シール容器
【課題】開封後の中栓の密封性を損なったり、内容物の取り出しを阻害することのないシール容器を提供する。
【解決手段】中栓10の天板部11がシール材20の貼着部23の上面に密着すると共に、容器開口縁部2の貼着部23の下方の容器開口周辺部3と中栓スカート部12との間に装着部30を設け、装着部30の非係合部にシール材10の剥がし用把持片部22を収容する把持片用空間部31を設けてなるシール容器。
【解決手段】中栓10の天板部11がシール材20の貼着部23の上面に密着すると共に、容器開口縁部2の貼着部23の下方の容器開口周辺部3と中栓スカート部12との間に装着部30を設け、装着部30の非係合部にシール材10の剥がし用把持片部22を収容する把持片用空間部31を設けてなるシール容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容器開口縁部に熱溶着により貼着すべきシール材を予め天板部付近に収容した中栓を容器開口部に装着し、中栓上からシール材を容器開口縁部に熱溶着するようになしたシール容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、容器開口縁部に熱溶着により貼着したシール材は、貼着部が強固に容器開口縁部に接着するため、使用時にきれいに剥がすのが困難で、金具を使って容器開口部を覆うシール材に孔を開けそのまま使用したり、貼着部を含めて容器開口部のシール材の一部を残して剥ぎ取って使用していた。
【0003】
また、シール材を剥ぎ取る構成を止めて、容器開口縁部に熱溶着により貼着するシール材の中央に予め吐出口形状の切り口を設けて、シール材を中栓とみなして、シール材の上面に手指で容易に剥離可能なガスバリヤフィルム層を貼着して蓋材とし、該フィルム層からなる蓋材を取り去るときに同時に前記切り口を伴って開口して使用するものが知られている(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平10−129694
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
容器開口縁部に貼着したシール材に孔を開けて使用する場合には、孔開け作業が煩わしくて容易でないばかりでなく、残ったシール材がその上から被せた中栓の密封性を損なったり、内容物の取り出しを阻害する課題があり、また、シール材を剥ぎ取る構成を止めて、シール材に予め吐出口形状の切り口を設けて中栓とし、その上面を手指で容易に剥離可能なガスバリヤフィルム層を貼着して蓋材としたものでは、構造が複雑で高価になるばかりでなく、孔開けシール材は中栓としての性能に確実性がなく、且つシール材からなる中栓が容器に固定されているため、廃棄処理の時に容器との分別に困難がある課題があった。
また、容器開口縁部より外側に大きな面積を有するシール材を中栓に収容して熱溶着したとしても、シール材が容器開口縁部の外側まで一体に貼着してしまうから、いっそうはがすのが困難になる課題があり、容器開口縁部より外側に熱溶着剤を施さない大きな面積を有するシール材を使用する場合には、シール材の加工と中栓への収容及び中栓の容器開口部への装着が困難になる課題があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
そこで、本発明は、請求項1に記載のように、容器開口縁部に熱溶着により貼着すべきシール材を予め収容した中栓を容器開口部に装着し中栓上から熱溶着するようになしたシール容器において、熱溶着剤を施した剥がし用把持片部を一体に有するシール材を設け、中栓の天板部が少なくともシール材が容器開口縁部に貼着する貼着部の上面に密着すると共に、容器開口縁部の貼着部の下方の容器開口周辺部と中栓スカート部との間に装着部を設け、該装着部の直接接触して係合する係合部分以外の非係合部に前記シール材の剥がし用把持片部を収容する把持片用空間部を設けてなるシール容器を提供するものである。
【0006】
また、本発明は、請求項2に記載のように、請求項1に記載のシール容器において、容器開口周辺部と中栓スカート部との装着部が嵌着による装着部であるシール容器を提供するものである。
また、本発明は、請求項3に記載のように、請求項1に記載のシール容器において、容器開口周辺部と中栓スカート部との装着部が螺合による装着部であるシール容器を提供するものである。
【0007】
また、本発明は、請求項4に記載のように、請求項1、2又は3に記載のシール容器において、把持片用空間部が容器開口周辺部の全周に渡って設けてあるシール容器を提供するものである。
また、本発明は、請求項5に記載のように、請求項1乃至4のいずれかに記載のシール容器において、把持片用空間部が容器開口周辺部の一個所又は複数個所に設けてあるシール容器を提供するものである。
【0008】
また、本発明は、請求項6に記載のように、請求項1乃至5のいずれかに記載のシール容器において、把持用空間部が容器開口縁部の貼着部の下方に指先で持ち易い長さに設けてあるシール容器を提供するものである。
また、本発明は、請求項7に記載のように、請求項1乃至6のいずれかに記載のシール容器において、シール材の剥がし用把持片部が把持片用空間部に対応して設けてあるシール容器を提供するものである。
また、本発明は、請求項8に記載のように、請求項7に記載のシール容器において、シール材の剥がし用把持片部が貼着部の全周に渡って設けてあるシール容器を提供するものである。
【0009】
また、本発明は、請求項9に記載のように、請求項7に記載のシール容器において、シール材の剥がし用把持片部が貼着部の周辺の一個所又は複数個所に対応して個別に設けてあるシール容器を提供するものである。
また、本発明は、請求項10に記載のように、請求項7乃至9のいずれかに記載のシール容器において、シール材の剥がし用把持片部が貼着部の外縁部から指先で持ち易い長さに設けてあるシール容器を提供するものである。
【0010】
また、本発明は、請求項11に記載のように、請求項1乃至10のいずれかに記載のシール容器において、把持片用空間部が容器開口周辺部に設けてあるシール容器を提供するものである。
また、本発明は、請求項12に記載のように、請求項11に記載のシール容器において、把持片用空間部が容器開口周辺部を切り欠いて設けてあるシール容器を提供するものである。
また、本発明は、請求項13に記載のように、請求項11に記載のシール容器において、把持片用空間部が容器開口縁部の外径を容器開口周辺部より小さくすることによって設けてあるシール容器を提供するものである。
【0011】
また、本発明は、請求項14に記載のように、請求項1乃至12のいずれかに記載のシール容器において、把持片用空間部が容器開口周辺部に相対する中栓スカート部に設けてあるシール容器を提供するものである。
また、本発明は、請求項15に記載のように、請求項14に記載のシール容器において、把持片用空間部が中栓スカート部の外周に開口部を有するシール容器を提供するものである。
また、本発明は、請求項16に記載のように、請求項15に記載のシール容器において、把持片用空間部の開口部が中栓スカート部の切欠部からなるシール容器を提供するものである。
【0012】
また、本発明は、請求項17に記載のように、請求項15又は16に記載のシール容器において、把持片用空間部の開口部からシール材の剥がし用把持片部が露出しているシール容器を提供するものである。
