説明

サーボプレスの非常停止方法およびサーボプレス

【課題】通常プレス運転において干渉を回避しつつスライドを迅速かつ確実に非常停止できるようにする。
【解決手段】非常停止要求に基づきスライドの運動エネルギー量とエネルギー蓄積装置に蓄積可能な電力エネルギー量とを検出し、検出した運動エネルギー量に相当するモータの回生電力エネルギー量とエネルギー蓄積装置に蓄積可能な電力エネルギー量とを比較考量して回生ブレーキ動作だけで当該運動エネルギー量をもつスライドを確実に停止できるか否かを判別し、確実に停止できると判別できた場合に回生ブレーキ動作だけでかつ所定の停止動作パターンに従いスライドを停止させ、確実に停止できないと判別できた場合には回生ブレーキ動作に機械ブレーキ動作を加えかつ所定の停止動作パターンに従いスライドを停止させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
モータを駆動してスライドを昇降しつつ加工領域でプレス成形可能に形成されたサーボプレスおよびサーボプレスの非常停止方法に関する。
【背景技術】
【0002】
スライドを昇降しつつ加工領域でプレス成形可能なプレスでは、通常運転中に非常事態(例えば、加工領域内に人手が侵入する事態)が発生した場合に非常停止するように形成される。
【0003】
例えば、クラッチ・ブレーキ装置を備えた伝統的なプレス(いわゆる機械プレス)では、非常停止指令に基づきブレーキ動作(クラッチOFF・ブレーキON)させてスライドを停止させている。この場合、電源遮断状態にすることが多い。また、ワークの搬送装置を具備する場合は、クランク駆動機構の一部(回転軸、リンク等)と搬送装置の駆動軸とを連結してスライド昇降とワーク搬送とを同期運転可能に形成されている。
【0004】
また、ワーク搬送方向に複数の金型が配設された1台プレスとワークを各金型に順番に搬送するための搬送装置とを組合せた多段プレス(いわゆるトランスファプレス)の場合、プレスに関しては機械プレスの場合と同様であり、搬送装置に関しては例えば電源遮断により駆動モータを強制停止させている。
【0005】
サーボプレスは、スライドモーションを自在に選択設定でき、サーボモータを駆動してスライドを設定されたスライドモーションの通りに昇降しつつ加工領域でプレス成形できる。このサーボプレスの場合も、非常停止指令(非常停止要求)に基づきブレーキ動作させて非常停止する。ブレーキとしては、機械式ブレーキおよび電気的ブレーキとが知られている。
【0006】
機械式ブレーキとしては、電磁力を消滅させかつこれにより拘束が解かれたバネの付勢力でブレーキ動作させる電磁ブレーキ(特許文献1を参照)、空圧を利用してブレーキ動作可能に形成されたディスクブレーキ(特許文献2を参照)や摩擦抵抗式ブレーキ(特許文献3を参照)が公知である。
【0007】
また、電気式ブレーキとしては、モータの回転エネルギーを電気エネルギーに変換しかつこの電気エネルギーを抵抗で消費させてブレーキ動作させるダイナミックブレーキ(特許文献3を参照)や変換後の電気エネルギーをコンデンサに蓄積させつつブレーキ動作させる回生式ブレーキ(特許文献3を参照)が知られている。なお、特許文献3では、試験機能を付設することで電気式ブレーキや機械式ブレーキの劣化問題を解決する旨の記載がある。
【0008】
一般的には、非常停止を繰り返す程にブレーキシューが磨耗する機械式ブレーキの方が、劣化が早くかつ劣化程度が大きい。しかも、電気式ブレーキの電気部品を交換する場合に比較して、ブレーキシューやバネの交換作業や調整作業に手間と時間が掛かる。
【0009】
サーボプレスに組合される搬送装置に関しても、サーボモータを駆動して搬送動作させるサーボ駆動方式を採用するケースが増えている。特に、複数(例えば、N台)のサーボプレスと(N+1)台のサーボ搬送装置とを交互に配設しかつ各サーボプレスおよび当該各サーボ搬送装置を独立的に運転させることができる、いわゆるタンデム型プレスシステムを構築し易い。つまり、1台運転方式の機械プレスや多段同期運転方式のトランスファプレスの場合に比較して、プレス成形工程間の無駄時間を一掃化でき、生産性を飛躍的に向上できる。
【特許文献1】特開2003−290997号公報
【特許文献2】特開昭2007−44720号公報
【特許文献3】特開平2007−203353号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
ところで、サーボプレスにおいて、どのブレーキを採用しても、非常停止方法の基本は機械プレス等の場合と同じ考え方である。すなわち、人身保護等の観点からスライドを確実に停止させることを第1義としている。つまり、非常事態発生からスライド停止までの途中過程については関心が薄かった。以下の技術的事項が背景にあるからと推察する。
【0011】
すなわち、機械プレスの場合はプレスと搬送装置とが機械的に連結されかつ両者が同期運転されるので、プレスと搬送装置(あるいはワーク)とが衝突(干渉)することはない。トランスファプレスの場合は、プレスおよび搬送装置のイナーシャが大きく比較的に低速運転であるから、両者間の相対的位置を余裕あるものとして干渉回避可能な値に設定することができる。
【0012】
しかし、サーボ搬送装置を設けたサーボプレスでは、採用されたブレーキのブレーキ力(制動力)は装置仕様で決まる値であり、かつ積極的に減速制御されていないから、スライド停止までの減速停止時間は不定である。しかも、減速停止時間は減速開始時点のスライドのもつ運動エネルギー量の多少によって変動する。つまり、スライドと搬送装置等との確実に回避できるという保証がない。その上に、サーボプレスおよびサーボ搬送装置の小型化、高速化、ワーク形態や加工様態に関する適応性の拡大化が一段と促進される程に、比較的に軽度の非常事態(例えば、ワーク保持ミスによるワーク落下)が発生することがあるので、非常停止の機会が増える傾向が強い。
【0013】
これでは、全体的な高速運転により生産性を向上でき、加工領域内での低速運転により製品の品質・精度を大幅に上げられるというサーボプレスの優れた特性の十二分な発現を妨げる。すなわち、これまでの慣行的な考え方(非常事態が発生した場合には通常運転を打ち切りかつスライドを非常停止させる。)では、運用上の実際において大いなる不利・不都合が生じる。サーボプレスのさらなる普及拡大のためには、これら問題の解決が是非必要である。
【0014】
本発明の目的は、通常プレス運転中の非常停止指令に基づき干渉回避を担保しつつスライドを迅速かつ確実に非常停止可能なサーボプレスの非常停止方法およびサーボプレスを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明は、非常停止指令(要求)に基づき、電気式ブレーキ(回生式ブレーキ)のブレーキ動作を積極的に制御して所定の停止動作パターンに従いスライドを減速させることで干渉回避を確実としかつ機械ブレーキ動作制御を併用することで所定の停止動作パターンに従いスライドを迅速かつ確実に停止させるものである。
【0016】
すなわち、請求項1の発明に係るサーボプレスの非常停止方法は、モータを駆動してスライドを昇降しつつ加工領域でプレス成形可能に形成されたサーボプレスの非常停止方法であって、非常停止要求に基づきスライドの運動エネルギー量とエネルギー蓄積装置に蓄積可能な電力エネルギー量とを検出し、検出した運動エネルギー量に相当するモータの回生電力エネルギー量とエネルギー蓄積装置に蓄積可能な電力エネルギー量とを比較考量して回生ブレーキ動作だけで当該運動エネルギー量をもつスライドを確実に停止できるか否かを判別し、確実に停止できると判別できた場合に回生ブレーキ動作だけでかつ所定の停止動作パターンに従いスライドを停止させ、確実に停止できないと判別できた場合には回生ブレーキ動作に機械ブレーキ動作を加えかつ所定の停止動作パターンに従いスライドを停止させる、ことを特徴とする。
【0017】
請求項2の発明に係るサーボプレスは、モータを駆動してスライドを昇降しつつ加工領域でプレス成形可能に形成されたサーボプレスにおいて、非常停止のために用いる電気式ブレーキと機械式ブレーキを設けかつ電気式ブレーキを前記モータの回生電力エネルギーを交流電源側変換装置とモータ駆動用変換装置との間に接続されたエネルギー蓄積装置に蓄積しつつ回生ブレーキ動作可能な回生式ブレーキから形成し、回生式ブレーキの回生ブレーキ動作を所定の停止動作パターンに従いスライドを停止できるように制御する回生ブレーキ動作制御手段と、機械式ブレーキの機械ブレーキ動作を制御する機械ブレーキ動作制御手段と、非常停止指令に基づきこれからエネルギー蓄積装置に蓄積可能な電力エネルギー量を検出する蓄積可能電力エネルギー量検出手段と、非常停止指令に基づき前記スライドの運動エネルギー量を検出する運動エネルギー量検出手段と、検出された蓄積可能電力エネルギー量と運動エネルギー量とを利用して回生ブレーキ動作だけで前記スライドを確実に停止できるか否かを判別する確実停止可否判別手段と、回生ブレーキ動作だけで確実停止できると判別された場合に回生ブレーキ動作制御手段を起動してスライドを停止させるための指令を出力する第1の非常停止指令手段と、回生ブレーキ動作だけでは確実に停止できないと判別された場合に回生ブレーキ動作制御手段の起動に加え機械ブレーキ動作制御手段を起動させてスライドを停止させるための指令を出力する第2の非常停止指令手段とを設けたサーボプレスである。
【0018】
