説明

ショーケースシステムおよび当該ショーケースシステムを構成するショーケースの制御装置

【課題】親機に設定してあるショーケースが故障した場合にもグループに含まれるショーケースを引き続き管理できるショーケースシステムを提供すること。
【解決手段】親機に設定したショーケース3にグループに含まれるショーケース3を管理させる一方、親機に設定したショーケース3を集中管理コントローラ1が接続された通信網WNに接続し、集中管理コントローラ1に複数台のショーケース3を統括的に管理させるショーケースシステムにおいて、グループごとに親機に設定したショーケース3と異なる一台のショーケース3を通常子機に設定し、通常子機に設定したショーケース3を集中管理コントローラ1が接続された通信網WNに接続し、集中管理コントローラ2が接続された通信網WNから親機に設定したショーケース3が遮断された場合に通常子機に設定したショーケース3にグループに含まれるショーケース3を管理させるようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ショーケースシステムおよび当該ショーケースシステムを構成するショーケースの制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
複数台のショーケースの中の一台を親機に設定し、親機に設定したショーケースにほかのショーケースを一元的に制御管理する制御管理ユニットを設け、ほかのショーケースを制御管理するショーケースシステムが提案されている(たとえば、特許文献1参照)。
【0003】
しかしながら、大型の店舗などに設置されるショーケースの台数は、100台を超えるために、一台を親機に設定し、親機に設定したショーケースに制御管理ユニットを設けるだけでは、すべてのショーケースを効率的に管理することができない。したがって、複数台のショーケースを複数のグループに分け、グループごとに管理する集中管理コントローラの設置が求められる。
【0004】
一方、複数台のショーケースの中の一台を親機に設定するとともに、残りのショーケースを子機に設定し、親機に設定したショーケースの制御装置から子機に設定したショーケースの制御装置に制御データを送信する一方、子機に設定したショーケースの制御装置から親機に設定したショーケースの制御装置に管理データを送信するショーケースシステムが提案されている。このショーケースシステムでは、通信線の断線等により、子機に設定されたショーケースの制御装置が一定時間制御データを受信しない場合には、当該ショーケースがほかのショーケースの親機となり、当該ショーケースの制御装置がほかのショーケースの制御装置に制御データを送信する一方、ほかのショーケースの制御装置から管理データを受信する(たとえば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平7−280409号公報
【特許文献2】特開平7−75179号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、通信線のいかなる個所で断線が生じるのかわからないので、子機に設定したすべてのショーケースがほかのショーケースに対して親機となる可能性がある。このように、子機に設定したすべてのショーケースがほかのショーケースに対して親機となる可能性があることを考慮すると、複数台のショーケースを複数のグループに分け、グループごとに管理する集中管理コントローラを設置する場合には、すべてのショーケースを個別に特定する必要があり、このためには、すべてのショーケースの通信アドレスがユニーク(一意)となるように設定し、管理する必要がある。
【0007】
しかしながら、すべてのショーケースの通信アドレスがユニーク(一意)となるように設定し、管理するには、集中管理コントローラの負荷が大きくなり、効率的に管理できなくなるばかりか、設定負担が大きくなり、現実的ではない。
【0008】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、親機に設定してあるショーケースが故障した場合にもグループに含まれるショーケースを引き続き管理できるショーケースシステムおよび当該ショーケースシステムを構成するショーケースの制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、複数台のショーケースを複数のグループに分け、グループごとに一つの通信網を構成するとともに、グループごとに一台のショーケースを親機に設定し、親機に設定したショーケースにグループに含まれるショーケースを管理させる一方、親機に設定したショーケースを集中管理コントローラが接続された通信網に接続し、集中管理コントローラに複数台のショーケースを統括的に管理させるショーケースシステムにおいて、前記グループごとに親機に設定したショーケースと異なる一台のショーケースを通常子機に設定し、通常子機に設定したショーケースを前記集中管理コントローラが接続された通信網に接続し、前記集中管理コントローラが接続された通信網から前記親機に設定したショーケースが遮断された場合に通常子機に設定したショーケースにグループに含まれるショーケースを管理させることを特徴とする。
