説明

シート処理装置、画像形成装置及びバッファ装置

【課題】 搬送方向の長さが異なるシート同士であってもバッファ処理におけるシートの重ね合わせを行う。
【解決手段】 バッファ処理で滞留させるシートの長さL2よりも後続のシートの長さL1が長ければ、同じ長さのシート同士を重ね合わせる場合の基準ずらし量Aに長さの差の量を加算した量Dだけ滞留させるシートよりも後続のシートが先行するように重ね合わせ、滞留させるシートの長さL2よりも後続のシートの長さL1が短ければ、Dだけ後続のシートよりも滞留させるシートが先行するように重ね合わせる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機、レーザービームプリンタ等の画像形成装置などに用いられるシート処理装置、バッファ装置及びこれらのシート処理装置或いはバッファ装置を有する画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、プリンタ、複写機、ファクシミリなどの画像形成装置から排出された複数のシートからなるシート束に対して処理トレイ上で後処理を行うシート後処理装置が広く知られている。特許文献1では、処理トレイ上で後処理を行っている最中のシート束の上に次のシート束を構成するシートが排出されないように、次の束のシートを何枚かを搬送路に設けたバッファパスで滞留させ、重ね合わせて搬送するバッファ処理が行われている。これにより、画像形成装置がシート束の最後のシートと次のシート束の最初のシートの排出間隔を広げることなく、シートの後処理が可能となる。このバッファ処理では、重ねられて処理トレイに搬送された複数のシートの整合を確実にするために、バッファパスに滞留しているシートの上に重ねるシートを、シート搬送方向に一定量ずらす制御が行われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−217337号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、図8に示すように、バッファパスに滞留しているN−1枚目のシートN−1と、シートN−1の上に重ねるN枚目のシートNとのずらし量を一定で制御した場合、次のような課題がある。シートN−1の搬送方向長さとシートNの搬送方向長さが異なると、処理トレイ上で搬送方向におけるシートの整合を確実に行うことが出来ない。その理由について図9を用いて説明する。シートN−1の搬送方向長さがシートNの搬送方向長さより長い場合、図9(a)に示す通り、処理トレイ538上のシートを後端突き当て部材547に突き当てる為の部材(以降、パドル539)が、シートNに当接しないことがある。また、シートN−1の搬送方向長さがシートNの搬送方向長さより短い場合、図9(b)に示す通り、処理トレイ538上のシートN−1が後端突き当て部材547に当接しないことがある。
【0005】
以上の理由から、シートN−1の搬送方向長さとシートNの搬送方向長さが異なる場合は、バッファ処理を行う事が出来ず、シートの搬送間隔を広げる必要があり、生産性が低下すると言う課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するための、本発明のシート処理装置は、シートを搬送する搬送手段と、前記搬送手段により搬送される複数のシートが積載される積載手段と、前記積載手段に積載される複数のシートの後端を揃えるように整合する整合手段と、前記整合手段により後端が整合された複数のシートからなるシート束に処理を行う処理手段と、前記処理手段による処理中に前記積載手段に新たにシートが積載されないように前記搬送手段により搬送されるシートを滞留させ、滞留させるシートと後続のシートとを搬送方向にずらした状態で重ね合わせて搬送するバッファ処理を行うバッファ手段と、前記搬送手段により搬送されるシートの搬送方向の長さを取得する取得手段と、前記滞留させるシートの長さよりも前記後続のシートの長さが長くなることに応じて前記滞留させるシートよりも前記後続のシートが先行するように重ね合わせ、前記滞留させるシートの長さよりも前記後続のシートの長さが短くなることに応じて前記後続のシートよりも前記滞留させるシートが先行するように重ね合わせるべく前記バッファ手段を制御する制御手段と、を有することを特徴とする。
【0007】
