説明

サイジング装置

【課題】サイジングダイ、水槽を短時間に交替できるサイジング装置とする。
【解決手段】装置本体3にテーブルを第1の位置と第2の位置とに押出ラインaと直交した横方向に移動自在に取り付け、このテーブルに2つのサイジングユニット6,6を前記横方向に隣り合って着脱自在に取り付け、前記テーブルが第1の位置のときには一方のサイジングユニット6が押出ラインaと合致し、かつ他方のサイジングユニット6が押出ラインaと外れ、前記テーブルが第2の位置のときには他方のサイジングユニット6が押出ラインaと合致し、かつ一方のサイジングユニット6が押出ラインaと外れるように構成したサイジング装置で、前記テーブルが第1の位置で押出作業しているときに他方のサイジングユニット6を交替用サイジングユニットとし、押出作業終了して休止しているときにテーブルを第2の位置に移動することでサイジングユニット6を交替でき、サイジングダイ6b、水槽6cを短時間に交替できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、押出機により金型から押し出された熱く変形し易い状態の樹脂成形品を、冷却しつつサイジングして変形の起こらない程度に所定の寸法、形状に固化する樹脂成形品用のサイジング装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、樹脂成形品用のサイジング装置としては種々のものが提案されている。
例えば、特許文献1に開示したように、サイジングダイと水槽を備え、そのサイジングダイによって金型から押し出された樹脂成形品を冷却しつつサイジングして所定の寸法、形状に固化し、その後に水槽を通すことで常温とする第1のサイジング装置が提案されている。
また、特許文献2に開示したように、テーブル上にセットしたサイジングダイ、水槽を、交替装置で新しいサイジングダイ、水槽と交替できるようにした第2のサイジング装置が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平9−117955号公報
【特許文献2】米国特許公開2006−0157887号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前述したサイジング装置は、押出成形する樹脂成形品に対応したサイジングダイ、水槽を用いるので、金型を交替したときにはサイジングダイ、水槽を交替する必要がある。
前述した従来の特許文献1のサイジング装置では、サイジングダイ、水槽の交替については何ら述べていないが、一般には、旧いサイジングダイ、水槽を取り外し、その後に新しいサイジングダイ、水槽を取り付けて交替するので、その交替作業が面倒で、長時間かかってしまうから、押出作業効率が悪くなってしまう。
前述した従来の特許文献2のサイジング装置は、交替装置でサイジングダイ、水槽を交替することができるとしているが、その交替作業を具体的に実施することが開示されていないので、この第2のサイジング装置に基づいてサイジングダイ、水槽を短時間に交替可能なサイジング装置とすることは困難である。
【0005】
本発明の目的は、サイジングダイ、水槽を短時間に交替できるようにしたサイジング装置とすることである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、金型2の押出方向の下流側に設置されるサイジング装置であって、
前記押出方向と直交した横方向に隣り合う2つのサイジングユニット取付部を有したテーブルを、装置本体3に、2つのサイジングユニット取付部の一方が生産位置で、他方が待機位置となる第1の位置と、前記2つのサイジングユニット取付部の他方が生産位置で、一方が待機位置となる第2の位置とに亘って横方向に移動自在に設け、
前記生産位置のサイジングユニット取付部に着脱自在に取り付けた実際に冷却、サイジングする生産用サイジングが押出ラインaと合致するようにし、
前記待機位置のサイジングユニット取付部に、交替用サイジングユニットを着脱自在に取り付け可能としたことを特徴とするサイジング装置である。
