説明

シャッタ制御装置

【課題】レンズ鏡筒にシャッタが設けられたカメラにおいて、データ通信用の電気接点の構成を変更することなく、かつ簡単な制御でシャッタを駆動する。
【解決手段】レンズ鏡筒に設けられたシャッタを駆動することにより、カメラボディに設けられた撮像素子により撮像を行う。カメラプロセッサ20とレンズCPU40は、これらの間において信号を送受信するための通信ポートを備える。カメラプロセッサ20はレンズ制御信号を出力する。レンズ制御信号は、レンズCPU40に設けられた通信ポートのうち割込みポート42を介してレンズCPU40に入力される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シャッタがレンズ鏡筒内に設けられたレンズ交換式カメラに関し、特にシャッタの駆動を制御する装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、レンズ鏡筒が交換可能なコンパクトカメラが知られている(特許文献1)。このようなカメラでは、カメラボディ内のマイコンが、装着されるレンズに応じた適切な処理を実行するため、カメラボディとレンズ鏡筒の間においてデータやコマンドを送受信する必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−026888号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし従来、レンズ鏡筒内にのみシャッタが設けられたカメラは存在しておらず、このようなカメラを開発した場合、カメラボディにおいてシャッタをどのようにして制御すればよいかについて種々の問題が発生する。これは、シャッタの制御がレンズ駆動等に比較して高速で実行される必要があるからである。例えば、カメラボディとレンズ鏡筒の間におけるデータ通信のための電気接点を利用してシャッタ制御を行うことが考えられるが、シャッタ制御のために電気接点を増設すると、構成が複雑になる上に、制御が煩雑になるという問題が生じる。
【0005】
本発明の目的は、レンズにシャッタ鏡筒が設けられたカメラにおいて、データ通信用の電気接点の構成を変更することなく、かつ簡単な制御でシャッタを駆動することができるシャッタ制御装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係るシャッタ制御装置は、カメラボディとレンズ鏡筒の間において信号を送受信するための通信ポートと、カメラボディに設けられ、シャッタを駆動するためのシャッタ制御信号を出力するシャッタ制御手段とを備え、シャッタ制御信号が通信ポートを介してレンズ鏡筒に送信されることを特徴としている。
【0007】
好ましくは、通信ポートはカメラボディからレンズに対してハンドシェイク信号を送受信するためのハンドシェイクポートを備えており、シャッタ制御信号はハンドシェイクポートを介してレンズに送信される。この場合、ハンドシェイクポートは例えば、カメラボディからレンズ鏡筒に割込み信号を送信するための割込みポートである。
【0008】
シャッタ制御信号は、例えばシャッタを閉成するためのシャッタ閉信号であり、シャッタ制御装置は、撮像素子において電荷蓄積を開始させる露光開始手段をさらに備える。
【0009】
シャッタ制御信号はシャッタを開放するためのシャッタ開信号であってもよい。この場合、シャッタスピードの情報は通信ポートを介してカメラボディからレンズ鏡筒に送信されてもよい。またシャッタ制御信号はシャッタを開閉するためのシャッタ開信号とシャッタ閉信号であり、これらの信号はシャッタスピードに対応した時間間隔で出力されてもよい。
【0010】
本発明に係るレンズ鏡筒はカメラボディに着脱自在に取り付けられ、カメラボディとの間において信号を送受信するための通信ポートと、カメラボディによって出力されるシャッタ制御信号により駆動されるシャッタとを備え、シャッタ制御信号が通信ポートを介してレンズ鏡筒に送信されることを特徴としている。
【0011】
本発明に係るカメラボディは、シャッタが設けられるレンズ鏡筒が着脱自在に取付けられ、レンズ鏡筒との間において信号を送受信するための通信ポートと、シャッタを駆動するためのシャッタ制御信号を出力するシャッタ制御手段とを備え、シャッタ制御信号が通信ポートを介してレンズ鏡筒に送信されることを特徴としている。
