説明

サーボプレスの非常停止方法およびサーボプレス

【課題】通常プレス運転において干渉を回避しつつスライドを迅速かつ確実に非常停止できるようにする。
【解決手段】回生式ブレーキと過剰エネルギー消費手段と機械式ブレーキと非常停止指令手段と回生ブレーキ動作制御手段と機械ブレーキ動作制御手段と限界値到達可否判別手段と過剰エネルギー消費動作指令手段と過剰エネルギー消費動作制御手段とを設け、検出した運動エネルギー量(モータ回生電力エネルギー量)とエネルギー蓄積装置に蓄積可能な電力エネルギー量とを比較考量して回生ブレーキ動作だけで当該運動エネルギー量をもつスライドを確実に停止できるか否かを判別し、確実に停止できると判別できた場合に回生ブレーキ動作だけでかつ所定の停止動作パターンに従いスライドを停止させ、確実に停止できないと判別できた場合には回生ブレーキ動作に機械ブレーキ動作を加えかつ所定の停止動作パターンに従いスライドを停止させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
モータを駆動してスライドを昇降しつつ加工領域でプレス成形可能に形成されたサーボプレスおよびサーボプレスの非常停止方法に関する。
【背景技術】
【0002】
スライドを昇降しつつ加工領域でプレス成形可能なプレスでは、通常運転中に非常事態(例えば、加工領域内に人手が侵入する事態)が発生した場合に非常停止するように形成される。
【0003】
例えば、クラッチ・ブレーキ装置を備えた伝統的なプレス(いわゆる機械プレス)では、非常停止指令に基づきブレーキ動作(クラッチOFF・ブレーキON)させてスライドを停止させている。この場合、電源遮断状態にすることが多い。また、ワークの搬送装置を具備する場合は、クランク駆動機構の一部(回転軸、リンク等)と搬送装置の駆動軸とを連結してスライド昇降とワーク搬送とを同期運転可能に形成されている。
【0004】
また、ワーク搬送方向に複数の金型が配設された1台プレスとワークを各金型に順番に搬送するための搬送装置とを組合せた多段プレス(いわゆるトランスファプレス)の場合、プレスに関しては機械プレスの場合と同様であり、搬送装置に関しては例えば電源遮断により駆動モータを強制停止させている。
【0005】
サーボプレスは、スライドモーションを自在に選択設定でき、サーボモータを駆動してスライドを設定されたスライドモーションの通りに昇降しつつ加工領域でプレス成形できる。このサーボプレスの場合も、非常停止指令(非常停止要求)に基づきブレーキ動作させて非常停止する。ブレーキとしては、機械式ブレーキおよび電気的ブレーキとが知られている。
【0006】
機械式ブレーキとしては、電磁力を消滅させかつこれにより拘束が解かれたバネの付勢力でブレーキ動作させる電磁ブレーキ(特許文献1を参照)、空圧を利用してブレーキ動作可能に形成されたディスクブレーキ(特許文献2を参照)や摩擦抵抗式ブレーキ(特許文献3を参照)が公知である。
【0007】
また、電気式ブレーキとしては、モータの回転エネルギーを電気エネルギーに変換しかつこの電気エネルギーを抵抗で消費させてブレーキ動作させるダイナミックブレーキ(特許文献3を参照)や変換後の電気エネルギーをコンデンサに蓄積させつつブレーキ動作させる回生式ブレーキ(特許文献3を参照)が知られている。なお、特許文献3では、試験機能を付設することで電気式ブレーキや機械式ブレーキの劣化問題を解決する旨の記載がある。
【0008】
一般的には、非常停止を繰り返す程にブレーキシューが磨耗する機械式ブレーキの方が、劣化が早くかつ劣化程度が大きい。しかも、電気式ブレーキの電気部品を交換する場合に比較して、ブレーキシューやバネの交換作業や調整作業に手間と時間が掛かる。
【0009】
サーボプレスに組合される搬送装置に関しても、サーボモータを駆動して搬送動作させるサーボ駆動方式を採用するケースが増えている。特に、複数(例えば、N台)のサーボプレスと(N+1)台のサーボ搬送装置とを交互に配設しかつ各サーボプレスおよび当該各サーボ搬送装置を独立的に運転させることができる、いわゆるタンデム型プレスシステムを構築し易い。つまり、1台運転方式の機械プレスや多段同期運転方式のトランスファプレスの場合に比較して、プレス成形工程間の無駄時間を一掃化でき、生産性を飛躍的に向上できる。
【特許文献1】特開2003−290997号公報
【特許文献2】特開昭2007−44720号公報
【特許文献3】特開平2007−203353号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
ところで、サーボプレスにおいて、どのブレーキを採用しても、非常停止方法の基本は機械プレス等の場合と同じ考え方である。すなわち、人身保護等の観点からスライドを確実に停止させることを第1義としている。つまり、非常事態発生からスライド停止までの途中過程については関心が薄かった。以下の技術的事項が背景にあるからと推察する。
【0011】
すなわち、機械プレスの場合はプレスと搬送装置とが機械的に連結されかつ両者が同期運転されるので、プレスと搬送装置(あるいはワーク)とが衝突(干渉)することはない。トランスファプレスの場合は、プレスおよび搬送装置のイナーシャが大きく比較的に低速運転であるから、両者間の相対的位置を余裕あるものとして干渉回避可能な値に設定することができる。
【0012】
しかし、サーボ搬送装置を設けたサーボプレスでは、採用されたブレーキのブレーキ力(制動力)は装置仕様で決まる値であり、かつ積極的に減速制御されていないから、スライド停止までの減速停止時間は不定である。しかも、減速停止時間は減速開始時点のスライドのもつ運動エネルギー量の多少によって変動する。つまり、スライドと搬送装置等との確実に回避できるという保証がない。その上に、サーボプレスおよびサーボ搬送装置の小型化、高速化、ワーク形態や加工様態に関する適応性の拡大化が一段と促進される程に、比較的に軽度の非常事態(例えば、ワーク保持ミスによるワーク落下)が発生することがあるので、非常停止の機会が増える傾向が強い。
【0013】
これでは、全体的な高速運転により生産性を向上でき、加工領域内での低速運転により製品の品質・精度を大幅に上げられるというサーボプレスの優れた特性の十二分な発現を妨げる。すなわち、これまでの慣行的な考え方(非常事態が発生した場合には通常運転を打ち切りかつスライドを非常停止させる。)では、運用上の実際において大いなる不利・不都合が生じる。サーボプレスのさらなる普及拡大のためには、これら問題の解決が是非必要である。
【0014】
本発明の目的は、通常プレス運転中の非常停止指令に基づき干渉回避を担保しつつスライドを迅速かつ確実に非常停止可能なサーボプレスの非常停止方法およびサーボプレスを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明は、非常停止指令(要求)に基づき、電気式ブレーキ(回生式ブレーキ)のブレーキ動作を積極的に制御する(さらには、機械ブレーキ動作制御を併用する。)ことにより所定の停止動作パターンに従いスライドを減速させることで干渉回避を担保しつつスライドを確実に停止させるものである。しかも、過剰エネルギー消費を行いつつエネルギー蓄積装置の見掛け容量を増大して回生ブレーキ動作時間の延長化と機械ブレーキ動作の短期化を図る。
【0016】
すなわち、請求項1の発明に係るサーボプレスの非常停止方法は、モータを駆動してスライドを昇降しつつ加工領域でプレス成形可能に形成されたサーボプレスの非常停止方法であって、非常停止要求に基づきモータの回生電力エネルギーをエネルギー蓄積装置に蓄積しつつ行なう回生ブレーキ動作により所定の停止動作パターンに従いスライドを停止するとともに、エネルギー蓄積装置に蓄積される電力エネルギー量が当該エネルギー蓄積装置の蓄積限界値に到達するか否かを判別しかつ蓄積限界値に到達すると判別されたことを条件に過剰電力エネルギーを抵抗体に通電させて消費させることを特徴とする。
【0017】
請求項2の発明に係るサーボプレスは、モータを駆動してスライドを昇降しつつ加工領域でプレス成形可能なサーボプレスにおいて、交流電源側変換装置とモータ駆動用変換装置とを結ぶ直流電路に接続されたエネルギー蓄積装置に前記モータの回生電力エネルギーを蓄積しつつ回生ブレーキ動作可能に形成された回生式ブレーキと、交流電源側変換装置とモータ駆動用変換装置とを結ぶ直流電路にスイッチを介して接続された抵抗体を利用してエネルギー蓄積装置の蓄積限界値を超える過剰エネルギーを消費動作可能な過剰エネルギー消費手段と、モータに直接または間接的に機械摩擦を加えつつ機械ブレーキ動作可能な機械式ブレーキと、非常停止指令に基づき回生ブレーキ動作指令および機械ブレーキ動作指令を出力する非常停止指令手段と、回生ブレーキ動作指令に基づき所定の停止動作パターンに従いスライドを停止させるように回生ブレーキ動作を制御する回生ブレーキ動作制御手段と、機械ブレーキ動作指令に基づきスライドを停止させるように機械ブレーキ動作を制御する機械ブレーキ動作制御手段と、回生ブレーキ動作の実行によりエネルギー蓄積装置に蓄積される電力エネルギー量が蓄積限界値に到達するか否かを判別する限界値到達可否判別手段と、蓄積限界値に到達すると判別された場合に蓄積限界値を超える過剰エネルギーの消費動作指令を出力する過剰エネルギー消費動作指令手段と、過剰エネルギー消費動作指令に基づき過剰エネルギーの消費動作を制御する過剰エネルギー消費動作制御手段と、を設けたサーボプレスである。
【0018】
また、請求項3の発明に係るサーボプレスは、基本的には請求項2の発明の場合と同様な構成とされるが、限界値到達可否判別手段とは異なる限界値到達予測時刻算出手段、実際機械ブレーキ動作開始予測時刻算出手段および時刻比較判別手段を設けたサーボプレスである。
