説明

ゴルフクラブセット

【課題】 本発明はゴルフクラブセットに係り、打球の良好な方向性を確保しつつ、セット内でのスイングの安定化を図り、飛距離の向上を図ったゴルフクラブセットを提供することを目的とする。
【解決手段】 ロフト角14°〜28°の複数本のウッド型の中空ヘッドを備えたゴルフクラブを含むゴルフクラブセットに於て、ロフト角14°〜28°の前記ゴルフクラブのヘッドに形成されたフェースバルジのバルジ半径を、ヘッドのロフト角が増加するに従い大きくすると共に、ロフト角14°〜28°の前記ゴルフクラブのヘッドの慣性モーメントを略同一としたことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はゴルフクラブセットに係り、詳しくはセット中にロフト角14°〜28°のヘッドを有する複数本のウッド型のゴルフクラブを含むゴルフクラブセットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ゴルフクラブセットには、複数本のウッドクラブからなるウッドセット、複数本のアイアンクラブからなるアイアンセット、そして、これら両方のセットを合わせたフルセットがある。
【0003】
また、昨今、ウッドクラブとアイアンクラブの中間的なロフト角14°〜28°のウッド型の中空ヘッドを備えたユーティリティゴルフクラブが提案されている。このユーティリティゴルフクラブは、単品として市販されることは勿論、シャフト長やロフト角を変えた複数本のセットとして、更には、これらの複数本をセット内に組み込んだゴルフクラブセットも市販されている。
【0004】
ところで、従来、この種のゴルフクラブセットに於て、ウッド型のゴルフクラブのヘッドのフェースには、特許文献1に開示されるようにサイドスピンを利用して打球の方向を改善するフェースバルジ(以下、「バルジ」という)が設けられている。
【0005】
即ち、ウッド型のゴルフクラブは、ヘッドの重心からフェースに引いた垂線の交点であるスイートスポットよりもトゥ側でボールを打球すると、ヘッドは重心を中心に時計回りに回転するため、フェースで打球されたボールには、時計回りに回転するヘッドのギヤ効果によって反時計回りのフック回転のサイドスピンが生じる。
【0006】
また、スイートスポットよりもヒール側でボールを打球すると、ヘッドは重心を中心に反時計回りに回転するため、打球されるボールには、反時計回りに回転するヘッドのギヤ効果によって時計回りのスライス回転のサイドスピンが生じる。
【0007】
このため、ヘッドのフェースが平面であると、ボールは目標打球線方向と略平行に打ち出された後、ギヤ効果によるサイドスピンによって目標打球線方向に対し大きく左右にそれてしまう。
【0008】
しかし、図7に示すようにヘッド1のフェース3に、ヘッド1の前方に向かって滑らかな凸となる曲面形状のバルジが設けられていると、スイートスポットSSよりもトゥ側でボールBを打球した場合、ボールBはバルジによって目標打球線方向Xに対し振れ角θで右方向に打ち出された後、フック回転のサイドスピンSPによって目標打球線方向Xへ曲がり(図7中、打球線方向Y)、目標打球線方向Xに戻ることとなる。
【0009】
また、図示しないが、逆にスイートスポットよりもヒール側でボールを打球すると、ボールはバルジによって目標打球線方向に対し左方向に振れ角を以って打ち出された後、スライス回転のサイドスピンによって目標打球線方向へ曲がり、目標打球線方向に戻ることとなる。
【0010】
このようにバルジは、ヘッドのギヤ効果によって生ずるサイドスピンを利用して打球の方向性を改善している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2006−181212号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
ところで、従来、例えばロフト角14°〜28°のヘッドを有する複数本のウッド型のゴルフクラブは、フェースのバルジ半径が同一の曲率半径で形成されている場合が多い。
