説明

シート断裁装置及びこれを用いた製本装置

【課題】シート束の背面側に設ける刃受け面に付着した切り屑を簡単な構造で確実に除去することの可能なシート断裁装置及びこれを用いた製本装置を提供する。
【解決手段】シート束を所定の裁断位置に保持するシート保持手段と、上記裁断位置に配置されシートと距離を隔てた待避位置と切断位置との間で移動自在の裁断刃と、上記シートを介して上記裁断刃と対向配置され、上記裁断刃と接する刃受面を有する刃受け部材とを備える。そして上記裁断位置の下流側近傍に配置され上記裁断刃で切断されたシート屑を上記刃受面から除去するスイーパ部材を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、単シート或いは束状のシートを裁断するシート断裁装置に係わり、所定のテーブルにセットしたシート(束)の所定箇所を裁断処理するシート断裁装置或いは画像形成装置などから搬出された印刷シートを束状に整合してその背部に接着糊などで綴じ処理した後そのシート束の周縁部を切り揃える製本装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般にこの種の断裁装置は、裁断テーブルにセットしたシート束を裁断する場合には円盤状のロータリカッタを回転させながらシートの一端から他端に移動する裁断方法と、平板状の平刃カッタでシートの一端から他端に徐々に切断する裁断方法が知られている。前者はロータリカッタを高速で回転しながらシートを切り進むのに対して後者は平刃カッタを低速で徐々に大きな力でシートを切り進む切断メカニズムが知られている。前者のロータリカッタで切断する方法として従来例えば特許文献1(特開2002−36178号公報)には搬送ローラで支持したシート束を搬送方向と直交する幅方向の一端から他端にロータリカッタを移動して切断するものが開示され、このロータリカッタはこれを回転駆動するモータと切削方向に移動するモータに連結されている。
【0003】
後者の平刃カッタで切断する方法として従来例えば特許文献2に示されているように、テーブル上にシートを保持した状態でカッタブレードを油圧シリンダで徐々に押し下げシートの一端から他端に傾斜した刃先で徐々に切断するものが開示され、この平刃状のカッタブレードはシート束に傾斜してその一端から他端に徐々に切り進むように駆動カムと駆動モータに連結されている。同文献にはカッタブレードで切断したシート屑をどのように除去するのか開示されていないが、平刃カッタでシート束を切断する場合にシートの表裏からシート束の切断縁を挟圧するプレス部材を設け、カッタ刃はこのプレス部材の脇を通過し、同時に切断屑も落下する方法とシート束の背面側にバックアップ部材(刃受け部材)を恰もまな板状に設ける方法が考えられる。前者は切断屑の除去は容易であるがカッタ刃の移動とプレス部材の端面が一致しなければ刃先の破損を招くため装置は堅牢でガタつきなく構成しなければならない。後者の刃受け部材で切断後のカッタ刃を受ける場合には合成樹脂などの軟質部材で構成して刃先を破損しないように配慮する必要がある。
【特許文献1】特開2002−36178号公報
【特許文献2】特許2003−72258号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
シート束を平刃カッタで裁断する際にシート束の背面に刃受け部材を設けて刃先がこの刃受面に当接するように構成すると装置は比較的簡素で確実に裁断することが可能である。しかし、この場合切断したシート屑が刃受け部材に付着して容易に除去できない問題が発生する。この切断屑が刃受け面に付着した状態でシートの裁断を続けると正確に裁断できなかったり、切断刃を破損したりする原因となる。そこで従来はシート裁断の仕上がり状態を見て異常と判断した場合に装置を診断して切断屑の付着を発見し、使用者が取り除いている。
【0005】
一般に切り屑などはエアーを吹きかけて飛ばすことが知られているが、切り屑が飛散する問題と刃受け面に付着した切り屑は容易に除去できない問題が生ずる。これはシート束の一端を接着糊で綴じたシート束のときにはこの糊塗布部が切断されて刃受け面に押し付けられて付着する場合と、切断刃で刃受け面に形成された溝にシートが押し込まれる場合でいずれも容易に除去できない。
【0006】
そこで本発明は、シート束を平刃カッタで裁断する際に、シート束の背面側に設ける刃受け面に付着した切り屑を簡単な構造で確実に除去することの可能なシート断裁装置及びこれを用いた製本装置の提供をその主な課題としている。更に本発明は切り屑の除去に一般的に用いられているエアー装置を用いることなくその構造も小型コンパクトであり、消費電力も低電力でかつ安価な装置の提供もその課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため本発明は以下の手段を採用したものである。尚、本発明にあって「切断位置」とは裁断刃の刃先がシート(束)を貫いて剪断を完了した位置(図6(b)参照)を云い、「裁断位置」とはシート束を裁断刃で裁断する位置(図6(c)に示すX−X)をいう。そこで本発明は、シート束を所定の裁断位置に保持するシート保持手段と、上記裁断位置に配置されシートと距離を隔てた待避位置と切断位置との間で移動自在の裁断刃と、上記シートを介して上記裁断刃と対向配置され、上記裁断刃と接する刃受面を有する刃受け部材とを備える。そして上記裁断位置の下流側近傍に配置され上記裁断刃で切断されたシート屑を上記刃受面から除去するスイーパ部材を設ける。これによって裁断刃の刃先が当接する刃受け部材の刃受面に付着した切断屑はスイ−パ部材で確実に除去され、刃受面に切断屑が残って後続するシート裁断の際切断線が曲がるなどの問題が生ずることがなく、また紙詰まりなどの問題が生ずることがない。
【0008】
