シミュレーション装置及びシミュレーションプログラム
【課題】表示デバイスの画面サイズよりも大きい広告領域を用いるデジタルサイネージで広告領域に映し出される広告画像のイメージをシミュレーションできるようにする。
【解決手段】シミュレーション装置は、広告画像を表示するための広告領域に配置される複数の表示デバイスの個々の広告領域内における実際の配置を複数のガイド枠で模した広告領域画像をディスプレイに表示させる。そして、ディスプレイ上で広告領域画像に重ねて広告画像を再生する。このとき、ディスプレイ上で再生される広告画像を、広告領域画像におけるガイド枠の枠内では可視化し、枠外では可視化しない。
【解決手段】シミュレーション装置は、広告画像を表示するための広告領域に配置される複数の表示デバイスの個々の広告領域内における実際の配置を複数のガイド枠で模した広告領域画像をディスプレイに表示させる。そして、ディスプレイ上で広告領域画像に重ねて広告画像を再生する。このとき、ディスプレイ上で再生される広告画像を、広告領域画像におけるガイド枠の枠内では可視化し、枠外では可視化しない。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、デジタルサイネージに表示される広告画像をシミュレーションするためのシミュレーション装置及びコンピュータを当該シミュレーション装置として機能させるためのシミュレーションプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
広告媒体として、デジタルサイネージが注目されている。デジタルサイネージ(電子看板)は、所望の場所に設置されたデバイスにて広告対象のコンテンツ(動画,音声を含む)を再生するための表示・再生デバイス及びシステムである。従来のデジタルサイネージは、1つの表示デバイスに対して1つの広告画像を割り当てる。このため、例えばパーソナルコンピュータで広告画像のコンテンツを再生さえすれば、広告画像が表示デバイスにどのように表示されるかをシミュレーションすることができる。ただし、表示デバイスと広告画像とが1対1で対応する従来の方式では、広告領域が表示デバイスの画面サイズに限定される。
【0003】
広告領域が表示デバイスの画面サイズに限定されないデジタルサイネージの実現が望まれている。このようなデジタルサイネージの一案として、表示デバイスの画面サイズよりも十分に大きい広告領域に、複数の表示デバイスを隙間なく並べて配置する。一方、広告画像は、広告領域を一画面として表示する場合を想定する。そして、広告領域を表示デバイスの画面サイズで細分化し、細分化された領域毎に広告画像を切り出して領域別の画像コンテンツを作成する。そして、領域別に作成された画像コンテンツを、それぞれその領域に対応した各表示デバイスに配信し、同期を取って表示させる。こうすることにより、表示デバイスの画面サイズよりも十分に大きい広告領域に1つの広告画像を表示させることができる。
【0004】
しかしながら、広告領域に複数の表示デバイスを隙間なく並べるのは、広告領域の広さに比例して表示デバイスの数が増加するため、コスト面で問題がある。また、広告領域によっては表示デバイスを隙間なく並べることが物理的に困難な場合もある。したがって、広告領域に隙間を空けて複数の表示デバイスを並べるのが現実的である。ただしその場合、表示デバイス間のギャップをどの程度にするかによって、広告領域に映し出される広告画像のイメージが変化する可能性がある。このため、事前に広告領域に映し出される広告画像のイメージをシミュレーションすることが望まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2011−078014号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明が解決しようとする課題は、表示デバイスの画面サイズよりも大きい広告領域に複数の前記表示デバイスを配置したデジタルサイネージで前記広告領域に映し出される広告画像のイメージを事前にシミュレーションできるシミュレーション装置を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
一実施形態において、シミュレーション装置は、広告領域画像表示手段と、画像再生手段と、画面処理手段とを含む。広告領域画像表示手段は、広告画像を表示するための広告領域に配置される複数の表示デバイスの個々の広告領域内における実際の配置を複数のガイド枠で模した広告領域画像をディスプレイに表示させる。画像再生手段は、ディスプレイ上で広告領域画像に重ねて広告画像を再生する。画面処理手段は、ディスプレイ上で再生される広告画像を、広告領域画像におけるガイド枠の枠内では可視化し、枠外では可視化しない。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】一実施形態におけるシミュレーション装置の要部構成を示すブロック図。
【図2】一実施形態に係わるデジタルサイネージ・システムの広告領域を示す模式図。
【図3】同デジタルサイネージ・システムの表示デバイスを示す斜視図。
【図4】同表示デバイスから外観ディスプレイカバーを取り外した状態を示す斜視図。
【図5】外観ディスプレイカバーを示す斜視図。
【図6】一実施形態におけるシミュレーション装置のCPUがシミュレーションプログラムに従って実行する処理の主要な手順を示す流れ図。
【図7】図6における行間ギャップ調整処理の具体的な手順を示す流れ図。
【図8】図6における列間ギャップ調整処理の具体的な手順を示す流れ図。
【図9】図6における画像再生処理の具体的な手順を示す流れ図。
【図10】図9における画像抽出処理の具体的な手順を示す流れ図。
【図11】一実施形態において、シミュレーション装置のディスプレイに表示される編集画面の一例を示す模式図。
【図12】同編集画面に広告領域画像が表示された状態を示す模式図。
【図13】一実施形態において、シミュレーション装置のRAMに形成されるデバイス別テーブルの一例を示す模式図。
【図14】一実施形態において、シミュレーション装置のディスプレイに表示される行間ギャップ調整画面の一例を示す模式図。
【図15】図12に示す編集画面から広告領域画像が更新された状態を示す模式図。
【図16】一実施形態において、シミュレーション装置のディスプレイに表示される列間ギャップ調整画面の一例を示す模式図。
【図17】一実施形態において、シミュレーション装置のディスプレイに表示されるシミュレーション画面の一例を示す模式図。
【図18】同シミュレーション画面において、「枠外を隠す」のチェックボックスが選択されているときに動画像が再生されている状態を示す模式図。
【図19】同シミュレーション画面において、「枠外を隠さない」のチェックボックスが選択されているときに動画像が再生されている状態を示す模式図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、シミュレーション装置の一実施形態について、図面を用いて説明する。
はじめに、本実施形態のシミュレーション装置でシミュレーションを行うデジタルサイネージ・システムについて、図2〜図5を用いて説明する。
【0010】
図2は、デジタルサイネージ・システムの広告領域1を示す模式図である。図2に示すように、デジタルサイネージ・システムは、4段構成の商品陳列棚2の正面中間部を広告領域1とする。そして、各段の仕切り板3A,3B,3Cの正面に、9つの表示デバイス4(4A,4B,4C,4D,4E,4F,4G,4H,4I)を3行×3列のマトリクス状に配置する。なお、商品陳列棚2の正面とは、ユーザが商品陳列棚2に向かったときに正対する面である。
【0011】
図3は、表示デバイス4を示す斜視図である。表示デバイス4は、3つの液晶ディスプレイ5と単一の外観ディスプレイカバー6とを組み合わせたユニット構造である。
【0012】
図4は、表示デバイス4から外観ディスプレイカバー6を取り外した状態を示す斜視図である。各液晶ディスプレイ5は、その周囲部が枠体7によってそれぞれ囲われる。そして、各液晶ディスプレイ5が所定の方向に沿って並列に配列されるように、隣り合う2つの液晶ディスプレイ5の枠体7どうしを接合する。このため、枠体7の幅寸法を「h」とすると、接合部における枠体7の幅寸法は「2h」となる。
【0013】
図5は、外観ディスプレイカバー6を示す斜視図である。外観ディスプレイカバー6は、3つの液晶ディスプレイ5をそれぞれ外部に露出させるための3つの開口部6aを有するとともに、液晶ディスプレイ5の枠体7を遮蔽するための遮蔽部を有する。すなわち、外観ディスプレイカバー6は、両端部の遮蔽部6b,6cと、中間部の遮蔽部6d,6eとを有する。両端部の遮蔽部6b,6cの幅寸法は、枠体7の幅寸法「h」に対応して「h」である。中間部の遮蔽部6d,6eの幅寸法は、液晶ディスプレイ5の枠体7どうしが接合する部分の幅寸法「2h」に対応して「2h」である。
【0014】
デジタルサイネージ・システムは、かかる構成の表示デバイス4を、商品陳列棚2における各仕切り板3A,3B,3Cの正面に、それぞれ液晶ディスプレイ5の配列方向に沿って3つずつ配置する。そして、これら3行×3列の計9つの表示デバイス4A〜4Iで、サーバから配信された広告画像の動画コンテンツを再生することで、1つの広告画像があたかも広告領域1の全域に表示されるように見せる。
【0015】
図1は、シミュレーション装置10の要部構成を示すブロック図である。シミュレーション装置10は、パーソナルコンピュータ等のコンピュータに、シミュレーションプログラムPを実装することによって実現される。