【0019】
請求項4の発明に係るサーボプレスは、基本的には請求項2の発明の場合と同様な構成とされるが、限界値到達可否判別手段とは異なる満充電予測時刻算出手段、過剰エネルギー消費動作開始時刻算出手段および機械ブレーキ動作開始時刻算出手段を設けたサーボプレスである。
【0020】
請求項5の発明は、停止動作パターンは位置パターンまたは速度パターンである。請求項6の発明は、機械式ブレーキのブレーキトルクが回生ブレーキとして働くモータのモータトルクと同様な値に選択されている。
【0021】
請求項7の発明は、抵抗体への通電中に交流電源側変換装置の力行動作を制限する。請求項8の発明は、抵抗体への通電中に交流電源側変換装置とエネルギー蓄積装置から抵抗体への電力流入を阻止するダイオードを設けた。請求項9の発明は、抵抗体の抵抗値がモータ駆動用変換装置からの最大回生電力エネルギー量と交流電源側変換装置の最大回生電力エネルギー量との差分電力エネルギー量を消費可能な値に選択されている。
【発明の効果】
【0022】
請求項1の発明によれば、通常プレス運転中の非常停止指令に基づき干渉回避を担保しつつスライドを迅速かつ確実に非常停止できるから、非常事態の解決および再プレス運転への復帰を迅速に行なえる。
【0023】
請求項2の発明によれば、通常プレス運転中の非常停止指令に基づき干渉回避を担保しつつスライドを迅速かつ確実に非常停止できるから、非常事態の解決および再プレス運転への復帰を迅速に行なえる。しかも、具現化容易でかつ取扱いが簡単である。
【0024】
請求項3の発明によれば、実際機械ブレーキ動作開始予測時刻が限界値到達予測時刻よりも早い場合には過剰エネルギー消費動作をさせないから、請求項2の発明の場合と同様な効果を奏することができかつ請求項2の発明の場合に比較して抵抗体による電力消費に伴う発熱を少なく抑えられる。請求項4の発明によれば、請求項2の発明の場合と同様な効果を奏することができかつ請求項2、3の各発明の場合に比較して抵抗体による過剰エネルギー消費を最小限に抑えつつ回生ブレーキ動作から機械ブレーキ動作に確実かつ円滑に引継ぎできる。
【0025】
請求項5の発明によれば、停止動作パターンを通常プレス運転用のスライドモーションパターンに比較して簡素な位置パターン、速度パターンとすることができるから、パターンを容易かつ迅速に作成できるとともに回生ブレーキ動作制御手段等の構造を簡素化・単純化できる。請求項6の発明によれば、機械式ブレーキのみでも所定の停止動作パターンに従う非常停止運転ができるから、当該時状況により回生ブレーキ動作時間が長短変化しても迅速で確実なスライド停止を担保できる。
【0026】
請求項7の発明によれば、交流電源の浪費および抵抗体での無駄な発熱を防止できる。請求項8の発明によれば、抵抗体の容量を小さくできる。請求項9の発明によれば、回生ブレーキ動作の不調にも対処できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下、本発明を実施するための最良の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0028】
(第1の実施の形態)
本サーボプレス10は、図1〜図4に示す如く、サーボモータ(以下、モータと略称する。)11を駆動してスライド16を昇降しつつ加工領域でプレス成形可能であるとともに、回生式ブレーキ100と過剰エネルギー消費手段55と機械式ブレーキ200と非常停止指令手段66と回生ブレーキ動作制御手段61と機械ブレーキ動作制御手段62と限界値到達可否判別手段65と過剰エネルギー消費動作指令手段72と過剰エネルギー消費動作制御手段71とを設け、非常停止要求(非常停止指令Semj)に基づきモータ11の回生電力エネルギーEmgをエネルギー蓄積装置51に蓄積しつつ行なう回生ブレーキ動作により所定の停止動作パターンに従いスライド16を停止するとともに、エネルギー蓄積装置51に蓄積される電力エネルギー量Echが蓄積限界値Echmaxに到達すると判別されたことを条件に過剰電力エネルギー[Emg−(Echk+Ecg)]を抵抗体56に通電させて消費させる所定の停止動作パターンに従いスライド16を停止させる本非常停止方法(運転)を実施可能に形成されている。
【0029】
タイミングチャートを示す図4において、(A)は過剰エネルギーの消費をしないですむ場合で、(B)は過剰エネルギーの消費をする場合である。また、以下の説明では、「図4(A)の(1)」を「図4(A1)」と略称する。図4(A)の(2)以下の場合も同様である。また、「図4(B)の(1)」を「図4(B1)」と略称する。図4(B)の(2)以下の場合も同様である。
【0030】
この実施の形態では、図5に示すように、複数(N)台のサーボプレス10A、10B、…、10Nをワークの搬送方向(X方向)に配設し、(N+1)台のサーボ搬送装置300A、300B、…、300N、300(N+1)を各サーボプレス10間に位置するように配設したタンデム型プレスシステムを構成する場合について説明する。
【0031】
サーボ搬送装置300の搬送方式や構造は限定されないが、この実施の形態のサーボ搬送装置300は次の搬送動作ができる。すなわち、サーボ搬送装置(例えば、300B)はワーク保持部(図示省略)をX方向に後進移動させて前置のサーボプレス10Aからワークを取出しかつそのワークを保持したままX方向に前進移動させて後置のサーボプレス10Bの金型に取付け(セットし)、セット終了後にワーク保持部を後進移動しかつ前後のサーボプレス10A、10Bの中間位置(初期位置)に待機させる一連の搬送動作を自動的に行なえる。ワーク保持部は、ワークの平面四隅に対向可能とされ、空気噴流により生成した負圧でワークを保持(吸着)する構造である。
【0032】
図1において、交流サーボモータからなるモータ11のモータ軸11Sに接続されたギヤ2にメインギヤ13が噛み合わされ、メインギヤ13にはスライド駆動機構(クランク機構)のクランク軸14と、コンロッド15が接続されている。モータ11を駆動することで、スライド16を静止側のボルスタ17に対して昇降しつつ加工領域でプレス成形可能である。クランク軸14はモータ11の正転、逆転、速度可変制御により自由に回転駆動されるので、各種スライドモーションを自在に設定でき、これらの組合せや切換使用が可能である。プレス成形品の精度および生産性を向上でき、プレス成形態様に対する適応性が広い。
【0033】
モータ11の回転速度や回転位置は図2に示すエンコーダ45で検出され、信号Denとして位置速度制御部43およびプレス駆動制御部60に入力される。
【0034】
なお、モータ11としては、永久磁石を用いた同期モータや、誘導モータ、リラクタンスモータなどが利用できる。ここでは、交流サーボモータ(モータ11)は同期モータとして説明する。さらに、交流サーボモータでなく直流サーボモータを採用してもよい。また、スライド駆動機構はクランク機構としたが、他の機構(例えば、リンク機構、ボールネジ機構や直動機構)を用いても実施することができる。
【0035】
図2において、モータ11を駆動制御するモータ駆動制御装置30は、交流電源装置20と、交流電源側変換装置を形成する電源コンバータ31と、モータ駆動用変換装置を形成するインバータ41からなる。21は交流電路で、25が駆動側交流電路である。電源コンバータ31とインバータ41とを接続する直流電路(直流母線)23には、エネルギー蓄積装置51が接続されている。
【0036】
電源コンバータ31は、回生動作可能型である。この電源コンバータ31の回生可能な電力エネルギー量を交流電源側回生可能電力エネルギー量Ecgとする。回生可能電力エネルギー量検出手段69Aは、後記するプレス駆動制御部60の演算装置とメモリとから形成され、交流電源側回生可能電力エネルギー量Ecgを検出(算出)する。算出式に関しては詳細を後記する。
【0037】
電圧制御部33は、電源コンバータ31の直流電圧を所定値にするように動作し、インバータ41の力行、回生に伴う所要電力に応じて、エネルギー蓄積装置51のエネルギー蓄積制御や電源コンバータ31の電力授受制御を行なう。なお、直流電圧の所定値は一定値としても、サーボプレス10の運転状況に応じて可変としてもよい。この実施の形態では、プレス駆動制御部60から設定変更可能である。電圧制御部33の制御方法は周知であるので、詳細な説明は省略する。
【0038】
位置速度制御部43は、モータ11の位置制御、速度制御、電流制御、PWM制御を実施可能である。通常プレス運転中は位置速度制御に基づくPWM制御により電流を制御しつつモータ11を回転駆動する。この実施の形態の位置速度制御部43は、非常停止運転に際しては位置制御部または速度制御部として動作するように選択切換可能である。
【0039】
後記する速度パターン(または、位置パターン)が選択された場合は、非常停止運転に際し、プレス駆動制御部60から選択切換後の速度制御部(または、位置制御部)43にモータ11の速度制御指令(または、位置制御指令)が入力される。すなわち、速度制御部(または、位置制御部)43は、プレス駆動制御部60からの速度制御指令(または、位置制御指令)を入力信号としかつエンコーダ45からの検出信号Denおよび電流検出器46からの検出信号Diをフィードバック信号として速度制御信号(または、位置制御信号)を生成しかつインバータ41に出力する。インバータ41は、PWM制御によりモータ11の電流制御を行なう。インバータ41から可変周波、可変電圧の3相交流電圧がモータ11に出力され、モータ11はこれに従って運転(回転駆動)される。