また、上記スイーパ部材の構成は、例えば刃受面の内部から表面外側に移動自在の押出片を設けてアクチュエータなどで移動するか、或いは刃受面に接触及び離反自在の回転ブラシを配置することによって簡単な構造で切断屑を除去することが出来る。更に、上記刃受面を裁断刃の移動方向と略々直交する方向に移動自在に配置し、その下流に設けたスイーパ部材で刃受面に付着した切断屑を移動して除去するように構成することも可能であり、この場合は切断刃に当接する刃受面の損耗状態に応じて刃受位置を変更することが出来る。
【発明の効果】
【0009】
本発明は、所定の裁断位置に保持したシート束をシートと距離を隔てた待避位置と切断位置との間で移動自在の裁断刃で切断する際に、この裁断刃が突き当たる刃受面から切断されたシート屑を除去するスイーパ部材を設けたものであるから、切断刃の刃先が刃受面に刻設する溝に付着した切断屑を確実に除去することが出来る。特に、シートを綴じ合わせた接着糊で切断屑が刃受面に付着した場合その除去が困難であるのに対し、これを容易に除去することが出来、装置をジャムとして停止することなく効率的に稼働させることが出来るなどの効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明を図示の実施形態に基づいて詳述する。図1は本発明に係わるシート断裁装置を組み込んだ画像形成システムの全体構成図を示す。また図2はシート裁断ユニットの要部説明図であり、図3は図2の装置の平面説明図である。
【0011】
「画像形成システムの構成」
図1に示す画像形成システムは、画像形成装置(図示のものは複写機)Aと、この画像形成装置の排紙口に連接された製本装置(製本部)Bと、この製本装置Bの下流側に配置された後処理装置(後処理部)Cとから構成され、製本装置Bには本発明に係わるシート断裁装置がユニットとして組込まれている。製本装置Bは画像形成装置Aの排紙口からのシートを受取って一連の文書を束状に集積し、その束状シートの一側縁(背部)に糊付けして表紙シートと綴じ合わせる。次いでこの冊子状に綴じ合わせたシートの周縁を所定量裁断して収納スタッカに集積する。また後処理装置Cは製本装置に付設され、製本処理しないシートを受取ってステプル綴じ、パンチ(穿孔処理)、スタンプ(捺印処理)などの後処理を施すように構成されている。また図示の後処理装置Cは画像形成装置Aで画像形成したシートを収納する排紙スタッカを備えている。
【0012】
まず図1に示す画像形成装置Aを説明すると、画像形成装置Aは本体装置2内に設けられた画像形成部3と、この本体装置2の上部に配置された画像読取装置(スキャナユニット)7と、原稿供給装置(ADFユニット)5とから構成されている。本体装置2には画像形成部3が設けられ、給紙部9から搬送ローラ10を介して供給される普通紙やOHPシート等のシートに画像を形成する。例えば画像形成部3は、感光体ドラム8に光照射手段13で静電潜像を形成し、現像器でトナーを付着してシート上に転写する。このシートは定着器6で定着され排紙口19から搬出される。また、両面印刷のときは片面に印刷したシートをスイッチバック経路17で表裏反転して循環経路18から再び感光体ドラム8に送り裏面に印刷して排紙口19から搬出する。尚図示12はシートの手差し供給口であり、例えば表紙シートなどの厚紙、コーティングシートなどの特殊シートを供給する。
【0013】
このように構成された本体装置2にはその上部に画像読取装置(スキャナユニット)7が配置されている。この画像読取装置7はプラテンに載置した原稿を光電変換素子でスキャンして画像データを本体装置2のデータ貯蔵部14に転送する。更に画像読取装置7には上記プラテンに原稿を自動的に給送する原稿供給装置(ADFユニット)5が付設してある。この原稿供給装置5は給紙トレイにセットした原稿を1枚ずつ分離して上記プラテンに自動的に給送する。なお、このような画像形成装置は広く用いられ、種々の構造のものが知られているが、図示の静電印刷方式に限らず、スクリーン印刷、インクジェット印刷などの方式が採用可能である。
【0014】
「製本装置の構成」
上記画像形成装置Aの排紙口19には製本装置Bが付設されている。図1にその詳細を示すように、シートを束状に積載収納する集積部42と、接着剤塗布部22と、表紙接着部60と、裁断部23と、収納スタック部34とを備えている。そして画像形成装置Aの排紙口19に連なるシート搬入経路T1から画像形成されたシートを受け入れ、集積部42で一連のシートを束状に集積して整合した後、接着剤塗布部22でこの束状シートの一側縁に糊付け処理を施し、表紙接着部60で表紙シートと一体に綴じ合わせる。この接着剤塗布部22と表紙接着部60とで「シート綴じ手段」を構成している。その後、裁断部23でこの冊子状シートの周縁をカットして仕上げる一連の製本処理を施す構成になっている。特に図示の装置は、集積部42ではでシートの集積と整合を略々水平姿勢で行い、このシート束を90度旋回して略々鉛直姿勢で糊付け、表紙シートとの綴じ合わせ、シート周縁の裁断揃えを、略々鉛直姿勢で順次処理することを特徴としている。このようにシートを水平方向から垂直方向に移送することによって装置をコンパクトに構成している。
【0015】
また、上記シート搬入経路T1にはシートを上記集積部42に導く搬送経路T2と、後処理装置Cに導く搬送経路T3が経路切替フラッパ27を介して図示のように連接してある。尚、図1に示す製本装置Bは表紙シートを画像形成装置Aから供給する構成を示しているが、シート搬入経路T1に表紙シートを自動的に供給するインサート装置を設け、このインサート装置から表紙シートを供給する構成にしても良い。図示25および29は各経路に配置した搬送ローラである。そしてこのように構成された装置は、上記経路切替フラッパ(切換手段)27によって、画像形成装置Aからのシートを直接後処理装置Cの排紙トレイ35に搬出する通常の排出モードと、画像形成装置Aからのシートを搬入経路T1から搬送経路T2に送り接着剤塗布部22で糊付け処理した後、製本綴じして非裁断状態で仕上げる製本モードと、この製本後のシートの縁部を裁断して切り揃える製本・裁断モードとでそれぞれ実行される。