また、本発明のシート処理装置は、シートを搬送する搬送手段と、前記搬送手段により搬送される複数のシートが積載される積載手段と、前記積載手段に積載される複数のシートの先端を揃えるように整合する整合手段と、前記整合手段により先端が整合された複数のシートからなるシート束に処理を行う処理手段と、前記処理手段による処理中に前記積載手段に新たにシートが積載されないように前記搬送手段により搬送されるシートを滞留させ、滞留させるシートと後続のシートとを搬送方向にずらした状態で重ね合わせて搬送するバッファ処理を行うバッファ手段と、前記搬送手段により搬送されるシートの搬送方向の長さを取得する取得手段と、前記滞留させるシートの長さよりも前記後続のシートの長さが長くなることに応じて前記後続のシートよりも前記滞留させるシートが先行するように重ね合わせ、前記滞留させるシートの長さよりも前記後続のシートの長さが短くなることに応じて前記滞留させるシートよりも前記後続のシートが先行するように重ね合わせるべく前記バッファ手段を制御する制御手段と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、異なる長さのシート同士であっても、重ね合わせを可能とし、バッファ処理を行い、生産性の低下を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】画像形成装置の全体構成を示す断面図
【図2】画像形成装置の構成を示すブロック図
【図3】フィニッシャの構成を示す断面図
【図4】フィニッシャの構成を示すブロック図
【図5】操作表示部を示す図
【図6】操作表示部の初期画面を示す図
【図7】仕上げ処理の選択画面を示す図
【図8】バッファ処理部を示す図
【図9】処理トレイを示す図
【図10】ずらし量算出処理を示すフローチャート
【図11】ずらし量の算出の仕方を説明する図
【図12】バッファ処理を示すフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に本発明の実施の形態について図を参照しながら説明する。
【0011】
(全体構成)
図1は本発明の第1の実施形態に係る画像形成装置10の主要部の縦断面構造を示す図である。画像形成装置10の下流にはシート処理装置であるフィニッシャ500が接続されており、画像形成装置10とフィニッシャ500とで画像形成システムを構成している。画像形成装置10は、原稿から画像を読み取るイメージリーダ200及び読み取った画像に基づいてシート上に画像を形成するプリンタ350を備えている。
【0012】
原稿給送装置100は、原稿トレイ101上に上向きにセットされた原稿を先頭頁から順に1枚ずつ給送し、プラテンガラス102上の所定の読み取り位置を経て搬送し、その後、排紙トレイ112へ排出する。原稿がプラテンガラス102上の読み取り位置を通過するときに、原稿画像がスキャナユニット104及びイメージセンサ109により読み取られる。イメージセンサ109から出力される画像データは、プリンタ350の露光部110にビデオ信号として入力される。
【0013】
尚、原稿給送装置100により原稿をプラテンガラス102上に搬送して所定位置に停止させ、この状態でスキャナユニット104を左から右へ走査させることにより原稿を読み取ることも可能であるが、本発明の主旨とは直接関係ないので、説明を省略する。
【0014】
プリンタ350の露光部110は、イメージリーダ200から入力されたビデオ信号に基づきレーザ光を変調して出力する。レーザ光は、ポリゴンミラー119により走査されながら感光ドラム111上に照射される。感光ドラム111には走査されたレーザ光に応じた静電潜像が形成される。この感光ドラム111上の静電潜像は、現像器113から供給される現像剤によって現像剤像として可視像化される。
【0015】
一方、プリンタ350内に装備されている上カセット114或いは下カセット115からピックアップローラ127、128により給紙されたシートは、給紙ローラ129、給紙ローラ130によりレジストレーションローラ126まで搬送される。レジストレーションローラ126が所定のタイミングで駆動され、シートが感光ドラム111と転写部116との間に搬送される。感光ドラム111に形成された現像剤像は、給紙されたシート上に転写部116により転写される。現像剤像が転写されたシートは、定着部117に搬送され、定着部117は、シートを加熱及び加圧することによって現像剤像をシート上に定着させる。定着部117を通過したシートは、フラッパ121及び排出ローラ118を経てプリンタ350からフィニッシャ500へ排出される。
【0016】
なお、片面画像形成の場合は、シートはその画像形成面が下向きになる状態(フェイスダウン)で排出される。フェイスダウン排出のために、定着部117を通過したシートはフラッパ121の切換動作により一旦、反転パス122内に導かれ、シートの後端がフラッパ121を通過した後に、シートがスイッチバックされて排出ローラ118により排出される。この排紙形態を反転排紙と呼ぶ。
【0017】
また、湾曲した反転パス122を通過することが禁止されるような硬さのシートは、反転パス122に導かれることなく、画像形成面を上向きにした状態(フェイスアップ)で排出ローラ118により排出される。更に、シートの両面に画像形成を行う場合は、定着部117を通過したシートは、フラッパ121の切換動作により反転パス122に導かれた後にスイッチバックされ、両面搬送パス124へ搬送され、裏面の画像形成が行われる。