【0010】
また、本発明は、上記発明において、前記親機に設定したショーケースが前記集中管理コントローラが接続された通信網から遮断された後に再接続された場合には、前記通常子機に設定したショーケースに代えて前記親機に設定したショーケースにグループに含まれるショーケースを管理させることを特徴とする。
【0011】
また、本発明は、集中管理コントローラとともに、ショーケースシステムを構築するショーケースの制御装置において、設定されたデータに基づいてショーケースを制御するとともに、ショーケースを親機、子機、通常子機のいずれか一つに設定可能であって、ショーケースを親機に設定した場合に子機および通常子機に設定したショーケースを管理するとともに、前記集中管理コントローラからの要求に応答し、ショーケースを子機に設定した場合に親機に設定したショーケースからの要求に応答する一方、ショーケースを通常子機に設定した場合に、親機に設定したショーケースからの要求に応答する一方、前記集中管理コントローラからの要求により、子機に設定したショーケースを管理するとともに、前記集中管理コントローラからの要求に応答することを特徴とする。
【0012】
本発明にかかるショーケースの制御装置は、上記発明において、親機、子機、通常子機のいずれか一つに設定する設定部と、前記設定部から設定された親機、子機、通常子機の別を管理する設定管理部とを備え、前記設定管理部が親機の場合には、前記設定管理部が子機または通常子機であるショーケースを管理するとともに、前記集中管理コントローラからの要求に応答し、前記設定管理部が子機の場合には、前記設定管理部が親機であるショーケースからの要求に応答する一方、前記設定管理部が通常子機の場合には、前記設定管理部が親機であるショーケースからの要求に応答する一方、前記集中管理コントローラからの要求により、前記設定管理部が子機であるショーケースを管理するとともに、前記集中管理コントローラからの要求に応答することを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明にかかるショーケースシステムは、グループごとに親機に設定したショーケースと異なる一台のショーケースを通常子機に設定し、通常子機に設定したショーケースを集中管理コントローラが接続された通信網に接続し、集中管理コントローラが接続された通信網から親機に設定したショーケースが遮断された場合に通常子機に設定したショーケースにグループに含まれるショーケースを管理させるので、親機に設定してあるショーケースが故障した場合にもグループに含まれるショーケースを引き続き管理できる。
【0014】
また、本発明にかかるショーケースの制御装置は、設定されたデータに基づいてショーケースを制御するとともに、ショーケースを親機、子機、通常子機のいずれか一つに設定可能であって、ショーケースを親機に設定した場合に子機および通常子機に設定したショーケースを管理するとともに、集中管理コントローラからの要求に応答し、ショーケースを子機に設定した場合に親機に設定したショーケースからの要求に応答する一方、ショーケースを通常子機に設定した場合に、親機に設定したショーケースからの要求に応答する一方、集中管理コントローラからの要求により、子機に設定したショーケースを管理するとともに、集中管理コントローラからの要求に応答するので、親機に設定してあるショーケースが故障した場合にもグループに含まれるショーケースを引き続き管理できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】図1は、本発明の実施の形態であるショーケースシステムを展開した店舗構成例を示す図である。
【図2】図2は、図1に示したショーケースシステムを構成するショーケースの制御装置の構成例を示す図であって、親機に設定した例を示す図である。
【図3】図3は、図1に示したショーケースシステムを構成するショーケースの制御装置の構成例を示す図であって、通常子機に設定した例を示す図である。
【図4】図4は、図1に示したショーケースシステムを構成するショーケースの制御装置の構成例を示す図であって、子機に設定した例を示す図である。
【図5】図5は、動作モードを通常子機に設定したショーケースの状態遷移例を示す図である。
【図6】図6は、ショーケースシステムの状態遷移例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に、本発明にかかるショーケースシステムおよびショーケースの制御装置の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0017】
まず、図1に基づいて、本発明の実施の形態であるショーケースシステムについて説明する。なお、図1は、本発明の実施の形態であるショーケースシステムを展開した店舗構成例を示す図である。
【0018】