【0007】
本発明においては、前記装置本体3は上下方向に移動自在としたサイジング装置とすることができる。
【0008】
このようにすれば、装置本体3を上下に移動することで、テーブルとともにサイジングユニットが上下方向に移動するから、樹脂成形品の断面形状によって押出ラインaの高さが変化した場合に、サイジングユニット6を上下に移動してサイジングユニット6の上下方向の中心を押出ラインaの高さに合わせることができる。
【0009】
本発明においては、前記装置本体3を押出方向に往復移動自在としてサイジングユニット6を金型2に接近、離隔できるようにしたサイジング装置とすることができる。
【0010】
このようにすれば、押出作業時にはサイジングユニット6を金型2に接近して、そのサイジングユニット6と金型2の間隔を押出動作に適した狭い間隙とすることができる。サイジングユニット交替時にはサイジングユニット6を金型2と離隔して、そのサイジングユニット6と金型2の間隙を広い間隙とし、サイジングユニット6が金型2と干渉せずに容易に交替できる。
【0011】
本発明においては、前記サイジングユニットは、サイジングダイ6bと水槽6cを有し、前記装置本体3の押出ラインaと合致した位置に、冷却水用可動カプラ71と空気吸引用可動カプラ72を上下動自在に備えた可動カプラ機構70を取り付け、
前記2つのサイジングユニット取付部に、冷却水用固定カプラ81と空気吸引用固定カプラ82を備えた固定カプラ機構80を、前記押出ラインaと合致したサイジングユニット取付部の各固定カプラ81,82が前記各可動カプラ71,72と相対向し、その各可動カプラ71,72を上下に移動することで各固定カプラ81,82に接続、分離するようにそれぞれ取り付け、
前記各冷却水用固定カプラ81から各サイジングユニット6のサイジングダイ6bの水流路に冷却水を供給し、かつ各空気吸引用固定カプラ82から前記各サイジングダイ6bの空気流路の空気を吸引できるようにし、
前記冷却水用可動カプラ71に冷却水を供給し、かつ前記空気吸引用可動カプラ72の空気を吸引できるようにしたサイジング装置とすることができる。
【0012】
このようにすれば、可動カプラ機構70の冷却水用可動カプラ71、空気吸引用可動カプラ72を上下に移動することで、押出ラインaと合致した固定カプラ機構80の冷却水用固定カプラ81、空気吸引用固定カプラ82に接続、分離できる。
したがって、サイジングユニット6を交替するときに、前記各可動カプラ71,72を上下に移動することで押出ラインaと合致したサイジングユニット6のサイジングダイ6bに冷却水を供給できると共に、空気を吸引できる状態にでき、その作業が簡単で短時間にできるので、サイジングユニット6の交替を短時間にできる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、押出作業しているときにテーブルの押出ラインaと外れた待機位置のサイジングユニット取付部に交替用サイジングユニットを取り付け、押出作業終了して休止したときに、前記テーブルを横方向に移動することで、交替用サイジングユニットを押出ラインaと合致して次の押出作業時に冷却、サイジングすることができる。
したがって、サイジングダイ6b、水槽6cを短時間に交替することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の実施の形態を示すサイジング装置の概略平面図である。
【図2】サイジング装置の拡大詳細正面図である。
【図3】サイジング装置の拡大詳細側面図である。
【図4】図2のA−A横断面図である。
【図5】図2のB−B横断面図である。
【図6】第1テーブル、第2テーブルのカプラ機構取付部の拡大平面図である。
【図7】図6のC−C断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1に示すように、本発明のサイジング装置1は金型2の押出方向の下流側に設置される。