【0013】
このため、これらのゴルフクラブで、例えば図7の如くスイートスポットSSよりもトゥ側でボールBを打球すると、番手が下がってロフト角が大きくなるに従い、ボールBがフェース3に対し斜め衝突となって、ボールBにかかるバックスピンが増加していく。
【0014】
この結果、番手が上がるに従い、バックスピンがヘッドのギヤ効果によるサイドスピンに影響してボールの打球方向の修正が上手く行かなくなり、図7に示すようにボールBが目標打球線方向Xへ十分に曲がらずに打球線方向Zへ飛んでしまう不具合があった。
【0015】
また、一般に番手が下がるに従いヘッドの容量が小さくなり、ヘッドの慣性モーメントが小さくなってボールの打球時にヘッドが重心を中心に時計回り/反時計回りに回転し易くなる。
【0016】
このため、番手が下がるに従いボールが目標打球線方向へ十分に曲がらなくなることもあって、ゴルファーはボールが目標打球線方向へ飛ぶように、慣性モーメントが異なりクラブ全長が異なるこれらのゴルフクラブを番手毎にスイングを変えて(クラブコントロールを変えて)打球しているのが実情で、ゴルフクラブ間でスイングの安定が図れず、安定した打球が打ち難い欠点があった。
【0017】
更に、ロフト角14°〜28°を有するこれらの複数本のウッド型のゴルフクラブは、ヘッドのフェースに設けられたフェースロール(ヘッドの前方に向かってフェースが滑らかに凸となるヘッドの上下方向の曲面)のロール半径が同一の曲率半径で形成されている。
【0018】
すると、番手が下がってロフト角が大きくなるに従い、打球時にボールがフェースに沿って上方へ滑り、この結果、バックスピンのかかったボールが高く舞い上がって飛距離が伸びなくなる欠点も指摘されている。
【0019】
本発明は斯かる実情に鑑み案出されたもので、打球の良好な方向性を確保しつつ、セット内でのスイングの安定化を図り、飛距離の向上を図ったゴルフクラブセットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0020】
斯かる目的を達成するため、本発明は、ロフト角14°〜28°の複数本のウッド型の中空ヘッドを備えたゴルフクラブを含むゴルフクラブセットに於て、ロフト角14°〜28°の前記ゴルフクラブのヘッドに形成されたフェースバルジのバルジ半径を、ヘッドのロフト角が増加するに従い大きくすると共に、ロフト角14°〜28°の前記ゴルフクラブのヘッドの慣性モーメントを略同一としたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、ロフト角14°〜28°のゴルフクラブのヘッドに形成されたフェースバルジのバルジ半径を、ヘッドのロフト角が増加するに従い大きくしたことで、番手が下がるに従いフェース部のバルジ半径が大きくなってトゥ・ヒール方向の曲面がフラットな形状になる。
【0022】
このため、番手毎のバルジ半径が同一とされた従来に比し、番手が下がるに従い目標打球線方向に対する振れ角が順次小さくなって、ボールが目標打球線方向に近づいた打球線方向へ飛び、この後、少ないながらも生じるサイドスピンによってボールは目標打球線方向Xへ曲がり、目標打球線方向に戻ることとなる。
【0023】
このように、番手が下がるに従いフェース部のバルジ半径を大きくすることで、ロフト角が増加することによるサイドスピンの影響に沿ったバルジ半径となり、この結果、打点がトゥ・ヒール側にずれても方向性のよいゴルフクラブセットとなった。
【0024】
而も、ロフト角14°〜28°のゴルフクラブの総てのヘッドの慣性モーメントを略同一としたため、これらのクラブコントロールが異なることがない。
【0025】
従って、ゴルファーはこれらのゴルフクラブを番手毎にスイングを変えて打球する必要がなくなり、スイングの安定が図れる利点を有する。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の一実施形態に係るゴルフクラブセットに含まれる4本のユーティリティゴルフクラブのヘッドの側面図である。
