シューズのソール構造体
【課題】 クッション性を向上できるとともにスムーズなライド感を得ることができ、かつ横方向の安定性を向上できるシューズ用ソール構造体を提供する。
【解決手段】 上方に配置され、その側縁部から上方に張り出す巻上げ部20を有する上部プレート2と、上部プレート2の下方に配置された下部プレート3と、上下部プレート2、3間において前後方向に分離して複数個設けられ、上下部プレート2、3間に空隙10を形成しつつ、上下部プレート2、3間を弾性的に連結する連結部4、5、6とを設ける。連結部5の上端を上部プレート2の巻上げ部20の側面まで上方に延設するとともに、その延設部5aにおいて前後方向に張り出す張出部5bを設け、延設部5aおよび張出部5bを巻上げ部側面に固着する。
【解決手段】 上方に配置され、その側縁部から上方に張り出す巻上げ部20を有する上部プレート2と、上部プレート2の下方に配置された下部プレート3と、上下部プレート2、3間において前後方向に分離して複数個設けられ、上下部プレート2、3間に空隙10を形成しつつ、上下部プレート2、3間を弾性的に連結する連結部4、5、6とを設ける。連結部5の上端を上部プレート2の巻上げ部20の側面まで上方に延設するとともに、その延設部5aにおいて前後方向に張り出す張出部5bを設け、延設部5aおよび張出部5bを巻上げ部側面に固着する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シューズ用ソール構造体に関し、詳細には、クッション性を向上させるとともにスムーズなライド感を生じさせ、かつ横方向の安定性を向上させるための構造の改良に関する。
【背景技術】
【0002】
ソール構造体として、たとえば国際公開第2006/129837号パンフレットに示すものが本件出願人により提案されている。このソール構造体は、上部プレートと、その下方に配設され、上部プレートとの間で空隙を形成する2つの膨出部を有する波状の下部プレートと、各膨出部間に形成された上凸部分を上部プレートに連結する弾性ブロックとから構成されている。
【0003】
また、特開平9−248203号公報には、上方に配置された合成樹脂板製の分散部と、下方に配置された接地部と、分散部および接地部間に配設され、前後方向に連続する複数のV字状部からなる緩衝部とから構成されたミッドソール構造が示されている。各V字状部の各上端は、分散部の側縁部まで延設されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した国際公開第2006/129837号パンフレットに示すソール構造体においては、シューズの着地時には、下部プレートの各膨出部が扁平となるように圧縮変形することで、上下部プレート間の空隙がクッションホールとして作用して、衝撃荷重が吸収される。
【0005】
また、この場合、歩行中または走行中には、弾性ブロックが前後方向にせん断変形することで上部プレートが前後に揺動することができ、これにより、スムーズなライド感が達成される。
【0006】
しかしながら、このソール構造体では、シューズの着地時には、弾性ブロックが前後方向のみならず左右方向にもせん断変形し得るように構成されており、このため、弾性ブロックの剛性如何によっては、シューズの着地時に上部プレートが左右方向にも揺動する場合が起こり得る。
【0007】
その一方、上記特開平9−248203号公報には、シューズの着地時に接地部に作用した衝撃力が緩衝部の各V字状部で分散されて分散部に伝播されることによりクッション性が向上する、と記載されている。
【0008】
また、この場合、複数のV字状部の各上端が分散部の側縁部まで延設されていることで、シューズ着地時の横揺れをある程度防止することが可能であるかもしれない。
【0009】
しかしながら、このミッドソール構造では、緩衝部が前後方向に連続する複数のV字状部から構成され、しかも各V字状部の各上端が分散部に固着されているために、各V字状部が前後方向にせん断変形しにくい構造になっており、このため、歩行中または走行中には、上方に配置された分散部が前後に揺動することができず、その結果、スムーズなライド感を得ることは困難である。
【0010】
本発明は、このような従来の実情に鑑みてなされたもので、本発明が解決しようとする課題は、クッション性を向上できるとともにスムーズなライド感を得ることができ、しかも横方向の安定性を向上できるシューズ用ソール構造体を提供しようとしている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
請求項1の発明に係るシューズ用ソール構造体は、上方に配置された上部プレートと、上部プレートの下方に配置された下部プレートと、上下部プレート間において前後方向に分離して複数個設けられ、上下部プレート間に空隙を形成しつつ、上部プレートの下面および下部プレートの上面を弾性的に連結する連結部とを備えている。連結部の上端は、上部プレートの下面を越えて上部プレートの側面まで上方に延設されるとともに、上部プレート側面に固着されている。
【0012】
請求項1の発明においては、シューズの着地時には、上下部プレート間に形成された空隙が圧縮変形することで、空隙がクッションホールとして作用して、衝撃荷重が吸収される。
【0013】
また、この場合、上下部プレート間を連結する連結部が、前後方向に分離した複数個の部材から構成されているため、連結部が前後方向にせん断変形しやすい構造を有しており、このため、歩行中または走行中には、連結部が前後方向に適度にせん断変形して、上部プレートが前後に揺動することができ、これにより、スムーズなライド感を得ることができる。
【0014】
さらに、この場合には、連結部の上端が上部プレートの側面まで延設されて当該延設部が上部プレート側面に固着されていることにより、シューズの着地時には、連結部の左右方向のせん断変形による上部プレートの左右方向の横揺れを連結部の延設部により規制することができる。これにより、横方向の安定性を向上できる。
【0015】
請求項2の発明では、請求項1において、上部プレートがその側縁部から上方に張り出す巻上げ部を有しており、連結部の上端が巻上げ部の側面まで上方に延設されるとともに、巻上げ部側面に固着されている。
【0016】
この場合には、上部プレートの横揺れを規制する連結部上端の延設部の面積が増えるので、上部プレートの左右方向の横揺れを規制する作用を増大できるとともに、連結部上端と巻上げ部側面との間に広い固着面積を確保できるので、固着強度を向上でき、耐久性を向上できる。
【0017】
請求項3の発明では、請求項1または2において、連結部の上端が、上部プレート側面または巻上げ部側面において、前後方向に張り出す張出部を有している。
【0018】
この場合には、上部プレートの横揺れを規制する連結部上端の延設部の面積をさらに増大できるので、上部プレートの左右方向の横揺れを確実に規制できるようになるとともに、連結部上端と巻上げ部側面との間により広い固着面積を確保できるので、固着強度をさらに向上できる。
【0019】
請求項4の発明では、請求項3において、連結部が側面視T字状の部材である。
【0020】
この場合には、連結部の上端が上部プレート側面または巻上げ部側面において、前後および後方の双方に張り出している。
【0021】
請求項5の発明では、請求項1ないし4のいずれかにおいて、連結部の上端が、上部プレート側面または巻上げ部側面において前後方向に連結されている。
【0022】
この場合には、隣り合う各連結部の各上端が前後方向に連結されることで、上部プレートの横揺れを規制する連結部上端の延設部の面積を一層増大できるので、上部プレートの左右方向の横揺れをより確実に規制できるようになるとともに、連結部上端と巻上げ部側面との間にさらに広い固着面積を確保できるので、固着強度をより一層向上できる。
【0023】
請求項6の発明に係るシューズのソール構造体は、上方に配置された上部プレートと、上部プレートの下方に配置された下部プレートと、上下部プレート間において前後方向に分離して複数個設けられ、上下部プレート間に空隙を形成しつつ、上部プレートの下面および下部プレートの上面を弾性的に連結する連結部とを備えている。連結部の下端は、下部プレートの上面を越えて下部プレートの側面まで下方に延設されるとともに、側面に固着されている。
【0024】
請求項6の発明においては、シューズの着地時には、上下部プレート間に形成された空隙が圧縮変形することで、空隙がクッションホールとして作用して、衝撃荷重が吸収される。
【0025】
また、この場合、上下部プレート間を連結する連結部が、前後方向に分離した複数個の部材から構成されているため、連結部が前後方向にせん断変形しやすい構造を有しており、このため、歩行中または走行中には、連結部が前後方向にせん断変形することで上部プレートが前後に揺動することができ、これにより、スムーズなライド感を得ることができる。
【0026】
さらに、この場合には、連結部の下端が下部プレートの側面まで延設されて当該延設部が下部プレート側面に固着されていることにより、シューズの着地時には、連結部の左右方向のせん断変形による上部プレートの左右方向の横揺れを連結部の延設部により防止することができる。これにより、横方向の安定性を向上できる。
【0027】
請求項7の発明では、請求項6において、連結部の下端が、下部プレートの側面において、前後方向に張り出す張出部を有している。
【0028】
この場合には、上部プレートの横揺れを規制する連結部下端の延設部の面積をさらに増大できるので、上部プレートの左右方向の横揺れを確実に規制できるようになるとともに、連結部下端と下部プレート側面との間により広い固着面積を確保できるので、固着強度をさらに向上できる。
【0029】
請求項8の発明では、請求項6または7において、連結部の下端が、下部プレート側面において前後方向に連結されている。
【0030】
この場合には、隣り合う各連結部の各下端が前後方向に連結されることで、上部プレートの横揺れを規制する連結部下端の延設部の面積を一層増大できるので、上部プレートの左右方向の横揺れをより確実に規制できるようになるとともに、連結部下端と下部プレート側面との間にさらに広い固着面積を確保できるので、固着強度をより一層向上できる。
【0031】
請求項9の発明では、請求項6において、下部プレートの下面にアウトソールが設けられ、アウトソールが下部プレートの側面を越えて上方に延設されており、連結部の下方への延設部が、アウトソールの上方への延設部と一体化されている。
【0032】
この場合には、連結部がアウトソールと一体化されることで、連結部の剛性が増しており、これにより、上部プレートの左右方向の横揺れをより確実に規制できるようになって、横方向の安定性をさらに向上できる。
【0033】
請求項10の発明では、請求項1ないし9のいずれかにおいて、連結部が、上下部プレート間において上下方向に柱状に延びる部材から構成され、当該ソール構造体の内甲側または外甲側に配置されている。
【0034】
請求項10の発明においては、連結部がソール構造体の内甲側に配置されている場合には、上部プレートの内甲側への横揺れを効果的に規制でき、また、連結部がソール構造体の外甲側に配置されている場合には、上部プレートの外甲側への横揺れを効果的に規制できる。
【0035】
請求項11の発明では、請求項1ないし9のいずれかにおいて、連結部が、上下部プレート間において上下方向に柱状に延びる部材から構成され、当該ソール構造体の内甲側および外甲側に配置されている。
【0036】
この場合には、上部プレートの内甲側および外甲側双方への横揺れを効果的に規制できる。
【0037】
請求項12の発明では、請求項1ないし9のいずれかにおいて、連結部が、当該ソール構造体の幅方向全体にわたって延びている。
【0038】
この場合には、連結部全体の剛性が増しており、これにより、上部プレートの左右方向の横揺れをより確実に規制できるようになって、横方向の安定性をさらに向上できる。
【0039】
請求項13の発明では、請求項1ないし9のいずれかにおいて、上部プレートが、下凸状湾曲部および上凸状湾曲部を交互に配置してなる凹凸形状を有しており、連結部が上部プレートの下凸状湾曲部に設けられている。
【0040】
請求項14の発明では、請求項1ないし9のいずれかにおいて、下部プレートが、下凸状湾曲部および上凸状湾曲部を交互に配置してなる凹凸形状を有しており、連結部が下部プレートの上凸状湾曲部に設けられている。
【0041】
請求項15の発明では、請求項1において、下部プレートの下面にアウトソールが設けられ、アウトソールが、当該ソール構造体の踵部の後端において上方に延設された延設部を有するとともに、当該ソール構造体の踵部の後端において上下部プレート間に空隙を形成しかつ上下部プレート間を弾性的に連結する連結部がアウトソールの延設部から構成されている。
