説明

シートディスペンサー付き筆記用具

(a)向かい合う第1及び第2の末端部を有する本体と、(b)第1の末端部から延びる第1のマーキング要素と、(c)第2の末端部から延びる第2のマーキング要素と、(d)第1の末端部と第2の末端部との間の本体に結合される少なくとも1つのシートディスペンサーと、を含む、筆記用具。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照及び優先権主張)
本出願は、2008年12月24日出願の米国仮特許出願第61/140,668号の優先権を主張する。
【0002】
(発明の分野)
本発明は筆記用具に関し、特に、本体内のシートディスペンサー、及び2つのマーキング要素を内蔵する筆記用具に関する。
【背景技術】
【0003】
3M Companyは、消費者及び事務職員が、自分が有する情報を伝達し、体系化し、かつ管理するのを助けるための幅広い種類の製品及びサービスを紹介してきた。例えば、ポストイット(登録商標)フラッグは、書類、雑誌、本等の特定領域にマーキングを付けるのに非常に有用であることが証明されている。広くは、フラッグ(「インデックス」とも呼ばれる)は、第1及び第2の端部と、第1及び第2の互いに反対方向を向く主表面とを有するポリマー又は紙をベースとした材料である。フラッグは、その第1又は第2の主表面の第1又は第2の部分の一方に再付着性接着剤を含む。ポリマーのフラッグでは、第1の部分は典型的には透明であり、概ね鮮やかな色である第2の部分より寸法が大きい。複数のフラッグは、交互のフラッグの再付着性接着剤が積み重ね体の交互の端部に位置するように、ファンフォールド(「z状に積み重ねられた」とも呼ばれる)構成で互いに剥離可能なように接着される。
【0004】
フラッグは、ペン及び蛍光ペン等の筆記用具に一体化されてきた。例えば、3M Companyは、ポストイット(登録商標)蛍光ペン及びポストイット(登録商標)ペンを販売している。これら一体化された筆記用具は、ユーザーが至る所でフラッグを容易に使用できるようにするための持ち運びができかつ便利な手段を提供する。ペン及び蛍光ペンに一体化されたフラッグ等のシート材ディスペンサーは、例えば、米国特許第6,719,472号(Windorskiら)、同第7,144,870号(Windorskiら)、及び同第7,322,766号(Erlebacherら)、並びに米国特許公報第2005/0191114号(Smithら)、並びに日本特許出願公開公報第2000025385号及び同第11139081号に記載されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
先の製品は非常に有用である一方で、当業者に対して消費者関連製品の継続した革新の要望が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、用具の本体に一体化されるシートディスペンサーと、2つのマーキング要素とを有する筆記用具に関する。
【0007】
要約すると、本発明の筆記用具は、(a)向かい合う第1及び第2の末端部を有する本体と、(b)第1の末端部から延びる第1のマーキング要素と、(c)第2の末端部から延びる第2のマーキング要素と、(d)第1の末端部と第2の末端部との間の本体に結合される少なくとも1つのシートディスペンサーと、を含む。いくつかの実施形態において、ディスペンサーは、(i)本体の上に配置される基部と、(ii)基部から取り外し可能な(例えば、摺動自在に(slideably)係合可能な)カバーと、を含み、ディスペンサーは、筆記要素の中心線に沿って軸方向に配置される。
【0008】
有利には、1つの代表的な実施形態において、シートディスペンサーの基部及び本体は一体型ユニットとして射出成形される。いくつかの実施形態では、シートディスペンサーは、例えば、取り外し可能なカバーを備えて、現在の積み重ね体が消費された時点でシートの新しい積み重ね体で再充填可能である。
【0009】
本発明の筆記用具は、これまで達成されなかった利便性かつ実用性を提供する。本明細書で提供されるとき、筆記用具の本体上にシートディスペンサーを設けるとは、例えば、筆記用具が使用されている間、この筆記用具を掴んだ状態で、シートを容易に分配及び使用することができることを意味する。シートは、ユーザーが書く方の手で筆記用具を掴んだ状態で、字を書くときに使っていない方の手で容易に分配され得る。シートディスペンサーが取り外し可能なキャップの中に内蔵された従来の用具に伴う困難は、用具の使用中にキャップが取り外されて、ユーザーから少し遠い距離に置かれる又は放置される、ユーザーが位置する領域のすぐ近くの作業中の物又はその他の物でキャップが隠れる、あるいは更にはキャップが紛失する、という不都合であった。
