説明

シート貼付装置及びシート貼付方法

【課題】帯状の剥離シートRLに帯状シートWSが仮着された原反RSの繰出手段2と、帯状シートにエンドレスの切り込みCUを形成して接着シートASを形成する切断手段3と、剥離シートから接着シートを剥離する剥離手段4と、接着シートを被着体WF,RFに押圧して貼付する押圧手段5とを備えるシート貼付装置において、剥離手段での接着シートの剥離不良を確実に防止できるようにする。
【解決手段】原反RSを反繰出方向RDに搬送しながら切断手段3により帯状シートWSに切り込みCUを形成する。更に、接着シートASの繰出方向先端部を浮上げ手段で剥離シートRLから浮き上がらせる。また、切断手段3と剥離手段4との間でダンサローラ29により所定長さの原反RSを貯留し、この貯留された原反RSを反繰出方向RDに搬送して、剥離手段4の配置部での原反RSの反繰出方向RDへの搬送を防止する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体ウエハ等の被着体にダイシングシート等の接着シートを貼付するシート貼付装置及び貼付方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体製造工程においては、回路面が形成された半導体ウエハ(以下、ウエハと記す)をダイシングする際に、ウエハを囲うリングフレームを設け、ウエハ及びリングフレームにダイシングシートを貼付することで、ウエハとリングフレームとを一体化することが行われている。
【0003】
従来、ウエハ及びリングフレームから成る被着体にダイシングシートから成る接着シートを貼付するシート貼付装置として、帯状の剥離シートの一方の面に接着シートの素材となる帯状シートが仮着された原反を繰出し可能な繰出手段と、帯状シートにエンドレスの切り込みを形成して接着シートを形成する切断手段と、切断手段よりも原反の繰出方向下流側に配置され、剥離シートを折り返すことで当該剥離シートから接着シートを剥離する剥離手段と、接着シートを被着体に押圧して貼付する押圧手段とを備えるものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
このものでは、切断手段として、外周面にエンドレスの切断刃を有するダイカットローラを備えており、原反を繰出方向に搬送しつつダイカットローラの切断刃を接着シートに食い込ませて切り込みを形成している。この場合、切断刃の食い込みに伴い、接着シートの接着剤層が剥離シートの内部に入り込む現象が発生する。剥離シートの内部には接着剤の接着を防止する剥離処理が施されていないため、図6に示す如く、剥離手段4で剥離シートを折り返しても、剥離シートRLの内部に入り込んだ接着剤層ADの影響で接着シートASの繰出方向先端部ASaが剥離シートRLから剥離し難くなって、接着シートASの剥離不良を生ずることがある。
【0005】
ところで、従来、特許文献2により、原反を繰出方向の反対方向である反繰出方向に搬送しつつ切断手段たるダイカットローラにより帯状シートに切り込みを形成するようにしたシート貼付装置も知られている。このものは、シート貼付装置の小型化を目的とするものであるが、本願発明者は、以下の効果も得られることを知見するに至った。即ち、原反を反繰出方向に搬送しつつ切り込みを形成すると、接着シートの繰出方向先端部に合致する切り込み部分が最後に形成され、当該部分からダイカットローラの切断刃が抜け出る際に、切断刃が剥離シートの内部に入り込んだ接着剤層を擦り取り、接着シートの繰出方向先端部が剥離シートから剥離しやすくなる。但し、剥離シートの内部に入り込んだ接着剤層を完全には擦り取れないため、接着シートの剥離不良を確実に防止することはできない。
【0006】
尚、特許文献2に記載のものでは、シート貼付装置の小型化のため、剥離手段の近傍に切断手段を配置し、切断手段で切り込みを形成する際に、剥離手段の配置部を含めて原反全体を反繰出方向に搬送し、剥離手段で一旦折り返された帯状シートの部分に切り込みを形成し、この部分で接着シートが形成されるようにしている。ここで、剥離手段で一旦折り返された帯状シートの部分は反繰出方向への搬送時に剥離手段で再度折り返されることになり、この部分で形成される接着シートを傷めたり、剥離シートが繰返し折り返されることで傷んで破断し、原反が繰出し不能になってしまったりする恐れもある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2006−73920号公報