【0042】
この場合には、踵部後端の連結部がアウトソールと一体化されているので、当該連結部の剛性が増しており、これにより、上部プレートの左右方向の横揺れを規制する効果を増大でき、横方向の安定性を向上できるとともに、踵部後端の連結部の耐久性を向上できる。
【発明の効果】
【0043】
以上のように、本発明の第1の発明に係るソール構造体によれば、上下部プレート間に空隙を形成しかつ上下部プレートを弾性的に連結する連結部を前後方向に分離して複数個設けるとともに、連結部の上端を上部プレートの側面まで上方に延設して上部プレート側面に固着するようにしたので、シューズの着地時には、上下部プレート間の空隙が圧縮変形することで、衝撃荷重を吸収できる。また、この場合、各連結部が、前後方向に分離した複数個の部材から構成されているので、歩行中または走行中には、各連結部が前後方向にせん断変形することで上部プレートが前後に揺動することができ、これにより、スムーズなライド感を得ることができる。さらに、この場合には、連結部の上端が上部プレートの側面まで延設されて当該延設部が上部プレート側面に固着されているので、シューズの着地時には、連結部の左右方向のせん断変形による上部プレートの左右方向の横揺れを連結部の延設部により規制することができ、これにより、横方向の安定性を向上できる。
【0044】
また、本発明の第2の発明に係るソール構造体によれば、上下部プレート間に空隙を形成しかつ上下部プレートを弾性的に連結する連結部を前後方向に分離して複数個設けるとともに、連結部の下端を下部プレートの側面まで下方に延設して下部プレート側面に固着するようにしたので、シューズの着地時には、上下部プレート間に形成された空隙が圧縮変形することで、衝撃荷重を吸収できる。また、この場合、各連結部が、前後方向に分離した複数個の部材から構成されているので、歩行中または走行中には、各連結部が前後方向にせん断変形することで上部プレートが前後に揺動することができ、これにより、スムーズなライド感を得ることができる。さらに、この場合には、連結部の下端が下部プレートの側面まで延設されて当該延設部が下部プレート側面に固着されているので、シューズの着地時には、連結部の左右方向のせん断変形による上部プレートの左右方向の横揺れを連結部の延設部により防止することができ、これにより、横方向の安定性を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】(a)は本発明の第1の実施例によるシューズ用ソール構造体の側面拡大図、(b)は(a)のソール構造体のB−B線断面図である。
【図2】(a)はソール構造体(図1)が前方に揺動した状態を示す図、(b)は(a)のソール構造体のB−B線断面図である。
【図3(a)】本発明の第2の実施例によるシューズ用ソール構造体の側面拡大図である。
【図3(b)】図3(a)のソール構造体のB−B線断面図である。
【図4】(a)はソール構造体(図3)が前方に揺動した状態を示す図、(b)は(a)のソール構造体のB−B線断面図である。
【図5】(a)は本発明の第3の実施例によるシューズ用ソール構造体の側面拡大図、(b)は(a)のソール構造体のB−B線断面図である。
【図6】(a)はソール構造体(図5)が前方に揺動した状態を示す図、(b)は(a)のソール構造体のB−B線断面図である。
【図7】(a)は本発明の第4の実施例によるシューズ用ソール構造体の側面拡大図、(b)は(a)のソール構造体の長手方向中心線に沿った断面図、(c)は(a)のソール構造体の後端面図である。
【図8】(a)は本発明の第5の実施例によるシューズ用ソール構造体の側面図、(b)は(a)のソール構造体の長手方向中心線に沿った断面図である。
【図9】図8(a)のIX-IX線断面図である。
【図10】本発明の他の実施例4によるシューズ用ソール構造体の幅方向断面図であって、前記第5の実施例の図9に相当している。
【図11】本発明の他の実施例4Aによるシューズ用ソール構造体の幅方向断面図であって、前記第5の実施例の図9に相当している。
【図12】本発明の他の実施例4Bによるシューズ用ソール構造体の長手方向中心線に沿った断面図である。
【図13】本発明の他の実施例4Cによるシューズ用ソール構造体の長手方向中心線に沿った断面図である。
【図14】本発明の他の実施例4Dによるシューズ用ソール構造体の長手方向中心線に沿った断面図である。
【図15】本発明の他の実施例5によるシューズ用ソール構造体の長手方向中心線に沿った断面図である。
【図16】本発明の他の実施例5Aによるシューズ用ソール構造体を踵側から見た後面図である。
【図17】本発明の他の実施例5Bによるシューズ用ソール構造体を踵側から見た後面図である。
【発明を実施するための形態】
【0046】
以下、本発明の実施例を添付図面に基づいて説明する。
【実施例1】
【0047】
図1および図2は、本発明の第1の実施例によるシューズ用ソール構造体を説明するための図であって、図1(a)はソール構造体の側面拡大図、(b)は(a)のソール構造体のB−B線断面図、図2(a)は図1のソール構造体が前方に揺動した状態を示す図、(b)は(a)のソール構造体のB−B線断面図である。ここでは、踵部を含むソール構造体を例にとって説明する。なお、これらの図において、同一符号は同一または相当部分を示している。また、図2(a)中、点線は変形前の状態を示しており、図1(a)に対応している。
【0048】
図1に示すように、このソール構造体1は、上方に配置された上部プレート2と、上部プレート2の下方に配置された下部プレート3と、上下部プレート2、3間において前後方向(図1(a)左右方向)に分離して複数個設けられ、上下部プレート2、3間に空隙10を形成しつつ、上部プレート2の下面2aおよび下部プレート3の上面3aを弾性的に連結する連結部4、5、6とを備えている。この例では、上部プレート2の下面2aは、2つの上凸状湾曲部2a1、2a2と、これらの間に配置された下凸状湾曲部2a3からなる凹凸形状を有している。また、下部プレート3の上面3aは、踵後端部が上方に傾斜している以外は、概ね平坦状に形成されている。下部プレート3の下部には、アウトソール7が設けられている。
【0049】
上部プレート2は、好ましくは、その左右両側縁部から上方に張り出す巻上げ部20を有している。また、上部プレート2の踵部は、その左右両側縁部のみならず後端縁部からも上方に張り出す巻上げ部20を有しており、ヒールカップ状に形成されている。図示していないが、巻上げ部20の内側面には、シューズのアッパーの下部が固着されるようになっている。連結部5の上端の一部は、上部プレート2の下面2aを越えて、巻上げ部20の側面まで上方に延設されるとともに、その延設部5aは巻上げ部側面に固着(例えば接着)されている。
【0050】
この例では、連結部5についてのみ、上端に延設部を設けた例を示したが、残りの連結部4、6についても同様に上端に延設部を設け、これを巻上げ部側面に固着するようにしてもよい。
【0051】
各連結部4、5、6は、いずれも上下部プレート2、3間において上下方向に柱状に延びる部材から構成されている。連結部4は踵最後端縁部に1個設けられ、連結部5は踵部の前後方向中央部(下凸状湾曲部2a3の位置)において内甲側および外甲側の各側縁部に1個ずつ(計2個)設けられ、連結部6は踵部の前端部において内甲側および外甲側の各側縁部に1個ずつ(計2個)設けられている。
【0052】
各連結部4、5、6は、図1に示す例では、上方への延設部を除いて、いずれも載頭角錐台形状のものを示している。なお、各連結部4、5、6の形状は、これには限定されず、図1に示すものと上下逆向きの載頭角錐台形状でもよく、または角柱形状でもよく、あるいは、その他の任意の形状を採用し得る。
【0053】
上下部プレート2、3は、好ましくは樹脂製であり、使用する樹脂材料としては、例えば、熱可塑性ポリウレタン(TPU)やポリアミドエラストマー(PAE)等の熱可塑性材料の他、エポキシ樹脂や不飽和ポリエステル樹脂等の熱硬化性材料も用いられる。また、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)やラバー等を用いて一体成形することも可能である。
【0054】
各連結部4、5、6は、弾性材料から構成されており、使用する弾性材料としては、例えば、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)等の熱可塑性合成樹脂やその発泡体、ポリウレタン(PU)等の熱硬化性樹脂やその発泡体、またはブタジエンラバーやクロロプレンラバー等のラバー素材やその発泡体などが用いられる。好ましくは、各連結部4、5、6は、上下部プレート2、3よりも低弾性および低硬度の材料から構成されている。
【0055】
次に、本実施例の作用効果について図2を用いて説明する。
シューズの着地時において、ソール構造体1のアウトソール7が接地すると、上下部プレート2、3間に形成された空隙10が圧縮変形することで、空隙10がクッションホールとして作用して、衝撃荷重が吸収される。
【0056】
このとき、上下部プレート2、3間を連結する連結部4、5、6が、前後方向に分離した複数個の柱状部材から構成されているため、各連結部4、5、6は前後方向にせん断変形しやすい構造を有しており、このため、歩行中または走行中には、各連結部4、5、6は前方(図2(a)矢印方向)に適度にせん断変形して、上部プレート2が前方に揺動(傾動)する(同図実線参照)。これにより、スムーズなライド感を得ることができる。
【0057】
その一方、シューズの着地時において、上部プレート2に左右方向(図2(b)左右方向)の横揺れが生じようとしても、連結部5の上端が上部プレート2の巻上げ部20の側面まで延設されてその延設部5aが巻上げ部側面に固着されているので、連結部5の左右方向のせん断変形による上部プレート2の左右方向の横揺れを連結部5の延設部5aにより規制することができる。これにより、横方向の安定性を向上できる。
【0058】
また、この場合、連結部5の上端の延設部5aが巻上げ部側面に固着されていることで、上部プレート2の横揺れを規制する延設部5aの面積が増えるので、上部プレート2の左右方向の横揺れを規制する作用を増大できるとともに、連結部上端と巻上げ部側面との間に広い固着面積を確保できるので、固着強度を向上でき、耐久性を向上できる。なお、連結部5の上端は、巻上げ部20を越えて上部プレート2上方のミッドソールまたはアッパーの側面まで上方に延設されるとともに、その延設部がミッドソール側面またはアッパー側面に固着されていてもよい。この場合には、連結部が、巻上げ部側面との間、およびミッドソール側面またはアッパー側面との間にさらに広い固着面積を確保できるので、固着強度をさらに向上でき、耐久性をさらに向上できる。
【0059】
前記第1の実施例において、各連結部4、5、6は、必ずしも単一の素材で構成されていなくてもよい。例えば図1(b)中の一点鎖線で上下2つの領域に分けるとともに、各領域で異なる素材を用い(例えば上側領域を低硬度・低密度の素材にしかつ下側領域を高硬度・高密度の素材にし)、これらの素材を互いに固着するようにしてもよい。なお、2つの領域に分ける際の境界面は、図1(b)中の一点鎖線には限定されない。
【0060】
このように、連結部を異なる素材から構成することにより、連結部の剛性を制御して、前方および側方へのせん断変形をより細やかに制御できるようになり、これにより、上部プレートの側方への横揺れ性を規制しつつ、前方への横揺れ性を調整できるようになる。
【実施例2】
【0061】
図3および図4は、本発明の第2の実施例によるシューズ用ソール構造体を説明するための図であって、図3(a)はソール構造体の側面拡大図、図3(b)は図3(a)のソール構造体のB−B線断面図、図4(a)は図3のソール構造体が前方に揺動した状態を示す図、(b)は(a)のソール構造体のB−B線断面図である。なお、これらの図において、前記第1の実施例と同一符号は、同一または相当部分を示している。また、図4(a)中、点線は変形前の状態を示しており、図3(a)に対応している。
【0062】
この第2の実施例では、連結部5の上端の延設部5aが、巻上げ部側面において前後方向に張り出す張出部5bを有している点が前記第1の実施例と異なっている。すなわち、この場合、連結部5は、側面視T字状に形成されている。図3(a)において、張出部5bは、連結部5の延設部5aの前後方向長さdの前後両側に延在する斜線領域である。
【0063】
