説明

ショーケースの管理システム

【課題】共通の管理装置で一括管理される複数のショーケースの間での時刻のずれを簡単に調整できるショーケースの管理システムを提供すること。
【解決手段】複数のショーケース1と、これらショーケース1の運転状態を一括して管理する管理装置2とからなるショーケース1の管理システムにおいて、ショーケース1は、管理装置2から各ショーケース1に同時刻に出力される信号が与えられた場合に、予め設定された補正情報103aに従って内蔵する時計部102の時刻を補正する時刻補正部100aを備えている。ここで、上記信号としては、同期信号である除霜開始信号であることが好ましく、また時刻補正部102は、補正情報103と、除霜開始信号が与えられた時点において時計部102が示す時刻とに基づいて時計部102の時刻を補正することが好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ショーケースの管理システムに関し、より詳細には、複数のショーケースと、これらショーケースの運転状態を管理する管理装置とからなるショーケースの管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複数のショーケースと、これらショーケースの運転状態を一括して管理する管理装置とからなるショーケースの管理システムとしては、次のようなものが知られている。例えば、複数のショーケースには、それぞれ端末制御装置が設けられており、これら端末制御装置は、共通の信号線を介して管理装置と接続されている。そして、端末制御装置は、個々にタイマー等の時計を内蔵しており、時計による計時結果に応じて予め決められた種々の動作、例えば照明の点消灯制御等を行っている(例えば、特許文献1及び特許文献2参照)。
【0003】
【特許文献1】特開平9−119767号公報
【特許文献2】特開2006−090569号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、端末制御装置に内蔵される時計は、その経時的変化として、計時速度が速くなったり遅くなったりして、時刻にずれが生じることが知られている。このような時刻のずれが生じると、上述したショーケースの管理システムにおいては、端末制御手段が時計の計時結果に応じて予め決められた種々の動作を行っているために、例えば照明の点灯及び消灯のタイミングにずれが生じてしまい、所望の動作を行えなくなる虞れがあった。また、このような時刻のずれを調整するためには、各端末制御装置毎に再設定を必要とし、メンテナンスが煩雑なものとなる虞れがあった。
【0005】
本発明は、上記実情に鑑みて、共通の管理装置で一括管理される複数のショーケースの間での時刻のずれを簡単に調整できるショーケースの管理システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明の請求項1に係るショーケースの管理システムは、複数のショーケースと、これらショーケースの運転状態を一括して管理する管理装置とからなるショーケースの管理システムにおいて、前記ショーケースは、前記管理装置から各ショーケースに同時刻に出力される信号が与えられた場合に、予め設定された補正情報に従って内蔵する時計の時刻を補正する時刻補正手段を備えたことを特徴とする。
【0007】
また、本発明の請求項2に係るショーケースの管理システムは、上述した請求項1において、前記時刻補正手段は、前記管理装置から除霜開始信号が与えられた場合に、前記時計の時刻を補正することを特徴とする。
【0008】
また、本発明の請求項3に係るショーケースの管理システムは、上述した請求項2において、前記時刻補正手段は、前記補正情報と、前記除霜開始信号が与えられた時点において前記時計が示す時刻とに基づいて該時計の時刻を補正することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、時刻補正手段が、管理装置から各ショーケースに同時刻に出力される信号が与えられた場合に、予め設定された補正情報に従って内蔵する時計の時刻を補正するので、各ショーケースに内蔵される時計の時刻のずれを調整できる。しかも同時刻に出力される信号を契機として行うので、時刻のずれを調整するための専用回線を必要としない。従って、共通の管理装置で一括管理される複数のショーケースの間での時刻のずれを簡単に調整できるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下に添付図面を参照しながら、本発明のショーケースの管理システムの好適な実施の形態について詳細に説明する。
【0011】
図1は、本発明の実施の形態であるショーケースの管理システムを模式的に示す模式図である。ここに例示する管理システムは、複数のショーケース1と管理装置2とを備えて構成してある。
