説明

シート用運搬用具及びそれを用いたシート運搬品

【課題】シートを容易に運搬でき、かつシートの取り扱い性に優れたシート用運搬用具、及び該シート用運搬用具にシートを収納したシート運搬品を目的とする。
【解決手段】シートを収納する収納本体10と、収納本体10に設けられた肩掛けベルト12とを具備し、収納本体10は、背面部14、及び、背面部14の幅方向の両端からそれぞれ内側に向かって開口を形成するように背面部14に設けられた幅規制部16を有しており、幅規制部16を内包するように収納本体10を長さ方向に半折りにした当該収納本体10の背面部14の一方の外側面を背負い面20とし、背負い面20に、折り返し部22が上側になるように肩掛けベルト12が設けられているシート用運搬用具1。また、シート用運搬用具1にシートを収納したシート運搬品。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シート用運搬用具及びそれを用いたシート運搬品に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、松くい虫による松の集団枯死が全国的に広がっており、大きな被害をもたらしている。この松くい虫による松の枯死は、実際にはマツノザイセンチュウという線虫により引き起こされ、このマツノザイセンチュウがマツノマダラカミキリにより運ばれることで別の松へと次々に伝播していく。
【0003】
このような松の集団枯死の被害を防ぐ方法としては、枯死した松を伐倒した後、それら伐倒材を松くい虫燻蒸シート(以下、「燻蒸シート」という。)で覆い、その場で薬剤により燻蒸し、それらの松に残っているマツノザイセンチュウやマツノダラカミキリの幼虫を駆除する方法が知られている(例えば特許文献1、2)。この松くい虫の燻蒸駆除に用いられる燻蒸シートとしては、薬剤の拡散を防ぐ高いガスバリア性を有するシートや、燻蒸駆除の後に撤去作業を必要としない生分解性のシート等が示されている(例えば、特許文献3〜5等)。
【0004】
松くい虫の燻蒸駆除は、通常、大きなサイズ(例えば、幅4m×長さ30m程度)の燻蒸シートを松の伐倒現場まで運び、該燻蒸シートを燻蒸駆除に必要な大きさごと(4m程度の正方形)に切り取って伐倒材を覆った後、薬剤を注入することにより行なわれる。そのため、運搬の際の燻蒸シートは非常に大きく、従来は短手方向(幅2m)に半折りしたものを紙管に巻き回した状態で肩に担いで運んでいた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001−25347号公報
【特許文献2】特開2003−23947号公報
【特許文献3】特開2005−103872号公報
【特許文献4】特開2005−154456号公報
【特許文献5】特開2006−246786号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、このような方法では、紙管に巻き回した状態の燻蒸シートが15kg程度と重いことから、運搬時及び燻蒸処理時における燻蒸シートの取り扱い性が悪かった。また、それらを積み上げることが困難であるため、保管が困難である上、保管スペースも大きくなっていた。
また、燻蒸シートの運搬方法としては、燻蒸シートを小さく折り畳んだものを紙袋等に収納して持ち運ぶことが考えられる。しかし、紙袋等に収納しただけでは運搬し難く、また燻蒸処理後に燻蒸シートの未使用の部分を折り畳んで再度梱包する作業は煩雑である。例えば、通常開梱する際には袋の口止めテープは雑に扱われるため、その口止めテープを再利用することは不可能である。
以上のような理由から、燻蒸シートを容易に運搬することができ、燻蒸処理時において煩雑な作業を必要としない燻蒸シートの運搬用具が望まれている。
【0007】
そこで本発明は、燻蒸シート等のシートを容易に運搬することができ、かつシートの取り扱い性に優れたシート用運搬用具を目的とする。また、該シート用運搬用具にシートを収納したシート運搬品を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の松くい虫燻蒸シート用運搬用具は、シートを収納する収納本体と、該収納本体に設けられた肩掛けベルトとを具備するシートの運搬用具であって、