【0010】
図面を参照して本開示をより良く説明することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の例示的な筆記用具の斜視図。
【0012】
この図は本開示を例示的な代表として提示するものであって、限定としてではない。本発明の原理の範囲及び趣旨に含まれる多数の修正及び実施形態が、当業者によって考案され得る。図は理想化されており、一定の縮尺で描かれておらず、単に説明の目的だけを意図している。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本開示は、シートディスペンサーと一体化した筆記用具を提供する。ディスペンサーはコンパクトな設置面積を有するので、通常書く又は仕事をするために使用することができ、及び便利にポケットに入れて運ぶ、引き出し又はポーチに入れる等することができる筆記用具の本体に一体化することができる。
【0014】
図1は本発明の例示的な実施形態を描いており、図中、筆記用具10は、(a)向かい合う第1及び第2の末端部を有する本体20と、(b)第1の末端部から延びる第1のマーキング要素(キャップ40の下に隠れている)と、(c)第2の末端部から延びる第2のマーキング要素(キャップ50の下に隠れている)と、(d)第1の末端部と第2の末端部との間の本体20に結合されるシートディスペンサー60と、を含んでいる。図の実施形態では、キャップ40及びキャップ50は、この用具をポケットの中に固定するために使用することができるクリップを有している。図の実施形態では、シート62は、引き出される、又は分配されかつ使用される準備が整った状態でディスペンサー60から突出して示されている。
【0015】
本体は、好ましくは、使用中にユーザーが筆記用具を把持する把持面を提供する。
【0016】
使用していない時には、第1のマーキング要素及び第2のマーキング要素のそれぞれは、通常は、取り外し可能なキャップによって保護されている。
【0017】
シートディスペンサーは、本体の向かい合う第1の末端部と第2の末端部との間に配置される。いくつかの実施形態では、シートディスペンサーは、本体の中央部分、即ち、向かい合う第1及び第2の末端部から実質的に等距離に位置付けられ、いくつかの実施形態では、必要に応じて、向かい合う末端部の他方よりも一方により近接して位置付けられてもよい。シートディスペンサーは、典型的には、基部と、詰め替えを可能にするように摺動自在に係合するカバーとを有する。シート積み重ね体は、積み重ね体の中の最上位シート62がディスペンサー60から延在するようにディスペンサー60内に配置される。筆記用具は、その長さに及ぶ中心線軸を有する。1つの代表的な実施形態では、シートディスペンサー60は細長く、その最長軸は、筆記用具の中心線軸に平行に位置する。
【0018】
第1及び第2のマーキング要素は、多くの既知のマーキング手段、例えば、クレヨン、顔料(例えば、鉛筆)、インクベースの要素(例えば、ペン)、又は流体ベースの要素(蛍光マーカー等)から選択されてもよい。1つの代表的な実施形態では、第1のマーキング要素及び第2のマーキング要素は共にインクベースである。更なる別の代表的な実施形態では、第1のマーキング要素はインクベースであり、第2のマーキング要素は流体ベースであり、逆もまた同様である。1つの代表的な実施形態では、第1のマーキング要素は乾式消去マーカーであり、第2のマーキング要素はインクベースのペンであり、1つの筆記用具を、ホワイトボードにマークするために使用し、更には手書きメモを取るために使用することも可能になる。別の例示的な実施形態では、第1のマーキング要素は蛍光マーカーであり、第2のマーキング要素はインクベースのペンであり、例えば生徒が1つの筆記用具を、教科書の一部分を強調し、メモを書きとめ、かつディスペンサーから引き出されるシートをフラッグとして使用してページにマークを付けるために使用することが可能になる。
【0019】
ディスペンサー60は、シートの積み重ね体の中の最上位シート62がディスペンサーから延びるための開口部を提供するスロット64を有する。スロット幅は、シートの分配を可能にするのに十分なだけ広い。
【0020】