また、本発明は、請求項18に記載のように、請求項1乃至17に記載のシール容器において、シール材を中栓内に収容し、剥がし用把持片部を把持片用空間部に対応する位置に装着して溶着部を熱溶着してなるシール容器を提供するものである。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係るシール容器によれば、請求項1に記載のように、容器開口縁部に熱溶着により貼着すべきシール材を予め収容した中栓を容器開口部に装着し中栓上から熱溶着するようになしたシール容器において、熱溶着剤を施した剥がし用把持片部を一体に有するシール材を設け、中栓の天板部が少なくともシール材が容器開口縁部に貼着する貼着部の上面に密着すると共に、容器開口縁部の貼着部の下方の容器開口周辺部と中栓スカート部との間に装着部を設け、該装着部の直接接触して係合する係合部分以外の非係合部に前記シール材の剥がし用把持片部を収容する把持片用空間部を設けてなる構成を有することにより、容器開口縁部に熱溶着により貼着したシール材の剥がし用把持片部が把持片用空間部に収納されることによって、中栓の容器開口部への装着を確実にするのみならず、容器開口周辺部に密着することがないから、熱溶着剤を施してあっても貼着することがない効果がある。
【0014】
よって、熱溶着剤を一面に施したシール材の原材料から、打ち抜きによって剥がし用把持片部を有するシール材を容易に大量に製造し採用することができると共に、容器使用時に中栓を離脱して剥がし用把持片部を手指でもって強力にシール材を引っ張ることができ、シール材の貼着部を容器開口縁部から容易に剥ぎ取ることができ、再度、中栓を装着して中栓の吐出孔を利用して内容物を確実に取り出すことができる効果がある。
【0015】
また、本発明は、請求項2に記載のように、請求項1に記載のシール容器において、容器開口周辺部と中栓スカート部との装着部が嵌着による装着部である構成を有することにより、容器開口部に中栓を回転させないで直線的にワンタッチで装着することができるから、シール材の剥がし用把持片部が把持片用空間部に容易に合致させて収納することができる効果がある。
また、本発明は、請求項3に記載のように、請求項1に記載のシール容器において、容器開口周辺部と中栓スカート部との装着部が螺合による装着部である構成を有することにより、中栓を容器開口部に確実に締め付け固定することができる効果がある。
【0016】
また、本発明は、請求項4に記載のように、請求項1、2又は3に記載のシール容器において、把持片用空間部が容器開口周辺部の全周に渡って設けてある構成を有することにより、シール材の剥がし用把持片部の形状に係わらずに、剥がし用把持片部を自由に把持片用空間部に収容することができる効果がある。
また、本発明は、請求項5に記載のように、請求項1乃至4のいずれかに記載のシール容器において、把持片用空間部が容器開口周辺部の一個所又は複数個所に設けてある構成を有することにより、シール材の剥がし用把持片部が一個所又は複数個所に設けてある剥がし用把持片部を把持片用空間部に収容することができる効果がある。
【0017】
また、本発明は、請求項6に記載のように、請求項1乃至5のいずれかに記載のシール容器において、把持用空間部が容器開口縁部の貼着部の下方に指先で持ち易い長さに設けてある構成を有することにより、シール材の剥がし用把持片部を容器開口縁部の貼着部から指先で持ち易い長さにすることができ、シール材を容易に剥がすことができる効果がある。
また、本発明は、請求項7に記載のように、請求項1乃至6のいずれかに記載のシール容器において、シール材の剥がし用把持片部が把持片用空間部に対応して設けてある構成を有することにより、シール材の剥がし用把持片部を対応する把持片用空間部に収納して熱溶着することができる効果がある。
【0018】
また、本発明は、請求項8に記載のように、請求項7に記載のシール容器において、シール材の剥がし用把持片部が貼着部の全周に渡って設けてある構成を有することにより、シール材を任意の位置から剥がし用把持片部を引っ張って剥がすことができる効果がある。
また、本発明は、請求項9に記載のように、請求項7に記載のシール容器において、シール材の剥がし用把持片部が貼着部の周辺の一個所又は複数個所に対応して個別に設けてある構成を有することにより、剥がし用把持片部を容器開口周辺部の一個所又は複数個所に設けてある把持片用空間部に収納して熱溶着することができる効果がある。
【0019】
また、本発明は、請求項10に記載のように、請求項7乃至9のいずれかに記載のシール容器において、シール材の剥がし用把持片部が貼着部の外縁部から指先で持ち易い長さに設けてある構成を有することにより、シール材の剥がし用把持片部を手指によって持ち易いから、シール材を容器開口から容易に剥がすことができる効果がある。
また、本発明は、請求項11に記載のように、請求項1乃至10のいずれかに記載のシール容器において、把持片用空間部が容器開口周辺部に設けてある構成を有することにより、把持片用空間部が中栓スカート部に設けてなくても、容器開口周辺部だけでシール材の剥がし用把持片部を収容することができる効果がある。
【0020】
また、本発明は、請求項12に記載のように、請求項11に記載のシール容器において、把持片用空間部が容器開口周辺部の一部又は全部を切り欠いて設けてある構成を有することにより、同じ面積のシール材で切り欠いた分だけ剥がし用把持片部の長さを長くすることができる効果がある。
また、本発明は、請求項13に記載のように、請求項11に記載のシール容器において、把持片用空間部が容器開口縁部の外径を容器開口周辺部より小さくすることによって設けてある構成を有することにより、同じ面積のシール材で外径を小さくした分だけ剥がし用把持片部の長さを長くすることができる効果がある。
【0021】
また、本発明は、請求項14に記載のように、請求項1乃至13のいずれかに記載のシール容器において、把持片用空間部が容器開口周辺部に相対する中栓スカート部に設けてある構成を有することにより、把持片用空間部が容器開口周辺部に設けてなくても、中栓スカート部だけでシール材の剥がし用把持片部を収容することができる。
また、本発明は、請求項15に記載のように、請求項14に記載のシール容器において、把持片用空間部が中栓スカート部の外周に開口部を有する構成を有することにより、開口部からシール部材の剥がし用把持片部を視認することができる効果がある。
【0022】
また、本発明は、請求項16に記載のように、請求項15に記載のシール容器において、把持片用空間部の開口部が中栓スカート部の切欠部からなる構成を有することにより、把持用空間部と中栓スカート部との相対部分に把持片用空間部を設けることなく、切欠部をそのまま把持片用空間部として利用することができるのみならず、中栓スカート部の長さより長い剥がし用把持片部を設けることができる効果がある。
また、本発明は、請求項17に記載のように、請求項15又は16に記載のシール容器において、把持片用空間部の開口部からシール材の剥がし用把持片部が露出している構成を有することにより、開口部から剥がし用把持片部を外に出した状態で確実に把持片用空間に収容することができる効果がある。
【0023】
また、本発明は、請求項18に記載のように、請求項1乃至17に記載のシール容器において、シール材を中栓内に収容し、剥がし用把持片部を把持片用空間部に対応する位置に装着して溶着部を熱溶着してなる構成を有することにより、シール材の剥がし用把持片部を把持片用空間部に対応する位置に収容して装着して溶着部を熱溶着するから、確実にシール材の剥がし用把持片部を把持片用空間部に収容することができる効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