【0012】
本発明に係るカメラシステムは、レンズ鏡筒に設けられるシャッタと、レンズ鏡筒に設けられ、カメラボディとの間において信号を送受信するための第1の通信ポートと、カメラボディに設けられ、レンズ鏡筒との間において信号を送受信するための第2の通信ポートと、カメラボディに設けられ、シャッタを駆動するためのシャッタ制御信号を出力するシャッタ制御手段とを備え、シャッタ制御信号が、第2の通信ポートから出力され、第1の通信ポートを介してレンズ鏡筒に入力されることを特徴としている。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、レンズ鏡筒にシャッタが設けられたカメラにおいて、データ通信用の電気接点の構成を変更することなく、かつ簡単な制御でシャッタを駆動することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の第1の実施形態を適用したレンズ交換式カメラの斜視図である。
【図2】図1に示すカメラからレンズ鏡筒を外した状態におけるカメラボディの斜視図である。
【図3】カメラボディとレンズ鏡筒の電気的構成を示すブロック図である。
【図4】カメラボディとレンズ鏡筒の間の通信シーケンスを示すタイミングチャートである。
【図5】カメラCPUの割込みポートの動作モードの切り替えを概念的に示す図である。
【図6】通信シーケンスによるシャッタ駆動を示すタイミングチャートである。
【図7】通信シーケンスによるシャッタ駆動を示すフローチャートである。
【図8】撮像動作ルーチンを示すフローチャートである。
【図9】第2の実施形態における通信シーケンスによるシャッタ駆動を示すタイミングチャートである。
【図10】第3に実施形態における通信シーケンスによるシャッタ駆動を示すタイミングチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の第1の実施形態を図面を参照して説明する。図1はレンズ交換式カメラの外観を示し、図2はカメラボディ10からレンズ鏡筒15を外した状態を示している。このカメラシステムにおいてレンズ鏡筒15はカメラボディ10に対して着脱自在である。シャッタはレンズ鏡筒15に設けられており、シャッタの駆動は後述するようにカメラボディ10に設けられたカメラプロセッサによって行われる。この実施形態では、シャッタは通常開放しており、シャッタレリーズによって閉成する。
【0016】
カメラボディ10のレンズマウント11の内周側には、複数の電気接点12が円弧状に配置されている。電気接点12の下側には、撮像素子(図示せず)を収容した撮像素子ユニット13が設けられる。カメラボディ10の電源がオン状態であるとき、撮像素子によって動画像が得られ、ライブビューとしてモニタ(図示せず)に表示可能である。カメラボディ10の上面にはシャッタボタン14が設けられる。シャッタボタン14が半押しされるとAF動作が実行され、シャッタボタン14が全押しされると、シャッタがカメラボディ10内のカメラプロセッサによって駆動制御され、これにより静止画が撮像される。
【0017】
図3を参照して、このレンズ交換式カメラの電気的構成を説明する。
カメラボディに設けられたカメラプロセッサ20には、デジタル信号用接地ポート21、入出力ポート22、割込みポート23、シリアルデータ入力ポート24、シリアルデータ出力ポート25、クロック信号ポート26、垂直同期信号ポート27等の通信ポートが設けられる。カメラプロセッサ20は電源30に接続され、電源30は、電源端子31、検出端子32、電源用接地端子33に接続される。
【0018】
レンズ鏡筒15に設けられたレンズCPU40には、デジタル信号用接地ポート41、割込みポート42、入出力ポート43、シリアルデータ出力ポート44、シリアルデータ入力ポート45、クロック信号ポート46、垂直同期信号ポート47等の通信ポートが設けられる。レンズCPU40はレンズ電源50に接続され、レンズ電源50は、電源端子51、デジタル信号用接地端子52、電源用接地端子53に接続される。またレンズCPU40には、シャッタモータ55、AFモータ56、絞りモータ57が接続される。
【0019】