【0040】
プレス駆動制御部60は、いずれも図示しない演算装置60C、メモリ60M、操作部、表示部、インターフェイス等を含み、各サーボプレス10を駆動制御するための信号を生成・出力する。詳細後記の各制御手段61,62,71、各検出手段63,64,74、限界値到達可否判別手段65、各指令手段66,72,73,69、各確認手段88,89は、当該各プログラムを格納させたメモリ60Mと当該各プログラムを実行する演算装置60Cとから形成されている。回生可能電力エネルギー量検出手段69Aの場合も同様である。また、かかる構成の手段に関しては、以下の説明において手段(60C、60M)として表現する場合がある。
【0041】
因みに、第2の実施の形態においては必須の限界値到達予測時刻算出手段75、実際機械ブレーキ動作開始予測時刻算出手段76および時刻比較判別手段77並びに第3の実施の形態における満充電予測時刻算出手段82、過剰エネルギー消費動作開始時刻算出手段83、機械ブレーキ動作開始時刻算出手段84および機械ブレーキ動作指令手段87の場合も同様に、メモリ60Mと演算装置60Cとから形成されている。
【0042】
なお、他の手段81,85,86,89等についても同様である。
【0043】
システム運転管理部90は、プレス駆動制御部60および搬送駆動制御部(図示省略)に共通の上位コンピュータで、各サーボプレス10のプレス駆動制御部60にプレス運転信号Sprを出力し、各サーボ搬送装置の搬送駆動制御部に搬送運転信号Strを出力する。
【0044】
サーボプレス10ごとに出力されるプレス運転信号Sprは、通常運転指令部91から通常運転指令が入力された場合に設定スライドモーションに対応する通常運転信号として出力され、非常停止指令部95から非常停止指令(信号Semj)が入力された場合は非常停止運転信号として出力される。
【0045】
非常停止用の上記した各手段61,…,89は、プレス駆動制御部60(位置速度制御部43)が通常運転制御モードから非常停止制御モードに切換えられた以降(図3のST10でYES、ST11)に動作可能となる。非常停止制御モードが解除された場合(ST24)は動作不能となる。制御モード切換指令手段は、システム運転管理部90内の図示しないCPU90Cとメモリ90Mとから形成され、非常停止指令(信号Semj)に基づく非常停止制御信号を出力して制御モードを切換える。
【0046】
同様に、各搬送運転信号Strは、サーボプレス10ごとに出力されるプレス運転信号(通常運転信号、および非常停止運転信号)Sprに対応する信号とされかつサーボ搬送装置300ごとに出力される。
【0047】
すなわち、この実施の形態では、任意のサーボプレス(例えば、10B)が非常停止指令(信号Semj)に基づき所定の停止動作パターン(例えば、速度パターン)で急速に減速しかつスライド16を非常停止させる際に、サーボ搬送装置300を同期的に停止運転可能に形成してある。つまり、このサーボプレス10Bに対応する前置サーボ搬送装置300Bと後置サーボ搬送装置300Cについては所定の停止搬送パターンで急速に減速停止させる。通常運転の場合に関しては、公知であるので、説明を省略する。
【0048】
非常停止指令部95は、作業者により非常停止ボタンが押されたときのみならず、人身の安全および機器の保全を害するような非常事態の発生が自動検出されたときに、非常停止指令(信号Semj)を生成出力する。例えば、光電センサーにより侵入禁止領域内への人の侵入あるいは干渉発生が検出された場合、電圧検出器等によりモータ11の暴走あるいは電源電圧極低下が検出された場合、インターロックにより非常停止要求が通知された場合である。
【0049】
また、例えば、ワークの掴み損ない、ワークの不完全保持、ワークの落下等を発見した作業者が非常停止ボタンを押したときや、ワーク保持検出器や光線利用や画像処理等により非常事態(ワーク落下等)が自動検出されたときなどでも、非常停止指令(信号Semj)を生成出力可能に形成されている。
【0050】
いずれにしても、システム運転管理部90、プレス駆動制御部60、モータ駆動制御部30等の電源(直流電源および交流電源)を正常に維持しておけば、モータ11を所定の速度パターンに従って積極的に回転制御(回生ブレーキ動作)することができ、スライド16を急減速しつつ確実に停止できる。ここに、非常停止指令に基づき、少なくとも各ブレーキ動作を実行可能とする制御電源は遮断しない。要すれば、非常停止時間との関係で言えば数百msec程度以上の短時間維持用のコンデンサやUPSを付設させる電源とすればよい。
【0051】
エネルギー蓄積装置51としては、2次電池、大容量電解コンデンサ、電気二重層コンデンサなどが採用される。エネルギー蓄積装置51はモータ11からの回生電力エネルギーを蓄積し、回生ブレーキ動作可能期間を延長させることができる。この実施の形態では、エネルギー蓄積装置51は直流電路23に直接接続されている。エネルギー蓄積装置51と直流電路23との電圧が相異する場合には、エネルギー蓄積装置51を双方向に電力授受可能なDC/DCコンバータを介して直流電路23に接続する構成としてもよい。
【0052】
また、エネルギー蓄積装置51は、加速時やプレス成形時のようにモータ11が大量の電力を必要とするときに、蓄積した電力エネルギーをモータ11側に放電(供給)することができる。エネルギー蓄積装置51から電力を充放電することにより、電源コンバータ31や交流電源装置20の設備容量を低減しかつシステム効率を向上させるためにも有効である。
【0053】
エネルギー蓄積装置51に接続された蓄積エネルギー量検出部52は、構造簡素化および低コスト化を図れる電圧検出型を採用している。エネルギー蓄積装置51を電解コンデンサや電気二重層コンデンサから形成した場合は、検出された端子電圧を用いて実際に蓄積されている電力エネルギー量を算出することができる。この実施の形態では、電解コンデンサを用いている。
【0054】
この電解コンデンサ(51)の容量(電力エネルギー量の蓄積能力)、すなわち、図4に示す蓄積限界値Echmaxは、プレス駆動制御部60内のメモリ60Mに設定記憶されている。なお、蓄積限界値Echmaxは温度状態や経年変化によって異なるので、設定変更できる。
【0055】
次に、電気式ブレーキを形成する回生式ブレーキ100は、図2に示すモータ11、駆動側交流電路25、インバータ41、直流電路23およびエネルギー蓄積装置51から形成され、モータ11の回生電力エネルギーを交流電源側変換装置(31)とモータ駆動用変換装置(41)との間(直流電路23)に接続されたエネルギー蓄積装置51に蓄積しつつ回生ブレーキ動作可能に形成されている。
【0056】
回生ブレーキ動作制御手段61は、回生式ブレーキ100の回生ブレーキ動作を制御する手段で、回生ブレーキ動作指令に従い所定の停止動作パターン(メモリ60Mに格納されている。)に対応する制御信号Sebを位置速度制御部43に出力することによりスライド16を停止するための回生ブレーキ動作制御を行なう。
【0057】
上記したように、停止動作パターンは位置パターン(位置パターン停止動作)または速度パターン(停止動作速度パターン)として選択可能である。位置パターンは、通常プレス運転に用いるスライドモーションの場合よりも簡素化された時刻ごとのスライド位置を規定する情報である。速度パターンは、時刻ごとのスライド速度を規定する情報である。つまり、減速パターンである。このように、停止動作パターンを通常プレス運転用のスライドモーションパターンに比較して簡素な位置パターンや速度パターンとすることができるから、非常事態に対するパターン作成を容易かつ迅速に作成できるとともに回生ブレーキ動作制御手段等の構造を簡素化・単純化できる。
【0058】
図2に示す回生ブレーキ動作指令信号および当該制御信号Sebには、選択された動作停止パターンに対応する情報とともに、位置速度制御部43を位置制御部(位置パターンに対応)として機能させるか、あるいは速度制御部(位置パターンに対応)として機能させるかの切換情報が含まれる。位置速度制御部43は、この切換情報により位置制御部または速度制御部に切換わる。
【0059】
図4(A1)、(B1)は、実線で示した速度パターン(減速信号)が選択されている場合を示す。破線は、当該減速信号に追従するスライド速度である。位置パターンによる減速信号を選択することもできる。速度パターンは、周辺装置(サーボ搬送装置300など)と衝突しないように予め定めた減速パターン、周辺装置との衝突を回避させるために演算されたパターンである。この速度パターンが選択された場合は位置速度制御部43等は速度制御系としてモータ11の回転制御を行なう。
【0060】
なお、位置速度制御部43は通常運転専用としかつ非常停止運転に専用の速度制御部を設けるようにしても非常停止動作を実施することができる。
【0061】
機械式ブレーキ(メカブレーキ)200は、モータ11のモータ軸11Sに連結され、モータ軸11Sに直接(または、間接的でもよい。)に機械摩擦力を加えつつ機械ブレーキ動作する。開放されたバネの圧力による。この機械式ブレーキ200は、ブレーキ駆動部201に図4(B2)に示すブレーキ解放信号が入力されない場合(信号Lレベルの場合)が機械ブレーキ動作指令とされ、この指令から(B3)に示すタイムラグ△T(=t2−t1)の経過後に実際の機械ブレーキ動作に入る。
【0062】
他方、ブレーキ解放信号が入力された場合(信号Hレベルの場合)は、空気圧力や電磁力によりバネが拘束される。つまり、(B3)に示す時刻t0〜時刻t1の間のように非ブレーキ動作(ブレーキ解放状態)となる。図4(A2)、(A3)の場合も同様である。