前記サイジング装置1は、装置本体3と第1テーブル4と第2テーブル5とサイジングユニット6を備えている。
前記装置本体3は、押出方向に沿って往復移動すると共に、上下方向に移動する。例えば、押出方向に沿って設置したレール7に沿って金型2に接近したり、離隔(下流側)する方向に移動する。
前記第1テーブル4と第2テーブル5は、装置本体3の上部に押出方向と直交した横方向に隣り合うように間隔を置いて設けてあり、第1・第2テーブル4,5は、それぞれ横方向に移動自在である。例えば、装置本体3の上面に複数のガイド8を設け、このガイド8に沿って第1・第2テーブル4,5が横方向に移動自在である。
前記サイジングユニット6は基板6aにサイジングダイ6bと水槽6cを取り付けたもので、第1テーブル4と第2テーブル5に基板6aを固定手段9で着脱自在に固定し、第1テーブル4と第2テーブル5にサイジングユニット6が着脱自在に取り付けてある。
以下の説明で、図示しない押出機から金型2を通して樹脂が押出される方向を押出方向とし、押出機と反対側であって金型2に対して離れることを下流とする。そして、前記押出方向に対し水平面上で直交する方向を横方向とし、水平面に直交する方向を上下方向とする。
【0016】
図1に示す状態は第1テーブル4が押出ラインaと合致した生産位置で、第2テーブル5が押出ラインaから外れた待機位置である。
押出ラインaは、押出成型される樹脂成形品と同じライン上であって、押出方向に延びるラインを仮想線で表したものである。押出ラインaは樹脂成形品の断面形状での重心に設定される。ただし、以下の図示および説明において理解しやすくするために、例えば図3、図7では、押出ラインaの横方向の位置を説明するために押出ラインaに沿い、かつ垂直方向に延びる仮想線で表している。
これによって、第1テーブル4が生産用テーブルで、その第1テーブル4に取り付けたサイジングユニット6が押出ラインaと合致して実際に冷却、サイジングする生産用サイジングユニットとなる。第2テーブル5が外段取り用テーブルで、その第2テーブル5に取り付けたサイジングユニット6が押出ラインaから外れ、前述の生産用サイジングユニットの横方向に隣り合って待機する交替用サイジングユニットである。
サイジングユニット6は、金型2を通して押出成型された樹脂成形品を所定の形状の穴を有する枠材に挿通し、その状態で冷却し、かつサイジングユニット6内を負圧とすることで、押出された直後の柔らかい状態を、前記所定の形状の穴によって所定の寸法、形状となるように成型し、樹脂成形品となるように固化するものであり、このことを冷却およびサイジングすると表す。なお、負圧とは大気圧よりも低い圧力であり、空気を吸引することで圧力を低くする。
図1に示す状態から第1・第2テーブル4,5を横方向に移動して第2テーブル5を押出ラインaと合致した生産位置とすると共に、第1テーブル4を押出ラインaから外れた待機位置とすると、第2テーブル5が生産用テーブルとなり、その第2テーブル5に取り付けたサイジングユニット6が押出ラインaと合致した生産用サイジングユニットとなると共に、第1テーブル4が押出ラインaから外れ外段取り用テーブルとなり、その第1テーブル4に取り付けたサイジングユニット6を取り外し、交替用サイジングユニットを取り付ける。
外段取りとは、生産中に次の生産に必要な準備を段取りすることで、生産中の押出ラインaの外側で行うことである。
【0017】
このようであるから、金型交替時に第1テーブル4と第2テーブル5を横方向に移動することで、サイジングユニット6を交替できる。
しかも、押出動作しているときに待機位置の第1又は第2テーブル4,5に交替用サイジングユニットを取り付けることができ、金型交替時には第1・第2テーブル4,5を横方向に移動することでサイジングユニットを交替できる。
したがって、サイジング装置3のサイジングユニット、つまりサイジングダイ6bと水槽6cを短時間に交替できる。
【0018】