【0016】
以下各構成について説明する。まず製本装置Bは、前記搬送経路T2の排紙口40には、順次シートを積み上げて集積する積載トレイ42aが設けられ、画像形成装置Aから排出された一連のシートを束状に形成する。この積載トレイ42aから集積部42が構成される。図示の積載トレイ42aは、シートの積載方向(図1上下方向)に上下昇降機構によってシート束の厚さに応じてトレイが降下するようになっている。また、積載トレイ42aは略々水平方向で図示のように傾斜配置され、シートの後端側にはシート後端を突当てて整合する規制部材が設けられている。同時に積載トレイ42aにはシートの幅方向を整合する整合手段が配置され、トレイ上に搬出されたシートを搬出方向と直交方向に中央を基準にセンタ基準、若しくは一側縁を基準にサイド基準で整合する整合機構が設けられている。
【0017】
このような構成の積載トレイ42aは、その上に略々水平姿勢で一連のシートが集積されると、図1に矢印で示すように、シートを積載する積載位置から矢印a方向に所定距離降下した第1の位置P1にトレイごと移動する。次いでシート束S1はこのP1位置から直交する矢印b方向に移動され第2の位置P2に繰り出される。そして第2の位置P2には、積載トレイ42aから搬出されたシート束S1の端部を保持するグリッパ55a、55bが設けられている。このグリッパ55a、55bは上記シート束S1を水平姿勢から略々鉛直姿勢に偏向して下流側に配置されている接着剤塗布部22に搬送する。これと同時に把持したシート束の厚さを検知する厚さ検知手段Saが設けられている。図示のグリッパ55a、55bは、図4に示すようにシート束S1の糊付け端面の近傍を把持するメイングリッパ56a、56bと、このメインクグリッパ56a、56bにシートを案内しシート中央部を支持するサブグリッパ57a、57bとから構成されている。
【0018】
この各グリッパ55a、55bは、装置フレームに軸130を中心に回動自在のユニットフレーム131に取付けられ、このユニットフレーム131は旋回モータ135で図示扇形ギア136を回転することによって所定角度回転する。このユニットフレーム131に一方のメイングリッパ56aが固定され、他方のメイングリッパ56bはロッド137でユニットフレーム131の軸受けガイド138に支持されている。そしてロッド137にはラック139が設けてあり、このラック139にグリップ制御モータ140が連結してある。そして各メイングリッパ56a、56bにはサブグリッパ57a、57bがそれぞれ取り付けてある。また、サブグリッパ57a、57bはメイングリッパ56a、56bに回動自在に軸141で支持され、図示しないロック爪で回動を阻止される。これはサブグリッパ57a、57bで把持したシート束S1をサブグリッパ57a、57bを回動させることによって姿勢矯正(スキュ修正)する為であり、スキュ修正した後はロック爪で固定して両者一体にシート束S1をクランプする。従ってシート束S1の姿勢を矯正する必要のないときはメイングリッパ56a、56bとサブグリッパ57a、57bは一体に構成しても良い。
【0019】
そこでこのように構成したグリッパ55a、55bには把持したシートの厚さを検出する厚さ検知手段Saが例えば以下の位置検出センサ(図示せず)で構成されている。前記可動側のメイングリッパ56bにはこれを支持するロッド137をユニットフレーム131に設けた軸受けガイド138に位置検出センサ(図示せず)が内蔵されている。この位置検出センサはスライダック抵抗器で構成され、ロッド137に形成したフラッグの位置によって抵抗値が変化してその移動量が検出できるようになっている。同時にこの可動側のメイングリッパ56bに支持されたサブグリッパ57bにはグリッパがシート束S1を把持した状態を検出するグリップセンサ142がシート側に突出したフラグをホトセンサで検出する通常の構成で配置されている。
【0020】
従ってグリップ制御モータ140を駆動して可動側のメイングリッパ56bを圧接方向に移動しシート束S1をグリップするとその動作をグリップセンサ142が検出し制御モータ140を停止する。すると厚さ検知手段Sa(図示せず)の抵抗値からメイングリッパ56a、56bの位置が検出できシート束の厚さが算出できることとなる。このような構成の他、シート束の厚さを検出する方法としては例えば搬送経路T2の排紙口40にシート検知センサを配置し、このシート検知センサでシート後端を検出した信号をカウントするカウント手段を設け、このカウント手段のカウント値に例えば平均的なシート単体の厚さを乗ずる演算手段とから構成することも可能である。この場合はカウント手段及び演算手段を制御CPU内に構成することが出来、構造が簡単となる。
【0021】
このように厚さ検知手段Sa若しくはカウント手段で検出した「シート束の厚さ」情報は後続する各種制御に使用する。図示装置は、「シート束の厚さ」に応じて(1)後述の接着剤塗布手段(後述の塗布ローラ66b)でシート束に塗布する糊付け量を調節する。また(2)切断刃120aでシートを切断する際に、その待機位置を調節するか若しくは所定の待機位置からの起動タイミングを調節する。このように、シート束の厚さ検知を装置の上流側で検出すると、後続する下流側の各種制御にシート束の厚さに応じた最適の動作を実行させることが出来る。
【0022】
次に接着剤塗布部22は、接着剤(例えば、糊)を収納する糊容器66aと、この糊容器66aに収納された接着剤をシート束S1の端縁に塗布する塗布ローラ66bとから構成された接着手段66を備えている。この接着手段66はグリッパ55a、55bに保持され略鉛直姿勢のシート束S1の下端縁に糊などの接着剤を塗布する。このため図示の糊容器66aは図1において紙面表裏方向に移動自在にシートの長さサイズより長い経路でガイドレール(図示せず)に支持され、シート束S1の下端縁に沿って移動する塗布領域と、この塗布領域の外側の待機位置と接着剤の補充を受ける補充位置との間で移動自在に構成されている。