また、請求項3の発明は、確実停止可否判別手段が交流電源側回生可能電力エネルギー量を加味して判別可能に形成されている。請求項4の発明は、第2の非常停止指令手段が先に回生ブレーキ動作制御手段を起動させ、その後に機械ブレーキ動作制御手段を起動させるように形成されている。請求項5の発明は、第2の非常停止指令手段が検出された蓄積可能な電力エネルギー量の多少により機械ブレーキ動作制御手段の起動指令出力タイミングを変更可能に形成されている。請求項6の発明は、第2の非常停止指令手段は検出された蓄積可能な電力エネルギー量、検出された運動エネルギー量および交流電源側回生可能電力エネルギー量の多少により機械ブレーキ動作制御手段の起動指令出力タイミングを変更可能に形成されている。
【0019】
請求項7の発明に係るサーボプレスは、モータを駆動してスライドを昇降しつつ加工領域でプレス成形可能に形成されたサーボプレスにおいて、非常停止のために用いる電気式ブレーキと機械式ブレーキを設けかつ電気式ブレーキを前記モータの回生電力エネルギーを交流電源側変換装置とモータ駆動用変換装置との間に接続されたエネルギー蓄積装置に蓄積しつつ回生ブレーキ動作可能な回生式ブレーキから形成し、回生式ブレーキの回生ブレーキ動作を所定の停止動作パターンに従いスライドを停止できるように制御する回生ブレーキ動作制御手段と、機械式ブレーキの機械ブレーキ動作を制御する機械ブレーキ動作制御手段と、非常停止指令に基づきエネルギー蓄積装置に実際に蓄積されている電力エネルギー量を検出する実際蓄積電力エネルギー量検出手段と、検出された実際蓄積電力エネルギー量が当該エネルギー蓄積装置の蓄積限界値に近いか否かを判別する蓄積限界値接近判別手段と、蓄積限界値に近くはないと判別された場合に回生ブレーキ動作制御手段を起動してスライドを停止させるための指令を出力する余裕時非常停止指令手段と、蓄積限界値に近いと判別された場合に回生ブレーキ動作制御手段の起動に加え機械ブレーキ動作制御手段を起動させてスライドを停止させるための指令を出力する限界時非常停止指令手段とを設けた、サーボプレスである。
【0020】
さらに、請求項8の発明に係るサーボプレスは、モータを駆動してスライドを昇降しつつ加工領域でプレス成形可能に形成されたサーボプレスにおいて、非常停止のために用いる電気式ブレーキと機械式ブレーキを設けかつ電気式ブレーキを前記モータの回生電力エネルギーを交流電源側変換装置とモータ駆動用変換装置との間に接続されたエネルギー蓄積装置に蓄積しつつ回生ブレーキ動作可能な回生式ブレーキから形成し、回生式ブレーキの回生ブレーキ動作を所定の停止動作パターンに従いスライドを停止できるように制御する回生ブレーキ動作制御手段と、機械式ブレーキの機械ブレーキ動作を制御する機械ブレーキ動作制御手段と、エネルギー蓄積装置に蓄積可能な電力エネルギー量を検出する蓄積可能電力エネルギー量検出手段と、スライドの運動エネルギー量を検出する運動エネルギー量検出手段と、検出された蓄積可能電力エネルギー量と運動エネルギー量とを利用して回生ブレーキ動作を実行させた場合にエネルギー蓄積装置に蓄積される電力エネルギー量が当該エネルギー蓄積装置の蓄積限界値に到達する予測時刻を算出する予測時刻算出手段と、現在時刻が算出された予測時刻に到達したか否かを判別する予測時刻到達判別手段と、非常停止指令に基づき回生ブレーキ動作制御手段を起動してスライドを停止させるための指令を出力する非常停止先行指令手段と、予測時刻に到達したと判別された場合に回生ブレーキ動作制御手段の起動中に機械ブレーキ動作制御手段を起動させて前記スライドを停止させるための指令を出力する非常停止後行指令手段と、前記スライドが停止した場合に回生ブレーキ動作を終了するための指令を出力する回生ブレーキ動作終了指令手段を設けたサーボプレスである。また、請求項9の発明は、予測時刻算出手段は交流電源側回生可能電力エネルギー量を加味して予測時刻を算出する。
【0021】
請求項10の発明は、停止動作パターンは位置パターンまたは速度パターンとする。請求項11の発明は、機械式ブレーキのブレーキトルクをモータトルクと同様な値に選択することで回生式ブレーキの場合と同様な停止動作パターンでスライドを減速可能である。
【発明の効果】
【0022】
請求項1の発明によれば、通常プレス運転中の非常停止指令に基づき干渉回避を担保しつつスライドを迅速かつ確実に非常停止できるから、非常事態の解決および再プレス運転への復帰を迅速に行なえる。
【0023】
請求項2の発明によれば、通常プレス運転中の非常停止指令に基づき干渉回避を担保しつつスライドを迅速かつ確実に非常停止できるから、非常事態の解決および再プレス運転への復帰を迅速に行なえる。しかも、具現化容易でかつ取扱いが簡単である。
【0024】
請求項3の発明によれば、エネルギー蓄積装置の容量を変えずに非常停止運転可能時間を長期化できるから、請求項2の発明の場合に比較して一段と確実にスライド停止できるとともに機械式ブレーキの寿命を延ばせる。請求項4の発明によれば、機械ブレーキ動作時間を短縮化できる。よって、機械式ブレーキのメンテナンス作業サイクルを長期化できかつブレーキ自体の長寿命化を図れる。請求項5の発明によれば、請求項4の発明の場合に比較して機械ブレーキ動作時間を一段と短縮化できる。請求項6の発明によれば、回生ブレーキ動作時間の長期化を促進できるから請求項5の発明の場合に比較して機械ブレーキ動作時間を大幅に短縮化できる。
【0025】
請求項7の発明によれば、請求項2の発明の場合と同様に通常プレス運転中の非常停止指令に基づき干渉回避を担保しつつスライドを迅速かつ確実に非常停止できるから、非常事態の解決および再プレス運転への復帰を迅速に行なえる。しかも、具現化容易でかつ取扱いが簡単である。さらに、請求項2の発明の場合に比較してギリギリまで回生式ブレーキを有効利用できかつ機械式ブレーキを温存(非ブレーキ動作状態の保持)することができる。
【0026】
請求項8の発明によれば、請求項2の発明の場合と同様に通常プレス運転中の非常停止指令に基づき干渉回避を担保しつつスライドを迅速かつ確実に非常停止できるから、非常事態の解決および再プレス運転への復帰を迅速に行なえる。しかも、具現化容易でかつ取扱いが簡単である。さらに、請求項2、請求項7の各発明の場合に比較して回生ブレーキ動作との引継ぎを円滑に行なえかつ機械ブレーキ動作時間を一段と短縮化できる。請求項9の発明によれば、請求項8の発明の場合に比較して回生式ブレーキによる非常停止運転時間を延長化できる。
【0027】
請求項10の発明によれば、停止動作パターンを通常プレス運転用のスライドモーションパターンに比較して簡素な位置パターン、速度パターンとすることができるから、パターンを容易かつ迅速に作成できるとともに回生ブレーキ動作制御手段等の構造を簡素化・単純化できる。請求項11の発明によれば、機械式ブレーキのみでも所定の停止動作パターンに従う非常停止運転ができるから、当該時状況により回生ブレーキ動作時間が長短変化しても迅速で確実なスライド停止を担保できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
以下、本発明を実施するための最良の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0029】
(第1の実施の形態)
本サーボプレス10は、図1〜図4に示す如く、サーボモータ(以下、モータと略称する。)11を駆動してスライド16を昇降しつつ加工領域でプレス成形可能であるとともに、電気式ブレーキ(回生式ブレーキ100)と機械式ブレーキ200とを設けかつ回生ブレーキ動作制御手段61と機械ブレーキ動作制御手段62と蓄積可能電力エネルギー量検出手段63と運動エネルギー量検出手段64と確実停止可否判別手段65と第1の非常停止指令手段66と第2の非常停止指令手段67とを設け、非常停止要求(非常停止指令Semj)に基づきスライド16の運動エネルギー量Edyとエネルギー蓄積装置51に蓄積可能な電力エネルギー量Echkとを検出し、検出された運動エネルギー量Edyに相当するモータの回生電力エネルギー量Emgと検出された蓄積可能電力エネルギー量Echkとを比較考量して回生ブレーキ動作だけで当該運動エネルギー量Edy(=Emg)をもつスライド16を確実に停止できるか否かを判別し、確実に停止できると判別された場合に回生ブレーキ動作だけでかつ所定の停止動作パターンに従いスライド16を停止させ、確実に停止できないと判別された場合には回生ブレーキ動作に機械ブレーキ動作を加えかつ所定の停止動作パターンに従いスライド16を停止させる本非常停止方法(運転)を実施可能に形成されている。
【0030】
また、この実施の形態では、運動エネルギー量Edy、蓄積可能電力エネルギー量Echkの他に交流電源側回生可能電力エネルギー量Ecgを加味してスライド16を確実に停止できるか否かを判別するとともに蓄積可能電力エネルギー量Echk、運動エネルギー量Edy(=Emg)および交流電源側回生可能電力エネルギー量Ecgの多少により機械ブレーキ動作に対する起動指令出力タイミングを設定変更して停止させる非常停止方法(運転)を実施可能に形成されている。
【0031】
なお、タイミングチャートを示す図4において、(A)は回生式ブレーキだけで非常停止させる場合で、(B)は回生式ブレーキと機械式ブレーキを併用して非常停止する場合である。また、以下の説明では、「図4(A)の(1)」を「図4(A1)」と略称する。図4(A)の(2)以下の場合も同様である。また、「図4(B)の(1)」を「図4(B1)」と略称する。図4(B)の(2)以下の場合も同様である。
