ゴルフ・クラブ・ヘッド
【課題】性能及び耐久性を高めるフェース板支持部を有するゴルフ・クラブ・ヘッドを提供すること。
【解決手段】ゴルフ・クラブ・ヘッドが、クラウン、ソール、トウ端、ヒール端、及び前方壁を有する本体を備えている。前方壁は前部開口を画定し、その周りにフェース板支持部が配置されている。フェース板支持部はフェース板を受け、それによって本体の前部開口を密閉している。フェース板支持部は、トップ、トウ端、及びヒール端に近接する部分を含み、それぞれの部分は、前方壁から後方に延びる周辺部材と、周辺部材から前部開口に対して内向きに延びる後方部材とを含んでいる。フェース板支持部は、クラブ・ヘッドの性能を最適化してゴルファがより大きな飛距離とコントロールを実現するのを助けるために、好ましいフェース構造要素と重量要素の組合せが可能である。
【解決手段】ゴルフ・クラブ・ヘッドが、クラウン、ソール、トウ端、ヒール端、及び前方壁を有する本体を備えている。前方壁は前部開口を画定し、その周りにフェース板支持部が配置されている。フェース板支持部はフェース板を受け、それによって本体の前部開口を密閉している。フェース板支持部は、トップ、トウ端、及びヒール端に近接する部分を含み、それぞれの部分は、前方壁から後方に延びる周辺部材と、周辺部材から前部開口に対して内向きに延びる後方部材とを含んでいる。フェース板支持部は、クラブ・ヘッドの性能を最適化してゴルファがより大きな飛距離とコントロールを実現するのを助けるために、好ましいフェース構造要素と重量要素の組合せが可能である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概ねゴルフ・クラブに関し、さらに詳細には、改良されたフェース板支持部を有するゴルフ・クラブ・ヘッドに関する。
【背景技術】
【0002】
ゴルフ・クラブ・ヘッドを設計するときには数多くの要素を考慮しなければならない。1つの要素はクラブ・ヘッド周りの質量分布であり、それは、慣性モーメント(MOI)の大きさ及び重心(CG)の位置などのパラメータによって数量化されるのが典型である。クラブ・ヘッド重心周りのクラブ・ヘッドの回転慣性モーメントは、その重心周りの回転に対するクラブ・ヘッドの抵抗の尺度であり、クラブ・ヘッド内部の重心周りの質量分布に関連する。クラブ・ヘッドは、重心周りに大きい慣性モーメントを有すること、特に、心を外れた打撃に対する許容度を高めることが望ましい。重心周りの大きな慣性モーメントを実現するために、設計者は、質量をゴルフ・クラブ・ヘッドの周辺部及びフェース板の後方に位置決めするのが典型である。さらには、クラブ・ヘッドの重心は、ゴルフ・ボールとの衝突時に望ましい打ち上げ角を実現するために、フェース板から離隔した規定位置に配置される。従って、ウッド型クラブ・ヘッド(即ち、フェアウエー用ウッド及びドライバ)では、典型的には大きな内部容積が望ましい。
【0003】
クラブ・ヘッド設計上の別の要素は、クラブ・ヘッドのフェース板である。ゴルフ・ボールとの衝突時に、クラブ・ヘッドのフェース板は撓みかつ跳ね返るが、それによって打ち出されたゴルフ・ボールにエネルギーを与える。クラブ・ヘッドの反発係数(COR)は、衝突後のボール速度と衝突後のクラブ速度と衝突前のクラブ速度との間の差の比率である。薄いフェース板は、厚いフェース板よりも多く撓むことになるのが一般である。従って、薄く、柔軟なフェース板を有する適切に作製されたクラブは、厚く、剛性のフェース板を有するクラブよりもゴルフ・ボールに大きな初期速度を与え得る。重心周りの慣性モーメントを極大化しかつ大きな反発係数を実現するために、典型的には薄い壁及び薄いフェース板をクラブ・ヘッドの設計に組み込むことが望ましい。薄い壁は、望ましい質量分布を実現するためにクラブ・ヘッド質量を分散させる際に設計者に追加的な余地を与え、薄いフェース板は大きな反発係数を与え得る。
【0004】
従って、薄い壁はクラブの性能にとって重要である。しかし、過剰に薄い壁は、クラブ・ヘッドの耐久性に悪影響を及ぼす恐れがある。また問題は、ゴルフ・ボールとの衝突時に、クラブ・ヘッド全体に、特に、フェース板と他のクラブ・ヘッド構成要素(例えば、ソール、スカート、及びクラウン)との接合部などの、クラブ・ヘッド構成要素の接合部に分布する応力からも生じる。1つの従来の方策は、反復衝突に耐えるために、フェース板周りに、溶接のような強化周辺部を設けることであった。衝突時の応力に抗する別の方策は、フェース板の内部表面を横切って、実質的にクラウンからソールまで垂直に延びる1つ以上のリブ、ある場合には、トウからヒールまで水平に延びる、1つ以上のリブを使用することである。これらの方策は、クラブの性能特徴に悪影響を及ぼすきらいがあり、例えば、スイート・スポットの大きさを減少させたり、及び/又はクラブ・ヘッドの質量分布とフェース構造の両方における設計上の融通性を阻害したりする。従って、これらのクラブ・ヘッドには、最適慣性モーメント、重心、及び/又は反発係数パラメータは備わらず、その結果、名人級以外のすべてのゴルファには、心外れ打撃に対して大きな許容度を与えることはない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従って、性能及び耐久性を高めるフェース板支持部を有するゴルフ・クラブ・ヘッドに対する要求が存在することが理解されるはずである。本発明は、このような要求及び他の要求に応えるものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
簡単にかつ一般的に言えば、本発明は、向上した耐久性及び性能特徴を有するゴルフ・クラブ・ヘッドを提供する。このクラブ・ヘッドは、フェース板と、このフェース板を受け入れるためのフェース板支持部を有する本体とを含む。本体は、クラウン、トウ端及びヒール端、ソール、並びに前方壁を含む。前方壁は前部開口を画定し、その周りにフェース板支持部が配置されている。フェース板支持部はフェース板を受け、それによって本体の前部開口を密閉する。
【0007】
さらに詳細には、また例示として、フェース板支持部は、クラブ・ヘッドの耐久性及び性能を高めるように構成される。フェース板支持部は、クラウン、トウ端、及びヒール端に近接する部分を含む。これらフェース板支持部のそれぞれの部分は、前方壁から後方に延びる周辺部材と、この周辺部材から前部開口に対して内向きに延びる後方部材とを含む。フェース板支持部はまた、本体のソールに近接する部分も含み得る。フェース板支持部は、フェース板の周辺部周りであっても反発係数の増大に寄与し、他方では耐久性のある支持部となる。従って、フェース板は性能に重点を置いて設計可能である。例えば、フェース板は、別様に可能であるよりも大きなフェース領域全体にわたって最大反発係数を与える多様なフェース厚さを有するように構成可能である。フェース板は複合材料から作製されることが好ましいが、或は軽量金属フェース板をクラブ・ヘッドの金属本体に装着することもできる。さらには、典型的な1つの実施例では、フェース板支持部の周辺部材と後方部材の接合部が、約1.5mmと2mmの間の最大厚さを有する。
【0008】
本発明と従来技術に対して実現した利点とに関する概要を示すために、以上に本発明の幾つかの利点を説明した。当然のことであるが、このような利点はすべて、本発明の特定の実施例によっていずれも実現可能である。従って、例えば、本発明は、必ずしも本明細書で教示されかつ示唆され得る他の利点を実現しなくても、本明細書で教示された1つの利点又は1群の複数の利点を実現するか又は最適化する態様で実施又は実行可能であることを当業者は理解しよう。
【0009】
これらの実施例のすべては、本明細書で開示されている本発明の範囲内であることが意図されている。本発明のこれらの及び他の実施例は、添付図を参照する好ましい実施例の以下の詳細な説明から当業者には直ちに明白になろう。本発明は、開示されている特定の実施例のいずれにも限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明に係るゴルフ・クラブ・ヘッドの第1の実施例を示す下部斜視図であり、本体及びフェース板を示す。
【図2】図1のゴルフ・クラブ・ヘッドのトウ側を示す立面図である。
【図3】図2の線I−Iに沿って取った断面図であり、フェース板を取り外したクラブ・ヘッドを示す。
【図4】図1のクラブ・ヘッドの本体を示す前部立面図であり、本体の前部開口周りの引っ込んだフェース板支持部を示す。
【図5】図4の線II−IIに沿って取った部分断面図である。
【図5A】図5の部分Aにおける詳細図であり、クラブ・ヘッドのクラウンに隣接するフェース板支持部の一部を示す。
【図5B】図5の部分Bにおける詳細図であり、クラブ・ヘッドのソールに隣接するフェース板支持部の一部を示す。