【0018】
(システムブロック図)
図2は、本画像形システム全体の制御構成を示すブロック図である。
【0019】
CPU回路部900は、CPU901、ROM902、RAM903を内蔵する。CPU901は本画像形システム全体の基本制御を行うCPUであり、制御プログラムが書き込まれたROM902と処理を行うためのRAM903がアドレスバス、データバスにより接続されている。CPU901はROM902に格納されている制御プログラムにより各制御部911,921,922,904,931,941,951を総括的に制御する。RAM903は、制御データを一時的に保持し、また制御に伴う演算処理の作業領域として用いられる。
【0020】
原稿給送装置制御部911は、原稿給送装置100をCPU回路部900からの指示に基づき駆動制御する。イメージリーダ制御部921は、上述のスキャナユニット104、イメージセンサ109などに対する駆動制御を行い、イメージセンサ109から出力されたアナログ画像信号を画像信号制御部922に転送する。画像信号制御部922は、イメージセンサ109からのアナログ画像信号をデジタル信号に変換した後に各処理を施し、このデジタル信号をビデオ信号に変換してプリンタ制御部931に出力する。また、コンピュータ905から外部I/F904を介して入力されたデジタル画像信号に各種処理を施し、このデジタル画像信号をビデオ信号に変換してプリンタ制御部931に出力する。この画像信号制御部922による処理動作は、CPU回路部900により制御される。プリンタ制御部931は、入力されたビデオ信号に基づき上述の露光部110を制御する。
【0021】
フィニッシャ制御部951はフィニッシャ500に搭載され、CPU回路部900と情報のやり取りを行うことによってフィニッシャ全体の駆動制御を行う。この制御内容については後述する。
【0022】
操作表示装置制御部941は、操作表示装置600とCPU回路部900との間で情報のやり取りを行う。操作表示装置600は、画像形成に関する各種機能を設定する複数のキー、設定状態を示す情報を表示するための表示部などを有し、各キーの操作に対応するキー信号をCPU回路部900に出力する。操作表示装置600は更に、CPU回路部900からの信号に基づき対応する情報を操作表示装置600に表示する。
【0023】
(フィニッシャ)
図3は、フィニッシャ500の構成を示す断面図である。本実施形態のフィニッシャ500は、背景技術に記載したように、後処理中のシート束に後続のシートを衝突させないように、後続の複数のシートを重ね合わせて搬送するバッファ機能を有している。
【0024】
画像形成装置10から排紙されたシート700は、フィニッシャ500の入口搬送ローラ対502に受け渡される。入口搬送ローラ対502により搬送されたシート700は搬送パス503を通過後、シフト搬送ローラ対505、506に受け渡される。その後、図示しないセンサによってシート700の搬送方向に直交する幅方向の端部位置が検知され、この端部位置の検知結果に基づいて幅方向における規定中心位置からのシート700のずれ量が求められる。シフトユニット509は幅方向に移動可能であり、シフト搬送ローラ対505、506でシート700を搬送されながら、幅方向に移動することで、ずれ量を補正する。また、パンチ処理が指示されている場合、パンチユニット650はシート700に対しパンチ穴をあける。
【0025】
その後、シート700は、シフト搬送ローラ対505、506、搬送ローラ510、離間ローラ511、バッファローラ対515により搬送される。シート700をバッファ処理が指定されている場合は、バッファローラ対515、バッファパスローラ対544が搬送方向とは逆方向に回転し、切換フラッパ542がバッファパス543側に変位することで、シート700はバッファパス543に搬入される。
【0026】
バッファ処理が指定されていないシートは、バッファパスローラ対544、バッファローラ対515及び切り換えフラッパ518により、上搬送パス517或いは束搬送パス521へ搬送される。上搬送パス517へ導かれるシート700は上排紙ローラ対520により上トレイ536に排紙される。一方、束搬送パス521に導かれるシート700は、バッファ搬送ローラ対522、束搬送ローラ対524、サドルパス切り換えフラッパ525により束搬送パス521内を通過する。
【0027】
中綴じ処理が指定されているシートは、切り換えフラッパ525によりサドルパス533に搬送され、サドル入口ローラ対534によりサドルユニット535に搬入され、中綴じ処理される。中綴じ処理は一般的な処理であり、本発明の要部でないため,詳細な説明は省略する。