【0032】
この実施の形態では、図5に示すように、複数(N)台のサーボプレス10A、10B、…、10Nをワークの搬送方向(X方向)に配設し、(N+1)台のサーボ搬送装置300A、300B、…、300N、300(N+1)を各サーボプレス10間に位置するように配設したタンデム型プレスシステムを構成する場合について説明する。
【0033】
サーボ搬送装置300の搬送方式や構造は限定されないが、この実施の形態のサーボ搬送装置300は次の搬送動作ができる。すなわち、サーボ搬送装置(例えば、300B)はワーク保持部(図示省略)をX方向に後進移動させて前置のサーボプレス10Aからワークを取出しかつそのワークを保持したままX方向に前進移動させて後置のサーボプレス10Bの金型に取付け(セットし)、セット終了後にワーク保持部を後進移動しかつ前後のサーボプレス10A、10Bの中間位置(初期位置)に待機させる一連の搬送動作を自動的に行なえる。ワーク保持部は、ワークの平面四隅に対向可能とされ、空気噴流により生成した負圧でワークを保持(吸着)する構造である。
【0034】
図1において、交流サーボモータからなるモータ11のモータ軸11Sに接続されたギヤ2にメインギヤ13が噛み合わされ、メインギヤ13にはスライド駆動機構(クランク機構)のクランク軸14と、コンロッド15が接続されている。モータ11を駆動することで、スライド16を静止側のボルスタ17に対して昇降しつつ加工領域でプレス成形可能である。クランク軸14はモータ11の正転、逆転、速度可変制御により自由に回転駆動されるので、各種スライドモーションを自在に設定でき、これらの組合せや切換使用が可能である。プレス成形品の精度および生産性を向上でき、プレス成形態様に対する適応性が広い。
【0035】
モータ11の回転速度や回転位置は図2に示すエンコーダ45で検出され、信号Denとして位置速度制御部43およびプレス駆動制御部60に入力される。
【0036】
なお、モータ11としては、永久磁石を用いた同期モータや、誘導モータ、リラクタンスモータなどが利用できる。ここでは、交流サーボモータ(モータ11)は同期モータとして説明する。さらに、交流サーボモータでなく直流サーボモータを採用してもよい。また、スライド駆動機構はクランク機構としたが、他の機構(例えば、リンク機構、ボールネジ機構や直動機構)を用いても実施することができる。
【0037】
図2において、モータ11を駆動制御するモータ駆動制御装置30は、交流電源装置20と、交流電源側変換装置を形成する電源コンバータ31と、モータ駆動用変換装置を形成するインバータ41からなる。21は交流電路で、25が駆動側交流電路である。電源コンバータ31とインバータ41とを接続する直流電路(直流母線)23には、エネルギー蓄積装置51が接続されている。
【0038】
電源コンバータ31は、回生動作可能型である。この電源コンバータ31の回生可能な電力エネルギー量を交流電源側回生可能電力エネルギー量Ecgとする。回生可能電力エネルギー量検出手段69Aは、後記するプレス駆動制御部60の演算装置とメモリとから形成され、交流電源側回生可能電力エネルギー量Ecgを検出(算出)する。算出式に関しては詳細を後記する。
【0039】
電圧制御部33は、電源コンバータ31の直流電圧を所定値にするように動作し、インバータ41の力行、回生に伴う所要電力に応じて、エネルギー蓄積装置51のエネルギー蓄積制御や電源コンバータ31の電力授受制御を行なう。なお、直流電圧の所定値は一定値としても、サーボプレス10の運転状況に応じて可変としてもよい。この実施の形態では、プレス駆動制御部60から設定変更可能である。電圧制御部33の制御方法は周知であるので、詳細な説明は省略する。
【0040】
位置速度制御部43は、モータ11の位置制御、速度制御、電流制御、PWM制御を実施可能である。通常プレス運転中は位置速度制御に基づくPWM制御により電流を制御しつつモータ11を回転駆動する。この実施の形態の位置速度制御部43は、非常停止運転に際しては位置制御部または速度制御部として動作するように選択切換可能である。
【0041】
後記する速度パターン(または、位置パターン)が選択された場合は、非常停止運転に際し、プレス駆動制御部60から選択切換後の速度制御部(または、位置制御部)43にモータ11の速度制御指令(または、位置制御指令)が入力される。すなわち、速度制御部(または、位置制御部)43は、プレス駆動制御部60からの速度制御指令(または、位置制御指令)を入力信号としかつエンコーダ45からの検出信号Denおよび電流検出器46からの検出信号Diをフィードバック信号として速度制御信号(または、位置制御信号)を生成しかつインバータ41に出力する。インバータ41は、PWM制御によりモータ11の電流制御を行なう。インバータ41から可変周波、可変電圧の3相交流電圧がモータ11に出力され、モータ11はこれ従って運転(回転駆動)される。
【0042】
プレス駆動制御部60は、いずれも図示しない演算装置60C、メモリ60M、操作部、表示部、インターフェイス等を含み、各サーボプレス10を駆動制御するための信号を生成・出力する。詳細後記の各制御手段61,62、各検出手段63,64、確実停止可否判別手段65、各指令手段66,67,68,69は、当該各プログラムを格納させたメモリ60Mと当該各プログラムを実行する演算装置60Cとから形成されている。回生可能電力エネルギー量検出手段69Aの場合も同様である。また、かかる構成の手段に関しては、以下の説明において手段(60C、60M)として表現する場合がある。
【0043】
因みに、第2の実施の形態においては必須の実際蓄積電力エネルギー量検出手段74や蓄積限界値接近判別手段75および各指令手段76,77、並びに第3の実施の形態における予測時刻算出手段84、予測時刻到達判別手段85および各指令手段86,87の場合も同様に、メモリ60Mと演算装置60Cとから形成されている。
【0044】
システム運転管理部90は、プレス駆動制御部60および搬送駆動制御部(図示省略)に共通の上位コンピュータで、各サーボプレス10のプレス駆動制御部60にプレス運転信号Sprを出力し、各サーボ搬送装置の搬送駆動制御部に搬送運転信号Strを出力する。
【0045】
サーボプレス10ごとに出力されるプレス運転信号Sprは、通常運転指令部91から通常運転指令が入力された場合に設定スライドモーションに対応する通常運転信号として出力され、非常停止指令部95から非常運転指令(信号Semj)が入力された場合は非常停止運転信号として出力される。
【0046】
非常停止用の上記した各手段61,62,…,69,69Aは、プレス駆動制御部60(位置速度制御部43)が通常運転制御モードから非常停止制御モードに切換られた以降(図3のST10でYES、ST11)に動作可能となる。非常停止制御モードが解除された場合(ST24)は動作不能となる。制御モード切換指令手段は、システム運転管理部90内の図示しないCPU90Cとメモリ90Mとから形成され、非常停止指令(信号Semj)に基づく非常停止制御信号を出力して制御モードを切換える。
【0047】
同様に、各搬送運転信号Strは、サーボプレス10ごとに出力されるプレス運転信号(通常運転信号および非常停止運転信号)Sprに対応する信号とされかつサーボ搬送装置300ごとに出力される。
【0048】
すなわち、この実施の形態では、任意のサーボプレス(例えば、10B)が非常停止指令(信号Semj)に基づき所定の停止動作パターン(例えば、速度パターン)で急速に減速しかつスライド16を非常停止させる際に、サーボ搬送装置300を同期的に停止運転可能に形成してある。つまり、このサーボプレス10Bに対応する前置サーボ搬送装置300Bと後置サーボ搬送装置300Cについては所定の停止搬送パターンで急速に減速停止させる。通常運転の場合に関しては、公知であるので、説明を省略する。
【0049】
非常停止指令部95は、作業者により非常停止ボタンが押されたときのみならず、人身の安全および機器の保全を害するような非常事態の発生が自動検出されたときに、非常停止指令(信号Semj)を生成出力する。例えば、光電センサーにより侵入禁止領域内への人の侵入あるいは干渉発生が検出された場合、電圧検出器等によりモータ11の暴走あるいは電源電圧極低下が検出され場合、インターロックにより非常停止要求が通知された場合である。
【0050】
また、例えば、ワークの掴み損ない、ワークの不完全保持、ワークの落下等を発見した作業者が非常停止ボタンを押したときや、ワーク保持検出器や光線利用や画像処理等により非常事態(ワーク落下等)が自動検出されたときなどでも、非常停止指令(信号Semj)を生成出力可能に形成されている。
【0051】
いずれにしても、システム運転管理部90、プレス駆動制御部60、モータ駆動制御部30等の電源(直流電源および交流電源)を正常に維持しておけば、モータ11を所定の速度パターンに従って積極的に回転制御(回生ブレーキ動作)することができ、スライド16を急減速しつつ確実に停止できる。ここに、非常停止指令に基づき、少なくとも各ブレーキ動作を実行可能とする制御電源は遮断しない。要すれば、非常停止時間との関係で言えば数百mSec以上の短時間維持用のコンデンサやUSPを付設させればよい。
【0052】