この第2の実施例においても、前記第1の実施例と同様に、シューズの着地時には、上下部プレート2、3間の空隙10が圧縮変形することで、衝撃荷重が吸収される。このとき、各連結部4、5、6が前方(図4(a)矢印方向)に適度にせん断変形して、上部プレート2が前方に揺動(傾動)することで(同図実線参照)、スムーズなライド感を得ることができる。また、このとき、連結部5の張出部5bが前後方向に配設された部材であるため、上部プレート2の前後への揺動の際に張出部5bが上部プレート2の動きを阻害することはない。
【0064】
その一方、シューズの着地時において、上部プレート2に左右方向(図4(b)左右方向)の横揺れが生じようとしたとき、連結部5の上端の延設部5aが巻上げ部側面に固着されているばかりでなく、延設部5aの前後両側に張出部5bが形成されているので、連結部5の左右方向のせん断変形による上部プレート2の左右方向の横揺れを連結部5の延設部5aおよび張出部5bにより確実に規制することができる。これにより、横方向の安定性を向上できる。
【0065】
また、この場合、連結部上端と巻上げ部側面との間に広い固着面積を確保できるので、固着強度を向上でき、耐久性を向上できる。さらに、この場合には、連結部上端に上部プレート2との広い固着面積が確保されることで、上部プレート2が連結部上端との固着部分およびその近傍領域で変形を起こしにくくなっており、これにより、シューズ着用者が連結部5からの突上げを感じにくくすることができるとともに、連結部上端が上部プレートとの固着面の下端を基点とする剥離を生じるのを防止できる。
【0066】
これに対して、前記第1の実施例では、連結部上端の延設部5aに張出部5bが設けられておらず、連結部上端と巻上げ部側面との間の固着面積が広くないので、当該第2の実施例のものと比べると、上部プレート2が連結部上端との固着部分およびその近傍領域で変形を起こしやすくなっており、シューズ着用者が連結部5からの突上げを感じやすくなっている。
【0067】
なお、この第2の実施例では、連結部5の張出部5bを巻上げ部側面において前方および後方の双方に張り出すことにより、連結部5を側面視T字状に形成した例を示したが、張出部は、前方または後方のいずれか一方のみに張り出すことにより、側面視逆L字状に形成するようにしてもよい。
【0068】
また、第2の実施例では、連結部5の延設部5aにのみ張出部5bが設けられた例を示したが、残りの連結部4、6についてもそれぞれ上方に延設してその延設部に張出部を設けるようにしてもよい。さらに、この場合において、これらの連結部4、5、6の各延設部を巻上げ部側面において前後方向に連結するようにしてもよい。
【0069】
この場合には、隣り合う各連結部4、5、6の各上端が前後方向に連結されることで、上部プレート2の横揺れを規制する連結部上端の延設部の面積を一層増大できるので、上部プレート2の左右方向の横揺れをより確実に規制できるようになるとともに、連結部上端と巻上げ部側面との間にさらに広い固着面積を確保できるので、固着強度および耐久性をより一層向上できる。
【実施例3】
【0070】
図5および図6は、本発明の第3の実施例によるシューズ用ソール構造体を説明するための図であって、図5(a)はソール構造体の側面拡大図、(b)は(a)のソール構造体のB−B線断面図、図6(a)は図5のソール構造体が前方に揺動した状態を示す図、(b)は(a)のソール構造体のB−B線断面図である。なお、これらの図において、前記第1、第2の実施例と同一符号は、同一または相当部分を示している。また、図6(a)中、点線は変形前の状態を示しており、図5(a)に対応している。
【0071】
前記第1、第2の実施例では、上部プレート2のみが凹凸状に形成された例を示したが、この第3の実施例では、上下部プレート2、3の双方が凹凸状に形成されている。すなわち、下部プレート3の上面3aは、2つの下凸状湾曲部3a1、3a2と、これらの間に配置された上凸状湾曲部3a3からなる凹凸形状を有している。下部プレート3の上凸状湾曲部3a3は、上部プレート2の下凸状湾曲部2a3に対向配置されており、連結部5は、下部プレート3の上凸状湾曲部3a3および上部プレート2の下凸状湾曲部2a3の間に配置されている。
【0072】
この第3の実施例においても、前記第2の実施例と同様に、シューズの着地時には、上下部プレート2、3間の空隙10が圧縮変形することで、衝撃荷重が吸収される。このとき、上部プレート2の凹凸状面のみならず下部プレート3の凹凸状面についても、扁平となる向きに変形するので、クッション性を向上できる。また、このとき、各連結部4、5、6が前方(図6(a)矢印方向)に適度にせん断変形して、上部プレート2が前方に揺動(傾動)することで(同図実線参照)、スムーズなライド感を得ることができる。
【0073】
その一方、シューズの着地時において、上部プレート2に左右方向(図6(b)左右方向)の横揺れが生じようとしたとき、連結部5の上端の延設部5aおよびその両側の張出部5bが巻上げ部側面に固着されているので、連結部5の左右方向のせん断変形による上部プレート2の左右方向の横揺れを連結部5の延設部5aおよび張出部5bにより確実に規制することができ、これにより、横方向の安定性を向上できる。また、この場合には、上下部プレート2、3間において、連結部5の高さが低くなっているので、左右方向のせん断変形による上部プレート2の横揺れが生じにくくなっている。
【実施例4】
【0074】
図7は、本発明の第4の実施例によるシューズ用ソール構造体を説明するための図であって、図7(a)はソール構造体の側面拡大図、(b)は(a)のソール構造体の長手方向中心線断面図、(c)は(a)のソール構造体の後端面図である。なお、これらの図において、前記第1ないし第3の実施例と同一符号は、同一または相当部分を示している。
【0075】
この第4の実施例では、図7(a)ないし(c)に示すように、下部プレート3の下面に配設されたアウトソール7が、ソール構造体1の踵部後端において下部プレート3の後端面を越えて上方に延設されており、その延設部7aが踵部後端において上下部プレート2、3を弾性的に連結する連結部として構成されている。なお、アウトソール7を構成する素材としては、ソリッドラバーや発泡ラバーの他、EVA等の熱可塑性合成樹脂の発泡体などを用いることも可能である。
【0076】
この場合には、踵後端の連結部がアウトソール7と一体化されることで、連結部の剛性が増しており、これにより、上部プレート2の左右方向の横揺れをより確実に規制できるようになって、横方向の安定性をさらに向上できる。その一方、長期間の使用の際には、ソール構造体1の中で踵後端の部位が最も剥離を起こしやすいが、この場合、踵後端の連結部がアウトソール7と一体化されているので、固着力を向上でき、剥離の発生を防止できる。
【実施例5】
【0077】
図8および図9は、本発明の第5の実施例によるシューズ用ソール構造体を説明するための図であって、図8(a)はソール構造体の側面図、(b)は(a)のソール構造体の長手方向中心線断面図、図9は図8(a)のIX-IX線断面図である。なお、これらの図において、前記第1ないし第4の実施例と同一符号は、同一または相当部分を示している。
【0078】
図8(a)、(b)に示すように、この第5の実施例では、上下部プレート2、3がソール構造体1の踵部から前足部まで延設されている。上下部プレート2、3間の連結部のうち、踵後端の連結部は、アウトソール7の上方への延設部7aにより構成されており、また連結部6の前方には、空隙10を隔てて連結部8が設けられている。連結部8の前方には空隙10を隔てて、ミッドソール9からなる連結部が設けられている。ミッドソール9は、ソール構造体1の前足部において、上下部プレート2、3間を弾性的に連結するとともに、上部プレート2の前端縁を越えてソール構造体1のつま先部まで延設されている。なお、ソール構造体1の前足部後端から踵部にかけて、上部プレート2の上には、ミッドソール9’が設けられている(図8(b)参照)。ミッドソール9’は、上部プレート2の巻上げ部20に沿って上方(同図右方)に延びる巻上げ部9’aを有している(図9参照)。
【0079】
連結部5の上方への延設部5aおよび張出部5b、連結部6の上方への延設部6aおよび張出部6b、ならびに連結部8の上方への延設部8aおよび張出部8bは、前後方向に連結されて一体化されている(図8(a)参照)。なお、連結部6の延設部6a、張出部6b、および連結部8の延設部8a、張出部8bは、巻上げ部20を越えて上方に延びており、ここでは図示していないが、その延設部はシューズのアッパーに固着されるようになっている。
【0080】
この第5の実施例においては、シューズの着地時には、上下部プレート2、3間の空隙10が圧縮変形することで、衝撃荷重が吸収される。このとき、アウトソール7の延設部7a、および各連結部5、6、8、ならびに上下部プレート間のミッドソール9が前方(図8(a)上方)に適度にせん断変形して、上部プレート2が前方に揺動(傾動)することで、スムーズなライド感を得ることができる。
【0081】
その一方、シューズの着地時において、上部プレート2に左右方向(図8(a)紙面垂直方向)の横揺れが生じようとしたとき、アウトソール延設部7a、および各連結部5、6、8の延設部5a、6a、8aおよびその張出部5b、6b、8bが巻上げ部側面に固着されており、しかも各張出部5b、6b、8bが前後方向に連結されて一体化されているので、上部プレート2の左右方向の横揺れをこれらの延設部5a、6a、7a、8aおよび張出部5b、6b、8b、ならびに前後方向の連結部分により確実に規制することができ、これにより、横方向の安定性を一層向上できる。なお、この場合には、樹脂製の上部プレート2の側面がEVA等の発泡体材料で覆われることになるので、ソフトなイメージの外観にすることができる。
【他の実施例1】
【0082】
前記第1ないし第5の実施例では、連結部をソール構造体の内甲側および外甲側の各側縁部の双方に配置することにより、上部プレートの内甲側および外甲側双方への横揺れを効果的に規制した例を示したが、本発明の適用はこれに限定されない。
【0083】
連結部は、ソール構造体の内甲側または外甲側の各側縁部のいずれか一方のみに配置するようにしてもよい。例えば、連結部をソール構造体の内甲側の側縁部にのみ配置した場合には、上部プレートの内甲側への横揺れを規制できるとともに、走行時または歩行時の回内防止に寄与でき、また、連結部をソール構造体の外甲側の側縁部にのみ配置した場合には、上部プレートの外甲側への横揺れを規制できるとともに、走行時または歩行時の回外防止に寄与できる。
【0084】
また、前記各実施例では、連結部を上下方向に柱状に延びる部材から構成した例を示したが、本発明の適用はこれに限定されない。連結部をソール構造体の幅方向全体にわたって(つまり内甲側側縁部から外甲側側縁部にかけて)桟状に延びる部材であってもよい。この場合には、連結部全体の剛性が増しており、これにより、上部プレートの左右方向の横揺れをより確実に規制できるようになって、横方向の安定性をさらに向上できる。
【他の実施例2】
【0085】
前記第1ないし第5の実施例では、上部プレート2のみ、または上下部プレート2、3の双方が凹凸形状を有している場合を例にとって説明したが、本発明は、下部プレート3のみが凹凸形状を有しているものにも同様に適用できる。また、本発明は、上下部プレート2、3の双方が平坦状に形成されているものにも同様に適用できる。
【他の実施例3】
【0086】
前記第1ないし第5の実施例では、上下部プレート2、3間を連結する連結部の上端が上部プレート2の下面2aを越えて上方に延設されてその延設部が上部プレート2の巻上げ部20の側面に固着された例を示したが、本発明の適用はこれに限定されない。
【0087】
連結部の下端を下部プレート3の上面3aを越えて下方に延設して、その延設部を下部プレート3の側面に固着するようにしてもよい。また、この場合、延設部から前後方向に張り出す張出部を設けるようにしてもよく、さらに、各連結部の各張出部を前後方向に連結するようにしてもよい。
【0088】
この場合においても、シューズの着地時には、各連結部の左右方向のせん断変形による上部プレート2の左右方向の横揺れを各連結部の各延設部および(または)各張出部により防止することができ、横方向の安定性を向上できる。
【他の実施例4〜4D】
【0089】
前記第1ないし第5の実施例では、連結部4、5、6の内側面(シューズ幅方向内側面)が上下部プレート2、3間において下部プレート3から上部プレート2まで直線状に延びている例を示すとともに(図1(b)、図2(b)、図3(b)、図4(b)、図5(b)、図6(b)、図9参照)、連結部4の前側面(シューズ前後方向前側面)が上下部プレート2、3間において下部プレート3から上部プレート2まで直線状に延びている例を示したが(図1(a)、図3(a)、図5(a)、図7(b)参照)、本発明の適用はこれらに限定されない。
【0090】