レンズ鏡筒15がカメラボディ10に装着されると、カメラボディ10側の各電気接点12にレンズ鏡筒15側の各電気接点58が当接する。検出端子32がデジタル信号用接地ポート52に電気的に接続されて接地されることにより、カメラプロセッサ20はレンズ鏡筒15の装着を認識し、電源端子31、51を介してレンズ電源50をオン状態に定め、カメラボディ10とレンズ鏡筒15の通信が可能になる。すなわちカメラプロセッサ20の制御によって、AFモータ56が駆動されてAF動作が行われ、絞りモータ57が駆動されて絞りの開度が調整され、シャッタモータ55が開閉駆動されて撮像動作が実行される。
【0020】
図3、4を参照して、カメラボディとレンズ鏡筒の間の通信シーケンスの一例を説明する。まずカメラプロセッサ20からレンズCPU40へのデータの送信について説明する。
【0021】
カメラプロセッサ20から出力される通信要求信号S11、すなわち入出力ポート22の出力レベルがローからハイに立ち上がり(符号A11)、レンズCPU40の割込みポート42に入力される。通信要求信号S11がハイになることにより、レンズCPU40では、通信を行うための準備処理を実行した後、通信許可信号S12をハイにする。すなわち入出力ポート43の出力レベルがローからハイに立ち上がり(符号A12)、ハイの通信許可信号S12がカメラプロセッサ20の割込みポート23に入力される。これによりカメラプロセッサ20とレンズCPU40の間における通信が可能な状態になる。このように通信要求信号S11と通信許可信号S12はハンドシェイク信号であり、割込みポート23、42はハンドシェイク信号を受信するためのハンドシェイクポートである。
【0022】
ハンドシェイクにより通信可能な状態になると、カメラプロセッサ20では、クロック信号ポート26から出力されるシリアルクロックS13に同期して、出力ポート25からnバイトのコマンド等のカメラ信号(シリアルデータ)S14が出力される。シリアルクロックS13はレンズCPU40のクロック信号ポート46に入力され、カメラ信号S14はレンズCPU40の入力ポート45に入力される。カメラ信号S14の入力が完了すると、通信許可信号S12がローに変化する。すなわちレンズCPU40の入出力ポート43の出力レベルがハイからローに立下り(符号A13)、ローの通信許可信号S12がカメラプロセッサ20の割込みポート23に入力される。通信許可信号S12がローになることにより、カメラプロセッサ20では通信要求信号S11がローに変化する。すなわちカメラプロセッサ20の入出力ポート22の出力レベルがハイからローに立下り(符号A14)、ローの通信許可信号S11がレンズCPU40の割込みポート42に入力され、カメラプロセッサ20からレンズCPU40へのデータの送信は完了する。
【0023】
レンズCPU40からカメラプロセッサ20へのデータの送信は上述と同様な動作である。まずレンズCPU40の入出力ポート43の出力レベルがローからハイに立ち上がり(符号A15)、通信要求信号S15がハイになってカメラプロセッサ20の割込みポート23に入力される。カメラプロセッサ20では、通信を行うための準備処理を実行した後、入出力ポート22の出力レベルがローからハイに立ち上がり(符号A16)、通信許可信号S16をハイにする。通信許可信号S16はレンズCPU40の割込みポート42に入力される。これによりレンズCPU40とカメラプロセッサ20の間における通信が可能な状態になる。
【0024】
次いで、レンズCPU40では、カメラプロセッサ20のクロック信号ポート26から出力されるシリアルクロックS13に同期して、出力ポート44からnバイトのデータであるレンズ信号(シリアルデータ)S18が出力され、カメラプロセッサ20の入力ポート24に入力される。レンズ信号S18の入力が完了すると、通信許可信号S16がローに変化する。すなわちカメラプロセッサ20の入出力ポート22の出力レベルがハイからローに立下り(符号A17)、レンズCPU40の割込みポート42に入力される。通信許可信号S16がローになると、レンズCPU40の入出力ポート43の出力レベルがハイからローに立ち下がって(符号A18)、通信要求信号S15がローになり、レンズCPU40からカメラプロセッサ20へのデータの送信は完了する。