前述の第1テーブル4と第2テーブル5を一体として1つのテーブルとしても良い。第1・第2テーブル4,5はサイジングユニット6を取付可能なサイジングユニット取付部であるので、押出方向と直交した横方向に隣り合って2つのサイジングユニット取付部を有し、どちらか一方のサイジングユニット取付部が生産位置で、かつ他方が待機位置となる第1の位置と、どちらか他方のサイジングユニット取付部が生産位置で、かつ他方が待機位置となる第2の位置に亘って移動自在なテーブルとすれば良い。
【0019】
前記装置本体3を上下に移動することで、第1・第2テーブル4,5とともにサイジングユニット6が上下方向に移動するので、樹脂成形品の断面形状によって押出ラインaの高さが変化した場合に、サイジングユニット6を上下に移動してサイジングユニット6の上下方向の中心を押出ラインaの高さに合わせることができる。
サイジングユニット6の中心は、樹脂成形品6の断面形状の重心と同じ位置である。
【0020】
前記装置本体3を押出方向に移動することで、サイジングユニット6を金型2に接近したり、離隔したりできるから、押出作業時にはサイジングユニット6を金型2に接近し、サイジングユニット6と金型2の間隙を、押出動作に適した狭い間隙とすることができ、サイジングユニット交替時にサイジングユニット6を金型2と離隔して金型2とサイジングユニット6の間隙を広い間隙としてサイジングユニット6が金型2と干渉せずに容易に交替できる。
つまり、サイジングユニット6と金型2が押出動作に適した間隙のままサイジングユニット6を交替すると、そのサイジングユニット6が金型2と干渉する恐れがあるので、注意深く交替しなければならず、交替作業がやりづらい。
【0021】
次に、各部材の具体形状を図2〜図5に基づいて説明するが、図1は本発明を理解し易いように概略的に図示してあると共に、図2〜図5は図1に示すものを拡大して押出方向の中間部分を省略して図示してあるので、図1に示す部材と図2〜図5に示す部材は形状、寸法等が相違することがある。
【0022】
前記装置本体3はテーブル取付部3aと車輪取付部3bを備えている。
前記テーブル取付部3aは、上枠体10と下枠体11を上下方向に延びる複数の縦材12で連結した枠組み形状で、その上枠体10、下枠体11は押出方向に長尺な一対の横材10a,11aと、この一対の横材10a,11bを連結する横方向に延びる複数の短尺な横材10b,11bを有し、テーブル取付部3aは押出方向の長さが横方向の長さよりも長い。
前記車輪取付部3bは、押出方向に間隔を置いて設けた複数の横方向に向かう横材20と、この横材20の横方向両端寄りに取り付けたプレート21と、各横材20を連結する連結材22を有している。
【0023】
前記各横材20に横方向一対の車輪23が回転自在にそれぞれ取り付けてある。この各車輪23が設置面に設置したレール7に回転自在に接している。
そして、前記車輪取付部3bはテーブル取付部3aに上下ガイド24で上下移動自在に連結され、昇降機構25を駆動することで車輪取付部3bに対してテーブル取付部3aが上下に移動し、装置本体3を上下方向に移動することができる。
【0024】
前記上下ガイド24と前記昇降機構25は、前記テーブル取付部3aの上枠体10に、前記各プレート21と対向してそれぞれ固着した補助プレート13と、前記各プレート21とに亘ってそれぞれ設けてある。
前記ガイド24は、補助プレート13に固着したガイド筒24aと、前記プレート21に立設したガイドポスト24bを備え、そのガイドポスト24bをガイド筒24a内にスライド自在に挿入してある。
前記昇降機構25は、補助プレート13に固定したナット部材25aと、前記プレート21に回転自在に支承した上下用ねじ25bを備え、その上下用ねじ25bをナット部材25aに螺合し、その上下用ねじ25bを回転することで補助プレート13がプレート21に対して上下に移動するようにしてある。
【0025】
前記各昇降機構25の上下用ねじ25bは回転機構30で正逆回転駆動される。
前記回転機構30は図4に示すように、車輪取付部3b、例えば横材20に固着した取付プレート25bに取り付けた上下用モータ31と、前記各プレート21に設けたねじ回転部32と、前記モータ31の回転を前記各ねじ回転体32に伝える回転伝達部33を備えている。