ここで例示する店舗は、スーパーマーケット、コンビニエンスストアなどの店舗であって、図1に示すように、集中管理コントローラ1、複数台の冷凍機2、複数台のショーケース3が設置してある。
【0019】
集中管理コントローラ1は、複数台の冷凍機2、複数台のショーケース3を統括的に制御するものである。また、冷凍機2は、ショーケース3に冷媒を供給するものであり、複数台の冷凍機2ですべてのショーケース3に冷媒を供給する。
【0020】
ショーケース3は、冷凍食品、生鮮食品(鮮魚、精肉)、飲料などの商品を陳列販売するためのもので、本発明の実施の形態であるショーケースシステムは、複数台のショーケース3を複数のグループG1,G2・・・に分け、グループG1,G2ごとに一つの通信網LNを構成する。たとえば、スーパーマーケットでは、鮮魚コーナー、精肉コーナー、飲料コーナーのように、陳列販売する商品の管理温度、商品の種別で販売エリアを区分けしてあり、本発明実施の形態であるショーケースシステムでも陳列販売する商品の管理温度、商品の種別で複数台のショーケース3を複数のグループG1,G2・・・に分け、グループG1,G2・・・ごとに一つの通信網LNを構成する。
【0021】
そして、グループG1,G2・・・ごとに、一台のショーケース30を親機に設定し、親機に設定したショーケース30にグループに含まれるショーケース31,32を管理させる。一方、親機に設定したショーケース30を集中管理コントローラ1が接続された通信網WNに接続し、集中管理コントローラ1に複数台のショーケース3を統括的に管理させる。
【0022】
具体的には、親機に設定したショーケース30と集中管理コントローラ1とを渡り配線により接続することにより、親機に設定したショーケース30を集中管理コントローラ1が接続された通信網WNに接続する。そして、集中管理コントローラ1が親機に設定したショーケース30を管理することにより、親機に設定したショーケース30を介してグループに含まれるショーケース31,32を管理する。
【0023】
また、本発明の実施の形態であるショーケースシステムは、グループG1,G2・・・ごとに親機に設定したショーケース30と異なる一台のショーケース31を通常子機に設定し、通常子機に設定したショーケース31を集中管理コントローラ1が接続された通信網WNに接続する。そして、集中管理コントローラ1が接続された通信網WNから親機に設定したショーケース30が遮断された場合に通常子機に設定したショーケース31にグループに含まれるショーケース32を管理させる。
【0024】
具体的には、通常子機に設定したショーケース31と親機に設定したショーケース30とを渡り配線により接続することにより、通常子機に設定したショーケース31を集中管理コントローラ1が接続された通信網WNに接続する。そして、故障や電源オフにより、親機に設定したショーケース30が集中管理コントローラ1が接続された通信網WNから遮断された場合に、集中管理コントローラ1からの要求により、通常子機に設定したショーケース31にグループに含まれるショーケース32を管理させる。なお、親機に設定したショーケース30が故障や電源オフにより、集中管理コントローラ1が接続された通信網WNから遮断された場合でも、通常子機に設定したショーケース31が集中管理コントローラ1が接続された通信網WNから遮断されるものではない。
【0025】
また、本発明の実施の形態であるショーケースシステムは、親機に設定したショーケース30が集中管理コントローラ1が接続された通信網WNから遮断された後に再接続された場合には、通常子機に設定したショーケース31に代えて親機に設定したショーケース30にグループに含まれるショーケース31,32を管理させる。
【0026】
つぎに、図2〜図4に基づいて、本発明のショーケースシステムを構成するショーケースの制御装置について説明する。なお、図2〜図4は、図1に示したショーケースシステムを構成するショーケースの制御装置の構成例を示す図であって、図2は、親機に設定した例を示す図、図3は、通常子機に設定した例を示す図、図4は、子機に設定した例を示す図である。
【0027】
図2〜図4に示すように、ショーケース3の制御装置4は、ショーケース3を統括的に制御するためのもので、ファームウェアにより構成してあり、設定値管理部41、温調制御管理部42、表示器制御部43、上位通信部44、下位通信部45、ケースデータ管理部46を有している。
【0028】
設定値管理部(設定管理部)42は、ショーケース3の制御に必要な設定値を管理するためのもので、たとえば、局番(通信アドレス)、動作モード(親機モード、通常子機モード、子機モードの別)、管理温度データを管理している。
【0029】
局番(通信アドレス)は、親アドレス−子アドレスの体系で設定される。親アドレスはグループG1,G2・・・ごとに設定され、同一のグループに属するショーケース3は、同一の親アドレスを有する。子アドレスは、同一のグループ内でユニーク(一意)であり、ショーケース3は、親アドレスと子アドレスとにより特定される。
【0030】