【0028】
中綴じ処理が指定されていないシートは、束搬送ローラ対524、サドル切り換えフラッパ525により下搬送パス526に搬送される。その後、下排紙ローラ対528により処理トレイ538に排紙され、パドル539とローレットベルト540等の戻し機構により処理トレイ538上で搬送方向の整合処理が行われる。綴じ処理が指定されている場合、ステイプラ532は、積載手段としての処理トレイ538に積載されたシート束に対して綴じ処理を行う。処理トレイ538上のシート束は下排紙ローラ対530により下トレイ537に排紙される。
【0029】
(フィニッシャブロック図)
図4は図2のフィニッシャ制御部951の構成を示すブロック図である。フィニッシャ制御部951は、CPU952、ROM953、RAM954などで構成される。フィニッシャ制御部951は、図示しない通信ICを介して画像形成装置10のCPU回路部900とデータ交換を行い、CPU回路部900からの指示に基づきROM953に格納されている各種プログラムに基づいてフィニッシャ500の駆動制御を行う。
【0030】
フィニッシャ制御部951には、各種モータM1〜M15,各種センサ501,541,545,546等が接続されている。入口搬送モータM1は入口搬送ローラ対502を回転させる。シフト搬送モータM2はシフト搬送ローラ対505、506を回転させる。シフトモータM3はシフトユニット509を移動させる。パンチモータM4はパンチユニット650を駆動する。搬送モータM5は搬送ローラ510を回転させる。離間モータM6は離間ローラ511を駆動する。バッファパスモータM7はバッファパスローラ対544を回転する。バッファモータM8はバッファローラ対515を回転する。上排紙モータM9は上排紙ローラ対520を回転する。バッファ搬送モータM10はバッファ搬送ローラ対522を回転する。束搬送モータM11は束搬送ローラ対524を回転する。ステイプラモータM12はステイプラ532を駆動する。ローレットベルトモータM13はローレットベルト540を駆動する。パドルモータM14はパドル539を駆動する。下排紙モータM15は下排紙ローラ対530を回転する。その他、入口センサ501、バッファ前センサ541、バッファ後センサ546、下パスセンサ545がフィニッシャ制御部951に接続されており、これらのセンサは、シート搬送路上でシート700の通過を検知する。
【0031】
(操作表示部)
図5は図1の画像形成装置における操作表示装置600を示す図である。操作表示装置600には、画像形成動作を開始するためのスタートボタン602、画像形成動作を中断するためのストップキー603、置数設定等を行うテンキー604〜613、クリアキー615、リセットキー616などが配置されている。また、タッチパネルで形成された表示部620が配置されており、画面上に各種設定を行うためのソフトキーが表示される。例えば、ソフトキーの1つとして、フィニッシャ500の後処理モードを設定するための仕上げキー621が表示される。
【0032】
(ステイプル仕上げの設定)
後処理モードの1つであるステイプルモードの設定について説明する。図6(a)に示す設定画面で、「仕上げ」キー621が選択されると、図6(b)に示す選択画面が表示される。この画面で、例えば、「ステイプル」キー624が押され、「OK」キー626が押されると、ステイプルモードが選択され、図7に示す画面に戻る。図6(b)の選択画面で「OK」キー626が押されることなく、「閉じる」キー625が押されると、ステイプルモードが選択されることなく図6(a)の設定画面に戻る。
【0033】
ステイプルモードが設定された状態でスタートキー402が押下されると、画像形成装置10でシートに画像が形成され、フィニッシャ500でシートにステイプル処理が行われる。
【0034】
(ずらし量の設定の流れ)
次にバッファ処理におけるシート重ね合わせ時のシートのずらし量の設定を説明する。なお、バッファ処理によるシートの重ね合わせ方は、ずらし量の設定以外は、背景技術で説明した方法と同様である。ここでは、画像形成装置10からN枚目に搬送されてきたシート700をシートNとする。また、バッファパス543に滞留させることが可能な枚数は1枚とする。従って、バッファ処理で重ね合わせられるシートの枚数は2枚となる。
【0035】
図10は、フィニッシャ制御部951のCPU952により実行されるバッファ処理におけるずらし量設定処理を示すフローチャートである。CPU952は、画像形成装置10からシートNのシート情報を受信し、RAM954の所定の領域に保存する(S1001)。シート情報には、シートNに対するステイプル設定の有無、マテリアル、搬送方向の長さ、幅方向の長さ等の情報が含まれる。即ち、CPU952はシートの長さの情報を取得する取得手段として機能する。次に、CPU952は、シートN−1がバッファ対象となるシートであるか否か判断する(S1002)。シートN−1がバッファ対象シートである場合は(バッファフラグN−1がON)、CPU952は、次のシートNがバッファ可能であるか判断する(S1003)。ここで表すバッファ可能なシートとは、バッファすることが禁止されていないマテリアルであり、且つ、シートN−1とシートNの幅方向(搬送方向に直交する方向)の長さが同じであるシートである。