前記ねじ回転部32は、回転軸32aの回転によって上下用ねじ25bが回転する構成、例えば回転軸32aと上下用ねじ25bを歯車で連係した構成である。
前記回転伝達部33は、前記上下用モータ31の出力軸31aを伝達歯車群33a、軸33bで前記各回転軸32aに連結し、その出力軸31aの回転を各回転軸32aに伝達する。
【0026】
このようであるから、上下用モータ31を正逆回転することで各回転軸32aが正逆回転し、それによって各上下用ねじ25bが正逆回転することで、テーブル取付部3aが車輪取付部3bに対して上下に移動する。
【0027】
前記車輪取付部3bは移動機構40で押出方向に往復移動される。
該移動機構40は、車輪取付部3b、例えば横材20に取り付けたナット部材41と、前記レール7を設置した設置面bに取り付けた移動用モータ42と、この移動用モータ42で正逆回転される移動用ねじ43を備え、この移動用ねじ43を前記ナット部材41に螺合してある。
前記移動用ねじ43は減速機44、ベルト45を介して移動用モータ42の出力側に連結され、その移動用モータ42を駆動することで移動用ねじ43が正逆回転し、車輪取付部3bがレール7に沿って車輪23で押出方向に移動し、この車輪取付部3bとともにテーブル取付部3aが押出方向に移動する。
【0028】
前記第1テーブル4、第2テーブル5は前記ガイド8に接した摺動子4a,5aを有し、テーブル移動機構50で横方向に移動される。
前記テーブル移動機構50は、図5に示すように装置本体3のテーブル取付部3aの上部、例えば上枠体10の横材10a間に横架した取付用横材51に取り付けたテーブル移動用モータ52と、このモータで回転駆動される横移動用ねじ53と、この横移動用ねじ53に螺合したナット部材54を備え、このナット部材54を図2、図3に示すように第1テーブル4、第2テーブル5にそれぞれ固着してある。
そして、テーブル移動用モータ52で横移動用ねじ53を正逆回転することで、第1テーブル4、第2テーブル5が同期して横方向に移動し、第1テーブル4と第2テーブル5の一方に取り付けたサイジングユニット6が押出ラインaと合致し、他方に取り付けたサイジングユニット6が押出ラインaと外れる。
【0029】
図3では、第1テーブル4に取り付けたサイジングユニット6の中心が押出ラインaと合致している。
この状態から第1・第2テーブル4,5を矢印cで示すように横方向の一方に移動すると、第2テーブル5に取り付けたサイジングユニット6の中心が押出ラインaと合致する。
【0030】
前記横移動用モータ52の出力側は減速機55で回転軸56に連結され、この回転軸56は回転伝達部57で前記横移動用ねじ53に連結されている。
前記回転伝達部57は、一対の横材10a間に連結した一対の取り付け用横材58に設けた横板59上に取り付けてある。
【0031】
前述の説明において、ガイド8、上下ガイド24、昇降機構25及び横移動用ねじ53は、それぞれ押出方向に一対設けてあるが、これに限ることはなく、押出方向に間隔を置いて3つ以上設けても良い。
【0032】
前記サイジングユニット6は図2と図3に示すように、第1・第2テーブル4,5の取付用台4b,5bに、サイジングユニット6の基板6aを固定手段9で着脱自在に連結している。
前記固定手段9は基板6aを取付用台6dに連結、分離できるものであれば良い。
例えば、第1・第2テーブル4,5の取付用台4b,5bに設けたフックと、基板6aに設けたフック受を備え、そのフックを手動や油圧力、モータ回転力などの動力を利用して係合姿勢と離脱姿勢に移動する固定手段、ボルト・ナット等とすることができる。
【0033】
前記取付用台4b,5bは第1・第2テーブル4,5に取り付けてある。
【0034】