【特許文献2】特開2010−40874号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、以上の点に鑑み、接着シートの剥離不良を確実に防止できるようにしたシート貼付装置及びシート貼付方法を提供することをその課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、被着体に接着シートを貼付する本発明のシート貼付装置は、帯状の剥離シートの一方の面に帯状シートが仮着された原反を繰出し可能な繰出手段と、前記帯状シートにエンドレスの切り込みを形成して前記接着シートを形成する切断手段と、前記切断手段よりも前記原反の繰出方向下流側に配置され、前記剥離シートから前記接着シートを剥離する剥離手段と、前記接着シートを被着体に押圧して貼付する押圧手段とを備え、前記繰出手段は、前記原反を繰出方向及び当該繰出方向の反対方向である反繰出方向に搬送可能に構成されると共に、前記切断手段は、前記反繰出方向に搬送される原反に前記切り込みを形成可能に構成され、前記剥離手段で前記接着シートを前記剥離シートから剥離する前に、前記接着シートの繰出方向先端部を前記剥離用シートから浮き上がらせる浮上げ手段を備えることを特徴とする。
【0010】
本発明において、前記浮上げ手段は、前記接着シートの繰出方向先端部を保持する保持手段を含み、当該保持手段により前記接着シートの繰出方向先端部を保持して当該繰出方向先端部を前記剥離シートから浮き上がらせるように構成してもよい。この場合、前記保持手段を前記切断手段に設けることが望ましい。
【0011】
また、前記切断手段が外周面にエンドレスの切断刃を有するダイカットローラを含む場合、前記浮上げ手段は、前記接着シートの繰出方向先端部に合致する前記切り込みの部分から前記切断刃が抜け出る際の前記ダイカットローラの周速度を、前記原反の反繰出方向への搬送速度よりも速くして、前記接着シートの繰出方向先端部を前記剥離シートから浮き上がらせるように構成してもよい。
【0012】
更に、前記繰出手段は、前記切断手段と前記剥離手段との間で前記原反に所定の張力を付与可能な貯留手段を備え、当該貯留手段によって、前記剥離手段に対する前記原反の繰出方向及び反繰出方向への搬送を生ずることなく、前記切断手段に対する前記原反の繰出方向及び反繰出方向への搬送を行うことと、前記切断手段に対する前記原反の繰出方向及び反繰出方向への搬送を生ずることなく、前記剥離手段に対する前記原反の繰出方向及び反繰出方向への搬送を行うこととの少なくとも一方が可能になるように構成されるか、前記切断手段に対する前記原反の反繰出方向及び繰出方向への搬送と、前記剥離手段に対する前記原反の繰出方向及び反繰出方向への搬送とを時期的に少なくとも一部オーバラップして行うことが可能になるように構成されることが望ましい。
【0013】
また、上記課題を解決するために、被着体に接着シートを貼付する本発明のシート貼付方法は、帯状の剥離シートの一方の面に帯状シートが仮着された原反を繰出す工程と、前記帯状シートにエンドレスの切り込みを形成して接着シートを形成する切断工程と、前記切り込みを形成した後に前記原反を繰出方向に搬送しながら前記剥離シートから前記接着シートを剥離する剥離工程と、前記接着シートを被着体に押圧して貼付する工程とを備え、前記切断工程では、前記原反を繰出方向の反対方向である反繰出方向に搬送しながら前記帯状シートに前記切り込みを形成し、前記剥離工程で前記接着シートを前記剥離シートから剥離する前に、前記接着シートの繰出方向先端部を前記剥離用シートから浮き上がらせる工程を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、原反を反繰出方向に搬送しつつ切り込みを形成することにより、接着シートの繰出方向先端部に合致する切り込み部分において剥離シートの内部に入り込む接着剤層を擦り取ることができる。そのため、接着シートの繰出方向先端部を浮上げ手段により剥離シートから容易に且つ確実に浮き上がらせることができる。その結果、剥離手段での接着シートの剥離不良を確実に防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の実施形態のシート貼付装置の構成を模式的に示す図。