【図6】図4の線III−IIIに沿って取った部分断面図である。
【図6A】図6の部分Aにおける詳細図であり、クラブ・ヘッドのトウ端に隣接するフェース板支持部の一部を示す。
【図6B】図6の部分Bにおける詳細図であり、クラブ・ヘッドのヒール端に隣接するフェース板支持部の一部を示す。
【図7】本発明に係るゴルフ・クラブ・ヘッド用本体の第2の実施例を示す前部立面図であり、本体の前部開口周りに複数の耳部を有するフェース板支持部を示す。
【図8】図7の線IV−IVに沿って取った断面図である。
【図9】本発明に係るクラブ・ヘッドの第3の実施例を示すトウ側の立面図である。
【図10】図9のクラブ・ヘッドの本体を示す部分断面図であり、本体の前部開口周りの引き込んだフェース板支持部を示す。
【図10A】図10の部分Aにおける断面図であり、クラブ・ヘッドのソールに隣接するフェース板支持部の一部を示す。
【図11】図5Aと同様の断面図であり、本体のフェース板支持部に固着された複合材フェース板を示す。
【図12】図11と同様の断面図であり、外表面に金属製キャップを有する複合材フェース板を示す。
【図13】本発明に係るウッド型ゴルフ・クラブ・ヘッド用本体の第4の実施例を示す断面図であり、ソールに隣接する後方部材を含む部分を有する本体のフェース板支持部を示す。
【図14】本発明に係るアイアン型ゴルフ・クラブ・ヘッド用本体の第5の実施例を示す断面図であり、前部開口周りに配置された本体フェース板支持部を示す。
【発明を実施するための形態】
【0011】
ここで、添付の図面を参照して、例示としてのみ本発明の実施例を説明する。
【0012】
図面は、本発明に係るゴルフ・クラブ・ヘッドの好ましい実施例を含む。図1から図4を参照すると、別体のフェース板22及び本体24を有するウッド型クラブ・ヘッド20が示されている。本体24及びフェース板22は比較的軽量であり、それによってクラブ・ヘッド20の周辺部周りに配置した4個の着脱自在の重り26(本体24の後部領域28の2個の重り、本体のトウ領域30の1個の重り、及び本体のヒール領域32の1個の重りを含む)の使用が容易になる。本体24は、この本体の前部開口36周りに配置したフェース板22を受けるためのフェース板支持部34を含む。フェース板支持部34は、フェース板22の耐久性のある支持部となり、他方では、フェース板の周辺部周りであっても大きな反発係数を有するように、クラブ性能の向上に寄与する。さらに詳細には、ゴルフ・ボールとの衝突時に、フェース板支持部34は、そのフェース板の周辺部周りであってもフェース板22の撓みを助長しかつそれに適応する。
【0013】
本体24は、ソール38、トップ(即ち、クラウン40)、スカート42、及び前方壁44を含む。フェース板支持部34は、前方壁44から後方に延びる周辺部材46、及び前部開口36に対して内向きに延びる後方部材48を含む。フェース板支持部34は、クラウン40、トウ30、ヒール32、及びソール38に近接する部分を含む。さらに詳細には、典型的な実施例では、フェース板支持部34は前部開口36周りに連続している。他の実施例では、フェース板支持部34の一部が、前部開口36周りに離間して配置された複数の耳部として構成可能である。このような1つの実施例が、図7及び図8に図示されており、以下で詳細に論じられる。また、他の実施例(例えば、図13及び図14)では、ソール38に近接するフェース板支持部34の一部では、薄い周辺部材46を排除し得る。
【0014】
図1から図4を参照すると、フェース板支持部34は前方壁44に対して引っ込んでおり、フェース板22は本体24の前方壁44と面一で位置し得る。クラウン40及びソール38に近接するフェース板支持部34の部分では、周辺部材46がフェース平面(V)(即ち、フェース板打撃表面の幾何学的中心点に正接する平面)に対して概ね直角であり、後方部材48がフェース平面(V)に対して概ね平行である。図2で最も適切に分かるように、クラブ・ヘッドのロフト平面(LP)はフェース平面(V)に対して直角であり、クラブ・ヘッド20がアドレス位置にあるとき、水平な地平面(P)と鋭角を形成する。周辺部材46は、スカート42のトウ及びヒール端30、32に隣接してフェース平面(V)に概ね平行である。
【0015】
ここで図5から図6Bを参照すると、フェース板支持部34は、耐久性のある支持部となり、他方ではクラブ性能を高めるように構成されている。さらに詳細には、フェース板支持部34は、フェース板22の周辺部周りであっても大きな反発係数を助長するように十分に薄く、かつフェース板を受けるために十分な表面積を提供し、それによってクラブ・ヘッドの耐久性を高めるように構成されている。フェース板支持部34の後方部材48は、約0.5mmと約2.5mmの間の厚さTR及び約2mmと約25mmの間の長さLRを有する。フェース板支持部34の寸法は、本発明の他の実施例では異なり得る。例えば、フェース板支持部34の寸法は、クラブ・ヘッド20の作製に使用される材料、ヘッド容積、及びフェース板の寸法に応じて異なり得る。好ましくは、厚さTRは、約0.6mmと約1.5mmの間であり、長さLRは約2mmと約15mmの間であり、最も好ましくは、長さLRが約2mmと約7mmの間である。フェース板支持部34の周辺部材46は、約0.5mmと約2.5mmの間の厚さTP及び約3mmと約30mmの間の長さLPを有する。好ましくは、厚さTPは約0.8mmと約1.2mmの間であり、より好ましくは、厚さTPは約1mmである。周辺部材46は、約4mmと約6mmの間の長さLPを有することが好ましい。周辺部材46は厚さが実質的に一定であることが最も好ましいが、後方部材48は前部開口36の中心に向かって内向きに先細りであることが好ましい。後方部材48の内端では、厚みTEが約0.6mmと約0.9mmの間である。
【0016】
フェース板支持部34の周辺及び後方部材46、48の接合部50では、約1.5mmと約2mmの間の最大厚さTJが存在することが好ましい。図1から図6の好ましい実施例では、周辺部材46は、前部開口36に近接する本体24の上部前方壁54から後方に距離d1を隔てて垂直方向に測った距離S1だけ、クラウン40の内側表面52から離間されている。これが図11により明確に示されている。距離S1は少なくとも1mmであり、距離d1は約2mmである。同様に、周辺部材46は、前部開口36に近接する本体24の下部前方壁58から後方に距離d2を隔てて測った垂直距離S2だけ、ソール38の内側表面56から離間されている。距離S2は少なくとも1mmであり、距離d2は約2mmである。好ましくは、周辺部材46は、垂直方向に測って少なくとも1.5mmだけ、クラウン40及びソール38から離間されている。
【0017】
図6を参照すると、スカート42のトウ及びヒール端30、32では、周辺部材46が、前部開口36に近接する本体24の側部前方壁60から後方に距離d3を隔てて水平方向に測った距離S3だけ、本体24の内側表面から離間されている。距離S3は少なくとも1.5mmであり、距離d3は約2mmである。好ましくは、距離S3は少なくとも2mmである。
【0018】
図1のゴルフ・クラブ・ヘッド20の本体24に関する好ましい寸法は、クラウンの厚さTCに関して0.7mmから1mmまでの範囲内にあり、ソール及びスカートの厚みTSに関して0.8mmから1.2mmまでの範囲内にある。図5Bを参照すると、クラウン40、ソール38、トウ30、及びヒール32から前方壁44及び前部開口36に移行する壁の壁厚Tが好ましくは約1mmである。これによって、フェース板支持部34の周辺部材46の厚みTPへ円滑に移行することになる。当然のことであるが、より小さい容積を有するゴルフ・クラブ・ヘッドでは、クラブ・ヘッドに関する望ましい寸法が異なり得る。例えば、約130ccから約190ccまでの範囲内にあるクラブ・ヘッド容積を有するフェアウエー用ウッド・クラブ・ヘッド10’は、図9、図10、及び図10Aに示すように、実質的により厚いソール38’を有し得る。
【0019】
ここで図13を参照すると、ウッド型ゴルフ・クラブ・ヘッドで使用する本体70が示されている。参照の便宜のために、同様の構成要素には同様の参照符号が付してある。本体70は、前部開口36’周りに連続的なフェース板支持部34’を含む。本実施例では、フェース板支持部34’が、本体70のソール38に隣接する下方部分72を含む。下方部分72は、本体70の下方周縁74から延び、上で論じた寸法と同様の寸法を有する後方部材48’を含む。後方部材48’は、前部開口36’に対して内向きに延び、フェース板(図示せず)が本体70と面一で位置できるように引っ込んでいる。本実施例では、フェース板支持部34’の下方部分72の全体が薄い周辺部材を含まない。しかし、他の実施例では、下方部分72が、この下方部分に沿って規定の箇所のみに薄い周辺部材を含み得る。本実施例はウッド型クラブ・ヘッド用であるが、フェース板支持部が規定の箇所に薄い周辺部材を含まない同様のフェース板支持部構成は、アイアン型クラブ・ヘッド(例えば、1番アイアンからウェッジまで)など、他のクラブ・ヘッドにも使用可能である。しかも、クラブ・ヘッドの他の実施例は複数の耳部を備えるフェース板支持部を組み込むことが可能であるが、これらの耳部の中で、ソール38に隣接する選択された耳部は、上で論じたように、薄い周辺部材を含まない。