前記サイジングダイ6bは冷却水が流通する水流路と、空気が流通する空気流路を有し、水流路に流通する冷却水で金型2から押し出された熱い樹脂成形品を冷却しつつ、空気流路を流通する空気でサイジングダイ6b内に負圧を発生させ、その負圧を利用して前述の樹脂成形品をサイジングするので、そのサイジングダイ6bには冷却水を供給すると共に、空気を吸引できるようにする必要がある。
このために、装置本体3に冷却水タンクと水供給ポンプ、真空発生ポンプを設け、その水供給ポンプに接続した水供給ホースをサイジングダイ6の水流路に接続し、真空発生ポンプに接続した空気吸引ホースをサイジングダイ6の空気流通路に接続することが考えられるが、このようにすると、前述したようにサイジングダイ6の交替のつど、水供給ホース、空気吸引ホースを接続し直すことになるので、その作業が面倒で長時間かかり、サイジングユニットの交替時間が長くなってしまう。
【0035】
そこで、本発明は図6、図7に示すように、装置本体3の押出ラインaと合致した位置に可動カプラ機構70を取り付け、第1テーブル4、第2テーブル5(テーブルの2つのサイジングユニット取付部)に固定カプラ機構80をそれぞれ取り付け、押出ラインaと合致した第1テーブル4又は第2テーブル5の固定カプラ機構80に、可動カプラ機構70を着脱できるようにしてある。カプラは接続、分離可能なカップリング部である。
前記可動カプラ70は、冷却水用可動カプラ71と空気吸引用可動カプラ72と、この各可動カプラ71,72を上下に移動する移動用シリンダ73を備え、前記冷却水用可動カプラ71に水供給ホース74を接続して図示しない水供給ポンプに連通して冷却水を供給できるようにし、前記空気吸引用可動カプラ72に空気吸引ホース75を接続して図示しない真空発生ポンプに連通して空気を吸引できるようにしてある。
【0036】
前記各固定カプラ機構80は、冷却水用固定カプラ81と空気吸引用固定カプラ82を備え、この冷却水用固定カプラ81の流出側がニップル83、第1ホース84(つまり、配管)で各サイジングダイ6bの水流路に連通している。
前記空気吸引用固定カプラ82の流入側はニップル85、第2ホース86(つまり、配管)で各サイジングダイ6bの空気流路に連通している。
前記押出ラインaと合致した固定カプラ機構80の固定カプラ81,82の流入側、流出側が、前記可動カプラ機構70の可動カプラ71,72と接続、分離するようにしてある。
図6では可動カプラ71,72が雌で、固定カプラ81,82が雄であるが、反対でも良い。また、図6にはサイジングダイ6の図示が省略してある。
【0037】
このようであるから、図7に示す状態からサイジングダイ6bを交替するときには、移動用シリンダ73で各可動カプラ71,72を下方に移動して第1テーブル4に設けた固定カプラ機構80の各固定カプラ81,82から分離する。
この後に、第1・第2テーブル4,5を横方向に移動して第2テーブル5およびサイジングダイ6bの中心を押出ラインaと合致し、移動用シリンダ73で各可動カプラ71,72を上方に移動して第2テーブル5に設けた固定カプラ機構80の各固定カプラ81,82に嵌合して接続する。
これによって、交替したサイジングユニット6のサイジングダイ6bの水流路に冷却水を供給できると共に、空気流路内の空気を吸引することができ、前述した面倒なホースの接続し直し作業が不要であるから、サイジングユニット6の交替時間を短くできる。
【0038】
前記可動カプラ機構70は、装置本体3(テーブル取付部3a)の上部に吊り下げて取り付けた本体76と、この本体76に上下ガイド77で上下動自在に取り付けたカプラ取付体78を備え、このカプラ取付体78と前記本体76とに亘って前記移動用シリンダ73を連結し、この移動用シリンダ73を伸縮することでカプラ取付体78を上下に移動して前述の冷却水用可動カプラ71、空気吸引用可動カプラ72を上下に移動するようにしてある。図7は各可動カプラ71,72が上方に移動して各固定カプラ81,82と接続している。
【0039】
前記固定カプラ機構80は、第1・第2テーブル4,5にカプラ取付体87を取り付け、このカプラ取付体87に第1孔88と第2孔89を形成する。