【0036】
シートNがバッファ可能なシートである場合は、CPU952は、式1に従ってずらし量Dを算出する(S1004)。即ち、ずらし量Dは、基準ずらし量AにシートNの搬送方向長L1とシートN−1の搬送方向長L2との差分を加算することにより算出される。
【0037】
D=A+(L1−L2) (式1)
ずらし量Dの算出の詳細は後述する。
【0038】
CPU952は、算出したずらし量DをRAM954の所定の領域に保存する(S1005)。更に、CPU952は、シートNがバッファ可能なシートであるので、バッファフラグNをONとしてRAM954の所定の領域に保存する(S1006)。バッファフラグNとは、N枚目のシートのバッファ可否を表すフラグである。
【0039】
S1003でシートNがバッファ可能なシートでない場合、CPU952は、バッファパスモータM7、バッファモータM8を駆動させることにより、バッファパスローラ対544、バッファローラ対515を回転させる。その結果、シートN−1がバッファパス543から排出される(S1007)。次にCPU952は、シートN−1,Nがともにバッファ処理されないシートなので、バッファフラグNおよびバッファフラグN−1をOFFとしてRAM954の所定の領域に保存する(S1008)。
【0040】
S1002でシートN−1がバッファ対象紙でない場合(バッファフラグN−1がOFF)、CPU952は、シートNがバッファ可能なシートであるか否かを判断する(S1009)。ここで表すバッファ可能なシートとは、ステイプルジョブが指定され、且つ、所定のマテリアルのシートである。
【0041】
S1009でシートNがバッファ可能なシートである場合、CPU952は、バッファフラグNをONとし、RAM954の所定の領域に保存する(S1010)。CPU952は更に、シートNの搬送方向長L1をRAM954の所定の領域に保存する(S1011)。L1の情報は、CPU回路部900から通知される。S1009でシートNがバッファ可能なシートでない場合、CPU952は、バッファフラグNをOFFとしてRAM954の所定の領域に保存する(S1012)。
【0042】
(ずらし量算出詳細)
次にずらし量算出の詳細を、図11を用いて説明する。図11は、中間処理トレイ538上でのシートN−1とシートNの位置関係を表した図である。ずらし量の制御の基本的な考えは以下の通りである。滞留されるシート(シートN−1)の長さよりも後続のシート(シートN)の長さが長くなることに応じて滞留されるシートよりも後続のシートが先行するように重ねられる。滞留されるシートの長さよりも後続シートの長さが短くなることに応じて滞留されるシートよりも後続のシートが先行するように重ねられる。
【0043】
ずらし量は、シートNの先端位置が、シートN−1の先端よりも搬送方向下流側にずれる場合は正(+)、搬送方向上流側にずれる場合は負(−)となる。図11の(a)に示すように、シートN−1の搬送方向長L2(A3_R:420mm)がシートNの搬送方向長L1(A4:210mm)より長い場合、基準ずらし量Aを2.5mmとするとずらし量Dは以下のようになる。
【0044】
ずらし量D=2.5(A)+(210(L1)−420(L2))=−207.5
即ち、シートNよりもシートN−1が207.5mm先行するように2枚のシートが重ねられる。
【0045】
図11の(b)に示すように、シートN−1の搬送方向長L2(A3_R:210mm)がシートNの搬送方向長L1(A4:420mm)より短い場合、基準ずらし量Aを2.5mmとするとずらし量Dは以下のようになる。
【0046】
ずらし量D=2.5(A)+(420(L1)−210(L2))=212.5
即ち、シートN−1よりもシートNが212.5mm先行するように重ねられる。
【0047】
(シート搬送開始から下搬送パス通過まで)
次にフィニッシャ500におけるシートNの搬送制御について図12のフローチャートを用いて説明する。図12のフローチャートはCPU952が実行する。
【0048】