動作モードは、親機モード、子機モード、通常子機モードのいずれかであり、動作モードが親機モードに設定されたショーケース3は親機となる。したがって、動作モードを親機モードに設定するショーケース3は、グループで一台であり、集中管理コントローラ1が接続された通信網WNに接続するショーケース30の動作モードを親機モードに設定する。
【0031】
一方、動作モードが通常子機モードに設定されたショーケース3は通常子機となる。したがって、動作モードを通常子機モードに設定するショーケース3は、グループで親機となるショーケース30と異なる一台であり、集中管理コントローラ1が接続された通信網WNに接続するショーケース31の動作モードを通常子機モードに設定する。
【0032】
他方、動作モードが子機に設定されたショーケース3は、親機あるいは通常子機に設定されたショーケース3に管理されるショーケース(子機)となる。したがって、グループ内で親機あるいは通常子機に設定されないショーケース32の動作モードは子機モードに設定する。
【0033】
また、設定値管理部41は、表示器制御部43、上位通信部44から設定指示を受ける一方、温調制御管理部42、表示器制御部43に設定データを送り、上位通信部44に局番設定(通信アドレス)を送る。そして、表示器制御部43、上位通信部44から設定指示を受けた場合には、設定値の整合を確認した上で、FLASH−ROMなどの不揮発メモリ(図示せず)に設定値を保存して管理する。
【0034】
温調制御管理部42は、設定値管理部41で管理している設定値とショーケース3の各部位に設置した温度センサ(図示せず)の計測値とを参照して電磁弁(図示せず)やファン(図示せず)を制御することにより、ショーケース3の庫内温度を適正に制御するためのもので、設定値管理部41から設定データ(たとえば、管理温度データ)を受け取り、表示器制御部43、上位通信部44から制御指示を受ける。そして、表示器制御部43、上位通信部44から制御指示(たとえば、強制除霜など)を受けた場合には、直ちに制御状態を変更する。
【0035】
表示器制御部(設定制御部)43は、ショーケース3に設けた表示器(図示せず)を制御するためのもので、設定値管理部41から設定指示を受ける一方、温調制御管理部42に制御指示を送り、設定値管理部41に設定指示を送る。また、下位通信部45に設定指示と制御指示とを送る。そして、設定値管理部41に局番設定(通信アドレス)が送られると、設定値の整合を確認した上で、FLASH−ROMなどの不揮発メモリに設定値を保存して管理するとともに、局番設定(通信アドレス)を上位通信部44に送る。
【0036】
また、表示器制御部43は、ショーケース3に設けたキースイッチ(図示せず)からの設定・制御操作を受け付ける一方、表示器に各種データを表示する。キースイッチから入力される設定・制御操作は、動作モードの設定や局番設定(通信アドレスの設定)のほかに温調制御に関するものである。
【0037】
そして、図2に示すように、ショーケース3の動作モードが親機に設定してある場合に、ショーケース3に設けたキースイッチから子機に対する操作を受け付けると、下位通信部45にコマンドの発行を依頼し、自局番(自身)に対する操作を受け付けると、温調制御管理部42と設定値管理部41に指示を送る。一方、表示器に表示するデータは、ケースデータ管理部46で管理しているケースデータや設定値管理部41で管理している設定データなどである。なお、設定値管理部41を参照し、動作モードが親機に設定してある場合は、設定・制御項目を自局番(自身)の情報のほか、子機または通常子機に設定してある他局番の情報とする。一方、設定値管理部41を参照し、動作モードが通常子機に設定してある場合は、通常時において、設定・制御項目を自局番(自身)の情報とし、集中管理コントローラからの要求により、設定・制御項目を自局番(自身)の情報のほか、子機に設定してある他局番の情報とする。他方、設定値管理部41を参照し、動作モードが子機に設定してある場合は、設定・制御項目を自局番(自身)の情報とする。
【0038】
上位通信部(通信部)44は、図2に示すように、ショーケース3の動作モードが親機に設定してある場合に集中管理コントローラ1との間で情報を送受信する一方、図3に示すように、ショーケース3の動作モードが通常子機に設定してある場合に動作モードが親機に設定してあるショーケース3あるいは集中管理コントローラ1との間で情報を送受信する。他方、図4に示すように、ショーケース3の動作モードが子機に設定してある場合に動作モードが親機に設定してあるショーケース3との間で情報を送受信する。そして、図2に示すように、ショーケース3の動作モードが親機に設定してある場合に、集中管理コントローラ1から要求を受信し、応答を送信する。一方、図3に示すように、ショーケース3の動作モードが通常子機に設定してある場合に、動作モードが親機に設定してあるショーケースあるいは集中管理コントローラ1から要求を受信し、応答を送信する。他方、図4に示すように、ショーケース3の動作モードが子機に設定してある場合に、動作モードが親機に設定してあるショーケース3あるいは通常子機に設定してあるショーケース3から要求を受信し、応答を送信する。また、ショーケース3の動作モードが親機に設定してある場合、通常子機に設定してある場合、子機に設定してある場合のいずれの場合にも、ケースデータ管理部46からケースデータを受け取る一方、設定値管理部41に設定指示を送り、温調制御管理部42に制御指示を送る。また、下位通信部45に設定指示と制御指示とを送る。
