説明

ジャンパ線連結体およびこれを用いて形成されたジャンパ線を備えたプリント基板

【課題】様々なピッチを有し、プリント基板に容易に組み付けることの出来るジャンパ線をコスト効率良く得ることの出来る、新規な構造のジャンパ線連結体を提供すること。
【解決手段】キャリア部材12の長さ方向の所定間隔毎に固定された複数のジャンパ線14a,14bを同一のジャンパ素線28から形成して、両端部にプリント基板40に係止される当て止め部30を形成すると共に、前記キャリア部材12からの突出部分を屈曲部38,38において同一方向に屈曲して門形状とする一方、複数のジャンパ線14a,14bで屈曲部38,38の形成位置を相互に異ならせることによって、前記ジャンパ線14a,14bを、先端縁部32,32間の離隔距離を異ならせた複数種類から構成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のジャンパ線が連結されたジャンパ線連結体と、これを用いて形成されたジャンパ線を備えたプリント基板に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、プリント基板には、相互に離れたプリント配線間を接続する等のために、ジャンパ線が用いられることがある。ジャンパ線は、例えば特開平10−112578号公報(特許文献1)等に記載されているように、コの字の門形状とされた金属材を含んで構成されている。そして、ジャンパ線の両端部が、互いに離れたプリント配線上に設けられたスルーホールにそれぞれ挿通されて半田付けされることによって、両プリント配線を接続することが可能とされている。
【0003】
ところで、プリント配線の配索形状は、電気回路に応じて様々であり、ジャンパ線で相互に接続されるプリント配線の離隔距離は様々である。それ故、プリント配線の離隔距離に応じて、ジャンパ線の両端部の離隔距離(ピッチ)には、多種のものが要求される。
【0004】
ところが、従来のジャンパ線は、元となるジャンパ素線として、要求されるピッチに応じて長さの異なる金属材を用意すると共に、各ピッチに応じて用意された曲げ加工治具によって、一本ずつ曲げ加工が行なわれて門形状に形成されていた。それ故、ピッチの種類分の金属材と曲げ加工治具を用意しなければならず、製造コストの面で未だ改善の余地を有していた。
【0005】
また、ジャンパ線は、非常に小さいものが多い。それ故、プリント基板に組み付ける際に、両端部のスルーホールへの挿通量を精度良く設定することが困難であったり、半田付け前に転倒してしまうおそれがあった。そこで、特許文献1では、門形とされた金属材の天部に樹脂製の支持部が固着されている。そして、支持部をプリント基板に接触させることによって、スルーホールへの挿通量を規定すると共に、ジャンパ線をプリント基板上に立たせることが可能とされている。しかし、前述のように、製造コストの面で改善の余地を有する金属材の1本ずつに、更に樹脂製の支持部をインサート成形等して固着することは、更なる製造コストの増加を招くことから、好ましくは無い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平10−112578号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上述の事情を背景に為されたものであって、その解決課題は、様々なピッチを有し、プリント基板に容易に組み付けることの出来る複数種類のジャンパ線をコスト効率良く得ることの出来る、新規な構造のジャンパ線連結体を提供することにある。また、本発明は、そのようなジャンパ線連結体を用いて形成されたジャンパ線を備えた新規な構造のプリント基板を提供することも、目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
ジャンパ線連結体に関する本発明の第一の態様は、キャリア部材と、該キャリア部材に対してその長さ方向の所定間隔毎に固定された複数のジャンパ線とを備えており、前記複数のジャンパ線がそれぞれ同一のジャンパ素線から形成されており、前記ジャンパ線の長さ方向両側が前記キャリア部材から幅方向両側に突出されていると共に、前記ジャンパ線における前記キャリア部材からの両側の突出部分には、それぞれ同じ位置にプリント基板のスルーホールに係止される当て止め部が形成されている一方、前記ジャンパ線には、前記キャリア部材からの両側の突出部分の前記キャリア部材から前記当て止め部に至る中間部に屈曲部が設けられており、該屈曲部で前記両側の突出部分が同一方向に屈曲されて門形状とされていると共に、前記複数のジャンパ線が、前記屈曲部の形成位置を相互に異ならされて前記両側の突出部分における前記屈曲部から先端縁部までの長さ寸法と両前記先端縁部間の離隔距離とがそれぞれ異ならされた複数種類から構成されていることを、特徴とする。
【0009】
本発明に従う構造とされたジャンパ線連結体によれば、同一のジャンパ素線から形成された複数のジャンパ線がキャリア部材で連結されている。ここにおいて、ジャンパ素線とは、ジャンパ線の元となる金属材のことであり、門形状に折曲される前の直線状の金属材のことを言う。ジャンパ素線としては、金属線材のみならず、金属板を打ち抜いたもの等も採用可能である。このようなジャンパ素線が屈曲されて門形状のジャンパ線が形成されており、要求されるピッチに応じて屈曲部の位置を異ならせることによって、ピッチの異なる複数種類のジャンパ線の連結体を簡単に得ることが出来る。そして、ジャンパ線を切り出すことによって、長さと当て止め部を共通にする単一種類のジャンパ素線を用いつつ、多種のピッチのジャンパ線をコスト効率良く得ることが出来る。このように、本発明のジャンパ線連結体によれば、多種のピッチのジャンパ線を得るために汎用的に用いることが出来る。
【0010】