CPU952は、画像形成装置10からシートがフィニッシャ500へ到達することを表すシート到達情報を受信すると(S2001)、入口搬送モータM1を駆動し(S2002)、入口搬送ローラ対502を搬送方向に回転させる。これにより、画像形成装置10から排紙されたシートNは、フィニッシャ500の入口搬送ローラ対502に受け渡される。その後、CPU952は、入口センサ501がシートを検知すると(S2003)、シフト搬送モータM2の駆動タイミングt1を決定する。そしてCPU952は、決定した駆動タイミングt1に基づき、シフト搬送モータM2を駆動し、シフト搬送ローラ対505、506を回転させ、シートNを下流に搬送する(S2004)。その際に、CPU952は、シフトモータM3を駆動し、シフトユニット509によりシートNの位置とシート搬送方向の規定中心位置からのズレ量を補正しながらシートNを下流へ搬送する(S2005)。なお、シートへのパンチ処理が指定されている場合は、CPU952は、シフト搬送モータM2を逆転駆動させ、シフト搬送ローラ対505、506を搬送方向と逆方向に回転させ、シート後端を突き当て部材508に突き当て、シート後端辺の斜行を補正する。CPU952は、パンチモータM4を駆動させ、パンチユニット650でシートNの後端辺に対しパンチ穴をあける。その後、CPU952は、シフト搬送モータM2を順方向に駆動させ、シフト搬送ローラ対505、506を回転させ、シートNを下流に搬送する。
【0049】
次にCPU952は、シートNがバッファ対象であるか否かをバッファフラグNに基づいて判断する(S2006)。シートNがバッファ対象である(バッファフラグNがON)場合、CPU952は、シートN−1がバッファ対象であるか否かをバッファフラグN−1に基づいて判断する(S2007)。シートN−1がバッファ対象である(バッファフラグN−1がON)場合、CPU952は、シートNがシートN−1と重ねられて搬送されるので、バッファフラグNおよびバッファフラグN−1をOFFとしてRAM954の所定の領域に保存する(S2008)。なお、バッファフラグN−1がONであれば、シートN−1はバッファパス543に滞留されていることになる。
【0050】
次にCPU952は、バッファ前センサ541がシートNの先端を検知したら(S2009)、バッファモータM8を駆動させ、バッファローラ対515を回転させる(S2010)。更に、CPU952は、バッファモータ起動距離Xを算出する(S2011)。バッファモータ起動距離Xとは、シートNとシートN−1をずらし量D分ずらして重ね合わせる為に、シートNの先端をバッファ前センサ541が検知してから、バッファパス543に滞留しているシートN−1の搬送を再開するまでのシートNの搬送距離を示す。実際の制御では、搬送距離は搬送時間で判断されるので、バッファモータ起動距離Xは、シートNの先端をバッファ前センサ541が検知してからバッファパスモータM7を起動するまでの時間に係わるデータである。
【0051】
バッファモータ起動距離Xは、式(2)に示すように、基準起動距離Bにずらし量Dを加算して算出される。ここで言う、基準起動距離Bとは、ずらし量が0の場合にシートNの先端をバッファ前センサ541が検知してから、バッファパス543に滞留しているシートN−1の搬送を再開するまでのシートNの搬送距離を示す。
X=B+D (式2)
【0052】
次にCPU952は、バッファ前センサ541からのシートNの移動距離がバッファモータ起動距離Xに達したか否かを判断する(S2012)。シートNの移動距離がバッファモータ起動距離Xに達すると、CPU952は、バッファパスモータM7を駆動させ、バッファパスローラ対544を回転させ、シートNとシートN−1を重ね合わせて搬送する(S2013)。その後、CPU952は、バッファ搬送モータM10、束搬送モータM11を駆動させ、バッファ搬送ローラ対522、束搬送ローラ対524によりシートNを下搬送パス526経由で中間処理トレイ538に搬送させる(S2014)。
【0053】
一方、S2007でシートN−1がバッファ対象でない(バッファフラグN−1がOFF)場合、CPU952は、バッファパスモータM7、バッファモータM8を駆動させ、バッファローラ対515、バッファパスローラ対544を搬送方向と逆方向に回転させる。そして、CPU952は、切換フラッパ542をバッファパス543側に切り換えることで、シートNをバッファパス543に導き、処理トレイ538へ搬送する(S2015)。
【0054】
また、S2006でシートNがバッファ対象でない場合、CPU952は、シートNをバッファパス543へ搬送することなく、下搬送パス526へ搬送させる(S2014)。
【0055】
上述した実施形態では、処理トレイ上でシートの後端を基準にして整合する構成について説明した。しかし、処理トレイ上でシートの先端を基準にして整合する構成においても、本発明を適用できる。その場合、滞留させるシートの長さよりも後続のシートの長さが長い場合、CPU952は、基準のずらし量に長さの差の量を加算した量だけ後続のシートよりも滞留させるシートが先行するように重ね合わせる。また、滞留させるシートの長さよりも後続のシートの長さが短い場合、CPU952は、基準のずらし量に長さの差の量を加算した量だけ滞留させるシートよりも後続のシートが先行するように重ね合わせる。