【0012】
複数のショーケース1は、図示せぬ収納域に収納された商品を所望の温度状態に保持するためのものであり、蒸発器11、膨張弁12及び端末制御装置10を個別に備えている。
【0013】
各ショーケース1の蒸発器11及び膨張弁12は、ショーケース1の外部に配設された1つの冷凍機13に対して並列となる態様で、冷媒供給管路14で接続されることにより冷媒循環手段15を構成している。ここに冷凍機13は、圧縮機131及び凝縮器132を備えており、圧縮機131は、冷媒を圧縮して高温高圧のガス冷媒として凝縮器132に与えるものである。また、膨張弁12は、冷凍機13から供給された液冷媒を断熱膨張して蒸発器11に供給するものである。
【0014】
このような冷媒循環手段15においては、圧縮機131から吐出された高温高圧のガス冷媒が凝縮器132において冷却されて高温高圧の液冷媒となる。この高温高圧の液冷媒は、各ショーケース1に配設された膨張弁12に供給され、該膨張弁12により断熱膨張されて低温低圧の気液2相冷媒となり、蒸発器11に供給される。蒸発器11に供給された低温低圧の気液2相冷媒は、収納域の内部空気と熱交換し、吸熱して低温低圧のガス冷媒となることにより収納域の冷却を行う。蒸発器11から吐出された低温低圧のガス冷媒は、圧縮機131に吸入され、再び高温高圧のガス冷媒となって凝縮器132に供給される。
【0015】
端末制御装置10は、ショーケース1の各部の動作を統括的に制御するものであり、共通の信号線3を介して管理装置2に接続してある。図2は、図1に示した端末制御装置の構成を模式的に示すブロック図であり、本実施の形態において特徴的なものだけを図示している。
【0016】
この図2に例示するように、端末制御装置10は、インターフェース101、時計部(時計)102及び主制御部100を備えて構成してある。インターフェース101は、共通の信号線3に接続された入力手段である。時計部102は、時間を計測するものである。主制御部100は、所定のプログラムに従って時計部102の計時結果に応じて端末制御装置10の動作を統括的に制御するものであり、本実施の特徴的なものとして時刻補正部100aを備えている。時刻補正部100aは、メモリ103に記憶される補正情報103aに基づいて時計部102の時刻補正を行うものである。補正情報103aは、時計部102の時刻補正をする際に基準となる情報である。このような端末制御装置10は、後述するように時刻補正処理を実施する。
【0017】
管理装置2は、各ショーケース1の端末制御装置10に共通の信号線3を介して接続されており、これら端末制御装置10の動作を介して、各ショーケース1の運転状態を一括して管理するものである。この管理装置2は、各ショーケース1の運転状態だけでなく、種々の機器の管理も行うものであるが、本実施の形態においては、冷凍機13の運転状態についても管理を行うものとして説明する。より具体的には、管理装置2は、予め設定された時間毎に、各ショーケース1に配設された蒸発器11の除霜を行うべく、冷凍機13(圧縮機131)を駆動停止させるとともに、上記信号線3を介して各端末制御装置10に対して除霜開始信号を出力するものである。すなわち、除霜開始信号を同期信号として各端末制御装置10に出力するものである。このように除霜開始信号を同期信号として出力するのは、蒸発器11の除霜を行うタイミングをショーケース1毎に個別に行うと、各蒸発器11と冷媒供給管路14で接続された冷凍機13(圧縮機131)の駆動を停止させることが困難になり、省エネルギー化を図ることができないからである。
【0018】
図3は、図1に示した端末制御装置が実施する時刻補正処理の処理内容を示すフローチャートである。ここでは1つのショーケース1における端末制御装置10の処理内容について説明するが、上述したように除霜開始信号は各端末制御装置10に同時に与えられるものであるため、他のショーケース1における端末制御装置10も同様のタイミングで時刻補正処理を行うことになる。
【0019】
このような時刻補正処理において端末制御装置10の主制御部100の時刻補正部100aは、インターフェース101を通じて管理装置2から除霜開始信号を入力したか否かを確認する(ステップS101)。除霜開始信号の入力が確認できない場合(ステップS101:No)、主制御部100の時刻補正部100aは、後述する処理を実施することなく、手順をリターンして今回の処理を終了する。
【0020】
除霜開始信号の入力が確認できた場合(ステップS101:Yes)、主制御部100の時刻補正部100aは、メモリ103から補正情報103aの読み出しを行うとともに、時計部102を通じて現在時刻の確認を行う(ステップS102,ステップS103)。かかる補正情報103aの読み出し、及び現在時刻の確認を行った主制御部100の時刻補正部100aは、時刻補正を実施する(ステップS104)。
【0021】
