説明

ゴルフクラブ

【課題】地面との接触抵抗を小さくして振り抜き易く、低重心化が図れるゴルフクラブを提供する。
【解決手段】本発明のゴルフクラブは、少なくともフェース部、クラウン部、ソール部10を備えた中空構造のヘッド本体7Aを有する。ソール部10は、規定のロフト角及びライ角を設定する水平面上にソール部を載置した状態において、水平面に接する第1ソール部20と、第1ソール部とトウ側及びヒール側で隣接し、水平面から離間する第2ソール部21及び第3ソール部22と、を有する。また、第1ソール部20は、ソール面視において、フェース部側に頂部20aを有するとともに、頂部からバック側が幅広となるように形成されており、第2ソール部21及び第3ソール部22は、フェース面視において、頂部20aからトウ側及びヒール側に上方傾斜している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、中空構造のヘッドを有するゴルフクラブに関する。
【背景技術】
【0002】
上記したようなタイプのゴルフクラブとして、いわゆるウッド型タイプのものが知られており、このようなゴルフクラブは、ティーアップしたボールを打球する以外にフェアウェイなどで使用されることがある。このため、スイングしてインパクトが成される前後において地面との関係で振り抜き易くなっていることが重要となり、ヘッドのソール面を山状に下方に向けて突出させた(ソール面にキールを形成した)ゴルフクラブが知られている。すなわち、ソール面に、前後方向に延出するキールを形成することで、地面との接触面積が減り、振り抜き易いゴルフクラブになると考えられている。また、そのようなキールを形成するに際して、例えば、特許文献1には、スイング中に地面と接触が開始される部分で抵抗が軽減できるように、キール前面に傾斜面(テーパ)を形成した構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開昭61−164574号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の特許文献1に開示されているように、キールの前面に傾斜面を形成することで、ダウンスイングして地面に接触する際の抵抗軽減は図れるものの、前後に延びたキールは地面に入り込み易いという問題がある。そして、キールが地面に入り込むと、ソールの大部分が地面と接触するため抵抗が大きくなってしまう。また、キールを形成することで、その両側にある広いソール面の位置が高くなり、結果として重心位置が高くなり易く、打球効率、及び飛距離が低下し易くなる。
【0005】
本発明は、上記した問題に基づいてなされたものであり、地面との接触抵抗を小さくして振り抜き易く、低重心化が図れるゴルフクラブを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記した目的を達成するために、本発明は、少なくともフェース部、クラウン部、ソール部を備えた中空構造のヘッド本体を有するゴルフクラブであって、前記ソール部は、規定のロフト角及びライ角を設定する水平面上にソール部を載置した状態において、前記水平面に接する第1ソール部と、第1ソール部とトウ側及びヒール側で隣接し、前記水平面から離間する第2ソール部及び第3ソール部と、を有し、前記第1ソール部は、ソール面視において、フェース部側に頂部を有するとともに、前記頂部からバック側が幅広となるように形成されており、前記第2ソール部及び第3ソール部は、フェース面視において、前記頂部からトウ側及びヒール側に上方傾斜していることを特徴とする。
【0007】