【0056】
以上前述したように、バッファ処理において、バッファパスに滞留しているシートと、後続のシートのシートサイズを元に、重ね合わせのずらし量を算出し、バッファ制御を行う。これにより、滞留しているシートのシート搬送方向長と、後続のシートのシート搬送方向長が異なる場合でも、中間処理トレイ上の全てのシートを後端で揃えることが可能となり、整合された品位の高い成果物を生成する事が出来る。
【符号の説明】
【0057】
10 画像形成装置
350 プリンタ
500 フィニッシャ
501 入口センサ
510 搬送ローラ
515 バッファローラ対
541 バッファ前センサ
543 バッファパス
544 バッファパスローラ対
546 バッファ後センサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートを搬送する搬送手段と、
前記搬送手段により搬送される複数のシートが積載される積載手段と、
前記積載手段に積載される複数のシートの後端を揃えるように整合する整合手段と、
前記整合手段により後端が整合された複数のシートからなるシート束に処理を行う処理手段と、
前記処理手段による処理中に前記積載手段に新たにシートが積載されないように前記搬送手段により搬送されるシートを滞留させ、滞留させるシートと後続のシートとを搬送方向にずらした状態で重ね合わせて搬送するバッファ処理を行うバッファ手段と、
前記搬送手段により搬送されるシートの搬送方向の長さを取得する取得手段と、
前記滞留させるシートの長さよりも前記後続のシートの長さが長くなることに応じて前記滞留させるシートよりも前記後続のシートが先行するように重ね合わせ、前記滞留させるシートの長さよりも前記後続のシートの長さが短くなることに応じて前記後続のシートよりも前記滞留させるシートが先行するように重ね合わせるべく前記バッファ手段を制御する制御手段と、
を有することを特徴とするシート処理装置。
【請求項2】
前記制御手段は、前記滞留させるシートの長さよりも前記後続のシートの長さが長い場合、長さの差に応じた量前記滞留させるシートよりも前記後続のシートが先行するように重ね合わせ、前記滞留させるシートの長さよりも前記後続のシートの長さが短い場合、長さの差に応じた量前記後続のシートよりも前記滞留させるシートが先行するように重ね合わせるべく前記バッファ手段を制御することを特徴とする請求項1記載のシート処理装置。
【請求項3】
前記制御手段は、前記滞留させるシートの長さよりも前記後続のシートの長さが長い場合、基準のずらし量に前記長さの差の量を加算した量前記滞留させるシートよりも前記後続のシートが先行するように重ね合わせ、前記滞留させるシートの長さよりも前記後続のシートの長さが短い場合、前記基準のずらし量に前記長さの差の量を加算した量前記後続のシートよりも前記滞留させるシートが先行するように重ね合わせるべく前記バッファ手段を制御することを特徴とする請求項2記載のシート処理装置。
【請求項4】
前記滞留させるシートの長さと前記後続のシートの長さとが同じ場合、前記制御手段は、前記基準のずらし量だけ前記滞留させるシートよりも前記後続のシートが先行するように重ね合わせることを特徴とする請求項3記載のシート処理装置。
【請求項5】
前記搬送手段により搬送されるシートを検知する検知手段を有し、
前記制御手段は、前記後続のシートの先端を前記検知手段が検知してから前記長さの差の量に応じた距離を前記後続のシートが搬送されると、前記滞留させるシートの搬送を再開させて前記滞留させるシートと前記後続のシートとを重ね合わせるように前記バッファ手段を制御することを特徴とする請求項2記載のシート処理装置。
【請求項6】
シートを搬送する搬送手段と、
前記搬送手段により搬送される複数のシートが積載される積載手段と、
前記積載手段に積載される複数のシートの先端を揃えるように整合する整合手段と、
前記整合手段により先端が整合された複数のシートからなるシート束に処理を行う処理手段と、
前記処理手段による処理中に前記積載手段に新たにシートが積載されないように前記搬送手段により搬送されるシートを滞留させ、滞留させるシートと後続のシートとを搬送方向にずらした状態で重ね合わせて搬送するバッファ処理を行うバッファ手段と、
前記搬送手段により搬送されるシートの搬送方向の長さを取得する取得手段と、
前記滞留させるシートの長さよりも前記後続のシートの長さが長くなることに応じて前記後続のシートよりも前記滞留させるシートが先行するように重ね合わせ、前記滞留させるシートの長さよりも前記後続のシートの長さが短くなることに応じて前記滞留させるシートよりも前記後続のシートが先行するように重ね合わせるべく前記バッファ手段を制御する制御手段と、