【0023】
また、上記糊容器66aには耐熱ゴムなどの糊を含浸する塗布ローラ66bが設けられ、この塗布ローラ66bは図示しない駆動モータで回転し、糊容器66aがシート束S1の端面に沿って移動する際にこのシートとの間に少許のギャップを形成する。そしてこのギャップをシート束の厚さに応じて変更することによって糊付け量を調整するようになっている。
【0024】
上記接着手段66が待機位置に位置付けられるとシート束S1の搬送経路T4が確保され、糊付け処理されたシート束S1はグリッパ55a、55bにより表紙接着部60へと送られる。表紙接着部(表紙シート綴じ部)60は搬送経路T3と、搬送経路T4との交差部に設けられ、搬送経路T3には表紙シートが搬送され、シート中央が交差部に位置するように準備されている。そこで表紙シートとシート束S1とは逆T字状に表紙シートの中央(シートセンタ)にシート束S1が一致するように合わせられて接合される。尚この接合の際、搬送経路T3にはバックアッププレート59が準備されている。尚、この場合の表紙シートの給送は画像形成装置Aから例えばタイトルなどを印刷されて供給する場合と、シート搬入経路T1に設けたインサータ装置から供給する場合がある。このように位置決めされバックアッププレート59で支持された表紙シートに対し、接着剤が塗布されたシート束S1の端縁がグリッパ55a、55bによって上側から鉛直方向で押し付けられる。その後、表紙シートおよびシート束S1は、バックアッププレート59に突当てられた状態で、スライド自在な背折り板によって両側からプレスされる。これにより、表紙シートには、シート束S1の厚さに応じた折り目(背部)が形成される。
【0025】
次に、バックアッププレート59が搬送経路T4から外部に移動して退避すると、グリッパ55a、55bは、表紙が接着されたシート束S1を挟持したまま下方の裁断部23へと引き渡す。この裁断部23には折りロールとして一対の搬入ローラ113が設けられグリッパ55a、55bから搬送されたシート束S1を引き継いで下流側のシート裁断部23に送る。この搬送と同時にローラ113は表紙シートにシート束S1を折合わせる。
【0026】
「シート断裁装置」
次に、図2乃至図8に基づいて裁断部23について説明する。裁断部23は、裁断ステージと、裁断手段125とから構成され、裁断ステージは例えば後述の回転テーブル121とこれにシートを挟圧するグリッパ122とで構成され、裁断手段125は、例えば後述の裁断縁プレス手段120b、120cと裁断刃120aとから構成されている。上記搬入ローラ113の下流には表紙接着部60からのシート束S1の所定個所を裁断して収納スタック部34に搬出する搬送経路T4が設けられている。この搬送経路T4は一対の搬送ガイド119a、119bで前記搬送経路T3が略々水平方向であるのに対し略々鉛直方向に互いに交差するように配置されている。
【0027】
搬送経路T4には回転テーブル121と、グリッパ122とが搬送ガイド119を挟んで対向する位置に配置され、この回転テーブル121と、グリッパ122とでシート保持手段が構成されている。この回転テーブル121とグリッパ122とは、シート束S1を把持した状態で旋回動自在に構成され、装置フレームに昇降自在に支持されたユニットフレーム122cに組み込まれている。回転テーブル121はシート中央部を支持する円盤状部材を回転モータ121bで回転可能に構成され、これと対向する位置にグリッパ122が配置されている。このグリッパ122はグリッパ駆動モータを備えたグリッパ移動機構122aで回転テーブル121に接近および離反自在に支持され、回転テーブル121の回転に追従して回転するように構成されている。また、上記回転テーブル121とグリッパ122とを支持するユニットフレーム122cは装置フレームに昇降機構121aで図2上下方向に移動自在に構成されている。
【0028】
従って搬入ローラ113から搬送ガイド119に送られたシート束S1は回転テーブル121とグリッパ122とで把持され、回転テーブル121の回転で図2の鉛直姿勢で旋回し、シート束S1の所定位置(天部、地部、小口部)を下流側の裁断位置X−X(図6(c)参照)に臨ませ、昇降機構121aで所定量移動することとなる。また、回転テーブル121にはシート束S1が存在するか否かを検知するシート検知センサSsが、グリッパ122にはグリッパ移動機構122aがシート束を把持する押圧動作の完了を検知するグリップエンドセンサSgが配置されている。
【0029】
上記回転テーブル121の下流側にはシートの裁断位置X−Xに裁断縁を挟圧保持する裁断縁プレス手段120b、120cと裁断刃120aが以下の構成で配置されている。まず裁断位置(図6(c)で示すX−X)には刃受け部材150が設けられ、この刃受け部材150に対向して平刃状の裁断刃120aが後述する構造で切断動作を行うようになっている。この刃受け部材150はシート裁断時の剪断力に打ち勝つようなブロック部材で構成され、その表面には刃受面150aが合成樹脂、ゴムなどの軟質材で設けられている。これはシートを切断した後に刃先は勢いよく刃受け面に突き当り、このとき刃先を損傷しないためである。
【0030】
そしてこの刃受け部材150と対向する位置に図7(a)に示すシート束S1の切断縁を押圧支持する裁断縁プレス手段120b、120cが配置してある。この裁断縁プレス手段は押え部材120cと可動加圧板120bと加圧機構とで構成され、まずシートと接して押圧する押え部材120cはシートの切断方向にその全長に当接する板状部材で構成され、可動加圧板120bに固定してある。可動加圧板120bは回転軸(図示せず)を中心に回転自在で且つ、図7(b)矢印方向に移動自在に装置フレームに取り付けてある。そして可動加圧板120bには長手方向左右に一対の加圧機構が設けられている。この左右の加圧機構は同一構造で加圧モータ153と、このモータに連結された減速伝動歯車154と、この歯車に連結したボールネジ155と、このボールネジ155に噛合したスライダ156と、このスライダ156に固定したベルト157と、このベルト157を架け渡した可動プーリ158と、加圧スプリング159とから構成されている。
