説明

シール端部がフィルムで覆われた脱酸素剤包装体及びその連包体

【課題】その包装構造により、粉末、粒状の脱酸素剤組成物が包装体のシール端部に噛み込んだり、シール端部に付着したりする場合があった。この為、この包装体のシール端部に噛み込んだり付着した粉末、粒状の脱酸素剤組成物が、食品、医薬品等の物品と共に密封容器に収納された後に漏れ出し、食品及び医薬品等の物品に移行する事が稀にあった。このシール端部からの粉末、粒状の脱酸素剤組成物の漏れ出しの無い脱酸素剤包装体を提供する。
【解決手段】脱酸素剤組成物が充填包装された後にシール端部を覆うようにフィルム2を貼付けることで、粉末、粒状の脱酸素剤組成物が漏れ出さない脱酸素剤包装体である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シール端部の一部又は全部がフィルムで覆われた脱酸素剤包装体及びその連包体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、金属鉄等の酸化反応を利用した脱酸素剤は広く知られており、この脱酸素剤は、食品、医薬品等の物品と共に密封容器に収納して容器内の酸素を吸収除去することにより、主として酸素による酸化劣化を防止して食品及び医薬品等の鮮度及び品質を保持するために利用されている。
【0003】
脱酸素剤包装体を製造する包装機の1つにロータリー式三方シール製袋充填包装機がある。このロータリー式三方シール製袋充填包装機は、高速で粉末、粒状の脱酸素剤組成物をほぼ定量に充填包装出来る事が特徴であり、乾燥剤などの包装にも使用されている。しかし、その包装構造により、粉末、粒状の脱酸素剤組成物が包装体のシール端部に噛み込んだり、シール端部に付着したりする場合があった。この為、この包装体のシール端部に噛み込んだり付着した粉末、粒状の脱酸素剤組成物が、食品、医薬品等の物品と共に密封容器に収納された後に漏れ出し、食品及び医薬品等の物品に移行する事が稀にあった。
【0004】
上記の問題を解決するために、ロータリー式三方シール製袋充填包装機にて充填包装された包装体にブラシを当てて表面を洗浄する方法などが提案されている。
【0005】
しかし、この方法を用いても、脱酸素剤組成物のごく微量の漏れ出しが問題となる場合があった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、シール端部からの粉末、粒状の脱酸素剤組成物の漏れ出しの無い脱酸素剤包装体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らが前記課題を解決する方法を検討した結果、脱酸素剤組成物が充填包装された後にシール端部を覆うようにフィルムを貼付けることで、粉末、粒状の脱酸素剤組成物が漏れ出さない脱酸素剤包装体を得られることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、フィルムで脱酸素剤包装体のシール端部を覆う事で、フィルムを貼付けた後に、シール端部から粉末、粒状の脱酸素剤組成物が漏れ出すことがなくなる。本発明の脱酸素剤包装体を用いることで、食品及び医薬品等の物品を汚染することなく、物品の鮮度及び品質を保持することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の脱酸素剤連包体の一実施形態を示す正面図である。
【図2】本発明の脱酸素剤包装体の一実施形態を示す断面図である。
【図3】本発明の片面粘着テープの一実施形態を示すその幅方向の断面図である。
【図4】本発明の片面粘着テープ付き脱酸素剤包装体を実施するための製造装置の正面図である。
【図5】図4に示す製造装置の一部拡大図である。
【図6】図4に示す製造装置の一部拡大図である。
【図7】図6に示す拡大図の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態について、必要に応じて図面を参照しながら説明する。本発明において、脱酸素剤包装体とは、脱酸素剤組成物を通気性包装材料により充填包装したものであり、脱酸素剤包装体連包体とは、小袋状の脱酸素剤包装体を一定方向に沿って帯状に連ねてなるものである。