【0063】
なお、機械式ブレーキ200はモータ11の回転軸11Sに接続されているが、その役割(スライドを非常停止および停止状態保持する。)を達成できるならば、他の部位に取り付けてもよい。
【0064】
機械ブレーキ動作制御手段62は、メモリ60Mに設定記憶された所定の停止動作パターン(速度パターン)に対応する機械ブレーキ動作指令に対応する制御信号Smbをブレーキ駆動部201に出力することで、機械ブレーキ動作を制御する。
【0065】
この実施の形態では、機械式ブレーキ200のブレーキトルク(モータ軸11Sに換算したブレーキトルク)の値が、回生式ブレーキ100として働く際のモータ11のモータトルクと同様な値になるように選択的に形成してある。つまり、機械式ブレーキ200が回生式ブレーキ100の図4(A1)に実線で示した速度パターンの場合と同様な速度パターンでスライド16を破線で示すように減速することができる。
【0066】
機械式ブレーキ200のみでも所定の減速度で非常停止運転できるが、回生ブレーキ動作期間が実質的に短い場合[図4の(B1)]でも、減速中には位置速度制御部43は動作しているから、機械式ブレーキの摩擦トルクにわずかな変動があっても所定停止動作パターンに従って非常停止運転できる。このため確実なスライド停止を担保できる。
【0067】
上記した“同様な値”とは、理想的には同一の値(等しい値)であることが望ましいが、減速停止運転中に結果として干渉を回避できる限りにおいて略同一の値(ほぼ等しい値)であってもよい。必要によっては、ブレーキ駆動部201の空気圧等を増減調整して機械的摩擦力を調整可能に形成しかつ機械ブレーキ動作指令および当該制御信号Smbに摩擦力増減調整情報を含ませることで、同一値に調整することも可能である。「同様な停止動作パターン」の“同様”についても共通する。
【0068】
この機械式ブレーキ200は、通常停止運転によるスライド停止後にモータ11(スライド16)を静止状態に保持するための機械式ブレーキを兼用したものである。
【0069】
ここに、非常停止指令手段66は、非常停止指令に基づき回生ブレーキ動作制御手段61の起動および機械ブレーキ動作制御手段62を起動させてスライド16を停止させるための指令を出す(図3のST12)。これに応じて、回生ブレーキ動作制御手段61は回生ブレーキ動作用の制御信号Sebを出力し、機械ブレーキ動作制御手段62は機械ブレーキ動作用の制御信号Smbを出力する。スライド確実停止達成の観点から回生式ブレーキ100に加え機械式ブレーキ200を併用する。
【0070】
これにより、回生ブレーキ動作制御手段61は、制御信号Sebを出力して図4(A1)〜(A9)に示す時刻t1から回生ブレーキ動作制御が開始される。の時刻t1から時刻t2まで回生ブレーキ動作を制御する。この期間中のモータトルク(ブレーキトルク)は(A5)に示すように一定であり、モータ11の電力Pmg(回生電力エネルギー量Emg)は時刻t1から時刻t2まで電源コンバータ31の交流電源側回生可能電力の(A6)に示す最大値Pcgmax(回生可能電力エネルギー量の最大値Ecgmax)を超えているが、電圧制御部33によって電源コンバータ31は(A8)に示す回生電力が最大値Pcgmaxを超えないように制御されている。なお、図4(B5)、(B6)、(B8)の場合も同様である。
【0071】
その余[差分(Pmg−Pcgmax)]のモータ電力(回生電力)は、図4(A9)に示す限界値Echmaxを超えない範囲内においてエネルギー蓄積装置51に蓄積される。
【0072】
また、機械式ブレーキ200は、機械ブレーキ動作制御手段62からの制御信号Smbを受けてからリレー動作しかつその後にブレーキシューがブレーキ面(モータ軸面)に当接されるまでに機械的構成要素の時間遅れ[タイムラグ△T(=t2−t1)]がある。したがって、(A2)の制御信号Smbの入力時点(時刻t1)から機械ブレーキ動作に入りかつタイムラグ△Tを経過した時刻t2から実際の機械ブレーキ動作となる。この期間(t1〜t2)中は、回生ブレーキ動作と機械ブレーキ動作の双方が実行される。
【0073】
タイムラグ△Tは、装置構成にもよるが、およそ数十〜百msである。このタイムラグ△Tは、非常停止時間(例えば、数百ms)に対して無視することができないほどの遅れである。この点からしても、ST12において、直ちに積極的な回生ブレーキ動作制御を行なうようにしてあるので、安全確実にスライド停止できると理解される。
【0074】
なお、この非常停止指令手段66は、図3のST13〜ST16、ST17は電子的速度で処理されるので、例えばST16(あるいはST17)の直後に指令動作させるようにしてもよい。
【0075】
蓄積可能電力エネルギー量検出手段63は、非常停止指令に基づき、これからエネルギー蓄積装置51に蓄積可能な電力エネルギー量Echkを検出する手段で、記憶された蓄積限界値Echmaxと検出された実際の蓄積電力エネルギー量Echaとの差として検出される(図3のST13)。つまり、式(Echmax−Echa=Echk)により蓄積可能電力エネルギー量Echkを検出する。インバータ41の損失やエネルギー蓄積装置51の蓄積時損失を考慮して算出する。
【0076】
実際の蓄積電力エネルギー量(実際蓄積電力エネルギー量と称する場合もある。)Echaは、実際蓄積電力エネルギー量検出手段74により検出される。この実際蓄積電力エネルギー量検出手段74は、プレス駆動制御部60の演算機能を活用しかつ蓄積エネルギー量検出部52で検出された端子電圧を用いて実際蓄積電力エネルギー量Echaを算出(検出)する。このために、蓄積エネルギー量検出部52の検出値(検出信号Dep)は、図2に示すように、プレス駆動制御部60に入力される。もっとも、蓄積エネルギー量検出部52に演算機能等を持たせかつエネルギー蓄積装置51の蓄積電力エネルギー量Echaを直接的に検出可能に形成し、これを実際蓄積電力エネルギー量検出手段74として用いてもよい。
【0077】
運動エネルギー量検出手段64は、非常停止指令に基づきスライド16の運動エネルギー量Edyを検出する(図3のST14)。スライド16の運動エネルギー量Edyとは、スライド昇降中におけるスライド側の運動エネルギー量である。つまり、非常停止する際にモータ軸11Sの負荷となる可動側の機械的構造(スライド16、スライド駆動機構等およびモータ回転部を含む。)の全運動エネルギー量Edyである。この運動エネルギー量Edyは、エンコーダ45で検出された当該時の速度情報に対応するものとして算出(検出)される。メモリ60Mに記憶されたイナーシャ、摩擦係数、他の機械的損失等を考慮する。この運動エネルギー量Edyはモータ11の回生電力エネルギー量Emgに変換しておく。
【0078】
限界値到達可否判定手段65は、回生ブレーキ動作の実行によりエネルギー蓄積装置51に蓄積される電力エネルギー量Echaが限界値Echmaxに達するか否かを判別する(ST17)。
【0079】
この実施の形態では、回生動作可能型の電源コンバータ31としてあるので、ST16で検出動作された交流電源(20)側への回生可能電力エネルギー量Ecgを加味した判別がなされる。なお、ST15では、メモリ60Mに予め設定記憶しておいた電源回生動作可能(電源コンバータ31が電源回生動作可能型)である旨を読み取ることで自動的にYES判別するものとされている。しかし、電源コンバータ31が電源回生動作可能型であるか否かに拘わらず、例えば、選択スイッチを事前に押下操作しておくことで、YES判別をするように形成してもよい。
【0080】
すなわち、限界値到達可否判別手段65は、モータ11(インバータ41)側からの回生電力エネルギー量Emgの全量をエネルギー蓄積装置51および電源コンバータ31で吸収できない場合[Emg>(Echk+Ecg)]には蓄積限界値Echmaxに到達すると判別(ST17でYES)する。吸収できる場合[Emg≦(Echk+Ecg)]は到達しないと判別する(ST17でNO)。なお、電源コンバータ31が動作不能な場合は、Ecg=0である。
【0081】
回生可能電力エネルギー量Ecgは、回生可能電力エネルギー量検出手段69Aによって算出(検出)される。つまり、電源コンバータ31の回生可能容量(電力)をPcg、モータ11の減速時間をTds[図4(A3)に示すタイムラグ△Tに等しい。]とすれば、式(Pcg×△T=Ecg)により算出(検出)できる。なお、電源コンバータ31の短時間定格および連続定格を考慮する場合は、回生可能電力エネルギー量Ecgを減速時間△Tにわたる積分値とすればよい。
【0082】
過剰エネルギー消費動作指令手段72は、蓄積限界値Echmaxに到達すると判別された場合に蓄積限界値を超える過剰エネルギーEchov[=Emg−(Echk+Ecg)]を消費させるための消費動作指令を出力する(ST18)。
【0083】
すると、過剰エネルギー消費動作制御手段71が消費動作指令に対応する制御信号Scoを消費制御部58に出力しつつ過剰エネルギーの消費動作を制御する。抵抗体56およびスイッチ57とともに過剰エネルギー消費手段55を構成する消費制御部58は、スイッチ57のON/OFF制御機能と、PWM制御による消費電流制御機能とを選択切換可能である。
【0084】