エネルギー蓄積装置51としては、2次電池、大容量電解コンデンサ、電気二重層コンデンサなどが採用される。エネルギー蓄積装置51はモータ11からの回生電力エネルギーを蓄積し、回生ブレーキ動作可能期間を延長させることができる。この実施の形態では、エネルギー蓄積装置51は直流電路23に直接接続されている。エネルギー蓄積装置51と直流電路23との電圧が相異する場合には、エネルギー蓄積装置51を双方向に電力授受可能なDC/DCコンバータを介して直流電路23に接続する構成としてもよい。
【0053】
また、エネルギー蓄積装置51は、加速時やプレス成形時のようにモータ11が大量の電力を必要とするときに、蓄積した電力エネルギーをモータ11側に放電(供給)することができる。エネルギー蓄積装置51から電力を充放電することにより、電源コンバータ31や交流電源装置20の設備容量を低減しかつシステム効率を向上させるためにも有効である。
【0054】
エネルギー蓄積装置51に接続された蓄積エネルギー量検出部52は、構造簡素化および低コスト化を図れる電圧検出型を採用している。エネルギー蓄積装置51を電解コンデンサや電気二重層コンデンサから形成した場合は、検出された端子電圧を用いて実際に蓄積されている電力エネルギー量を算出することができる。この実施の形態では、電解コンデンサを用いている。
【0055】
この電解コンデンサ(51)の容量(電力エネルギー量の蓄積能力)、すなわち、図4に示す蓄積限界値Echmaxは、プレス駆動制御部60内のメモリ60Mに設定記憶されている。なお、蓄積限界値Echmaxは温度状態や経年変化によって異なるので、設定変更できる。
【0056】
ここに、蓄積可能電力エネルギー量検出手段63は、非常停止指令に基づき、これからエネルギー蓄積装置51に蓄積可能な電力エネルギー量Echkを検出する手段で、記憶された蓄積限界値Echmaxと検出された実際の蓄積電力エネルギー量Echaとの差として検出される(図3のST12)。つまり、式(Echmax−Echa=Echk)により蓄積可能電力エネルギー量Echkを検出する。インバータ41の損失やエネルギー蓄積装置51の蓄積時損失を考慮して算出する。
【0057】
上記の実際の蓄積電力エネルギー量(実際蓄積電力エネルギー量と称する場合もある。)Echaは、実際蓄積電力エネルギー量検出手段74により検出される。この実際蓄積電力エネルギー量検出手段74は、プレス駆動制御部60の演算機能を活用しかつ蓄積エネルギー量検出部52で検出された端子電圧を用いて実際蓄積電力エネルギー量Echaを算出(検出)する。このために、蓄積エネルギー量検出部52の検出値(検出信号Dep)は、図2に示すように、プレス駆動制御部60に入力される。もっとも、蓄積エネルギー量検出部52に演算機能等を持たせかつエネルギー蓄積装置51の蓄積電力エネルギー量Echaを直接的に検出可能に形成し、これを実際蓄積電力エネルギー量検出手段74として用いてもよい。
【0058】
機械式ブレーキ(メカブレーキ)200は、モータ11のモータ軸11Sに連結され、モータ軸11Sに直接(または、間接的でもよい。)に機械摩擦力を加えつつ機械ブレーキ動作する。開放されたバネの圧力による。この機械式ブレーキ200は、ブレーキ駆動部201に図4(B2)に示すブレーキ解放信号が入力されない場合(信号Lレベルの場合)が機械ブレーキ動作指令とされ、この指令から(B3)に示すタイムラグ△T(=t11−t1)の経過後に実際に機械ブレーキ動作する。
【0059】
他方、ブレーキ解放信号が入力された場合(信号Hレベルの場合)は、空気圧力や電磁力によりバネが拘束される。つまり、(B3)に示す時刻t0〜時刻t1の間のように非ブレーキ動作(ブレーキ解放状態)となる。図4(A2)、(A3)の場合も同様である。
【0060】
なお、機械式ブレーキ200はモータ11の回転軸11Sに接続されているが、その役割(スライドを非常停止および停止状態保持する。)を達成できるならば、他の部位に取り付けてもよい。
【0061】
次に、電気式ブレーキを形成する回生式ブレーキ100は、図2に示すモータ11、駆動側交流電路25、インバータ41、直流電路23およびエネルギー蓄積装置51から形成され、モータ11の回生電力エネルギーを交流電源側変換装置(31)とモータ駆動用変換装置(41)との間(直流電路23)に接続されたエネルギー蓄積装置51に蓄積しつつ回生ブレーキ動作可能に形成されている。
【0062】
運動エネルギー量検出手段64は、非常停止指令に基づきスライド16の運動エネルギー量Edyを検出する(図3のST13)。スライド16の運動エネルギー量Edyとは、スライド昇降中におけるスライド側の運動エネルギー量である。つまり、非常停止する際にモータ軸11Sの負荷となる可動側の機械的構造(スライド16、スライド駆動機構等およびモータ回転部を含む。)の全運動エネルギー量Edyである。この運動エネルギー量Edyは、エンコーダ45で検出された当該時の速度情報に対応するものとして算出(検出)される。メモリ60Mに記憶されたイナーシャ、摩擦係数、他の機械的損失等を考慮する。この運動エネルギー量Edyはモータ11の回生電力エネルギー量Emgに変換しておく。
【0063】
確実停止可否判別手段65は、非常停止運転に先立ち、検出された蓄積可能電力エネルギー量Echkと運動エネルギー量Edy(Emg)とを利用して回生ブレーキ動作だけで昇降中のスライド16を確実に停止(静止)することができるか否かを判別(図3のST16)する。つまり、回生電力エネルギー量Emgの全量をエネルギー蓄積装置51で吸収(蓄積)できる場合(Emg≦Echk)に確実停止できると判別する(ST16でYES)。吸収(蓄積)できない場合(Emg>Echk)は確実停止できないと判別する(ST16でNO)。
【0064】
すなわち、回生式ブレーキ100だけで確実停止できないと判別された場合は、スライド確実停止達成の観点から回生式ブレーキ100に加え機械式ブレーキ200を併用する。しかし、回生式ブレーキ100だけで確実停止できると判別された場合には、機械ブレーキ動作をさせないで機械式ブレーキ200の使用回数による劣化を軽減する。これにより、日常のメンテナンス作業回数を低減できかつ機械式ブレーキ200の寿命延長を図れる。
【0065】
この実施の形態では、回生動作可能型の電源コンバータ31としてあるので、電源コンバータ31が回生可能状態である場合(ST14でYES)においては、確実停止可否判別手段65は、ST12で検出された蓄積可能電力エネルギー量Echkと、ST13で検出された運動エネルギー量Edy(=Emg)との他に、ST15で検出された交流電源側回生可能電力エネルギー量Ecgを加味してスライド16を確実に停止できるか否かを判別可能(ST16)に形成されている。
【0066】
つまり、回生電力エネルギー量Emgの全量をエネルギー蓄積装置51および電源コンバータ31で吸収できる場合[Emg≦(Echk+Ecg)]に確実停止できると判別する(ST16でYES)。吸収できない場合[Emg>(Echk+Ecg)]には確実停止できないと判別する(ST16でNO)。なお、電源コンバータ31が動作不能な場合は、Ecg=0である。
【0067】
交流電源(20)側への回生可能電力エネルギー量Ecgは、回生可能電力エネルギー量検出手段69Aによって算出(検出)される。つまり、電源コンバータ31の回生可能容量(電力)をPcg、モータ11の減速停止時間をTdsとすると、式(Pcg×Tds=Ecg)により算出(検出)できる。減速停止時間Tdsは、減速開始時のモータ速度によって異なる。なお、電源コンバータ31の短時間定格および連続定格を考慮する場合は、回生可能電力エネルギー量Ecgを減速停止時間Tdsにわたる積分値とすればよい。
【0068】
すなわち、蓄積可能電力エネルギー量Echkと交流電源側回生可能電力エネルギー量Ecgとの和(Echk+Ecg)と運動エネルギー量Edy(換算した回生電力エネルギー量Emg)との間に上記の式[Emg≦(Echk+Ecg)]が成立する限りにおいて、回生式ブレーキ100の回生ブレーキ動作を継続できる。この期間中は、機械ブレーキ動作制御を温存できる。
【0069】
したがって、ST15の検出動作およびST16の回生可能電力エネルギー量Ecgを加味した判別動作は、ST14でYES判別されたことを条件に実行される。ST14では、メモリ60Mに予め設定記憶しておいた回生動作可能(電源コンバータ31が回生動作可能型)である旨を読み取ることで自動的にYES判別するものとされている。しかし、電源コンバータ31が回生動作可能型であるか否かに拘わらず手動的(例えば、選択スイッチを押下操作する。)にYES判別するように形成してもよい。
【0070】
さて、回生ブレーキ動作制御手段61は、回生式ブレーキ100の回生ブレーキ動作を制御する手段で、メモリ60Mに格納された所定の停止動作パターンに対応する回生ブレーキ動作指令信号に基づく制御信号Sebを位置速度制御部43に出力することにより停止動作パターン従いスライド16を停止するための回生ブレーキ動作制御を行なう。
【0071】
上記したように、停止動作パターンは位置パターン(位置パターン停止動作)または速度パターン(停止動作速度パターン)として選択可能である。位置パターンは、通常プレス運転に用いるスライドモーションの場合よりも簡素化された時刻ごとのスライド位置を規定する情報である。速度パターンは、時刻ごとのスライド速度を規定する情報である。つまり、減速パターンである。このように、停止動作パターンを通常プレス運転用のスライドモーションパターンに比較して簡素な位置パターンや速度パターンとすることができるから、非常事態に対するパターン作成を容易かつ迅速に作成できるとともに回生ブレーキ動作制御手段等の構造を簡素化・単純化できる。
