の上方を覆う円筒状の燃焼室を配置すると共に、
その燃焼室には前記枠体の上面板に設けた固定金具と係合する燃焼室取り付け部を備え、取り外した前記煮こぼれ受けに代えて、その燃焼室取り付け部を前記固定金具に固定し、前記加熱ガス放出口から上昇する加熱ガスを前記燃焼室に誘導して、加熱する燃焼室からの放熱で採暖することを特徴とするコンロ装置を利用する暖房機。
【請求項2】
前記円筒状の燃焼室には前記リング状のバーナ天板に形成した前記位置決め部に嵌合する燃焼室係合部を備え、前記燃焼室の中心が前記加熱ガス放出口の中心と一致し、燃焼室の外壁が均一に赤熱することを特徴とする請求項1に記載のコンロ装置を利用する暖房機。
【請求項3】
前記筒状バーナ枠体内に配置した前記バーナは、有底状の筒状バーナ体と、その筒状バーナ体の側壁面の上部に集中して穿設した多数の燃焼空気供給孔と、その燃焼空気供給孔から燃焼空気を前記筒状バーナ体内に供給する燃焼用送風手段と、前記燃焼空気供給孔よりも下方の前記筒状バーナ体の側壁面からその筒状バーナ体内に燃料を供給する燃料供給手段と、前記燃焼空気供給孔の付近の前記筒状バーナ体内に配置した孔なしの皿状で前記加熱ガス放出口よりも大径の加熱盤とを備えていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のコンロ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−98025(P2012−98025A)
【公開日】平成24年5月24日(2012.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−3804(P2012−3804)
【出願日】平成24年1月12日(2012.1.12)
【分割の表示】特願2006−243940(P2006−243940)の分割
【原出願日】平成18年9月8日(2006.9.8)
【出願人】(000003229)株式会社トヨトミ (124)