回生エネルギーを放電させる抵抗体(放電抵抗)56の抵抗値Rは次のように選定する。今、モータからの最大の回生電力をPmgmax,電源コンバータ31から交流電源への最大の回生電力をPcgmaxとし、電子スイッチ(スイッチ57)がオンされて抵抗体56が働くときの直流電路(母線)23の直流電圧をVdとすると、式[Pmgmax−Pcgmax=(Vd×Vd)/R]を満たすように選定する。このようにすると、電源コンバータ31でモータ11からの回生エネルギーを交流電源に戻しつつ、抵抗体56でエネルギー供給装置51が蓄積すべき電力だけ消費することができる。また、抵抗体56でのエネルギー消費は機械ブレーキが動作するまでの短時間なので、ここで消費するエネルギーは大きくなく抵抗体の容量は短時間だけの動作に対応できる容量として選択できる。なお、抵抗体56は直流電路23を介してインバータ41だけでなく、電源コンバータ31やエネルギー蓄積装置51が接続されている。このため、抵抗体56へはモータからの回生電力だけでなく、電源コンバータ31やエネルギー蓄積装置51からの電力も流れ込む恐れがある。このため、エネルギー蓄積装置51と放電体56の間の直流電路(図2のA点)に過剰エネルギー消費手段55の動作時にだけダイオード等を接続してもよい。こうすると、電源コンバータ31やエネルギー蓄積装置51からの電力も流れ込みを防止できる。これについては以後の実施例でも同様であり、第4の実施の形態で詳述する。
【0085】
図4(B4)、(B7)に示すように、時刻t1でスイッチ57が閉じ抵抗体56に電流が流れ、エネルギー蓄積装置51の蓄積限界値Echmaxを超える過剰エネルギーEchovが消費される。これは、エネルギー蓄積装置51で吸収すべき電力エネルギー(Echov)をエネルギー蓄積装置51の直前で吸収することでもある。換言すれば、インバータ41の上流側において発電ブレーキ動作させることで、機械式ブレーキ200の負担軽減、メンテナンス期間の長期化および機器(200)自体の長寿命化を図る。
【0086】
時刻t1以降において、実際機械ブレーキ動作確認手段88が実際に機械ブレーキ動作に入ったことを確認(ST19でYES)すると、過剰エネルギー消費動作終了指令手段73が消費動作終了指令を出力する。すると、過剰エネルギー消費動作制御手段71が消費制御部58に消費動作終了用の制御信号Sco(例えば、消費動作制御の場合とは極性を逆にする。)を出力する(ST20)。図4(B3)、(B4)、(B7)に示す時刻t2でスイッチ57が開き、抵抗体56によるエネルギー消費は終了される。
【0087】
スライド停止確認手段89が、エンコーダ45の出力を監視しつつ時刻t3においてスライド16が停止したことを確認(ST21でYES)すると、回生ブレーキ動作終了指令手段69が働き回生ブレーキ動作終了指令を出す(ST22)。これにより、回生ブレーキ動作制御手段61が速度制御部43に回生ブレーキ動作終了用の制御信号Seb(例えば、回生動作制御の場合とは極性を逆にする。)を出力する(ST22)。回生ブレーキ動作は終了する。
【0088】
なお、機械式ブレーキ200のタイムラグ△Tは、ほぼ一定でありスライド16が停止するまでの時間を把握できるときは、時間管理方式でスライド停止を確認するようにしてもよい。
【0089】
図4(B)の時刻t2〜t3の間は、回生式ブレーキ100は実質的に休止状態である。しかし、減速停止制御は活かされているので、機械式ブレーキ200のブレーキトルクに変動が生じた場合、この変動分は制御により補正される。この点からも、所定パターンで確実にスライド16を停止できる。
【0090】
時刻t3以降は、スライド16(モータ11)が完全停止しているので、回生ブレーキ動作の必要性は全くない。かくして、サーボオフ制御手段(60M,60C)がサーボオフ信号を出力する(ST23)。電気的な回生ブレーキ動作制御はゲートブロックなどで終了される。その後に、非常停止制御モードが解除される(ST24)。なお、モータ11は機械式ブレーキ200の働きで静止保持されている。
【0091】
かかる構成のサーボプレス10では、図4(A)および(B)に示すように時刻t0〜t1までの期間中は、通常プレス運転が行なわれている。例えば、通常プレス運転中のサーボプレス(例えば、10B)内にワークが落下したことを発見した作業者が、時刻t1において非常停止ボタンを押した場合を考える。
【0092】
すると、図2の非常停止指令部97からシステム運転管理部90に非常停止指令(信号Semj)が入力される。制御モード切換指令手段(90C,90M)は、通常運転制御モードから非常停止制御モードに切換える(図3のST10でYES、ST11)。非常停止用の各手段61〜66、69、71〜73、88等が動作可能となる。
【0093】
まず、非常停止指令手段66が、非常停止指令に基づき、回生ブレーキ動作制御手段61の起動指令および機械ブレーキ動作制御手段62の起動指令を出す(ST12)。これに応じて、回生ブレーキ動作制御手段61は回生ブレーキ動作用の制御信号Semを切換後の速度制御部43に出力し、機械ブレーキ動作制御手段62は機械ブレーキ動作用の制御信号Smbをブレーキ駆動部201に出力する(ST12)。
【0094】
すなわち、図4(A5)、(A6)、(A8)、(A9)に示すごとく時刻t1から(A1)の実線で示す速度パターンに従う回生ブレーキ動作が積極的に制御される。スライド16は破線に示す減速度で減速停止運転される。減速率は最大的でかつ一定に設定されているので、スライド16を急減速できる。この期間中、(A2)、(A3)に示すようにタイムラグ△Tのため機械ブレーキ動作は開始されるが実際の機械ブレーキ動作はされていない。
【0095】
次いで、蓄積可能電力エネルギー量検出手段63が蓄積可能電力エネルギー量Echkを検出する(ST13)。運動エネルギー量検出手段64が運動エネルギー量Edy(回生電力エネルギー量Emg)を検出する(ST14)。また、回生可能電力エネルギー量検出手段69Aが回生可能電力エネルギー量Ecgを検出(ST15でYES、ST16)する。すると、限界値到達可否判別手段65が判別動作する(ST17)。
【0096】
回生電力エネルギー量Emgの全量をエネルギー蓄積装置51と電源コンバータ31側で吸収(蓄積)できる場合(Emg≦Echk+Ecg)、限界値到達可否判別手段65は限界値に到達しないと判別(ST17でNO)する。回生ブレーキ動作が継続され、ST21に進む。
【0097】
図4(A1)、(A5)、(A6)、(A8)、(A9)に示す如く、時刻t1から回生ブレーキ動作が実行されているが、時刻t2になると(A2)、(A3)に示すように実際の機械ブレーキ動作に入る。したがって、ブレーキトルクは機械式ブレーキ200のブレーキトルクで賄われるから、(A6)のようにモータトルクはゼロとなる。つまり、回生ブレーキ動作は実質的に休止状態となる。エネルギー蓄積装置51の蓄積量は(A9)のように限界値Echmaxを超えない。
【0098】
時刻t3において、スライド停止確認手段89がスライド停止を確認(ST21でYES)すると、回生ブレーキ動作終了指令手段69、回生ブレーキ動作制御手段61が働き、回生ブレーキ動作は終了される(ST22)。その後に、サーボオフされ(ST23)、非常停止モードは解除される(ST24)。
【0099】
他方、限界値到達可否判別手段65は、回生電力エネルギー量Emgの全量をエネルギー蓄積装置51と電源コンバータ31側で吸収(蓄積)できない場合(Emg>Echk+Ecg)に限界値に到達すると判別(ST17でYES)する。すると、過剰エネルギー消費動作指令手段72、過剰エネルギー消費動作制御手段71が起動される(ST18)。過剰エネルギー消費手段55(消費制御部58)は入力された制御信号Scoに基づき、図4(B4)に示す時刻t1においてスイッチ57をオンして抵抗体56を直流電路23に接続する。(B7)に示すように過剰エネルギーEchovが消費される。したがって、エネルギー蓄積装置51内の蓄積量は(B9)に示す限界値Echmaxよりも低く抑えられるので、回生ブレーキ動作を続行できる。エネルギー(B8)に示す交流電源側への回生電力は減少する。
【0100】
時刻t1以降において、実際機械ブレーキ動作確認手段88が実際に機械ブレーキ動作に入ったことを確認(ST19でYES)すると、過剰エネルギー消費動作終了指令手段73、過剰エネルギー消費動作制御手段71が働き消費動作を終了させる(ST20)。図4(B3)、(B4)、(B7)に示す時刻t2でスイッチ57が開き抵抗体56が切り離される。以下、ST21へ進む。スライド16(モータ11)の静止状態は機械ブレーキ動作により担保される。
【0101】
その後、非常停止制御モードが解除される(ST24)。このとき、モータ11は機械式ブレーキ200の働きで静止保持され、サーボオフも実行されている。
【0102】
すなわち、この実施の形態では、例えば数百msの減速停止時間でスライド16を非常停止することができる。また、非常停止要因を取り除き、復帰させ、運転を再開させる場合、メイン電源を遮断しないで停止するので、メイン電源を遮断したときと比較して、電源復帰確立までの時間を短縮でき、生産性低下を招かないと理解される。
【0103】
しかして、この実施の形態によれば、回生式ブレーキ100、過剰エネルギー消費手段55、機械式ブレーキ200、限界値到達可否判別手段65、過剰エネルギー消費動作指令手段72、過剰エネルギー消費動作制御手段71等を設け、非常停止要求(非常停止指令Semj)に基づきモータ11の回生電力エネルギーEmgをエネルギー蓄積装置51に蓄積しつつ行なう回生ブレーキ動作により所定の停止動作パターンに従いスライド16を停止するとともに、エネルギー蓄積装置51に蓄積される電力エネルギー量Echが蓄積限界値Echmaxに到達すると判別されたことを条件に過剰電力エネルギー[Emg−(Echk+Ecg)]を抵抗体56に通電させて消費させる所定の停止動作パターンに従いスライド16を停止させる本非常停止方法(運転)を確実かつ円滑の実施できる。