【0016】
すなわち、シミュレーション装置10は、主制御部としてのCPU(Central Processing Unit)11と、主記憶部としてのROM(Read Only Memory)12及びRAM(Random Access Memory)13と、補助記憶部としてのHDD(Hard Disk Drive)14と、入出力部としての記憶媒体インターフェース15、通信インターフェース16、ディスプレイインターフェース17、キーボードインターフェース18及びマウスインターフェース19とを備える。CPU11は、ROM12,RAM13,HDD14及び各種のインターフェース15〜19を、アドレスバス,データバス等のバスライン20で接続する。
【0017】
記憶媒体インターフェース15は、USBメモリ、光ディスク等の可搬型の記憶媒体に対するデータの書き込みや読み取りを指令する。通信インターフェース16は、LAN(Local Area Network)、インターネット等のネットワークを経由して外部機器との間で行われるデータ通信を司る。ディスプレイインターフェース17は、液晶ディスプレイ,CRTディスプレイ等のディスプレイ21を接続し、このディスプレイ21に表示させる画面データを送信する。キーボードインターフェース18は、キーボード22を接続し、このキーボード22から操作キーに対応したキー信号を取り込む。マウスインターフェース19は、ポインティングデバイスであるマウス23を接続し、このマウス23から操作信号を取り込む。
【0018】
かかる構成のシミュレーション装置10は、HDD14に、広告画像フォルダ30を形成する。そして、この広告画像フォルダ30に、デジタルサイネージ・システムで使用される広告画像のコンテンツデータを保存する。コンテンツデータは、例えば前記可搬型の記憶媒体から、記憶媒体インターフェース15を介して広告画像フォルダ30にロードされる。あるいはコンテンツデータは、外部機器からネットワークを通じて配信され、通信インターフェース16を介して広告画像フォルダ30にロードされる。
【0019】
また、シミュレーション装置10は、前記シミュレーションプログラムPをROM12に記憶する。このシミュレーションプログラムPは、当該シミュレーション装置10が有する各種の業務メニューの中からシミュレーション業務が選択されると起動する。
【0020】
シミュレーションプログラムPが起動すると、シミュレーション装置10のCPU11は、図6〜図10の流れ図に示す手順の処理を開始する。先ず、CPU11は、シミュレーション業務の編集画面40をディスプレイ21に表示させる(ST1)。
【0021】
編集画面40の一例を図11に示す。図11に示すように、編集画面40は、画像コンテンツ領域41、キャンパス領域42、行数領域43及び列数領域44を備える。また、参照ボタン45、再生ボタン46A、早送りボタン46B、巻戻しボタン46C、停止ボタン46D、列間調整ボタン47、行間調整ボタン48及び終了ボタン49を配置する。
【0022】
行数領域43及び列数領域44は、シミュレーション対象の広告領域1にマトリクス状に配置されている複数の表示デバイス4の行数Lと列数Mとを入力するための領域である。参照ボタン45は、広告画像フォルダ30に保存されている広告画像のコンテンツデータの一覧表示を指令する。この一覧の中から任意に選択されたコンテンツデータのコンテンツ名がコンテンツ領域41に表示される。
【0023】
キャンパス領域42は、後述する広告領域画像50を表示する領域である。また、選択されたコンテンツデータの動画像を再生するための領域でもある。列間調整ボタン47は、上記広告領域画像50に表示されるガイド枠51の列方向の間隔調整を指令する。行間調整ボタン48は、同ガイド枠51の行方向の間隔調整を指令する。終了ボタン49は、シミュレーション業務の終了を指令する。
【0024】
CPU11は、行数領域43と列数領域44に行数Lと列数Mが入力されるのを待機する(ST2)。キーボード22を介して行数Lと列数Mが入力されたならば(ST2のYES)、CPU11は、その行数Lと列数Mとに基づいて、キャンパス領域42に広告領域画像50を表示する(ST3)。また、CPU11は、RAM13にデバイス別テーブルTを作成する(ST4)。
【0025】
広告領域画像50の一例を図12に示す。また、デバイス別テーブルTの一例を図13に示す。この例は、図2の例に従い、行数Lとして“3”、列数Mとして“3”が入力された場合である。
【0026】
図12に示すように、広告領域画像50には、L(=3)行×M(=3)列のマトリクス状に[L×M(=9)]個のガイド枠51(51A,51B,51C,51D,51E,51F,51G,51H,51I)が表示される。ガイド枠51A〜51Iは、表示デバイス4A〜4Iの外枠と相似形である。すなわちCPU11は、ステップST3の処理により、広告領域1に配置される複数の表示デバイス4A〜4Iの個々の前記広告領域1内における実際の配置を複数のガイド枠51A〜51Iで模した広告領域画像50をディスプレイ21に表示させる(広告領域画像表示手段)。
【0027】
図13に示すように、デバイス別テーブルTは、デバイスID別に、行/列、基準座標、及びコンテンツ名の各情報を記憶する。
【0028】
デバイスIDは、初期値を“1”とし、行数Lと列数Mとから算出される表示デバイス4の総数[L×M]を最大値とする連続番号である。そして、デバイスID“1”に対する行/列の情報を1/1(1行、1列)と定義し、デバイスID“2”に対する行/列の情報を1/2(1行、2列)と定義する。以下、同様にして、デバイスID“L×M” に対する行/列の情報をL/M(L行、M列)と定義する。換言すれば、シミュレーション対象の広告領域1にマトリクス状に配置される複数の表示デバイス4A〜4Iのうち、上から1行目で左から1列目の表示デバイス4Aを識別するデバイスIDを“1”とする。同様に、上から1行目で左から2列目の表示デバイス4BのデバイスIDを“2”とし、上からL行目で左からM列目の表示デバイス4Iを識別するデバイスIDを“L×M”とする。
【0029】
基準座標は、キャンパス領域42の左下角をXY平面座標の原点O(0,0)としたときの、当該キャンパス領域42に表示される広告領域画像50の各ガイド枠51A〜51Iの左上角の座標である。前述したように、ガイド枠51A〜51Iは、表示デバイス4A〜4Iの外枠と相似形なので、ガイド枠51A〜51Iの大きさは一義的に決まる。したがって、ガイド枠51A〜51Iの基準座標が定まれば、そのガイド枠51A〜51I内の領域を特定することができる。
【0030】
コンテンツ名は、対応するデバイスIDで識別される表示デバイス4A〜4Iを模したガイド枠51A〜51I内に表示される動画コンテンツの識別名である。デバイス別テーブルTが作成された当初は、コンテンツ名の領域は空欄である。
【0031】
CPU11は、広告画像のコンテンツが選択されるのを待機する(ST5)。マウス23の操作入力により、広告画像のコンテンツが選択されたならば(ST5のYES)、CPU11は、そのコンテンツを広告画像フォルダ30から呼出す。そして、このコンテンツのトップ画面をキャンパス領域42に展開して表示させる。すなわち、ディスプレイ21上で広告領域画像50に重ねて、広告画像を表示する(ST6)。
【0032】
CPU11は、行間調整ボタン48が押下されるか(ST7)、列間調整ボタン47が押下されるか(ST8)、再生ボタン46Aが押下されるか(ST9)、終了ボタン49が押下されるのを待機する(ST10)。そして、マウス23の操作入力により、終了ボタン49が押下されたならば(ST10のYES)、CPU11は、ディスプレイ21から編集画面40を消去する(ST11)。以上で、シミュレーションプログラムPは終了する。
【0033】
行間調整ボタン48が押下された場合には(ST7のYES)、CPU11は、図7に具体的に示す行間ギャップ調整処理を実行する。すなわちCPU11は、行間ギャップ調整画面60をキャンパス領域42に重ねて表示させる。また、列間調整ボタン47及び行間調整ボタン48に代えて、反映ボタン61を表示させる(ST21)。
【0034】
表示デバイス4の配列状況として、行数L=“3”、列数M=“3”が入力されているときの行間ギャップ調整画面60の一例を図14に示す。すなわち、表示デバイス4の行数Lは“3”なので、行間は、1行目と2行目の間A12と、2行目と3行目の間A23とがある(図12を参照)。行間ギャップ調整画面60には、これらの行間A12,A23のギャップを、インチを単位とする数値で入力するための領域62,63が形成される。反映ボタン61は、領域62,63に入力された数値の確定を指令する。
【0035】
CPU11は、反映ボタン61が押下されるのを待機する(ST22)。マウス23の操作入力により反映ボタン61が押下されたならば(ST22のYES)、CPU11は、1行目のガイド枠51A,51B,51Cと2行目のガイド枠51D,51E,51Fとのギャップが領域62に入力された数値となるように、デバイス別テーブルTにデバイスID別に記憶されている基準座標を変更する。同様に、CPU11は、2行目のガイド枠51D,51E,51Fと3行目のガイド枠51G,51H,51Iとのギャップが領域63に入力された数値となるように、デバイス別テーブルTにデバイスID別に記憶されている基準座標を変更する。(ST23)。
【0036】
しかる後、CPU11は、行間ギャップ調整画面60を消去する。そして、変更後の基準座標を基に広告領域画像50を再構築して、キャンパス領域42に表示させる(ST24)。
【0037】