【図2】実施形態のシート貼付装置に設けられるダイカットローラの斜視図。
【図3】実施形態のシート貼付装置の作動を説明する説明図。
【図4】接着シートの先端部を剥離シートから浮き上がらせた状態を示す要部の断面図。
【図5】接着シートの先端部を剥離シートから浮き上がらせた状態を示す他の実施形態の要部の断面図。
【図6】従来装置における剥離手段での接着シートの剥離不良の発生状態を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照して、被着体たるウエハWF及びリングプレームRFにダイシングシートから成る接着シートASを貼付してウエハWFとリングフレームRFとを一体化するシート貼付装置に本発明を適用した実施形態について説明する。尚、本実施形態において基準となる図を挙げることなく、上、下、左、右、時計回転方向、反時計回転方向といった方向を示した場合は、全て図1を基準としている。
【0017】
図1に示すように、本実施形態のシート貼付装置は、ウエハWF及びリングフレームRFを保持して搬送する搬送手段1と、帯状の剥離シートRLの一方の面に接着シートASの素材となる帯状シートWSが仮着された原反RSを繰出し可能な繰出手段2と、帯状シートWSにエンドレスの切り込みCUを形成し、当該切り込みCUの内側に接着シートASを形成するとともに、当該切り込みCUの外側に不要シート部分WSaを形成する切断手段3と、切断手段3よりも原反RSの繰出方向SD下流側に配置され、剥離シートRLを折り返すことで当該剥離シートRLから接着シートASを剥離する剥離手段4と、接着シートASをウエハWF及びリングプレームRFに押圧して貼付する押圧手段5とを備えている。尚、繰出手段2、切断手段3、剥離手段4及び押圧手段5は装置フレーム6に設置されている。
【0018】
搬送手段1は、装置フレーム6よりも下方位置でウエハWF及びリングプレームRFを吸着保持するテーブル11と、テーブル11の下方に設けられ、スライダ12を介してテーブル11を左右方向に搬送可能な駆動機器としての直動モータLMとを備えている。
【0019】
繰出手段2は、原反RSを巻回した状態で保持し、駆動機器としての回動モータDM1で回転駆動される繰出軸21と、繰出軸21と切断手段3との間に配置され、駆動機器としての回動モータDM2で回転駆動される第1駆動ローラ22と、切断手段3よりも原反RSの繰出方向SD下流側に配置され、駆動機器としての回動モータDM3で回転駆動される第2駆動ローラ23と、第2駆動ローラ23と剥離手段4との間に配置された上ガイドローラ24及び下ガイドローラ25と、剥離手段4よりも原反RSの繰出方向SD下流側に配置され、駆動機器としての回動モータDM4で回転駆動される第3駆動ローラ26と、第3駆動ローラ26よりも原反RSの繰出方向SD下流側に配置され、駆動機器としての回動モータDM5で回転駆動される巻取軸27と、駆動機器としての回動モータDM6で回転駆動され、下ガイドローラ25で剥離シートRLから剥離された不要シート部分WSaを巻き取る第2の巻取軸28と、第1乃至第3の各駆動ローラ22,23,26との間に原反RS又は剥離シートRLを挟み込むピンチローラ22a,23a,26aとを備える。尚、繰出軸21と第1及び第2駆動ローラ22,23は、正逆転自在に設けられている。
【0020】