を有することを特徴とするシート処理装置。
【請求項7】
シートに像形成する像形成手段と、
前記像形成手段により像形成されたシートを搬送する搬送手段と、
前記積載手段に積載される複数のシートの後端を揃えるように整合する整合手段と、
前記整合手段により後端が整合された複数のシートからなるシート束に処理を行う処理手段と、
前記処理手段による処理中に前記積載手段に新たにシートが積載されないように前記搬送手段により搬送されるシートを滞留させ、滞留させるシートと後続のシートとを搬送方向にずらした状態で重ね合わせて搬送するバッファ処理を行うバッファ手段と、
前記搬送手段により搬送されるシートの搬送方向の長さを取得する取得手段と、
前記滞留させるシートの長さよりも前記後続のシートの長さが長いくなることに応じて前記滞留させるシートよりも前記後続のシートが先行するように重ね合わせ、前記滞留させるシートの長さよりも前記後続のシートの長さが短くなることに応じて前記後続のシートよりも前記滞留させるシートが先行するように重ね合わせるべく前記バッファ手段を制御する制御手段と、
を有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項8】
シートに像形成する像形成手段と、
前記像形成手段により像形成されたシートを搬送する搬送手段と、
前記積載手段に積載される複数のシートの先端を揃えるように整合する整合手段と、
前記整合手段により先端が整合された複数のシートからなるシート束に処理を行う処理手段と、
前記処理手段による処理中に前記積載手段に新たにシートが積載されないように前記搬送手段により搬送されるシートを滞留させ、滞留させるシートと後続のシートとを搬送方向にずらした状態で重ね合わせて搬送するバッファ処理を行うバッファ手段と、
前記搬送手段により搬送されるシートの搬送方向の長さを取得する取得手段と、
前記滞留させるシートの長さよりも前記後続のシートの長さが長いくなることに応じて前記後続のシートよりも前記滞留させるシートが先行するように重ね合わせ、前記滞留させるシートの長さよりも前記後続のシートの長さが短くなることに応じて前記滞留させるシートよりも前記後続のシートが先行するように重ね合わせるべく前記バッファ手段を制御する制御手段と、
を有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項9】
複数のシートを積載し、前記複数のシートの後端を揃えるように整合する整合手段を有する積載装置へシートを排出するバッファ装置であって、
シートを搬送する搬送手段と、
前記搬送手段により搬送されるシートを滞留させ、滞留させるシートと後続のシートとを搬送方向にずらした状態で重ね合わせて搬送するバッファ処理を行うバッファ手段と、
前記搬送手段により搬送されるシートの搬送方向の長さを取得する取得手段と、
前記滞留させるシートの長さよりも前記後続のシートの長さが長くなることに応じて前記滞留させるシートよりも前記後続のシートが先行するように重ね合わせ、前記滞留させるシートの長さよりも前記後続のシートの長さが短くなることに応じて前記後続のシートよりも前記滞留させるシートが先行するように重ね合わせるべく前記バッファ手段を制御する制御手段と、
を有することを特徴とするバッファ装置。
【請求項10】
複数のシートを積載し、前記複数のシートの先端を揃えるように整合する整合手段を有する積載装置へシートを排出するバッファ装置であって、
シートを搬送する搬送手段と、
前記搬送手段により搬送されるシートを滞留させ、滞留させるシートと後続のシートとを搬送方向にずらした状態で重ね合わせて搬送するバッファ処理を行うバッファ手段と、
前記搬送手段により搬送されるシートの搬送方向の長さを取得する取得手段と、
前記滞留させるシートの長さよりも前記後続のシートの長さが長くなることに応じて前記後続のシートよりも前記滞留させるシートが先行するように重ね合わせ、前記滞留させるシートの長さよりも前記後続のシートの長さが短くなることに応じて前記滞留させるシートよりも前記後続のシートが先行するように重ね合わせるべく前記バッファ手段を制御する制御手段と、
を有することを特徴とするバッファ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2013−6668(P2013−6668A)
【公開日】平成25年1月10日(2013.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−140995(P2011−140995)
【出願日】平成23年6月24日(2011.6.24)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】