図10ないし図14は、本発明の他の実施例4〜4Dによるソール構造体を示しており、各図はそれぞれ異なる態様を示している。なお、これらの図において、前記第1ないし第5の実施例と同一符号は同一または相当部分を示している。また、図10および図11では、連結部5を例にとって説明しているが、他の連結部に適用することも可能である。
【0091】
図10に示す態様(他の実施例4)では、連結部5の内側面(踵中央側の面)が、下部プレート3に対して略直交しつつ上方に延びる立壁面50と、立壁面50の上端からシューズ幅方向外側に向かって斜め上方に延びる傾斜面51とから構成されている。すなわち、この場合には、上部プレート2の下面2aと連結部5の傾斜面51との間には、空隙C1が形成されている。また、これにより、上部プレート2の下面2aのうち下部プレート3上面と対向する平坦状面への連結部5の接着面内側縁部が、連結部5の下部プレート3上面との接着面内側縁部よりかなり外側に移動している。
【0092】
シューズの着地時にアウトソール7が接地したとき、アウトソール7からソール構造体1に作用する上向きの荷重は、下部プレート3から連結部5を介して上部プレート2に作用し、上部プレート2からミッドソール9’を介して着用者の足裏に作用する。
【0093】
このとき、下部プレート3の上面から上部プレート2の下面2aまで延びる連結部5の上部プレート下面2aとの接点が、シューズ着用者の足裏中心付近から離れて外側(つまり踵外周側)に移動しているので、接地面から下部プレート3に作用する上向きの荷重が連結部5を介してそのまま上部プレート2の中心付近に作用するのを回避でき、これにより、シューズの着地時に連結部5から着用者の足裏への突き上げを緩和できる。また、上部プレート2の下面2aと連結部5の傾斜面51との間に形成された空隙C1によって、シューズ着地時のクッション性を向上できる。
【0094】
その一方、前記第1ないし第5の実施例では、連結部4、5、6の内側面(シューズ幅方向内側面)が上下部プレート2、3間において下部プレート3から上部プレート2まで直線状に延びているので(図1(b)、図2(b)、図3(b)、図4(b)、図5(b)、図6(b)、図9参照)、シューズの着地時には、接地面から下部プレート3に作用する上向きの荷重が、連結部5を介してそのまま上部プレート2に作用することになる。
【0095】
また、他の実施例4によれば、上部プレート2の下面2aと連結部5の傾斜面51との間に形成された空隙C1によって、ソール構造体全体を軽量化できる。なお、他の実施例4においても、連結部5上端の延設部5aが上部プレート2の巻上げ部20側面に固着されているので、連結部5と巻上げ部20との間に十分な固着強度が確保されている。
【0096】
なお、この場合においても、連結部5は、上下部プレート2、3間において側面視載頭角錐台形状を有しているので(図8等参照)、シューズ着用者の歩行中または走行中には、連結部5が前方(図10紙面奥側)に適度にせん断変形して、上部プレート2が前方に揺動(傾動)することになる。これにより、前記各実施例と同様に、スムーズなライド感を得ることができる(この点は、以下の他の実施例4A〜4Dにおいても同様)。
【0097】
図11に示す態様(他の実施例4A)では、連結部5の内側面が、下部プレート3に対して略直交しつつ上方に延びる立壁面501と、上部プレート2に対して略直交しつつ下方に延びる立壁面502と、これらの立壁面501、502の間に形成された略V字状の切込み52とから構成されている。すなわち、この場合には、切込み52によって空隙C2が形成されている。
【0098】
シューズの着地時にアウトソール7が接地したとき、連結部5の内側面(シューズ幅方向内側面)に形成された略V字状の切込み52による空隙C2によって、接地面から下部プレート3に作用する上向きの荷重が連結部5を介してそのまま上部プレート2に作用するのを回避でき、これにより、シューズの着地時に連結部5から着用者の足裏への突き上げを緩和できる。また、空隙C2によって、シューズ着地時のクッション性を向上できるとともに、ソール構造体全体を軽量化できる。さらに、この場合においても、連結部5上端の延設部5aが上部プレート2の巻上げ部20側面に固着されていることで、連結部5と巻上げ部20との間の固着強度を確保できる。
【0099】
図12に示す態様(他の実施例4B)では、ソール構造体1の踵部後端に設けられた、アウトソール7の上方への延設部7aが、シューズ前方に向かって空隙10内に張り出す張出部70を有している。
【0100】
図13に示す態様(他の実施例4C)では、アウトソール7の延設部7aが、シューズ前方に向かって空隙10内に張り出す張出部70を有するとともに、張出部70の下部には、踵部後端側に向かって略U字状に湾曲しつつ延びる湾曲部70aが形成されている。
【0101】
図14に示す態様(他の実施例4D)では、アウトソール7の延設部7aが、シューズ前方に向かって空隙10内に張り出す張出部70を有するとともに、張出部70には、踵部後端側に向かって切り込まれた略V字状の切込み70bが形成されている。
【0102】
これら図12ないし図14に示す態様では、張出部70によって、アウトソール7の延設部7aと上部プレート2との間に大きな接着面を確保できるので、シューズ1の踵後端から着地したときに、接地面から下部プレート3を介して上部プレート2に作用する上向きの荷重を張出部70により分散でき、これにより、踵後端側の接地面からの突き上げを緩和できる。また、図13および図14に示す態様では、湾曲部70aおよび切込み70bによって、シューズの踵着地時のクッション性を向上できる。
【他の実施例5〜5B】
【0103】
図15ないし図17は、本発明の他の実施例5〜5Bによるソール構造体を示しており、各図はそれぞれ異なる態様を示している。なお、これらの図において、前記第1ないし第5の実施例または前記他の実施例4〜4Dと同一符号は同一または相当部分を示している。
【0104】
図15に示す態様(他の実施例5)では、アウトソール7の延設部7aが、シューズ前方に向かって空隙10内に張り出す張出部70を有するとともに、張出部70の下方には、踵部後端中央に貫通する貫通孔70cが形成されている。貫通孔70cは、例えば円形状断面を有している。
【0105】
図16に示す態様(他の実施例5A)では、張出部70の下方において踵部後端中央に貫通する貫通孔70c’が、踵部後端中央において左右に延びる長孔状に形成されており、図17に示す態様(他の実施例5B)では、張出部70の下方において踵部後端に貫通する貫通孔70c1、70c2が、踵部後端中央の左右両側に一つずつ形成されている。
【0106】
これら図15ないし図17に示す態様によれば、シューズ1の踵後端から着地したとき、アウトソール7の延設部7aのうち各貫通孔の形成個所においてクッション性を向上でき、これにより、踵着地時の衝撃吸収緩和性を向上できるとともに、延設部7aのうち貫通孔の形成されていない個所においては、前記第1ないし第5の実施例または前記他の実施例4〜4Dと同様に、踵着地時の安定性を確保できる。さらに、貫通孔を形成することによって、シューズ構造体全体を軽量化できる。また、この場合においても、アウトソール7の延設部7aと上部プレート2の巻上げ部20との接着面を確保できるので、アウトソール延設部7aと巻上げ部20との固着強度を維持できる。
【0107】
なお、アウトソール7の延設部7aにおいて、踵部後端に貫通する貫通孔の個数は、3つ以上であってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0108】
以上のように、本発明は、シューズ用ソール構造体に有用であり、とくにクッション性、スムーズなライド感、および横方向の安定性を要求されるものに適している。
【符号の説明】
【0109】
1: ソール構造体
2: 上部プレート
20: 巻上げ部
2a: 下面
2a1、2a2: 上凸状湾曲部
2a3: 下凸状湾曲部
3: 下部プレート
3a: 上面
3a1、3a2: 下凸状湾曲部
3a3: 上凸状湾曲部
4、5、6: 連結部
5a: 延設部
5b: 張出部
【先行技術文献】
【特許文献】
【0110】
【特許文献1】国際公開第2006/129837号パンフレット(第1A図参照)
【特許文献2】特開平9−248203号公報(図2参照)
【技術分野】
【0001】
本発明は、シューズ用ソール構造体に関し、詳細には、クッション性を向上させるとともにスムーズなライド感を生じさせ、かつ横方向の安定性を向上させるための構造の改良に関する。
【背景技術】
【0002】
ソール構造体として、たとえば国際公開第2006/129837号パンフレットに示すものが本件出願人により提案されている。このソール構造体は、上部プレートと、その下方に配設され、上部プレートとの間で空隙を形成する2つの膨出部を有する波状の下部プレートと、各膨出部間に形成された上凸部分を上部プレートに連結する弾性ブロックとから構成されている。
【0003】
また、特開平9−248203号公報には、上方に配置された合成樹脂板製の分散部と、下方に配置された接地部と、分散部および接地部間に配設され、前後方向に連続する複数のV字状部からなる緩衝部とから構成されたミッドソール構造が示されている。各V字状部の各上端は、分散部の側縁部まで延設されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した国際公開第2006/129837号パンフレットに示すソール構造体においては、シューズの着地時には、下部プレートの各膨出部が扁平となるように圧縮変形することで、上下部プレート間の空隙がクッションホールとして作用して、衝撃荷重が吸収される。
【0005】
また、この場合、歩行中または走行中には、弾性ブロックが前後方向にせん断変形することで上部プレートが前後に揺動することができ、これにより、スムーズなライド感が達成される。
【0006】
しかしながら、このソール構造体では、シューズの着地時には、弾性ブロックが前後方向のみならず左右方向にもせん断変形し得るように構成されており、このため、弾性ブロックの剛性如何によっては、シューズの着地時に上部プレートが左右方向にも揺動する場合が起こり得る。
【0007】
その一方、上記特開平9−248203号公報には、シューズの着地時に接地部に作用した衝撃力が緩衝部の各V字状部で分散されて分散部に伝播されることによりクッション性が向上する、と記載されている。
【0008】
また、この場合、複数のV字状部の各上端が分散部の側縁部まで延設されていることで、シューズ着地時の横揺れをある程度防止することが可能であるかもしれない。
【0009】
しかしながら、このミッドソール構造では、緩衝部が前後方向に連続する複数のV字状部から構成され、しかも各V字状部の各上端が分散部に固着されているために、各V字状部が前後方向にせん断変形しにくい構造になっており、このため、歩行中または走行中には、上方に配置された分散部が前後に揺動することができず、その結果、スムーズなライド感を得ることは困難である。
【0010】
本発明は、このような従来の実情に鑑みてなされたもので、本発明が解決しようとする課題は、クッション性を向上できるとともにスムーズなライド感を得ることができ、しかも横方向の安定性を向上できるシューズ用ソール構造体を提供しようとしている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
請求項1の発明に係るシューズ用ソール構造体は、上方に配置された上部プレートと、上部プレートの下方に配置された下部プレートと、上下部プレート間において前後方向に分離して複数個設けられ、上下部プレート間に空隙を形成しつつ、上部プレートの下面および下部プレートの上面を弾性的に連結する連結部とを備えている。連結部の上端は、上部プレートの下面を越えて上部プレートの側面まで上方に延設されるとともに、上部プレート側面に固着されている。
【0012】
請求項1の発明においては、シューズの着地時には、上下部プレート間に形成された空隙が圧縮変形することで、空隙がクッションホールとして作用して、衝撃荷重が吸収される。
【0013】
また、この場合、上下部プレート間を連結する連結部が、前後方向に分離した複数個の部材から構成されているため、連結部が前後方向にせん断変形しやすい構造を有しており、このため、歩行中または走行中には、連結部が前後方向に適度にせん断変形して、上部プレートが前後に揺動することができ、これにより、スムーズなライド感を得ることができる。
【0014】
さらに、この場合には、連結部の上端が上部プレートの側面まで延設されて当該延設部が上部プレート側面に固着されていることにより、シューズの着地時には、連結部の左右方向のせん断変形による上部プレートの左右方向の横揺れを連結部の延設部により規制することができる。これにより、横方向の安定性を向上できる。