上記した構成によれば、ソール部に形成される第1ソール部は、ソール面視において、フェース部側に頂部を有するとともに、前記頂部からバック側が幅広となるように形成さていることから、ヘッド本体が地面に沿って移動する際に、第1ソール部が地面に入り込み難くなって、振り抜き易いゴルフクラブとなる。また、その両サイドに存在する第2ソール部及び第3ソール部が、フェース面視において、前記頂部からトウ側及びヒール側に上方傾斜しているため、ソール部が地面に沿って滑る際に接触する部分が減り、振り抜き易くなる。さらに、第1ソール部はキール状に突出しておらず、頂部からバック側が幅広に形成されていることから、その分、低重心化が図れるようになり、フェース部でボールを捉えやすく、打球効率の向上、及び飛距離の向上が図れるようになる。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、地面との接触抵抗を小さくして振り抜き易く、低重心化が図れるゴルフクラブが得られる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明に係るゴルフクラブの一実施形態を示す図であり、ゴルフクラブの正面図。
【図2】図1に示すゴルフクラブにおいて、ヘッド部分を示す正面図。
【図3】図1に示すゴルフクラブにおいて、ヘッド部分をソール側から見た裏面図。
【図4】図2のA−A線に沿った断面図。
【図5】図3のB−B線に沿った断面図。
【図6】ヘッド構造の第1の変形例を示す図。
【図7】図6における第1ソール部と、第2ソール部との段差を拡大して示す図。
【図8】ヘッド構造の第2の変形例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明に係るゴルフクラブの実施形態について説明する。
図1から図5は、本発明に係るゴルフクラブの一実施形態を示す図であり、図1は正面図、図2は図1に示すゴルフクラブにおいて、ヘッド部分を示す正面図、図3は図1に示すゴルフクラブにおいて、ヘッド部分をソール側から見た裏面図、図4は図2のA−A線に沿った断面図、そして、図5は図3のB−B線に沿った断面図である。
【0011】
本実施形態のゴルフクラブ1は、いわゆるフェアウェイウッドと称されるウッド型タイプであり、金属やFRPで構成されたシャフト5の先端にヘッド7を止着して構成されている。前記シャフト5とヘッド7は、基準となる水平面(接地面)Pに対して構えた際、シャフトの軸線Xと水平面Pが規定のライ角α(55°〜60°)となり、かつ、フェース面が水平面Pに対して規定のロフト角βとなるように構成されている。
【0012】
前記ヘッド7を構成するヘッド本体7Aは中空構造の金属製であり、フェース部8、クラウン部9、ソール部10を有し、さらには、トウ部12、ヒール部13、及びバック部14を具備したサイド部を有し、これらの部材で外殻を構成し、この外殻内に内部空間が形成された構造となっている。
【0013】
前記フェース部8は、打球が成されるフェース面8Aを有し、前記クラウン部9は、フェース部8の上縁(トップエッジ)8aから後方に延出し、前記ソール部10は、フェース部8の下縁(リーディングエッジ)8bから後方に延出している。また、前記トウ部12は、フェース部8のトウ側縁8cからバック側に延出し、前記ヒール部13は、フェース部8のヒール側縁8dからバック側に延在している。そして、トウ部12及びヒール部13は、後方に移行するに従ってバック部14で連結されて、これらがサイド部を構成している。なお、上記したクラウン部とソール部が湾曲面で連結されることで、サイド部が明確に把握できないようなヘッド構造であっても良い。すなわち、ヘッド構造については、フェース部、クラウン部、ソール部を備えていれば良く、それ以外の形態については、特に限定されることはない。
【0014】
前記フェース部8のフェース面8Aには、実際に打球が成されるフェース部材8Bが設けられている。この場合、フェース部材8Bは、板状に形成されており、フェース部8に形成された開口8fに嵌合されている。なお、フェース部材は、前記クラウン部9、ソール部10及び前記トウ部12、ヒール部13の前方側の開口を閉塞する板状の部材で形成されていても良いし(フェース部全体がフェース部材で構成される)、いわゆるカップ状に形成されて、クラウン部9、ソール部10及びトウ部12、ヒール部13の一部を構成していても良い。
【0015】
前記ヘッド本体7Aは、フェース部8に設けられるフェース部材8B以外については、例えば、チタン系合金、鉄系合金等を鋳造することで一体形成される。或いは、ヘッド本体7Aを構成する各部材(フェース部、クラウン部、ソール部、サイド部;外殻部材)を個別に形成しておき、夫々を溶着、接着等によって固定しても良い。