繰出手段2は、更に、切断手段3と剥離手段4との間、具体的には第2駆動ローラ23と上ガイドローラ24との間で、原反RSに所定の張力を付与可能な貯留手段としてのダンサローラ29を備えている。ダンサローラ29は、図示省略した駆動機器としての直動モータにより付勢され、装置フレーム6に形成されたガイド孔29aに沿って上下動可能に設けられている。そして、繰出軸21と第1及び第2駆動ローラ22,23を時計回転方向に回転即ち逆転させる逆転動作が行われたとき、ダンサローラ29の下降によって貯留されていた原反RSが、ダンサローラ29の上昇と共に切断手段3に対し反繰出方向RDに搬送される。このとき、剥離手段4に対する原反RSの反繰出方向RDへの搬送は生じない。尚、貯留手段は、ダンサローラ29以外に、板バネ、巻きバネ、気体を噴出するもの等で構成してもよい。また、貯留手段が貯留する原反RSの長さは、接着シートASの繰出方向SD方向の長さの2倍以上に設定されている。
【0021】
切断手段3は、駆動機器としての回動モータDM7で回転駆動されるダイカットローラ31と、このダイカットローラ31との間に原反RSを挟み込む受けローラ32とを備える。ダイカットローラ31の外周面には、図2に示す如くエンドレスの切断刃31aが設けられている。そして、原反RSが反繰出方向RDに搬送される搬送速度に等しい周速度でダイカットローラ31を回転させることにより、帯状シートWSに接着シートASの輪郭に合致するエンドレスの切り込みCUが形成される。
【0022】
また、ダイカットローラ31には、接着シートASの繰出方向先端部ASa(図4参照)を吸引保持する複数の吸引孔から成る保持手段31bが設けられている。そして、回動モータDM7とダイカットローラ31と保持手段31bとで浮上げ手段が構成される。
【0023】
剥離手段4は、先鋭な剥離板41を備えている。そして、剥離板41の先端で剥離シートRLを急激に折り返すことにより、剥離シートRLから接着シートASが剥離する。
【0024】
押圧手段5は、剥離板41の先端に隣接する位置に配置された押圧ローラ51を備えている。そして、押圧ローラ51が、テーブル11の移動で搬送されるウエハWF及びリングフレームRF上で転動し、接着シートASをウエハWF及びリングフレームRFに押圧して貼付する。
【0025】
次に、本実施形態のシート貼付装置の作動を説明する。図1は、接着シートASをウエハWF及びリングフレームRFに貼付する前の状態を示しており、帯状シートWSに既に♯1〜♯5の接着シートASが形成されて、♯1の接着シートASが剥離手段4の配置部まで搬送されている。また、テーブル11は右方の待機位置に待機し、ダイカットローラ31は、切断刃31aの存在しない周面部分が受けローラ32に対向する位置(以下、素通り可能位置という)で停止されている。尚、素通り可能位置において、帯状シートWSは、ダイカットローラ31や切断刃31aに非接触となる。
【0026】
待機位置にあるテーブル11上に、図示省略した搬送手段によってウエハWF及びリングフレームRFが載置されて保持されると、テーブル11が左方に移動する。そして、図示省略したセンサによりテーブル11が所定位置に到達したことが検知されると、ダンサローラ29を下方に停止させたまま、繰出軸21、第1乃至第3駆動ローラ22,23,26、巻取軸27及び第2の巻取軸28を正転させて原反RSを繰出方向SDに搬送する。そして、図3(a)に示す如く、剥離手段4で剥離シートRLから♯1の接着シートASを剥離し、この接着シートASを押圧手段5によりテーブル11上のウエハWF及びリングフレームRFに押圧して貼付する。これにより、ウエハWFとリングフレームRFとは、♯1の接着シートASにより一体化され一体物となる。その後、テーブル11は、図3(b)に示す貼付完了位置にまで移動され、その位置で一体物が搬送ロボット7により取り出された後、待機位置に移動される。
【0027】
ここで、繰出手段2は、♯1の接着シートASの貼付完了後も更に原反RSを繰出方向SDに搬送する。そして、図3(b)に示す如く、剥離手段4の先端で♯2の接着シートASの繰出方向先端部ASaが所定長さ剥離され、図示省略したセンサにより検知されたところで、繰出軸21、第1乃至第3駆動ローラ22,23,26、巻取軸27及び第2の巻取軸28の正転を停止する。
【0028】