【0015】
請求項2の発明では、請求項1において、上部プレートがその側縁部から上方に張り出す巻上げ部を有しており、連結部の上端が巻上げ部の側面まで上方に延設されるとともに、巻上げ部側面に固着されている。
【0016】
この場合には、上部プレートの横揺れを規制する連結部上端の延設部の面積が増えるので、上部プレートの左右方向の横揺れを規制する作用を増大できるとともに、連結部上端と巻上げ部側面との間に広い固着面積を確保できるので、固着強度を向上でき、耐久性を向上できる。
【0017】
請求項3の発明では、請求項1または2において、連結部の上端が、上部プレート側面または巻上げ部側面において、前後方向に張り出す張出部を有している。
【0018】
この場合には、上部プレートの横揺れを規制する連結部上端の延設部の面積をさらに増大できるので、上部プレートの左右方向の横揺れを確実に規制できるようになるとともに、連結部上端と巻上げ部側面との間により広い固着面積を確保できるので、固着強度をさらに向上できる。
【0019】
請求項4の発明では、請求項3において、連結部が側面視T字状の部材である。
【0020】
この場合には、連結部の上端が上部プレート側面または巻上げ部側面において、前後および後方の双方に張り出している。
【0021】
請求項5の発明では、請求項1ないし4のいずれかにおいて、連結部の上端が、上部プレート側面または巻上げ部側面において前後方向に連結されている。
【0022】
この場合には、隣り合う各連結部の各上端が前後方向に連結されることで、上部プレートの横揺れを規制する連結部上端の延設部の面積を一層増大できるので、上部プレートの左右方向の横揺れをより確実に規制できるようになるとともに、連結部上端と巻上げ部側面との間にさらに広い固着面積を確保できるので、固着強度をより一層向上できる。
【0023】
請求項6の発明に係るシューズのソール構造体は、上方に配置された上部プレートと、上部プレートの下方に配置された下部プレートと、上下部プレート間において前後方向に分離して複数個設けられ、上下部プレート間に空隙を形成しつつ、上部プレートの下面および下部プレートの上面を弾性的に連結する連結部とを備えている。連結部の下端は、下部プレートの上面を越えて下部プレートの側面まで下方に延設されるとともに、側面に固着されている。
【0024】
請求項6の発明においては、シューズの着地時には、上下部プレート間に形成された空隙が圧縮変形することで、空隙がクッションホールとして作用して、衝撃荷重が吸収される。
【0025】
また、この場合、上下部プレート間を連結する連結部が、前後方向に分離した複数個の部材から構成されているため、連結部が前後方向にせん断変形しやすい構造を有しており、このため、歩行中または走行中には、連結部が前後方向にせん断変形することで上部プレートが前後に揺動することができ、これにより、スムーズなライド感を得ることができる。
【0026】
さらに、この場合には、連結部の下端が下部プレートの側面まで延設されて当該延設部が下部プレート側面に固着されていることにより、シューズの着地時には、連結部の左右方向のせん断変形による上部プレートの左右方向の横揺れを連結部の延設部により防止することができる。これにより、横方向の安定性を向上できる。
【0027】
請求項7の発明では、請求項6において、連結部の下端が、下部プレートの側面において、前後方向に張り出す張出部を有している。
【0028】
この場合には、上部プレートの横揺れを規制する連結部下端の延設部の面積をさらに増大できるので、上部プレートの左右方向の横揺れを確実に規制できるようになるとともに、連結部下端と下部プレート側面との間により広い固着面積を確保できるので、固着強度をさらに向上できる。
【0029】
請求項8の発明では、請求項6または7において、連結部の下端が、下部プレート側面において前後方向に連結されている。
【0030】
この場合には、隣り合う各連結部の各下端が前後方向に連結されることで、上部プレートの横揺れを規制する連結部下端の延設部の面積を一層増大できるので、上部プレートの左右方向の横揺れをより確実に規制できるようになるとともに、連結部下端と下部プレート側面との間にさらに広い固着面積を確保できるので、固着強度をより一層向上できる。
【0031】
請求項9の発明では、請求項6において、下部プレートの下面にアウトソールが設けられ、アウトソールが下部プレートの側面を越えて上方に延設されており、連結部の下方への延設部が、アウトソールの上方への延設部と一体化されている。
【0032】
この場合には、連結部がアウトソールと一体化されることで、連結部の剛性が増しており、これにより、上部プレートの左右方向の横揺れをより確実に規制できるようになって、横方向の安定性をさらに向上できる。
【0033】
請求項10の発明では、請求項1ないし9のいずれかにおいて、連結部が、上下部プレート間において上下方向に柱状に延びる部材から構成され、当該ソール構造体の内甲側または外甲側に配置されている。
【0034】
請求項10の発明においては、連結部がソール構造体の内甲側に配置されている場合には、上部プレートの内甲側への横揺れを効果的に規制でき、また、連結部がソール構造体の外甲側に配置されている場合には、上部プレートの外甲側への横揺れを効果的に規制できる。
【0035】
請求項11の発明では、請求項1ないし9のいずれかにおいて、連結部が、上下部プレート間において上下方向に柱状に延びる部材から構成され、当該ソール構造体の内甲側および外甲側に配置されている。
【0036】
この場合には、上部プレートの内甲側および外甲側双方への横揺れを効果的に規制できる。
【0037】
請求項12の発明では、請求項1ないし9のいずれかにおいて、連結部が、当該ソール構造体の幅方向全体にわたって延びている。
【0038】
この場合には、連結部全体の剛性が増しており、これにより、上部プレートの左右方向の横揺れをより確実に規制できるようになって、横方向の安定性をさらに向上できる。
【0039】
請求項13の発明では、請求項1ないし9のいずれかにおいて、上部プレートが、下凸状湾曲部および上凸状湾曲部を交互に配置してなる凹凸形状を有しており、連結部が上部プレートの下凸状湾曲部に設けられている。
【0040】
請求項14の発明では、請求項1ないし9のいずれかにおいて、下部プレートが、下凸状湾曲部および上凸状湾曲部を交互に配置してなる凹凸形状を有しており、連結部が下部プレートの上凸状湾曲部に設けられている。
【0041】
請求項15の発明では、請求項1において、下部プレートの下面にアウトソールが設けられ、アウトソールが、当該ソール構造体の踵部の後端において上方に延設された延設部を有するとともに、当該ソール構造体の踵部の後端において上下部プレート間に空隙を形成しかつ上下部プレート間を弾性的に連結する連結部がアウトソールの延設部から構成されている。
【0042】
この場合には、踵部後端の連結部がアウトソールと一体化されているので、当該連結部の剛性が増しており、これにより、上部プレートの左右方向の横揺れを規制する効果を増大でき、横方向の安定性を向上できるとともに、踵部後端の連結部の耐久性を向上できる。
【発明の効果】
【0043】
以上のように、本発明の第1の発明に係るソール構造体によれば、上下部プレート間に空隙を形成しかつ上下部プレートを弾性的に連結する連結部を前後方向に分離して複数個設けるとともに、連結部の上端を上部プレートの側面まで上方に延設して上部プレート側面に固着するようにしたので、シューズの着地時には、上下部プレート間の空隙が圧縮変形することで、衝撃荷重を吸収できる。また、この場合、各連結部が、前後方向に分離した複数個の部材から構成されているので、歩行中または走行中には、各連結部が前後方向にせん断変形することで上部プレートが前後に揺動することができ、これにより、スムーズなライド感を得ることができる。さらに、この場合には、連結部の上端が上部プレートの側面まで延設されて当該延設部が上部プレート側面に固着されているので、シューズの着地時には、連結部の左右方向のせん断変形による上部プレートの左右方向の横揺れを連結部の延設部により規制することができ、これにより、横方向の安定性を向上できる。
【0044】
また、本発明の第2の発明に係るソール構造体によれば、上下部プレート間に空隙を形成しかつ上下部プレートを弾性的に連結する連結部を前後方向に分離して複数個設けるとともに、連結部の下端を下部プレートの側面まで下方に延設して下部プレート側面に固着するようにしたので、シューズの着地時には、上下部プレート間に形成された空隙が圧縮変形することで、衝撃荷重を吸収できる。また、この場合、各連結部が、前後方向に分離した複数個の部材から構成されているので、歩行中または走行中には、各連結部が前後方向にせん断変形することで上部プレートが前後に揺動することができ、これにより、スムーズなライド感を得ることができる。さらに、この場合には、連結部の下端が下部プレートの側面まで延設されて当該延設部が下部プレート側面に固着されているので、シューズの着地時には、連結部の左右方向のせん断変形による上部プレートの左右方向の横揺れを連結部の延設部により防止することができ、これにより、横方向の安定性を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】(a)は本発明の第1の実施例によるシューズ用ソール構造体の側面拡大図、(b)は(a)のソール構造体のB−B線断面図である。
【図2】(a)はソール構造体(図1)が前方に揺動した状態を示す図、(b)は(a)のソール構造体のB−B線断面図である。
【図3(a)】本発明の第2の実施例によるシューズ用ソール構造体の側面拡大図である。
【図3(b)】図3(a)のソール構造体のB−B線断面図である。
【図4】(a)はソール構造体(図3)が前方に揺動した状態を示す図、(b)は(a)のソール構造体のB−B線断面図である。
【図5】(a)は本発明の第3の実施例によるシューズ用ソール構造体の側面拡大図、(b)は(a)のソール構造体のB−B線断面図である。
【図6】(a)はソール構造体(図5)が前方に揺動した状態を示す図、(b)は(a)のソール構造体のB−B線断面図である。
【図7】(a)は本発明の第4の実施例によるシューズ用ソール構造体の側面拡大図、(b)は(a)のソール構造体の長手方向中心線に沿った断面図、(c)は(a)のソール構造体の後端面図である。
【図8】(a)は本発明の第5の実施例によるシューズ用ソール構造体の側面図、(b)は(a)のソール構造体の長手方向中心線に沿った断面図である。
【図9】図8(a)のIX-IX線断面図である。
【図10】本発明の他の実施例4によるシューズ用ソール構造体の幅方向断面図であって、前記第5の実施例の図9に相当している。
【図11】本発明の他の実施例4Aによるシューズ用ソール構造体の幅方向断面図であって、前記第5の実施例の図9に相当している。
【図12】本発明の他の実施例4Bによるシューズ用ソール構造体の長手方向中心線に沿った断面図である。
【図13】本発明の他の実施例4Cによるシューズ用ソール構造体の長手方向中心線に沿った断面図である。
【図14】本発明の他の実施例4Dによるシューズ用ソール構造体の長手方向中心線に沿った断面図である。
【図15】本発明の他の実施例5によるシューズ用ソール構造体の長手方向中心線に沿った断面図である。
【図16】本発明の他の実施例5Aによるシューズ用ソール構造体を踵側から見た後面図である。
【図17】本発明の他の実施例5Bによるシューズ用ソール構造体を踵側から見た後面図である。
【発明を実施するための形態】
【0046】
以下、本発明の実施例を添付図面に基づいて説明する。
【実施例1】
【0047】
図1および図2は、本発明の第1の実施例によるシューズ用ソール構造体を説明するための図であって、図1(a)はソール構造体の側面拡大図、(b)は(a)のソール構造体のB−B線断面図、図2(a)は図1のソール構造体が前方に揺動した状態を示す図、(b)は(a)のソール構造体のB−B線断面図である。ここでは、踵部を含むソール構造体を例にとって説明する。なお、これらの図において、同一符号は同一または相当部分を示している。また、図2(a)中、点線は変形前の状態を示しており、図1(a)に対応している。
【0048】
図1に示すように、このソール構造体1は、上方に配置された上部プレート2と、上部プレート2の下方に配置された下部プレート3と、上下部プレート2、3間において前後方向(図1(a)左右方向)に分離して複数個設けられ、上下部プレート2、3間に空隙10を形成しつつ、上部プレート2の下面2aおよび下部プレート3の上面3aを弾性的に連結する連結部4、5、6とを備えている。この例では、上部プレート2の下面2aは、2つの上凸状湾曲部2a1、2a2と、これらの間に配置された下凸状湾曲部2a3からなる凹凸形状を有している。また、下部プレート3の上面3aは、踵後端部が上方に傾斜している以外は、概ね平坦状に形成されている。下部プレート3の下部には、アウトソール7が設けられている。