ここで、ステップS104の時刻補正の内容について説明する。メモリ103から読み出した補正情報103aには、除霜開始信号を入力した時刻が例えば1時31分〜2時30分の間であれば時計部102を「2時00分」に、2時31分〜3時30分の間であれば時計部102を「3時00分」に補正する旨が含まれている。従って、ステップS101で除霜開始信号の入力が確認された場合に、ステップS103で時計部102の現在時刻を確認することにより、除霜開始信号を入力した時刻を判断でき、このようにして判断した時刻と、ステップS102で読み出した補正情報103aとに基づいて時計部102の時刻を補正する。つまり、ステップS104の時刻補正では、時計部102の時刻は「○○時00分」に補正されることになる。このような時刻補正を行った主制御部100の時刻補正部100aは、その後に手順をリターンして今回の処理を終了する。
【0022】
これによれば、各ショーケース1の端末制御装置10に同期信号として出力される除霜開始信号の出力タイミングを契機として、主制御部100の時刻補正部100aが時計部102の時刻を「○○時00分」に補正することにより、各時計部102の時刻を一致させることができる。
【0023】
以上説明したように、本実施の形態であるショーケース1の管理システムによれば、主制御部100の時刻補正部100aが、管理装置2から除霜開始信号が与えられた場合に、メモリ103に記憶される補正情報103aに従って時計部102の時刻を補正するので、各ショーケース1の端末制御装置10における時計部102の時刻のずれを調整できる。しかも同期信号である除霜開始信号を契機として行うので、時刻のずれを調整するための専用回線を必要としない。従って、共通の管理装置2で一括管理される複数のショーケース1の間での時刻のずれを簡単に調整できる。
【0024】
また、上記ショーケース1の管理システムによれば、上述したように各ショーケース1の間での時刻のずれを簡単に調整できるので、各ショーケース1の端末制御装置10で行われる時計部102の計時結果に応じてのショーケース1の各部の制御のタイミングが一致させることが可能になる。特に、時計部102の計時結果に応じて各ショーケース1での照明の点消灯のタイミングを一致させることができ、照明信号線等の配線を設ける必要がない。従って、コストの低減化を図ることもできる。
【0025】
尚、上述した実施の形態では、除霜開始信号を管理装置2から各ショーケース1に同時刻に出力される信号の一例として説明したが、本発明では、除霜開始信号以外に管理装置から各ショーケースに同時刻に出力される同期信号の出力タイミングを契機として内蔵する時計の時刻補正を行っても良い。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の実施の形態であるショーケースの管理システムを模式的に示す模式図である。
【図2】図1に示した端末制御装置の構成を模式的に示すブロック図である。
【図3】図1に示した端末制御装置が実施する時刻補正処理の処理内容を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0027】
1 ショーケース
2 管理装置
3 信号線
10 端末制御装置
100 主制御部
100a 時刻補正部
102 時計部
103 メモリ
103a 補正情報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のショーケースと、これらショーケースの運転状態を一括して管理する管理装置とからなるショーケースの管理システムにおいて、
前記ショーケースは、前記管理装置から各ショーケースに同時刻に出力される信号が与えられた場合に、予め設定された補正情報に従って内蔵する時計の時刻を補正する時刻補正手段を備えたことを特徴とするショーケースの管理システム。
【請求項2】
前記時刻補正手段は、前記管理装置から除霜開始信号が与えられた場合に、前記時計の時刻を補正することを特徴とする請求項1に記載のショーケースの管理システム。
【請求項3】
前記時刻補正手段は、前記補正情報と、前記除霜開始信号が与えられた時点において前記時計が示す時刻とに基づいて該時計の時刻を補正することを特徴とする請求項2に記載のショーケースの管理システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2009−216297(P2009−216297A)
【公開日】平成21年9月24日(2009.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−60179(P2008−60179)
【出願日】平成20年3月10日(2008.3.10)
【出願人】(000237710)富士電機リテイルシステムズ株式会社 (1,851)
【Fターム(参考)】