次に、図3(c)に示す如く、第3駆動ローラ26、巻取軸27及び第2の巻取軸28の回転を停止させた状態で、繰出軸21と第1及び第2駆動ローラ22,23を逆転させ、ダンサローラ29を上昇させつつ、当該ダンサローラ29によって貯留されていた原反RSの部分を反繰出方向RDに搬送すると共に、ダイカットローラ31を原反RSの反繰出方向RDへの搬送速度に等しい周速度で反時計回転方向に1回転させる。これにより、帯状シートWSに切り込みCUが形成されて、♯6の接着シートASが形成される。
【0029】
その後、第3駆動ローラ26、巻取軸27及び第2の巻取軸28の回転を停止させたままで、ダイカットローラ31を素通り可能位置に停止した状態で、繰出軸21と第1及び第2駆動ローラ22,23を正転させて、ダンサローラ29を図1に示す位置にまで下降させ、再びダンサローラ29により所定長さの原反RSを貯留する。以上により1回のシート貼付作業が終了し、以降上記同様の動作が繰り返される。
【0030】
本実施形態によると、原反RSを反繰出方向RDに搬送しながら切り込みCUを形成するため、接着シートASの繰出方向先端部ASaに合致する切り込み部分CUa(図4参照)が最後に形成される。そして、切り込み部分CUaからダイカットローラ31の切断刃31aが抜け出る際、切断刃31aが切り込み部分CUaの底部を擦り上げるように動く。これにより、切り込み部分CUaにおいて剥離シートRLの内部に接着剤層ADが入り込んでいたとしても、切断刃31aがこの接着剤層ADを擦り取り、剥離シートRLの内部の剥離処理が施されていない部分への接着を解除して、接着シートASの搬送方向先端部ASaを剥離シートRLから剥離しやすくすることができる。更に、本実施形態では、図4に示す如く、ダイカットローラ31に設けた保持手段31bが接着シートASの搬送方向先端部ASaを保持しつつ剥離シートRLから離隔する方向(上方)に回転移動することで、接着シートASの搬送方向先端部ASaが確実に剥離シートRLから浮き上がる。そのため、従来装置で問題となっていた剥離手段4での接着シートASの剥離不良を確実に防止することができる。
【0031】
また、ダンサローラ29に貯留されていた原反RSの部分を反繰出方向RDに搬送するように構成したため、剥離手段4の配置部で原反RSが反繰出方向RDに搬送されることを防止できる。これにより、切り込みCUが形成されて接着シートASになる帯状シートWSの部分は剥離手段4で1度も折り返されていない部分になるから、接着シートASを傷めることがない。また、剥離シートRLが剥離手段4で繰返し折り返されて、剥離シートRLの破断を生ずるといった不具合も防止できる。
【0032】
以上、本発明の実施形態について図面を参照して説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、上記実施形態では、ダイカットローラ31に保持手段31bを設けることで、接着シートASの搬送方向先端部ASaを剥離シートRLから浮き上がらせる浮上げ手段が切断手段3と一体化されることになるが、切断手段3とは別に浮上げ手段を設けることも可能である。例えば、切断手段3よりも原反RSの繰出方向SD上流側や下流側に、接着シートASの搬送方向先端部ASaを保持する保持手段と、この保持手段を剥離シートRLから離隔接近する方向に移動する駆動手段とから成る浮上げ手段を配置してもよい。但し、上記実施形態のように浮上げ手段を切断手段3と一体化した方が構造の簡素化を図ることができ、有利である。尚、保持手段31bは、吸引孔に限定されず、接着シートASの搬送方向先端部ASaを接着剤や粘着剤等で保持したり、チャックシリンダ等の駆動機器で把持したりするものであってもよい。
【0033】
また、保持手段31bを設けずに浮上げ手段を構成することも可能である。即ち、接着シートASの搬送方向先端部ASaに合致する切り込み部分CUaから切断刃31aが抜け出る際に、ダイカットローラ31の周速度が原反RSの反繰出方向RDへの搬送速度よりも速くなるように速度制御することである。これによれば、図5に示す如く、切断刃31aが接着シートASの搬送方向先端部ASaに対し反繰出方向RDへの相対速度を持って移動するため、接着シートASの搬送方向先端部ASaを切断刃31aでえぐるように剥離シートRLから浮き上がらせることができる。尚、上記速度制御は、切り込み部分CUaから切断刃31aが抜け出る際に、ダイカットローラ31の回転速度を増速することと、原反RSの反繰出方向への搬送速度を減速することとの少なくとも一方により行うことができる。また、ダイカットローラ31に保持手段31bを設けると共に上記速度制御を行うようにしてもよい。