【0049】
上部プレート2は、好ましくは、その左右両側縁部から上方に張り出す巻上げ部20を有している。また、上部プレート2の踵部は、その左右両側縁部のみならず後端縁部からも上方に張り出す巻上げ部20を有しており、ヒールカップ状に形成されている。図示していないが、巻上げ部20の内側面には、シューズのアッパーの下部が固着されるようになっている。連結部5の上端の一部は、上部プレート2の下面2aを越えて、巻上げ部20の側面まで上方に延設されるとともに、その延設部5aは巻上げ部側面に固着(例えば接着)されている。
【0050】
この例では、連結部5についてのみ、上端に延設部を設けた例を示したが、残りの連結部4、6についても同様に上端に延設部を設け、これを巻上げ部側面に固着するようにしてもよい。
【0051】
各連結部4、5、6は、いずれも上下部プレート2、3間において上下方向に柱状に延びる部材から構成されている。連結部4は踵最後端縁部に1個設けられ、連結部5は踵部の前後方向中央部(下凸状湾曲部2a3の位置)において内甲側および外甲側の各側縁部に1個ずつ(計2個)設けられ、連結部6は踵部の前端部において内甲側および外甲側の各側縁部に1個ずつ(計2個)設けられている。
【0052】
各連結部4、5、6は、図1に示す例では、上方への延設部を除いて、いずれも載頭角錐台形状のものを示している。なお、各連結部4、5、6の形状は、これには限定されず、図1に示すものと上下逆向きの載頭角錐台形状でもよく、または角柱形状でもよく、あるいは、その他の任意の形状を採用し得る。
【0053】
上下部プレート2、3は、好ましくは樹脂製であり、使用する樹脂材料としては、例えば、熱可塑性ポリウレタン(TPU)やポリアミドエラストマー(PAE)等の熱可塑性材料の他、エポキシ樹脂や不飽和ポリエステル樹脂等の熱硬化性材料も用いられる。また、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)やラバー等を用いて一体成形することも可能である。
【0054】
各連結部4、5、6は、弾性材料から構成されており、使用する弾性材料としては、例えば、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)等の熱可塑性合成樹脂やその発泡体、ポリウレタン(PU)等の熱硬化性樹脂やその発泡体、またはブタジエンラバーやクロロプレンラバー等のラバー素材やその発泡体などが用いられる。好ましくは、各連結部4、5、6は、上下部プレート2、3よりも低弾性および低硬度の材料から構成されている。
【0055】
次に、本実施例の作用効果について図2を用いて説明する。
シューズの着地時において、ソール構造体1のアウトソール7が接地すると、上下部プレート2、3間に形成された空隙10が圧縮変形することで、空隙10がクッションホールとして作用して、衝撃荷重が吸収される。
【0056】
このとき、上下部プレート2、3間を連結する連結部4、5、6が、前後方向に分離した複数個の柱状部材から構成されているため、各連結部4、5、6は前後方向にせん断変形しやすい構造を有しており、このため、歩行中または走行中には、各連結部4、5、6は前方(図2(a)矢印方向)に適度にせん断変形して、上部プレート2が前方に揺動(傾動)する(同図実線参照)。これにより、スムーズなライド感を得ることができる。
【0057】
その一方、シューズの着地時において、上部プレート2に左右方向(図2(b)左右方向)の横揺れが生じようとしても、連結部5の上端が上部プレート2の巻上げ部20の側面まで延設されてその延設部5aが巻上げ部側面に固着されているので、連結部5の左右方向のせん断変形による上部プレート2の左右方向の横揺れを連結部5の延設部5aにより規制することができる。これにより、横方向の安定性を向上できる。
【0058】
また、この場合、連結部5の上端の延設部5aが巻上げ部側面に固着されていることで、上部プレート2の横揺れを規制する延設部5aの面積が増えるので、上部プレート2の左右方向の横揺れを規制する作用を増大できるとともに、連結部上端と巻上げ部側面との間に広い固着面積を確保できるので、固着強度を向上でき、耐久性を向上できる。なお、連結部5の上端は、巻上げ部20を越えて上部プレート2上方のミッドソールまたはアッパーの側面まで上方に延設されるとともに、その延設部がミッドソール側面またはアッパー側面に固着されていてもよい。この場合には、連結部が、巻上げ部側面との間、およびミッドソール側面またはアッパー側面との間にさらに広い固着面積を確保できるので、固着強度をさらに向上でき、耐久性をさらに向上できる。
【0059】
前記第1の実施例において、各連結部4、5、6は、必ずしも単一の素材で構成されていなくてもよい。例えば図1(b)中の一点鎖線で上下2つの領域に分けるとともに、各領域で異なる素材を用い(例えば上側領域を低硬度・低密度の素材にしかつ下側領域を高硬度・高密度の素材にし)、これらの素材を互いに固着するようにしてもよい。なお、2つの領域に分ける際の境界面は、図1(b)中の一点鎖線には限定されない。
【0060】
このように、連結部を異なる素材から構成することにより、連結部の剛性を制御して、前方および側方へのせん断変形をより細やかに制御できるようになり、これにより、上部プレートの側方への横揺れ性を規制しつつ、前方への横揺れ性を調整できるようになる。
【実施例2】
【0061】
図3および図4は、本発明の第2の実施例によるシューズ用ソール構造体を説明するための図であって、図3(a)はソール構造体の側面拡大図、図3(b)は図3(a)のソール構造体のB−B線断面図、図4(a)は図3のソール構造体が前方に揺動した状態を示す図、(b)は(a)のソール構造体のB−B線断面図である。なお、これらの図において、前記第1の実施例と同一符号は、同一または相当部分を示している。また、図4(a)中、点線は変形前の状態を示しており、図3(a)に対応している。
【0062】
この第2の実施例では、連結部5の上端の延設部5aが、巻上げ部側面において前後方向に張り出す張出部5bを有している点が前記第1の実施例と異なっている。すなわち、この場合、連結部5は、側面視T字状に形成されている。図3(a)において、張出部5bは、連結部5の延設部5aの前後方向長さdの前後両側に延在する斜線領域である。
【0063】
この第2の実施例においても、前記第1の実施例と同様に、シューズの着地時には、上下部プレート2、3間の空隙10が圧縮変形することで、衝撃荷重が吸収される。このとき、各連結部4、5、6が前方(図4(a)矢印方向)に適度にせん断変形して、上部プレート2が前方に揺動(傾動)することで(同図実線参照)、スムーズなライド感を得ることができる。また、このとき、連結部5の張出部5bが前後方向に配設された部材であるため、上部プレート2の前後への揺動の際に張出部5bが上部プレート2の動きを阻害することはない。
【0064】
その一方、シューズの着地時において、上部プレート2に左右方向(図4(b)左右方向)の横揺れが生じようとしたとき、連結部5の上端の延設部5aが巻上げ部側面に固着されているばかりでなく、延設部5aの前後両側に張出部5bが形成されているので、連結部5の左右方向のせん断変形による上部プレート2の左右方向の横揺れを連結部5の延設部5aおよび張出部5bにより確実に規制することができる。これにより、横方向の安定性を向上できる。
【0065】
また、この場合、連結部上端と巻上げ部側面との間に広い固着面積を確保できるので、固着強度を向上でき、耐久性を向上できる。さらに、この場合には、連結部上端に上部プレート2との広い固着面積が確保されることで、上部プレート2が連結部上端との固着部分およびその近傍領域で変形を起こしにくくなっており、これにより、シューズ着用者が連結部5からの突上げを感じにくくすることができるとともに、連結部上端が上部プレートとの固着面の下端を基点とする剥離を生じるのを防止できる。
【0066】
これに対して、前記第1の実施例では、連結部上端の延設部5aに張出部5bが設けられておらず、連結部上端と巻上げ部側面との間の固着面積が広くないので、当該第2の実施例のものと比べると、上部プレート2が連結部上端との固着部分およびその近傍領域で変形を起こしやすくなっており、シューズ着用者が連結部5からの突上げを感じやすくなっている。
【0067】
なお、この第2の実施例では、連結部5の張出部5bを巻上げ部側面において前方および後方の双方に張り出すことにより、連結部5を側面視T字状に形成した例を示したが、張出部は、前方または後方のいずれか一方のみに張り出すことにより、側面視逆L字状に形成するようにしてもよい。
【0068】
また、第2の実施例では、連結部5の延設部5aにのみ張出部5bが設けられた例を示したが、残りの連結部4、6についてもそれぞれ上方に延設してその延設部に張出部を設けるようにしてもよい。さらに、この場合において、これらの連結部4、5、6の各延設部を巻上げ部側面において前後方向に連結するようにしてもよい。
【0069】
この場合には、隣り合う各連結部4、5、6の各上端が前後方向に連結されることで、上部プレート2の横揺れを規制する連結部上端の延設部の面積を一層増大できるので、上部プレート2の左右方向の横揺れをより確実に規制できるようになるとともに、連結部上端と巻上げ部側面との間にさらに広い固着面積を確保できるので、固着強度および耐久性をより一層向上できる。
【実施例3】
【0070】
図5および図6は、本発明の第3の実施例によるシューズ用ソール構造体を説明するための図であって、図5(a)はソール構造体の側面拡大図、(b)は(a)のソール構造体のB−B線断面図、図6(a)は図5のソール構造体が前方に揺動した状態を示す図、(b)は(a)のソール構造体のB−B線断面図である。なお、これらの図において、前記第1、第2の実施例と同一符号は、同一または相当部分を示している。また、図6(a)中、点線は変形前の状態を示しており、図5(a)に対応している。
【0071】
前記第1、第2の実施例では、上部プレート2のみが凹凸状に形成された例を示したが、この第3の実施例では、上下部プレート2、3の双方が凹凸状に形成されている。すなわち、下部プレート3の上面3aは、2つの下凸状湾曲部3a1、3a2と、これらの間に配置された上凸状湾曲部3a3からなる凹凸形状を有している。下部プレート3の上凸状湾曲部3a3は、上部プレート2の下凸状湾曲部2a3に対向配置されており、連結部5は、下部プレート3の上凸状湾曲部3a3および上部プレート2の下凸状湾曲部2a3の間に配置されている。
【0072】
この第3の実施例においても、前記第2の実施例と同様に、シューズの着地時には、上下部プレート2、3間の空隙10が圧縮変形することで、衝撃荷重が吸収される。このとき、上部プレート2の凹凸状面のみならず下部プレート3の凹凸状面についても、扁平となる向きに変形するので、クッション性を向上できる。また、このとき、各連結部4、5、6が前方(図6(a)矢印方向)に適度にせん断変形して、上部プレート2が前方に揺動(傾動)することで(同図実線参照)、スムーズなライド感を得ることができる。
【0073】
その一方、シューズの着地時において、上部プレート2に左右方向(図6(b)左右方向)の横揺れが生じようとしたとき、連結部5の上端の延設部5aおよびその両側の張出部5bが巻上げ部側面に固着されているので、連結部5の左右方向のせん断変形による上部プレート2の左右方向の横揺れを連結部5の延設部5aおよび張出部5bにより確実に規制することができ、これにより、横方向の安定性を向上できる。また、この場合には、上下部プレート2、3間において、連結部5の高さが低くなっているので、左右方向のせん断変形による上部プレート2の横揺れが生じにくくなっている。
【実施例4】
【0074】
図7は、本発明の第4の実施例によるシューズ用ソール構造体を説明するための図であって、図7(a)はソール構造体の側面拡大図、(b)は(a)のソール構造体の長手方向中心線断面図、(c)は(a)のソール構造体の後端面図である。なお、これらの図において、前記第1ないし第3の実施例と同一符号は、同一または相当部分を示している。
【0075】
この第4の実施例では、図7(a)ないし(c)に示すように、下部プレート3の下面に配設されたアウトソール7が、ソール構造体1の踵部後端において下部プレート3の後端面を越えて上方に延設されており、その延設部7aが踵部後端において上下部プレート2、3を弾性的に連結する連結部として構成されている。なお、アウトソール7を構成する素材としては、ソリッドラバーや発泡ラバーの他、EVA等の熱可塑性合成樹脂の発泡体などを用いることも可能である。