【0072】
図2に示す回生ブレーキ動作動作用の制御信号Sebには、選択された動作停止パターンに対応する情報とともに、位置速度制御部43を位置制御部(位置パターンに対応)として機能させるか、あるいは速度制御部(位置パターンに対応)として機能させるかの切換情報が含まれる。位置速度制御部43は、この切換情報により位置制御部または速度制御部に切換わる。
【0073】
図4(A1)、(B1)は、実線で示した速度パターン(減速信号)が選択されている場合を示す。破線は、当該減速信号に追従するスライド速度である。位置パターンによる減速信号を選択することもできる。速度パターンは、周辺装置(サーボ搬送装置300など)と衝突しないように予め定めた減速パターン、周辺装置との衝突を回避させるために演算されたパターンである。この速度パターンが選択された場合は位置速度制御部43等は速度制御系としてモータ11の回転制御を行なう。
【0074】
なお、位置速度制御部43は通常運転専用としかつ非常停止運転に専用の速度制御部を設けるようにしても非常停止動作を実施することができる。
【0075】
機械ブレーキ動作制御手段62は、機械ブレーキ動作指令を受けた場合、メモリ60Mに設定記憶された所定の停止動作パターン(速度パターン)に対応する当該制御信号Smbをブレーキ駆動部201に出力することで、機械ブレーキ動作を制御する。
【0076】
この実施の形態では、機械式ブレーキ200のブレーキトルク(モータ軸11Sに換算したブレーキトルク)の値が、回生式ブレーキ100として働く際のモータ11のモータトルクと同様な値になるように選択的に形成してある。つまり、機械式ブレーキ200が回生式ブレーキ100の図4(A1)に実線で示した速度パターンの場合と同様な速度パターンでスライド16を破線で示すように減速することができる。
【0077】
機械式ブレーキ200のみでも所定の減速度で非常停止運転できるが、回生ブレーキ動作期間が実質的に短い場合[図4の(B1)]でも、減速中には位置速度制御部43は動作しているから、機械式ブレーキの摩擦トルクにわずかな変動があっても所定停止動作パターンに従って非常停止運転できる。このため確実なスライド停止を担保できる。
【0078】
上記した“同様な値”とは、理想的には同一の値(等しい値)であることが望ましいが、減速停止運転中に結果として干渉を回避できる限りにおいて略同一の値(ほぼ等しい値)であってもよい。必要によっては、ブレーキ駆動部201の機械的摩擦力を空気圧等により増減調整可能に形成しかつ機械ブレーキ動作指令信号および制御信号Smbに摩擦力増減調整情報を含ませることで、同一値に調整することも可能である。「同様な停止動作パターン」の“同様”についても共通する。
【0079】
この機械式ブレーキ200は、通常停止運転によるスライド停止後にモータ11(スライド16)を静止状態に保持するための機械式ブレーキを兼用したものである。
【0080】
第1の非常停止指令手段66は、回生ブレーキ動作だけで確実停止できると判別された場合(ST16でYES)に、回生ブレーキ動作制御手段61を起動してスライド16を停止させるための指令を出力する(ST17)。回生ブレーキ動作制御手段61は制御信号Sebを出力する。これにより、図4(A1)の時刻t1から時刻t3まで回生ブレーキ動作が制御される。
【0081】
この期間中のモータトルク(ブレーキトルク)は(A4)に示すように一定であり、モータ11の電力Pmg(回生電力エネルギー量Emg)は時刻t1から時刻t2まで電源コンバータ31の交流電源側回生可能電力の最大値Pcgmax(回生可能電力エネルギー量の最大値Ecgmax)を超えているが、電圧制御部33によって電源コンバータ31は図4(A6)に示す回生電力が最大値Pcgmaxを超えないように制御されている。図4(B5)、(B6)の場合も同様である。
【0082】
その余[差分(Pmg−Pcgmax)]のモータ電力(回生電力)は、図4(A7)に示す限界値Echmaxを超えない範囲内においてエネルギー蓄積装置51に蓄積される。モータ電力Pmgはモータトルク×回転速度で計算できるので、(A5)に示すように時刻t1から減衰する。
【0083】
スライド停止確認手段(60M,60C)が、エンコーダ45の出力を監視しつつスライド16が停止したことを確認(ST18でYES)すると、機械ブレーキ動作指令手段68が働き機械ブレーキ動作指令を出力する。機械ブレーキ動作制御手段62はこの指令を受けて(A2)の時刻t3で制御信号Smbを出力する(ST19)。機械式ブレーキ200は、制御信号Smbを受けてからリレー動作しかつその後にブレーキシューがブレーキ面(モータ軸面)に当接されるまでに機械的構成要素の時間遅れがある。つまり、(A2)のタイムラグ△T(=t4−t3)の経過後である時刻t4から実際機械ブレーキ動作に入る。
【0084】
タイムラグ△Tは、装置構成にもよるが、およそ数十〜百msである。このタイムラグ△Tは、非常停止時間(例えば、数百ms)に対して無視することができない遅れである。この点からしても、ST21において、直ちに積極的な回生ブレーキ動作制御を行なうようにしてあるので、安全確実にスライド停止できると理解される。
【0085】
引き続き、実際動作確認手段(60M,60C)が実際に機械ブレーキ動作に入ったことを確認(ST20でYES)すると、回生ブレーキ動作終了指令信号が出力されゲートブロックなどの方法でサーボオフが実施される。次いで、非常停止制御モードが解除される(ST24)。このとき、モータ11ではサーボオフが実行されており、電気的な駆動は停止され、機械式ブレーキ200の働きで静止保持される。非常停止モードが解除されても直ちにサーボプレスが運転動作をする訳ではない。ここでは、前記説明した非常停止するための一連のプロセスが解除されることを言っている。
【0086】
第2の非常停止指令手段67は、回生ブレーキ動作だけでは確実に停止できないと判別された場合(ST16でNO)に、回生ブレーキ動作制御手段61の起動に加え機械ブレーキ動作制御手段62を起動させてスライド16を停止させるための指令指令信号を出力する。これを受けた回生ブレーキ動作制御手段61、機械ブレーキ動作制御手段62は制御信号Sem、Smbを出力する(ST21)。
【0087】
これにより、図4(B4)〜(B7)に示すように時刻t1から回生ブレーキ動作制御が開始される。また、機械式ブレーキ200は、制御信号Smbの入力時点(時刻t1)から機械ブレーキ動作に入りかつタイムラグ△T(=t11−t1)だけ遅れた時刻t11から実際の機械ブレーキ動作となる。この期間(t1〜t11)中は、回生ブレーキ動作と機械ブレーキ動作の双方が実行される。
【0088】
時刻t3において、スライド停止確認手段(60M,60C)がエンコーダ45の検出信号Denからスライド16が停止したことを確認(ST22でYES)すると、回生ブレーキ動作終了の場合と同様にST23,ST24に進む。この場合も、機械式ブレーキ200は継続して機械ブレーキ動作している。なお、機械式ブレーキ200のタイムラグ△Tはほぼ一定であることから、スライド停止確認手段は、時間管理方式でスライド停止を確認するようにしてもよい。
【0089】
ところで、図4(B)では回生ブレーキ動作指令および機械ブレーキ動作指令が同時(時刻t1)に出力された場合を示しているが、この実施の形態では、第2の非常停止指令手段67は、先に回生ブレーキ動作制御手段61を起動させかつその後に機械ブレーキ動作制御手段62を起動させるように設定変更可能に形成されている。つまり、回生ブレーキ動作制御手段61の起動指令出力タイミングと機械ブレーキ動作制御手段62の起動指令出力タイミングに時間差をもたせる。この考え方は、摩滅が生じる機械式ブレーキ200の保護に有益である。つまり、機械式ブレーキ200のメンテナンス作業サイクルを長期化できかつブレーキ自体の長寿命化を図れる。
【0090】
また、第2の非常停止指令手段67は、蓄積可能電力エネルギー量検出手段63により検出された蓄積可能電力エネルギー量Echkの多少により機械ブレーキ動作制御手段62に対する起動指令出力タイミングを設定変更可能に形成してもよい。エネルギー蓄積装置51への蓄積可能電力エネルギー量Echkが多い場合には機械ブレーキ動作制御手段62の起動タイミングを遅くし、少ない場合は早くする。回生式ブレーキ100が健全動作できる限りにおいてこれを優先使用し、機械式ブレーキ200を温存する。すなわち、機械ブレーキ動作すべき時間を一段と短縮化できる。
【0091】
さらに、第2の非常停止指令手段67は、検出された蓄積可能電力エネルギー量Echk、検出された運動エネルギー量Edyおよび交流電源側回生可能電力エネルギー量Ecgの多少により機械ブレーキ動作制御手段62に対する起動指令出力タイミングを設定変更可能に形成されている。すなわち、式(Emg≦Echk+Ecg)が成立する限りにおいて、回生式ブレーキ100の回生ブレーキ動作を継続できるから、蓄積可能電力エネルギー量Echkおよび/または交流電源側回生可能電力エネルギー量Ecgが多量の場合には、機械ブレーキ動作制御手段62に対する起動指令出力タイミングを遅らせる。運動エネルギー量Edy(Emg)が多量に場合には起動指令出力タイミングを早める。この早刻時間および遅刻時間の値は、メモリ60Mに設定記憶しておける。
【0092】
以上の起動指令出力タイミングのいずれを選択するかについては、予め選択しておく。第2の非常停止指令手段67は、この選択タイミングを読み込んで、起動指令出力タイミングを自動切換える。