本発明に係るシール容器によれば、容器開口部1の容器開口縁部2に熱溶着によりシール材20を貼着し、その上に重ねて中栓10を装着してなるシール容器において、熱溶着剤21を施した剥がし用把持片部22を一体に有するシール材20を設け、中栓10の天板部11が少なくともシール材20が容器開口縁部2に貼着する貼着部23の上面に密着すると共に、容器開口縁部2の貼着部の下方の容器開口周辺部3と中栓スカート部12との間に装着部30を設け、該装着部30の直接接触して係合する係合部分以外の非係合部に前記シール材20の剥がし用把持片部22を収容する把持片用空間部31を設けてなる構成を有する。
【0025】
このことにより、容器開口縁部2に熱溶着により貼着したシール材20の剥がし用把持片部22が把持片用空間部31に収納されることによって、容器開口周辺部3及び中栓スカート部12に密着することがないから、熱溶着剤を施してあっても貼着することがない効果がある。
また、把持用空間部31を容器開口縁部2の貼着部の下方1mm以上、好ましくは2.5mm以上の長さに設け、シール材20の剥がし用把持片部22を容器開口縁部2の貼着部から1mm以上、好ましくは2.5mm以上の手指によって持ち易い長さにすることができ、シール材20を容器開口縁部2から容易に剥がすことができる。
【0026】
よって、熱溶着剤21を一面に施したシール材20の原材料から、打ち抜き手段によって剥がし用把持片部22を有するシール材20を一体に打ち抜くことができるから、剥がし用把持片部22を有するシール材20を効率よく容易に大量に製造することができると共に、容器使用時に中栓10を離脱して剥がし用把持片部22を手指で持って滑ることなく強力にシール材10を引っ張ることができ、シール材10の貼着部23を容器開口縁部2から容易に剥ぎ取ることができ、また、剥ぎ取った後、再度、中栓10を容易に装着することができ、その中栓の吐出孔等を利用して内容物を確実に取り出すことができる効果がある。
【実施例1】
【0027】
図1に記載の実施例1の場合、殆ど弾性変形しないガラス製の容器開口縁部2の貼着部の下方の容器開口周辺部3と、弾性変形しないプラスチック製の中栓スカート部12との間に嵌着による装着部30が設けてある。この実施例の場合、装着部30は容器開口周辺部3側に凹溝部32が設けてあると共に、中栓スカート部12側に突起部13が設けてある。
なお、嵌着による装着部30は、この実施例とは逆に容器開口周辺部3側に突起部が設けてあると共に、中栓スカート部12側に凹溝部が設けてあっても良いし、また、容器開口周辺部3と中栓スカート部12との間に突起部と凹溝部の嵌着による装着部30が全周に渡って設けてあっても、間欠的に設けてあっても、交互に設けてあっても、高さや深さを変えて設けてあっても良い。
【0028】
この嵌着による構成を有することにより、容器開口部1に中栓10を回転させないで直線的にワンタッチで装着することができるから、シール材20の剥がし用把持片部22を把持片用空間部31に容易に合致させて収納することができる効果がある。
また、突起部と凹溝部の嵌着による装着部30が間欠的に設けてある場合には、容器開口部1に対して中栓10を相対的に回転することによって中栓10を外すことができる。
また、この実施例1の場合、図11に記載のように、把持片用空間部31が容器開口周辺部3に相対する中栓スカート部12に設けてあることにより、把持片用空間部31が容器開口周辺部3に設けてなくても、中栓スカート部12だけでシール材20の剥がし用把持片部22を収容することができる。
【0029】
この図11の把持用空間部31が一個所に設けてある実施例に対しては、図18に記載のシール材20の一個所に突出して設けた剥がし用把持片部22が合致して収容されるように構成してあるが、図10に記載のように、把持用空間部31が中栓スカート部12の全周に設けてある場合には、図15の剥がし用把持片部22が貼着部23を中心に全周に均等に設けたシール部材20、図16の剥がし用把持片部22が貼着部23に対して偏位して設けたシール部材20、図17又は図20の剥がし用把持片部22が貼着部23に対して四角形状又は三角形状に設けてあるシール部材20、図18、図19、又は、図21の剥がし用把持片部22が貼着部23に対して一個所、四個所又は五個所のように突出して設けてあるシール部材20が採用可能である。
なお、図18、図19、又は、図21の剥がし用把持片部22が貼着部23に対して一個所、四個所又は五個所のように突出して設けてあるシール部材20は、把持用空間部31が中栓スカート部12の一個所又は複数個所に間欠的に設けてある場合に対応している。
【実施例2】
【0030】
図2に記載の実施例2の場合、容器開口周辺部3と中栓スカート部12との間に設けた嵌着による装着部30の構成は、実施例1の場合と同様である。また、この実施例2の場合、図12に記載のように、把持片用空間部31が中栓スカート部12に相対する容器開口周辺部3に設けてある。このことにより、把持片用空間部31が中栓スカート部12に設けてなくても、容器開口周辺部3だけでシール材20の剥がし用把持片部22を収容することができる。
なお、把持用空間部31が容器開口周辺部3の全周に設けてある場合、又は、一個所又は複数個所に間欠的に設けてある場合に対応するシール部材20の構成は、実施例1の場合と同様である。
【実施例3】
【0031】
図3に記載の実施例3の場合、容器開口周辺部3と中栓スカート部12との間に設けた嵌着による装着部30の構成は、実施例1、2の場合と同様である。また、この実施例3の場合、図13に記載のように、把持片用空間部31が、相対する中栓スカート部12と容器開口周辺部3との両側に設けてある。このことにより、把持片用空間部31が相対する容器開口周辺部3と中栓スカート部12に浅く設けてあったとしても、シール材20の剥がし用把持片部22を容易に収容することができる。
図4の実施例では、把持用空間部31の下側に連続して嵌着による装着部30を設けたものである。
なお、把持用空間部31が容器開口周辺部3の全周に設けてある場合、又は、一個所又は複数個所に間欠的に設けてある場合に対応するシール部材20の構成は、実施例1又は2の場合と同様である。
【実施例4】
【0032】
図5に記載の実施例4の場合、容器開口周辺部3と中栓スカート部12との装着部30にねじ溝が設けてあり、螺合による装着部となっている。この構成により、中栓10を容器開口部1に確実に締め付け固定することができる効果がある。
また、この実施例4の場合、把持片用空間部31が容器開口縁部2から容器開口周辺部3に一周辺部を切り欠いて設けてある。この構成を有することにより、図22に記載のように、シール材20の剥がし用把持片部22を二個所に長く設定して容器開口縁部2を切り欠いた部分に収容可能にし、中栓10には把持用空間部31を設ける必要がない効果がある。
【実施例5】
【0033】
図6に記載の実施例5の場合、螺合による装着部30の構成は実施例4と同様である。また、この実施例5の場合、把持片用空間部31が容器開口縁部2から容器開口周辺部3に全周辺部を切り欠いて設けてあると共に、容器開口縁部2の外径を容器開口周辺部3より小さくすることによって設けてある。この構成を有することにより、円形の全周に渡る剥がし用把持部を有するシール材20を用いることができ、同じ面積のシール材20で容器開口縁部2の外径を小さくした分だけ剥がし用把持片部の長さを長くすることができると共に、中栓10には把持用空間部31を設ける必要がない効果がある。