【0076】
この場合には、踵後端の連結部がアウトソール7と一体化されることで、連結部の剛性が増しており、これにより、上部プレート2の左右方向の横揺れをより確実に規制できるようになって、横方向の安定性をさらに向上できる。その一方、長期間の使用の際には、ソール構造体1の中で踵後端の部位が最も剥離を起こしやすいが、この場合、踵後端の連結部がアウトソール7と一体化されているので、固着力を向上でき、剥離の発生を防止できる。
【実施例5】
【0077】
図8および図9は、本発明の第5の実施例によるシューズ用ソール構造体を説明するための図であって、図8(a)はソール構造体の側面図、(b)は(a)のソール構造体の長手方向中心線断面図、図9は図8(a)のIX-IX線断面図である。なお、これらの図において、前記第1ないし第4の実施例と同一符号は、同一または相当部分を示している。
【0078】
図8(a)、(b)に示すように、この第5の実施例では、上下部プレート2、3がソール構造体1の踵部から前足部まで延設されている。上下部プレート2、3間の連結部のうち、踵後端の連結部は、アウトソール7の上方への延設部7aにより構成されており、また連結部6の前方には、空隙10を隔てて連結部8が設けられている。連結部8の前方には空隙10を隔てて、ミッドソール9からなる連結部が設けられている。ミッドソール9は、ソール構造体1の前足部において、上下部プレート2、3間を弾性的に連結するとともに、上部プレート2の前端縁を越えてソール構造体1のつま先部まで延設されている。なお、ソール構造体1の前足部後端から踵部にかけて、上部プレート2の上には、ミッドソール9’が設けられている(図8(b)参照)。ミッドソール9’は、上部プレート2の巻上げ部20に沿って上方(同図右方)に延びる巻上げ部9’aを有している(図9参照)。
【0079】
連結部5の上方への延設部5aおよび張出部5b、連結部6の上方への延設部6aおよび張出部6b、ならびに連結部8の上方への延設部8aおよび張出部8bは、前後方向に連結されて一体化されている(図8(a)参照)。なお、連結部6の延設部6a、張出部6b、および連結部8の延設部8a、張出部8bは、巻上げ部20を越えて上方に延びており、ここでは図示していないが、その延設部はシューズのアッパーに固着されるようになっている。
【0080】
この第5の実施例においては、シューズの着地時には、上下部プレート2、3間の空隙10が圧縮変形することで、衝撃荷重が吸収される。このとき、アウトソール7の延設部7a、および各連結部5、6、8、ならびに上下部プレート間のミッドソール9が前方(図8(a)上方)に適度にせん断変形して、上部プレート2が前方に揺動(傾動)することで、スムーズなライド感を得ることができる。
【0081】
その一方、シューズの着地時において、上部プレート2に左右方向(図8(a)紙面垂直方向)の横揺れが生じようとしたとき、アウトソール延設部7a、および各連結部5、6、8の延設部5a、6a、8aおよびその張出部5b、6b、8bが巻上げ部側面に固着されており、しかも各張出部5b、6b、8bが前後方向に連結されて一体化されているので、上部プレート2の左右方向の横揺れをこれらの延設部5a、6a、7a、8aおよび張出部5b、6b、8b、ならびに前後方向の連結部分により確実に規制することができ、これにより、横方向の安定性を一層向上できる。なお、この場合には、樹脂製の上部プレート2の側面がEVA等の発泡体材料で覆われることになるので、ソフトなイメージの外観にすることができる。
【他の実施例1】
【0082】
前記第1ないし第5の実施例では、連結部をソール構造体の内甲側および外甲側の各側縁部の双方に配置することにより、上部プレートの内甲側および外甲側双方への横揺れを効果的に規制した例を示したが、本発明の適用はこれに限定されない。
【0083】
連結部は、ソール構造体の内甲側または外甲側の各側縁部のいずれか一方のみに配置するようにしてもよい。例えば、連結部をソール構造体の内甲側の側縁部にのみ配置した場合には、上部プレートの内甲側への横揺れを規制できるとともに、走行時または歩行時の回内防止に寄与でき、また、連結部をソール構造体の外甲側の側縁部にのみ配置した場合には、上部プレートの外甲側への横揺れを規制できるとともに、走行時または歩行時の回外防止に寄与できる。
【0084】
また、前記各実施例では、連結部を上下方向に柱状に延びる部材から構成した例を示したが、本発明の適用はこれに限定されない。連結部をソール構造体の幅方向全体にわたって(つまり内甲側側縁部から外甲側側縁部にかけて)桟状に延びる部材であってもよい。この場合には、連結部全体の剛性が増しており、これにより、上部プレートの左右方向の横揺れをより確実に規制できるようになって、横方向の安定性をさらに向上できる。
【他の実施例2】
【0085】
前記第1ないし第5の実施例では、上部プレート2のみ、または上下部プレート2、3の双方が凹凸形状を有している場合を例にとって説明したが、本発明は、下部プレート3のみが凹凸形状を有しているものにも同様に適用できる。また、本発明は、上下部プレート2、3の双方が平坦状に形成されているものにも同様に適用できる。
【他の実施例3】
【0086】
前記第1ないし第5の実施例では、上下部プレート2、3間を連結する連結部の上端が上部プレート2の下面2aを越えて上方に延設されてその延設部が上部プレート2の巻上げ部20の側面に固着された例を示したが、本発明の適用はこれに限定されない。
【0087】
連結部の下端を下部プレート3の上面3aを越えて下方に延設して、その延設部を下部プレート3の側面に固着するようにしてもよい。また、この場合、延設部から前後方向に張り出す張出部を設けるようにしてもよく、さらに、各連結部の各張出部を前後方向に連結するようにしてもよい。
【0088】
この場合においても、シューズの着地時には、各連結部の左右方向のせん断変形による上部プレート2の左右方向の横揺れを各連結部の各延設部および(または)各張出部により防止することができ、横方向の安定性を向上できる。
【他の実施例4〜4D】
【0089】
前記第1ないし第5の実施例では、連結部4、5、6の内側面(シューズ幅方向内側面)が上下部プレート2、3間において下部プレート3から上部プレート2まで直線状に延びている例を示すとともに(図1(b)、図2(b)、図3(b)、図4(b)、図5(b)、図6(b)、図9参照)、連結部4の前側面(シューズ前後方向前側面)が上下部プレート2、3間において下部プレート3から上部プレート2まで直線状に延びている例を示したが(図1(a)、図3(a)、図5(a)、図7(b)参照)、本発明の適用はこれらに限定されない。
【0090】
図10ないし図14は、本発明の他の実施例4〜4Dによるソール構造体を示しており、各図はそれぞれ異なる態様を示している。なお、これらの図において、前記第1ないし第5の実施例と同一符号は同一または相当部分を示している。また、図10および図11では、連結部5を例にとって説明しているが、他の連結部に適用することも可能である。
【0091】
図10に示す態様(他の実施例4)では、連結部5の内側面(踵中央側の面)が、下部プレート3に対して略直交しつつ上方に延びる立壁面50と、立壁面50の上端からシューズ幅方向外側に向かって斜め上方に延びる傾斜面51とから構成されている。すなわち、この場合には、上部プレート2の下面2aと連結部5の傾斜面51との間には、空隙C1が形成されている。また、これにより、上部プレート2の下面2aのうち下部プレート3上面と対向する平坦状面への連結部5の接着面内側縁部が、連結部5の下部プレート3上面との接着面内側縁部よりかなり外側に移動している。
【0092】
シューズの着地時にアウトソール7が接地したとき、アウトソール7からソール構造体1に作用する上向きの荷重は、下部プレート3から連結部5を介して上部プレート2に作用し、上部プレート2からミッドソール9’を介して着用者の足裏に作用する。
【0093】
このとき、下部プレート3の上面から上部プレート2の下面2aまで延びる連結部5の上部プレート下面2aとの接点が、シューズ着用者の足裏中心付近から離れて外側(つまり踵外周側)に移動しているので、接地面から下部プレート3に作用する上向きの荷重が連結部5を介してそのまま上部プレート2の中心付近に作用するのを回避でき、これにより、シューズの着地時に連結部5から着用者の足裏への突き上げを緩和できる。また、上部プレート2の下面2aと連結部5の傾斜面51との間に形成された空隙C1によって、シューズ着地時のクッション性を向上できる。
【0094】
その一方、前記第1ないし第5の実施例では、連結部4、5、6の内側面(シューズ幅方向内側面)が上下部プレート2、3間において下部プレート3から上部プレート2まで直線状に延びているので(図1(b)、図2(b)、図3(b)、図4(b)、図5(b)、図6(b)、図9参照)、シューズの着地時には、接地面から下部プレート3に作用する上向きの荷重が、連結部5を介してそのまま上部プレート2に作用することになる。
【0095】
また、他の実施例4によれば、上部プレート2の下面2aと連結部5の傾斜面51との間に形成された空隙C1によって、ソール構造体全体を軽量化できる。なお、他の実施例4においても、連結部5上端の延設部5aが上部プレート2の巻上げ部20側面に固着されているので、連結部5と巻上げ部20との間に十分な固着強度が確保されている。
【0096】
なお、この場合においても、連結部5は、上下部プレート2、3間において側面視載頭角錐台形状を有しているので(図8等参照)、シューズ着用者の歩行中または走行中には、連結部5が前方(図10紙面奥側)に適度にせん断変形して、上部プレート2が前方に揺動(傾動)することになる。これにより、前記各実施例と同様に、スムーズなライド感を得ることができる(この点は、以下の他の実施例4A〜4Dにおいても同様)。
【0097】
図11に示す態様(他の実施例4A)では、連結部5の内側面が、下部プレート3に対して略直交しつつ上方に延びる立壁面501と、上部プレート2に対して略直交しつつ下方に延びる立壁面502と、これらの立壁面501、502の間に形成された略V字状の切込み52とから構成されている。すなわち、この場合には、切込み52によって空隙C2が形成されている。
【0098】
シューズの着地時にアウトソール7が接地したとき、連結部5の内側面(シューズ幅方向内側面)に形成された略V字状の切込み52による空隙C2によって、接地面から下部プレート3に作用する上向きの荷重が連結部5を介してそのまま上部プレート2に作用するのを回避でき、これにより、シューズの着地時に連結部5から着用者の足裏への突き上げを緩和できる。また、空隙C2によって、シューズ着地時のクッション性を向上できるとともに、ソール構造体全体を軽量化できる。さらに、この場合においても、連結部5上端の延設部5aが上部プレート2の巻上げ部20側面に固着されていることで、連結部5と巻上げ部20との間の固着強度を確保できる。
【0099】
図12に示す態様(他の実施例4B)では、ソール構造体1の踵部後端に設けられた、アウトソール7の上方への延設部7aが、シューズ前方に向かって空隙10内に張り出す張出部70を有している。
【0100】
図13に示す態様(他の実施例4C)では、アウトソール7の延設部7aが、シューズ前方に向かって空隙10内に張り出す張出部70を有するとともに、張出部70の下部には、踵部後端側に向かって略U字状に湾曲しつつ延びる湾曲部70aが形成されている。
【0101】
図14に示す態様(他の実施例4D)では、アウトソール7の延設部7aが、シューズ前方に向かって空隙10内に張り出す張出部70を有するとともに、張出部70には、踵部後端側に向かって切り込まれた略V字状の切込み70bが形成されている。
【0102】
これら図12ないし図14に示す態様では、張出部70によって、アウトソール7の延設部7aと上部プレート2との間に大きな接着面を確保できるので、シューズ1の踵後端から着地したときに、接地面から下部プレート3を介して上部プレート2に作用する上向きの荷重を張出部70により分散でき、これにより、踵後端側の接地面からの突き上げを緩和できる。また、図13および図14に示す態様では、湾曲部70aおよび切込み70bによって、シューズの踵着地時のクッション性を向上できる。
【他の実施例5〜5B】
【0103】
図15ないし図17は、本発明の他の実施例5〜5Bによるソール構造体を示しており、各図はそれぞれ異なる態様を示している。なお、これらの図において、前記第1ないし第5の実施例または前記他の実施例4〜4Dと同一符号は同一または相当部分を示している。
【0104】