【0025】
なお図3に示された通信ポートにおいて、デジタル信号用接地ポート21、41はデジタル信号を接地するために設けられ、垂直同期信号ポート27、47はカメラプロセッサ20からレンズCPU40に、1フレーム毎つまり1/60秒毎に垂直同期信号を送信するために設けられている。
【0026】
以上のようにして1フレームの間に、カメラプロセッサ20とレンズCPU40の間においてデータの送受信が行われ、カメラプロセッサ20から例えば、現在のレンズの状態の取得を要求するコマンド(カメラ信号S14)がレンズCPU40に送信された場合には、レンズCPU40から、レンズの性能に関する情報等のデータ(レンズ信号S18)がカメラプロセッサ20に送信される。このようなデータの送受信は、カメラボディ10の電源30がオン状態であり、かつシャッタボタン14が押されていない間、定期的に実行され、これと併行して、撮像素子によって得られた動画像がライブビューとしてカメラボディ10のモニタに表示される。
【0027】
シャッタボタン14が押された場合も通信シーケンスは基本的に上述した動作と同様である。シャッタボタン14が半押しされた場合はAF動作が実行され、カメラプロセッサ20からAF動作のコマンド(カメラ信号S14)が出力されて、レンズが合焦するように移動を始めるとともにレンズ位置等の情報(レンズ信号S18)がレンズCPU40からカメラプロセッサ20に送信される。カメラプロセッサ20では、撮像素子により得られた画像に基づいたコントラスト演算により合焦状態が検出され、まだ合焦していないときはレンズをさらに移動させるコマンドが出力され、合焦しているときはレンズを停止させるコマンドが出力される。
【0028】
シャッタボタン14が全押しされると静止画の撮像動作が通信ポートを利用して行われる。この通信ポートの利用を図5を参照して説明する。図5に示すモードスイッチはソフトウェアのスイッチであり、通信処理モードとシャッタ駆動モードの間において切り換えられる。モードスイッチは通常、通信処理モードに定められているが、シャッタ駆動のコマンド(カメラ信号S14)がカメラプロセッサ20から出力されると、シャッタ駆動モードに切り替えられる。
【0029】
通信処理モードでは、カメラプロセッサ20から出力される通信要求信号S11あるいは通信許可信号S16が割込みポート42に入力される。これに対してシャッタ駆動モードでは、カメラプロセッサ20から出力されるシャッタ制御信号が割込みポート42に入力される。このように通信要求信号S11と通信許可信号S16とシャッタ制御信号は、同じ通信ラインを介してカメラプロセッサ20からレンズCPU40へ送信され、電気的には同じであるが、後述するように、レンズCPU40ではモードに応じて異なる処理が実行される。
【0030】
シャッタ制御信号をレンズCPU40に入力するために割込みポート42を用いるのは、割込みポート42は、レンズCPU40において如何なる処理が実行されているときであっても、その制御信号に即応して、要求される処理を実行できるように構成されているからである。つまり割込みポート42は、シャッタ制御信号のように、時間的に厳しい制御信号が入力されるのに適している。そこで本実施形態では、割込みポート42はハンドシェイクポートとして用いるだけではなく、シャッタ制御信号をレンズCPU40に入力するためにも利用している。
【0031】
図6〜8を参照して、撮像動作の制御を説明する。なお図6において、破線C1で囲んだ部分は、図4の「カメラボディからレンズへのデータの送信」の通信シーケンスに対応し、破線C2で囲んだ部分は、図4の「レンズからカメラボディへのデータの送信」の通信シーケンスに対応する。
【0032】
ステップ101では、通信のためにレンズの初期化が行われ、レンズ鏡筒から種々の情報がカメラプロセッサ20に送信される。ステップ102ではカメラプロセッサ20からレンズCPU40への通信が行われる。すなわち、通信要求信号S11と通信許可信号S12が共にハイである間に、シリアルクロックS13に同期してカメラ信号S14がレンズCPU40に対して出力される。
【0033】