【図2】図1に示すヘッドのバルジ半径やロール半径等の数値を示す説明図である。
【図3】図1に示すヘッドの断面図である。
【図4】ユーティリティゴルフクラブのヘッドの正面図である。
【図5】ユーティリティゴルフクラブのヘッドの側面図である。
【図6】図4のXI−XI線端面図である。
【図7】バルジによる打球の方向性を説明する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0028】
図1(a)、(b)、(c)、(d)は、夫々、図2に示すようにロフト角18°、21°、24°、27°を有する4本のユーティリティゴルフクラブU#18、U#21、U#24、U#27のヘッド5、7、9、11の側面図、図3(a)、(b)、(c)、(d)はユーティリティゴルフクラブU#18、U#21、U#24、U#27のヘッド5、7、9、11の断面図を示し、本実施形態に係るゴルフクラブセットは、これらの4本のユーティリティゴルフクラブU#18、U#21、U#24、U#27を始め、ロフト角14°〜28°の複数本のウッド型の中空ヘッドを備えたゴルフクラブを含むゴルフクラブセットである。
【0029】
図4乃至図6は図1(b)のユーティリティゴルフクラブU#21のヘッド7を示し、以下、ヘッド7を中心に本実施形態を説明するが、その他のヘッド5、9、11も当該ヘッド7と略同一の構成である。
【0030】
図4乃至図6に於て、13はフェース部15やソール部17、サイド部19がステンレス合金等で一体に鋳造されたヘッド本体で、ヘッド本体13の上部に形成された図示しない開口部に、別途製造されたクラウン部21が固着されてウッド型の中空外殻体構造のヘッド7が形成されている。尚、ヘッド本体のフェース部に開口部を形成し、当該開口部にフェース部材を固着してヘッドを構成してもよい。
【0031】
図6に示すようにヘッド本体13のヒール側内周には、サイド部19に沿って上下方向にシャフト止着孔23が貫通する筒状のシャフト止着部25が設けられており、図4に示すようにシャフト止着部25はヘッド本体15の上方へ突出してホーゼル部27を形成している。そして、ホーゼル部27のシャフト止着孔25からソール部17に亘り、樹脂製のソケット29を介して繊維強化樹脂製のシャフト31が挿着されている。
【0032】
図2はユーティリティゴルフクラブU#18、U#21、U#24、U#27のヘッド5、7、9、11の、
1.ロフト角(度)
2.バルジ半径(mm)
3.ロール半径(mm)
4.慣性モーメント(g・cm2
5.ヘッドの重量(g)
6.ヘッドの容積(cc)
7.重心高さ(mm)
の詳細を示している。
【0033】
(1)ロフト角とは、図5の如くシャフト軸線Sを基準としたフェース部15の上向きの角度αをいい、図2に示すように本実施形態は、従来と同様、ユーティリティゴルフクラブU#18からユーティリティゴルフクラブU#27へと番手が下がるに従い、ヘッド5、7、9、11のロフト角が大きく設定されている。
【0034】
(2)バルジ半径とは、図3(b)に示すようにヘッド7のフェース部15に形成されたバルジの曲率半径Rxをいい、図2に示すように本実施形態は、ユーティリティゴルフクラブU#18からユーティリティゴルフクラブU#27へと番手が下がるに従い、ヘッド5、7、9、11のフェース部33、15、35、37のバルジ半径を大きくしたことを特徴とする。
【0035】
従って、図3に示すようにヘッド5、7、9、11は、番手が下がるに従いフェース部33、15、35、37がトゥ・ヒール方向にフラットな形状となっている。
【0036】
(3)ロール半径とは、図1(b)に示すようにヘッド7のフェース部15に設けられたフェースロールの曲率半径Ryをいい、図2に示すように本実施形態は、ユーティリティゴルフクラブU#18からユーティリティゴルフクラブU#27へと番手が下がるに従い、ヘッド5、7、9、11のフェース部33、15、35、37のロール半径を大きくしたことを特徴とする。