【0031】
前記可動加圧板120bは加圧ロッド160を介して可動プーリ158に連結され、この可動プーリ158は装置フレームに図7(b)矢印方向に移動自在に支持され通常の動滑車の構造になっている。そしてこの可動プーリ158に懸架されたベルト157には一端に加圧スプリング159が連結され、他端はスライダ156に固定されている。従って加圧モータ153を駆動してボールネジ155を回転するとスライダ156が図7(a)のシート束S1から離間した待機位置から同図(b)のシート束S1を押圧する位置に移動する。このように左右1対設けられた加圧モータ153をそれぞれ駆動することによってその駆動力の倍の押圧力が加圧ロッド160から可動加圧板120bに伝達されることとなる。このとき可動加圧板120bは回転軸を中心に回転自在に構成され、左右からそれぞれ加圧モータ153で牽引する可動加圧板120bは従動回転して片当たりすることなくシート束S1の全長を均一に加圧する。
【0032】
尚、前記減速伝動歯車154には前記ボールネジ155を高速回転する電磁クラッチ161と、低速回転する電磁クラッチ162が組込まれている。また、前記加圧スプリング159には所定の加圧力を付与した加圧センサが設けてあり、また可動加圧板120bにはシート束S1と当接した状態を検知する接触センサが配置してある。これ等の構成は詳細に図示しないが、上記加圧センサSpは一端を装置フレームに固定した加圧スプリング159の延び量を検出するようにスプリングの可動端に従動するフラグを設け、これをホトセンサなどで検知する構成を採用すれば良く、また接触センサは押え部材120cにシート側に突出するフラグを設け、このフラグをセンサで検知する構成を採れば良い。
【0033】
上記構成の裁断縁プレス手段120b、120cの制御について説明すると、可動加圧板120bは押え部材120cと共にシートから退避したホームポジションに待機している。そしてシート束S1が前述の回転テーブル121とグリッパ122とで裁断位置にセットされた信号を受けて加圧モータ153を駆動する。このときボールネジ155は高速側の電磁クラッチ161で予め設定された高速度で回転し、押え部材120cは高速でシート束S1に接近し、接触センサがシートに接触したのを検知し、この信号で低速側の電磁クラッチ162に切り換えられボールネジ155は低速で回転し押え部材120cは低速でシート束S1を押圧する。
【0034】
次いで加圧スプリング159が所定の加圧力を付与すると加圧センサSpがこれを検知し加圧モータ153を停止する。するとボールネジ155とナットの歯合摩擦でその位置に停止する。シート束S1の裁断後は加圧モータ153を逆転すると加圧スプリング159の蓄力で押え部材120cは原位置に復帰し、シートへの加圧力が解除される。尚このときクラッチは高速側の電磁クラッチ161でボールネジ155は高速で回転し押え部材120cは高速で復帰する。このように押え部材120cの移動を無負荷時は高速で負荷時は低速で駆動することによりシートを棄損することなく確実に押圧するのと同時に加圧動作を短時間で効率的に行うことが出来る。
【0035】
次に、裁断刃120aは平刃カッタで構成され、図2に示すように回転テーブル121の下流側の裁断位置(図6(c)にX−Xで示す)に配置され、図示水平方向に往復動自在に構成されている。その構成を図5に示す。裁断位置で水平方向に移動する裁断刃120aは装置フレームにガイド支持されている。そして裁断刃120aはガイドピン170と、カムピン171a、171bが植設され、ガイドピン170はフレームの逃げ溝172に挿通し、カムピン171a、171bはフレームに形成したカム溝173a、173bにそれぞれ嵌合してある。そこでガイドピン170には図示左右方向に移動するスライド部材174の係合溝174aが嵌合してあり、スライド部材174にはボールネジ(以下スクリュネジという)175が嵌合してある。このスクリュネジ175には正逆転可能なDCモータで構成されたカッタ駆動モータ176が高速側電磁クラッチ177aと低速側電磁クラッチ177bを介して連結してある。
【0036】
従ってカッタ駆動モータ176を駆動回転するとスクリュネジ175が回転し、スライド部材174を軸方向に移動し、高速側電磁クラッチ177aでは高速で、低速側電磁クラッチ177bでは低速で移動する。このスライド部材174の移動でガイドピン170も軸方向に移動する。例えばカッタ駆動モータ176を時計方向に回転するとガイドピン170は図示右方向に移動し、反時計方向に回転すると図示左方向に移動し、このガイドピン170を植設した裁断刃120aも同方向に高速又は低速で移動する。
【0037】
そして、この裁断刃120aには左右に対を成すカムピン171a、171bが植設され、カム溝173a、173bに係合して図示上下方向に移動するようになっている。特に図示のカム溝173a、173bは裁断刃120aが右に移動するとき案内する右カムC1a、C1bと左に移動するとき案内する左カムC2a、C2bがそれぞれ傾斜方向を異ならせて配置されている。従って図示位置Hp(ホームポジション)から裁断刃120aが右に移動すると右カムC1a、C1bに沿って裁断刃120aは右方向に移動しながら降下して切断位置Cpに移動する。同様に裁断刃が左に移動すると左カムC2a、C2bに沿って左に移動しながら徐々に降下し切断位置Cpに移動する。そして左右対を成す右カムC1a、C1bと左カムC2a、C2bとはそれぞれ傾斜角度(位相差)を異ならせて裁断刃120aを右に移動するときには図8(a)のように傾斜させ、左に移動するときには図8(c)のように傾斜させる。尚このカムは図5(b)のホームポジションHpと切断位置Cpでは裁断刃120aを水平姿勢にする。