前記収納本体は、背面部、及び、該背面部の幅方向の両端からそれぞれ内側に向かって、開口を形成するように背面部に設けられた、収納本体の幅方向へのシートのずれを規制する幅規制部を有しており、
前記幅規制部を内包するように前記収納本体を長さ方向に半折りにした当該収納本体の前記背面部の一方の外側面を背負い面とし、
該背負い面に、半折りした折り返し部が上側になるように前記肩掛けベルトが設けられていることを特徴とする運搬用具である。
【0009】
また、本発明のシート用運搬用具は、前記背負い面に、該背負い面の形状を維持する背板が設けられていることが好ましい。
また、前記収納本体に、半折りにした該収納本体の間に挟まれ、収納された前記シートの位置を規制する挟板が設けられていることが好ましい。
【0010】
また、本発明のシート運搬品は、長尺の帯状のシートを、その長手方向に沿ってガゼット折りした後、さらに長手方向に蛇腹状に折り畳んだ折畳シートが、該シートの長手方向が前記収納本体の幅方向に沿うように、前記いずれかのシート用運搬用具に収納されている運搬品である。
また、本発明のシート運搬品は、前記シートが松くい虫燻蒸用のシートであることが好ましい。
【発明の効果】
【0011】
本発明のシート用運搬用具は、燻蒸シート等のシートを容易に運搬することができ、かつ収納したシートの取り扱い性にも優れている。
また、本発明によれば、前記シート用運搬用具にシートを収納したシート運搬品を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明のシート用運搬用具の実施形態の一例を示した斜視図である。
【図2】図1のシート用運搬用具の開かれている様子を示した斜視図である。
【図3】図2のシート用運搬用具にシートが収納された様子を示した斜視図である。
【図4】本発明のシート用運搬用具からシートを取り出す様子を示した斜視図である。
【図5】本発明のシート用運搬用具の収納本体を半折りにしている様子を示した斜視図である。
【図6】本発明のシート用運搬用具の他の実施形態例を示した斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明のシート用運搬用具は、シートを収納する収納本体と、該収納本体に設けられた肩掛けベルトとを具備する。以下、本発明のシート用運搬用具の実施形態の一例を詳細に説明する。
本実施形態のシート用運搬用具1は、図1及び2に示すように、シート100を収納する収納本体10と、収納本体10に設けられた一対の肩掛けベルト12とを具備している。
収納本体10や肩掛けベルト12の材質は、リュックサック等に通常用いられるものを使用することができ、例えば、ナイロン等が挙げられる。
【0014】
収納本体10は、図2に示すように、背面部14と、背面部14の幅方向の両側からそれぞれ内側に向かって開口18を形成するように設けられた幅規制部16とを有している。
幅規制部16は、背面部14の幅方向の両端14a、14aからそれぞれ内側に向かって設けられており、その長さ方向の端部16a、16bは背面部14と連結されている。また、背面部14の両端14a、14aから延びるそれぞれの幅規制部16により、シート100を出し入れする開口18が形成されている。このように、背面部14及び幅規制部16によりシート100を収納する収納空間が形成される。
【0015】
また、シート用運搬用具1は、シート100を収納した収納本体10を半折りにした状態で運搬するものである。収納本体10は、幅規制部16を内包するように長さ方向に半折りされ、その半折りされた収納本体10の背面部14の一方の外側面が背負い面20とされる(図1)。また、背負い面20には、半折りにした収納本体10の折り返し部22が上側になるように一対の肩掛けベルト12が設けられる。
【0016】
背面部14の形状は、正方形、矩形等が挙げられる。すなわち、背面部14の長さaと幅bは同じ長さであってもよく、長さaが幅bより長くてもよく、幅bが長さaより長くてもよい。特に、大きなサイズのシート100を折り畳んで収納して運搬する場合、背面部14の形状は、運搬の容易性及びシート100の出し入れ等の取り扱い性に優れる点から、長さaが幅bよりも長い矩形状であることが好ましい。
【0017】