スロットは、上部の使用可能な表面積の一部分だけを使ってもよく、又は別の例示的な実施形態では、スロットは、ディスペンサーの上部の大部分を使う。そのような実施形態では、カバーの後壁及び側壁は、基部の後壁及び側壁と共に、シートのz状に積み重ねられていない積み重ね体をディスペンサーで使用することができるのに十分な構造をディスペンサーに提供する。z状に積み重ねられていない積み重ね体のシートの積み重ね体の一番下にあるシートは、基部に接着剤で付着されることができる。
【0021】
更に別の実施形態では、筆記用具は、基部だけを有し、カバーは任意的であるシートディスペンサーを含む。そのような用途では、シートの積み重ね体は、基部に貼り合わされることができる。
【0022】
1つの例示的な実施形態では、第1のキャップの末端部から第2のキャップの末端部まで測定した場合の筆記用具の長さは、約150mm〜約160mmである。いくつかの実施形態では、シートディスペンサーの長さは約40〜約50mmである。ディスペンサー、(もしある場合はカバー)スロットの寸法、配置、及び形状は、ディスペンサーの中で使用されるシートに部分的に依存する。例えば、スロットは、破断等がない状態でシートを所望通りに取り出することが可能なだけ十分に大きい必要があり、ディスペンサーは、望ましくない巻き上がり等がない状態で適切な数のシートを貯蔵することが可能なだけ十分に大きい必要がある。
【0023】
広くは、シートの積み重ね体は、第1及び第2の端部と、第1及び第2の反対方向を向く主表面とを有する、ポリマー又は紙をベースとした材料である。それぞれのシートは、その第1の主表面の第1の部分に配置された再付着性接着剤を含む。ポリマーのシートでは、第1の部分は典型的には透明であり、通常鮮やかに着色された第2の部分よりも寸法が大きい。複数のシートは、交互のシートの再付着性接着剤が積み重ね体の交互の端部に位置するように、ファンフォールド(「z状に積み重ねられた」とも呼ばれる)構成で互いに剥離可能なように接着される。本発明で使用され得る例示的なシート及びシートの積み重ね体については、米国特許第4,907,825号(Milesら)及び譲受人の同時継続出願である米国特許出願第11/843,235号(2007年8月22日出願)に開示されている。代表的な1つの実施形態では、シートの積み重ね体は、ディスペンサーの1つの末端部からディスペンサーの反対側の末端部まで往復しない。この場合、シートの積み重ね体の最長寸法は、ディスペンサーの長さより僅かに小さい(例えば、ディスペンサーの長さの約90%〜約95%)だけである。別の実施形態では、シートの積み重ね体は、1つの末端部壁から反対側の末端部壁まで、往復する。この場合、シートの積み重ね体の長さは、ディスペンサーのテンションよりも著しく小さい。シートの積み重ね体の往復は、米国特許第4,907,825号に開示されている。
【0024】
本発明の筆記用具で使用するシートは、紙製のメモシート、フラッグ、又はインデックス等であってもよく、これらの全ては、好ましくは本筆記用具のマーキング要素の少なくとも1つによって書かれるように適合されているのが好ましい。シートは、所望の色のものであってもよく、例えば、情報の整理又は分類に使用するためのロゴ又はエンブレムが予め印刷されていてもよい。いくつかの例示的な例には、「YES」、「NO」、プラス記号、マイナス記号、チェックマーク、ドル記号、クエスチョンマーク、笑っている顔、しかめっ面、星等の記号説明が挙げられる。
【0025】
筆記用具は、典型的にはポリマーであり、したがって射出成形により作製することができる。具体的には、筆記用具の本体(又はその一部分)は、ディスペンサーの基部と共に一体型ユニットであることができ、例えば、これらを一体のユニットとして射出成形することができる。
【0026】
本発明の筆記用具は、所望の場合には、ノート、ホワイトボード等と一緒に用具を保持する又は保管するための手段を更に含んでもよい。例示的な実施例としては、噛み合うフック・ループ式ファスナー、磁気的ファスナー、機械的ファスナー、例えば、スナップ嵌め装置、ストラップ等が挙げられる。
【0027】
いくつかの実施形態では、用具は、例えば、本体の反対側に位置付けられ、略平行配向に配置される1つ以上のディスペンサーを含んでもよい。このような実施形態は、本発明の有用性を高めるために、異なるシート、例えば、異なる色のインデックスフラッグで充填され得る。
【0028】