なお、図7に記載の把持片用空間部31は、容器開口縁部2から容器開口周辺部3に設けた嵌着用の装着部30にかけて、周辺部の一部又は全部を切り欠いて設けた形態のものである。
【実施例6】
【0034】
図8に記載の実施例6の場合、容器開口周辺部3と中栓スカート部12との間に設けた嵌着による装着部30の構成は、実施例1の場合と同様である。
ただし、この実施例6の場合、図9に記載のように、中栓スカート部12には、間欠的な切欠部14からなる開口部が設けてあり、把持片用空間部31が中栓スカート部12の外周に設けた切欠部14で構成されている。そのため、中栓スカート部12は、図9に記載のように、先端部に嵌合用の突起部13を有する爪付脚部状をなすように構成してある。
【0035】
この構成により、図8に記載のように、シール部材20の剥がし用把持片部22を視認することができる効果があると共に、図14に記載のように、容器開口周辺部3と中栓スカート部12との相対部分に把持片用空間部31を設けることなく、切欠部14をそのまま把持片用空間部31として利用することができるのみならず、図10に記載のように、シール部材20に中栓スカート部12の長さより長い剥がし用把持片部22を設けることができる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明に係るシール容器の一実施例の要部を一部縦断して示す一部概略縦断正面図。
【図2】他の実施例の要部を一部縦断して示す一部概略縦断正面図。
【図3】他の実施例の要部を一部縦断して示す一部概略縦断正面図。
【図4】他の実施例の要部を一部縦断し拡大して示す一部概略縦断拡大正面図。
【図5】他の実施例の要部を平面概略図と一部縦断概略縦断正面図で示す説明図。
【図6】他の実施例の要部を平面概略図と一部縦断概略縦断正面図で示す説明図。
【図7】他の実施例の要部を一部縦断し拡大して示す一部概略縦断拡大正面図。
【図8】他の実施例の要部を示す一部概略正面図。
【図9】その実施例の要部を示す概略底面図。
【図10】他の実施例の要部を一部横断して示す一部概略横断面。
【図11】他の実施例の要部を一部横断して示す一部概略横断面。
【図12】他の実施例の要部を一部横断して示す一部概略横断面。
【図13】他の実施例の要部を一部横断して示す一部概略横断面。
【図14】他の実施例の要部を一部横断して示す一部概略横断面。
【図15】本発明に係るシール材の一実施例を示す概略平面説明面。
【図16】他のシール材の一実施例を示す概略平面説明面。
【図17】他のシール材の一実施例を示す概略平面説明面。
【図18】他のシール材の一実施例を示す概略平面説明面。
【図19】他のシール材の一実施例を示す概略平面説明面。
【図20】他のシール材の一実施例を示す概略平面説明面。
【図21】他のシール材の一実施例を示す概略平面説明面。
【図22】他のシール材の一実施例を示す概略平面説明面。
【符号の説明】
【0037】
1 容器開口部
2 容器開口縁部
3 容器開口周辺部
10 中栓
11 天板部
12 中栓スカート部
13 突起部
14 切欠部
20 シール材
21 熱溶着部
22 剥がし用把持片部
23 貼着部
30 装着部
31 把持片用空間部
32 凹溝部
【技術分野】
【0001】
本発明は、容器開口縁部に熱溶着により貼着すべきシール材を予め天板部付近に収容した中栓を容器開口部に装着し、中栓上からシール材を容器開口縁部に熱溶着するようになしたシール容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、容器開口縁部に熱溶着により貼着したシール材は、貼着部が強固に容器開口縁部に接着するため、使用時にきれいに剥がすのが困難で、金具を使って容器開口部を覆うシール材に孔を開けそのまま使用したり、貼着部を含めて容器開口部のシール材の一部を残して剥ぎ取って使用していた。
【0003】
また、シール材を剥ぎ取る構成を止めて、容器開口縁部に熱溶着により貼着するシール材の中央に予め吐出口形状の切り口を設けて、シール材を中栓とみなして、シール材の上面に手指で容易に剥離可能なガスバリヤフィルム層を貼着して蓋材とし、該フィルム層からなる蓋材を取り去るときに同時に前記切り口を伴って開口して使用するものが知られている(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平10−129694
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
容器開口縁部に貼着したシール材に孔を開けて使用する場合には、孔開け作業が煩わしくて容易でないばかりでなく、残ったシール材がその上から被せた中栓の密封性を損なったり、内容物の取り出しを阻害する課題があり、また、シール材を剥ぎ取る構成を止めて、シール材に予め吐出口形状の切り口を設けて中栓とし、その上面を手指で容易に剥離可能なガスバリヤフィルム層を貼着して蓋材としたものでは、構造が複雑で高価になるばかりでなく、孔開けシール材は中栓としての性能に確実性がなく、且つシール材からなる中栓が容器に固定されているため、廃棄処理の時に容器との分別に困難がある課題があった。
また、容器開口縁部より外側に大きな面積を有するシール材を中栓に収容して熱溶着したとしても、シール材が容器開口縁部の外側まで一体に貼着してしまうから、いっそうはがすのが困難になる課題があり、容器開口縁部より外側に熱溶着剤を施さない大きな面積を有するシール材を使用する場合には、シール材の加工と中栓への収容及び中栓の容器開口部への装着が困難になる課題があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
そこで、本発明は、請求項1に記載のように、容器開口縁部に熱溶着により貼着すべきシール材を予め収容した中栓を容器開口部に装着し中栓上から熱溶着するようになしたシール容器において、熱溶着剤を施した剥がし用把持片部を一体に有するシール材を設け、中栓の天板部が少なくともシール材が容器開口縁部に貼着する貼着部の上面に密着すると共に、容器開口縁部の貼着部の下方の容器開口周辺部と中栓スカート部との間に装着部を設け、該装着部の直接接触して係合する係合部分以外の非係合部に前記シール材の剥がし用把持片部を収容する把持片用空間部を設けてなるシール容器を提供するものである。
【0006】
また、本発明は、請求項2に記載のように、請求項1に記載のシール容器において、容器開口周辺部と中栓スカート部との装着部が嵌着による装着部であるシール容器を提供するものである。
また、本発明は、請求項3に記載のように、請求項1に記載のシール容器において、容器開口周辺部と中栓スカート部との装着部が螺合による装着部であるシール容器を提供するものである。
【0007】
また、本発明は、請求項4に記載のように、請求項1、2又は3に記載のシール容器において、把持片用空間部が容器開口周辺部の全周に渡って設けてあるシール容器を提供するものである。
また、本発明は、請求項5に記載のように、請求項1乃至4のいずれかに記載のシール容器において、把持片用空間部が容器開口周辺部の一個所又は複数個所に設けてあるシール容器を提供するものである。