【0039】
具体的には、設定値管理部41を参照し、動作モードが親機に設定してある場合は、図2に示すように、集中管理コントローラ1からコマンドが送信されるのを待つ。そして、集中管理コントローラ1からコマンドを受信した場合は、コマンドに対応した応答を返信する。コマンドがケースデータの問い合わせ要求であれば、ケースデータ管理部46で管理しているデータを応答として返信する。コマンドが子機に対する設定指示、制御指示であれば、下位通信部45にコマンドの発行を依頼する。また、コマンドが自局番(自身)に対する設定指示、制御指示である場合には、温調制御管理部42と設定値管理部41とに指示を送る。
【0040】
一方、動作モードが通常子機に設定してある場合は、図3に示すように、動作モードが親機に設定してあるショーケース3あるいは集中管理コントローラ1からコマンドが送信されるのを待つ。そして、動作モードが親機に設定してあるショーケース3あるいは集中管理コントローラ1からコマンドを受信した場合は、コマンドに対応した応答を返信する。コマンドがケースデータの問い合わせ要求であれば、ケースデータ管理部46で管理しているデータを応答として返信する。コマンドが自局番(自身)に対する設定指示、制御指示である場合には、温調制御管理部42と設定値管理部41とに指示を送る。また、コマンドが子機に対する設定指示、制御指示であれば、下位通信部45にコマンドの発行を依頼する。
【0041】
他方、動作モードが子機に設定してある場合は、図4に示すように、動作モードが親機に設定してあるショーケース3あるいは通常子機に設定してあるショーケース3からコマンドが送信されるのを待つ。そして、親機に設定してあるショーケース3あるいは通常子機に設定してあるショーケース3からコマンドを受信した場合は、コマンドに対応した応答を返信する。コマンドがケースデータの問い合わせ要求であれば、ケースデータ管理部46で管理しているデータを応答として返信する。コマンドが自局番(自身)に対する設定指示、制御指示である場合には、温調制御管理部42と設定値管理部41とに指示を送る。
【0042】
下位通信部(通信部)45は、ショーケース3の動作モードが親機に設定してある場合に通常子機あるいは子機に設定してあるショーケース3との間で情報を送受信するためのものである。なお、図3に示すように、ショーケース3の動作モードが通常子機に設定してある場合には、集中管理コントローラ1の要求により、下位通信部45は子機に設定してあるショーケース3との間で情報を送受信する。また、図4に示すように、ショーケース3の動作モードが子機に設定してある場合には下位通信部45は通信を行わない。
【0043】
そして、図2に示すように、ショーケース3の動作モードが親機に設定してある場合は、子機に設定してあるショーケース3に対してケースデータの問い合わせを定周期に行う。そして、収集したデータは、ケースデータ管理部46において管理する。また、集中管理コントローラ1から子機に設定してあるショーケース3に対してコマンド発行依頼を受けた場合には、コマンドを発行し、子機に設定してあるショーケース3に送信する。
【0044】
一方、図3に示すように、ショーケース3の動作モードが通常子機に設定してある場合には、集中管理コントローラ1の要求により、動作モードが親機に設定してあるショーケース3に代わり、子機に設定してあるショーケース3に対してケースデータの問い合わせを定周期に行う。そして、収集したデータは、ケースデータ管理部46において管理する。また、集中管理コントローラ1から子機に設定してあるショーケース3に対してコマンド発行依頼を受けた場合には、コマンドを発行し、子機に設定してあるショーケース3に送信する。
【0045】
ケースデータ管理部46は、温調制御管理部42から渡されたケースデータと下位通信部45から渡されたケースデータ(グループを構成するショーケースの全データ)をRAM(図示せず)上で管理するためのもので、温調制御管理部42、下位通信部45からケースデータを受け取る一方、表示器制御部43、上位通信部44にケースデータを送る。そして、管理しているケースデータは、表示器制御部43、上位通信部44で使用される。
【0046】
上述した実施の形態である制御装置4を搭載したショーケース3において、ショーケース3の局番(通信アドレス)、動作モード、管理温度データは、キースイッチを操作することにより、表示器制御部43において設定する。そして、設定されたショーケース3の局番(通信アドレス)、動作モード、管理温度データは、表示器制御部43から設定値管理部41に送られる。すると、設定値管理部41は、設定値の整合を確認した上で、FLASH−ROMなどの不揮発メモリに設定値を保存して管理する。
【0047】