前記第1孔88、第2孔89はカプラ取付体87の横方向の側面87a,87bに開口して前記ニップル83,85が接続され、かつ下面87cに開口して前記冷却水用固定カプラ81、空気吸引用固定カプラ82が接続してある。
【0040】
図7に示すように、第1テーブル4に取り付けた固定カプラ機構80の冷却水用固定カプラ81に接続したニップル83、第1ホース84と、第2テーブル5に取り付けた固定カプラ機構80の空気吸引用固定カプラ82に接続したニップル85、第2ホース86は、押出方向に位置がずれて相互に干渉しないようにしてある。
例えば、第1テーブル4に取り付けた固定カプラ機構80と第2テーブル5に取り付けた固定カプラ機構80を180度向きを変えて取り付けてある。
このようであるから、第1テーブル4と第2テーブル5の横方向の間隔を小さくして、第1・第2テーブル4,5の全幅(横方向の寸法)を小さくすることができるので、第1・第2テーブル4,5の横方向の移動ストロークを短くできる。
【符号の説明】
【0041】
1…サイジング装置、2…金型、3…装置本体、4…第1テーブル、5…第2テーブル、6…サイジングユニット、6b…サイジングダイ、6c…水槽、70…可動カプラ機構、71…冷却水用可動カプラ、72…空気吸引用可動カプラ、80…固定カプラ機構、81…冷却水用固定カプラ、82…空気吸引用固定カプラ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
金型2の押出方向の下流側に設置されるサイジング装置であって、
前記押出方向と直交した横方向に隣り合う2つのサイジングユニット取付部を有したテーブルを、装置本体3に、2つのサイジングユニット取付部の一方が生産位置で、他方が待機位置となる第1の位置と、前記2つのサイジングユニット取付部の他方が生産位置で、一方が待機位置となる第2の位置とに亘って横方向に移動自在に設け、
前記生産位置のサイジングユニット取付部に着脱自在に取り付けた実際に冷却、サイジングする生産用サイジングが押出ラインaと合致するようにし、
前記待機位置のサイジングユニット取付部に、交替用サイジングユニットを着脱自在に取り付け可能としたことを特徴とするサイジング装置。
【請求項2】
前記装置本体3は上下方向に移動自在とした請求項1記載のサイジング装置。
【請求項3】
前記装置本体3を押出方向に往復移動自在としてサイジングユニット6を金型2に接近、離隔できるようにした請求項1又は2記載のサイジング装置。
【請求項4】
前記サイジングユニットは、サイジングダイ6bと水槽6cを有し、
前記装置本体3の押出ラインaと合致した位置に、冷却水用可動カプラ71と空気吸引用可動カプラ72を上下動自在に備えた可動カプラ機構70を取り付け、
前記2つのサイジングユニット取付部に、冷却水用固定カプラ81と空気吸引用固定カプラ82を備えた固定カプラ機構80を、前記押出ラインaと合致したサイジングユニット取付部の各固定カプラ81,82が前記各可動カプラ71,72と相対向し、その各可動カプラ71,72を上下に移動することで各固定カプラ81,82に接続、分離するようにそれぞれ取り付け、
前記各冷却水用固定カプラ81から各サイジングユニット6のサイジングダイ6bの水流路に冷却水を供給し、かつ各空気吸引用固定カプラ82から前記各サイジングダイ6bの空気流路の空気を吸引できるようにし、
前記冷却水用可動カプラ71に冷却水を供給し、かつ前記空気吸引用可動カプラ72の空気を吸引できるようにした請求項1〜3いずれか1項に記載のサイジング装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−212921(P2011−212921A)
【公開日】平成23年10月27日(2011.10.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−81962(P2010−81962)
【出願日】平成22年3月31日(2010.3.31)
【出願人】(000006828)YKK株式会社 (263)
【Fターム(参考)】