【0104】
また、このサーボプレス10は、通常プレス運転中に発生される非常停止指令に基づき干渉回避を担保しつつスライド16を迅速かつ確実に停止可能に形成されているので、非常事態の解決および再プレス運転への復帰を迅速に行なえる。しかも、上記の構成からして具現化容易でかつ取扱いが簡単である。
【0105】
また、積極的に減速制御しない従来の非常停止用ブレーキ(機械式ブレーキおよび/または電気的ブレーキ)の場合に比較して、スライド16とサーボ搬送装置300等との干渉を確実に回避できるとともに、サーボプレス10とサーボ搬送装置300との相対的な位置を極限的な小範囲に、速度を極限的な高速に設定した運用ができる。サーボプレス10の特性(高速性)を十二分に発現できる。したがって、サーボプレス10の一層の普及拡大に大きく貢献できる。
【0106】
また、電源遮断をしないので、非常停止終了後でかつ非常事態の解決後に必要とされる電源遮断に起因する作業(例えば、主電源の電圧確立に要する時間)を必要としない。つまり、電源遮断をする非常停止の場合の生産性低下を払拭できる。
【0107】
また、図5に示すタンデムプレスシステムを構築した場合において、従来の非常停止をした場合に比較して、任意1台のサーボプレス10の非常事態が発生することで他の正常なサーボプレス10と当該サーボ搬送装置300との間に干渉が誘発されるという心配がない。
【0108】
さらに、停止動作パターンを通常プレス運転用のスライドモーションパターンに比較して簡素な位置パターン、速度パターンとすることができるから、パターンを容易かつ迅速に作成できるとともに回生ブレーキ動作制御手段61等の構造を簡素化・単純化できる。
【0109】
さらに、回生ブレーキ動作後に、機械式ブレーキが動作した場合は、機械式ブレーキのみでも所定の停止動作パターンに従う非常運転ができるから、モータの回生ブレーキによる電力発生はなく、エネルギー蓄積装置などの電源系に擾乱を与えずに確実なスライド停止できる。
【0110】
しかも、抵抗体56の抵抗値Rが、インバータ41からの最大回生電力エネルギー量Emgmaxと電源コンバータ31の最大回生電力エネルギー量Ecgmaxとの差分電力エネルギー量を消費可能な値に選択されているので、回生ブレーキ動作の不調にも対処できる。
【0111】
(第2の実施の形態)
この実施の形態は、図6(フローチャート)に示され、基本的な構成・機能が第1の実施態の場合(図1、図2、図3の大部分、図5)と同様であるが、第1の実施形態の場合の限界値到達可否手段65に代える限界値到達予測時刻算出手段75、実際機械ブレーキ動作開始予測時刻算出手段76、時刻比較判別手段77等を設け、蓄積限界値Echmaxを超える場合であっても実際機械ブレーキ動作開始時刻の方が早ければ放電抵抗(抵抗体56)によるエネルギー消費を抑制可能に形成してある。
【0112】
すなわち、回生式ブレーキ100と過剰エネルギー消費手段55と機械式ブレーキ200と非常停止指令手段66と回生ブレーキ動作制御手段61と機械ブレーキ動作制御手段62と限界値到達予測時刻算出手段75と実際機械ブレーキ動作開始予測時刻算出手段76と時刻比較判別手段77と過剰エネルギー消費動作指令手段72と過剰エネルギー消費動作制御手段71とを設け、算出された限界値到達予測時刻tcharと実際機械ブレーキ動作開始予測時刻tmbonaとを比較して限界値到達予測時刻tcharの方が早いと判別された場合に蓄積限界値Echmaxを超える過剰エネルギーの消費動作を実行(Echov)しつつ回生ブレーキ動作を継続可能に形成してある。
【0113】
なお、回生式ブレーキ100、過剰エネルギー消費手段55、機械式ブレーキ200、非常停止指令手段66、回生ブレーキ動作制御手段61、機械ブレーキ動作制御手段62、過剰エネルギー消費動作指令手段72および過剰エネルギー消費動作制御手段71並びに過剰エネルギー消費動作終了指令手段73および回生ブレーキ動作終了指令手段69については、第1の実施形態の場合と同じなので説明は簡略または省略する。
【0114】
また、図6のST30〜ST36は図3のST10〜ST16と同じで、図6のST40〜ST46は図3のST18〜ST24と同じなので、これらにつては第1の実施の形態を参照するものとして、ここでは説明は簡略または省略する。
【0115】
限界値到達予測時刻算出手段75は、回生ブレーキ動作の実行によりエネルギー蓄積装置51に蓄積される電力エネルギー量Echが蓄積限界値Echmaxに到達するとき、つまり限界値到達予測時刻tcharを算出する(図6のST37)。
【0116】
モータ11からの回生可能電力Pmg(回生可能電力エネルギー量Emg)はモータ11の回転速度で決まり、エネルギー蓄積装置51の蓄積可能電力エネルギー量Echkおよび実際の蓄積電力エネルギー量Echaも算出できるので、エネルギー蓄積装置51のエネルギー蓄積量に応じかつ所定の速度パターンに従う回生ブレーキ動作による減速を行った場合において、どの時点(時刻)で蓄積量限界を越えるのか、非常停止運転開始から蓄積限界値Echmaxを越えるまでの時間を算出することができる。つまり、回生ブレーキ動作の実行によりエネルギー蓄積装置51に蓄積される電力エネルギー量Echが蓄積限界値Echmaxに到達する限界値到達予測時刻tcharを算出することができる。
【0117】
なお、回生電力エネルギーEmgが小さい場合やエネルギー蓄積装置51の蓄積可能電力エネルギー量Echkが大きい場合はスライド16が停止されるまで限界を越えないこともある。
【0118】
次に、実際機械ブレーキ動作開始予測時刻算出手段76は、機械ブレーキ動作開始時刻tmbonがわかるので、タイムラグ△Tなどを勘案して実際機械ブレーキ動作開始予測時刻tmbonaを算出する(図6のST38)。
【0119】
時刻比較判別手段77は、算出された限界値到達予測時刻tcharと実際機械ブレーキ動作開始予測時刻tmbonaとを比較していずれの時刻が早いかを判別する(ST39)。限界値到達予測時刻tcharの方が実際機械ブレーキ動作開始予測時刻tmbonaよりも早い場合(tchar<tmbona)にYES判別する。
【0120】
かかる構成のサーボプレス10では、時刻比較判別手段77によってYES判断されると、回生ブレーキ動作制御中に過剰エネルギー消費動作指令手段72、過剰エネルギー消費動作制御手段71が起動される(ST40)。過剰エネルギー消費手段55(消費制御部58)は入力された制御信号Scoに基づきスイッチ57をオンして抵抗体56を直流電路23に接続する。過剰エネルギーが消費される。エネルギー蓄積装置51内の蓄積量は限界値Echmaxよりも低く抑えられるので回生ブレーキ動作を続行できる。
【0121】
しかして、この実施の形態によれば、第1の実施形態の場合と同様な効果を奏することができるとともに、エネルギー蓄積装置51の蓄積電力エネルギー量Echが限界値Echmaxに到達するであろうと予測される場合でも、実際機械ブレーキ動作開始予測時刻tmbonaが限界値到達予測時刻tcharよりも早い場合には過剰エネルギー消費動作をさせないですむから、第1の実施形態の場合に比較して抵抗体56による電力消費に伴う発熱を少なく抑えられる。
【0122】
(第3の実施の形態)
この実施の形態は、図7(フローチャート)に示され、基本的な構成・機能が第1(および第2)の実施の形態の場合(図1、図2、図3の大部分、図5)と同様であるが、第1の実施形態に係る限界値到達可否手段65や第2の実施形態に係る限界値到達予測時刻算出手段75、実際機械ブレーキ動作開始予測時刻算出手段76、時刻比較判別手段77等に代えた満充電予測時刻算出手段82、過剰エネルギー消費動作開始時刻算出手段83、機械ブレーキ動作開始時刻算出手段84等を設け、回生式ブレーキ100と過剰エネルギー消費手段55と機械式ブレーキ200とをこの順で起動しつつ確実停止可能に形成されている。
【0123】
すなわち、回生式ブレーキ100と過剰エネルギー消費手段55と機械式ブレーキ200と非常停止指令手段66と回生ブレーキ動作制御手段61と満充電予測時刻算出手段82と過剰エネルギー消費動作開始時刻算出手段83と機械ブレーキ動作開始時刻算出手段84と過剰エネルギー消費動作指令手段72と過剰エネルギー消費動作制御手段71と機械ブレーキ動作指令手段87と機械ブレーキ動作制御手段62とを設け、エネルギー蓄積装置51に関する満充電予測時刻tchflおよび過剰エネルギー消費動作開始時刻tenco(=tchfl)と機械ブレーキ動作開始時刻tmbonとを算出し、現在時刻tiが過剰エネルギー消費動作開始時刻tencoとなったときに過剰エネルギー消費動作指令に基づく制御信号Scoを出力してエネルギー消費動作制御しかつ現在時刻tiが機械ブレーキ動作開始時刻tmbonとなったときに機械ブレーキ動作指令に基づく制御信号Smbを出力して機械ブレーキ動作制御可能に形成されている。
【0124】
なお、回生式ブレーキ100、過剰エネルギー消費手段55、機械式ブレーキ200、非常停止指令手段66、回生ブレーキ動作制御手段61、過剰エネルギー消費動作指令手段72、過剰エネルギー消費動作制御手段71、機械ブレーキ動作制御手段62、過剰エネルギー消費動作終了指令手段73および回生ブレーキ動作終了指令手段69については、第1の実施形態の場合と同じなので説明を簡略または省略する。
【0125】
また、図7のST50、ST51、ST53、ST54、ST59、ST62〜ST67は、図3のST10、ST11、ST13、ST14、ST18、ST19〜ST24と同じなので、これに関する説明は省略または簡略する。