【0011】
本発明の脱酸素剤包装体は、シール端部の一部又は全部がフィルムで覆われたものである。フィルムで覆う部分は、脱酸素剤組成物を充填した後にシールした辺の一部でも良いが、貼付工程の容易さから前記の辺の全体であっても良い。さらに、脱酸素剤組成物を充填する前にシールした辺をフィルムで覆っても構わない。
【0012】
前記フィルムは、シール端部からの粉末、粒状の脱酸素剤組成物の漏れ出しを防ぐことができるものであれば何ら限定されないが、貼付及び入手の容易さ、並びに製造コストの面から、片面粘着テープが好ましい。この場合、脱酸素剤包装体が出来上がってから片面粘着テープを粘着するという極めてシンプルな構成であるために、生産性が高く低コスト化が可能であり、しかも応用時の操作性も高いため、製造トータルコストを低く設定できる。
【0013】
前記粘着テープの材質は特に限定されないが、基材であるプラスチックフィルムの片面に粘着剤が塗布、又は積層されているものが好ましい。
【0014】
基材のプラスチックフィルムの材質としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリアミド、ポリカーボネート、アセテート、セロハン、アルミ等があげられるが、透明性、柔軟性、強度等の面から、延伸ポリプロピレン又はポリエステルやセロハンが好ましい。プラスチックフィルムの厚みは実用的な強度と柔軟性があれば特に問わないが、5〜100μmが好ましい。
【0015】
粘着剤としては、合成ゴム系、天然ゴム系、アクリル系、シリコン系等既存のものを用いる事が出来る。この際、粘着剤の種類と厚みは、安全衛生性に優れること、被着体に対する適度な接着性が得られること等を考慮して適宜選択すればよい。
【0016】
プラスチックフィルムへの粘着加工は、粘着剤をエマルジョンとして、又は溶剤で希釈して塗布後乾燥する、粘着剤を押し出し積層する、フィルム化した粘着剤を離型紙から転写する等、公知の各方法が用いられる。このようにして得られた片面粘着テープの幅は取り扱い性やコストの点から3〜50mmが好ましく、5〜30mmが得に好ましい。
【0017】
また紙管等に巻かれた片面粘着テープを巻き出す際に少ない抵抗で円滑に巻き出しが可能なように、非粘着面側にシリコン系、アルキッド樹脂系等の離型剤を塗布することが好ましい。
【0018】
本発明のフィルムが貼付された脱酸素剤包装体について説明する。図1は、脱酸素剤包装体1にフィルム2が貼付けられた正面図である。フィルム2は、幅方向ほぼ中央より折り曲げ、脱酸素剤包装体連包体のシール端部を覆うように貼付けるのが好ましい。図2は、図1の脱酸素剤包装体1にフィルム2を貼付けた幅方向の断面図である。
【0019】
図3は、フィルムとしてプラスチック製片面粘着テープを用いた場合の幅方向の断面図である。片面粘着テープ2のプラスチックフィルム2−1の片面に2−2の粘着剤が全面に塗布又は積層されているものである。
【0020】
次に、この脱酸素剤包装体を得るための方法、及び装置を具体的に説明する。この装置は、公開特許公報2001−50948号に記載された、製造装置を改良したものである。
【0021】
図4は、本発明の製造装置の一例を示す概念図である。この装置は、脱酸素剤包装体連包体1を順次自動的に繰り出す連包体自動供給設備3と、片面粘着テープを脱酸素剤に向けて連続的に送り出す粘着テープ供給装置8と、片面粘着テープを脱酸素剤包装体連包体シール端部に貼り付け、圧着し固定する圧着手段を備える貼付設備9とから構成される。
【0022】
連包体自動供給設備3は、脱酸素剤包装体連包体1が所定量ドラム(筒状)に巻きつけられたものが掛けられている脱酸素剤包装体連包体アンリール4とガイドローラー5〜7からなり、このアンリール4から脱酸素剤包装体連包体がガイドローラー5〜7を介して順次自動的に、次工程にある粘着テープ供給設備8へ逐次繰り出される。
【0023】