【0093】
この実施の形態に係る構成のサーボプレス10では、図4(A)および(B)に示すように時刻t0〜t1までの期間中は、通常プレス運転が行なわれている。例えば、通常プレス運転中のサーボプレス(例えば、10B)内にワークが落下したことを発見した作業者が、時刻t1において非常停止ボタンを押した場合を考える。
【0094】
すると、図2の非常停止指令部97からシステム運転管理部90に非常停止指令(信号Semj)が入力される。制御モード切換指令手段(90C,90M)は、通常運転制御モードから非常停止制御モードに切換える(図3のST10でYES、ST11)。非常停止用の各手段61,62,…,69,69Aが動作可能となる。
【0095】
まず、蓄積可能電力エネルギー量検出手段63が、蓄積限界値Echmaxから実際蓄積電力エネルギー量Echaを差し引く(Echmax−Echa=Echk)ことで、エネルギー蓄積装置51にこれから蓄積することのできる蓄積可能電力エネルギー量Echkを検出する(ST12)。実際蓄積電力エネルギー量Echaは、直前に起動された実際蓄積電力エネルギー量検出手段74により検出される。次いで、運動エネルギー量検出手段64が、運動エネルギー量Edy(回生電力エネルギー量Emg)を検出する(ST13)。
【0096】
また、電源コンバータ31が電源回生動作可能であると判別される(図3のST14でYES)と、回生可能電力エネルギー量検出手段69Aが回生可能電力エネルギー量Ecgを検出(ST15)する。ST14でNO判別された場合、回生可能電力エネルギー量検出手段69Aは検出しない。
【0097】
引き続き、確実停止可否判別手段65は、回生可能電力エネルギー量Ecgが検出されなかった場合(ST14でNO)は、回生電力エネルギー量Emgの全量をエネルギー蓄積装置51で吸収(蓄積)できるとき(Echk≧Emg)は確実停止できると判別(ST16でYES)する。回生可能電力エネルギー量Ecgが検出された場合(ST14でYES,ST15)は、回生電力エネルギー量Emgの全量をエネルギー蓄積装置51と電源コンバータ31側で吸収(蓄積)できるとき(Emg≦Echk+Ecg)に確実停止できると判別(ST16でYES)する。
【0098】
確実停止できると判別(ST16でYES)されると、第1の非常停止指令手段66が、起動停止指令信号を出力する(ST17)。すると、回生ブレーキ動作制御手段61が起動し、図4(A1)に実線で示した選択された速度パターンに対応する減速信号(制御信号Seb)を速度制御部43に出力し、回生ブレーキ動作を積極的に制御する。スライド16は、(A1)に破線で示したように減速される。減速率は最大的でかつ一定に設定されているので、スライド16を急減速で確実に停止できる。
【0099】
回生ブレーキ動作制御の開始時刻がt1で、終了時刻はt3である。この制御動作期間(t1〜t3)中、モータ11のブレーキトルク、モータ電力(回生電力エネルギー)、電源コンバータ電力およびエネルギー蓄積量は図4(A4)〜(A7)に示すように制御されている。この期間中において、機械式ブレーキ200は、(A2)、(A3)に示すように機械ブレーキ動作していない。
【0100】
図4の時刻t3において、スライド停止確認手段(60M,60C)がスライド停止を確認(ST18でYES)すると、直ちに機械ブレーキ動作指令手段68が(A2)に示すように機械ブレーキ動作指令し、機械ブレーキ動作制御手段が制御信号Smbをブレーキ駆動部201に出力(ブレーキ解放信号がH→Lレベルに変化)する。これにより、機械式ブレーキ200は機械ブレーキ動作を開始する(ST19)。図4(A3)に示すタイムラグ△Tが経過した時刻t4から、実際に機械ブレーキ動作するので、モータ軸11Sに機械摩擦が加わる。
【0101】
実際動作確認手段(60M,60C)によって機械式ブレーキ200の実際機械ブレーキ動作が確認(ST20でYES)されると、回生ブレーキ動作終了指令手段69が速度制御部(43)に回生ブレーキ動作終了指令信号を出力する(ST23)。この指令信号を受けた回生ブレーキ動作制御手段61からの制御信号Smbによって回生式ブレーキ100は動作終了する。スライド16(モータ11)の静止状態は機械ブレーキ動作により担保される。
【0102】
その後、非常停止制御モードが解除される(ST24)。このとき、モータ11は機械式ブレーキ200の働きで静止保持され、サーボオフも実行されている。
【0103】
すなわち、この実施の形態では、例えば数百msの減速停止時間でスライド16を非常停止することができる。また、非常停止要因を取り除き、復帰させ、運転を再開させる場合、メイン電源を遮断しないで停止させるので、メイン電源を遮断したときと比較して、電源復帰確立までの時間を短縮でき、生産性低下を招かないと理解される。
【0104】
一方、回生ブレーキ動作だけでは確実に停止できないと判別された場合(ST16でNO)は、第2の非常停止指令手段67が回生ブレーキ動作制御手段61の起動に加え機械ブレーキ動作制御手段62を起動させる指令を出力する。各制御手段61、62は制御信号Seb,Smbを出力する(ST21)。
【0105】
図4(B1)〜(B7)に示すように動作する。時刻t1において回生ブレーキ動作制御手段61が起動され、回生ブレーキ動作制御に入る。と同時に、(B2)、(B3)に示すように、機械ブレーキ動作制御手段62が起動される。機械式ブレーキ200は、タイムラグ△T経過後の時刻t11から実際の機械ブレーキ動作に入る。実質的には機械ブレーキ動作により停止速度パターンで急減速される。
【0106】
図のように機械ブレーキ動作後においても回生ブレーキ動作制御を継続させ、スライド停止が確認(ST22でYES)された後に回生ブレーキ動作を終了(ST23)させるので、モータが回転中は停止速度パターン(停止パターン)となるようにモータは制御されている。このため、機械ブレーキのわずかなブレーキトルク変動があってもパターンは確実に維持される。なお、ブレーキトルクを減速する停止速度パターンと一致するように選択すれば、減速は実質的にブレーキのみで実施されるから、機械式ブレーキが動作した後に、回生ブレーキ動作制御を止め、機械式ブレーキのみで停止させることもできる。
【0107】
かくして、時刻t3において、スライド停止確認手段(60M,60C)によってスライド停止が確認(ST22でYES)されると、回生ブレーキ動作終了指令手段69が速度制御部43に回生ブレーキ動作終了指令信号を出力する(ST23)。回生式ブレーキ100の動作制御は終了される。スライド16(モータ11)の静止状態は、継続する機械ブレーキ動作制御により担保さている。
【0108】
なお、第2の非常停止指令手段67の機械ブレーキ動作制御手段62に対する起動指令出力タイミングが設定変更されると、機械ブレーキ動作指令の出力時刻が図4(B)に示す時刻t1よりも遅い時刻にずれる。実際の機械ブレーキ動作も時刻t11よりも遅い時間にずれる。
【0109】
しかして、この実施の形態によれば、回生ブレーキ動作制御手段61と機械ブレーキ動作制御手段62と蓄積可能電力エネルギー量検出手段63と運動エネルギー量検出手段64と確実停止可否判別手段65と第1の非常停止指令手段66と第2の非常停止指令手段67とを設けたサーボプレス10であるから、非常停止要求(非常停止指令Semj)に基づき検出された運動エネルギー量Edyに相当するモータ11の回生電力エネルギー量Emgと検出された蓄積可能電力エネルギー量Echkとを比較考量して回生ブレーキ動作だけでスライド16を確実に停止できると判別された場合に回生ブレーキ動作だけでかつ所定の停止動作パターンに従いスライドを停止させ、確実に停止できないと判別された場合には回生ブレーキ動作に機械ブレーキ動作を加えかつ所定の停止動作パターンに従いスライド16を停止させる本非常停止方法を円滑かつ確実に実施することができる。
【0110】
また、このサーボプレス10は、通常プレス運転中に発生される非常停止指令に基づき干渉回避を担保しつつスライド16を迅速かつ確実に停止可能に形成されているので、非常事態の解決および再プレス運転への復帰を迅速に行なえる。しかも、上記の構成からして具現化容易でかつ取扱いが簡単である。
【0111】
また、積極的に減速制御しない従来の非常停止用ブレーキ(機械式ブレーキおよび/または電気的ブレーキ)の場合に比較して、スライド16とサーボ搬送装置300等との干渉を確実に回避できるとともに、サーボプレス10とサーボ搬送装置300との相対的な位置を極限的な小範囲に、速度を極限的な高速に設定した運用ができる。サーボプレス10の特性(高速性)を十二分に発現できる。したがって、サーボプレス10の一層の普及拡大に大きく貢献できる。
【0112】
また、電源遮断をしないので、非常停止終了後でかつ非常常事態の解決後に必要とされる電源遮断に起因する作業(例えば、主電源の電圧確立に要する時間)を必要としない。つまり、電源遮断をする非常停止の場合の生産性低下を払拭できる。
【0113】
また、図5に示すタンデム型プレスシステムを構築した場合において、従来の非常停止をした場合に比較して、任意1台のサーボプレス10に非常事態が発生することで他の正常なサーボプレス10と当該サーボ搬送装置300との間に干渉が誘発されるという心配がない。
【0114】
さらに、確実停止可否判別手段65が交流電源側回生可能電力エネルギー量Ecgを加味してスライド停止可否判別可能であるから、エネルギー蓄積装置51の容量(Echmax)を変えずに非常停止運転可能時間を長期化できる。一段と確実にスライド停止できるとともに機械式ブレーキ200の寿命を延ばせる。