【0034】
また、上記実施形態は、ウエハWF及びリングフレームRFから成る被着体を搬送しつつ接着シートASを貼付しているが、被着体を停止させた状態で装置フレーム6を駆動機器によって右方向に移動させたり、被着体の左方向への移動と、装置フレーム6の右方向への移動とを同時に行うようにしたりしてもよい。
更に、剥離手段で剥離された接着シートを吸着保持する吸着パッドとその移動手段とを設け、この吸着パッドを移動手段で被着体の直上位置に移動させて押し下げることにより、接着シートを被着体に押圧して貼付してもよい。この場合、吸着パッドとその移動手段とで押圧手段が構成されることになる。
また、押圧手段は、押圧ローラ51以外に、気体を吹き付けたり、板状の部材等で構成したりすることにより、接着シートを被着体に押圧して貼付するものであってもよい。
【0035】
更に、上記実施形態では、切断手段3に対する原反RSの繰出方向SDへの搬送と、剥離板41に対する原反RSの繰出方向SDへの搬送とを時期的にオーバラップして行って、帯状シートWSへの切り込みCUの形成を行うことなく、被着体への接着シートASの貼付を行う動作と、剥離板41に対する原反RSの繰出方向SD及び反繰出方向RDへの搬送を生じさせないようにして、切断手段3に対する原反RSの反繰出方向RDへの搬送を行って、帯状シートWSへの切り込みCUの形成を行う動作と、剥離板41に対する原反RSの繰出方向SD及び反繰出方向RDへの搬送を生じさせないようにして、切断手段3に対する原反RSの繰出方向SDへの搬送を行って、切り込みCUの形成後の原反RSをダンサローラ29に所定長さ貯留する動作とを行っているが、繰出軸21、第1駆動ローラ22及び第2駆動ローラ23の回転制御と第3駆動ローラ26及び巻取軸27の回転制御との組み合わせと、ダンサローラ29の働きとにより、切断手段3に対する原反RSの繰出方向SD及び反繰出方向RDへの搬送を生じさせないようにして、剥離板41に対する原反RSの繰出方向SD及び反繰出方向RDへの搬送を行う動作と、切断手段3に対する原反RSの反繰出方向RD及び繰出方向SDへの搬送と、剥離板41に対する原反RSの繰出方向SD及び反繰出方向RDへの搬送とを時期的にオーバラップして行う動作と、を示した以下のような動作を行うことも可能である。
すなわち、繰出軸21、第1駆動ローラ22及び第2駆動ローラ23を停止させた状態で第3駆動ローラ26及び巻取軸27を正転させることにより、切断手段3に対する原反RSの繰出方向SD及び反繰出方向RDへの搬送を生じさせないようにして、剥離板41に対する原反RSの繰出方向SDへの搬送を行って、接着シートASを被着体に貼付することが可能である。
また、繰出軸21、第1駆動ローラ22及び第2駆動ローラ23を停止させた状態で第3駆動ローラ26及び巻取軸27を逆転させることにより、切断手段3に対する原反RSの繰出方向SD及び反繰出方向RDへの搬送を生じさせないようにして、剥離板41に対する原反RSの反繰出方向RDへの搬送を行って、例えば、剥離板41で万が一剥離できなかった接着シートASを再び被着体に貼付するために、剥離板41の先端を通り過ぎるまで接着シートASを引き戻すようにすることも可能である。
更に、繰出軸21、第1駆動ローラ22及び第2駆動ローラ23を逆転させると共に第3駆動ローラ26及び巻取軸27を正転させることにより、切断手段3に対する原反RSの反繰出方向RDへの搬送と、剥離板41に対する原反RSの繰出方向SDへの搬送とを時期的にオーバラップして行って、帯状シートWSへの切り込みCUの形成と被着体への接着シートASの貼付とを行うようにすることも可能である。これにより、単位時間あたりに接着シートASを貼付する貼付能力が低下することを防止できる。