背面部14の長さaは、運搬するシート100の大きさによっても異なるが、50〜150cmであることが好ましい。背面部14の長さaが50cm以上であれば、より大きなサイズのシート100を容易に運搬することができる。また、背面部14の長さaが150cm以下であれば、シート100の運搬が容易になり、かつシート100の取り扱い性も向上する。
【0018】
背面部14の幅bについても、長さaと同様に運搬するシート100の大きさによっても異なるが、40〜80cmであることが好ましい。背面部14の幅bが40cm以上であれば、より大きなサイズのシート100を容易に運搬することができる。また、背面部14の幅bが80cm以下であれば、シート100の運搬が容易になり、かつシート100の取り扱い性も向上する。
【0019】
幅規制部16は、収納したシート100の、収納本体10の幅方向へのずれを規制する役割を果たす。シート100を収納したシート用運搬用具1を背負って運搬する際には、運搬中にシート用運搬用具1が上下左右に揺れるが、幅規制部16により、収納本体10に収納されているシート100が収納本体10の幅方向にずれることを抑制することができる。また、山等の斜面で作業を行なう場合に、シート用運搬用具1を収納本体10の幅方向が斜面方向に沿うように置いたとしても、幅規制部16により、収納本体10に収納されているシート100が斜面を滑り落ちて崩れることが防がれる。
また、幅規制部16の長さ方向の端部16a、16bは背面部14と連結されているため、収納されているシート100が収納本体10から出てしまうことが防止される。
【0020】
幅規制部16の幅c1、c2は、開口18を形成し、かつシート100を収納してその収納本体10の幅方向へのずれを規制できる長さであればよい。また、各々の幅規制部16の幅c1、c2は、開口18の形成、及びシート100の収納本体10の幅方向へのずれの抑制が可能な範囲であれば、それぞれ異なる長さであってもよい。ただし、収納されたシート100が収納本体10の幅方向にずれることを抑制しやすい点、シート100の出し入れが容易で取り扱い性が向上する点から、幅c1及び幅c2を同じ長さとして、収納本体10の幅方向の中央に開口18が形成されるようにすることが好ましい。
【0021】
幅規制部16の幅c1(c2についても同じ。)は、背面部14の幅bとの比(c1/b)が0.1〜0.45となるようにすることが好ましい。前記比(c1/b)が0.1以上であれば、シート100をしっかりと収納してその収納本体10の幅方向へのずれを抑制することが容易になる。また、前記比(c1/b)が0.45以下であれば、開口18の幅d(背面部14の幅bから幅規制部16の幅c1及びc2の合計を差し引いた長さ)を十分に大きくすることができ、シート100の出し入れ等の取り扱い性がより向上する。
【0022】
また、各々の幅規制部16の長さ方向の端部16bは、それらが互いに連結されていることが好ましい。これにより、収納本体10へのシート100の収納が安定になり、また運搬時やシート100の出し入れ時に土等が収納本体10内に入ってシート100が汚れることを抑制しやすい。また、各々の幅規制部16の端部16aについても、端部16bと同様に連結されていることが好ましい。
【0023】
また、前述の収納の安定性の向上、土等によるシート100の汚れの防止の観点から、開口18の長さ方向の端部16b側には、開口縁部18aが設けられていてもよい。開口縁部18aは、前述の効果が得られ、かつ開口18からのシート100の出し入れ等の取り扱い性を悪化させすぎないように設けることが好ましい。
また、開口18の長さ方向の端部16a側についても、同様の開口端部が設けられていてもよい。ただし、挟板24を設けている場合には、該挟板24により、土等でシート100が汚れることを防止する効果を得ることができる。
【0024】
本実施形態のシート用運搬用具1における背負い面20は、幅規制部16を内包するように長さ方向に半折りされた収納本体10における背面部14の一方の外側面である。すなわち、背負い面20は、背面部14の外側面であって、それを長さ方向に二等分した領域のうちの一方の面である。シート用運搬用具は、背面部14の外側面の二等分された領域のうち、どちらが背負い面となっても構わない。
【0025】