粘着テープ供給装置8は、片面粘着テープ2をガイドロール31、33を介して脱酸素剤包装体連包体1に向けて繰り出す片面粘着テープアンリール30を備えている。貼付設備9は、片面粘着テープ2を脱酸素剤包装体連包体1のシール端部両側に覆うように貼り付け圧着する。片面粘着テープ2は、図5の片面粘着テープガイド33にて脱酸素包装体連包体のシール端部両側を覆うように供給される。その後、図6の圧着ローラー10、11で接着する圧着手段を備えている。片面粘着テープ2が粘着テープ供給装置8を介して圧着手段に送られる。貼付設備9を経た脱酸素剤包装体連包体1は、複数の小袋状脱酸素剤がシール部を介して長さ方向に連なった構造を持っている。さらに、貼付設備9は片面粘着テープ2が付いた脱酸素剤包装体連包体1を一つ一つに切断するためのカッターを含むカッター機構21を備えていることが好ましい。このカッター機構の構成及び動作は前記公開特許公報2001−50948号に記載のものを適用することができる。図4に示す装置では、脱酸素剤包装体連包体1の送り方向に沿って圧着手段が存在する。符号10、11はこの圧着手段を形成する。これら圧着ローラー間に脱酸素剤包装体連包体1、片面粘着テープ2が送り出されて、互いに圧着されることにより、脱酸素剤包装体連包体1のシール端部を覆うように片面粘着テープ2が貼付された脱酸素剤包装体連包体1が形成され、送りローラー20によってこの包装体連包体がカッター機構21に誘導される。
【0024】
図5は、貼付設備9の一部を拡大して示したものである。図5は、脱酸素剤の小袋がシール部を介して長さ方向に連接された脱酸素剤包装体連包体1のシール端部に片面粘着テープ2がガイドローラー33を介して、両側を覆うように供給される状態を示している。
【0025】
図6は、貼付設備9の一部を拡大して示したものである。図6は、脱酸素剤の小袋がシール部を介して長さ方向に連接された脱酸素剤包装体連包体1のシール端部に片面粘着テープ2がガイドローラー33を介して、両側を覆うように供給されたものを圧着ローラー10、11にて圧着し接着される状態を示している。圧着ローラー11−1は、脱酸素剤包装体連包体1のシール端部部分のみを圧着し接着する構造になっているが、片面粘着テープ2を脱酸素剤包装体連包体1のシール端部に圧着し接着できる構造であれば平行ローラーを使用してもかまわない。図7は、図6の組立概略図を示している。
【0026】
図2は、片面粘着テープが貼付された脱酸素剤包装体連包体1を正面から観た正面図である。片面粘着テープの幅方向のほぼ中心をこの脱酸素剤包装体連包体1の端面部に合わせて粘着する。カッター機構21は、この脱酸素剤包装体連包体1のシール部100をカッターで切断する。
【符号の説明】
【0027】
1:脱酸素剤包装体連包体、2:フィルム又は片面粘着テープ、3:連包体自動供給機、8:粘着テープ供給装置、9:貼付設備、10、11:圧着ローラー、20:送りローラー、21:カッター機構

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シール端部の一部又は全部がフィルムで覆われた脱酸素剤包装体。
【請求項2】
前記フィルムが片面粘着テープである請求項1記載の脱酸素剤包装体。
【請求項3】
前記粘着テープがプラスチック基材に粘着剤を塗布又は積層したものである請求項2記載の脱酸素剤包装体。
【請求項4】
請求項1から3のいずれかに記載の脱酸素剤包装体を一定方向に沿って帯状に連ねてなる脱酸素剤包装体連包体。
【請求項5】
請求項4に記載の脱酸素剤包装体連包体の製造装置であって、脱酸素剤包装体連包体を順次自動的に繰り出す連包体自動供給装置、片面粘着テープを連続的に送り出す粘着テープ供給装置、及び片面粘着テープを脱酸素剤連包体のシール端部に圧着し貼付ける圧着手段を備える貼付設備、からなる脱酸素剤包装体連包体の製造装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−107682(P2013−107682A)
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−254725(P2011−254725)
【出願日】平成23年11月22日(2011.11.22)
【出願人】(000004466)三菱瓦斯化学株式会社 (1,281)
【Fターム(参考)】