【0115】
(第2の実施の形態)
この実施の形態は、図6(フローチャート)に示され、基本的な構成・機能が第1の実施態の場合(図1、図2、図3の大部分、図5)と同様であるが、第1の実施形態の場合の確実停止可否手段65に代える蓄積限界値接近判別手段75を設け、ギリギリまで回生式ブレーキ100を有効利用しかつ機械式ブレーキ200を温存(非ブレーキ動作状態の保持)可能に形成されている。
【0116】
すなわち、非常停止のために用いる電気式ブレーキ(回生式ブレーキ100)と機械式ブレーキ200と回生ブレーキ動作制御手段61と機械ブレーキ動作制御手段62と実際蓄積電力エネルギー量検出手段74と蓄積限界値接近判別手段75と余裕時非常停止指令手段76と限界時非常停止指令手段77とを設け、検出された実際蓄積電力エネルギー量Echaがエネルギー蓄積装置51の蓄積限界値Echmaxに近くはないと判別された場合に回生ブレーキ動作制御手段61を起動してスライド停止させ、蓄積限界値に近いと判別された場合に回生ブレーキ動作制御手段61の起動に加え機械ブレーキ動作制御手段62を起動させてスライド停止させるように形成してある。
【0117】
なお、電気式ブレーキ(回生式ブレーキ100)、機械式ブレーキ200、回生ブレーキ動作制御手段61および機械ブレーキ動作制御手段62については、第1の実施形態の場合と同じなので説明は省く。また、図6のST30、ST31は図3のST10、ST11と同じで、図6のST36、ST37,ST39〜ST41は図3のST19,S20,ST22〜ST24と同じなので、これらにつては第1の実施の形態を参照するものとして、ここでは説明を省略する。
【0118】
さて、実際蓄積電力エネルギー量検出手段74は、非常停止指令(Semj)に基づきエネルギー蓄積装置51に実際に蓄積されている電力エネルギー量Echkを検出する手段で、第1の実施の形態において説明した如く、プレス駆動制御部60の演算機能を活用しかつ蓄積エネルギー量検出部52で検出された端子電圧を用いて実際蓄積電力エネルギー量Echaを算出(検出)する(図6のST32)。
【0119】
蓄積限界値接近判別手段75は、図7(7)に示すように検出された実際蓄積電力エネルギー量Echaが当該エネルギー蓄積装置51の蓄積限界値Echmaxに近いか否かを判別する(ST33)。メモリ60Mに予め記憶された設定判別値(Echmax−α)になった場合に接近したと判別(ST33でYES)する。設定判別値は、幾つかの絶対的な値あるいは範囲を運転状況に応じて選択変更可能にしてもよい。実際の機械ブレーキ動作に入るまでに増加する蓄積電力エネルギー量を考慮する(ST35NO、ST32)。
【0120】
蓄積限界値接近判別手段75は、実際蓄積電力エネルギー量Echaがエネルギー蓄積装置51の蓄積限界値Echmaxに接近したと判別された場合(ST33でYES)に、回生ブレーキ動作制御手段61および機械ブレーキ動作制御手段62を起動してスライド停止させる(ST38)。この場合でも、回生ブレーキ動作をできるだけ活用してスライド停止させるので、機械式ブレーキ200の損失を減らすことができ、効率の良い非常停止を行なえる。
【0121】
なお、蓄積限界値Echmaxに接近したと判別された場合(ST33でYES)において、追加的に、エネルギー蓄積装置51の蓄積電力エネルギー量を消費するように形成することができる。例えば、エネルギー蓄積装置51あるいは直流電路23に接続された高速動作スイッチ(半導体スイッチ)を閉成して放電抵抗体に逃がす。モータ11の回生電力の一部を吸収させることができるので、回生ブレーキ動作制御の継続運転時間を延ばせる。機械式ブレーキ200のエネルギー吸収力を減らした小型化も期待できる。
【0122】
余裕時非常停止指令手段76は、図7の時刻t1において、蓄積限界値Echmaxに近くはないと判別された場合(ST33でNO)に、回生ブレーキ動作制御手段61を起動してスライド16を停止させるための指令信号を出力する(ST34)。回生ブレーキ動作制御手段61はこれに従い制御信号Sebを出力する。
【0123】
かかる実施の形態に係るサーボプレス10では、ST33でNO、ST34による回生ブレーキ動作制御中でかつスライド昇降中の場合(ST35でNO)は、ST32に戻る。モータ11のトルク、電力、回生電力は図7(4)〜(6)示す通りである。回生ブレーキ動作だけでスライド16を停止できた場合(ST35でYES)は、スライド停止後に機械式ブレーキ200に対して起動指令し、実際に機械ブレーキ動作した場合(ST37でYES)はST40へ進む。
【0124】
回生ブレーキ動作中の時刻t12において、図7(7)のように蓄積限界値Echmaxに近くなったと判別された場合(ST33でYES)、蓄積限界値接近判別手段75は、回生ブレーキ動作制御手段61の起動に加え機械ブレーキ動作制御手段62を起動させてスライドを停止させるための指令信号を出力する(ST38)。この場合、機械ブレーキ動作制御手段62は対応する制御信号Smbを出力する。時刻t13において、実際に機械ブレーキ動作する。スライド停止確認後に回生ブレーキ動作を終了させる(ST39でYES、ST40)。
【0125】
なお、回生ブレーキ動作指令以前に、蓄積限界値Echmaxに近くなったと判別された場合(ST33でYES)、蓄積限界値接近判別手段75は回生ブレーキ動作制御手段61の起動に加え機械ブレーキ動作制御手段62を起動させてスライドを停止させるための指令指令信号を出力する。回生ブレーキ動作制御手段61および機械ブレーキ動作制御手段62は、対応する制御信号Seb,Smbを出力する(ST38)。
【0126】
しかして、この実施の形態によれば、ギリギリまで回生式ブレーキ100を有効利用しかつ機械式ブレーキ200を温存(非ブレーキ動作状態の保持)可能であるから、機械的ブレーキ200の損失を減らし、寿命を延ばせる。
【0127】
(第3の実施の形態)
この実施の形態は、図8(フローチャート)に示され、基本的な構成・機能が第1(および第2)の実施の形態の場合(図1、図2、図3の大部分、図5)と同様であるが、第1の実施の形態に係る確実停止可否手段65や第2の実施の形態に係る蓄積限界値接近判別手段75に代えた予測時刻算出手段84、予測時刻到達判別手段85等を設け、正確な予測時刻管理により合理的範囲のギリギリまで回生式ブレーキ100を有効利用しかつ機械式ブレーキ200を温存(非ブレーキ動作状態の保持)可能に形成されている。
【0128】
すなわち、非常停止のために用いる電気式ブレーキ(回生式ブレーキ100)と機械式ブレーキ200と回生ブレーキ動作制御手段61と機械ブレーキ動作制御手段62と蓄積可能電力エネルギー量検出手段63と運動エネルギー量検出手段64と予測時刻算出手段84と予測時刻到達判別手段85と非常停止先行指令手段86と非常停止後行指令手段87と回生ブレーキ動作終了指令手段69とを設け、エネルギー蓄積装置51に蓄積される電力エネルギー量Echが当該エネルギー蓄積装置51の蓄積限界値Echmaxに到達する予測時刻tyを算出し、現在時刻tiが予測時刻tyに到達したと判別された場合に回生ブレーキ動作制御手段61の起動中に機械ブレーキ動作制御手段62を起動させ、スライド16が停止した場合に回生ブレーキ動作を終了するように形成されている。
【0129】
なお、電気式ブレーキ(回生式ブレーキ100)、機械式ブレーキ200、回生ブレーキ動作制御手段61、機械ブレーキ動作制御手段62、蓄積可能電力エネルギー量検出手段63、運動エネルギー量検出手段64および回生ブレーキ動作終了指令手段69については、第1の実施形態の場合と同じなので説明は省く。また、図8のST50〜ST55、ST61、ST62は、図3のST10〜ST15、ST23、ST24と同じなので、これに関する説明は省略する。
【0130】
予測時刻算出手段84は、検出された蓄積可能電力エネルギー量Echkと運動エネルギー量Edyとを利用して回生ブレーキ動作を実行させた場合にエネルギー蓄積装置51に蓄積される電力エネルギー量が当該エネルギー蓄積装置51の蓄積限界値Echmaxに到達する予測時刻tyを算出する(ST56)。
【0131】
第1の実施形態の場合(ST14、15)と同様に、メモリ60Mに予め設定記憶しておいた回生動作可能(電源コンバータ31が回生動作可能型)である旨を読み取ることで回生動作可能であると判別された場合(ST54でYES)は、回生可能電力エネルギー量Ecgを検出(ST55)しかつ検出された回生可能電力エネルギー量Ecg加味して予測時間tyが算出される(ST56)。
【0132】
非常停止先行指令手段86は、非常停止指令に基づき回生ブレーキ動作制御手段61を起動してスライド16を停止させるための先行指令を出力する(ST57)。なお、この先行指定出力は、例えばST50でYES判別された直後に実行させてもよい。
【0133】
予測時刻到達判別手段85は、現在時刻tiが算出された予測時刻tyに到達したか否かを判別する(ST58)。
【0134】
非常停止後行指令手段87は、予測時刻に到達したと判別された場合(ST58でYES)に、回生ブレーキ動作制御手段61の起動中に機械ブレーキ動作制御手段62を起動させてスライド16を停止させるための後行指令を出力する(ST59)。
【0135】