背負い面20には、その背負い面20の形状を維持する背板20aが設けられていることが好ましい(図1)。これにより、運搬時の収納本体10の形状、すなわち収納されているシート100の形状が一定に保たれやすく、大きなサイズのシート100であっても収納されている該シート100の形状を崩さずに運搬することが容易になる。収納されているシート100が運搬により型崩れしなければ、その後シート100をシート用運搬用具1から取り出す際に作業がスムーズに行なえる。
【0026】
背負い面20に設ける背板20aは、背負い面20に内装されていてもよく、背負い面20上に直接設けられていてもよいが、背負い面20に内装されていることが好ましい。
また、背板20aの形状は、背負い面20の形状を維持できるものであれば特に限定されず、背負い面20と同形状の1枚の板片であってもよく、複数の骨格を組み合わせてなるものであってもよい。
【0027】
収納本体10の背負い面20には、半折りした収納本体10の折り返し部22が背負ったときに上側になるように、シート用運搬用具1を背負うための肩掛けベルト12が設けられている。
肩掛けベルト12の形態は、収納本体10を背負えるものであれば特に限定されず、リュックサック等に通常用いられる肩掛けベルトを用いることができる。
また、本実施形態例のシート用運搬用具1は、両肩用に一対の肩掛けベルト12が設けられているがこれには限定されず、片肩用に肩掛けベルト12が一つのみ設けられたものであってもよい。
【0028】
また、本発明のシート用運搬用具は、半折りにした収納本体10の間に挟むことによって、収納本体10に収納されたシート100の位置を規制する挟板24が設けられていることが好ましい。
本実施形態では、挟板24は、収納本体10の背負い面20側の長さ方向の端部に形成されており、半折りにした収納本体10に挟んだときにその一端24aが収納本体10の折り返し部22に接触する(図1)。
【0029】
挟板24を設けていない場合、運搬の際に、収納されているシート100の折り返し部22近傍にある部分が重力や運搬による振動等により収納本体10内で若干下がり、このとき該シート100が半折りされている収納本体10内でどちらか一方に偏ると、運搬による振動によりその偏りがより激しくなっていくことで、収納本体10内でのシート100の形状が崩れてしまうおそれがある。しかし、挟板24を用いることにより、収納本体10に収納されたシート100が折り返し部22の部分で挟板24の一端24aに掛けられた状態になって支えられる。そのため、大きな振動が加えられた場合であっても、シート100の折り返し部22近傍の部分が下がって、半折りされた収納本体10内で偏りを生じることを抑制することができる。
【0030】
また、背負い面20に前記背板20aが設けられている場合には、その背板20aと挟板24により、収納本体10の背負い面20側にあるシート100を挟み込むことができるため、収納本体10内でシート100をより安定に固定することができる。そのため、運搬によるシート100の型崩れを抑制する効果がさらに高くなる。
【0031】
また、収納本体10には、図1及び2に示すように、背面部14の折り返し部22の外側面から延びるカバー26が設けられていることが好ましい。カバー26は、運搬時に背面部14の背負い面20と逆側の面28上に垂らすことにより、接触等による収納本体10の損傷を抑制することができる。
また、シート100をシート用運搬用具1に出し入れする際には、カバー26を背負い面20の下に敷いた状態で収納本体10を開くことにより、背負い面20及び肩掛けベルト12が土等で汚れることを防ぐことができる(図4)。
【0032】
また、収納本体10には、半折りした収納本体10を固定するベルト固定具30が設けられていることが好ましい。これにより、半折りした収納本体10をより安定に固定することができ、運搬中にシート100が型崩れすることを抑制しやすくなる。
ベルト固定具30は、特に限定されないが、土等の付着による固定性能の低下を防ぐ点から、ファスナーやマジックテープ(登録商標)よりも、図5に示すような、雄部30aと雌部30bとを装着することにより固定する簡便な固定具であることが好ましい。
ベルト固定具30の数は特に限定されないが、装着の際の混乱及び煩雑な作業を避ける点から、収納本体10を半折りにした状態で安定に固定できる範囲内でできるだけ少なくすることが好ましい。
【0033】
本発明のシート運搬品は、前述のシート用運搬用具にシートが収納されたものである。以下、シート運搬品の実施形態の一例として、前記シート用運搬用具1にシート100が収納されたシート運搬品について説明する。