【0008】
また、本発明は、請求項6に記載のように、請求項1乃至5のいずれかに記載のシール容器において、把持用空間部が容器開口縁部の貼着部の下方に指先で持ち易い長さに設けてあるシール容器を提供するものである。
また、本発明は、請求項7に記載のように、請求項1乃至6のいずれかに記載のシール容器において、シール材の剥がし用把持片部が把持片用空間部に対応して設けてあるシール容器を提供するものである。
また、本発明は、請求項8に記載のように、請求項7に記載のシール容器において、シール材の剥がし用把持片部が貼着部の全周に渡って設けてあるシール容器を提供するものである。
【0009】
また、本発明は、請求項9に記載のように、請求項7に記載のシール容器において、シール材の剥がし用把持片部が貼着部の周辺の一個所又は複数個所に対応して個別に設けてあるシール容器を提供するものである。
また、本発明は、請求項10に記載のように、請求項7乃至9のいずれかに記載のシール容器において、シール材の剥がし用把持片部が貼着部の外縁部から指先で持ち易い長さに設けてあるシール容器を提供するものである。
【0010】
また、本発明は、請求項11に記載のように、請求項1乃至10のいずれかに記載のシール容器において、把持片用空間部が容器開口周辺部に設けてあるシール容器を提供するものである。
また、本発明は、請求項12に記載のように、請求項11に記載のシール容器において、把持片用空間部が容器開口周辺部を切り欠いて設けてあるシール容器を提供するものである。
また、本発明は、請求項13に記載のように、請求項11に記載のシール容器において、把持片用空間部が容器開口縁部の外径を容器開口周辺部より小さくすることによって設けてあるシール容器を提供するものである。
【0011】
また、本発明は、請求項14に記載のように、請求項1乃至12のいずれかに記載のシール容器において、把持片用空間部が容器開口周辺部に相対する中栓スカート部に設けてあるシール容器を提供するものである。
また、本発明は、請求項15に記載のように、請求項14に記載のシール容器において、把持片用空間部が中栓スカート部の外周に開口部を有するシール容器を提供するものである。
また、本発明は、請求項16に記載のように、請求項15に記載のシール容器において、把持片用空間部の開口部が中栓スカート部の切欠部からなるシール容器を提供するものである。
【0012】
また、本発明は、請求項17に記載のように、請求項15又は16に記載のシール容器において、把持片用空間部の開口部からシール材の剥がし用把持片部が露出しているシール容器を提供するものである。
また、本発明は、請求項18に記載のように、請求項1乃至17に記載のシール容器において、シール材を中栓内に収容し、剥がし用把持片部を把持片用空間部に対応する位置に装着して溶着部を熱溶着してなるシール容器を提供するものである。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係るシール容器によれば、請求項1に記載のように、容器開口縁部に熱溶着により貼着すべきシール材を予め収容した中栓を容器開口部に装着し中栓上から熱溶着するようになしたシール容器において、熱溶着剤を施した剥がし用把持片部を一体に有するシール材を設け、中栓の天板部が少なくともシール材が容器開口縁部に貼着する貼着部の上面に密着すると共に、容器開口縁部の貼着部の下方の容器開口周辺部と中栓スカート部との間に装着部を設け、該装着部の直接接触して係合する係合部分以外の非係合部に前記シール材の剥がし用把持片部を収容する把持片用空間部を設けてなる構成を有することにより、容器開口縁部に熱溶着により貼着したシール材の剥がし用把持片部が把持片用空間部に収納されることによって、中栓の容器開口部への装着を確実にするのみならず、容器開口周辺部に密着することがないから、熱溶着剤を施してあっても貼着することがない効果がある。
【0014】
よって、熱溶着剤を一面に施したシール材の原材料から、打ち抜きによって剥がし用把持片部を有するシール材を容易に大量に製造し採用することができると共に、容器使用時に中栓を離脱して剥がし用把持片部を手指でもって強力にシール材を引っ張ることができ、シール材の貼着部を容器開口縁部から容易に剥ぎ取ることができ、再度、中栓を装着して中栓の吐出孔を利用して内容物を確実に取り出すことができる効果がある。
【0015】
また、本発明は、請求項2に記載のように、請求項1に記載のシール容器において、容器開口周辺部と中栓スカート部との装着部が嵌着による装着部である構成を有することにより、容器開口部に中栓を回転させないで直線的にワンタッチで装着することができるから、シール材の剥がし用把持片部が把持片用空間部に容易に合致させて収納することができる効果がある。
また、本発明は、請求項3に記載のように、請求項1に記載のシール容器において、容器開口周辺部と中栓スカート部との装着部が螺合による装着部である構成を有することにより、中栓を容器開口部に確実に締め付け固定することができる効果がある。
【0016】
また、本発明は、請求項4に記載のように、請求項1、2又は3に記載のシール容器において、把持片用空間部が容器開口周辺部の全周に渡って設けてある構成を有することにより、シール材の剥がし用把持片部の形状に係わらずに、剥がし用把持片部を自由に把持片用空間部に収容することができる効果がある。
また、本発明は、請求項5に記載のように、請求項1乃至4のいずれかに記載のシール容器において、把持片用空間部が容器開口周辺部の一個所又は複数個所に設けてある構成を有することにより、シール材の剥がし用把持片部が一個所又は複数個所に設けてある剥がし用把持片部を把持片用空間部に収容することができる効果がある。
【0017】
また、本発明は、請求項6に記載のように、請求項1乃至5のいずれかに記載のシール容器において、把持用空間部が容器開口縁部の貼着部の下方に指先で持ち易い長さに設けてある構成を有することにより、シール材の剥がし用把持片部を容器開口縁部の貼着部から指先で持ち易い長さにすることができ、シール材を容易に剥がすことができる効果がある。
また、本発明は、請求項7に記載のように、請求項1乃至6のいずれかに記載のシール容器において、シール材の剥がし用把持片部が把持片用空間部に対応して設けてある構成を有することにより、シール材の剥がし用把持片部を対応する把持片用空間部に収納して熱溶着することができる効果がある。
【0018】
また、本発明は、請求項8に記載のように、請求項7に記載のシール容器において、シール材の剥がし用把持片部が貼着部の全周に渡って設けてある構成を有することにより、シール材を任意の位置から剥がし用把持片部を引っ張って剥がすことができる効果がある。
また、本発明は、請求項9に記載のように、請求項7に記載のシール容器において、シール材の剥がし用把持片部が貼着部の周辺の一個所又は複数個所に対応して個別に設けてある構成を有することにより、剥がし用把持片部を容器開口周辺部の一個所又は複数個所に設けてある把持片用空間部に収納して熱溶着することができる効果がある。
【0019】
また、本発明は、請求項10に記載のように、請求項7乃至9のいずれかに記載のシール容器において、シール材の剥がし用把持片部が貼着部の外縁部から指先で持ち易い長さに設けてある構成を有することにより、シール材の剥がし用把持片部を手指によって持ち易いから、シール材を容器開口から容易に剥がすことができる効果がある。