また、繰出軸21、第1駆動ローラ22及び第2駆動ローラ23を逆転させると共に第3駆動ローラ26及び巻取軸27を逆転させることにより、切断手段3に対する原反RSの反繰出方向RDへの搬送と、剥離板41に対する原反RSの反繰出方向RDへの搬送とを時期的にオーバラップして行って、帯状シートWSへの切り込みCUを形成しつつ、剥離板41で万が一剥離できなかった接着シートASを再び被着体に貼付するために、剥離板41の先端を通り過ぎるまで接着シートASを引き戻すようにすることも可能である。
更に、繰出軸21、第1駆動ローラ22及び第2駆動ローラ23を正転させると共に第3駆動ローラ26及び巻取軸27を逆転させることにより、切断手段3に対する原反RSの繰出方向SDへの搬送と、剥離板41に対する原反RSの反繰出方向RDへの搬送とを時期的にオーバラップして行って、剥離板41で万が一剥離できなかった接着シートASを再び被着体に貼付するために、剥離板41の先端を通り過ぎるまで接着シートASを引き戻すようにすることも可能である。
尚、剥離手段4に対する原反RSの反繰出方向RDへの搬送を行う場合は、例えば、上ガイドローラ24との間で原反RSを挟み込み、回動モータ等の駆動機器で駆動可能な駆動ローラを増設することが望ましい。また、時期的にオーバラップすることについては、完全にオーバラップすることでもよいし、一部オーバラップすることでもよい。
【0036】
更に、切り込みCUの形状は、円形、多角形、楕円形、又はそれらが組み合わさった形状のもの等であってもよい。
また、切断手段は、上述したものに限定されず、平板にエンドレスの切断刃が設けられた例えばトムソン刃や、レーザ光線を採用することにより、切り込みCUを形成するものであってもよい。
更に、上記実施形態では、ダイカットローラ31を1回転させて接着シートASを形成したが、ダイカットローラ31に設けられた切断刃31aの数やその大きさ等に応じて半回転や3分の1回転等、1回転以下でもよいし、1回転半、2回転等の1回転以上でもよい。
【0037】
また、剥離手段は、上述したものに限定されず、ガイド板やローラ等で剥離シートRLを折り曲げることにより、剥離シートRLから接着シートASを剥離するものであってもよい。
更に、第2の巻取軸28を省略し、不要シート部分WSaを剥離シートRLと共に巻取軸27に巻き取るように構成してもよい。
【0038】
また、帯状シートWSや接着シートASは、接着剤層AD単層のものでもよいし、単数又は複数の層からなる基材シートに接着剤層ADが積層されたものでもよい。
更に、被着体はウエハWF及びリングフレームRFに限定されるものではなく、リングフレームRFのないウエハWF単体や、ガラス板、鋼板、陶器、木板、半導体基板または樹脂板等、その他の被着体も対象とすることができ、更に、ウエハWFは、シリコーン半導体ウエハや化合物半導体ウエハであってもよい。
また、被着体が適宜な物品(例えば、段ボールケースや樹脂容器等)であって、接着シートASがラベルであってもよく、被着体がウエハであって、接着シートASが保護シート、ダイアタッチフィルムなどであってもよい。
更に、接着シートは、上記に限らず、その他の任意のシート、フィルム、テープ等、任意の用途、形状の接着シート等が適用できる。
【0039】
また、上記実施形態における駆動機器は、回動モータ、直動モータ、リニアモータ、単軸ロボット、多関節ロボット等の電動機器、エアシリンダ、油圧シリンダ、ロッドレスシリンダ及びロータリシリンダ等のアクチュエタ等を採用することができる上、それらを直接的又は間接的に組み合せたものを採用することもできる。
【符号の説明】
【0040】
WF…ウエハ(被着体)、RF…リングフレーム(被着体)、RS…原反、RL…剥離シート、WS…帯状シート、AS…接着シート、ASa…繰出方向先端部、CU…切り込み、DM7…回動モータ(浮上げ手段)、2…繰出手段、29…ダンサローラ(貯留手段)、3…切断手段、31…ダイカットローラ(浮上げ手段)、31a…切断刃、31b…保持手段(浮上げ手段)、4…剥離手段、5…押圧手段。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被着体に接着シートを貼付するシート貼付装置において、