【0037】
従って、図1に示すようにヘッド5、7、9、11は、番手が下がるに従いフェース部33、15、35、37が上下方向にフラットな形状となっている。
【0038】
(4)慣性モーメントとは、スイートスポットを外れてボールを打球した際に、どれだけ許容範囲が広いかを示す数値で、大きくて重い物体は慣性モーメントが大きいため回転し難く、小さくて軽い物体は慣性モーメントが小さいため回転し易い。
【0039】
ゴルフクラブでスイートスポットを外れてボールを打球すると、ヘッドの重心を通る垂直軸回りにヘッドを回転させようとする力が働く。このとき、慣性モーメントが大きいヘッドであればヘッドは回転し難いため回転は少しですみ、反対に慣性モーメントが小さいヘッドであればヘッドは回転し易いため大きく回転する。
【0040】
そして、従来、番手が下がるに従いヘッドの容量が小さくなり、ヘッドの慣性モーメントが小さくなっていた。そこで、図2に示すように本実施形態は、ユーティリティゴルフクラブU#18からユーティリティゴルフクラブU#27に亘ってヘッド5、7、9、11の慣性モーメントを略同一としたことを特徴とする。尚、本実施形態に於て「略同一」とは、図2に示すように±200または10%(g・cm2)の範囲を含む。
【0041】
而して、斯様にヘッド5、7、9、11の慣性モーメントを略同一とするため、本実施形態は、図3及び図6に示すようにヘッド5、7、9、11内に設けるウエイト部材W1〜W8の位置や重量、個数を代え、また、後述するようにヘッド5、7、9、11の容積を調整し、更にはホーゼル長の長さを調整してヘッド5、7、9、11の慣性モーメントを略同一としている。
【0042】
(5)重量とはヘッドの重量をいう。図2に示すように本実施形態は、ヘッド5の重量をヘッド7の重量(235g)に比し−2.5〜−8.5gとすると共に、ヘッド9の重量をヘッド7に比し+2.5〜+8.5gとし、更に、ヘッド11の重量をヘッド9に比し+2.5〜+8.5gとして、番手が下がるに従い重量を増加させている。
【0043】
この重量調整は、既述したようにヘッド5、7、9、11内に設けるウエイト部材W1〜W8の位置や重量、個数の調整、ホーゼル長の長さ調整等によって行われており、これらの重量調整がヘッド5、7、9、11の慣性モーメントを略同一とする一因となっている。
【0044】
(6)容積とはヘッドの容積をいう。ヘッドは大きさを表すのに複雑な形状で計算し難いため、水の体積が1cc=1mm3であることを利用してヘッドの大きさを表している。そして、図2に示すように本実施形態は、ヘッド5の容積をヘッド7の容積(126cc)に比し+3〜+5gとすると共に、ヘッド9の容積をヘッド7に比し−3〜−5gとし、更に、ヘッド11の容積をヘッド9に比し−3〜−5gとしている。
【0045】
(7)重量深さとは、図5に示すようにヘッド7の重心Gからフェース部15に引いた垂線の長さAをいい、図2に示すように本実施形態は、ユーティリティゴルフクラブU#18からユーティリティゴルフクラブU#27へと番手が下がるに従い、各ヘッド5、7、9、11の重量深さを小さくしている。
【0046】
そして、本実施形態は、更に、以下に記載する(8)〜(12)の特徴を有している。
【0047】
(8)ユーティリティゴルフクラブU#18からユーティリティゴルフクラブU#27へと番手が下がるに従い、ヘッド5、7、9、11のヘッド幅を小さくしている。
【0048】
ヘッド幅とは、図5に示すようにヘッド7のリーディングエッジEの最先端からヘッド7の最後端までの長さCをいう。
【0049】
(9)ユーティリティゴルフクラブU#18からユーティリティゴルフクラブU#27へと番手が下がるに従い、ヘッド5、7、9、11のヘッド長さを小さくしている。
【0050】
ヘッド長さとは、図4に示すようにヘッド7のトゥ・ヒール方向の長さDをいう。ヘッドのトゥ・ヒール方向の長さは、ライ角60°でフェースをスクェアに合わせて設置した状態で、トゥ側の起点をソール面から垂直に0.475インチに該当する箇所とし、ヒール側はソール面に垂直な面とぶつかる箇所として測る。
【0051】
(10)ユーティリティゴルフクラブU#18からユーティリティゴルフクラブU#27へと番手が下がるに従い、ヘッド5、7、9、11のフェースプログレッション(FP)を順次小さくしている。
【0052】
フェースプログレッションとは、図5に示すようにシャフト軸線Sに対するリーディングエッジEの突出量をいい、本実施形態は、ユーティリティゴルフクラブU#18からユーティリティゴルフクラブU#27へと番手が下がるに従い、ヘッド5、7、9、11のフェースプログレッションを小さくしている。
【0053】
(11)ユーティリティゴルフクラブU#18からユーティリティゴルフクラブU#27へと番手が下がるに従い、ヘッド5、7、9、11のホーゼル長を大きくしている。
【0054】
ホーゼル長とは、図4に示すようにシャフト軸線Sのソール部17との交点からホーゼル部27の先端までの長さFをいい、ホーゼル長の長さ調整によって、本実施形態の目的とするヘッド5、7、9、11の慣性モーメントの均一化が図り易い。
【0055】
(12)ユーティリティゴルフクラブU#18からユーティリティゴルフクラブU#27へと番手が下がるに従い、ヘッド5、7、9、11のフェース高さを大きくしている。
【0056】
フェース高さとは、図5に示すようにヘッド5のフェース部15中央のリーディングエッジEからトップエッジTまでの高さHをいう。
【0057】
本実施形態に係るユーティリティゴルフクラブU#18、U#21、U#24、U#27はこのように構成されており、これらのユーティリティゴルフクラブU#18、U#21、U#24、U#27を用いてボールBを打球すると、構造上、以下の如き作用効果[1]〜[9]を奏する。
【0058】
[1]例えば、図7に示すようにスイートスポットSSよりもヘッド5、7、9、11のトゥ側でボールBを打球したとき、既述したように番手が下がるに従いロフト角が大きくなってボールBにかかるバックスピンが増加し、このバックスピンがヘッド5、7、9、11のギヤ効果によるサイドスピンに影響する。
【0059】
しかし、本実施形態に係るユーティリティゴルフクラブU#18、U#21、U#24、U#27のヘッド5、7、9、11は、番手が下がるに従いフェース部33、15、35、37のバルジ半径が大きくなってトゥ・ヒール方向の曲面がフラットな形状になっている。
このため、番手毎のバルジ半径が同一とされた従来構造に比し、番手が下がるに従い、図7の如く目標打球線方向Xに対する振れ角θ1が順次小さくなって、ボールBが目標打球線方向Xに近づいた打球線方向Z1へ飛び、この後、少ないながらも生じるサイドスピンによってボールBは目標打球線方向Xへ曲がり、目標打球線方向Xに戻ることとなる。
【0060】
このように、番手が下がるに従いフェース部33、15、35、37のバルジ半径を大きくすることで、ロフト角が増加することによるサイドスピンの影響に沿ったバルジ半径となり、この結果、本実施形態によれば、打点がトゥ・ヒール側にずれても方向性のよいゴルフクラブセットとなった。
【0061】
[2]而も、番手が下がるに従いヘッド5、7、9、11の重量を重くし、更に、番手が下がるに従いホーゼル長を長くして総てのヘッド5、7、9、11の慣性モーメントを略同一としたため、ユーティリティゴルフクラブU#18、U#21、U#24、U#27のクラブコントロールが異なることがない。従って、ゴルファーはこれらのゴルフクラブを番手毎にスイングを変えて打球する必要がなくなり、ユーティリティゴルフクラブU#18、U#21、U#24、U#27によってボールBを同じスイングで打球することができ、スイングの安定が図れる利点を有する。
【0062】