【0016】
前記フェース部8に設けられるフェース部材8Bは、例えば、チタン系合金、鉄系合金等を板状となるように、プレス加工、或いは鍛造等することで一体形成することが好ましく、そのように形成されたフェース部材8Bは、フェース部8の開口8fに、接着、溶着、Brazing(ろう付け)等によって止着される。なお、前記フェース部8については、別部材となるフェース部材8Bを止着するのではなく、前記ヘッド本体7Aと共に一体形成されていても良い。
【0017】
また、ヘッド本体7A内には、前記シャフト5の先端を止着するシャフト止着部15が一体形成されている。この場合、シャフト5は、クラウン部9に突出形成されるソケット9aの開口孔9bを介してシャフト先端部を差し込むことで、シャフト止着部15に止着される。
【0018】
前記ヘッド本体7Aを構成するソール部10は、ゴルフクラブ1を水平面Pに対して規定のロフト角及びライ角で構えて載置した状態(図1参照)で、水平面Pに接する第1ソール部20と、第1ソール部20とトウ側及びヒール側で隣接し、水平面Pから離間する第2ソール部21及び第3ソール部22と、を有している。
【0019】
前記第1ソール部20は、ソール面視(ソール側を水平面Pに対して直交する方向から見た状態)において、フェース部8側に頂部20aを有しており、この頂部20aからバック側が幅広となるように形成されている。この場合、頂部20aは、第1ソール部20を規定する面の前端に存在しており、図3に示すように、多少の幅wを有するように形成され、それよりもバック側が幅広(バック側が幅wよりも幅が広くなる)となるように形成されている。すなわち、本実施形態の第1ソール部20は、頂部20aの幅wの両縁20b,20cから、バック側に向けて次第に幅広となるように所定の角度θ1で広がっており、これにより、次第に広がる稜線20d、20eで規定される拡張領域20Aを備えた構成となっている。
【0020】
前記頂部20aについては、あまり広くし過ぎると、打球時に当接する範囲が広くなるため、その幅については、5mm以下にすることが好ましい。このため、頂部20aは、点状(頂点)となるように構成されていても良い。また、その頂部(頂点)の位置については、プレーヤが打球する際、フェース部8のフェースセンターCをターゲットにすることから、フェース部8のフェースセンターCの位置と略一致(後述する垂線Lからトウ側及びヒール側に5mm以内の範囲でずれていても良い)することが好ましい。
なお、上記したフェースセンターCの位置は、ヘッド本体7Aを水平面Pに対して規定のライ角でセットした状態でフェース部を把握した際の、トウ・ヒール方向において最大となる幅(最大幅W)を特定し、特定された最大幅Wの中間点において、水平面Pに対して垂線Lを引き、前記トップエッジ8a、及びリーディングエッジ8bと交差する点をそれぞれ8a´,8b´としたとき、この両点を結ぶ線分の中点で定義される。
【0021】
また、前記次第に広がる稜線20d、20eの角度θ1については、小さ過ぎると、第1ソール部20が地面に入り込み易くなって抵抗となる傾向があり、逆に大き過ぎても、その稜線部分が抵抗になり易いことから、5°〜20°の範囲、更には、10°〜30°の範囲で設定しておくことが好ましい。
【0022】
前記第2ソール部21及び第3ソール部22は、前記拡張領域20Aに隣接するように形成されており、ヘッド本体7Aをフェース面視した際、前記頂部20aからトウ側及びヒール側に上方傾斜するように形成されている(図2参照)。すなわち、第2ソール部21及び第3ソール部22は、ヘッド本体7Aをフェース面視した際、頂部20aからトウ側及びソール側に向けて、傾斜角度θ2及びθ3で次第に水平面から離間するように上昇傾斜されている。この場合、それぞれの傾斜角度θ2及びθ3については、小さ過ぎると、地面と接触する面積が多くなって抵抗になり易く、大き過ぎると、重心が高くなるため、それぞれ10°〜20°の範囲になっていることが好ましい。また、第2ソール部21及び第3ソール部22は、平坦面であっても良いし、正面視した際に、下方が膨出する湾曲面であっても良い。ただし、湾曲面とする場合、曲率半径が小さくなると、上記したように高重心化する傾向となるため、R700以上、好ましくはR1000とするのが良い。なお、第2ソール部21及び第3ソール部22を湾曲面とした場合、前記傾斜角度θ2、及びθ3については、正面視した際の各ソール部21,22における中央接線で定義される。