帯状の剥離シートの一方の面に帯状シートが仮着された原反を繰出し可能な繰出手段と、
前記帯状シートにエンドレスの切り込みを形成して前記接着シートを形成する切断手段と、
前記切断手段よりも前記原反の繰出方向下流側に配置され、前記剥離シートから前記接着シートを剥離する剥離手段と、
前記接着シートを被着体に押圧して貼付する押圧手段とを備え、
前記繰出手段は、前記原反を繰出方向及び当該繰出方向の反対方向である反繰出方向に搬送可能に構成されると共に、前記切断手段は、前記反繰出方向に搬送される原反に前記切り込みを形成可能に構成され、
前記剥離手段で前記接着シートを前記剥離シートから剥離する前に、前記接着シートの繰出方向先端部を前記剥離用シートから浮き上がらせる浮上げ手段を備えることを特徴とするシート貼付装置。
【請求項2】
前記浮上げ手段は、前記接着シートの繰出方向先端部を保持する保持手段を含み、当該保持手段により前記接着シートの繰出方向先端部を保持して当該繰出方向先端部を前記剥離シートから浮き上がらせるように構成されることを特徴とする請求項1記載のシート貼付装置。
【請求項3】
前記保持手段は、前記切断手段に設けられることを特徴とする請求項2記載のシート貼付装置。
【請求項4】
前記切断手段は、外周面にエンドレスの切断刃を有するダイカットローラを含み、
前記浮上げ手段は、前記接着シートの繰出方向先端部に合致する前記切り込みの部分から前記切断刃が抜け出る際の前記ダイカットローラの周速度を、前記原反の反繰出方向への搬送速度よりも速くして、前記接着シートの繰出方向先端部を前記剥離シートから浮き上がらせるように構成されることを特徴とする請求項1記載のシート貼付装置。
【請求項5】
前記繰出手段は、前記切断手段と前記剥離手段との間で前記原反に所定の張力を付与可能な貯留手段を備え、当該貯留手段によって、前記剥離手段に対する前記原反の繰出方向及び反繰出方向への搬送を生ずることなく、前記切断手段に対する前記原反の繰出方向及び反繰出方向への搬送を行うことと、前記切断手段に対する前記原反の繰出方向及び反繰出方向への搬送を生ずることなく、前記剥離手段に対する前記原反の繰出方向及び反繰出方向への搬送を行うこととの少なくとも一方が可能になるように構成されることを特徴とする請求項1〜4の何れか1項記載のシート貼付装置。
【請求項6】
前記繰出手段は、前記切断手段と前記剥離手段との間で前記原反に所定の張力を付与可能な貯留手段を備え、当該貯留手段によって、前記切断手段に対する前記原反の反繰出方向及び繰出方向への搬送と、前記剥離手段に対する前記原反の繰出方向及び反繰出方向への搬送とを時期的に少なくとも一部オーバラップして行うことが可能になるように構成されることを特徴とする請求項1〜4の何れか1項記載のシート貼付装置。
【請求項7】
被着体に接着シートを貼付するシート貼付方法において、
帯状の剥離シートの一方の面に帯状シートが仮着された原反を繰出す工程と、
前記帯状シートにエンドレスの切り込みを形成して接着シートを形成する切断工程と、
前記切り込みを形成した後に前記原反を繰出方向に搬送しながら前記剥離シートから前記接着シートを剥離する剥離工程と、
前記接着シートを被着体に押圧して貼付する工程とを備え、
前記切断工程では、前記原反を繰出方向の反対方向である反繰出方向に搬送しながら前記帯状シートに前記切り込みを形成し、
前記剥離工程で前記接着シートを前記剥離シートから剥離する前に、前記接着シートの繰出方向先端部を前記剥離用シートから浮き上がらせる工程を備えることを特徴とするシート貼付方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2013−55261(P2013−55261A)
【公開日】平成25年3月21日(2013.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−193316(P2011−193316)
【出願日】平成23年9月5日(2011.9.5)
【出願人】(000102980)リンテック株式会社 (1,750)
【Fターム(参考)】