ステップ103では、カメラ信号S14にシャッタ駆動のコマンドが含まれているか否かが判定される。シャッタ駆動のコマンドが含まれていないとき、ステップ104においてカメラ信号S14のコマンドに対応した処理が実行される。例えば、シャッタボタン14が押されていない状態では、現在のレンズの状態の取得を要求するコマンドが含まれているので、レンズCPU40からカメラプロセッサ20に対して、レンズ情報等のデータ(レンズ信号S18)が送信される。シャッタボタン14が半押しされている状態では、AF動作のコマンドが含まれているので、レンズCPU40からカメラプロセッサ20に対して、レンズ位置等の情報(レンズ信号S18)が送信される。
【0034】
ステップ105ではカメラ動作を継続するか否かが判定される。カメラボディの電源がオン状態であるときはステップ102へ戻り、上述した動作が繰り返される。すなわち図6において破線C1、C2で囲んだ通信シーケンスが繰り返し実行される。この通信の間にカメラボディの電源がユーザによってオフ状態に切り換えられると、ステップ105からステップ106へ進み、所定のレンズ終了動作が行われて通信シーケンスは終了する。
【0035】
シャッタボタン14が全押しされた場合、カメラ信号S14にシャッタ駆動のコマンドが含まれている。シャッタ駆動のコマンドは、レンズCPU40に対して、シャッタレリーズの準備をすること、すなわち割込みポート42に接続された通信ラインをシャッタ制御信号の送信のために用いることを通知するものである。この場合は、ステップ103からステップ107へ進み、レンズCPU40からカメラプロセッサ20に対して、シャッタレリーズが可能であるか否かを示す1バイトの応答信号S19が送信される。シャッタレリーズが可能である場合、ステップ110において撮像動作ルーチンが実行される。シャッタレリーズが不可能である場合は、ステップ110はスキップされ、ステップ105へ進む。
【0036】
撮像動作ルーチンでは、まずステップ111においてレンズCPU40からシャッタ準備完了信号S21がカメラプロセッサ20に入力される。シャッタ準備完了信号S21は、レンズCPU40の入出力ポート43の出力レベルがローからハイに立ち上がるものであり、これはカメラプロセッサ20の割込みポート23に出力される。カメラプロセッサ20では、シャッタ準備完了信号S21が入力されることにより、シャッタレリーズの準備が整ったことが認識され、ステップ112において、入出力ポート22の出力レベルがローからハイに立ち上がり、レリーズ予告信号S22としてレンズCPU40の割込みポート42に出力される。レンズCPU40では、レリーズ予告信号S22が入力されることにより、シャッタレリーズが迫っていることが認識される。
【0037】
シャッタ予告信号S22が出力された後、ステップ113では、カメラプロセッサ20が撮像素子(CMOS)のグローバルリセットを実行して不要電荷が掃き出され、電荷蓄積が開始される(符号A21)。電荷蓄積の開始からシャッタ時間tが経過すると、ステップ114においてカメラプロセッサ20の入出力ポート22の出力レベルがハイからローに立下り、シャッタ閉信号(シャッタ制御信号)S23としてレンズCPU40の割込みポート42に出力される。これによりレンズでは、シャッタレリーズが行われ、シャッタが閉成する(符号A22)。その後、ステップ115において、撮像素子の電荷蓄積が終了し(符号A23)、ステップ116が実行され、レンズCPU40の入出力ポート43の出力レベルがハイからローに立下り、シャッタ駆動が終了したことを示すシャッタ終了信号S24がカメラプロセッサ20の割込みポート23に出力される。
【0038】
撮像動作ルーチンが終了すると、ステップ105において、上述したようにカメラ動作を継続するか否かが判定され、カメラボディの電源がオン状態であるときはステップ102へ戻る。すなわち、通信シーケンスはシャッタ駆動モードから通信処理モードに戻り(図5参照)、カメラプロセッサ20とレンズCPU40の間において、割込みポート23、42を介して通信される信号は通信要求信号S11、S15および通信許可信号S12、S16のみとなり、通常の通信シーケンスが行われる(符号C3)。ステップ105においてカメラボディの電源がオフ状態であるとき、通信シーケンスは終了する。
【0039】
以上のように本実施形態では、シャッタレリーズのためのシャッタ制御信号をレンズCPU40へ送信するために、専用の通信ラインを設けるのではなく、通常のレンズ通信に用いられる通信ラインを利用している。したがってシャッタ駆動のために電気接点を増設する必要がなく、電気的構成を簡単にして製造コストを抑えることができる。またシャッタ制御信号はレンズCPU40の割込みポート42に入力されるので、シャッタ制御信号はレンズCPU40において常に優先的に処理され、通常の通信では間に合わないような高速のシャッタ動作も可能になる。
【0040】
図9は第2の実施形態における通信シーケンスによるシャッタ駆動を示している。図6に示す第1の実施形態と同じ信号等については同じ符号を付している。第2の実施形態のカメラは、第1の実施形態と異なり、撮像動作を行うためにシャッタを開閉するように構成されている。このためカメラプロセッサ20からはシャッタ制御信号S31の他にシャッタスピード(Tv値)も出力され、通信ポートを介してレンズCPU40に送信される。
【0041】
カメラプロセッサ20とレンズCPU40の間において、シャッタ駆動のコマンド(カメラ信号S14)と応答信号S19が出力された後、レンズ鏡筒ではシャッタが開放状態から閉成され、この状態に固定される(符号D11)。次いでカメラプロセッサ20では、シャッタ準備完了信号S21が入力されることにより、シャッタが閉成状態にあることが認識され、レリーズ予告信号S22が出力される。
【0042】
シャッタ予告信号S22が出力された後、撮像素子においてグローバルリセットが実行されて不要電荷が掃き出され、電荷蓄積が開始される(符号D12)。そして、カメラプロセッサ20の入出力ポート22の出力レベルがハイからローに立下り、シャッタ開信号(シャッタ制御信号)S31としてレンズCPU40の割込みポート42に出力される。これによりレンズ鏡筒では、シャッタレリーズが行われ、シャッタが開放されて撮像素子が露光される(符号D13)。シャッタ開放からTv値に対応した時間tが経過すると、シャッタが閉成するとともに(符号D14)、撮像素子の電荷蓄積が終了し(符号D15)する。そして、レンズCPU40の入出力ポート43の出力レベルがハイからローに立下り、シャッタ駆動が終了したことを示すシャッタ終了信号S24がカメラプロセッサ20の割込みポート23に出力される。
【0043】
このように第2の実施形態では、シャッタ制御信号S31はシャッタ開信号である。その他の構成および効果は第1の実施形態と同様である。
【0044】
図9は第3の実施形態における通信シーケンスによるシャッタ駆動を示している。図6に示す第1の実施形態と同じ信号等については同じ符号を付している。第3の実施形態のカメラは、撮像動作を行うためにシャッタを開閉することが必要であるが、第2の実施形態と異なり、カメラプロセッサ20においてシャッタ開信号とシャッタ閉信号を出力するため、レンズCPU40に対してシャッタスピード(Tv値)を出力する必要がない。
【0045】
カメラプロセッサ20とレンズCPU40の間において、シャッタ駆動のコマンド(カメラ信号S14)と応答信号S19が出力された後、レンズ鏡筒ではシャッタが開放状態から閉成され、この状態に固定される(符号D11)。次いでカメラプロセッサ20では、シャッタ準備完了信号S21が入力されることにより、シャッタが閉成状態にあることが認識された後、撮像素子においてグローバルリセットが実行されて不要電荷が掃き出され、電荷蓄積が開始される(符号D12)。
【0046】
そして、カメラプロセッサ20の入出力ポート22の出力レベルがローからハイに立ち上がり、シャッタ開信号(シャッタ制御信号)S32としてレンズCPU40の割込みポート42に出力される。これによりレンズでは、シャッタが開放される(符号D13)。シャッタ開放からTv値に対応した時間tが経過すると、カメラプロセッサ20の入出力ポート22の出力レベルがハイからローに立下り、シャッタ閉信号(シャッタ制御信号)S33として出力される。これにより、シャッタが閉成するとともに(符号D14)、撮像素子の電荷蓄積が終了し(符号D15)する。そして、レンズCPU40の入出力ポート43の出力レベルがハイからローに立下り、シャッタ駆動が終了したことを示すシャッタ終了信号S24がカメラプロセッサ20の割込みポート23に出力される。
【0047】
このように第3の実施形態では、シャッタ制御信号S32、S33はシャッタ開信号とシャッタ閉信号である。その他の構成および効果は第1および第2の実施形態と同様である。
【符号の説明】
【0048】
10 カメラボディ
15 レンズ鏡筒
23、42 割込みポート
114 シャッタ制御手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
レンズ鏡筒に設けられたシャッタを駆動することにより、カメラボディに設けられた撮像素子により撮像を行うシャッタ制御装置であって、
前記カメラボディと前記レンズ鏡筒の間において信号を送受信するための通信ポートと、
前記カメラボディに設けられ、前記シャッタを駆動するためのシャッタ制御信号を出力するシャッタ制御手段とを備え、
前記シャッタ制御信号が前記通信ポートを介して前記レンズ鏡筒に送信されることを特徴とするシャッタ制御装置。
【請求項2】
前記通信ポートが、前記カメラボディから前記レンズ鏡筒に対してハンドシェイク信号を受信するためのハンドシェイクポートを備え、前記シャッタ制御信号は前記ハンドシェイクポートを介して前記レンズ鏡筒に送信されることを特徴とする請求項1に記載のシャッタ制御装置。
【請求項3】
前記ハンドシェイクポートが、前記カメラボディから前記レンズ鏡筒に割込み信号を送信するための割込みポートであることを特徴とする請求項2に記載のシャッタ制御装置。
【請求項4】
前記シャッタ制御信号が前記シャッタを閉成するためのシャッタ閉信号であり、
前記撮像素子において電荷蓄積を開始させる露光開始手段をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載のシャッタ制御装置。
【請求項5】
前記シャッタ制御信号が、前記シャッタを開放するためのシャッタ開信号であることを特徴とする請求項1に記載のシャッタ制御装置。
【請求項6】
シャッタスピードの情報が前記通信ポートを介して前記カメラボディから前記レンズ鏡筒に送信されることを特徴とする請求項5に記載のシャッタ制御装置。
【請求項7】
前記シャッタ制御信号が、前記シャッタを開閉するためのシャッタ開信号とシャッタ閉信号であり、前記シャッタ開信号と前記シャッタ閉信号がシャッタスピードに対応した時間間隔で出力されることを特徴とする請求項5に記載のシャッタ制御装置。
【請求項8】
カメラボディに着脱自在に取り付けられるレンズ鏡筒であって、
前記カメラボディとの間において信号を送受信するための通信ポートと、
前記カメラボディによって出力されるシャッタ制御信号により駆動されるシャッタとを備え、
前記シャッタ制御信号が前記通信ポートを介して前記レンズ鏡筒に送信されることを特徴とするレンズ鏡筒。
【請求項9】
シャッタが設けられるレンズ鏡筒が着脱自在に取付けられるカメラボディであって、
前記レンズ鏡筒との間において信号を送受信するための通信ポートと、
前記シャッタを駆動するためのシャッタ制御信号を出力するシャッタ制御手段とを備え、
前記シャッタ制御信号が前記通信ポートを介して前記レンズ鏡筒に送信されることを特徴とするカメラボディ。
【請求項10】
レンズ鏡筒がカメラボディに着脱自在に取付けられるカメラシステムであって、
前記レンズ鏡筒に設けられるシャッタと、
前記レンズ鏡筒に設けられ、前記カメラボディとの間において信号を送受信するための第1の通信ポートと、
前記カメラボディに設けられ、前記レンズ鏡筒との間において信号を送受信するための第2の通信ポートと、
前記カメラボディに設けられ、前記シャッタを駆動するためのシャッタ制御信号を出力するシャッタ制御手段とを備え、
前記シャッタ制御信号が、前記第2の通信ポートから出力され、前記第1の通信ポートを介して前記レンズ鏡筒に入力されることを特徴とするカメラシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−20019(P2013−20019A)
【公開日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−152153(P2011−152153)
【出願日】平成23年7月8日(2011.7.8)
【出願人】(311015207)ペンタックスリコーイメージング株式会社 (81)
【Fターム(参考)】