【0023】
また、上記したソール部10とフェース部8との間、具体的には、前記頂部20aとフェース部8の下縁(リーディングエッジ8b)との間には、傾斜面25を形成しておくことが好ましい。このような傾斜面25は、少なくとも頂部20aの近傍に形成されていれば良いが、図3に示すように、リーディングエッジ8bに沿うように、トウ・ヒール方向に亘って形成しておくことが好ましい。
【0024】
このように傾斜面25を形成しておくことで、ボールを打球する際、フェース部をボールの下に入れ易くなり、ボールを確実にミートすることが可能となる。また、ソール部の前端のエッジ部分が地面に入り込むことが防止され(抵抗が大きくなることはない)、振り抜き易いゴルフクラブにすることが可能となる。
【0025】
前記第1ソール部20については、全体が平坦面として構成されていても良いし、全体として、多少湾曲した湾曲面で構成されていても良い。具体的には、トウ・ヒール方向に沿って多少湾曲形成(R700、好ましくはR1000以上)されていても良いし、フェース・バック方向に沿って多少湾曲形成(R700、好ましくはR1000以上)されていても良い。また、第1ソール部20のバック側の長さについては、少なくとも重心Gの後方側まで延出しているのが好ましい。すなわち、第1ソール部20が重心Gの手前で終端していると、打球する直前で重心Gまわりにヘッド後方が下方向に移動し易くなって、ロフト角が大きく増加しながら打球する可能性があり、飛距離が低下してしまうからである。また、第1ソール部20のバック側を重心Gの後方側まで延出することで、低重心化を図ることが可能となる。
また、バック側の長さについては、ヘッド幅のフェース側から1/3以上、好ましくは1/2以上あれば良い。第1ソール部により、打球時のヘッドが下方へ沈み込むことが防止でき、スピン量の増加を抑制し、安定した飛距離が得られる。
【0026】
なお、第1ソール部20がフェース・バック方向に沿って湾曲する湾曲面であれば、その後方領域が、バック側に向けて上昇するように形成されていることが好ましい。具体的には、ヘッド本体7Aの重心Gよりも、後方側が次第に上昇するように湾曲形成されていることが好ましい。このように湾曲形成しておくことで、ボールを打球した後、ソール部10のバック側が地面に当接することを防止でき、振り抜き易いヘッドとすることが可能となる。
【0027】
また、ソール部10には、第1ソール部20に隣接したバック側に第4ソール部27を形成しておくことが好ましい。このような第4ソール部27は、前記第1ソール部20との間で、稜線20fによって区画されており、さらには、前記第2ソール部21、第3ソール部22との間で、稜線21g、22gによって区画されている。
【0028】
このような第4ソール部27については、図4に示すように、バック側に向けて水平面Pから離間するように傾斜する(傾斜角θ4)とともに、その傾斜する領域については、重心Gよりもバック側となるように形成しておくことが好ましい。
【0029】
このような第4ソール部27を形成しておくことで、ボールを打球した後、ソール部10のバック側が地面に当接することを防止でき、振り抜き易いヘッドとすることが可能となる。なお、このような第4ソール部27の傾斜角θ4については、大き過ぎると高重心化してしまい、小さ過ぎると、地面と接触する傾向となるため、5°〜15°程度にしておくことが好ましい。また、第4ソール部27は、平坦面で形成されていても良いし、湾曲面で形成されていても良い。
【0030】