【0038】
つまり裁断刃120aは右移動のとき水平姿勢から徐々に右端が低くなるように傾斜して徐々に降下し水平姿勢で切断位置Cpに至り、左移動のときにも同様となる。このように裁断刃120aを傾斜させたのはシート束S1をその一端から他端に徐々に切り進むようにするためであり、右傾斜と左傾斜にしたのは糊綴じ端の背部から小口部に切断するためであり例えば右傾斜で天部を裁断し、左傾斜で地部を裁断するためである。これは糊綴じした背部から反対側の小口部に向かって裁断することによって最も負荷の大きい背部(糊綴じ部)を先に裁断し、比較的負荷の小さい小口部で刃の側部に加わる切断済みのシート端面の摩擦負荷を受けるようにするためである。このよう裁断刃120aを切断方向に向かって傾斜させて徐々に切り進むことによって切断負荷を最小限にして装置の小型、軽量化を図っている。尚、上記右カムC1a、C1bと左カムC2a、C2bは裁断刃120aをそれぞれ反対方向に傾斜させることとなるがシートに対する傾斜角度は左右同一角度でこの剪断角度は例えば30度など実験により好適な角度に設定してある。
【0039】
以上の構成の裁断刃120aは次の切断動作を行う。
(1)シート天部の裁断
まず装置起動時には裁断刃120aはシート表面から離間したホームポジションHpに位置する(図6(a))。このホームポジション位置は裁断刃120aに形成したフラグF1をポジションセンサN2で検知する。前記搬入ローラ113でシートが搬入されるタイミングでカッタ駆動モータ176を回転し裁断刃120aを右カムC1a、C1bに沿って切断位置Cpに移動する。この移動は高速側電磁クラッチ177aで高速移動し、裁断刃が切断位置Cpに至ったのをポジションセンサN1で検知して停止する。この状態で切断位置Cpの裁断刃120aにシート束S1の下端が突き当たって位置決めされ、前述の回転テーブル121とグリッパ122とでシート束S1を把持し、グリッパ122のグリップエンドセンサSgがグリップ完了を検出すると、その信号からカッタ駆動モータ176を高速側電磁クラッチ177aで逆回転させると裁断刃120aは高速で待機位置Wp(Wp1またはWp2)に戻る。次いで回転テーブル121とグリッパ122がシート束S1を90度回転させシート束S1の天部S1bを裁断位置にセットする。
【0040】
するとこのセット完了の信号から再びカッタ駆動モータ176を低速側電磁クラッチ177bで低速回転させスクリュネジ175を図5右側に移動して右カムC1a、C1bに沿って裁断刃120aを移動する。すると図8(a)の状態で裁断刃120aは背部S1aを先に徐々に小口部S1c側に切り進み切断位置Cpに進んで切断を終える。この裁断刃120aが切断位置Cpに到達したのをポジションセンサN1が検知し、モータを停止する。これと同時にカッタ駆動モータ176を高速側電磁クラッチ177aで逆回転し、裁断刃120aがホームポジションHpに復帰するとポジションセンサN2がこれを検知して停止する。
【0041】
(2)地部の切断
この裁断刃120aの復帰と並行して回転テーブル121とグリッパ122とはシート束S1を180度回転し地部S1dを下向きに図8(b)の状態にセットする。このシート束S1の旋回と裁断位置へのセットの過程でカッタ駆動モータ176を先と逆方向に高速側電磁クラッチ177aで回転し、左カムC2a、C2bに沿って裁断刃120aは待機位置に高速移動して停止待機する。シート束S1の裁断位置へのセット完了信号を受けてモータ176を同方向に低速側電磁クラッチ177bで低速回転する。すると裁断刃120aは先と逆方向に背部S1aから小口部S1cに徐々に切り進み切断位置Cpに到達する。すると先と同様にカッタ駆動モータ176を高速側電磁クラッチ177aで逆転し裁断刃120aは待機位置Wp(Wp1またはWp2)に戻る。
【0042】
(3)小口部の切断
そこで回転テーブル121とグリッパ122とはシート束S1を90度回転して小口部S1cを図8(c)の状態にセットする。このときの裁断刃120aはいずれの方向に傾いていても良いので直前の地部S1dと同様に左カムC2a、C2bに沿って切断する。切断終了後はカッタ駆動モータ176を高速側電磁クラッチ177aで逆転して裁断刃120aをホームポジションHpに高速で復帰させその位置に停止保持する。裁断刃120aはこの状態で後続するシート束S1の切断に備える。尚、前記切断縁プレス手段120b、120cは、上記天部S1b、地部S1d、小口部S1cの裁断の際、押え部材120cがシートを押圧保持して切断する状態と、シート束S1から離反して旋回を可能にする退避位置との間で係合・離脱動作を繰り返す。
【0043】
そこで本発明は以上のように構成された裁断部23に以下の構成を採用する。前述のシート束S1は回転テーブル121とグリッパ122で把持され、裁断位置にセットされ、裁断縁プレス手段120b、120cで押圧される。このシート束S1の背面には刃受け部材150が設けられ、切断刃120aの刃先が当接する刃受面150aが設けられている。そして刃受け部材150は剛性に富んだ金属材料で強靱に構成され、刃受面150aはゴム、合成樹脂などの軟質材で構成されている。
【0044】
このような構成で、本発明は刃受面150aに付着する切断屑を除去するスイーパ部材180を以下のように配置する。
【0045】
「第1の実施態様」
まず、第1の実施態様は図9(a)に示すようにスイーパ部材180を前記刃受面150aの内部から表面側に移動自在の押出片181と、これを移動するアクチュエータ182とで構成した場合を示す。そして刃受面150aの下流側近傍には刃受面内側から表面外側に移動自在に押出片181が組み込んである。この押出片181は裁断位置のシート幅(切断幅)方向の全長に渡る板形状であっても、適宜数カ所に櫛歯状の板形状、若しくは丸棒形状、或いはこれ等以外の形状であっても良い。そしてこの押出片181には作動ソレノイドからなるアクチュエータ182と復帰スプリング183とが連結してある。