また、本発明は、請求項11に記載のように、請求項1乃至10のいずれかに記載のシール容器において、把持片用空間部が容器開口周辺部に設けてある構成を有することにより、把持片用空間部が中栓スカート部に設けてなくても、容器開口周辺部だけでシール材の剥がし用把持片部を収容することができる効果がある。
【0020】
また、本発明は、請求項12に記載のように、請求項11に記載のシール容器において、把持片用空間部が容器開口周辺部の一部又は全部を切り欠いて設けてある構成を有することにより、同じ面積のシール材で切り欠いた分だけ剥がし用把持片部の長さを長くすることができる効果がある。
また、本発明は、請求項13に記載のように、請求項11に記載のシール容器において、把持片用空間部が容器開口縁部の外径を容器開口周辺部より小さくすることによって設けてある構成を有することにより、同じ面積のシール材で外径を小さくした分だけ剥がし用把持片部の長さを長くすることができる効果がある。
【0021】
また、本発明は、請求項14に記載のように、請求項1乃至13のいずれかに記載のシール容器において、把持片用空間部が容器開口周辺部に相対する中栓スカート部に設けてある構成を有することにより、把持片用空間部が容器開口周辺部に設けてなくても、中栓スカート部だけでシール材の剥がし用把持片部を収容することができる。
また、本発明は、請求項15に記載のように、請求項14に記載のシール容器において、把持片用空間部が中栓スカート部の外周に開口部を有する構成を有することにより、開口部からシール部材の剥がし用把持片部を視認することができる効果がある。
【0022】
また、本発明は、請求項16に記載のように、請求項15に記載のシール容器において、把持片用空間部の開口部が中栓スカート部の切欠部からなる構成を有することにより、把持用空間部と中栓スカート部との相対部分に把持片用空間部を設けることなく、切欠部をそのまま把持片用空間部として利用することができるのみならず、中栓スカート部の長さより長い剥がし用把持片部を設けることができる効果がある。
また、本発明は、請求項17に記載のように、請求項15又は16に記載のシール容器において、把持片用空間部の開口部からシール材の剥がし用把持片部が露出している構成を有することにより、開口部から剥がし用把持片部を外に出した状態で確実に把持片用空間に収容することができる効果がある。
【0023】
また、本発明は、請求項18に記載のように、請求項1乃至17に記載のシール容器において、シール材を中栓内に収容し、剥がし用把持片部を把持片用空間部に対応する位置に装着して溶着部を熱溶着してなる構成を有することにより、シール材の剥がし用把持片部を把持片用空間部に対応する位置に収容して装着して溶着部を熱溶着するから、確実にシール材の剥がし用把持片部を把持片用空間部に収容することができる効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
本発明に係るシール容器によれば、容器開口部1の容器開口縁部2に熱溶着によりシール材20を貼着し、その上に重ねて中栓10を装着してなるシール容器において、熱溶着剤21を施した剥がし用把持片部22を一体に有するシール材20を設け、中栓10の天板部11が少なくともシール材20が容器開口縁部2に貼着する貼着部23の上面に密着すると共に、容器開口縁部2の貼着部の下方の容器開口周辺部3と中栓スカート部12との間に装着部30を設け、該装着部30の直接接触して係合する係合部分以外の非係合部に前記シール材20の剥がし用把持片部22を収容する把持片用空間部31を設けてなる構成を有する。
【0025】
このことにより、容器開口縁部2に熱溶着により貼着したシール材20の剥がし用把持片部22が把持片用空間部31に収納されることによって、容器開口周辺部3及び中栓スカート部12に密着することがないから、熱溶着剤を施してあっても貼着することがない効果がある。
また、把持用空間部31を容器開口縁部2の貼着部の下方1mm以上、好ましくは2.5mm以上の長さに設け、シール材20の剥がし用把持片部22を容器開口縁部2の貼着部から1mm以上、好ましくは2.5mm以上の手指によって持ち易い長さにすることができ、シール材20を容器開口縁部2から容易に剥がすことができる。
【0026】
よって、熱溶着剤21を一面に施したシール材20の原材料から、打ち抜き手段によって剥がし用把持片部22を有するシール材20を一体に打ち抜くことができるから、剥がし用把持片部22を有するシール材20を効率よく容易に大量に製造することができると共に、容器使用時に中栓10を離脱して剥がし用把持片部22を手指で持って滑ることなく強力にシール材10を引っ張ることができ、シール材10の貼着部23を容器開口縁部2から容易に剥ぎ取ることができ、また、剥ぎ取った後、再度、中栓10を容易に装着することができ、その中栓の吐出孔等を利用して内容物を確実に取り出すことができる効果がある。
【実施例1】
【0027】
図1に記載の実施例1の場合、殆ど弾性変形しないガラス製の容器開口縁部2の貼着部の下方の容器開口周辺部3と、弾性変形しないプラスチック製の中栓スカート部12との間に嵌着による装着部30が設けてある。この実施例の場合、装着部30は容器開口周辺部3側に凹溝部32が設けてあると共に、中栓スカート部12側に突起部13が設けてある。
なお、嵌着による装着部30は、この実施例とは逆に容器開口周辺部3側に突起部が設けてあると共に、中栓スカート部12側に凹溝部が設けてあっても良いし、また、容器開口周辺部3と中栓スカート部12との間に突起部と凹溝部の嵌着による装着部30が全周に渡って設けてあっても、間欠的に設けてあっても、交互に設けてあっても、高さや深さを変えて設けてあっても良い。
【0028】
この嵌着による構成を有することにより、容器開口部1に中栓10を回転させないで直線的にワンタッチで装着することができるから、シール材20の剥がし用把持片部22を把持片用空間部31に容易に合致させて収納することができる効果がある。
また、突起部と凹溝部の嵌着による装着部30が間欠的に設けてある場合には、容器開口部1に対して中栓10を相対的に回転することによって中栓10を外すことができる。
また、この実施例1の場合、図11に記載のように、把持片用空間部31が容器開口周辺部3に相対する中栓スカート部12に設けてあることにより、把持片用空間部31が容器開口周辺部3に設けてなくても、中栓スカート部12だけでシール材20の剥がし用把持片部22を収容することができる。
【0029】
この図11の把持用空間部31が一個所に設けてある実施例に対しては、図18に記載のシール材20の一個所に突出して設けた剥がし用把持片部22が合致して収容されるように構成してあるが、図10に記載のように、把持用空間部31が中栓スカート部12の全周に設けてある場合には、図15の剥がし用把持片部22が貼着部23を中心に全周に均等に設けたシール部材20、図16の剥がし用把持片部22が貼着部23に対して偏位して設けたシール部材20、図17又は図20の剥がし用把持片部22が貼着部23に対して四角形状又は三角形状に設けてあるシール部材20、図18、図19、又は、図21の剥がし用把持片部22が貼着部23に対して一個所、四個所又は五個所のように突出して設けてあるシール部材20が採用可能である。
なお、図18、図19、又は、図21の剥がし用把持片部22が貼着部23に対して一個所、四個所又は五個所のように突出して設けてあるシール部材20は、把持用空間部31が中栓スカート部12の一個所又は複数個所に間欠的に設けてある場合に対応している。