【0020】
ここで図14を参照すると、アイアン型ゴルフ・クラブ・ヘッド用の本体80が示されている。本体80は、トップ82、ソール84、トウ端、ヒール端、並びに先の典型的な実施例で説明したフェース板支持部34及び34’と同様のフェース板支持部34”を含む。フェース板支持部34”は、前方壁44”から後方に延びる周辺部材46”、及び前部開口36”に対して内向きに延びる後方部材48”を含む。フェース板支持部34”は、性能(即ち、フェース板の周辺部分周りのより大きな反発係数)を高めるように十分に薄く、かつクラブの耐久性を助長するように構成されている。周辺及び後方部材46”、48”(例えば、厚さ及び長さ)に関する寸法は、上で論じたものと同様である。典型的な実施例では、フェース板支持部34”は、前部開口36”周りに連続している。他の実施例では、フェース板支持部34”が、前部開口36”周りに離間された複数の耳部として構成可能である。
【0021】
図1から図4を再び参照すると、クラブ・ヘッド20は、4個の着脱可能な重り26を有する。2個の重りは、クラブ・ヘッド20の後部領域28中に配置されている。第3の重りがクラブ・ヘッド20のトウ領域30中に配置され、第4の重りがクラブ・ヘッドのヒール領域32中に配置されている。これらの重り26は、クラブ・ヘッド20の外側からアクセス可能であり、凹部90の中に確実に収容されている。典型的な実施例では、それぞれの重り26は、それぞれの重りによって画定された長手軸がフェース板22に向かうように配向されている。望ましければ、2個若しくは3個のような、より少ない重り、又は4個よりも多い重りを設けることも可能である。
【0022】
参照により本明細書に援用されている同時係属の米国特許出願第10/290817号及び第10/785692号に開示された構成のような、様々な重りの構成が可能である。典型的な実施例では、重り26は、銘柄名TORX(登録商標)又はTORX PLUS(登録商標)の下で、テクストロン社(Textron,Inc.)から入手可能なものなどの、ねじによって装着されている。銘柄名CAMCAR(登録商標)の下で、テクストロン社から入手可能なものなどの、ねじを1個又は複数の重りとして使用可能である。典型的な実施例では、併せて約23gの質量を有する4個の重り26が図3に示すように設けられているが、その場合にクラブ・ヘッドの容積は約460ccである。約24gのフェース板質量を含めて、クラブ・ヘッド20の合計質量は約199gである。この配置では、クラブ・ヘッドの重心における垂直軸周りの慣性モーメントの大きさIZZは、約405kg−mm2である。
【0023】
図1から図4を引き続いて参照すると、クラブ・ヘッド20用の本体24は、鋳造チタン合金を含む。他の実施例では、他の金属又は非鉄金属が使用可能であり、例えば、溶湯鋳造マグネシウム合金、鋼、及びマグネシウムとチタン合金との組合せのような材料から本体を作製することができる。また、1つ又は複数の異なる材料を含む組立型本体を使用してもよい。例えば、当業者には知られた金属鋳造法によって作製した、ソール、スカート、部分クラウン、及びフェース開口を本体に設けてもよい。本体のクラウンを完成させるために打抜き金属又は複合材クラウンを含むことが可能であり、またクラブ・ヘッド20を作製するために鍛造金属又は複合材フェース板を取り付けることが可能である。或は、複合材本体を設けることも可能である。
【0024】
本発明の特徴を有する中空のクラブ・ヘッドは、容積が約130ccから約460ccまでの範囲にわたり得る。ヘッドが少なくとも360ccの容積を有することが好ましく、少なくとも400ccの容積を有することがさらに好ましい。着脱自在の重りは、約20gと約30gの間の質量を備え、合計ヘッド重量では約180gと約205gの間の質量を備えることが好ましい。慣性モーメントIZZは、本発明に関して、少なくとも300kg−mm2であることが好ましく、少なくとも350kg−mm2であることがさらに好ましい。
【0025】
クラブ・ヘッドは、当業者に知られた鋳造法、好ましくはTi−6Al−4Vのようなチタン合金をインベストメント鋳造することによって作製可能である。或は、望ましいクラブ・ヘッド慣性モーメント及び重心位置パラメータを実現するために、可溶性ワックス・コアを使用して特定の内部構造(例えば、フェース板支持部、重り用凹部)を作製することができる。特に、別体のワックス鋳型を重り26用凹部のために作製し、次いで、その鋳型をクラブ・ヘッド本体24用の主ワックス鋳型に、これらの2つのワックス鋳型を接着剤によって接着することなどによって、接着することができる。典型的な実施例では、前方、ヒール、及びトウの凹部90は、一体型ヘッド本体24の一部として作製される。或は、重り用凹部90は、別々に作製してクラブ・ヘッド本体24の内部位置に溶接可能である。当然のことであるが、本発明の別法による実施例は、着脱自在の重り26の代わりに、図7及び図8に示すような、一体型の厚くした壁部分92を含むこともできる。別法による実施例は、別個の重り要素を完全に割愛し得る。
【0026】
幾つかの典型的な実施例では、フェース板22が複合材料から作製されるが、依然として軽量金属製フェース板22も使用することができる。ここで図11を参照すると、複合材フェース板22を含む複合材料(プリプレグ材)のプライ(層)が、使用された、繊維、樹脂系、面積当たり繊維重量(FAW)及び樹脂含有率(R/C)の組合せに従って画定可能である。好ましいプリプレグ材の1実施例は、34/700の繊維、Newport 301樹脂、70g/m2のFAW、及び40%の樹脂含有率を含む70gのFAW34/700材料である。適切な複合材フェース板の様々な実施例及び製造方法が、参照により本明細書に援用される、「GOLF CLUB HEAD AND METHOD OF MANUFACTURE」と題する、2003年5月21日出願の同時係属の米国特許出願第10/442348号に開示されている。
【0027】
複合材フェース板22は、プライを所定の配向で積み重ねかつ切断することによって製造可能である。これは、最終的に積み重ねられてフェース板22の最終厚さを形成するプライの小グループで実行可能である。さらに詳細には、プリプレグ材のプライを特定のグループに配置するが、そのグループではそれぞれのプライは水平軸に対して所定の配向を有する。例えば、第1の又は最外層のプライが0度に配向された1080ガラス繊維を含み、それに、12枚のプライがそれぞれ0度、プラス45度、90度、及びマイナス45度になるように配向された48枚の34/700プリプレグ材のプライが続く。90度の34/700の別のプライが、0度に配向された1080ガラス繊維の最終又は最内層に先行し得る。
【0028】
フェース板22は、その最終的な望ましい形状又は寸法を打抜きによって実現することが好ましい。フェース板22の最終的な望ましいバルジ及びロールは、プライ間に捕らわれた空気を減少させるために、それぞれ2分間の2回以上の「減量」又は圧縮工程の最終工程時に実現可能である。3回目の減量工程は、最終的な望ましいバルジ及びロールを有するパネルを形成する工程を含むことが望ましく、追加的な4回目の減量工程を設けて最終的なフェース厚さを形成することがより好ましく、この4回目の減量工程の継続時間は約3分間である。得られるパネルの重量及び厚みは、硬化工程の前に測定されることが好ましい。
【0029】
複合材ゴルフ・クラブ・フェースは、小さい面積当たり繊維重量(FAW)の材料を含み、かつ約4mm未満の厚みを有することが好ましい。複合材フェースの使用によって削減される重量は、例えば、Ti−6Al−4Vのようなチタン合金から作製された2.7mmの厚さのフェース板に比べて、約20gから25gである。フェアウエー用ウッド型ゴルフ・クラブ・ヘッドでは、フェース板が、少なくとも60mmの幅及び25mmの高さであることが好ましい。ドライバ型ゴルフ・クラブ・ヘッドでは、フェース板が少なくとも80mmの幅及び50mmの高さであることが好ましい。
【0030】