図15の広告領域画像50は、図12の広告領域画像50から、2行目のガイド枠51D,51E,51Fと3列目のガイド枠51G,51H,51Iとのギャップを広げた状態を示す。
【0038】
列間調整ボタン47が押下された場合には(ST8のYES)、CPU11は、図8に具体的に示す列間ギャップ調整処理を実行する。すなわちCPU11は、列間ギャップ調整画面70をキャンパス領域42に重ねて表示させる。また、列間調整ボタン47及び行間調整ボタン48に代えて、反映ボタン71を表示させる(ST31)。
【0039】
表示デバイス4の配列状況として、行数L=“3”、列数M=“3”が入力されているときの列間ギャップ調整画面70の一例を図16に示す。すなわち、表示デバイス4の列数Mは“3”なので、列間は、1列目と2列目の間B12と、2列目と3列目の間B23とがある(図15を参照)。列間ギャップ調整画面70には、これらの列間B12,B23のギャップを、インチを単位とする数値で入力するための領域72,73が形成される。反映ボタン71は、領域72,73に入力された数値の確定を指令する。
【0040】
CPU11は、反映ボタン71が押下されるのを待機する(ST32)。マウス23の操作入力により反映ボタン71が押下されたならば(ST32のYES)、CPU11は、1列目のガイド枠51A,51D,51Gと2列目のガイド枠51B,51E,51Hとのギャップが領域72に入力された数値となるように、デバイス別テーブルTにデバイスID別に記憶されている基準座標を変更する。同様に、CPU11は、2列目のガイド枠51B,51E,51Hと3列目のガイド枠51C,51F,51Iとのギャップが領域73に入力された数値となるように、デバイス別テーブルTにデバイスID別に記憶されている基準座標を変更する。(ST33)。
【0041】
しかる後、CPU11は、列間ギャップ調整画面70を消去する。そして、変更後の基準座標を基に広告領域画像50を再構築して、キャンパス領域42に表示させる(ST34)。
【0042】
ここに、CPU11は、ステップST21,ST31の各処理により、広告領域画像50に表示されるガイド枠51間のギャップ値を受付けるギャップ値受付手段を構成する。また、CPU11は、ステップST23,ST24,ST33,ST34の各処理により、ギャップ値受付手段により受付けたギャップ値にしたがって広告領域画像50上のガイド枠51の位置を移動させる移動手段を構成する。
【0043】
再生ボタン46Aが押下された場合には(ST9のYES)、CPU11は、図9に具体的に示す画像再生処理を実行する。すなわちCPU11は、ディスプレイ21の画面を編集画面40からシミュレーション画面80に切り替える(ST41)。
【0044】
シミュレーション画面80の一例を図17に示す。シミュレーション画面80が編集画面40と異なる点は、キャンパス領域42に表示されている広告領域画像50において、各ガイド枠51A〜51Iの枠外を黒色画像で覆うことで、枠外に表示されている広告画像を見えないようにした点である。また、「枠外を隠す」のか「枠外を隠さない」のかを選択するためのチェックボックス81,82と、切替ボタン83と、抽出ボタン84とを表示させた点である。切替ボタン83は、広告画像の切替を指令する。抽出ボタン84は、各ガイド枠51の枠内に表示される画像を抽出して、動画コンテンツを作成する処理、いわゆる画像抽出処理の実行を指令する。
【0045】
因みに、チェックボックス81,82は、デフォルトとして「枠外を隠す」のチェックボックス81がチェックされている。
【0046】
シミュレーション画面80に切り替えた後、CPU11は、動画コンテンツである広告画像を再生する(ST42)。広告画像の再生は、停止ボタン46Dが押下されるまで、繰り返し実行される。その間、CPU11は、チェックボックス81,82がチェックされたか否かを判断する(ST43)。そして、「枠外を隠す」のチェックボックス81がチェックされている状態で、「枠外を隠さない」のチェックボックス82がチェックされた場合には(ST43のNO)、CPU11は、各ガイド枠51の枠外を覆っていた黒色画像を消去する(ST44)。逆に、「枠外を隠さない」のチェックボックス82がチェックされている状態で、「枠外を隠す」のチェックボックス81がチェックされた場合には、CPU11は、各ガイド枠51の枠外を黒色画像で覆う(ST45)。
【0047】
図18は、「枠外を隠す」のチェックボタン81がチェックされている状態で、広告画像が再生されている状態を示す。また、図19は、「枠外を隠さない」のチェックボタン82がチェックされている状態で、広告画像が再生されている状態を示す。いずれの場合においても、再生ボタン46Aは、一時停止ボタンとして機能する。
【0048】
ここに、CPU11は、ステップST42の処理により、ディスプレイ21上で広告領域画像50に重ねて広告画像を再生する画像再生手段を構成する。また、CPU11は、ステップST43の処理により、広告領域画像50におけるガイド枠51の枠外を可視化するか可視化しないかの選択を受付ける選択受付手段を構成する。さらに、CPU11は、ステップST44,ST45の処理により、ディスプレイ21上で再生される広告画像を、広告領域画像50におけるガイド枠51の枠内では可視化し、枠外では可視化しない画面処理手段を構成する。
【0049】
CPU11は、停止ボタン46Dが押下されたか否かを判断する(ST46)。押下されていない場合(ST46のNO)、CPU11は、再びチェックボックス81,82がチェックされたか否かを判断する(ST43)。
【0050】
停止ボタン46Dが押下されたならば(ST46のYES)、CPU11は、広告画像の再生を終了する(ST47)。次いで、CPU11は、切替ボタン83が押下されるか(ST48)、抽出ボタン84が押下されるか(ST49)、終了ボタン49が押下されるのを待機する(ST50)。
【0051】
終了ボタン49が押下されると(ST50のYES)、CPU11は、ディスプレイ21のシミュレーション画面80を消去する(ST51)。以上で、シミュレーションプログラムPは終了する。
【0052】
切替ボタン83が押下された場合には(ST48のYES)、CPU11は、ディスプレイ21の画面をシミュレーション画面80から編集画面40に戻す(ST52)。そして、キャンパス領域42で広告領域画像50に重ねて表示されていた広告画像コンテンツの画像を消去する(ST53)。しかる後、CPU11は、図6のステップST5の処理に戻る。すなわち、新たな広告画像のコンテンツが選択されるのを待機する。
【0053】
抽出ボタン84が押下された場合には(ST49のYES)、CPU11は、図10に具体的に示す画像抽出処理を実行する(ST54)。先ず、CPU11は、RAM13上に形成したカウンタnを“0”に一旦リセットする(ST61)。次に、CPU11は、上記カウンタnを“1”だけカウントアップする(ST62)。そして、カウンタnが広告領域1内に配置されている表示デバイスの総数[L×M]を超えたか否かを判断する(ST63)。超えていない場合(ST63のNO)、CPU11は、以下のステップST64〜ST67の処理を実行する。
【0054】
ステップST64では、デバイス別テーブルTを検索して、デバイスID=カウンタnの基準座標を取得する。そして、基準座標に基づいて、デバイスID=カウンタnで識別される表示デバイス4を模したガイド枠51の領域内を特定する。
【0055】
ステップST65では、キャンパス領域42で再生される広告画像のうち、ガイド枠51の領域内で再生される画像データを切り出す。そして、この切り出した画像データで新規の動画コンテンツを作成する。
【0056】
ステップST66では、新規の動画コンテンツを、固有のコンテンツ名を付してHDD14の広告画像フォルダ30に保存する。
【0057】
ステップST67では、デバイス別テーブルTのデバイスID=カウンタnに対応するコンテンツ名領域に、新規の画像コンテンツのコンテンツ名を格納する。
【0058】
ここに、CPU11は、ステップST64,ST65の各処理により、広告領域画像50に表示されるガイド枠51毎に、そのガイド枠51内に表示される画像を広告画像から切り出してガイド枠51別の画像コンテンツを作成するコンテンツ作成手段を構成する。また、CPU11は、ステップST67の処理により、コンテンツ作成手段により作成される画像コンテンツの識別情報を、その画像コンテンツの画像が枠内に表示されるガイド枠51で模された表示デバイス4の識別情報と関連付けて記憶する記憶手段を構成する。
【0059】
上記ステップST64〜ST67の処理を終了すると、CPU11は、ステップST62の処理に戻る。すなわち、カウンタnをさらに“1”だけカウントアップする。こうして、カウンタnが表示デバイスの総数[L×M]を超えるまで、カウンタnを“1”ずつカウントアップする毎に、CPU11は、ステップST64〜ST67の処理を繰り返し実行する。そして、カウンタnが表示デバイスの総数[L×M]を超えたならば(ST63のYES)、CPU11は、画像抽出処理を終了する。
【0060】
しかる後、CPU11は、ディスプレイ21のシミュレーション画面80を消去する(ST51)。以上で、シミュレーションプログラムPは終了する。
【0061】
このように、本実施形態のシミュレーション装置10であれば、広告領域1に映し出される広告画像を、表示デバイス4が配置されていない部分は隠した状態で、ディスプレイ21上に映し出すことができる。したがって、ユーザは、表示デバイス4の画面サイズよりも大きい広告領域1に複数の表示デバイス4を配置したデジタルサイネージで、広告領域1に実際に映し出される広告画像のイメージを、事前に確認することができる。