【実施例2】
【0030】
図2に記載の実施例2の場合、容器開口周辺部3と中栓スカート部12との間に設けた嵌着による装着部30の構成は、実施例1の場合と同様である。また、この実施例2の場合、図12に記載のように、把持片用空間部31が中栓スカート部12に相対する容器開口周辺部3に設けてある。このことにより、把持片用空間部31が中栓スカート部12に設けてなくても、容器開口周辺部3だけでシール材20の剥がし用把持片部22を収容することができる。
なお、把持用空間部31が容器開口周辺部3の全周に設けてある場合、又は、一個所又は複数個所に間欠的に設けてある場合に対応するシール部材20の構成は、実施例1の場合と同様である。
【実施例3】
【0031】
図3に記載の実施例3の場合、容器開口周辺部3と中栓スカート部12との間に設けた嵌着による装着部30の構成は、実施例1、2の場合と同様である。また、この実施例3の場合、図13に記載のように、把持片用空間部31が、相対する中栓スカート部12と容器開口周辺部3との両側に設けてある。このことにより、把持片用空間部31が相対する容器開口周辺部3と中栓スカート部12に浅く設けてあったとしても、シール材20の剥がし用把持片部22を容易に収容することができる。
図4の実施例では、把持用空間部31の下側に連続して嵌着による装着部30を設けたものである。
なお、把持用空間部31が容器開口周辺部3の全周に設けてある場合、又は、一個所又は複数個所に間欠的に設けてある場合に対応するシール部材20の構成は、実施例1又は2の場合と同様である。
【実施例4】
【0032】
図5に記載の実施例4の場合、容器開口周辺部3と中栓スカート部12との装着部30にねじ溝が設けてあり、螺合による装着部となっている。この構成により、中栓10を容器開口部1に確実に締め付け固定することができる効果がある。
また、この実施例4の場合、把持片用空間部31が容器開口縁部2から容器開口周辺部3に一周辺部を切り欠いて設けてある。この構成を有することにより、図22に記載のように、シール材20の剥がし用把持片部22を二個所に長く設定して容器開口縁部2を切り欠いた部分に収容可能にし、中栓10には把持用空間部31を設ける必要がない効果がある。
【実施例5】
【0033】
図6に記載の実施例5の場合、螺合による装着部30の構成は実施例4と同様である。また、この実施例5の場合、把持片用空間部31が容器開口縁部2から容器開口周辺部3に全周辺部を切り欠いて設けてあると共に、容器開口縁部2の外径を容器開口周辺部3より小さくすることによって設けてある。この構成を有することにより、円形の全周に渡る剥がし用把持部を有するシール材20を用いることができ、同じ面積のシール材20で容器開口縁部2の外径を小さくした分だけ剥がし用把持片部の長さを長くすることができると共に、中栓10には把持用空間部31を設ける必要がない効果がある。
なお、図7に記載の把持片用空間部31は、容器開口縁部2から容器開口周辺部3に設けた嵌着用の装着部30にかけて、周辺部の一部又は全部を切り欠いて設けた形態のものである。
【実施例6】
【0034】
図8に記載の実施例6の場合、容器開口周辺部3と中栓スカート部12との間に設けた嵌着による装着部30の構成は、実施例1の場合と同様である。
ただし、この実施例6の場合、図9に記載のように、中栓スカート部12には、間欠的な切欠部14からなる開口部が設けてあり、把持片用空間部31が中栓スカート部12の外周に設けた切欠部14で構成されている。そのため、中栓スカート部12は、図9に記載のように、先端部に嵌合用の突起部13を有する爪付脚部状をなすように構成してある。
【0035】
この構成により、図8に記載のように、シール部材20の剥がし用把持片部22を視認することができる効果があると共に、図14に記載のように、容器開口周辺部3と中栓スカート部12との相対部分に把持片用空間部31を設けることなく、切欠部14をそのまま把持片用空間部31として利用することができるのみならず、図10に記載のように、シール部材20に中栓スカート部12の長さより長い剥がし用把持片部22を設けることができる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明に係るシール容器の一実施例の要部を一部縦断して示す一部概略縦断正面図。
【図2】他の実施例の要部を一部縦断して示す一部概略縦断正面図。
【図3】他の実施例の要部を一部縦断して示す一部概略縦断正面図。
【図4】他の実施例の要部を一部縦断し拡大して示す一部概略縦断拡大正面図。
【図5】他の実施例の要部を平面概略図と一部縦断概略縦断正面図で示す説明図。
【図6】他の実施例の要部を平面概略図と一部縦断概略縦断正面図で示す説明図。
【図7】他の実施例の要部を一部縦断し拡大して示す一部概略縦断拡大正面図。
【図8】他の実施例の要部を示す一部概略正面図。
【図9】その実施例の要部を示す概略底面図。
【図10】他の実施例の要部を一部横断して示す一部概略横断面。
【図11】他の実施例の要部を一部横断して示す一部概略横断面。
【図12】他の実施例の要部を一部横断して示す一部概略横断面。
【図13】他の実施例の要部を一部横断して示す一部概略横断面。
【図14】他の実施例の要部を一部横断して示す一部概略横断面。
【図15】本発明に係るシール材の一実施例を示す概略平面説明面。
【図16】他のシール材の一実施例を示す概略平面説明面。
【図17】他のシール材の一実施例を示す概略平面説明面。
【図18】他のシール材の一実施例を示す概略平面説明面。
【図19】他のシール材の一実施例を示す概略平面説明面。
【図20】他のシール材の一実施例を示す概略平面説明面。
【図21】他のシール材の一実施例を示す概略平面説明面。
【図22】他のシール材の一実施例を示す概略平面説明面。
【符号の説明】
【0037】
1 容器開口部
2 容器開口縁部
3 容器開口周辺部
10 中栓
11 天板部
12 中栓スカート部
13 突起部
14 切欠部
20 シール材
21 熱溶着部
22 剥がし用把持片部
23 貼着部
30 装着部
31 把持片用空間部
32 凹溝部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器開口縁部に熱溶着により貼着すべきシール材を予め収容した中栓を容器開口部に装着し中栓上から熱溶着するようになしたシール容器において、熱溶着剤を施した剥がし用把持片部を一体に有するシール材を設け、中栓の天板部が少なくともシール材が容器開口縁部に貼着する貼着部の上面に密着すると共に、容器開口縁部の貼着部の下方の容器開口周辺部と中栓スカート部との間に装着部を設け、該装着部の直接接触して係合する係合部分以外の非係合部に前記シール材の剥がし用把持片部を収容する把持片用空間部を設けてなるシール容器。
【請求項2】
請求項1に記載のシール容器において、容器開口周辺部と中栓スカート部との装着部が嵌着による装着部であるシール容器。
【請求項3】
請求項1に記載のシール容器において、容器開口周辺部と中栓スカート部との装着部が螺合による装着部であるシール容器。
【請求項4】