図15に示す態様(他の実施例5)では、アウトソール7の延設部7aが、シューズ前方に向かって空隙10内に張り出す張出部70を有するとともに、張出部70の下方には、踵部後端中央に貫通する貫通孔70cが形成されている。貫通孔70cは、例えば円形状断面を有している。
【0105】
図16に示す態様(他の実施例5A)では、張出部70の下方において踵部後端中央に貫通する貫通孔70c’が、踵部後端中央において左右に延びる長孔状に形成されており、図17に示す態様(他の実施例5B)では、張出部70の下方において踵部後端に貫通する貫通孔70c1、70c2が、踵部後端中央の左右両側に一つずつ形成されている。
【0106】
これら図15ないし図17に示す態様によれば、シューズ1の踵後端から着地したとき、アウトソール7の延設部7aのうち各貫通孔の形成個所においてクッション性を向上でき、これにより、踵着地時の衝撃吸収緩和性を向上できるとともに、延設部7aのうち貫通孔の形成されていない個所においては、前記第1ないし第5の実施例または前記他の実施例4〜4Dと同様に、踵着地時の安定性を確保できる。さらに、貫通孔を形成することによって、シューズ構造体全体を軽量化できる。また、この場合においても、アウトソール7の延設部7aと上部プレート2の巻上げ部20との接着面を確保できるので、アウトソール延設部7aと巻上げ部20との固着強度を維持できる。
【0107】
なお、アウトソール7の延設部7aにおいて、踵部後端に貫通する貫通孔の個数は、3つ以上であってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0108】
以上のように、本発明は、シューズ用ソール構造体に有用であり、とくにクッション性、スムーズなライド感、および横方向の安定性を要求されるものに適している。
【符号の説明】
【0109】
1: ソール構造体
2: 上部プレート
20: 巻上げ部
2a: 下面
2a1、2a2: 上凸状湾曲部
2a3: 下凸状湾曲部
3: 下部プレート
3a: 上面
3a1、3a2: 下凸状湾曲部
3a3: 上凸状湾曲部
4、5、6: 連結部
5a: 延設部
5b: 張出部
【先行技術文献】
【特許文献】
【0110】
【特許文献1】国際公開第2006/129837号パンフレット(第1A図参照)
【特許文献2】特開平9−248203号公報(図2参照)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シューズのソール構造体であって、
上方に配置された上部プレートと、
前記上部プレートの下方に配置された下部プレートと、
前記上下部プレート間において前後方向に分離して複数個設けられ、前記上下部プレート間に空隙を形成しつつ、前記上部プレートの下面および前記下部プレートの上面を弾性的に連結する連結部とを備え、
前記連結部の上端が、前記上部プレートの前記下面を越えて前記上部プレートの側面まで上方に延設されるとともに、前記上部プレート側面に固着されている、
ことを特徴とするシューズのソール構造体。
【請求項2】
請求項1において、
前記上部プレートがその側縁部から上方に張り出す巻上げ部を有しており、前記連結部の前記上端が前記巻上げ部の側面まで上方に延設されるとともに、前記巻上げ部側面に固着されている、
ことを特徴とするシューズのソール構造体。
【請求項3】
請求項1または2において、
前記連結部の前記上端が、前記上部プレート側面または前記巻上げ部側面において、前後方向に張り出す張出部を有している、
ことを特徴とするシューズのソール構造体。
【請求項4】
請求項3において、
前記連結部が側面視T字状の部材である、
ことを特徴とするシューズのソール構造体。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれかにおいて、
前記連結部の前記上端が、前記上部プレート側面または前記巻上げ部側面において前後方向に連結されている、
ことを特徴とするシューズのソール構造体。
【請求項6】
シューズのソール構造体であって、
上方に配置された上部プレートと、
前記上部プレートの下方に配置された下部プレートと、
前記上下部プレート間において前後方向に分離して複数個設けられ、前記上下部プレート間に空隙を形成しつつ、前記上部プレートの下面および前記下部プレートの上面を弾性的に連結する連結部とを備え、
前記連結部の下端が、前記下部プレートの前記上面を越えて前記下部プレートの側面まで下方に延設されるとともに、前記側面に固着されている、
ことを特徴とするシューズのソール構造体。
【請求項7】
請求項6において、
前記連結部の前記下端が、前記下部プレートの前記側面において、前後方向に張り出す張出部を有している、
ことを特徴とするシューズのソール構造体。
【請求項8】
請求項6または7において、
前記連結部の前記下端が、前記下部プレート側面において前後方向に連結されている、
ことを特徴とするシューズのソール構造体。
【請求項9】
請求項6において、
前記下部プレートの下面にアウトソールが設けられ、前記アウトソールが前記下部プレートの側面を越えて上方に延設されており、前記連結部の下方への延設部が、前記アウトソールの上方への延設部と一体化されている、
ことを特徴とするシューズのソール構造体。
【請求項10】
請求項1ないし9のいずれかにおいて、
前記連結部が、前記上下部プレート間において上下方向に柱状に延びる部材から構成され、当該ソール構造体の内甲側または外甲側に配置されている、
ことを特徴とするシューズのソール構造体。
【請求項11】
請求項1ないし9のいずれかにおいて、
前記連結部が、前記上下部プレート間において上下方向に柱状に延びる部材から構成され、当該ソール構造体の内甲側および外甲側に配置されている、
ことを特徴とするシューズのソール構造体。
【請求項12】
請求項1ないし9のいずれかにおいて、
前記連結部が、当該ソール構造体の幅方向全体にわたって延びている、
ことを特徴とするシューズのソール構造体。
【請求項13】
請求項1ないし9のいずれかにおいて、
前記上部プレートが、下凸状湾曲部および上凸状湾曲部を交互に配置してなる凹凸形状を有しており、前記連結部が前記下凸状湾曲部に設けられている、
ことを特徴とするシューズのソール構造体。
【請求項14】
請求項1ないし9のいずれかにおいて、
前記下部プレートが、下凸状湾曲部および上凸状湾曲部を交互に配置してなる凹凸形状を有しており、前記連結部が前記上凸状湾曲部に設けられている、
ことを特徴とするシューズのソール構造体。
【請求項15】
請求項1において、
前記下部プレートの下面にアウトソールが設けられ、前記アウトソールが、当該ソール構造体の踵部の後端において上方に延設された延設部を有するとともに、当該ソール構造体の踵部の後端において前記上下部プレート間に空隙を形成しかつ前記上下部プレート間を弾性的に連結する前記連結部が前記アウトソールの前記延設部から構成されている、
ことを特徴とするシューズのソール構造体。
【請求項1】
シューズのソール構造体であって、
上方に配置された上部プレートと、
前記上部プレートの下方に配置された下部プレートと、
前記上下部プレート間において前後方向に分離して複数個設けられ、前記上下部プレート間に空隙を形成しつつ、前記上部プレートの下面および前記下部プレートの上面を弾性的に連結する連結部とを備え、
前記連結部の上端が、前記上部プレートの前記下面を越えて前記上部プレートの側面まで上方に延設されるとともに、前記上部プレート側面に固着されている、
ことを特徴とするシューズのソール構造体。
【請求項2】
請求項1において、
前記上部プレートがその側縁部から上方に張り出す巻上げ部を有しており、前記連結部の前記上端が前記巻上げ部の側面まで上方に延設されるとともに、前記巻上げ部側面に固着されている、
ことを特徴とするシューズのソール構造体。
【請求項3】
請求項1または2において、
前記連結部の前記上端が、前記上部プレート側面または前記巻上げ部側面において、前後方向に張り出す張出部を有している、
ことを特徴とするシューズのソール構造体。
【請求項4】
請求項3において、
前記連結部が側面視T字状の部材である、
ことを特徴とするシューズのソール構造体。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれかにおいて、
前記連結部の前記上端が、前記上部プレート側面または前記巻上げ部側面において前後方向に連結されている、
ことを特徴とするシューズのソール構造体。
【請求項6】
シューズのソール構造体であって、
上方に配置された上部プレートと、
前記上部プレートの下方に配置された下部プレートと、
前記上下部プレート間において前後方向に分離して複数個設けられ、前記上下部プレート間に空隙を形成しつつ、前記上部プレートの下面および前記下部プレートの上面を弾性的に連結する連結部とを備え、
前記連結部の下端が、前記下部プレートの前記上面を越えて前記下部プレートの側面まで下方に延設されるとともに、前記側面に固着されている、
ことを特徴とするシューズのソール構造体。
【請求項7】
請求項6において、
前記連結部の前記下端が、前記下部プレートの前記側面において、前後方向に張り出す張出部を有している、
ことを特徴とするシューズのソール構造体。
【請求項8】
請求項6または7において、
前記連結部の前記下端が、前記下部プレート側面において前後方向に連結されている、
ことを特徴とするシューズのソール構造体。
【請求項9】
請求項6において、
前記下部プレートの下面にアウトソールが設けられ、前記アウトソールが前記下部プレートの側面を越えて上方に延設されており、前記連結部の下方への延設部が、前記アウトソールの上方への延設部と一体化されている、
ことを特徴とするシューズのソール構造体。
【請求項10】
請求項1ないし9のいずれかにおいて、
前記連結部が、前記上下部プレート間において上下方向に柱状に延びる部材から構成され、当該ソール構造体の内甲側または外甲側に配置されている、
ことを特徴とするシューズのソール構造体。
【請求項11】
請求項1ないし9のいずれかにおいて、
前記連結部が、前記上下部プレート間において上下方向に柱状に延びる部材から構成され、当該ソール構造体の内甲側および外甲側に配置されている、
ことを特徴とするシューズのソール構造体。
【請求項12】
請求項1ないし9のいずれかにおいて、
前記連結部が、当該ソール構造体の幅方向全体にわたって延びている、
ことを特徴とするシューズのソール構造体。
【請求項13】
請求項1ないし9のいずれかにおいて、
前記上部プレートが、下凸状湾曲部および上凸状湾曲部を交互に配置してなる凹凸形状を有しており、前記連結部が前記下凸状湾曲部に設けられている、
ことを特徴とするシューズのソール構造体。
【請求項14】
請求項1ないし9のいずれかにおいて、
前記下部プレートが、下凸状湾曲部および上凸状湾曲部を交互に配置してなる凹凸形状を有しており、前記連結部が前記上凸状湾曲部に設けられている、
ことを特徴とするシューズのソール構造体。
【請求項15】
請求項1において、
前記下部プレートの下面にアウトソールが設けられ、前記アウトソールが、当該ソール構造体の踵部の後端において上方に延設された延設部を有するとともに、当該ソール構造体の踵部の後端において前記上下部プレート間に空隙を形成しかつ前記上下部プレート間を弾性的に連結する前記連結部が前記アウトソールの前記延設部から構成されている、
ことを特徴とするシューズのソール構造体。
【図1】
【図2】
【図3(a)】
【図3(b)】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
【図3(a)】
【図3(b)】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公開番号】特開2009−261902(P2009−261902A)
【公開日】平成21年11月12日(2009.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−27224(P2009−27224)
【出願日】平成21年2月9日(2009.2.9)
【出願人】(000005935)美津濃株式会社 (239)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年11月12日(2009.11.12)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年2月9日(2009.2.9)
【出願人】(000005935)美津濃株式会社 (239)
【Fターム(参考)】
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