シート用運搬用具1により運搬するシート100の種類は特に限定されないが、シート用運搬用具1は、特に、松くい虫の燻蒸の際に伐倒現場まで運搬する燻蒸シート等のような大きなサイズの帯状のシート(例えば幅4m×長さ30m程度のシート)の運搬に適している。このような帯状のシート100を折り畳んだものを収納本体10に収納し、半折りした状態で運搬することにより、収納されているシート100を型崩れさせずに容易に運搬することができる。以下、長尺の帯状のシート100のシート用運搬用具1への収納について説明する。
【0034】
長尺で帯状のシート100は、図2に示すように、まず、その長手方向に沿ってガゼット折りにし、さらにそれを長手方向に蛇腹状に折り畳む(以下、折り畳まれたシート100を特に「折畳シート100」という。)。ここで、前記ガゼット折りでは、シート100の短手方向の両方の端縁101が、シート100を短手方向に二等分する中央部分102に向かってそれぞれ折り返されて揃えられ、かつ前記両方の端縁101と前記中央部分102の中間に位置する中間部分103(折り返されて形成された山折部分)が内部側に折り返されて前記中央部分102で揃えられる。
【0035】
このように折り畳まれた折畳シート100は、その長手方向が収納本体10の幅方向に沿うように収納される(図3)。次いで、収納本体10を、幅規制部16を内包するように、かつ挟板24を挟み込んで半折りにし(図5)、ベルト固定具30で固定する。このように、収納本体10が長さ方向に半折りされると、収納本体10内で折畳シート100が中央部分102に沿って半折りされる。
その後、カバー26を面28側へと垂らし(図1)、肩掛けベルト12により背負うことによりシート100を運搬することができる。
【0036】
運搬時の折畳シート100は、幅規制部16により収納本体10の幅方向へのずれが規制されている。
また、収納本体10を半折りして折畳シート100が半折りにされていることで、半折りしていない場合に比べて収納本体10の長さ方向へのずれが抑制されている。つまり、シートを半折りせずに背負う運搬用具の場合、運搬用具を背負ったときの力は、収納されているシートの底の部分で運搬用具からシートに伝わる。そのため、シートの重心部分には直接力が加わっておらず、重力及び運搬における振動等により該シートが底の方にずれて偏ってしまい、シートが型崩れしてしまう。
【0037】
これに対し、折畳シート100を半折りにした状態で背負う本発明のシート用運搬具では、幅規制部16により、折畳シート100を背負う力が折畳シート100の折り返し部分(収納本体10の折り返し部22に位置する部分)にも加わる。折畳シート100の重心は半折りした折り返し部分にあり、本発明のシート用運搬用具では折畳シート100の重心部分に力を加えることができることから、型崩れを抑制して運搬することができる。
【0038】
さらに、挟板24を用い、収納本体10の折り返し部22に一端24aを接触させ、折畳シート100が挟板24に掛けられた状態とすることで、該挟板24により折畳シート100の重心により的確に上向きの力を加えることができる。これにより、シート100が収納本体10内でバランスが取れた状態でより安定に固定されるため、型崩れさせずに運搬することがより容易になる。
また、ガゼット折りにした折畳シート100は、端縁101及び中間部分103が揃えられた中央部分102が他の部分よりも薄くなっているために、中央部分102に沿って半折りにしやすい。また、その中央部分102に沿って挟板24の一端24aを接触させることができるため、運搬時の収納本体10内のシート100がより安定に固定される。
【0039】
運搬後は、カバー26を背負い面20の下に敷いた状態で収納本体10を開き、開口18からシート100を取り出す(図4)。このとき、シート100を前述のように折り畳んでおくことにより、シート100の長手方向の端縁から容易にシート100を幅方向に引き出すように取り出すことができる。また、長尺の帯状のシートであっても使用する分だけ引き出すことができるため、使用後に未使用部分を再収納することも容易である。
例えば、松くい虫燻蒸シートにより松くい虫の燻蒸駆除を行なう場合は、伐倒現場において伐倒材を覆うのに用いる分だけシート100を引き出して切断し、未使用部分を再収納できるため、シートの取り扱い性に優れ、効率良く燻蒸駆除を行うことができる。