以上のように構成されるヘッド本体7Aを装着したゴルフクラブによれば、ソール部10に形成された第1ソール部20が、ソール面視において、フェース部側に頂部20aを有しており、かつ、その頂部20aからバック側が幅広となって拡張領域20Aを形成しているため、スイング時にヘッド本体が地面に沿って移動する際に、ソール部が地面に入り込み難くなり、抜け易いゴルフクラブとなる。すなわち、従来のように、前後方向にキール状に延出する構造ではないため、ヘッドは第1ソール部20に沿って滑り易くなり、第1ソール部20が入り込むことによるソール部全体の接触面積が増大することが防止される。また、第1ソール部20は、頂部からバック側が幅広に形成されていることから、その分、低重心化が図れるようになり、フェース部でボールを捉えやすく、打球効率の向上、及び飛距離の向上が図れるようになる。さらに、ソール面全体を接地させる構造ではなく、上記したような第1ソール部20を接地させることから、振り抜き易いゴルフクラブとなる。
【0031】
また、上記した第2ソール部21、第3ソール部22が、それぞれトウ側、及びヒール側に上昇傾斜しており、水平面Pから離間することから、地面に沿ってソール部が滑った際、地面と接触することがなくなって振り抜き易くなり、また、ボールが傾斜面に止まっていても、そのような傾斜面に合わせて構え易く、ミートし易いゴルフクラブとなる。
【0032】
さらに、ボールを打ち込む際、上記した傾斜面25により、フェース部をボールの下側に入れ易くなり、かつミートした後は、前記第4ソール部27によって、ソール部10のバック側が地面に当接することが防止されるため、振り抜き易くなる。しかも、打球した後のヘッド本体7Aの挙動がボールを打ち上げる方向に回転することができるため、比較的、高弾道の球筋が得やすくなる。すなわち、ボールをフェースセンターCで捉え易いと共に、振り抜き易く、高い球筋の打球を容易に打てるゴルフクラブとすることが可能となる。
【0033】
図6は、上記した実施形態のヘッド構造の変形例を示す図である。なお、この図では、図3のB−B線に沿った位置での断面構造を示している。
上記した実施形態では、図5に示すように、第1ソール部20と、第2ソール部21及び第3ソール部22とは、略同一の肉厚を有するように形成されていたが、第1ソール部20を、第2ソール部21及び第3ソール部22と比較して厚肉に形成しても良い。
【0034】
このため、図7に示すように、両者(第1ソール部20と第2ソール21との間のみを図示する)の間には、段差20Dが形成されることとなる。具体的には、第1ソール部20の肉厚をT、第2ソール部(第3ソール部)の肉厚をT1としたとき、肉厚Tは、肉厚T1に対して、略2倍程度(±1mm程度の差があっても良い)の厚さとなるように形成されている。
【0035】
このように構成することで、第1ソール部20以外のソール部を水平面Pから確実に離間させることができ、ソール面が地面に沿って滑る際、抵抗を確実に減らして振り抜き易いゴルフクラブにすることが可能となる。また、第1ソール部20を肉厚にすることにより、より低重心化を図ることが可能となる。なお、第1ソール部20と、第2ソール部21及び第3ソール部22との間の段差20Dの面20D´は、第1ソール部から、第2ソール部及び第3ソール部が確実に離間するように、水平面Pに対して20°〜90°程度傾いていれば良く、好ましくは45°程度となっていれば良い。また、その段差20Dの面20D´は、平坦な面であっても良いが、ソールに肉厚変化部位への応力の集中が防止できることから、図7に示すように、R面で構成しておくことが好ましい。
【0036】
図8は、上記した実施形態のヘッド構造の別の変形例を示す図である。なお、この図は、図3と同様、ヘッド本体をソール部側から見た図である。
この変形例では、第1ソール部20における拡張領域20A´を、比較的フェース部側に形成しておき、その拡張領域20A´の後端位置からバック側に、略同一幅となる同一幅領域20Bを形成している。このため、拡張領域20A´を規定する稜線20d´、20e´の後端位置から、バック側に向けて略平行に延出する稜線20m、20nが形成されており、その稜線20m、20nによって同一幅領域20Bが形成されている。
【0037】