本発明を添付図面を参照しながら好ましい実施形態について詳細に説明したが、様々な変更及び修正が当業者に明らかであることに留意されたい。そのような変更及び修正は、添付された「特許請求の範囲」によって定められるような本発明の範囲から逸脱しない限り、これに含まれるものと理解すべきである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
筆記用具であって、(a)向かい合う第1及び第2の末端部を有する本体と、(b)前記第1の末端部から延びる第1のマーキング要素と、(c)前記第2の末端部から延びる第2のマーキング要素と、(d)前記第1の末端部と前記第2の末端部との間の前記本体に結合される少なくとも1つのシートディスペンサーと、を含む、筆記用具。
【請求項2】
前記シートディスペンサーが、(i)前記本体の上に配置される基部と、(ii)前記基部に着脱自在に係合可能なカバーと、を含み、前記ディスペンサーが、前記筆記要素の中心線に沿って軸方向に配置される、請求項1に記載の筆記用具。
【請求項3】
前記ディスペンサーの前記基部が、前記本体と一体に形成される、請求項2に記載の筆記用具。
【請求項4】
前記ディスペンサーの前記基部が、(i)実質的に平らなプラットフォームであって、その一部分が前記本体の上に配置される、プラットフォームと、(ii)前記プラットフォームから横方向に延びる後壁及び側壁と、を含む、請求項2に記載の筆記用具。
【請求項5】
前記基部の前記プラットフォームが、前記後壁に対して遠位である露出端部を有し、前記プラットフォームが、その縁部に沿ってサイドチャネルを有する、請求項4に記載の筆記用具。
【請求項6】
前記ディスペンサーの中に配置されるシートの積み重ね体を更に含む、請求項1に記載の筆記用具。
【請求項7】
前記シートの積み重ね体の中の前記シートが、ポリマーベース又は紙ベースのものであり、前記シートが、z状に積み重ねられている構成又はz状に積み重ねられていない構成である、請求項6に記載の筆記用具。
【請求項8】
前記本体の前記第1の末端部に解放可能に係合するように適合された第1のキャップを更に含む、請求項1に記載の筆記用具。
【請求項9】
前記第1のキャップが、閉鎖部分及び端部を有し、前記閉鎖部分が、前記本体の前記第1の末端部又は第2の末端部に係合可能である、請求項1に記載の筆記用具。
【請求項10】
前記第1のキャップの前記端部にストラップが取り付けられる、請求項8に記載の筆記用具。
【請求項11】
前記本体の前記第1又は第2の末端部に解放可能に係合するように適合された第2のキャップを更に含む、請求項1に記載の筆記用具。
【請求項12】
前記本体の前記第1の末端部から延びる第1のマーキング要素と、前記本体の前記第2の末端部から延びる第2のマーキング要素と、を含む、請求項1に記載の筆記用具。
【請求項13】
前記第1の筆記要素が、インクマーキング又は流体マーキングであり、前記第2の筆記要素が、インクマーキング又は流体マーキングである、請求項12に記載の筆記用具。
【請求項14】
前記ディスペンサーの前記カバーが、上面と、前記上面の中点あたりに配置されるスロットと、側壁と、前記上面から横方向に延びる後壁と、を有する、請求項1に記載の筆記用具。
【請求項15】
前記ディスペンサーの前記カバーの中の前記スロットが、前記ディスペンサーの中に配置されるシートの積み重ね体の寸法とほぼ同じ寸法である、請求項14に記載の筆記用具。
【請求項16】
前記シートの積み重ね体の中の最低位シートが、前記ディスペンサーの前記基部のプラットフォームに接着剤で付着される、請求項14に記載の筆記用具。
【請求項17】
前記第1の末端部及び前記第2の末端部の少なくとも一方に解放可能に係合するように適合されたキャップを更に含み、前記キャップがクリップを含む、請求項1に記載の筆記用具。

【図1】
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【公表番号】特表2012−513916(P2012−513916A)
【公表日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−543614(P2011−543614)
【出願日】平成21年12月21日(2009.12.21)
【国際出願番号】PCT/US2009/068985
【国際公開番号】WO2010/075279
【国際公開日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【出願人】(505005049)スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー (2,080)
【Fターム(参考)】