【0040】
以上説明した本発明のシート用運搬用具及びシート運搬品は、燻蒸シート等の大きなサイズのシートであっても容易に運搬することができ、かつ収納したシートの取り扱い性にも優れている。
尚、本発明のシート用運搬用具は、図1〜5に例示したシート用運搬用具1には限定されない。例えば、挟板24は収納本体の面28側の長さ方向の端部に設けられていてもよい。
また、挟板24が収納本体10の幅方向の端部に設けられているシート用運搬用具2(図6)であってもよい。シート用運搬用具2における挟板24は、一端24bが収納本体10の折り返し部22に接触するように設けられており、運搬時にシート100を収納した収納本体10が挟板24に掛けられた状態にとなる。ただし、運搬時やシートの出し入れの際にシート用運搬用具を置いたときに、開口18の長さ方向の端の部分から収納本体内に土等が入ってシートが汚れることを防ぎ易い点から、挟板24は収納本体10の長さ方向の端部に設けられていることが好ましい。
【0041】
また、収納するシートはガゼット折りしたものには限定されない。例えば、運搬するシートの短手方向の長さによっては、シートの短手方向の両側のそれぞれの端縁を、該シートを短手方向に二等分する中央部分に向かって折り返して揃え、それを長手方向に蛇腹状に折り畳んだものであってもよい。また、収納本体10と同形状のシートを複数枚積層したものを収納して運搬してもよい。
収納するシートとしては、本発明における収納本体が容易に半折りにできるシートの運搬に適しているため、前述のように方法で折り畳まれていることが好ましい。
【産業上の利用可能性】
【0042】
本発明のシート用運搬用具及びシート運搬品は、松くい虫燻蒸シート等の大きなサイズのシートであっても容易に運搬することができ、かつ収納しているシートの取り扱い性にも優れているため、様々なシートの運搬用具として好適に使用できる。
【符号の説明】
【0043】
1 シート用運搬用具 2 シート用運搬用具 10 収納本体 12 肩掛けベルト 14 背面部 14a 背面部の幅方向の両端 16 幅規制部 16a、16b 幅規制部の長さ方向の端部 20 背負い面 22 折り返し部 24 挟板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートを収納する収納本体と、該収納本体に設けられた肩掛けベルトとを具備するシートの運搬用具であって、
前記収納本体は、背面部、及び、該背面部の幅方向の両端からそれぞれ内側に向かって、開口を形成するように背面部に設けられた、収納本体の幅方向へのシートのずれを規制する幅規制部を有しており、
前記幅規制部を内包するように前記収納本体を長さ方向に半折りにした当該収納本体の前記背面部の一方の外側面を背負い面とし、
該背負い面に、半折りした折り返し部が上側になるように前記肩掛けベルトが設けられていることを特徴とするシート用運搬用具。
【請求項2】
前記背負い面に、該背負い面の形状を維持する背板が設けられている、請求項1に記載のシート用運搬用具。
【請求項3】
前記収納本体に、半折りにした該収納本体の間に挟まれ、収納された前記シートの位置を規制する挟板が設けられている、請求項1又は2に記載のシート用運搬用具。
【請求項4】
長尺の帯状のシートを、その長手方向に沿ってガゼット折りした後、さらに長手方向に蛇腹状に折り畳んだ折畳シートが、該シートの長手方向が前記収納本体の幅方向に沿うように、請求項1〜3のいずれかに記載のシート用運搬用具に収納されているシート運搬品。
【請求項5】
前記シートが松くい虫燻蒸用のシートである、請求項4に記載のシート運搬品。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−168338(P2011−168338A)
【公開日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−56854(P2011−56854)
【出願日】平成23年3月15日(2011.3.15)
【分割の表示】特願2008−188939(P2008−188939)の分割
【原出願日】平成20年7月22日(2008.7.22)
【出願人】(504002300)信越ファインテック株式会社 (8)
【Fターム(参考)】