【0062】
また、シミュレーションの過程において、表示デバイス4が配置されていない部分も広告画像が見える状態にしたり、見えない状態にしたりすることは、チェックボックス81,82のチェックだけで可能である。その上、広告領域1に配置される複数の表示デバイス4の個々の広告領域1内における実際の配置を模したガイド枠51の位置を、ディスプレイ21上でずらすことも、入力操作によって可能である。したがって、例えば広告領域1に広告画像を最も効果的に表示させるためには、表示デバイス4をどのように配置したよいかということを、ユーザが容易にシミュレーションすることができる。
【0063】
そしてユーザは、シミュレーションの結果、各表示デバイス4の適切な配置を確定できたならば、抽出ボタン84を押下する。そうすると、広告領域画像50に表示されるガイド枠51毎に、そのガイド枠51内に表示される画像が広告画像から切り出されてガイド枠51別の画像コンテンツが作成される。そして、これらの画像コンテンツの識別情報が、その画像コンテンツの画像が枠内に表示されるガイド枠51で模された表示デバイス4の識別情報(デバイスID)と関連付けて、デバイス別テーブルTで記憶される。したがって、広告領域1に表示させる広告画像のコンテンツから、各表示デバイス4にそれぞれ同期を取って表示させる表示デバイス4別の画像コンテンツを、手間なく容易に作成することができる。すなわち、表示デバイス4の画面サイズよりも大きい広告領域1に複数の表示デバイス4を配置したデジタルサイネージを、容易に構築できる効果も奏し得る。
【0064】
なお、本発明は、前記実施形態に限定されるものではない。
【0065】
例えば、前記実施形態では、4段構成の商品陳列棚2の正面中間部を広告領域1として、3行×3列のマトリクス状に表示デバイス4を配置したデジタルサイネージへの適用例を示したが、適用例は、これに限定されるものではない。また、表示デバイス4は、3つの液晶ディスプレイ5と単一の外観ディスプレイカバー6とを組み合わせたユニット構造としたが、表示デバイスの構造も特に限定されるものではない。要は、表示デバイスと4と相似形のガイド枠51が広告領域画像50に表示されるように、ガイド枠51のサイズを設定すればよい。
【0066】
また、前記実施形態では、動画コンテンツの広告画像をシミュレーションする場合を示したが、シミュレーション対象の広告画像は動画コンテンツには限定されない。静止画コンテンツの広告画像をシミュレーションする場合も、前記実施形態のシミュレーション装置10で対応することができる。
【0067】
また、前記実施形態では、シミュレーション画面80に「枠外を隠す」のか「枠外を隠さない」のかを選択するためのチェックボックス81,82を含めたが、これらのチェックボックス81,82を省略してもよい。その場合でも、広告領域1に映し出される広告画像が、表示デバイス4が配置されていない部分は隠した状態で、ディスプレイ21上に映し出されるので、ユーザは、表示デバイス4の画面サイズよりも大きい広告領域1に複数の表示デバイス4を配置したデジタルサイネージで、広告領域1に実際に映し出される広告画像のイメージを、事前に確認することができる。
【0068】
また、前記実施形態では、広告領域画像50に表示されるガイド枠51間のギャップ値を受付けるギャップ値受付手段を具備し、移動手段は、ギャップ値受付手段により受付けたギャップ値にしたがって広告領域画像50上のガイド枠51の位置を移動させたが、移動手段は値これに限定されるものではない。例えば、マウス23を用いたドラッグ&ドロップ機能により、シミュレーション画面80上で各ガイド枠51をX座標方向またはY座標方向に移動できるようにしてもよい。
【0069】
また、前記実施形態は、装置内部のプログラム記憶部であるROM12に発明の機能を実現させるシミュレーションプログラムPが予め記録されているものとした。しかしこれに限らず、同様のプログラムがネットワークから装置にダウンロードされてもよい。あるいは、記録媒体に記録された同様のプログラムが、装置にインストールされてもよい。記録媒体は、CD−ROM,メモリカード等のようにプログラムを記憶でき、かつ装置が読み取り可能であれば、その形態は問わない。また、プログラムのインストールやダウンロードにより得る機能は、装置内部のOS(オペレーティング・システム)等と協働してその機能を実現させるものであってもよい。
【0070】
この他、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0071】
1…広告領域、4(4A〜4I)…表示デバイス、10…シミュレーション装置、30…広告画像フォルダ、50…広告領域画像、51(51A〜51L)…ガイド枠、P…シミュレーションプログラム。
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、デジタルサイネージに表示される広告画像をシミュレーションするためのシミュレーション装置及びコンピュータを当該シミュレーション装置として機能させるためのシミュレーションプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
広告媒体として、デジタルサイネージが注目されている。デジタルサイネージ(電子看板)は、所望の場所に設置されたデバイスにて広告対象のコンテンツ(動画,音声を含む)を再生するための表示・再生デバイス及びシステムである。従来のデジタルサイネージは、1つの表示デバイスに対して1つの広告画像を割り当てる。このため、例えばパーソナルコンピュータで広告画像のコンテンツを再生さえすれば、広告画像が表示デバイスにどのように表示されるかをシミュレーションすることができる。ただし、表示デバイスと広告画像とが1対1で対応する従来の方式では、広告領域が表示デバイスの画面サイズに限定される。
【0003】
広告領域が表示デバイスの画面サイズに限定されないデジタルサイネージの実現が望まれている。このようなデジタルサイネージの一案として、表示デバイスの画面サイズよりも十分に大きい広告領域に、複数の表示デバイスを隙間なく並べて配置する。一方、広告画像は、広告領域を一画面として表示する場合を想定する。そして、広告領域を表示デバイスの画面サイズで細分化し、細分化された領域毎に広告画像を切り出して領域別の画像コンテンツを作成する。そして、領域別に作成された画像コンテンツを、それぞれその領域に対応した各表示デバイスに配信し、同期を取って表示させる。こうすることにより、表示デバイスの画面サイズよりも十分に大きい広告領域に1つの広告画像を表示させることができる。
【0004】
しかしながら、広告領域に複数の表示デバイスを隙間なく並べるのは、広告領域の広さに比例して表示デバイスの数が増加するため、コスト面で問題がある。また、広告領域によっては表示デバイスを隙間なく並べることが物理的に困難な場合もある。したがって、広告領域に隙間を空けて複数の表示デバイスを並べるのが現実的である。ただしその場合、表示デバイス間のギャップをどの程度にするかによって、広告領域に映し出される広告画像のイメージが変化する可能性がある。このため、事前に広告領域に映し出される広告画像のイメージをシミュレーションすることが望まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2011−078014号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明が解決しようとする課題は、表示デバイスの画面サイズよりも大きい広告領域に複数の前記表示デバイスを配置したデジタルサイネージで前記広告領域に映し出される広告画像のイメージを事前にシミュレーションできるシミュレーション装置を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
一実施形態において、シミュレーション装置は、広告領域画像表示手段と、画像再生手段と、画面処理手段とを含む。広告領域画像表示手段は、広告画像を表示するための広告領域に配置される複数の表示デバイスの個々の広告領域内における実際の配置を複数のガイド枠で模した広告領域画像をディスプレイに表示させる。画像再生手段は、ディスプレイ上で広告領域画像に重ねて広告画像を再生する。画面処理手段は、ディスプレイ上で再生される広告画像を、広告領域画像におけるガイド枠の枠内では可視化し、枠外では可視化しない。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】一実施形態におけるシミュレーション装置の要部構成を示すブロック図。
【図2】一実施形態に係わるデジタルサイネージ・システムの広告領域を示す模式図。
【図3】同デジタルサイネージ・システムの表示デバイスを示す斜視図。
【図4】同表示デバイスから外観ディスプレイカバーを取り外した状態を示す斜視図。
【図5】外観ディスプレイカバーを示す斜視図。
【図6】一実施形態におけるシミュレーション装置のCPUがシミュレーションプログラムに従って実行する処理の主要な手順を示す流れ図。
【図7】図6における行間ギャップ調整処理の具体的な手順を示す流れ図。
【図8】図6における列間ギャップ調整処理の具体的な手順を示す流れ図。
【図9】図6における画像再生処理の具体的な手順を示す流れ図。
【図10】図9における画像抽出処理の具体的な手順を示す流れ図。
【図11】一実施形態において、シミュレーション装置のディスプレイに表示される編集画面の一例を示す模式図。
【図12】同編集画面に広告領域画像が表示された状態を示す模式図。