このような第1ソール部20の形状によれば、同一幅領域20Bが打球方向(フェース・バック方向)に沿って延出しているため、狙いの飛球方向へヘッド本体7Aを案内し易くすることができ、方向性を向上することが可能となる。すなわち、同一幅領域20Bを規定する稜線20m、20nが打球時のスイングプレーン方向に沿うことから、方向性の向上が図れるようになる。
【0038】
以上、本発明に係るゴルフクラブの実施形態について説明したが、本発明のゴルフクラブに設けられるヘッド本体は、少なくともクラウン部、ソール部、フェース部を備えていれば良く、上記したタイプのゴルフクラブ以外にも、中空構造のアイアンに適用することが可能である。また、ソール部10に形成される第1ソール部20については、ソール面視において、頂部(頂点)20aが存在しており、その頂部(頂点)からバック側の領域において、幅広となる領域(バック側に移行した際に頂点に対して幅広となる拡張領域)が形成されていれば、第1ソール部10の形状、第2ソール部から第4ソール部の形状や表面状態については、特に限定されることはない。このため、各ソール部については、複数の稜線を備えていても良い。また、上記した稜線20d、20eや、稜線20m、20nについては、直線状に構成されているが、段階的に広がるような形状、湾曲状に広がるような形状であっても良い。
【符号の説明】
【0039】
1 ゴルフクラブ
7 シャフト
7 ヘッド
7A ヘッド本体
8 フェース部
9 クラウン部
10 ソール部
20 第1ソール部
20a 頂部
21 第2ソール部
22 第3ソール部
25 傾斜面
27 第4ソール部
C フェースセンター
P 水平面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくともフェース部、クラウン部、ソール部を備えた中空構造のヘッド本体を有するゴルフクラブであって、
前記ソール部は、規定のロフト角及びライ角を設定する水平面上にソール部を載置した状態において、前記水平面に接する第1ソール部と、第1ソール部とトウ側及びヒール側で隣接し、前記水平面から離間する第2ソール部及び第3ソール部と、を有し、
前記第1ソール部は、ソール面視において、フェース部側に頂部を有するとともに、前記頂部からバック側が幅広となるように形成されており、
前記第2ソール部及び第3ソール部は、フェース面視において、前記頂部からトウ側及びヒール側に上方傾斜していることを特徴とするゴルフクラブ。
【請求項2】
前記頂部とフェース部下縁との間に傾斜面を形成したことを特徴とする請求項1に記載のゴルフクラブ。
【請求項3】
前記第1ソール部は、ソール面視において、頂部からバック側に移行するに連れて次第に幅広となる拡張領域を有しており、前記第2ソール部と第3ソール部は、前記拡張領域に隣接していることを特徴とする請求項1又は2に記載のゴルフクラブ。
【請求項4】
前記第1ソール部は、ソール面視において、前記拡張領域の後端位置からバック側に、略同一幅となる同一幅領域を有することを特徴とする請求項3に記載のゴルフクラブ。
【請求項5】
前記第1ソール部の後方領域は、バック側に向けて上昇することを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載のゴルフクラブ。
【請求項6】
前記ソール部は、前記第1ソール部に隣接したバック側に第4ソール部を備え、
前記第4ソール部は、バック側に向けて水平面から離間するように傾斜するとともに、その傾斜する領域は、重心位置よりもバック側に形成されていることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載のゴルフクラブ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−179085(P2012−179085A)
【公開日】平成24年9月20日(2012.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−42244(P2011−42244)
【出願日】平成23年2月28日(2011.2.28)
【出願人】(000002495)グローブライド株式会社 (1,394)
【Fターム(参考)】