【0126】
さて、この実施形態における非常停止指令手段66は、非常停止指令に基づき回生ブレーキ動作指令を出力する(ST52)。機械ブレーキ動作指令はST61による。
【0127】
満充電予測時刻算出手段82は、回生ブレーキ動作の実行に伴いエネルギー蓄積装置51が満充電されると予測される満充電予測時刻tchflを算出(図7のST55)する。モータ11から時々刻々に発生される回生電力Pmg(回生可能電力エネルギー量Emg)がわかる。したがって、エネルギー蓄積装置51への蓄積可能電力エネルギー量Echkと交流電源(20)への回生電力Pcg(回生可能電力エネルギー量Ecg)とから、エネルギー蓄積装置51がエネルギー満充電になる時点(時刻tchfl)を計算できる。
【0128】
過剰エネルギー消費動作開始時刻算出手段83は、算出された満充電予測時刻tchflとの関係から過剰エネルギー消費動作開始時刻tencoを算出する。エネルギー蓄積装置51が満充電されたときに抵抗体56に電流を流して過剰エネルギーを消費させる。この実施の形態では、いわゆる発電ブレーキ動作を利用しつつ実質的に回生ブレーキ動作を続行させる。つまり、過剰エネルギー消費動作開始時刻tencoは満充電予測時刻tchflと同時刻(tenco=tchfl)とされている。
【0129】
第1の時刻判別手段85は、現在時刻tiが算出された過剰エネルギー消費動作開始時刻tencoに等しくなったか否かを判別する(ST58)。
【0130】
過剰エネルギー消費動作指令手段72は、第1の時刻判別手段85によって現在時刻tiが算出された過剰エネルギー消費動作開始時刻tencoに等しくなった判別された場合(ST58でYES)に、過剰エネルギー消費動作指令を出力する(ST59)。この指令を受けた過剰エネルギー消費動作制御手段71は、消費制御部58へ制御信号Scoを出力しつつ過剰エネルギーの消費動作を制御する。
【0131】
機械ブレーキ動作開始時刻算出手段84は、算出された過剰エネルギー消費動作開始時刻tenco(=tchfl)、抵抗体56の定格(機能継続時間等)および機械式ブレーキ200のタイムラグ△Tとの関係から機械ブレーキ動作開始時刻tmbonを算出する(ST57)。
【0132】
例えば、上記の時点(時刻tchfl=tenco)で電子スイッチ(57)をオンさせる。一方、放電抵抗(56)には、その容量から抵抗機能発現可能な継続時間trglmには限界がある。機械式ブレーキ200が機械ブレーキ動作に入る機械ブレーキ動作開始時点(時刻tmbon)は、過剰エネルギー消費動作可能な期間(tchfl+trglm)の経過時とするように決める。しかし、実際の機械ブレーキ動作は、機械ブレーキ動作指令から物理的な動作遅れ(タイムラグ△T)の後に行なわれる。したがって、機械ブレーキ動作開始時期(時刻tmbon)はタイムラグ△T分だけ先行させた時期(時刻tmbon)とする。すなわち、式(tmbon=tchfl+trglm−△T)により算出する。
【0133】
第2の時刻判別手段86は、現在時刻tiが算出された機械ブレーキ動作開始時刻tmbonに等しくなったか否かを判別する(ST60)。
【0134】
機械ブレーキ動作指令手段87は、第2の時刻判別手段86によって現在時刻tiが算出された機械ブレーキ動作開始時刻tmbonに等しくなった判別された場合(ST60でYES)に、機械ブレーキ動作指令を出力する(ST61)。この指令を受けた機械ブレーキ動作制御手段62は、ブレーキ制御部201へ制御信号Smbを出力しつつ機械ブレーキ動作を制御する。
【0135】
かかる構成のサーボプレス10では、満充電予測時刻算出手段82がエネルギー蓄積装置51に関する満充電予測時刻tchflを算出する(ST55)。過剰エネルギー消費動作開始時刻算出手段83が過剰エネルギー消費動作開始時刻tenco(=tchfl)を算出する(ST56)。機械ブレーキ動作開始時刻算出手段84が機械ブレーキ動作開始時刻tmbonを算出する(ST57)。
【0136】
現在時刻tiが過剰エネルギー消費動作開始時刻tencoとなったとき(ST58でYES)に、抵抗体56によるエネルギー消費動作が制御される(ST59)。また、現在時刻tiが機械ブレーキ動作開始時刻tmbonとなったとき(ST60でYES)に、機械ブレーキ動作が制御される。
【0137】
このように、非常停止制御モードに切換えられると、回生ブレーキ動作を優先して実行(ST52)させ、その後に時間管理により消費動作(電気ブレーキ)および機械ブレーキ動作を実行させるので、消費電力および機械損失を抑制効果を期待でき、スライド16を所定パターンに従い確実に減速停止させることができる。
【0138】
なお、図7では、ST58、ST59とST60、ST61とがシリーズに表現されているが、パラレルに表現するようにプログラム作成し、回生ブレーキ動作から消費動作(電気ブレーキ)および機械ブレーキ動作のいずれかに引継ぎできるように形成してもよい。
【0139】
しかして、この実施の形態によれば、第1の実施形態の場合と同様に通常プレス運転中の非常停止指令に基づき干渉回避を担保しつつスライド16を迅速かつ確実に非常停止できるから、非常事態の解決および再プレス運転への復帰を迅速に行なえる。また、第1、第2の実施形態の場合に比較して抵抗体56による過剰エネルギー消費を最小限に抑えつつ回生ブレーキ動作から機械ブレーキ動作に確実かつ円滑に引継ぎできる。
【0140】
また、エネルギー蓄積装置51への蓄積量の限界まで蓄積し、抵抗体56によるエネルギー消費動作時間も短くできる。一方において、エネルギー蓄積装置51に蓄積された電力エネルギー量を限界まで有効に活用でき、その抵抗値Rを小型化できる。
【0141】
(第4の実施の形態)
この実施の形態は、図8に示され、基本的な構成・機能が第1(および第2)の実施の形態の場合(図1、図2、図3の大部分、図5)と同様であるが、電源コンバータ31の動作をスイッチ(電子スイッチ57)と連動させることで抵抗体56への通電中に交流電源側変換装置(電源コンバータ31)の力行動作を制限するように形成されている。
【0142】
図8において、電圧指令部33は直流電路23の直流電圧Vdを指令する。直流電圧Vdは設定変更可能である。例えば、プレス運転状況に応じて可変する。電圧制御部34は電圧指令部33からの指令Sdvと直流電路23の直流電圧検出器38の検出値Ddvに応じて動作する。その出力はリミッタ35に入力される。リミッタ35の出力は、交流電源20の電流の大きさを指令する信号Saiとして電流制御部36に入力される。電流制御部36はリミッタ35からの電流指令信号Saiと電流検出器37の検出値Daiに応じて動作し、電源コンバータ21のPWM制御を実施する。
【0143】
このような構成で、直流電路(母線)23の直流電圧Vdは電圧指令信号Sdvに応じて制御され、インバータ41の力行、回生に伴う所要電力に応じて、エネルギー蓄積装置51のエネルギー蓄積制御や電源コンバータ31の電力授受制御が行われる。
【0144】
ここに、エネルギー消費動作を実行させる制御信号Scoに連動させて、リミッタ35の電流値が変更される。抵抗体(放電抵抗)56が消費動作しているとき、電源コンバータ31は交流電源20への回生動作は行なうが、交流電源から電力を受け取る力行動作は行なわない。このために、電流の大きさを制限するリミッタの正側リミッタ(力行)値はゼロとし、負側リミッタ(回生)は本来の値を維持させる。すなわち、抵抗体56はモータ11からの回生エネルギーの消費またはエネルギー蓄積装置51からの電力消費は行なうが、交流電源からの電力消費は受けないように形成されている。
【0145】
なお、スイッチ57のオン時にリミッタ部35のリミッタ値を変更するのではなく、電源コンバータ31が回生動作だけをするようにPWM制御を実施させてもよい。
【0146】
しかして、この実施の形態によれば、交流電源の浪費、無駄な電力消費および抵抗体56での無駄な発熱を防止できる。抵抗体56の容量をさらに小さくすることができる。
【0147】
また、第1の実施形態の場合(図2)は実際の動作状態が設定条件からずれた場合に交流電源に回生できない期間が生じ、逆に電源から電力供給を受ける虞があるが、この実施の形態によれば交流電源から抵抗体56への電力供給を一段と確実に防止することができる。
【0148】
次に、抵抗体56には直流電路23を介してインバータ41だけでなく、電源コンバータ31やエネルギー蓄積装置51が接続されている。このため、抵抗体56へはモータからの回生電力だけでなく、電源コンバータ31やエネルギー蓄積装置51からの電力も流れ込む恐れがある。電源コンバータ31からの抵抗体56への電力流入は図8で説明した方法で防止できるものの、この例ではエネルギー蓄積装置51が直流電路23に直接接続されているので、エネルギー蓄積装置から抵抗体への電力流入が生じる恐れがある。
【0149】
図9はこれを防止する図8の変形例である。過剰エネルギー消費手段55を動作させるとき、消費制御部58により電子スイッチ57の動作と併せて電子スイッチ59を動作させる。すなわち、消費制御部68は電子スイッチ57をオンするとき(過剰エネルギー消費手段55を動作させるとき)、電子スイッチ59をオフさせ、電子スイッチ57をオフするとき(過剰エネルギー消費手段55の動作を停止させるとき)、電子スイッチ59をオンさせる。電子スイッチ59がオフすると直流電路23に設けたダイオード26が働き、回生コンバータ31とエネルギー蓄積装置51から抵抗体56へ流入する電力は阻止され、インバータ41側からエネルギー蓄積装置51と回生コンバータ31への電力流入のみは実施される。このようにすると、電源コンバータ31やエネルギー蓄積装置51から抵抗体56への電力も流入が防止される。このため、抵抗体56の容量をさらに小さくできる。
【0150】
なお、図9のようにダイオード26を設け電子スイッチ59でこの回路をオンオフする場合、ダイオード26の働きで回生コンバータ31から抵抗体56への電力流入は防止できるから、図8で説明したリミッタ部35におけるリミッタ値の制御は実施しなくてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0151】
本発明は、スライドを迅速かつ確実に非常停止させることができるので、サーボプレスの通常運転中に発生した非常事態の対処策として極めて有効である。
【図面の簡単な説明】
【0152】
【図1】本発明の第1の実施形態に係るサーボプレスを説明するための図である。
【図2】同じく、主にモータ駆動制御装置、各指令手段および各制御手段を説明するための回路図である。
【図3】同じく、非常停止動作を説明するためのフローチャートである。
【図4】同じく、非常停止動作を説明するためのタイミングチャートである。
【図5】同じく、複数台のサーボプレスを配設して構築されたタンデムプレスシステムを説明するためのブロック図である。
【図6】本発明の第2の実施形態に係る非常停止動作を説明するためのフローチャートである。
【図7】本発明の第3の実施形態に係る非常停止動作を説明するためのフローチャートである。
【図8】本発明の第4の実施形態に係る回路図である。
【図9】本発明の第4の実施形態の変形例に係る回路図である。
【符号の説明】
【0153】
10 サーボプレス
11 モータ(サーボモータ)
12 スライド
20 交流電源装置
30 モータ駆動制御装置
31 電源コンバータ(交流電源側変換装置)
33 電圧制御部
41 インバータ(モータ駆動用変換装置)
43 位置速度制御部
51 エネルギー蓄積装置
52 蓄積エネルギー検出部
55 過剰エネルギー消費手段
56 抵抗体
60 プレス駆動制御部
90 システム運転管理部
100 回生式ブレーキ
200 機械式ブレーキ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
モータを駆動してスライドを昇降しつつ加工領域でプレス成形可能に形成されたサーボプレスの非常停止方法であって、
非常停止要求に基づき前記モータの回生電力エネルギーをエネルギー蓄積装置に蓄積しつつ行なう回生ブレーキ動作により所定の停止動作パターンに従いスライドを停止するとともに、エネルギー蓄積装置に蓄積される電力エネルギー量が当該エネルギー蓄積装置の蓄積限界値に到達するか否かを判別しかつ蓄積限界値に到達すると判別されたことを条件に過剰電力エネルギーを抵抗体に通電させて消費させる、ことを特徴とするサーボプレスの非常停止方法。
【請求項2】
モータを駆動してスライドを昇降しつつ加工領域でプレス成形可能なサーボプレスにおいて、
交流電源側変換装置とモータ駆動用変換装置とを結ぶ直流電路に接続されたエネルギー蓄積装置に前記モータの回生電力エネルギーを蓄積しつつ回生ブレーキ動作可能に形成された回生式ブレーキと、
交流電源側変換装置とモータ駆動用変換装置とを結ぶ直流電路にスイッチを介して接続された抵抗体を利用してエネルギー蓄積装置の蓄積限界値を超える過剰エネルギーを消費動作可能な過剰エネルギー消費手段と、
前記モータに直接または間接的に機械摩擦を加えつつ機械ブレーキ動作可能な機械式ブレーキと、
非常停止指令に基づき回生ブレーキ動作指令および機械ブレーキ動作指令を出力する非常停止指令手段と、
回生ブレーキ動作指令に基づき所定の停止動作パターンに従いスライドを停止させるように回生ブレーキ動作を制御する回生ブレーキ動作制御手段と、
機械ブレーキ動作指令に基づきスライドを停止させるように機械ブレーキ動作を制御する機械ブレーキ動作制御手段と、
回生ブレーキ動作の実行によりエネルギー蓄積装置に蓄積される電力エネルギー量が蓄積限界値に到達するか否かを判別する限界値到達可否判別手段と、
蓄積限界値に到達すると判別された場合に蓄積限界値を超える過剰エネルギーの消費動作指令を出力する過剰エネルギー消費動作指令手段と、
過剰エネルギー消費動作指令に基づき過剰エネルギーの消費動作を制御する過剰エネルギー消費動作制御手段と、
を設けたサーボプレス。
【請求項3】
モータを駆動してスライドを昇降しつつ加工領域でプレス成形可能なサーボプレスにおいて、
交流電源側変換装置とモータ駆動用変換装置とを結ぶ直流電路に接続されたエネルギー蓄積装置に前記モータの回生電力エネルギーを蓄積しつつ回生ブレーキ動作可能に形成された回生式ブレーキと、
交流電源側変換装置とモータ駆動用変換装置とを結ぶ直流電路にスイッチを介して接続された抵抗体を利用してエネルギー蓄積装置の蓄積限界値を超える過剰エネルギーを消費動作可能な過剰エネルギー消費手段と、
前記モータに直接または間接的に機械摩擦を加えつつ機械ブレーキ動作可能な機械式ブレーキと、
非常停止指令に基づき回生ブレーキ動作指令および機械ブレーキ動作指令を出力する非常停止指令手段と、
回生ブレーキ動作指令に基づき所定の停止動作パターンに従いスライドを停止させるように回生ブレーキ動作を制御する回生ブレーキ動作制御手段と、
機械ブレーキ動作指令に基づきスライドを停止させるように機械ブレーキ動作を制御する機械ブレーキ動作制御手段と、
回生ブレーキ動作の実行によりエネルギー蓄積装置に蓄積される電力エネルギー量が蓄積限界値に到達する限界値到達予測時刻を算出する限界値到達予測時刻算出手段と、
実際に機械ブレーキ動作が開始されると予測される実際機械ブレーキ動作開始予測時刻を算出する実際機械ブレーキ動作開始予測時刻算出手段と、
算出された限界値到達予測時刻と実際機械ブレーキ動作開始予測時刻とを比較していずれの時刻が早いかを判別する時刻比較判別手段と、
限界値到達予測時刻の方が早いと判別された場合に蓄積限界値を超える過剰エネルギーの消費動作指令を出力する過剰エネルギー消費動作指令手段と、
過剰エネルギー消費動作指令に基づき過剰エネルギーの消費動作を制御する過剰エネルギー消費動作制御手段と、
を設けたサーボプレス。
【請求項4】
モータを駆動してスライドを昇降しつつ加工領域でプレス成形可能なサーボプレスにおいて、
交流電源側変換装置とモータ駆動用変換装置とを結ぶ直流電路に接続されたエネルギー蓄積装置に前記モータの回生電力エネルギーを蓄積しつつ回生ブレーキ動作可能に形成された回生式ブレーキと、
交流電源側変換装置とモータ駆動用変換装置とを結ぶ直流電路にスイッチを介して接続された抵抗体を利用してエネルギー蓄積装置の蓄積限界値を超える過剰エネルギーを消費動作可能な過剰エネルギー消費手段と、
前記モータに直接または間接的に機械摩擦を加えつつ機械ブレーキ動作可能な機械式ブレーキと、
非常停止指令に基づき回生ブレーキ動作指令を出力する非常停止指令手段と、
回生ブレーキ動作指令に基づき所定の停止動作パターンに従いスライドを停止させるように回生ブレーキ動作を制御する回生ブレーキ動作制御手段と、
回生ブレーキ動作の実行に伴いエネルギー蓄積装置が満充電されると予測される満充電予測時刻を算出する満充電予測時刻算出手段と、
算出された満充電予測時刻との関係から過剰エネルギー消費動作開始時刻を算出する過剰エネルギー消費動作開始時刻算出手段と、
算出された過剰エネルギー消費動作開始時刻、抵抗体の定格および機械式ブレーキのタイムラグとの関係から機械ブレーキ動作開始時刻を算出する機械ブレーキ動作開始時刻算出手段と、
現在時刻が算出された過剰エネルギー消費動作開始時刻となったときに過剰エネルギー消費動作指令を出力する過剰エネルギー消費動作指令手段と、
過剰エネルギー消費動作指令に基づき過剰エネルギーの消費動作を制御する過剰エネルギー消費動作制御手段と、
現在時刻が算出された機械ブレーキ動作開始時刻となったときに機械ブレーキ動作指令を出力する機械ブレーキ動作指令手段と、
機械ブレーキ動作指令に基づき機械ブレーキ動作を制御する機械ブレーキ動作制御手段と、
を設けたサーボプレス。
【請求項5】
前記停止動作パターンは前記スライドの位置パターンまたは速度パターンである、請求項2から請求項4までのいずれか1項に記載されたサーボプレス。
【請求項6】
前記機械式ブレーキの前記モータのモータ軸に換算したブレーキトルクが前記回生ブレーキとして働く際の前記モータのモータトルクと同様な値に選択され、前記機械式ブレーキが前記回生ブレーキの場合と同じ停止動作パターンで前記スライドを減速可能に形成されている、請求項5記載のサーボプレス。
【請求項7】
前記抵抗体への通電中に前記交流電源側変換装置の力行動作を制限する、請求項2から請求項6までのいずれか1項に記載されたサーボプレス。
【請求項8】
前記抵抗体への通電中に前記交流電源側変換装置と前記エネルギー蓄積装置から前記抵抗体への電力流入を阻止するダイオードを前記直流電路に挿入する、請求項2から請求項7までのいずれか1項に記載されたサーボプレス。
【請求項9】
前記交流電源側変換装置が回生動作可能型とされ、前記抵抗体の抵抗値が前記モータ駆動用変換装置からの最大回生電力エネルギー量と前記交流電源側変換装置の最大回生電力エネルギー量との差分電力エネルギー量を消費可能な値に選択されている、請求項2から請求項8までのいずれか1項に記載されたサーボプレス。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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