【0046】
従って、押出片181は図9(a)の刃受面150a内側に位置する状態から、同図(b)の刃受面外側に突出した状態にアクチュエータ182で出没自在となり、同図(a)から同図(b)に移動する過程で刃受面150aに付着した切断屑を突き出して除去することとなる。従って押出片181は裁断位置X−Xからシートの予め設定された最小切断長さより短い位置で裁断位置の下流側に配置する。図示Scは裁断位置のシートが切断され切断屑が落下したのを検知するセンサであり、前述の裁断刃120aが切断位置Cpに至ったポジションセンサN1がONした信号からこのセンサScがOFFする信号でシートの切断完了信号を発し、このセンサScがON状態を維持するとジャムと判断しジャム信号を発する。このとき、図10(c)で示すように刃受面150aに切り屑が挟まれて付着する現象が起きると自重で落下せず、刃受面150aに屑が付着して装置内に残留する恐れがある。そのため、上述のように付着した切断屑を強制的に徐去する必要がある。
【0047】
「第2の実施態様」
次に図10(a)には回転ブラシ185から成るスイーパ部材180で構成した場合を示す。この回転ブラシ185は、前記刃受け部材150の刃受面150aに対し、圧接・離反自在の移動機構に支持されている。前記裁断刃120aを支持する装置フレームに揺動自在にアーム状ブラケット187が取付けられ、このブラケット先端に回転ブラシ185が回転自在に支持され、このブラケット187の基端にはモータ188が設けられている。そしてモータ188の一方向回転で回転ブラシ185は刃受面150aから退避した待機位置から刃受面150aに当接する位置に移動し、同時に図示反時計方向に回転するようにクラッチ機構(図示せず)が設けられている。このクラッチ機構はモータ188を逆方向に回転すると待機位置に復帰するようになっている。従って裁断刃120aが切断位置CpからホームポジションHpに復帰した後、モータ188を回転しブラケット187を移動して回転ブラシ185を回転しながら刃受面150aに圧接する。これによって刃受面150aに付着した切断屑は除去され落下する。
【0048】
「第3の実施態様」
図10(b)は先鋭状のナイフエッジ部材189から成るスイーパ部材180で構成した場合を示し、前記刃受面150aは刃受面移動機構190で上下移動するように構成してある。前記刃受面150aは刃受け部材150と分離した別部材で構成し、刃受け部材150に対し刃受面150aを上下移動自在に構成する。図示のものは刃受け部材150に設けたガイドレール191に刃受面150aを上下動自在に嵌合してある。そしてこの刃受面150aには、上下方向に移動する駆動手段が備えられている。図示の駆動手段は例えばモータ192と、これに連結した電動ベルトとで構成してあり、この伝動ベルトに刃受面150aが連結してあり、このモータ192の回転制御で刃受面150aは図示上下方向に移動するようになっている。一方、刃受面150aには対向する位置にナイフエッジ部材189がソレノイド194で離間位置から圧接位置に移動自在になっている。そして裁断刃120aが切断位置Cpからホームポジション方向に移動する信号でまずナイフエッジ部材189を退避位置から刃受面150aに圧接する位置に移動し、次いでモータ192を回転して刃受面150aを裁断位置からナイフエッジ部材189に向けて移動すると付着した切断屑がナイフエッジ部材189で除去される。
【0049】
このように刃受面150aを移動自在に構成すると、例えば刃受面150aが同じ個所を500回使用すると、図示しない記憶手段により、自動で刃受面150aと切断刃120aの刃先との当接位置を変更することによって消耗の激しい刃受け部材150の交換を少なくすることができる。また図10(b)に示すように、刃受面150aをシート束S1の天部S1bと地部S1dを切断するときの刃先との当接位置Y1と小口部S1cを切断するときの当接位置Y2を異なる位置に設定することも可能であり、このように構成すると天部S1bと地部S1dで2回使用し、小口部S1cで1回使用するため、全使用領域を1:2に分割している。このとき、幅の短い切断屑例えば8mmの屑を処理する場合、切り屑が引っかかっている位置と屑処理位置をできるだけ近くするために、天部・地部の下側(下流側)に小口部を切断するときの刃先当接位置を設定してある。
【0050】
以上、スイーパ部材180の構成について種々説明したが、図10(c)には裁断刃120aが刃受面150aに付着する態様を示し、前述の通りシート束S1を天部、地部、小口部の順に裁断すると、天部S1b、地部S1dの場合にはシート束S1の切断片(裁断屑)は背部S1aを接着糊で接着されているため塊となって付着しその自重で落下する。しかし小口部S1cの切断片はバラバラでその一部が裁断刃120aによって刃受面150aに形成された傷状の溝に図示のように進入して付着する現象が現れる。そこで上記各構成においてスイーパ部材180は前述の図8(a)乃至(c)の動作手順において、小口部S1cを切断した後それぞれ動作される。このときスイーパ部材180は前記センサSc(図6(c)参照)がON状態のときは裁断屑が除去されていないと判断し、再度上記各除去動作を繰り返し、その後も尚センサScがON状態のときは紙詰まりと判断してジャム信号を発し、後続する次の裁断動作を行わないように装置を停止する。尚上記センサScはジャム信号の他、裁断不良として裁断刃120aの損耗状態を例えば前記カッタ駆動モータ176の負荷を検知して裁断刃120aの交換を警告表示する構成にすることも可能である。
【0051】