金属製クラブ・ヘッド本体24への複合材料フェース板22の装着は、接着剤によって実現可能である。フェースと本体の接合部の剥離及び層割れ破壊を防止するために、複合材フェース板22は、接合部では、図11に示したように、金属本体24の前方表面の平面から引っ込むか又はそれと実質的に面一になるべきである。複合材フェース板22は、繊維の端部が露出しないように十分に引っ込んでいることが好ましい。複合材フェース板22と金属本体24の接合部は、フェース支持部34として環状棚部を含むことが好ましい。或は、フェース板支持部34は、フェース板を支持しかつ装着するために2つ以上の部分94(図7、図8)又は複数の耳部を備え得る。
【0031】
図12に示す好ましい1実施例では、フェース板が、フェース板の打撃表面を形成するために、複合材部分22’上に配置したチタン製キャップ96を備える。このチタン製キャップは、複合材部分22’の周辺部を覆うように周辺縁98を含むことが好ましく、この縁は連続的であっても、又は複数のセグメントを含んでもよい。チタン製キャップの厚さは約1mm未満であり、好ましくは、チタン製キャップの厚さは0.2mm未満である。1つのテスト標本では、このキャップをTi−6Al−4Vチタン合金から作製したが、望ましければ他の材料又はチタン合金を使用してもよい。フェース板の複合材部分22’の厚さは約3.65mmであり、チタン製キャップの厚さは約0.3mmである。また、チタン製キャップ96を複合材部分22’上に接着するために、チタン製キャップと複合材部分の間に、好ましくは約0.05mmから約0.2mm、さらに好ましくは約0.1mmの接着剤用の間隙が設けられる。他の実施例では、チタン製キャップなしで複合材部分22’を設けることが可能であり、その場合には、複合材部分22’の前部表面がフェース板の打撃表面を備え得る。
【0032】
複合材フェース板22は、接着剤による接合を容易にするために粗面にすることができる。第1の方策では、表面模様のある薄膜層を硬化前に複合材料上に配置し、それによって硬化した複合材料上に所与の粗面を形成することができる。このような表面模様のある薄膜の1つの実施例は、通常のナイロン繊維である。硬化条件によって繊維が劣化せず、かつ繊維の表面模様の痕跡が複合材料の表面に転写される。表面模様のある複合材料表面への3M(登録商標)DP460などのウレタン及びエポキシ樹脂の接着が大幅に改善され、かつ鋳造チタン合金などの金属表面に接着するよりも優れていることが実験で判明した。第2の方策では、表面模様を鋳型表面に組み込むことが可能であり、表面模様の領域の厳密な制御が可能になる。例えば、鋳造した本体に接合された複合材フェース板を有する実施例では、剪断及び剥離が主要な破壊様態である複合材フェース板表面の上に表面模様を配置することができる。
【0033】
本発明は、フェース板と、トップ、ソール、トウ端、ヒール端、及び前方壁を有する本体とを含むゴルフ・クラブ・ヘッドを提供することが以上の説明から理解されるはずである。前方壁は前部開口を画定し、その周りにフェース支持部が配置される。フェース支持部はフェース板を受け、それによって本体の前部開口を密閉する。フェース板は、前部開口に設けられたフェース支持部の中に受け入れられる。フェース支持部は、トップ、トウ端、及びヒール端に近接する部分を含む。フェース支持部のそれぞれの部分は、前方壁から後方に延びる周辺部材と、周辺部材から前部開口に対して内向きに延びる後方部材とを含む。フェース支持部は、クラブ・ヘッドの性能を最適化してゴルファがより大きな飛距離とコントロールを実現するのを助けるために、好ましいフェース構造要素と重量要素の組合せが可能である。
【0034】
好ましい実施例のみを参照して本発明を詳細に開示してきたが、本発明の範囲から逸脱することなく、追加的なゴルフ・クラブ・ヘッドを含み得ることが当業者には理解されよう。従って、本発明は、添付の特許請求の範囲のみによって画定されるものである。
【技術分野】
【0001】
本発明は、概ねゴルフ・クラブに関し、さらに詳細には、改良されたフェース板支持部を有するゴルフ・クラブ・ヘッドに関する。
【背景技術】
【0002】
ゴルフ・クラブ・ヘッドを設計するときには数多くの要素を考慮しなければならない。1つの要素はクラブ・ヘッド周りの質量分布であり、それは、慣性モーメント(MOI)の大きさ及び重心(CG)の位置などのパラメータによって数量化されるのが典型である。クラブ・ヘッド重心周りのクラブ・ヘッドの回転慣性モーメントは、その重心周りの回転に対するクラブ・ヘッドの抵抗の尺度であり、クラブ・ヘッド内部の重心周りの質量分布に関連する。クラブ・ヘッドは、重心周りに大きい慣性モーメントを有すること、特に、心を外れた打撃に対する許容度を高めることが望ましい。重心周りの大きな慣性モーメントを実現するために、設計者は、質量をゴルフ・クラブ・ヘッドの周辺部及びフェース板の後方に位置決めするのが典型である。さらには、クラブ・ヘッドの重心は、ゴルフ・ボールとの衝突時に望ましい打ち上げ角を実現するために、フェース板から離隔した規定位置に配置される。従って、ウッド型クラブ・ヘッド(即ち、フェアウエー用ウッド及びドライバ)では、典型的には大きな内部容積が望ましい。
【0003】
クラブ・ヘッド設計上の別の要素は、クラブ・ヘッドのフェース板である。ゴルフ・ボールとの衝突時に、クラブ・ヘッドのフェース板は撓みかつ跳ね返るが、それによって打ち出されたゴルフ・ボールにエネルギーを与える。クラブ・ヘッドの反発係数(COR)は、衝突後のボール速度と衝突後のクラブ速度と衝突前のクラブ速度との間の差の比率である。薄いフェース板は、厚いフェース板よりも多く撓むことになるのが一般である。従って、薄く、柔軟なフェース板を有する適切に作製されたクラブは、厚く、剛性のフェース板を有するクラブよりもゴルフ・ボールに大きな初期速度を与え得る。重心周りの慣性モーメントを極大化しかつ大きな反発係数を実現するために、典型的には薄い壁及び薄いフェース板をクラブ・ヘッドの設計に組み込むことが望ましい。薄い壁は、望ましい質量分布を実現するためにクラブ・ヘッド質量を分散させる際に設計者に追加的な余地を与え、薄いフェース板は大きな反発係数を与え得る。
【0004】
従って、薄い壁はクラブの性能にとって重要である。しかし、過剰に薄い壁は、クラブ・ヘッドの耐久性に悪影響を及ぼす恐れがある。また問題は、ゴルフ・ボールとの衝突時に、クラブ・ヘッド全体に、特に、フェース板と他のクラブ・ヘッド構成要素(例えば、ソール、スカート、及びクラウン)との接合部などの、クラブ・ヘッド構成要素の接合部に分布する応力からも生じる。1つの従来の方策は、反復衝突に耐えるために、フェース板周りに、溶接のような強化周辺部を設けることであった。衝突時の応力に抗する別の方策は、フェース板の内部表面を横切って、実質的にクラウンからソールまで垂直に延びる1つ以上のリブ、ある場合には、トウからヒールまで水平に延びる、1つ以上のリブを使用することである。これらの方策は、クラブの性能特徴に悪影響を及ぼすきらいがあり、例えば、スイート・スポットの大きさを減少させたり、及び/又はクラブ・ヘッドの質量分布とフェース構造の両方における設計上の融通性を阻害したりする。従って、これらのクラブ・ヘッドには、最適慣性モーメント、重心、及び/又は反発係数パラメータは備わらず、その結果、名人級以外のすべてのゴルファには、心外れ打撃に対して大きな許容度を与えることはない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従って、性能及び耐久性を高めるフェース板支持部を有するゴルフ・クラブ・ヘッドに対する要求が存在することが理解されるはずである。本発明は、このような要求及び他の要求に応えるものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
簡単にかつ一般的に言えば、本発明は、向上した耐久性及び性能特徴を有するゴルフ・クラブ・ヘッドを提供する。このクラブ・ヘッドは、フェース板と、このフェース板を受け入れるためのフェース板支持部を有する本体とを含む。本体は、クラウン、トウ端及びヒール端、ソール、並びに前方壁を含む。前方壁は前部開口を画定し、その周りにフェース板支持部が配置されている。フェース板支持部はフェース板を受け、それによって本体の前部開口を密閉する。
【0007】
さらに詳細には、また例示として、フェース板支持部は、クラブ・ヘッドの耐久性及び性能を高めるように構成される。フェース板支持部は、クラウン、トウ端、及びヒール端に近接する部分を含む。これらフェース板支持部のそれぞれの部分は、前方壁から後方に延びる周辺部材と、この周辺部材から前部開口に対して内向きに延びる後方部材とを含む。フェース板支持部はまた、本体のソールに近接する部分も含み得る。フェース板支持部は、フェース板の周辺部周りであっても反発係数の増大に寄与し、他方では耐久性のある支持部となる。従って、フェース板は性能に重点を置いて設計可能である。例えば、フェース板は、別様に可能であるよりも大きなフェース領域全体にわたって最大反発係数を与える多様なフェース厚さを有するように構成可能である。フェース板は複合材料から作製されることが好ましいが、或は軽量金属フェース板をクラブ・ヘッドの金属本体に装着することもできる。さらには、典型的な1つの実施例では、フェース板支持部の周辺部材と後方部材の接合部が、約1.5mmと2mmの間の最大厚さを有する。
【0008】
本発明と従来技術に対して実現した利点とに関する概要を示すために、以上に本発明の幾つかの利点を説明した。当然のことであるが、このような利点はすべて、本発明の特定の実施例によっていずれも実現可能である。従って、例えば、本発明は、必ずしも本明細書で教示されかつ示唆され得る他の利点を実現しなくても、本明細書で教示された1つの利点又は1群の複数の利点を実現するか又は最適化する態様で実施又は実行可能であることを当業者は理解しよう。
【0009】
これらの実施例のすべては、本明細書で開示されている本発明の範囲内であることが意図されている。本発明のこれらの及び他の実施例は、添付図を参照する好ましい実施例の以下の詳細な説明から当業者には直ちに明白になろう。本発明は、開示されている特定の実施例のいずれにも限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明に係るゴルフ・クラブ・ヘッドの第1の実施例を示す下部斜視図であり、本体及びフェース板を示す。
【図2】図1のゴルフ・クラブ・ヘッドのトウ側を示す立面図である。
【図3】図2の線I−Iに沿って取った断面図であり、フェース板を取り外したクラブ・ヘッドを示す。
【図4】図1のクラブ・ヘッドの本体を示す前部立面図であり、本体の前部開口周りの引っ込んだフェース板支持部を示す。
【図5】図4の線II−IIに沿って取った部分断面図である。
【図5A】図5の部分Aにおける詳細図であり、クラブ・ヘッドのクラウンに隣接するフェース板支持部の一部を示す。
【図5B】図5の部分Bにおける詳細図であり、クラブ・ヘッドのソールに隣接するフェース板支持部の一部を示す。
【図6】図4の線III−IIIに沿って取った部分断面図である。
【図6A】図6の部分Aにおける詳細図であり、クラブ・ヘッドのトウ端に隣接するフェース板支持部の一部を示す。
【図6B】図6の部分Bにおける詳細図であり、クラブ・ヘッドのヒール端に隣接するフェース板支持部の一部を示す。
【図7】本発明に係るゴルフ・クラブ・ヘッド用本体の第2の実施例を示す前部立面図であり、本体の前部開口周りに複数の耳部を有するフェース板支持部を示す。
【図8】図7の線IV−IVに沿って取った断面図である。
【図9】本発明に係るクラブ・ヘッドの第3の実施例を示すトウ側の立面図である。
【図10】図9のクラブ・ヘッドの本体を示す部分断面図であり、本体の前部開口周りの引き込んだフェース板支持部を示す。
【図10A】図10の部分Aにおける断面図であり、クラブ・ヘッドのソールに隣接するフェース板支持部の一部を示す。
【図11】図5Aと同様の断面図であり、本体のフェース板支持部に固着された複合材フェース板を示す。
【図12】図11と同様の断面図であり、外表面に金属製キャップを有する複合材フェース板を示す。
【図13】本発明に係るウッド型ゴルフ・クラブ・ヘッド用本体の第4の実施例を示す断面図であり、ソールに隣接する後方部材を含む部分を有する本体のフェース板支持部を示す。
【図14】本発明に係るアイアン型ゴルフ・クラブ・ヘッド用本体の第5の実施例を示す断面図であり、前部開口周りに配置された本体フェース板支持部を示す。
【発明を実施するための形態】
【0011】
ここで、添付の図面を参照して、例示としてのみ本発明の実施例を説明する。
【0012】
図面は、本発明に係るゴルフ・クラブ・ヘッドの好ましい実施例を含む。図1から図4を参照すると、別体のフェース板22及び本体24を有するウッド型クラブ・ヘッド20が示されている。本体24及びフェース板22は比較的軽量であり、それによってクラブ・ヘッド20の周辺部周りに配置した4個の着脱自在の重り26(本体24の後部領域28の2個の重り、本体のトウ領域30の1個の重り、及び本体のヒール領域32の1個の重りを含む)の使用が容易になる。本体24は、この本体の前部開口36周りに配置したフェース板22を受けるためのフェース板支持部34を含む。フェース板支持部34は、フェース板22の耐久性のある支持部となり、他方では、フェース板の周辺部周りであっても大きな反発係数を有するように、クラブ性能の向上に寄与する。さらに詳細には、ゴルフ・ボールとの衝突時に、フェース板支持部34は、そのフェース板の周辺部周りであってもフェース板22の撓みを助長しかつそれに適応する。
【0013】
本体24は、ソール38、トップ(即ち、クラウン40)、スカート42、及び前方壁44を含む。フェース板支持部34は、前方壁44から後方に延びる周辺部材46、及び前部開口36に対して内向きに延びる後方部材48を含む。フェース板支持部34は、クラウン40、トウ30、ヒール32、及びソール38に近接する部分を含む。さらに詳細には、典型的な実施例では、フェース板支持部34は前部開口36周りに連続している。他の実施例では、フェース板支持部34の一部が、前部開口36周りに離間して配置された複数の耳部として構成可能である。このような1つの実施例が、図7及び図8に図示されており、以下で詳細に論じられる。また、他の実施例(例えば、図13及び図14)では、ソール38に近接するフェース板支持部34の一部では、薄い周辺部材46を排除し得る。
【0014】
図1から図4を参照すると、フェース板支持部34は前方壁44に対して引っ込んでおり、フェース板22は本体24の前方壁44と面一で位置し得る。クラウン40及びソール38に近接するフェース板支持部34の部分では、周辺部材46がフェース平面(V)(即ち、フェース板打撃表面の幾何学的中心点に正接する平面)に対して概ね直角であり、後方部材48がフェース平面(V)に対して概ね平行である。図2で最も適切に分かるように、クラブ・ヘッドのロフト平面(LP)はフェース平面(V)に対して直角であり、クラブ・ヘッド20がアドレス位置にあるとき、水平な地平面(P)と鋭角を形成する。周辺部材46は、スカート42のトウ及びヒール端30、32に隣接してフェース平面(V)に概ね平行である。
【0015】
ここで図5から図6Bを参照すると、フェース板支持部34は、耐久性のある支持部となり、他方ではクラブ性能を高めるように構成されている。さらに詳細には、フェース板支持部34は、フェース板22の周辺部周りであっても大きな反発係数を助長するように十分に薄く、かつフェース板を受けるために十分な表面積を提供し、それによってクラブ・ヘッドの耐久性を高めるように構成されている。フェース板支持部34の後方部材48は、約0.5mmと約2.5mmの間の厚さTR及び約2mmと約25mmの間の長さLRを有する。フェース板支持部34の寸法は、本発明の他の実施例では異なり得る。例えば、フェース板支持部34の寸法は、クラブ・ヘッド20の作製に使用される材料、ヘッド容積、及びフェース板の寸法に応じて異なり得る。好ましくは、厚さTRは、約0.6mmと約1.5mmの間であり、長さLRは約2mmと約15mmの間であり、最も好ましくは、長さLRが約2mmと約7mmの間である。フェース板支持部34の周辺部材46は、約0.5mmと約2.5mmの間の厚さTP及び約3mmと約30mmの間の長さLPを有する。好ましくは、厚さTPは約0.8mmと約1.2mmの間であり、より好ましくは、厚さTPは約1mmである。周辺部材46は、約4mmと約6mmの間の長さLPを有することが好ましい。周辺部材46は厚さが実質的に一定であることが最も好ましいが、後方部材48は前部開口36の中心に向かって内向きに先細りであることが好ましい。後方部材48の内端では、厚みTEが約0.6mmと約0.9mmの間である。
【0016】
フェース板支持部34の周辺及び後方部材46、48の接合部50では、約1.5mmと約2mmの間の最大厚さTJが存在することが好ましい。図1から図6の好ましい実施例では、周辺部材46は、前部開口36に近接する本体24の上部前方壁54から後方に距離d1を隔てて垂直方向に測った距離S1だけ、クラウン40の内側表面52から離間されている。これが図11により明確に示されている。距離S1は少なくとも1mmであり、距離d1は約2mmである。同様に、周辺部材46は、前部開口36に近接する本体24の下部前方壁58から後方に距離d2を隔てて測った垂直距離S2だけ、ソール38の内側表面56から離間されている。距離S2は少なくとも1mmであり、距離d2は約2mmである。好ましくは、周辺部材46は、垂直方向に測って少なくとも1.5mmだけ、クラウン40及びソール38から離間されている。
【0017】
図6を参照すると、スカート42のトウ及びヒール端30、32では、周辺部材46が、前部開口36に近接する本体24の側部前方壁60から後方に距離d3を隔てて水平方向に測った距離S3だけ、本体24の内側表面から離間されている。距離S3は少なくとも1.5mmであり、距離d3は約2mmである。好ましくは、距離S3は少なくとも2mmである。
【0018】
図1のゴルフ・クラブ・ヘッド20の本体24に関する好ましい寸法は、クラウンの厚さTCに関して0.7mmから1mmまでの範囲内にあり、ソール及びスカートの厚みTSに関して0.8mmから1.2mmまでの範囲内にある。図5Bを参照すると、クラウン40、ソール38、トウ30、及びヒール32から前方壁44及び前部開口36に移行する壁の壁厚Tが好ましくは約1mmである。これによって、フェース板支持部34の周辺部材46の厚みTPへ円滑に移行することになる。当然のことであるが、より小さい容積を有するゴルフ・クラブ・ヘッドでは、クラブ・ヘッドに関する望ましい寸法が異なり得る。例えば、約130ccから約190ccまでの範囲内にあるクラブ・ヘッド容積を有するフェアウエー用ウッド・クラブ・ヘッド10’は、図9、図10、及び図10Aに示すように、実質的により厚いソール38’を有し得る。
【0019】
ここで図13を参照すると、ウッド型ゴルフ・クラブ・ヘッドで使用する本体70が示されている。参照の便宜のために、同様の構成要素には同様の参照符号が付してある。本体70は、前部開口36’周りに連続的なフェース板支持部34’を含む。本実施例では、フェース板支持部34’が、本体70のソール38に隣接する下方部分72を含む。下方部分72は、本体70の下方周縁74から延び、上で論じた寸法と同様の寸法を有する後方部材48’を含む。後方部材48’は、前部開口36’に対して内向きに延び、フェース板(図示せず)が本体70と面一で位置できるように引っ込んでいる。本実施例では、フェース板支持部34’の下方部分72の全体が薄い周辺部材を含まない。しかし、他の実施例では、下方部分72が、この下方部分に沿って規定の箇所のみに薄い周辺部材を含み得る。本実施例はウッド型クラブ・ヘッド用であるが、フェース板支持部が規定の箇所に薄い周辺部材を含まない同様のフェース板支持部構成は、アイアン型クラブ・ヘッド(例えば、1番アイアンからウェッジまで)など、他のクラブ・ヘッドにも使用可能である。しかも、クラブ・ヘッドの他の実施例は複数の耳部を備えるフェース板支持部を組み込むことが可能であるが、これらの耳部の中で、ソール38に隣接する選択された耳部は、上で論じたように、薄い周辺部材を含まない。
【0020】
ここで図14を参照すると、アイアン型ゴルフ・クラブ・ヘッド用の本体80が示されている。本体80は、トップ82、ソール84、トウ端、ヒール端、並びに先の典型的な実施例で説明したフェース板支持部34及び34’と同様のフェース板支持部34”を含む。フェース板支持部34”は、前方壁44”から後方に延びる周辺部材46”、及び前部開口36”に対して内向きに延びる後方部材48”を含む。フェース板支持部34”は、性能(即ち、フェース板の周辺部分周りのより大きな反発係数)を高めるように十分に薄く、かつクラブの耐久性を助長するように構成されている。周辺及び後方部材46”、48”(例えば、厚さ及び長さ)に関する寸法は、上で論じたものと同様である。典型的な実施例では、フェース板支持部34”は、前部開口36”周りに連続している。他の実施例では、フェース板支持部34”が、前部開口36”周りに離間された複数の耳部として構成可能である。
【0021】
図1から図4を再び参照すると、クラブ・ヘッド20は、4個の着脱可能な重り26を有する。2個の重りは、クラブ・ヘッド20の後部領域28中に配置されている。第3の重りがクラブ・ヘッド20のトウ領域30中に配置され、第4の重りがクラブ・ヘッドのヒール領域32中に配置されている。これらの重り26は、クラブ・ヘッド20の外側からアクセス可能であり、凹部90の中に確実に収容されている。典型的な実施例では、それぞれの重り26は、それぞれの重りによって画定された長手軸がフェース板22に向かうように配向されている。望ましければ、2個若しくは3個のような、より少ない重り、又は4個よりも多い重りを設けることも可能である。
【0022】
参照により本明細書に援用されている同時係属の米国特許出願第10/290817号及び第10/785692号に開示された構成のような、様々な重りの構成が可能である。典型的な実施例では、重り26は、銘柄名TORX(登録商標)又はTORX PLUS(登録商標)の下で、テクストロン社(Textron,Inc.)から入手可能なものなどの、ねじによって装着されている。銘柄名CAMCAR(登録商標)の下で、テクストロン社から入手可能なものなどの、ねじを1個又は複数の重りとして使用可能である。典型的な実施例では、併せて約23gの質量を有する4個の重り26が図3に示すように設けられているが、その場合にクラブ・ヘッドの容積は約460ccである。約24gのフェース板質量を含めて、クラブ・ヘッド20の合計質量は約199gである。この配置では、クラブ・ヘッドの重心における垂直軸周りの慣性モーメントの大きさIZZは、約405kg−mm2である。
【0023】
図1から図4を引き続いて参照すると、クラブ・ヘッド20用の本体24は、鋳造チタン合金を含む。他の実施例では、他の金属又は非鉄金属が使用可能であり、例えば、溶湯鋳造マグネシウム合金、鋼、及びマグネシウムとチタン合金との組合せのような材料から本体を作製することができる。また、1つ又は複数の異なる材料を含む組立型本体を使用してもよい。例えば、当業者には知られた金属鋳造法によって作製した、ソール、スカート、部分クラウン、及びフェース開口を本体に設けてもよい。本体のクラウンを完成させるために打抜き金属又は複合材クラウンを含むことが可能であり、またクラブ・ヘッド20を作製するために鍛造金属又は複合材フェース板を取り付けることが可能である。或は、複合材本体を設けることも可能である。
【0024】
本発明の特徴を有する中空のクラブ・ヘッドは、容積が約130ccから約460ccまでの範囲にわたり得る。ヘッドが少なくとも360ccの容積を有することが好ましく、少なくとも400ccの容積を有することがさらに好ましい。着脱自在の重りは、約20gと約30gの間の質量を備え、合計ヘッド重量では約180gと約205gの間の質量を備えることが好ましい。慣性モーメントIZZは、本発明に関して、少なくとも300kg−mm2であることが好ましく、少なくとも350kg−mm2であることがさらに好ましい。
【0025】
クラブ・ヘッドは、当業者に知られた鋳造法、好ましくはTi−6Al−4Vのようなチタン合金をインベストメント鋳造することによって作製可能である。或は、望ましいクラブ・ヘッド慣性モーメント及び重心位置パラメータを実現するために、可溶性ワックス・コアを使用して特定の内部構造(例えば、フェース板支持部、重り用凹部)を作製することができる。特に、別体のワックス鋳型を重り26用凹部のために作製し、次いで、その鋳型をクラブ・ヘッド本体24用の主ワックス鋳型に、これらの2つのワックス鋳型を接着剤によって接着することなどによって、接着することができる。典型的な実施例では、前方、ヒール、及びトウの凹部90は、一体型ヘッド本体24の一部として作製される。或は、重り用凹部90は、別々に作製してクラブ・ヘッド本体24の内部位置に溶接可能である。当然のことであるが、本発明の別法による実施例は、着脱自在の重り26の代わりに、図7及び図8に示すような、一体型の厚くした壁部分92を含むこともできる。別法による実施例は、別個の重り要素を完全に割愛し得る。
【0026】
幾つかの典型的な実施例では、フェース板22が複合材料から作製されるが、依然として軽量金属製フェース板22も使用することができる。ここで図11を参照すると、複合材フェース板22を含む複合材料(プリプレグ材)のプライ(層)が、使用された、繊維、樹脂系、面積当たり繊維重量(FAW)及び樹脂含有率(R/C)の組合せに従って画定可能である。好ましいプリプレグ材の1実施例は、34/700の繊維、Newport 301樹脂、70g/m2のFAW、及び40%の樹脂含有率を含む70gのFAW34/700材料である。適切な複合材フェース板の様々な実施例及び製造方法が、参照により本明細書に援用される、「GOLF CLUB HEAD AND METHOD OF MANUFACTURE」と題する、2003年5月21日出願の同時係属の米国特許出願第10/442348号に開示されている。
【0027】
複合材フェース板22は、プライを所定の配向で積み重ねかつ切断することによって製造可能である。これは、最終的に積み重ねられてフェース板22の最終厚さを形成するプライの小グループで実行可能である。さらに詳細には、プリプレグ材のプライを特定のグループに配置するが、そのグループではそれぞれのプライは水平軸に対して所定の配向を有する。例えば、第1の又は最外層のプライが0度に配向された1080ガラス繊維を含み、それに、12枚のプライがそれぞれ0度、プラス45度、90度、及びマイナス45度になるように配向された48枚の34/700プリプレグ材のプライが続く。90度の34/700の別のプライが、0度に配向された1080ガラス繊維の最終又は最内層に先行し得る。
【0028】
フェース板22は、その最終的な望ましい形状又は寸法を打抜きによって実現することが好ましい。フェース板22の最終的な望ましいバルジ及びロールは、プライ間に捕らわれた空気を減少させるために、それぞれ2分間の2回以上の「減量」又は圧縮工程の最終工程時に実現可能である。3回目の減量工程は、最終的な望ましいバルジ及びロールを有するパネルを形成する工程を含むことが望ましく、追加的な4回目の減量工程を設けて最終的なフェース厚さを形成することがより好ましく、この4回目の減量工程の継続時間は約3分間である。得られるパネルの重量及び厚みは、硬化工程の前に測定されることが好ましい。
【0029】
複合材ゴルフ・クラブ・フェースは、小さい面積当たり繊維重量(FAW)の材料を含み、かつ約4mm未満の厚みを有することが好ましい。複合材フェースの使用によって削減される重量は、例えば、Ti−6Al−4Vのようなチタン合金から作製された2.7mmの厚さのフェース板に比べて、約20gから25gである。フェアウエー用ウッド型ゴルフ・クラブ・ヘッドでは、フェース板が、少なくとも60mmの幅及び25mmの高さであることが好ましい。ドライバ型ゴルフ・クラブ・ヘッドでは、フェース板が少なくとも80mmの幅及び50mmの高さであることが好ましい。
【0030】
金属製クラブ・ヘッド本体24への複合材料フェース板22の装着は、接着剤によって実現可能である。フェースと本体の接合部の剥離及び層割れ破壊を防止するために、複合材フェース板22は、接合部では、図11に示したように、金属本体24の前方表面の平面から引っ込むか又はそれと実質的に面一になるべきである。複合材フェース板22は、繊維の端部が露出しないように十分に引っ込んでいることが好ましい。複合材フェース板22と金属本体24の接合部は、フェース支持部34として環状棚部を含むことが好ましい。或は、フェース板支持部34は、フェース板を支持しかつ装着するために2つ以上の部分94(図7、図8)又は複数の耳部を備え得る。
【0031】
図12に示す好ましい1実施例では、フェース板が、フェース板の打撃表面を形成するために、複合材部分22’上に配置したチタン製キャップ96を備える。このチタン製キャップは、複合材部分22’の周辺部を覆うように周辺縁98を含むことが好ましく、この縁は連続的であっても、又は複数のセグメントを含んでもよい。チタン製キャップの厚さは約1mm未満であり、好ましくは、チタン製キャップの厚さは0.2mm未満である。1つのテスト標本では、このキャップをTi−6Al−4Vチタン合金から作製したが、望ましければ他の材料又はチタン合金を使用してもよい。フェース板の複合材部分22’の厚さは約3.65mmであり、チタン製キャップの厚さは約0.3mmである。また、チタン製キャップ96を複合材部分22’上に接着するために、チタン製キャップと複合材部分の間に、好ましくは約0.05mmから約0.2mm、さらに好ましくは約0.1mmの接着剤用の間隙が設けられる。他の実施例では、チタン製キャップなしで複合材部分22’を設けることが可能であり、その場合には、複合材部分22’の前部表面がフェース板の打撃表面を備え得る。
【0032】
複合材フェース板22は、接着剤による接合を容易にするために粗面にすることができる。第1の方策では、表面模様のある薄膜層を硬化前に複合材料上に配置し、それによって硬化した複合材料上に所与の粗面を形成することができる。このような表面模様のある薄膜の1つの実施例は、通常のナイロン繊維である。硬化条件によって繊維が劣化せず、かつ繊維の表面模様の痕跡が複合材料の表面に転写される。表面模様のある複合材料表面への3M(登録商標)DP460などのウレタン及びエポキシ樹脂の接着が大幅に改善され、かつ鋳造チタン合金などの金属表面に接着するよりも優れていることが実験で判明した。第2の方策では、表面模様を鋳型表面に組み込むことが可能であり、表面模様の領域の厳密な制御が可能になる。例えば、鋳造した本体に接合された複合材フェース板を有する実施例では、剪断及び剥離が主要な破壊様態である複合材フェース板表面の上に表面模様を配置することができる。
【0033】
本発明は、フェース板と、トップ、ソール、トウ端、ヒール端、及び前方壁を有する本体とを含むゴルフ・クラブ・ヘッドを提供することが以上の説明から理解されるはずである。前方壁は前部開口を画定し、その周りにフェース支持部が配置される。フェース支持部はフェース板を受け、それによって本体の前部開口を密閉する。フェース板は、前部開口に設けられたフェース支持部の中に受け入れられる。フェース支持部は、トップ、トウ端、及びヒール端に近接する部分を含む。フェース支持部のそれぞれの部分は、前方壁から後方に延びる周辺部材と、周辺部材から前部開口に対して内向きに延びる後方部材とを含む。フェース支持部は、クラブ・ヘッドの性能を最適化してゴルファがより大きな飛距離とコントロールを実現するのを助けるために、好ましいフェース構造要素と重量要素の組合せが可能である。
【0034】
好ましい実施例のみを参照して本発明を詳細に開示してきたが、本発明の範囲から逸脱することなく、追加的なゴルフ・クラブ・ヘッドを含み得ることが当業者には理解されよう。従って、本発明は、添付の特許請求の範囲のみによって画定されるものである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
クラウンと、
ソールと、
前記クラウンと前記ソールの間に配置され、トウ端及びヒール端を有するスカートと、
前記クラウン、前記ソール、及び前記スカートに結合され、前部開口を画定する前方壁と、
前記前部開口の周辺部の少なくとも一部に結合され、かつそこから後方に延びる周辺部材と、
前記周辺部材に直接結合され、かつそこから前記前部開口の中心に向かって内向きに延びる後方部材と、
前記後方部材に結合されたフェース板と、を備えるゴルフ・クラブ・ヘッド。
【請求項2】
前記周辺部材の少なくとも一部が、前記クラウン、前記ソール、前記トウ端、又は前記ヒール端、若しくはそれらの組合せに近接して配置されている、請求項1に記載のゴルフ・クラブ・ヘッド。
【請求項3】
前記周辺部材は前記前部開口の周辺部周りに連続している、請求項1に記載のゴルフ・クラブ・ヘッド。
【請求項4】
前記周辺部材は、前記前方壁の前部表面から約3mmと約30mmの間に延在する、請求項1に記載のゴルフ・クラブ・ヘッド。
【請求項5】
前記周辺部材は、前記前方壁の前部表面から約4mmと約6mmの間に延在する、請求項4に記載のゴルフ・クラブ・ヘッド。
【請求項6】
前記周辺部材は約0.5mmと約2.5mmの間の厚さを有する、請求項1に記載のゴルフ・クラブ・ヘッド。
【請求項7】
前記周辺部材は、水平方向に測って少なくとも1.5mmの第1の距離だけ前記スカートから離間され、前記第1の距離は、前記前部開口に近接する側部前方表面から約2mm後方で測定される、請求項1に記載のゴルフ・クラブ・ヘッド。
【請求項8】
前記周辺部材は、垂直方向に測って少なくとも1mmの第1の距離だけ前記クラウンから離間され、前記第1の距離は、前記前部開口に近接する上部前方表面から約2mm後方で測定される、請求項1に記載のゴルフ・クラブ・ヘッド。
【請求項9】
前記周辺部材は、垂直方向に測って少なくとも1mmの第1の距離だけ前記ソールから離間され、前記第1の距離は、前記前部開口に近接する下部前方表面の約2mm後方で測定される、請求項1に記載のゴルフ・クラブ・ヘッド。
【請求項10】
前記後方部材の少なくとも一部が、前記クラウン、前記ソール、前記トウ端、又は前記ヒール端、若しくはそれらの組合せに近接して配置される、請求項1に記載のゴルフ・クラブ・ヘッド。
【請求項11】
前記後方部材は前記前部開口の周辺部周りに連続している、請求項1に記載のゴルフ・クラブ・ヘッド。
【請求項12】
前記後方部材は、前記前部開口の前記中心に対して前記周辺部材の内側表面から約2mmと約25mmの間に延在する、請求項1に記載のゴルフ・クラブ・ヘッド。
【請求項13】
前記後方部材は、前記前部開口の前記中心に対して前記周辺部材の内側表面から約2mmと約7mmの間に延在する、請求項12に記載のゴルフ・クラブ・ヘッド。
【請求項14】
前記後方部材は約0.5mmと約2.5mmの間の厚さを有する、請求項1に記載のゴルフ・クラブ・ヘッド。
【請求項15】
前記後方部材は約0.6mmと約1.5mmの間の厚さを有する、請求項14に記載のゴルフ・クラブ・ヘッド。
【請求項16】
前記周辺部材と前記後方部材の接合部をさらに備え、前記接合部は約1.5mmと約2mmの間の最大厚さを有する、請求項1に記載のゴルフ・クラブ・ヘッド。
【請求項17】
前記周辺部材と前記後方部材の接合部をさらに備え、前記後方部材は前記接合部から前記後方部材の対向端まで先細りし、前記対向端は約0.6mmと約0.9mmの間の厚さを有する、請求項1に記載のゴルフ・クラブ・ヘッド。
【請求項18】
前記クラウン、ソール、及びスカートの少なくとも1つは、少なくとも一部が金属材料から作製され、前記フェース板は複合材料から成る、請求項1に記載のゴルフ・クラブ・ヘッド。
【請求項19】
前記フェース板は金属製キャップをさらに備え、前記金属製キャップの表面はフェース板の打撃表面を形成している、請求項18に記載のゴルフ・クラブ・ヘッド。
【請求項20】
前記金属製キャップは前記周辺部材に直接結合された縁を備えている、請求項19に記載のゴルフ・クラブ・ヘッド。
【請求項21】
前記縁は前記フェース板の周辺部周りに連続している、請求項20に記載のゴルフ・クラブ・ヘッド。
【請求項22】
前記縁は、前記フェース板の周辺部周りに複数のセグメントを備えている、請求項20に記載のゴルフ・クラブ・ヘッド。
【請求項23】
前記フェース板は約4mm未満の厚さを有している、請求項18に記載のゴルフ・クラブ・ヘッド。
【請求項24】
前記フェース板の前部表面は、前記前方壁の前部表面と実質的に面一である、請求項1に記載のゴルフ・クラブ・ヘッド。
【請求項1】
クラウンと、
ソールと、
前記クラウンと前記ソールの間に配置され、トウ端及びヒール端を有するスカートと、
前記クラウン、前記ソール、及び前記スカートに結合され、前部開口を画定する前方壁と、
前記前部開口の周辺部の少なくとも一部に結合され、かつそこから後方に延びる周辺部材と、
前記周辺部材に直接結合され、かつそこから前記前部開口の中心に向かって内向きに延びる後方部材と、
前記後方部材に結合されたフェース板と、を備えるゴルフ・クラブ・ヘッド。
【請求項2】
前記周辺部材の少なくとも一部が、前記クラウン、前記ソール、前記トウ端、又は前記ヒール端、若しくはそれらの組合せに近接して配置されている、請求項1に記載のゴルフ・クラブ・ヘッド。
【請求項3】
前記周辺部材は前記前部開口の周辺部周りに連続している、請求項1に記載のゴルフ・クラブ・ヘッド。
【請求項4】
前記周辺部材は、前記前方壁の前部表面から約3mmと約30mmの間に延在する、請求項1に記載のゴルフ・クラブ・ヘッド。
【請求項5】
前記周辺部材は、前記前方壁の前部表面から約4mmと約6mmの間に延在する、請求項4に記載のゴルフ・クラブ・ヘッド。
【請求項6】
前記周辺部材は約0.5mmと約2.5mmの間の厚さを有する、請求項1に記載のゴルフ・クラブ・ヘッド。
【請求項7】
前記周辺部材は、水平方向に測って少なくとも1.5mmの第1の距離だけ前記スカートから離間され、前記第1の距離は、前記前部開口に近接する側部前方表面から約2mm後方で測定される、請求項1に記載のゴルフ・クラブ・ヘッド。
【請求項8】
前記周辺部材は、垂直方向に測って少なくとも1mmの第1の距離だけ前記クラウンから離間され、前記第1の距離は、前記前部開口に近接する上部前方表面から約2mm後方で測定される、請求項1に記載のゴルフ・クラブ・ヘッド。
【請求項9】
前記周辺部材は、垂直方向に測って少なくとも1mmの第1の距離だけ前記ソールから離間され、前記第1の距離は、前記前部開口に近接する下部前方表面の約2mm後方で測定される、請求項1に記載のゴルフ・クラブ・ヘッド。
【請求項10】
前記後方部材の少なくとも一部が、前記クラウン、前記ソール、前記トウ端、又は前記ヒール端、若しくはそれらの組合せに近接して配置される、請求項1に記載のゴルフ・クラブ・ヘッド。
【請求項11】
前記後方部材は前記前部開口の周辺部周りに連続している、請求項1に記載のゴルフ・クラブ・ヘッド。
【請求項12】
前記後方部材は、前記前部開口の前記中心に対して前記周辺部材の内側表面から約2mmと約25mmの間に延在する、請求項1に記載のゴルフ・クラブ・ヘッド。
【請求項13】
前記後方部材は、前記前部開口の前記中心に対して前記周辺部材の内側表面から約2mmと約7mmの間に延在する、請求項12に記載のゴルフ・クラブ・ヘッド。
【請求項14】
前記後方部材は約0.5mmと約2.5mmの間の厚さを有する、請求項1に記載のゴルフ・クラブ・ヘッド。
【請求項15】
前記後方部材は約0.6mmと約1.5mmの間の厚さを有する、請求項14に記載のゴルフ・クラブ・ヘッド。
【請求項16】
前記周辺部材と前記後方部材の接合部をさらに備え、前記接合部は約1.5mmと約2mmの間の最大厚さを有する、請求項1に記載のゴルフ・クラブ・ヘッド。
【請求項17】
前記周辺部材と前記後方部材の接合部をさらに備え、前記後方部材は前記接合部から前記後方部材の対向端まで先細りし、前記対向端は約0.6mmと約0.9mmの間の厚さを有する、請求項1に記載のゴルフ・クラブ・ヘッド。
【請求項18】
前記クラウン、ソール、及びスカートの少なくとも1つは、少なくとも一部が金属材料から作製され、前記フェース板は複合材料から成る、請求項1に記載のゴルフ・クラブ・ヘッド。
【請求項19】
前記フェース板は金属製キャップをさらに備え、前記金属製キャップの表面はフェース板の打撃表面を形成している、請求項18に記載のゴルフ・クラブ・ヘッド。
【請求項20】
前記金属製キャップは前記周辺部材に直接結合された縁を備えている、請求項19に記載のゴルフ・クラブ・ヘッド。
【請求項21】
前記縁は前記フェース板の周辺部周りに連続している、請求項20に記載のゴルフ・クラブ・ヘッド。
【請求項22】
前記縁は、前記フェース板の周辺部周りに複数のセグメントを備えている、請求項20に記載のゴルフ・クラブ・ヘッド。
【請求項23】
前記フェース板は約4mm未満の厚さを有している、請求項18に記載のゴルフ・クラブ・ヘッド。
【請求項24】
前記フェース板の前部表面は、前記前方壁の前部表面と実質的に面一である、請求項1に記載のゴルフ・クラブ・ヘッド。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図5A】
【図5B】
【図6】
【図6A】
【図6B】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図10A】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図5A】
【図5B】
【図6】
【図6A】
【図6B】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図10A】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2011−173013(P2011−173013A)
【公開日】平成23年9月8日(2011.9.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−132392(P2011−132392)
【出願日】平成23年6月14日(2011.6.14)
【分割の表示】特願2005−123040(P2005−123040)の分割
【原出願日】平成17年4月21日(2005.4.21)
【出願人】(500014161)テイラー メイド ゴルフ カンパニー インコーポレイテッド (6)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年9月8日(2011.9.8)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年6月14日(2011.6.14)
【分割の表示】特願2005−123040(P2005−123040)の分割
【原出願日】平成17年4月21日(2005.4.21)
【出願人】(500014161)テイラー メイド ゴルフ カンパニー インコーポレイテッド (6)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]