[3]番手が下がるに従い、ヘッド5、7、9、11のフェース部33、15、35、37のロール半径を大きくしているため、ロフト角が増加することによる打球時のボールBの滑りが抑えられる。従って、本実施形態によれば、番手毎に所望のバックスピン量とすることができ、飛距離及び打出し角が安定したゴルフクラブセットとすることができる。
【0063】
[4]番手が下がるに従い、ヘッド5、7、9、11のヘッド幅を小さくしているため、低番手ほどヘッド5、7、9、11の重量深さが浅くなる。従って、本実施形態によれば、スイートスポットの上昇を抑え、セット全体で打球の方向性がよくなる利点を有する。
【0064】
[6]番手が下がるに従い、ヘッド5、7、9、11のヘッド長さを小さくしているため、低番手側のゴルフクラブの全長が短くなっても、高番手側と同じ大きさに見えることとなる(遠近効果)。従って、本実施形態によればスイングの安定化が図れ、慣性モーメントが略同一であることと相俟ってスイングの安定が図れ、打球の方向性をよくすることができる。
【0065】
[7]番手が下がるに従い、ヘッド5、7、9、11のフェースプログレッションを小さくしているため、従来に比し低番手になっても、飛球方向に対してヘッド軌跡の早い段階位置でボールBを打球し易くなり、総て番手で打球のタイミングが一致することとなる。従って、本実施形態によれば、従来に比しゴルフクラブセット全体のスイングの安定が図れ、打球の方向性がよくなる利点を有する。
【0066】
尚、本実施形態と異なり、番手が下がるに従い、ヘッド5、7、9、11のフェースプログレッションを大きくした場合には、トップラインのネック側の位置を番手間で近づけることができるため、番手毎のアドレスに違和感がなくなる利点を有する。
【0067】
[8]番手が下がるに従い、ホーゼル長を長くすることで、総てのヘッド5、7、9、11に亘って慣性モーメントの均一化が図れる。
【0068】
[9]番手が下がるに従いフェース高さを大きくしたため、意図した打球面での打球がし易くなる。そして、前記(3)の構成と相俟って、番手毎に所望のバックスピン量とすることができ、飛距離及び打出し角が安定したゴルフクラブセットとすることができる利点を有する。
【符号の説明】
【0069】
5、7、9、11 ヘッド
13 ヘッド本体
15、33、35、37 フェース部
17 ソール部
19 サイド部
21 クラウン
27 ホーゼル部
31 シャフト
A 重量深さ
B ボール
C ヘッド幅
D ヘッド長さ
E リーディングエッジ
F ホーゼル長
G 重心
H フェース高さ
T トップエッジ
BS バックスピン
FP フェースプログレッション
SP サイドスピン
SS スイートスポット
U#18、U#21、U#24、U#27 ユーティリティゴルフクラブ
α ロフト角
θ1 振れ角


【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロフト角14°〜28°の複数本のウッド型の中空ヘッドを備えたゴルフクラブを含むゴルフクラブセットに於て、
ロフト角14°〜28°の前記ゴルフクラブのヘッドに形成されたフェースバルジのバルジ半径を、ヘッドのロフト角が増加するに従い大きくすると共に、ロフト角14°〜28°の前記ゴルフクラブのヘッドの慣性モーメントを略同一としたことを特徴とするゴルフクラブセット。
【請求項2】
ロフト角14°〜28°の前記ゴルフクラブのヘッドに形成されたフェースロールのロール半径を、ヘッドのロフト角が増加するに従い大きくしたことを特徴とする請求項1に記載のゴルフクラブセット。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−200324(P2012−200324A)
【公開日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−65660(P2011−65660)
【出願日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【出願人】(000002495)グローブライド株式会社 (1,394)
【Fターム(参考)】