また、ショーケースにおいて、設定値管理部41で管理している設定データは、キースイッチの操作により、設定値管理部41から表示器制御部43に送られ、表示器制御部43が表示器に表示する。また、同様に、ケースデータ管理部46で管理しているケースデータは、キースイッチの操作により、ケースデータ管理部46から表示器制御部43に送られ、表示器制御部43が表示器に表示する。
【0048】
また、ショーケース3の温度は、温調制御管理部42において制御する。具体的には、設定値管理部41が管理している設定値とショーケース3の各部位に設置した温度センサの計測値とを参照して電磁弁やファンを制御することにより、ショーケース3の庫内温度を適正に制御する。
【0049】
そして、温調制御管理部42が参照したショーケース3の各部位に設置した温度センサの計測値は、ケースデータ管理部46に受け渡され、RAM上で管理される。
【0050】
また、ショーケース3において、下位通信部45は、設定値管理部41を参照し、図2に示すように、動作モードが親機に設定されている場合は、通常子機および子機に設定してあるショーケース3に対してケースデータの問い合わせを定周期に行う。そして、下位通信部45が子機に設定してあるショーケース3から収集したデータは、ケースデータ管理部46に渡され、RAM上で管理される。
【0051】
集中管理コントローラ1からショーケース3に対してケースデータの問い合わせを行う場合には、集中管理コントローラ1がケースデータの問い合わせコマンドを送信する。動作モードが親機に設定してあるショーケース3がケースデータの問い合わせコマンドを受信すると、上位通信部44は、ケースデータ管理部46が管理しているデータを応答として集中管理コントローラ1に送信する。
【0052】
集中管理コントローラ1からショーケース3に対して制御指示、設定指示を行う場合には、集中管理コントローラ1が制御指示コマンド、設定指示コマンドを送信する。
【0053】
動作モードを親機に設定してあるショーケース3が自局番(自身)に対する制御指示コマンド、設定指示コマンドを受信した場合は、制御指示を温調制御管理部42に送り、設定指示を設定値管理部41に送る。そして、温調制御管理部42が制御指示(たとえば、強制除霜)を受けた場合は、直ちに制御状態を変更する。また、設定値管理部41が設定指示を受けた場合は、設定値の整合を確認した上で、FLASH−ROMなどの不揮発メモリに設定値を保存する。
【0054】
一方、動作モードを親機に設定してあるショーケース3が通常子機または子機に対する制御指示コマンド、設定指示コマンドを受信した場合は、下位通信部45に設定指示、制御指示を送り、下位通信部45にコマンドの発行を依頼する。下位通信部45は、設定指示コマンド、制御指示コマンドを発行し、通常子機または子機に設定してあるショーケース3に設定指示コマンド、制御指示コマンドを送信する。
【0055】
動作モードを通常子機または子機に設定してあるショーケース3が自局番(自身)に対する制御指示コマンド、設定指示コマンドを受信した場合は、制御指示を温調制御管理部42に送り、設定指示を設定値管理部41に送る。そして、温調制御管理部42が制御指示(たとえば、強制除霜)を受けた場合は、ただちに制御状態を変更する。また、設定値管理部41が設定指示を受けた場合は、設定値の整合を確認した上で、FLASH−ROMなどの不揮発メモリに設定値を保存する。
【0056】
一方、集中管理コントローラ1からケースデータの問い合わせを行っても動作モードが親機に設定してあるショーケース3から応答がない場合には、動作モードが親機に設定したショーケース3が故障や電源オフにより、集中管理コントローラ1が接続された通信網WNから遮断されたと判断する。そして、集中管理コントローラ1は、動作モードが通常子機に設定してあるショーケース3を親機として取り扱い、ケースデータの問い合わせを行うことになる。
【0057】
上述した本発明の実施の形態であるショーケース3の制御装置4を構成する温調制御管理部42は、設定値管理部41が管理している設定値とショーケース3の各部位に設置した温度センサの計測値を参照して電磁弁を制御することにより、ショーケース3の庫内温度を適正に制御する。また、表示器制御部43は、キースイッチからの動作モード設定操作を受け付け、設定値管理部41の動作モードを親機、通常子機、子機のいずれかに設定する。そして、設定値管理部41の動作モードが親機に設定してある場合に上位通信部44が集中管理コントローラ1からの要求に応答する一方、設定値管理部41の親子設定が通常子機および子機に設定してあるショーケース3からの応答を要求する。また、設定値管理部41の動作モードが子機に設定してある場合に、設定値管理部41の親子設定が親に設定してあるショーケース3からの要求に応答する。したがって、運転系列ごとに一台のショーケース3を親機に設定するとともに他のショーケース3を子機に設定すれば、集中管理コントローラ1とショーケース3、ショーケース3とショーケース3の順に、渡り配線する必要がない。また、集中管理コントローラ1とショーケース3との間における通信帯域を確保するために、中継器を設置する必要もない。また、親機に設定したショーケース3に系列制御用の制御管理ユニットを搭載する必要もない。これにより、ショーケースシステムの構築に要するコストを抑制できる。
【0058】
つぎに、図5に基づいて、動作モードを通常子機に設定したショーケースの状態遷移例を具体的に説明する。なお、図5は、動作モードを通常子機に設定したショーケースの状態遷移例を示す図である。
【0059】
動作モードを通常子機に設定したショーケース3は、電源投入後直ちに子機状態となる。子機状態は、動作モードを子機に設定したショーケース3と同様に、動作モードを親機に設定したショーケース2からコマンドが送信されるのを待つ。そして、動作モードを親機に設定したショーケース2からコマンドを受信した場合は、コマンドに対応した処理を実行し、動作モードを親機に設定したショーケース3に応答を返信する。なお、子機状態では、動作モードを親機に設定したショーケース3との混在を避けるため、集中管理コントローラ1との通信を無応答状態とする。
【0060】
一方、集中管理コントローラ1において、動作モードを親機に設定したショーケース3との通信の遮断を検知した場合は、動作モードを親機に設定したショーケース3が動作不良、あるいは電源オフ状態であると判断し、集中管理コントローラ1が動作モードを通常子機に設定したショーケース3に状態切替指示のコマンドを送信する。これを受けて、動作モードを通常子機に設定したショーケース3は、子機状態から親機状態に状態を移行させる。
【0061】
動作モードを通常子機に設定したショーケース3が子機状態から親機状態に切り替わると、動作モードを親機に設定したショーケース3と同様に、集中管理コントローラ1からコマンドが送信されるのを待つ。そして、集中管理コントローラ1からコマンドを受信した場合は、コマンドに対応した処理を実行し、集中管理コントローラ1に応答を返信する。
【0062】
一方、集中管理コントローラ1において、親機の混在を検知した場合は、動作モードを親機に設定したショーケース3がショーケースシステムに復帰したと判断し、集中管理コントローラ1が動作モードを通常子機に設定したショーケース3に状態切替指示のコマンドを送信する。これを受けて、動作モードを通常子機に設定したショーケース3は、親機状態から子機状態の状態を移行させる。
【0063】
なお、集中管理コントローラ1におけるショーケース3の脱落判定時間は、監視時間にケースデータを収集する時間を加えた時間よりも大きく設定する。これは、ショーケースシステムの復旧時にショーケース3が脱落してしまうのを防ぐためである。
【0064】
また、ショーケースシステムは、グループ単位で管理し、動作モードを通常子機に設定したショーケース3が動作モードを親機に設定したショーケース3からの通信が一定時間(監視時間)途絶えた場合に、動作モードを通常子機に設定したショーケース3を子機状態から親機状態に状態を移行させてもよい。この場合には、動作モードを子機に設定したショーケース3との通信で異常が発生し、通信が一定時間(監視時間)回復しないことを条件に、動作モードを通常子機に設定したショーケース3を親機状態から子機状態にさせる。
【0065】
つぎに、図6に基づいて、ショーケースシステムの状態遷移例を具体的に説明する。なお、図6は、ショーケースシステムの状態遷移例を示す図である。
【0066】
図6に示す状態遷移例では、親アドレス1,子アドレス1のショーケース3の動作モードを親機に設定し、親アドレス1,子アドレス10のショーケース3の動作モードを通常子機に設定している。また、これら以外のショーケース3の動作モードを子機に設定している。
【0067】
この例において、ショーケースシステムを起動すると、動作モードを親機に設定したショーケース(親アドレス1,子アドレス1のショーケース)3が正常動作するため、動作モードを通常子機に設定したショーケース(親アドレス1,子アドレス10のショーケース)3は子機状態で正常動作する。
【0068】
この状態から動作モードを親機に設定したショーケース(親アドレス1,子アドレス1のショーケース)3が動作不良あるいは電源オフ状態に移行すると、動作モードを親機に設定したショーケース(親アドレス1,子アドレス1のショーケース)3は、ショーケースシステムから脱落し、動作モードを通常子機(親アドレス1,子アドレス10のショーケース)3は子機状態から親機状態に移行する。
【0069】
その後、動作モードを親機に設定したショーケース(親アドレス1,子アドレス1のショーケース)3が故障から回復し、あるいは電源オフ状態から電源オン状態に移行すると、動作モードを親機に設定したショーケース(親アドレス1,子アドレス1のショーケース)3が親機状態となり、動作モードを通常子機に設定したショーケース(親アドレス1,子アドレス10のショーケース)が親機状態から子機状態に移行する。
【0070】
上述した本発明の実施の形態であるショーケースシステムは、グループG1,G2・・・ごとに親機に設定したショーケース3と異なる一台のショーケース3を通常子機に設定し、通常子機に設定したショーケース3を集中管理コントローラ1が接続された通信網WNに接続し、集中管理コントローラ1が接続された通信網WNから親機に設定したショーケース3が遮断された場合に通常子機に設定したショーケース3にグループに含まれるショーケース3を管理させるので、親機に設定してあるショーケース3が故障した場合にもグループに含まれるショーケース3を引き続き管理できる。
【0071】
また、本発明の実施の形態であるショーケースの制御装置4は、設定されたデータに基づいてショーケース3を制御するとともに、ショーケース3を親機、子機、通常子機のいずれか一つに設定可能であって、ショーケース3を親機に設定した場合に子機および通常子機に設定したショーケース3を管理するとともに、集中管理コントローラ1からの要求に応答し、ショーケース3を子機に設定した場合に親機に設定したショーケース3からの要求に応答する一方、ショーケース3を通常子機に設定した場合に、親機に設定したショーケース3からの要求に応答する一方、集中管理コントローラ1からの要求により、子機に設定したショーケースを管理するとともに、集中管理コントローラ1からの要求に応答するので、親機に設定してあるショーケース3が故障した場合にもグループに含まれるショーケース3を引き続き管理できる。
【符号の説明】
【0072】
1 集中管理コントローラ
2 冷凍機
3 ショーケース
4 制御装置
41 設定値管理部
42 温調制御管理部
43 表示器制御部
44 上位通信部
45 下位通信部
46 ケースデータ管理部
G1,G2 グループ
LN 通信網
WN 通信網

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数台のショーケースを複数のグループに分け、グループごとに一つの通信網を構成するとともに、グループごとに一台のショーケースを親機に設定し、親機に設定したショーケースにグループに含まれるショーケースを管理させる一方、親機に設定したショーケースを集中管理コントローラが接続された通信網に接続し、集中管理コントローラに複数台のショーケースを統括的に管理させるショーケースシステムにおいて、
前記グループごとに親機に設定したショーケースと異なる一台のショーケースを通常子機に設定し、通常子機に設定したショーケースを前記集中管理コントローラが接続された通信網に接続し、前記集中管理コントローラが接続された通信網から前記親機に設定したショーケースが遮断された場合に通常子機に設定したショーケースにグループに含まれるショーケースを管理させることを特徴とするショーケースシステム。
【請求項2】
前記親機に設定したショーケースが前記集中管理コントローラが接続された通信網から遮断された後に再接続された場合には、前記通常子機に設定したショーケースに代えて前記親機に設定したショーケースにグループに含まれるショーケースを管理させることを特徴とする請求項1に記載のショーケースシステム。
【請求項3】
集中管理コントローラとともに、ショーケースシステムを構築するショーケースの制御装置において、
設定されたデータに基づいてショーケースを制御するとともに、ショーケースを親機、子機、通常子機のいずれか一つに設定可能であって、
ショーケースを親機に設定した場合に子機および通常子機に設定したショーケースを管理するとともに、前記集中管理コントローラからの要求に応答し、
ショーケースを子機に設定した場合に親機に設定したショーケースからの要求に応答する一方、
通常子機に設定した場合に、親機に設定したショーケースからの要求に応答する一方、前記集中管理コントローラからの要求により、子機に設定したショーケースを管理するとともに、前記集中管理コントローラからの要求に応答することを特徴とするショーケースの制御装置。
【請求項4】
親機、子機、通常子機のいずれか一つに設定する設定部と、
前記設定部から設定された親機、子機、通常子機の別を管理する設定管理部と
を備え、
前記設定管理部が親機の場合には、前記設定管理部が子機または通常子機であるショーケースを管理するとともに、前記集中管理コントローラからの要求に応答し、
前記設定管理部が子機の場合には、前記設定管理部が親機であるショーケースからの要求に応答する一方、
前記設定管理部が通常子機の場合には、前記設定管理部が親機であるショーケースからの要求に応答する一方、前記集中管理コントローラからの要求により、前記設定管理部が子機であるショーケースを管理するとともに、前記集中管理コントローラからの要求に応答することを特徴とするショーケースの制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−13033(P2013−13033A)
【公開日】平成25年1月17日(2013.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−146059(P2011−146059)
【出願日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【出願人】(000005234)富士電機株式会社 (3,146)
【Fターム(参考)】