しかして、この実施の形態によれば、通常プレス運転中の非常停止指令に基づき干渉回避を担保しつつスライド16を迅速かつ確実に非常停止できるから、非常事態の解決および再プレス運転への復帰を迅速に行なえる。特に、回生ブレーキ動作との引継ぎを円滑に行なえかつ機械ブレーキ動作時間を一段と短縮化できる。しかも、具現化容易でかつ取扱いが簡単である。
【0136】
さらに、回生可能電力エネルギー量Ecg加味して予測時間tyを算出するので、回生式ブレーキによる非常停止運転時間を延長化できる。
【産業上の利用可能性】
【0137】
本発明は、スライドを迅速かつ確実に非常停止させることができるので、サーボプレスの通常運転中に発生した非常事態の対処策として極めて有効である。
【図面の簡単な説明】
【0138】
【図1】本発明の第1の実施形態に係るサーボプレスを説明するための図である。
【図2】同じく、主にモータ駆動制御装置、各指令手段および各制御手段を説明するための回路図である。
【図3】同じく、非常停止動作を説明するためのフローチャートである。
【図4】同じく、非常停止動作を説明するためのタイミングチャートである。
【図5】同じく、複数台のサーボプレスを配設して構築されたタンデムプレスシステムを説明するためのブロック図である。
【図6】本発明の第2の実施形態に係る非常停止動作を説明するためのフローチャートである。
【図7】同じく、非常停止動作を説明するためのタイミングチャートである。
【図8】本発明の第3の実施形態に係る非常停止動作を説明するためのフローチャートである。
【符号の説明】
【0139】
10 サーボプレス
11 モータ(サーボモータ)
12 スライド
20 交流電源装置
30 モータ駆動制御装置
31 電源コンバータ(交流電源側変換装置)
33 電圧制御部
41 インバータ(モータ駆動用変換装置)
43 位置速度制御部
51 エネルギー蓄積装置
52 蓄積エネルギー検出部(蓄積可能電力エネルギー量検出手段)
60 プレス駆動制御部
90 システム運転管理部
100 回生式ブレーキ(電気式ブレーキ)
200 機械式ブレーキ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
モータを駆動してスライドを昇降しつつ加工領域でプレス成形可能に形成されたサーボプレスの非常停止方法であって、
非常停止要求に基づき前記スライドの運動エネルギー量とエネルギー蓄積装置に蓄積可能な電力エネルギー量とを検出し、
検出した運動エネルギー量に相当する前記モータの回生電力エネルギー量とエネルギー蓄積装置に蓄積可能な電力エネルギー量とを比較考量して回生ブレーキ動作だけで当該運動エネルギー量をもつスライドを確実に停止できるか否かを判別し、
確実に停止できると判別できた場合に回生ブレーキ動作だけでかつ所定の停止動作パターンに従いスライドを停止させ、確実に停止できないと判別できた場合には回生ブレーキ動作に機械ブレーキ動作を加えかつ所定の停止動作パターンに従いスライドを停止させる、ことを特徴とするサーボプレスの非常停止方法。
【請求項2】
モータを駆動してスライドを昇降しつつ加工領域でプレス成形可能に形成されたサーボプレスにおいて、
非常停止のために用いる電気式ブレーキと機械式ブレーキを設けかつ電気式ブレーキを前記モータの回生電力エネルギーを交流電源側変換装置とモータ駆動用変換装置との間に接続されたエネルギー蓄積装置に蓄積しつつ回生ブレーキ動作可能な回生式ブレーキから形成し、
回生式ブレーキの回生ブレーキ動作を所定の停止動作パターンに従いスライドを停止できるように制御する回生ブレーキ動作制御手段と、機械式ブレーキの機械ブレーキ動作を制御する機械ブレーキ動作制御手段と、非常停止指令に基づきこれからエネルギー蓄積装置に蓄積可能な電力エネルギー量を検出する蓄積可能電力エネルギー量検出手段と、非常停止指令に基づき前記スライドの運動エネルギー量を検出する運動エネルギー量検出手段と、検出された蓄積可能電力エネルギー量と運動エネルギー量とを利用して回生ブレーキ動作だけで前記スライドを確実に停止できるか否かを判別する確実停止可否判別手段と、回生ブレーキ動作だけで確実停止できると判別された場合に回生ブレーキ動作制御手段を起動して前記スライドを停止させるための指令を出力する第1の非常停止指令手段と、回生ブレーキ動作だけでは確実に停止できないと判別された場合に回生ブレーキ動作制御手段の起動に加え機械ブレーキ動作制御手段を起動させて前記スライドを停止させるための指令を出力する第2の非常停止指令手段とを設けた、サーボプレス。
【請求項3】
前記確実停止可否判別手段が、交流電源側回生可能電力エネルギー量を加味して前記運動エネルギー量検出手段で検出された運動エネルギー量を持つ前記スライドを確実に停止できるか否かを判別可能に形成されている、請求項2記載のサーボプレス。
【請求項4】
前記第2の非常停止指令手段が、先に回生ブレーキ動作制御手段を起動させかつその後に機械ブレーキ動作制御手段を起動させるように形成されている、請求項2および請求項3記載のサーボプレス。
【請求項5】
前記第2の非常停止指令手段が、前記蓄積可能電力エネルギー量検出手段により検出された蓄積可能な電力エネルギー量の多少により前記機械ブレーキ動作制御手段を起動させるための指令出力タイミングを変更可能に形成されている、請求項4記載のサーボプレス。
【請求項6】
前記第2の非常停止指令手段が、前記蓄積可能電力エネルギー量検出手段により検出された蓄積可能な電力エネルギー量、前記運動エネルギー量検出手段で検出された運動エネルギー量および交流電源側回生可能電力エネルギー量の多少により前記機械ブレーキ動作制御手段を起動させるための指令出力タイミングを変更可能に形成されている、請求項4記載のサーボプレス。
【請求項7】
モータを駆動してスライドを昇降しつつ加工領域でプレス成形可能に形成されたサーボプレスにおいて、
非常停止のために用いる電気式ブレーキと機械式ブレーキを設けかつ電気式ブレーキを前記モータの回生電力エネルギーを交流電源側変換装置とモータ駆動用変換装置との間に接続されたエネルギー蓄積装置に蓄積しつつ回生ブレーキ動作可能な回生式ブレーキから形成し、
回生式ブレーキの回生ブレーキ動作を所定の停止動作パターンに従いスライドを停止できるように制御する回生ブレーキ動作制御手段と、機械式ブレーキの機械ブレーキ動作を制御する機械ブレーキ動作制御手段と、非常停止指令に基づきエネルギー蓄積装置に実際に蓄積されている電力エネルギー量を検出する実際蓄積電力エネルギー量検出手段と、検出された実際蓄積電力エネルギー量が当該エネルギー蓄積装置の蓄積限界値に近いか否かを判別する蓄積限界値接近判別手段と、蓄積限界値に近くはないと判別された場合に回生ブレーキ動作制御手段を起動して前記スライドを停止させるための指令を出力する余裕時非常停止指令手段と、蓄積限界値に近いと判別された場合に回生ブレーキ動作制御手段の起動に加え機械ブレーキ動作制御手段を起動させて前記スライドを停止させるための指令を出力する限界時非常停止指令手段とを設けた、サーボプレス。
【請求項8】
モータを駆動してスライドを昇降しつつ加工領域でプレス成形可能に形成されたサーボプレスにおいて、
非常停止のために用いる電気式ブレーキと機械式ブレーキを設けかつ電気式ブレーキを前記モータの回生電力エネルギーを交流電源側変換装置とモータ駆動用変換装置との間に接続されたエネルギー蓄積装置に蓄積しつつ回生ブレーキ動作可能な回生式ブレーキから形成し、
回生式ブレーキの回生ブレーキ動作を所定の停止動作パターンに従いスライドを停止できるように制御する回生ブレーキ動作制御手段と、機械式ブレーキの機械ブレーキ動作を制御する機械ブレーキ動作制御手段と、エネルギー蓄積装置に蓄積可能な電力エネルギー量を検出する蓄積可能電力エネルギー量検出手段と、前記スライドの運動エネルギー量を検出する運動エネルギー量検出手段と、検出された蓄積可能電力エネルギー量と運動エネルギー量とを利用して回生ブレーキ動作を実行させた場合にエネルギー蓄積装置に蓄積される電力エネルギー量が当該エネルギー蓄積装置の蓄積限界値に到達する予測時刻を算出する予測時刻算出手段と、現在時刻が算出された予測時刻に到達したか否かを判別する予測時刻到達判別手段と、非常停止指令に基づき回生ブレーキ動作制御手段を起動して前記スライドを停止させるための指令を出力する非常停止先行指令手段と、予測時刻に到達したと判別された場合に回生ブレーキ動作制御手段の起動中に機械ブレーキ動作制御手段を起動させて前記スライドを停止させるための指令を出力する非常停止後行指令手段と、前記スライドが停止した場合に回生ブレーキ動作を終了するための指令を出力する回生ブレーキ動作終了指令手段を設けた、サーボプレス。
【請求項9】
前記予測時刻算出手段が、交流電源側回生可能電力エネルギー量を加味して前記予測時刻を算出可能に形成されている、請求項8記載のサーボプレス。
【請求項10】
前記停止動作パターンが位置パターンまたは速度パターンとされている、請求項2から請求項9までのいずれか1項に記載されたサーボプレス。
【請求項11】
前記機械式ブレーキの前記モータのモータ軸に換算したブレーキトルクが前記回生式ブレーキとして働く際の前記モータのモータトルクと同様な値に選択され、前記機械式ブレーキが前記回生式ブレーキの場合と同様な停止動作パターンで前記スライドを減速可能に形成されている、請求項10記載のサーボプレス。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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