請求項1、2又は3に記載のシール容器において、把持片用空間部が容器開口周辺部の全周に渡って設けてあるシール容器。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれかに記載のシール容器において、把持片用空間部が容器開口周辺部の一個所又は複数個所に設けてあるシール容器。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれかに記載のシール容器において、把持用空間部が容器開口縁部の貼着部の下方に指先で持ち易い長さに設けてあるシール容器。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれかに記載のシール容器において、シール材の剥がし用把持片部が把持片用空間部に対応して設けてあるシール容器。
【請求項8】
請求項7に記載のシール容器において、シール材の剥がし用把持片部が貼着部の全周に渡って設けてあるシール容器。
【請求項9】
請求項7に記載のシール容器において、シール材の剥がし用把持片部が貼着部の周辺の一個所又は複数個所に対応して個別に設けてあるシール容器。
【請求項10】
請求項1乃至9のいずれかに記載のシール容器において、シール材の剥がし用把持片部が貼着部の外縁部から指先で持ち易い長さに設けてあるシール容器。
【請求項11】
請求項1乃至10のいずれかに記載のシール容器において、把持片用空間部が容器開口周辺部に設けてあるシール容器。
【請求項12】
請求項11に記載のシール容器において、把持片用空間部が容器開口周辺部を切り欠いて設けてあるシール容器。
【請求項13】
請求項11に記載のシール容器において、把持片用空間部が容器開口縁部の外径を容器開口周辺部より小さくすることによって設けてあるシール容器。
【請求項14】
請求項1乃至13のいずれかに記載のシール容器において、把持片用空間部が容器開口周辺部に相対する中栓スカート部に設けてあるシール容器。
【請求項15】
請求項14に記載のシール容器において、把持片用空間部が中栓スカート部の外周に開口部を有するシール容器。
【請求項16】
請求項15に記載のシール容器において、把持片用空間部の開口部が中栓スカート部の切欠部からなるシール容器。
【請求項17】
請求項15又は16に記載のシール容器において、把持片用空間部の開口部からシール材の剥がし用把持片部が露出しているシール容器。
【請求項18】
請求項1乃至17に記載のシール容器において、シール材を中栓内に収容し、剥がし用把持片部を把持片用空間部に対応する位置に装着して溶着部を熱溶着してなるシール容器。
【請求項1】
容器開口縁部に熱溶着により貼着すべきシール材を予め収容した中栓を容器開口部に装着し中栓上から熱溶着するようになしたシール容器において、熱溶着剤を施した剥がし用把持片部を一体に有するシール材を設け、中栓の天板部が少なくともシール材が容器開口縁部に貼着する貼着部の上面に密着すると共に、容器開口縁部の貼着部の下方の容器開口周辺部と中栓スカート部との間に装着部を設け、該装着部の直接接触して係合する係合部分以外の非係合部に前記シール材の剥がし用把持片部を収容する把持片用空間部を設けてなるシール容器。
【請求項2】
請求項1に記載のシール容器において、容器開口周辺部と中栓スカート部との装着部が嵌着による装着部であるシール容器。
【請求項3】
請求項1に記載のシール容器において、容器開口周辺部と中栓スカート部との装着部が螺合による装着部であるシール容器。
【請求項4】
請求項1、2又は3に記載のシール容器において、把持片用空間部が容器開口周辺部の全周に渡って設けてあるシール容器。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれかに記載のシール容器において、把持片用空間部が容器開口周辺部の一個所又は複数個所に設けてあるシール容器。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれかに記載のシール容器において、把持用空間部が容器開口縁部の貼着部の下方に指先で持ち易い長さに設けてあるシール容器。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれかに記載のシール容器において、シール材の剥がし用把持片部が把持片用空間部に対応して設けてあるシール容器。
【請求項8】
請求項7に記載のシール容器において、シール材の剥がし用把持片部が貼着部の全周に渡って設けてあるシール容器。
【請求項9】
請求項7に記載のシール容器において、シール材の剥がし用把持片部が貼着部の周辺の一個所又は複数個所に対応して個別に設けてあるシール容器。
【請求項10】
請求項1乃至9のいずれかに記載のシール容器において、シール材の剥がし用把持片部が貼着部の外縁部から指先で持ち易い長さに設けてあるシール容器。
【請求項11】
請求項1乃至10のいずれかに記載のシール容器において、把持片用空間部が容器開口周辺部に設けてあるシール容器。
【請求項12】
請求項11に記載のシール容器において、把持片用空間部が容器開口周辺部を切り欠いて設けてあるシール容器。
【請求項13】
請求項11に記載のシール容器において、把持片用空間部が容器開口縁部の外径を容器開口周辺部より小さくすることによって設けてあるシール容器。
【請求項14】
請求項1乃至13のいずれかに記載のシール容器において、把持片用空間部が容器開口周辺部に相対する中栓スカート部に設けてあるシール容器。
【請求項15】
請求項14に記載のシール容器において、把持片用空間部が中栓スカート部の外周に開口部を有するシール容器。
【請求項16】
請求項15に記載のシール容器において、把持片用空間部の開口部が中栓スカート部の切欠部からなるシール容器。
【請求項17】
請求項15又は16に記載のシール容器において、把持片用空間部の開口部からシール材の剥がし用把持片部が露出しているシール容器。
【請求項18】
請求項1乃至17に記載のシール容器において、シール材を中栓内に収容し、剥がし用把持片部を把持片用空間部に対応する位置に装着して溶着部を熱溶着してなるシール容器。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図2】
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【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
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【公開番号】特開2007−168805(P2007−168805A)
【公開日】平成19年7月5日(2007.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−364753(P2005−364753)
【出願日】平成17年12月19日(2005.12.19)
【出願人】(000116297)ヱスビー食品株式会社 (40)
【出願人】(000234627)シロウマサイエンス株式会社 (40)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年7月5日(2007.7.5)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年12月19日(2005.12.19)
【出願人】(000116297)ヱスビー食品株式会社 (40)
【出願人】(000234627)シロウマサイエンス株式会社 (40)
【Fターム(参考)】
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