【図13】一実施形態において、シミュレーション装置のRAMに形成されるデバイス別テーブルの一例を示す模式図。
【図14】一実施形態において、シミュレーション装置のディスプレイに表示される行間ギャップ調整画面の一例を示す模式図。
【図15】図12に示す編集画面から広告領域画像が更新された状態を示す模式図。
【図16】一実施形態において、シミュレーション装置のディスプレイに表示される列間ギャップ調整画面の一例を示す模式図。
【図17】一実施形態において、シミュレーション装置のディスプレイに表示されるシミュレーション画面の一例を示す模式図。
【図18】同シミュレーション画面において、「枠外を隠す」のチェックボックスが選択されているときに動画像が再生されている状態を示す模式図。
【図19】同シミュレーション画面において、「枠外を隠さない」のチェックボックスが選択されているときに動画像が再生されている状態を示す模式図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、シミュレーション装置の一実施形態について、図面を用いて説明する。
はじめに、本実施形態のシミュレーション装置でシミュレーションを行うデジタルサイネージ・システムについて、図2〜図5を用いて説明する。
【0010】
図2は、デジタルサイネージ・システムの広告領域1を示す模式図である。図2に示すように、デジタルサイネージ・システムは、4段構成の商品陳列棚2の正面中間部を広告領域1とする。そして、各段の仕切り板3A,3B,3Cの正面に、9つの表示デバイス4(4A,4B,4C,4D,4E,4F,4G,4H,4I)を3行×3列のマトリクス状に配置する。なお、商品陳列棚2の正面とは、ユーザが商品陳列棚2に向かったときに正対する面である。
【0011】
図3は、表示デバイス4を示す斜視図である。表示デバイス4は、3つの液晶ディスプレイ5と単一の外観ディスプレイカバー6とを組み合わせたユニット構造である。
【0012】
図4は、表示デバイス4から外観ディスプレイカバー6を取り外した状態を示す斜視図である。各液晶ディスプレイ5は、その周囲部が枠体7によってそれぞれ囲われる。そして、各液晶ディスプレイ5が所定の方向に沿って並列に配列されるように、隣り合う2つの液晶ディスプレイ5の枠体7どうしを接合する。このため、枠体7の幅寸法を「h」とすると、接合部における枠体7の幅寸法は「2h」となる。
【0013】
図5は、外観ディスプレイカバー6を示す斜視図である。外観ディスプレイカバー6は、3つの液晶ディスプレイ5をそれぞれ外部に露出させるための3つの開口部6aを有するとともに、液晶ディスプレイ5の枠体7を遮蔽するための遮蔽部を有する。すなわち、外観ディスプレイカバー6は、両端部の遮蔽部6b,6cと、中間部の遮蔽部6d,6eとを有する。両端部の遮蔽部6b,6cの幅寸法は、枠体7の幅寸法「h」に対応して「h」である。中間部の遮蔽部6d,6eの幅寸法は、液晶ディスプレイ5の枠体7どうしが接合する部分の幅寸法「2h」に対応して「2h」である。
【0014】
デジタルサイネージ・システムは、かかる構成の表示デバイス4を、商品陳列棚2における各仕切り板3A,3B,3Cの正面に、それぞれ液晶ディスプレイ5の配列方向に沿って3つずつ配置する。そして、これら3行×3列の計9つの表示デバイス4A〜4Iで、サーバから配信された広告画像の動画コンテンツを再生することで、1つの広告画像があたかも広告領域1の全域に表示されるように見せる。
【0015】
図1は、シミュレーション装置10の要部構成を示すブロック図である。シミュレーション装置10は、パーソナルコンピュータ等のコンピュータに、シミュレーションプログラムPを実装することによって実現される。
【0016】
すなわち、シミュレーション装置10は、主制御部としてのCPU(Central Processing Unit)11と、主記憶部としてのROM(Read Only Memory)12及びRAM(Random Access Memory)13と、補助記憶部としてのHDD(Hard Disk Drive)14と、入出力部としての記憶媒体インターフェース15、通信インターフェース16、ディスプレイインターフェース17、キーボードインターフェース18及びマウスインターフェース19とを備える。CPU11は、ROM12,RAM13,HDD14及び各種のインターフェース15〜19を、アドレスバス,データバス等のバスライン20で接続する。
【0017】
記憶媒体インターフェース15は、USBメモリ、光ディスク等の可搬型の記憶媒体に対するデータの書き込みや読み取りを指令する。通信インターフェース16は、LAN(Local Area Network)、インターネット等のネットワークを経由して外部機器との間で行われるデータ通信を司る。ディスプレイインターフェース17は、液晶ディスプレイ,CRTディスプレイ等のディスプレイ21を接続し、このディスプレイ21に表示させる画面データを送信する。キーボードインターフェース18は、キーボード22を接続し、このキーボード22から操作キーに対応したキー信号を取り込む。マウスインターフェース19は、ポインティングデバイスであるマウス23を接続し、このマウス23から操作信号を取り込む。
【0018】
かかる構成のシミュレーション装置10は、HDD14に、広告画像フォルダ30を形成する。そして、この広告画像フォルダ30に、デジタルサイネージ・システムで使用される広告画像のコンテンツデータを保存する。コンテンツデータは、例えば前記可搬型の記憶媒体から、記憶媒体インターフェース15を介して広告画像フォルダ30にロードされる。あるいはコンテンツデータは、外部機器からネットワークを通じて配信され、通信インターフェース16を介して広告画像フォルダ30にロードされる。
【0019】
また、シミュレーション装置10は、前記シミュレーションプログラムPをROM12に記憶する。このシミュレーションプログラムPは、当該シミュレーション装置10が有する各種の業務メニューの中からシミュレーション業務が選択されると起動する。
【0020】
シミュレーションプログラムPが起動すると、シミュレーション装置10のCPU11は、図6〜図10の流れ図に示す手順の処理を開始する。先ず、CPU11は、シミュレーション業務の編集画面40をディスプレイ21に表示させる(ST1)。
【0021】
編集画面40の一例を図11に示す。図11に示すように、編集画面40は、画像コンテンツ領域41、キャンパス領域42、行数領域43及び列数領域44を備える。また、参照ボタン45、再生ボタン46A、早送りボタン46B、巻戻しボタン46C、停止ボタン46D、列間調整ボタン47、行間調整ボタン48及び終了ボタン49を配置する。
【0022】
行数領域43及び列数領域44は、シミュレーション対象の広告領域1にマトリクス状に配置されている複数の表示デバイス4の行数Lと列数Mとを入力するための領域である。参照ボタン45は、広告画像フォルダ30に保存されている広告画像のコンテンツデータの一覧表示を指令する。この一覧の中から任意に選択されたコンテンツデータのコンテンツ名がコンテンツ領域41に表示される。
【0023】
キャンパス領域42は、後述する広告領域画像50を表示する領域である。また、選択されたコンテンツデータの動画像を再生するための領域でもある。列間調整ボタン47は、上記広告領域画像50に表示されるガイド枠51の列方向の間隔調整を指令する。行間調整ボタン48は、同ガイド枠51の行方向の間隔調整を指令する。終了ボタン49は、シミュレーション業務の終了を指令する。
【0024】
CPU11は、行数領域43と列数領域44に行数Lと列数Mが入力されるのを待機する(ST2)。キーボード22を介して行数Lと列数Mが入力されたならば(ST2のYES)、CPU11は、その行数Lと列数Mとに基づいて、キャンパス領域42に広告領域画像50を表示する(ST3)。また、CPU11は、RAM13にデバイス別テーブルTを作成する(ST4)。
【0025】
広告領域画像50の一例を図12に示す。また、デバイス別テーブルTの一例を図13に示す。この例は、図2の例に従い、行数Lとして“3”、列数Mとして“3”が入力された場合である。
【0026】
図12に示すように、広告領域画像50には、L(=3)行×M(=3)列のマトリクス状に[L×M(=9)]個のガイド枠51(51A,51B,51C,51D,51E,51F,51G,51H,51I)が表示される。ガイド枠51A〜51Iは、表示デバイス4A〜4Iの外枠と相似形である。すなわちCPU11は、ステップST3の処理により、広告領域1に配置される複数の表示デバイス4A〜4Iの個々の前記広告領域1内における実際の配置を複数のガイド枠51A〜51Iで模した広告領域画像50をディスプレイ21に表示させる(広告領域画像表示手段)。
【0027】
図13に示すように、デバイス別テーブルTは、デバイスID別に、行/列、基準座標、及びコンテンツ名の各情報を記憶する。
【0028】
デバイスIDは、初期値を“1”とし、行数Lと列数Mとから算出される表示デバイス4の総数[L×M]を最大値とする連続番号である。そして、デバイスID“1”に対する行/列の情報を1/1(1行、1列)と定義し、デバイスID“2”に対する行/列の情報を1/2(1行、2列)と定義する。以下、同様にして、デバイスID“L×M” に対する行/列の情報をL/M(L行、M列)と定義する。換言すれば、シミュレーション対象の広告領域1にマトリクス状に配置される複数の表示デバイス4A〜4Iのうち、上から1行目で左から1列目の表示デバイス4Aを識別するデバイスIDを“1”とする。同様に、上から1行目で左から2列目の表示デバイス4BのデバイスIDを“2”とし、上からL行目で左からM列目の表示デバイス4Iを識別するデバイスIDを“L×M”とする。
【0029】
基準座標は、キャンパス領域42の左下角をXY平面座標の原点O(0,0)としたときの、当該キャンパス領域42に表示される広告領域画像50の各ガイド枠51A〜51Iの左上角の座標である。前述したように、ガイド枠51A〜51Iは、表示デバイス4A〜4Iの外枠と相似形なので、ガイド枠51A〜51Iの大きさは一義的に決まる。したがって、ガイド枠51A〜51Iの基準座標が定まれば、そのガイド枠51A〜51I内の領域を特定することができる。
【0030】
コンテンツ名は、対応するデバイスIDで識別される表示デバイス4A〜4Iを模したガイド枠51A〜51I内に表示される動画コンテンツの識別名である。デバイス別テーブルTが作成された当初は、コンテンツ名の領域は空欄である。
【0031】
CPU11は、広告画像のコンテンツが選択されるのを待機する(ST5)。マウス23の操作入力により、広告画像のコンテンツが選択されたならば(ST5のYES)、CPU11は、そのコンテンツを広告画像フォルダ30から呼出す。そして、このコンテンツのトップ画面をキャンパス領域42に展開して表示させる。すなわち、ディスプレイ21上で広告領域画像50に重ねて、広告画像を表示する(ST6)。
【0032】
CPU11は、行間調整ボタン48が押下されるか(ST7)、列間調整ボタン47が押下されるか(ST8)、再生ボタン46Aが押下されるか(ST9)、終了ボタン49が押下されるのを待機する(ST10)。そして、マウス23の操作入力により、終了ボタン49が押下されたならば(ST10のYES)、CPU11は、ディスプレイ21から編集画面40を消去する(ST11)。以上で、シミュレーションプログラムPは終了する。
【0033】
行間調整ボタン48が押下された場合には(ST7のYES)、CPU11は、図7に具体的に示す行間ギャップ調整処理を実行する。すなわちCPU11は、行間ギャップ調整画面60をキャンパス領域42に重ねて表示させる。また、列間調整ボタン47及び行間調整ボタン48に代えて、反映ボタン61を表示させる(ST21)。
【0034】
表示デバイス4の配列状況として、行数L=“3”、列数M=“3”が入力されているときの行間ギャップ調整画面60の一例を図14に示す。すなわち、表示デバイス4の行数Lは“3”なので、行間は、1行目と2行目の間A12と、2行目と3行目の間A23とがある(図12を参照)。行間ギャップ調整画面60には、これらの行間A12,A23のギャップを、インチを単位とする数値で入力するための領域62,63が形成される。反映ボタン61は、領域62,63に入力された数値の確定を指令する。
【0035】
CPU11は、反映ボタン61が押下されるのを待機する(ST22)。マウス23の操作入力により反映ボタン61が押下されたならば(ST22のYES)、CPU11は、1行目のガイド枠51A,51B,51Cと2行目のガイド枠51D,51E,51Fとのギャップが領域62に入力された数値となるように、デバイス別テーブルTにデバイスID別に記憶されている基準座標を変更する。同様に、CPU11は、2行目のガイド枠51D,51E,51Fと3行目のガイド枠51G,51H,51Iとのギャップが領域63に入力された数値となるように、デバイス別テーブルTにデバイスID別に記憶されている基準座標を変更する。(ST23)。
【0036】
しかる後、CPU11は、行間ギャップ調整画面60を消去する。そして、変更後の基準座標を基に広告領域画像50を再構築して、キャンパス領域42に表示させる(ST24)。
【0037】
図15の広告領域画像50は、図12の広告領域画像50から、2行目のガイド枠51D,51E,51Fと3列目のガイド枠51G,51H,51Iとのギャップを広げた状態を示す。
【0038】
列間調整ボタン47が押下された場合には(ST8のYES)、CPU11は、図8に具体的に示す列間ギャップ調整処理を実行する。すなわちCPU11は、列間ギャップ調整画面70をキャンパス領域42に重ねて表示させる。また、列間調整ボタン47及び行間調整ボタン48に代えて、反映ボタン71を表示させる(ST31)。
【0039】
表示デバイス4の配列状況として、行数L=“3”、列数M=“3”が入力されているときの列間ギャップ調整画面70の一例を図16に示す。すなわち、表示デバイス4の列数Mは“3”なので、列間は、1列目と2列目の間B12と、2列目と3列目の間B23とがある(図15を参照)。列間ギャップ調整画面70には、これらの列間B12,B23のギャップを、インチを単位とする数値で入力するための領域72,73が形成される。反映ボタン71は、領域72,73に入力された数値の確定を指令する。
【0040】
CPU11は、反映ボタン71が押下されるのを待機する(ST32)。マウス23の操作入力により反映ボタン71が押下されたならば(ST32のYES)、CPU11は、1列目のガイド枠51A,51D,51Gと2列目のガイド枠51B,51E,51Hとのギャップが領域72に入力された数値となるように、デバイス別テーブルTにデバイスID別に記憶されている基準座標を変更する。同様に、CPU11は、2列目のガイド枠51B,51E,51Hと3列目のガイド枠51C,51F,51Iとのギャップが領域73に入力された数値となるように、デバイス別テーブルTにデバイスID別に記憶されている基準座標を変更する。(ST33)。
【0041】
しかる後、CPU11は、列間ギャップ調整画面70を消去する。そして、変更後の基準座標を基に広告領域画像50を再構築して、キャンパス領域42に表示させる(ST34)。
【0042】
ここに、CPU11は、ステップST21,ST31の各処理により、広告領域画像50に表示されるガイド枠51間のギャップ値を受付けるギャップ値受付手段を構成する。また、CPU11は、ステップST23,ST24,ST33,ST34の各処理により、ギャップ値受付手段により受付けたギャップ値にしたがって広告領域画像50上のガイド枠51の位置を移動させる移動手段を構成する。
【0043】
再生ボタン46Aが押下された場合には(ST9のYES)、CPU11は、図9に具体的に示す画像再生処理を実行する。すなわちCPU11は、ディスプレイ21の画面を編集画面40からシミュレーション画面80に切り替える(ST41)。
【0044】
シミュレーション画面80の一例を図17に示す。シミュレーション画面80が編集画面40と異なる点は、キャンパス領域42に表示されている広告領域画像50において、各ガイド枠51A〜51Iの枠外を黒色画像で覆うことで、枠外に表示されている広告画像を見えないようにした点である。また、「枠外を隠す」のか「枠外を隠さない」のかを選択するためのチェックボックス81,82と、切替ボタン83と、抽出ボタン84とを表示させた点である。切替ボタン83は、広告画像の切替を指令する。抽出ボタン84は、各ガイド枠51の枠内に表示される画像を抽出して、動画コンテンツを作成する処理、いわゆる画像抽出処理の実行を指令する。
【0045】
因みに、チェックボックス81,82は、デフォルトとして「枠外を隠す」のチェックボックス81がチェックされている。
【0046】
シミュレーション画面80に切り替えた後、CPU11は、動画コンテンツである広告画像を再生する(ST42)。広告画像の再生は、停止ボタン46Dが押下されるまで、繰り返し実行される。その間、CPU11は、チェックボックス81,82がチェックされたか否かを判断する(ST43)。そして、「枠外を隠す」のチェックボックス81がチェックされている状態で、「枠外を隠さない」のチェックボックス82がチェックされた場合には(ST43のNO)、CPU11は、各ガイド枠51の枠外を覆っていた黒色画像を消去する(ST44)。逆に、「枠外を隠さない」のチェックボックス82がチェックされている状態で、「枠外を隠す」のチェックボックス81がチェックされた場合には、CPU11は、各ガイド枠51の枠外を黒色画像で覆う(ST45)。
【0047】
図18は、「枠外を隠す」のチェックボタン81がチェックされている状態で、広告画像が再生されている状態を示す。また、図19は、「枠外を隠さない」のチェックボタン82がチェックされている状態で、広告画像が再生されている状態を示す。いずれの場合においても、再生ボタン46Aは、一時停止ボタンとして機能する。
【0048】
ここに、CPU11は、ステップST42の処理により、ディスプレイ21上で広告領域画像50に重ねて広告画像を再生する画像再生手段を構成する。また、CPU11は、ステップST43の処理により、広告領域画像50におけるガイド枠51の枠外を可視化するか可視化しないかの選択を受付ける選択受付手段を構成する。さらに、CPU11は、ステップST44,ST45の処理により、ディスプレイ21上で再生される広告画像を、広告領域画像50におけるガイド枠51の枠内では可視化し、枠外では可視化しない画面処理手段を構成する。
【0049】
CPU11は、停止ボタン46Dが押下されたか否かを判断する(ST46)。押下されていない場合(ST46のNO)、CPU11は、再びチェックボックス81,82がチェックされたか否かを判断する(ST43)。
【0050】
停止ボタン46Dが押下されたならば(ST46のYES)、CPU11は、広告画像の再生を終了する(ST47)。次いで、CPU11は、切替ボタン83が押下されるか(ST48)、抽出ボタン84が押下されるか(ST49)、終了ボタン49が押下されるのを待機する(ST50)。
【0051】
終了ボタン49が押下されると(ST50のYES)、CPU11は、ディスプレイ21のシミュレーション画面80を消去する(ST51)。以上で、シミュレーションプログラムPは終了する。
【0052】
切替ボタン83が押下された場合には(ST48のYES)、CPU11は、ディスプレイ21の画面をシミュレーション画面80から編集画面40に戻す(ST52)。そして、キャンパス領域42で広告領域画像50に重ねて表示されていた広告画像コンテンツの画像を消去する(ST53)。しかる後、CPU11は、図6のステップST5の処理に戻る。すなわち、新たな広告画像のコンテンツが選択されるのを待機する。
【0053】
抽出ボタン84が押下された場合には(ST49のYES)、CPU11は、図10に具体的に示す画像抽出処理を実行する(ST54)。先ず、CPU11は、RAM13上に形成したカウンタnを“0”に一旦リセットする(ST61)。次に、CPU11は、上記カウンタnを“1”だけカウントアップする(ST62)。そして、カウンタnが広告領域1内に配置されている表示デバイスの総数[L×M]を超えたか否かを判断する(ST63)。超えていない場合(ST63のNO)、CPU11は、以下のステップST64〜ST67の処理を実行する。
【0054】
ステップST64では、デバイス別テーブルTを検索して、デバイスID=カウンタnの基準座標を取得する。そして、基準座標に基づいて、デバイスID=カウンタnで識別される表示デバイス4を模したガイド枠51の領域内を特定する。
【0055】
ステップST65では、キャンパス領域42で再生される広告画像のうち、ガイド枠51の領域内で再生される画像データを切り出す。そして、この切り出した画像データで新規の動画コンテンツを作成する。
【0056】
ステップST66では、新規の動画コンテンツを、固有のコンテンツ名を付してHDD14の広告画像フォルダ30に保存する。
【0057】
ステップST67では、デバイス別テーブルTのデバイスID=カウンタnに対応するコンテンツ名領域に、新規の画像コンテンツのコンテンツ名を格納する。
【0058】
ここに、CPU11は、ステップST64,ST65の各処理により、広告領域画像50に表示されるガイド枠51毎に、そのガイド枠51内に表示される画像を広告画像から切り出してガイド枠51別の画像コンテンツを作成するコンテンツ作成手段を構成する。また、CPU11は、ステップST67の処理により、コンテンツ作成手段により作成される画像コンテンツの識別情報を、その画像コンテンツの画像が枠内に表示されるガイド枠51で模された表示デバイス4の識別情報と関連付けて記憶する記憶手段を構成する。
【0059】
上記ステップST64〜ST67の処理を終了すると、CPU11は、ステップST62の処理に戻る。すなわち、カウンタnをさらに“1”だけカウントアップする。こうして、カウンタnが表示デバイスの総数[L×M]を超えるまで、カウンタnを“1”ずつカウントアップする毎に、CPU11は、ステップST64〜ST67の処理を繰り返し実行する。そして、カウンタnが表示デバイスの総数[L×M]を超えたならば(ST63のYES)、CPU11は、画像抽出処理を終了する。
【0060】
しかる後、CPU11は、ディスプレイ21のシミュレーション画面80を消去する(ST51)。以上で、シミュレーションプログラムPは終了する。
【0061】
このように、本実施形態のシミュレーション装置10であれば、広告領域1に映し出される広告画像を、表示デバイス4が配置されていない部分は隠した状態で、ディスプレイ21上に映し出すことができる。したがって、ユーザは、表示デバイス4の画面サイズよりも大きい広告領域1に複数の表示デバイス4を配置したデジタルサイネージで、広告領域1に実際に映し出される広告画像のイメージを、事前に確認することができる。
【0062】
また、シミュレーションの過程において、表示デバイス4が配置されていない部分も広告画像が見える状態にしたり、見えない状態にしたりすることは、チェックボックス81,82のチェックだけで可能である。その上、広告領域1に配置される複数の表示デバイス4の個々の広告領域1内における実際の配置を模したガイド枠51の位置を、ディスプレイ21上でずらすことも、入力操作によって可能である。したがって、例えば広告領域1に広告画像を最も効果的に表示させるためには、表示デバイス4をどのように配置したよいかということを、ユーザが容易にシミュレーションすることができる。
【0063】
そしてユーザは、シミュレーションの結果、各表示デバイス4の適切な配置を確定できたならば、抽出ボタン84を押下する。そうすると、広告領域画像50に表示されるガイド枠51毎に、そのガイド枠51内に表示される画像が広告画像から切り出されてガイド枠51別の画像コンテンツが作成される。そして、これらの画像コンテンツの識別情報が、その画像コンテンツの画像が枠内に表示されるガイド枠51で模された表示デバイス4の識別情報(デバイスID)と関連付けて、デバイス別テーブルTで記憶される。したがって、広告領域1に表示させる広告画像のコンテンツから、各表示デバイス4にそれぞれ同期を取って表示させる表示デバイス4別の画像コンテンツを、手間なく容易に作成することができる。すなわち、表示デバイス4の画面サイズよりも大きい広告領域1に複数の表示デバイス4を配置したデジタルサイネージを、容易に構築できる効果も奏し得る。
【0064】
なお、本発明は、前記実施形態に限定されるものではない。
【0065】
例えば、前記実施形態では、4段構成の商品陳列棚2の正面中間部を広告領域1として、3行×3列のマトリクス状に表示デバイス4を配置したデジタルサイネージへの適用例を示したが、適用例は、これに限定されるものではない。また、表示デバイス4は、3つの液晶ディスプレイ5と単一の外観ディスプレイカバー6とを組み合わせたユニット構造としたが、表示デバイスの構造も特に限定されるものではない。要は、表示デバイスと4と相似形のガイド枠51が広告領域画像50に表示されるように、ガイド枠51のサイズを設定すればよい。
【0066】
また、前記実施形態では、動画コンテンツの広告画像をシミュレーションする場合を示したが、シミュレーション対象の広告画像は動画コンテンツには限定されない。静止画コンテンツの広告画像をシミュレーションする場合も、前記実施形態のシミュレーション装置10で対応することができる。
【0067】
また、前記実施形態では、シミュレーション画面80に「枠外を隠す」のか「枠外を隠さない」のかを選択するためのチェックボックス81,82を含めたが、これらのチェックボックス81,82を省略してもよい。その場合でも、広告領域1に映し出される広告画像が、表示デバイス4が配置されていない部分は隠した状態で、ディスプレイ21上に映し出されるので、ユーザは、表示デバイス4の画面サイズよりも大きい広告領域1に複数の表示デバイス4を配置したデジタルサイネージで、広告領域1に実際に映し出される広告画像のイメージを、事前に確認することができる。
【0068】
また、前記実施形態では、広告領域画像50に表示されるガイド枠51間のギャップ値を受付けるギャップ値受付手段を具備し、移動手段は、ギャップ値受付手段により受付けたギャップ値にしたがって広告領域画像50上のガイド枠51の位置を移動させたが、移動手段は値これに限定されるものではない。例えば、マウス23を用いたドラッグ&ドロップ機能により、シミュレーション画面80上で各ガイド枠51をX座標方向またはY座標方向に移動できるようにしてもよい。
【0069】
また、前記実施形態は、装置内部のプログラム記憶部であるROM12に発明の機能を実現させるシミュレーションプログラムPが予め記録されているものとした。しかしこれに限らず、同様のプログラムがネットワークから装置にダウンロードされてもよい。あるいは、記録媒体に記録された同様のプログラムが、装置にインストールされてもよい。記録媒体は、CD−ROM,メモリカード等のようにプログラムを記憶でき、かつ装置が読み取り可能であれば、その形態は問わない。また、プログラムのインストールやダウンロードにより得る機能は、装置内部のOS(オペレーティング・システム)等と協働してその機能を実現させるものであってもよい。
【0070】
この他、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0071】
1…広告領域、4(4A〜4I)…表示デバイス、10…シミュレーション装置、30…広告画像フォルダ、50…広告領域画像、51(51A〜51L)…ガイド枠、P…シミュレーションプログラム。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
広告画像を表示するための広告領域に配置される複数の表示デバイスの個々の前記広告領域内における実際の配置を複数のガイド枠で模した広告領域画像をディスプレイに表示させる広告領域画像表示手段と、
前記ディスプレイ上で前記広告領域画像に重ねて前記広告画像を再生する画像再生手段と、
前記ディスプレイ上で再生される広告画像を、前記広告領域画像における前記ガイド枠の枠内では可視化し、枠外では可視化しない画面処理手段と、
を具備したことを特徴とするシミュレーション装置。
【請求項2】
広告画像を表示するための広告領域に配置される複数の表示デバイスの個々の前記広告領域内における実際の配置を複数のガイド枠で模した広告領域画像をディスプレイに表示させる広告領域画像表示手段と、
前記ディスプレイ上で前記広告領域画像に重ねて前記広告画像を再生する画像再生手段と、
前記広告領域画像における前記ガイド枠の枠外を可視化するか可視化しないかの選択を受付ける選択受付手段と、
前記ディスプレイ上で再生される広告画像を、前記広告領域画像における前記ガイド枠の枠内では可視化し、枠外では前記選択受付手段にて可視化しない旨の選択を受付けると可視化せず、可視化する旨の選択を受付けると可視化する画面処理手段と、
を具備したことを特徴とするシミュレーション装置。
【請求項3】
前記広告領域画像に表示される前記ガイド枠の位置を移動させる移動手段、
をさらに含むことを特徴とする請求項1または2記載のシミュレーション装置。
【請求項4】
前記広告領域画像に表示される前記ガイド枠間のギャップ値を受付けるギャップ値受付手段、をさらに具備し、
前記移動手段は、前記ギャップ値受付手段により受付けたギャップ値にしたがって前記広告領域画像上の前記ガイド枠の位置を移動させることを特徴とする請求項3記載のシミュレーション装置。
【請求項5】
前記広告領域画像に表示されるガイド枠毎に、そのガイド枠内に表示される画像を前記広告画像から切り出してガイド枠別の画像コンテンツを作成するコンテンツ作成手段と、
このコンテンツ作成手段により作成される画像コンテンツの識別情報を、その画像コンテンツの画像が枠内に表示される前記ガイド枠で模された前記表示デバイスの識別情報と関連付けて記憶する記憶手段と、
をさらに具備としたことを特徴とする請求項1または2記載のシミュレーション装置。
【請求項6】
ディスプレイを備えたコンピュータに、
広告画像を表示するための広告領域に配置される複数の表示デバイスの個々の前記広告領域内における実際の配置を複数のガイド枠で模した広告領域画像を前記ディスプレイに表示させる広告領域画像表示機能と、
前記ディスプレイ上で前記広告領域画像に重ねて前記広告画像を再生する画像再生機能と、
前記ディスプレイ上で再生される広告画像を、前記広告領域画像における前記ガイド枠の枠内では可視化し、枠外では可視化しない画面処理機能と、
を実現させるためのシミュレーションプログラム。
【請求項7】
ディスプレイを備えたコンピュータに、
広告画像を表示するための広告領域に配置される複数の表示デバイスの個々の前記広告領域内における実際の配置を複数のガイド枠で模した広告領域画像を前記ディスプレイに表示させる広告領域画像表示機能と、
前記ディスプレイ上で前記広告領域画像に重ねて前記広告画像を再生する画像再生機能と、
前記広告領域画像における前記ガイド枠の枠外を可視化するか可視化しないかの選択を受付ける選択受付機能と、
前記ディスプレイ上で再生される広告画像を、前記広告領域画像における前記ガイド枠の枠内では可視化し、枠外では前記選択受付手段にて可視化しない旨の選択を受付けると可視化せず、可視化する旨の選択を受付けると可視化する画面処理機能と、
を実現させるためのシミュレーションプログラム。
【請求項8】
前記コンピュータに、
前記広告領域画像に表示される前記ガイド枠の位置を移動させる移動機能、
をさらに実現させるための請求項6または7記載のシミュレーションプログラム。
【請求項9】
前記コンピュータに、
前記広告領域画像に表示される前記ガイド枠間のギャップ値を受付けるギャップ値受付機能と、
前記ギャップ値受付機能により受付けたギャップ値にしたがって、前記広告領域画像に表示される前記ガイド枠の位置を移動させる移動機能と、
をさらに実現させるための請求項6または7記載のシミュレーションプログラム。
【請求項10】
前記コンピュータに、
前記広告領域画像に表示されるガイド枠毎に、そのガイド枠内に表示される画像を前記広告画像から切り出してガイド枠別の画像コンテンツを作成するコンテンツ作成機能と、
このコンテンツ作成機能により作成される画像コンテンツの識別情報を、その画像コンテンツの画像が枠内に表示される前記ガイド枠で模された前記表示デバイスの識別情報と関連付けて記憶部に記憶させる記憶機能と、
をさらに実現させるための請求項6または7記載のシミュレーションプログラム。
【請求項1】
広告画像を表示するための広告領域に配置される複数の表示デバイスの個々の前記広告領域内における実際の配置を複数のガイド枠で模した広告領域画像をディスプレイに表示させる広告領域画像表示手段と、
前記ディスプレイ上で前記広告領域画像に重ねて前記広告画像を再生する画像再生手段と、
前記ディスプレイ上で再生される広告画像を、前記広告領域画像における前記ガイド枠の枠内では可視化し、枠外では可視化しない画面処理手段と、
を具備したことを特徴とするシミュレーション装置。
【請求項2】
広告画像を表示するための広告領域に配置される複数の表示デバイスの個々の前記広告領域内における実際の配置を複数のガイド枠で模した広告領域画像をディスプレイに表示させる広告領域画像表示手段と、
前記ディスプレイ上で前記広告領域画像に重ねて前記広告画像を再生する画像再生手段と、
前記広告領域画像における前記ガイド枠の枠外を可視化するか可視化しないかの選択を受付ける選択受付手段と、
前記ディスプレイ上で再生される広告画像を、前記広告領域画像における前記ガイド枠の枠内では可視化し、枠外では前記選択受付手段にて可視化しない旨の選択を受付けると可視化せず、可視化する旨の選択を受付けると可視化する画面処理手段と、
を具備したことを特徴とするシミュレーション装置。
【請求項3】
前記広告領域画像に表示される前記ガイド枠の位置を移動させる移動手段、
をさらに含むことを特徴とする請求項1または2記載のシミュレーション装置。
【請求項4】
前記広告領域画像に表示される前記ガイド枠間のギャップ値を受付けるギャップ値受付手段、をさらに具備し、
前記移動手段は、前記ギャップ値受付手段により受付けたギャップ値にしたがって前記広告領域画像上の前記ガイド枠の位置を移動させることを特徴とする請求項3記載のシミュレーション装置。
【請求項5】
前記広告領域画像に表示されるガイド枠毎に、そのガイド枠内に表示される画像を前記広告画像から切り出してガイド枠別の画像コンテンツを作成するコンテンツ作成手段と、
このコンテンツ作成手段により作成される画像コンテンツの識別情報を、その画像コンテンツの画像が枠内に表示される前記ガイド枠で模された前記表示デバイスの識別情報と関連付けて記憶する記憶手段と、
をさらに具備としたことを特徴とする請求項1または2記載のシミュレーション装置。
【請求項6】
ディスプレイを備えたコンピュータに、
広告画像を表示するための広告領域に配置される複数の表示デバイスの個々の前記広告領域内における実際の配置を複数のガイド枠で模した広告領域画像を前記ディスプレイに表示させる広告領域画像表示機能と、
前記ディスプレイ上で前記広告領域画像に重ねて前記広告画像を再生する画像再生機能と、
前記ディスプレイ上で再生される広告画像を、前記広告領域画像における前記ガイド枠の枠内では可視化し、枠外では可視化しない画面処理機能と、
を実現させるためのシミュレーションプログラム。
【請求項7】
ディスプレイを備えたコンピュータに、
広告画像を表示するための広告領域に配置される複数の表示デバイスの個々の前記広告領域内における実際の配置を複数のガイド枠で模した広告領域画像を前記ディスプレイに表示させる広告領域画像表示機能と、
前記ディスプレイ上で前記広告領域画像に重ねて前記広告画像を再生する画像再生機能と、
前記広告領域画像における前記ガイド枠の枠外を可視化するか可視化しないかの選択を受付ける選択受付機能と、
前記ディスプレイ上で再生される広告画像を、前記広告領域画像における前記ガイド枠の枠内では可視化し、枠外では前記選択受付手段にて可視化しない旨の選択を受付けると可視化せず、可視化する旨の選択を受付けると可視化する画面処理機能と、
を実現させるためのシミュレーションプログラム。
【請求項8】
前記コンピュータに、
前記広告領域画像に表示される前記ガイド枠の位置を移動させる移動機能、
をさらに実現させるための請求項6または7記載のシミュレーションプログラム。
【請求項9】
前記コンピュータに、
前記広告領域画像に表示される前記ガイド枠間のギャップ値を受付けるギャップ値受付機能と、
前記ギャップ値受付機能により受付けたギャップ値にしたがって、前記広告領域画像に表示される前記ガイド枠の位置を移動させる移動機能と、
をさらに実現させるための請求項6または7記載のシミュレーションプログラム。
【請求項10】
前記コンピュータに、
前記広告領域画像に表示されるガイド枠毎に、そのガイド枠内に表示される画像を前記広告画像から切り出してガイド枠別の画像コンテンツを作成するコンテンツ作成機能と、
このコンテンツ作成機能により作成される画像コンテンツの識別情報を、その画像コンテンツの画像が枠内に表示される前記ガイド枠で模された前記表示デバイスの識別情報と関連付けて記憶部に記憶させる記憶機能と、
をさらに実現させるための請求項6または7記載のシミュレーションプログラム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【公開番号】特開2013−73225(P2013−73225A)
【公開日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−214737(P2011−214737)
【出願日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【出願人】(000003562)東芝テック株式会社 (5,631)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【出願人】(000003562)東芝テック株式会社 (5,631)
【Fターム(参考)】
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