以上のように裁断が終了し、刃受面150aから裁断屑が除去されると前記センサScがこれを検出して裁断が完了する。すると裁断位置の下流側には屑箱194が配置されている。その構成は図2に示すように、裁断位置の下流には排紙ローラ123が設けられ、収納スタック部34に裁断後のシート束S1を収納する。この収納スタック部34に隣接して屑箱194が配置され、裁断位置から落下する切断屑を屑箱側に案内するワイパー部材195が図2の状態からシート束S1を収納スタック部34に案内するときは時計方向に揺動するように配置してある。なお屑箱194には満タン検知センサSf1、プレ満タン検知センサSf2がそれぞれ配置してある。そしてこのプレ満タン検知センサSf2が切断屑を検知すると、検知信号を基にアラームを発し、使用者にゴミ除去を促す構成としてある。また屑箱194は装置に着脱自在に構成され、この屑箱194が正常な位置に装着されているか否かを検知するセンサ(図示せず)が設けてある。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】本発明の一実施形態を示す画像形成システムの構成図。
【図2】製本装置の詳細構成の説明図。
【図3】図2の装置における裁断部の平面を示す説明図。
【図4】図2の装置におけるシートグリップ搬送機構の説明図。
【図5】図2の装置における断裁刃を駆動するカムの構造説明を示し、(a)は駆動機構を、(b)はカムの動作状態をそれぞれ示す。
【図6】図2の装置における裁断刃と裁断縁プレス手段の動作状態を示し、(a)は退避位置、(b)は作動位置、(c)は裁断位置のシートの状態を示す説明図。
【図7】図2の装置における裁断縁プレス手段の動作状態を示し、(a)はシートから押え部材が退避した退避状態を、(b)はシートを押え部材が押圧する作動状態の説明図である。
【図8】シートの裁断手順を示す説明図であり、(a)は天部の裁断、(b)は地部の裁断、(c)は小口部の裁断を示す。
【図9】図2の装置における裁断位置に付着した切断屑を除去するスイーパ部材の説明図であり、(a)は非作動状態を示し、(b)は作動状態を示す。
【図10】図9のスイーパ部材と異なる形態を示し、(a)は回転ブラシで構成した場合を示し、(b)はナイフエッジで構成する場合を示し、(c)は裁断刃が刃受面に付着する態様を示す。
【符号の説明】
【0053】
S1 シート束
Sa 厚さ検知手段(センサ)
Ss シート検知センサ
42a 積載トレイ
55a グリッパ
55b グリッパ
119a 搬送ガイド
119b 搬送ガイド
120a 裁断刃
120b 裁断縁プレス手段(可動加圧板)
120c 裁断縁プレス手段(押え部材)
121 回転テーブル
122 グリッパ
150 刃受け部材
150a 刃受面
161 電磁クラッチ(高速回転)
162 電磁クラッチ(低速回転)
120a 裁断刃
X−X 裁断位置
Cp 切断位置
170 ガイドピン
176 カッタ駆動モータ
177a 高速側電磁クラッチ
177b 低速側電磁クラッチ
180 スイーパ部材
181 押出片
185 回転ブラシ
189 ナイフエッジ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートを裁断する裁断位置に配置され、シートと距離を隔てた待避位置と切断位置との間で移動自在の裁断刃と、
上記シートを介して上記裁断刃と対向配置され、上記裁断刃と接する刃受面を有する刃受け部材と、を備えたシート断裁装置であって、
上記裁断位置の下流側近傍に配置され上記裁断刃で切断されたシート屑を上記刃受面から除去するスイーパ部材を設けたことを特徴とするシート断裁装置。
【請求項2】
シートを裁断する裁断位置に配置され、シートと距離を隔てた待避位置と切断位置との間で移動自在の裁断刃と、
上記シートを介して上記裁断刃と対向配置され、上記裁断刃と接する刃受面を有する刃受け部材と、を備えたシート断裁装置であって、
上記刃受け部材は少なくとも上記刃受面が上記裁断刃の移動方向と略々直交する方向に移動自在に配置され、
この刃受け部材の移動方向下流側には上記裁断刃で切断されたシート屑を上記刃受面から除去するスイーパ部材を設け、
上記刃受け部材は上記裁断刃のシート切断後に上記刃受面を上記スイーパ部材に臨ませる駆動手段を備えていることを特徴とするシート断裁装置。
【請求項3】
前記刃受け部材は、前記刃受面の前記切断刃と接する当接位置を前記駆動手段で位置変更可能に構成されていることを特徴とする請求項2に記載のシート断裁装置。
【請求項4】
前記スイーパ部材は、前記刃受面の内側から表面側に移動自在に配置した押出片と、この押出片を上記刃受面の内側と表面側との間で往復動させるアクチュエータを備え、前記刃受面に付着したシート屑を上記押出片で外部に押し出すようにしたことを特徴とする請求項1又は2に記載のシート断裁装置。
【請求項5】
前記スイーパ部材は、前記刃受け部材の刃受面に接触および離反自在に対向配置された回転ブラシで構成され、この回転ブラシは刃受面のシート屑を落下する方向に回転する駆動手段を備えていることを特徴とする請求項1又は2に記載のシート断裁装置。
【請求項6】
前記刃受け部材の前記刃受面は前記切断刃に比して軟質材で構成されていることを特徴とする請求項1乃至5の何れかの項に記載のシート断裁装置。
【請求項7】
前記裁断位置にはシート束を保持するシート保持手段が備えられ、
上記シート保持手段は、上記シート束を保持した状態で旋回してシート姿勢を偏向可能に構成され、
前記裁断刃はシートの周縁を天部及び/又は地部を裁断した後、小口部を裁断し、前記スイーパ部材はシートの小口部を断裁後に、上記裁断刃で切断されたシート屑を上記刃受面から除去することを特徴とする請求項1又は2に記載のシート断裁装置。
【請求項8】
シートを束状に綴じ合わせるシート綴じ手段と、
束状に綴じ合わされたシートを裁断するシート断裁装置と、を備え、
上記シート断裁装置は、請求項1乃至7の何れかの項に記載のシート断裁装置であることを特徴とする製本装置。

【図3】
image rotate

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate