説明

ショーケース装置

【課題】食品を高温多湿の状態で展示・販売する際に好適であって、顧客に対して購買意欲をより高めさせることができるショーケース装置を提供する。
【解決手段】ショーケース装置1は、シャフト30のまわりに回転可能な角筒状のハウジング2を有する。ハウジング2は、食品を展示する陳列室11を含む上部分10と、陳列室11へ加熱蒸気を供給するための貯水部21であって、周壁21aが円形状の貯水部21を含む下部分20とを備える。上部分10および下部分20が一体で回転する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンビニエンスストアなどで中華まんなどの食品を外部よりも加温および保湿された状態で展示・販売する際に好適なショーケース装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1および2には、上面が開放された方形ボックス状のベースと、その上面に下端部が嵌合されて支持されたケース本体と、このケース本体の上面を覆う天板とを備えた、ボックス状の蒸気式食品加熱装置が開示されている。
【特許文献1】特開2003−70603号公報
【特許文献2】特開2003−70642号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
コンビニエンスストアなどの店舗において、中華まんなどの温かくしっとりとした食品を外部よりも加温および保湿(加湿)された状態で展示・販売する際、従来、例えば、特許文献1および2のような装置が用いられている。これに対し、近年、中華まんなどの加温および加湿された状態あるいは高温多湿の状態で展示・販売する食品を、さらに、顧客に購買意欲を起こさせるように展示できるショーケース装置が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の一態様は、食品を加温加湿(高温多湿)の状態で展示可能なショーケース装置である。このショーケース装置は、鉛直または垂直方向に延びた中心軸の回りに回転可能な角筒状のハウジングを有する。このショーケース装置において、ハウジングは、食品を展示する陳列室を含む上部分と、陳列室へ加熱蒸気を供給するための貯水部であって、周壁が円形状の貯水部を含む下部分とを備えており、上部分および下部分が一体で回転する。
【0005】
このショーケース装置は、陳列室へ加熱蒸気を供給する貯水部を備えているため、食品を加温加湿(高温多湿)の状態で展示することが可能である。このため、このショーケース装置は、例えば、中華まんなどの、加温および保湿(加湿)された状態で販売されることが好ましい食品を、コンビニエンスストアなどの店舗において展示・販売するのに適している。
【0006】
また、このショーケース装置によれば、断面が多角形の角筒状のハウジングが中心軸の回りに回転する。ハウジングを中心軸の回りに回転させることにより、顧客は、ショーケース装置(陳列室内)に展示されている各種の食品を、ハウジングの回転に応じて次々と視認できる。したがって、顧客は、ショーケース装置に展示されている食品を楽しみながら選択することができる。また、ハウジングが中心軸のまわりに回転することにより、ショーケース装置に展示されている食品に顧客の注目を集め、顧客に対して購買意欲をより高めさせる効果が得られる可能性がある。特に、角筒状のハウジングは、回転により顧客に面する角度が次々と変わるので、回転していることを認識させやすい。また、ハウジングの側面は湾曲していないので、顧客はハウジングの側壁を通して内部に展示している商品を見やすい。
【0007】
また、このショーケース装置は、角筒状のハウジングが回転するが、内部の蒸気は漏れにくく、また、内部の水の跳ね上げなどの少ない構成になっている。
【0008】
まず、このショーケース装置によれば、陳列室を含む上部分と貯水部を含む下部分とが一体で回転する。このため、上部分と下部分との間を気密および液密に保つことが容易であり、陳列室を多湿の状態に容易に維持することができる。すなわち、陳列室を含む上部分のみが回転し、貯水部を含む下部分は回転しないような構成とすると、上部分と下部分との間を気密および液密に保つことが難しくなる。不用意に蒸気が漏れたり、蒸気が漏れ続けると、陳列室を多湿の状態に維持することが難しくなったり、漏れた蒸気が結露し、不衛生な印象を与えたり、店舗内のエアコンの負荷になる可能性があるが、ハウジングの上部分と下部分とを一体で回転させることにより、そのような問題の発生を抑制できる。
【0009】
次に、このショーケース装置によれば、ハウジングは角筒状で断面が多角形であるが、貯水部の周壁が円形状である。このため、展示している商品を出し入れするため、あるいは顧客が展示している特定の商品を見たいがためにハウジングの回転を急激に停止したとしても、貯水部に溜められている水(湯)は、慣性により周壁に沿って回転するだけで、周壁にぶつかって跳ね上がり、展示室を濡らしたり、展示されている商品を濡らしたりすることはほとんどない。また、水(湯)が貯水部からこぼれ出にくい。すなわち、ハウジングの上部分と下部分とが一体で回転するので、貯水部はハウジングに伴って回転する。このため、貯水部の外形(平面視、横断面形状)がハウジングの外形(平面視、横断面形状)と同様に多角形状であると、回転が停止したときに、貯水部に溜められている水(湯)は、慣性により貯水部の周壁にぶつかり、跳ね上がったり、貯水部からこぼれ出るおそれがある。貯水部の周壁を円形状にすることにより、そのような問題を抑制できる。貯水部は、周壁が円形状であれば、円筒状であっても、リング状(円環状)であってもよい。
【0010】
また、このショーケース装置において、上部分の天井部分は、陳列室内と外界とを繋ぐ連通路と、連通路を開閉可能なダンパとを含むことが好ましい。陳列室内は高温多湿の状態であるため、ダンパを開くことにより、連通路を介して外界に蒸気を意図的に出すことができ、顧客に展示されている商品に注目させ販売促進に役立てることができる。
【0011】
さらに、このショーケース装置において、ハウジングの平面視は正多角形であることが好ましい。ハウジングが回転したときに、見栄えがよい。また、ハウジングの平面視が正多角形である場合、平面視が正多角形の陳列室の複数の側壁は透明であり、複数の側壁の少なくとも1つは、陳列室にアクセスするための扉となっていることが好ましい。陳列室の複数の側壁が透明であるため、どの方向からでも、あるいは、ハウジングが回転しても常に、陳列室内の食品が見やすい。角筒状のハウジングのそれぞれの側壁を角筒状の陳列室のそれぞれの区画にアクセスするための扉とすることが可能である。また、角筒状のハウジングは平板状の扉を採用できるので、戸当たりを設けて密着性を高めるなどの方法により、蒸気漏れの少ない扉にすることが容易である。また、ハウジングを角筒状とすると、側面の少なくとも一部に広告面を設けることも可能である。
【0012】
このショーケース装置において、複数の側壁の少なくとも1つに、陳列室にアクセスするための扉を設ける場合、扉を開けると、上部分および下部分の回転が停止するようにすることが好ましい。このショーケース装置は急激に回転を停止しても、貯水部から水(湯)が跳ね上がったりすることはなく、扉の操作に連動してハウジングの回転を停止できる。
【0013】
また、このショーケース装置において、ハウジングは角筒状なので、上部分の天井部分の側面および下部分側面の少なくとも一部は、平面であり、広告面とすることが容易である。顧客に対し、展示・販売されている食品の情報、例えば、種類、値段、写真、セールスポイント、こだわりなどを知らせることができる。
【0014】
このショーケース装置においては、ハウジングは、手動で回転させても、自動で回転させてもよい。自動で回転させる場合、例えば、下部分に、上部分および下部分を中心軸のまわりに回転させるためのモータを設置できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、図面を参照して、本発明の一実施形態について説明する。図1は、本発明の一実施形態にかかるショーケース装置を斜視図により示している。図2は、図1のショーケース装置を平面図(上面図)により示している。図3は、図1のショーケース装置を正面図により示している。図4は、図2中のIV-IV線に沿って切断した断面図を示している。図5は、図3中のV−V線に沿って切断した断面図を示している。図6は、図3中のVI−VI線に沿って切断した断面図を示している。なお、図1中の符号P1は顧客を示しており、符号P2は店員を示している。
【0016】
本例のショーケース装置1は卓上型のショーケースであって、コンビニエンスストアなどの店舗のカウンタに設置して使用できるようになっている。ショーケース装置1は、中華まんなどの温かくしっとりとした状態で販売することが望ましい、調理済みの食品100を、外部よりも加温および保湿(加湿)された状態で展示(陳列)および販売するのに好適な装置あるいはユニットである。このショーケース装置(中華まん陳列販売装置、中華まんタワー)1は、中華まんを陳列するショーケースとしての機能と、中華まんを温かく、蒸した状態で、乾燥させないで保存(収納)する機能とを兼ね備えている。
【0017】
このショーケース装置1の内部の典型的な構成は図4に特に詳しく示している。このショーケース装置1は、食品(本例では中華まん)100を高温多湿の状態で展示可能な角筒状のハウジング(筐体)2と、それをカウンタ9の上に支持するためのベース(ベース部分)3とを備えている。
【0018】
ハウジング2は、食品100を陳列(展示)する陳列室11を含む上部分10と、陳列室11へ加熱蒸気を供給するための貯水部21およびこの貯水部21に溜められた水を温める加熱手段(例えばヒータ)22を含む下部分20とを備えている。上部分10の陳列室11と、下部分20の貯水部21とは上下に隣接して配置され、さらにこれら陳列室11と貯水部21とは連通している。すなわち、陳列室11の下端は開放され、貯水部21の上端につながり、この部分では上部分10の外周と下部分20の外周とは連続した状態でつながり、上部分10と下部分20とは機械的にも連結されている。したがって、ハウジング2の上部分10と下部分20とは一体となって、ベース3の上で鉛直方向に伸びるシャフト30の中心軸Lを中心に旋回する。
【0019】
ハウジング2とベース3とはシャフト30を介して接続されており、ハウジング2の下部分20には、シャフト30の回りにハウジング2を旋回駆動するための第1のギア31と、第2のギア41と、モータシャフト40aを介して第2のギア41を駆動するためのモータ40が設けられている。モータ40を回転させることにより、シャフト30に動力が伝わり、ハウジング2はベース3に対し、上部分10および下部分20が一体となって、シャフト30を中心として自動的に回転する。
【0020】
本例のハウジング2は、平面視(断面)が正六角形の角筒状のハウジングであり、上部分10および下部分20も、それぞれ、平面視が正六角形である。平面視が正六角形の角筒状のハウジング2は、従来のボックス状(直方体状)のハウジングと比べて、デザインが斬新であり、顧客P1の注目を集める効果を期待できる。ハウジング2は、平面視(断面)が三角形、四角形、八角形などであってもよく、扁平な多角形であってもよい。これらの形状を備えた角筒状のハウジング2は、卓上で旋回すると正面あるいは側面から見た形状が変化したり、光の反射が変化するので、円筒状のハウジングに比較して回転していることがよくわかり、目立つ。したがって、角筒状のハウジング2を採用することにより顧客の注意を引きやすいショーケース装置1を提供できる。
【0021】
図3などに示すように、ハウジング2の陳列室11を覆う複数の側壁(本例では6つの側壁)、すなわち、陳列室11の6つの側壁50のそれぞれは、二重のガラス板またはアクリル板など全体が透明の扉51となっている。したがって、どの方向からでも、あるいは、ハウジング2が回転しても常に、側壁50を介して陳列室11内の食品100が外部から見えるようになっている。また、これらの側壁50は、角筒のハウジング2の各側方の平面を成し、ハウジング2は回転するので、いずれの方向にいる顧客P1に対しても側壁50が定期的に視線に対して垂直な見やすい位置になり、また、視線に対して傾き反射などにより見にくい位置になる。円筒のハウジングのように側面が湾曲していないので、顧客P1に対して、いずれかの角度で陳列室11に展示している商品が見やすくなる。また、定期的に内部の商品が見やすくなったり、見づらくなったりするので、顧客P1の興味を引きやすい。
【0022】
また、6つの側壁50のすべてが、それぞれ、陳列室11にアクセスするための扉51となっている。すべての側壁50が扉51となっていなくてもよく、たとえば、扉51となる側壁50を、対向する2つの側壁、3方の3つの側壁などに限定してもよい。陳列室11にアクセスするためには、複数の側壁50の少なくとも1つは扉51であることが望ましい。陳列室11のコーナーにはハウジング2の構造部材と、戸当たりとを兼ねたフレーム59が配置されている。それぞれの扉51は、平板状のドアとなるので、縦のフレーム59および上下の水平に延びたフレーム(不図示)との密着性を向上でき、断熱性および密封性の高い陳列室11にすることができる。熱膨張・収縮により扉51が伸び縮みしても、平板状の扉51は歪みにくく、円筒のように湾曲した扉と異なり、フレーム59との密着性を確保しやすい。フレーム59または扉51の側に適当な素材によるパッキンを設けてもよい。
【0023】
図4に示すように、それぞれの扉51には、扉51が開いたことを検知(感知)するセンサ52が取り付けられている。また、シャフト30に取り付けられている第1のギア31の近傍には、ストッパ53が設けられている。センサ52により扉51が開いたことが検知されると、モータ40を停止するとともにストッパ53により第1のギア31の動きを止めたり、ブレーキをかけることにより、上部分10および下部分20の回転(ハウジング2の回転)を急激に停止させることができるようになっている。したがって、顧客P1および/または店員P2は、所望の食品に最も近い扉51が回転して手元に来たら、その扉51を開けるだけでハウジング2の回転は止まり、手元の扉51から陳列室11の所望の食品を取り出すことができる。
【0024】
図1および図4に示すように、陳列室11内には、シャフト30の延長線上、すなわち、回転軸Lと同軸上に、ポール(支柱)16が設けられており、このポール16に、水平方向に広がる棚17が複数段(本例では3段)取り付けられている。また、図5に示すように、陳列室11は横断面形状が正六角形状であり、図6に示すように、貯水部21は横断面形状が円形状である。すなわち、貯水部21は、周壁21aが円形状(円筒状)となっている。また、図4などに示すように、本例の貯水部21は、シャフト30を延長してなる軸(シャフト30と同軸の鉛直軸)Lを中心として、リング状(円環状)の空間となっている。貯水部21に貯められた水25は、ハウジング2の回転とともに回転するが、ハウジング2の回転が急停止しても、側壁21aに沿って流れる。このため、水25が跳ねて、上の陳列室11に飛び散ったり、陳列されている商品に水がかかったりする恐れはない。
【0025】
ヒータ22は、貯水部21の下側(床下)に設けられており、貯水部21に貯水された水を加熱して蒸気を発生させ、陳列室11に加熱された蒸気を供給し、陳列室11を加温加湿(高温多湿)の状態にする。
【0026】
図4などに示すように、上部分10は、陳列室11の上方に設けられた天井部分12を含んでいる。上部分10の天井部分12には、陳列室11内と外界とを繋ぐ連通路13と、この連通路13を開閉可能なダンパ14とが設けられている。本例では、ダンパ14は、所定の時間間隔で開いて蒸気26を放出でき、一定時間開いた後、再び閉じるようになっている。なお、ダンパ14は、顧客P1や店員P2が、ハウジング2に設けられたボタンなどを押すことにより、所望のときに開閉して蒸気26を放出するようになっていてもよい。また、天井部分12内には、陳列室11内を照らす照明装置(ライト)18が設けられている。
【0027】
さらに、図1および図3などに示すように、上部分10の天井部分12の側面は、広告面15となっている。これら広告面15には、展示・販売されている食品100の情報、例えば、種類、値段、写真、セールスポイント、こだわりなどが記載されている。下部分20の側面も上部分10の天井部分12の側面と同様に広告面15にすることができる。この角筒状の陳列室11は、従来と異なる商品の陳列方法を提供できる。すなわち、従来の中華まんのショーケースでは、上下に配置された棚の単位で異なる種類の中華まんを配置しており、顧客P1の目の高さにより注目しやすい種類が限られていた。一方、角筒状の陳列室11においては、上下に異なる種類の中華まんを配置してもよいが、各側壁50から見やすい位置に周方向に分けて異なる種類の中華まんを配置してもよく、同じ側面の広告面15とその下の陳列室11の部分に展示されている商品とを一致させることによる広告宣伝効果を得ることが可能となる。すなわち、六角形の角筒状の陳列室11であれば、周方向では最大6方向に分けて商品を展示でき、顧客P1は所望の商品が展示されている側面を指摘でき、店員P2は指摘された側面の扉51を開くことにより、顧客P1が望む商品を取り出すことができる。このショーケース装置1においては、さらに、上下の棚17と周方向とに分けて陳列室11に商品を展示することにより、多品種の商品を顧客P1に見やすい状態で展示でき、さらに、顧客P1の要望する商品を店員P2が容易に、間違いなく取り出すことができる。
【0028】
このショーケース装置1では、上述のように、陳列室11と連通している貯水部21に溜められた水25がヒータ22により温められ、下方より陳列室11内に加熱蒸気が供給される。このため、陳列室11内は、外界よりも温度および相対湿度が高い状態に保たれ、食品100を高温多湿の状態、特に、中華まんなどを蒸した状態で展示することが可能である。したがって、ショーケース装置1は、中華まんのような蒸したり、高温多湿の状態にして販売する食品100を、調理した状態で(冷まさず、乾かさず)展示・販売することができる。
【0029】
また、このショーケース装置1は、モータ40を駆動させることにより、角筒状のハウジング2が中心軸Lのまわりを回転する。このため、顧客P1は、ハウジング2に対してどの位置にいても、ショーケース装置1(陳列室11内)に展示されているすべての食品100を、その場で、しかも、あらゆる角度から視認することができる。したがって、顧客P1は、ショーケース装置1に展示されている食品100を楽しみながら選択することができる。また、ショーケース装置1に展示されている食品100に気づいていない顧客P1や興味があまりなかった顧客P1であっても、角筒状のハウジング2が回転することにより、ショーケース装置1に注目する可能性が高まる。このように、このショーケース装置1は、顧客P1に対して購買意欲をより高めさせる効果がある。
【0030】
このショーケース装置1では、陳列室11を含む上部分10と貯水部21を含む下部分20とが一体で回転する。このため、ハウジング2を回転させても、上部分10と下部分20との間を気密および液密に保つことが容易であり、陳列室11を多湿の状態に容易に維持することができる。さらに、蒸気がハウジング2の途中から漏れて吹き出したり、ハウジング2の外側で結露したり、ショーケース装置1が設置されているカウンタ9に液滴が付いたり、ドレンが流れるような事態を防止できる。したがって、ショーケース装置1は、安全で、清潔感のあるイメージを与える。しかも、このショーケース装置1では、貯水部21の周壁21aが円形状であるため、種々の理由によりハウジング2の回転が急停止しても、貯水部21に溜められている水(湯)は、慣性により周壁21aに沿って回転するだけで、周壁21aにぶつかって跳ね上がるようなことはほとんどない。したがって、ハウジング2を回転させても、水(湯)が貯水部21から陳列室11にこぼれ出たり、商品にかかったりしにくい。
【0031】
一方、このショーケース装置1では、陳列室11内は高温多湿の状態であるため、ダンパ14を開くことにより、連通路13を介して、ハウジング2の天井から外界に蒸気26を意図的に出すことができる。顧客P1は、外界に噴き出した蒸気26を見ることにより、このショーケース装置1に展示・販売されている食品100に興味を持つ可能性が高くなる。また、外界に噴き出した蒸気により、顧客P1に対して、食品の出来たて感をアピールする効果なども期待できる。連通路13だけを設けて、蒸気を常に外界に放出してもよいが、ダンパ14を設けて、必要なときにのみ、あるいは意図的に連通路13が開くことで、エネルギーロスが小さくでき、しかも、顧客P1の目を引きやすいショーケース装置1を提供できる。さらに、蒸気が結露してハウジング2の外観を損なうことも抑制できる。
【0032】
以上のように、このショーケース装置1によれば、食品100を外部よりも加温および保湿された状態で展示できるため、例えば、中華まんなどの、加温および保湿された状態で保持されることが好ましい食品100を、コンビニエンスストアなどの店舗において展示・販売するのに適している。
【0033】
なお、本例では、平面視が正六多角形の角筒状のハウジング2を用いたが、ハウジング2は、平面視が正六多角形の角筒状に限定されるものではない。ハウジング2は、角筒状であればよく、例えば、直方体状も含まれる。中でも、ハウジング2は、平面視が正多角形(例えば、正三角形、正四角形(正方形)、正五角形、正六角形、正八角形など)の角筒状とすることが好ましい。平面視が正多角形の角筒状のハウジング2は、平面視が対称形であるため、回転したときに見栄えがよい。また、平面視が正六角形や正八角形の角筒状のハウジング2は、従来のボックス状(直方体状)のハウジングと比べて、デザインが斬新であり、顧客P1の注目を集める効果をより期待でき、しかも、香港や中華街をイメージさせるような概観のショーケース装置1とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明の一実施形態にかかるショーケース装置を示す斜視図。
【図2】図1のショーケース装置を示す平面図。
【図3】図1のショーケース装置を示す正面図。
【図4】図2中のIV−IV線に沿って切断して示す断面図。
【図5】図3中のV−V線に沿って切断して示す断面図。
【図6】図3中のVI−VI線に沿って切断して示す断面図。
【符号の説明】
【0035】
1 ショーケース装置1、 2 ハウジング
10 上部分、 11 陳列室
12 天井部分、 13 連通路
14 ダンパ、 15 広告面
20 下部分、 21 貯水部
21a 貯水部の周壁、 40 モータ
50 ハウジングの側壁、 51 扉

【特許請求の範囲】
【請求項1】
食品を加温加湿の状態で展示可能なショーケース装置であって、
中心軸の回りに回転可能な角筒状のハウジングを有し、
前記ハウジングは、
食品を展示する陳列室を含む上部分と、
前記陳列室へ加熱蒸気を供給するための貯水部であって、周壁が円形状の貯水部を含む下部分とを備えており、
前記上部分および前記下部分が一体で回転する、ショーケース装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記上部分の天井部分は、
前記陳列室内と外界とを繋ぐ連通路と、
前記連通路を開閉可能なダンパとを含む、ショーケース装置。
【請求項3】
請求項1または2において、前記ハウジングの平面視は正多角形であり、
平面視が正多角形の前記陳列室の複数の側壁は透明であり、前記複数の側壁の少なくとも1つは、前記陳列室にアクセスするための扉となっている、ショーケース装置。
【請求項4】
請求項3において、前記扉を開けると、前記上部分および前記下部分の回転が停止する、ショーケース装置。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれかにおいて、前記上部分の天井部分の側面および前記下部分側面の少なくとも一部は、広告面となっている、ショーケース装置。
【請求項6】
請求項1ないし5のいずれかにおいて、前記下部分は、前記上部分および前記下部分を前記中心軸のまわりに回転させるためのモータを含む、ショーケース装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−46286(P2010−46286A)
【公開日】平成22年3月4日(2010.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−213279(P2008−213279)
【出願日】平成20年8月21日(2008.8.21)
【出願人】(591150797)GAC株式会社 (69)
【Fターム(参考)】