さらに、ジャンパ線のキャリア部材からの両側の突出部分には、プリント基板のスルーホールに係止される当て止め部が形成されている。これにより、本発明のジャンパ線連結体から得られたジャンパ線は、当て止め部でスルーホールへの挿通量を精度良く規定することが可能であり、プリント基板への組み付けを容易に行なうことも出来る。
【0011】
なお、複数のジャンパ線を固定するキャリア部材は、合成樹脂から形成して、キャリア部材を残した状態でジャンパ線をプリント基板に実装しても良いし、キャリア部材を金属材から形成して、ジャンパ線のプリント基板への実装時にジャンパ線から取り外すようにしても良い。
【0012】
ジャンパ線連結体に関する本発明の第二の態様は、前記第一の態様に記載のものにおいて、前記キャリア部材が非導電性の合成樹脂から形成されており、該キャリア部材の長さ方向で前記複数のジャンパ線の間には、切断用切欠部が形成されているものである。
【0013】
このようにすれば、キャリア部材を切断用切欠部で切断することによって、ジャンパ線を容易に切り出すことが出来る。また、本態様によれば、キャリア部材が非導電性を有していることから、複数本のジャンパ線をキャリア部材で相互に連結した状態でプリント基板に組み付けることも可能とされる。これにより、複数本のジャンパ線を連結状態で纏めて切り出して、プリント基板に一度に組み付けることにより、優れた組み付け効率を得ることも出来る。
【0014】
ジャンパ線連結体に関する本発明の第三の態様は、前記第一又は第二の態様に記載のものにおいて、前記複数のジャンパ線の前記突出部分において、前記当て止め部から前記先端縁部側が傾斜部とされており、該傾斜部の延出方向が、前記屈曲部から前記当て止め部に至る延出方向に対して傾斜されている一方、前記プリント基板のスルーホールへの挿通状態において、前記傾斜部が前記スルーホールに対して当接して係止されるようになっているものである。
【0015】
本態様によれば、ジャンパ線連結体から得られたジャンパ線の傾斜部をプリント基板に係止させることによって、半田付け前の状態において、ジャンパ線のプリント基板からの脱落を防止することが出来る。これにより、ジャンパ線のプリント基板への組み付けをより容易にすることが出来る。
【0016】
プリント基板に関する本発明の第一の態様は、複数のジャンパ線がそれぞれ二つのスルーホール間を連結して実装面に装着されているプリント基板であって、前記複数のジャンパ線が請求項1〜3の何れか1項に記載のジャンパ線連結体から切り離された前記複数種類のジャンパ線を含んで構成されている一方、前記複数種類のジャンパ線の両前記先端縁部が前記二つのスルーホールに挿通されて半田付けされており、前記複数種類のジャンパ線の前記実装面からの突出高さが相互に異ならされていることを、特徴とする。
【0017】
本発明に従う構造とされたプリント基板によれば、異なるピッチを有する複数種類のジャンパ線を、前記ジャンパ線連結体から切り出して実装することにより、安価に製造することが出来る。
【発明の効果】
【0018】
ジャンパ線連結体に関する本発明によれば、キャリア部材の長さ方向で所定間隔毎に複数のジャンパ線が固定されていると共に、各ジャンパ線には、先端部分に当て止め部が形成されており、該当て止め部とキャリア部材の間の中間部に設けられた屈曲部で屈曲されて門形状とされている。そして、ジャンパ線の屈曲部の形成位置を相互に異ならせることによって、多種のピッチを有するジャンパ線を、容易に且つコスト効率良く製造することが出来る。更に、ジャンパ線連結体から得られたジャンパ線は、当て止め部によってスルーホールへの挿通量を規定することが可能とされており、プリント基板に容易に組み付けることが出来る。
【0019】
また、プリント基板に関する本発明によれば、実装されるジャンパ線を、要求されるピッチに応じてジャンパ線連結体から切り出すことによって、製造コストの低減を図ることが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の第一の実施形態としてのジャンパ線連結体の斜視図。
【図2】図1に示したジャンパ線連結体の平面図。
【図3】図1に示したジャンパ線連結体の正面図。
【図4】本発明の一実施形態としてのプリント基板の斜視図。
【図5】図4におけるV−V断面図。
【図6】本発明の第二の実施形態としてのジャンパ線連結体の斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
【0022】
先ず、図1〜図3に、本発明の第一の実施形態としてのジャンパ線連結体10を示す。ジャンパ線連結体10は、キャリア部材12の長さ方向(図2中、左右方向)で、複数のジャンパ線14a,14bが所定間隔毎に固定された構造とされている。なお、以下の説明において、ジャンパ線14a,14bを特に区別する必要の無い場合には、ジャンパ線14と総称して説明する。
【0023】
キャリア部材12は、非導電性の合成樹脂から形成された一体成形品とされている。キャリア部材12は長手のブロック形状を有している。キャリア部材12には、長さ方向(図2中、左右方向)で隣接するジャンパ線14,14の間に、切断用切欠部16が形成されている。切断用切欠部16は、キャリア部材12の長さ方向に直交する全周に亘って連続する溝形状とされており、本実施形態においては、キャリア部材12の上面18および両側面20a,20b(図3参照)においてV字形状断面を有すると共に、下面22において半円形状断面を有している。これにより、キャリア部材12は、切断用切欠部16において断面積が部分的に小さくされて、切断が容易とされている。また、各切断用切欠部16には、キャリア部材12の厚さ方向(図3中、上下方向)に貫通する円形のパイロット孔24が形成されている。これにより、切断用切欠部16の断面積がより小さくされて、切断がより容易とされている。
【0024】
このような切断用切欠部16が、キャリア部材12の長さ方向で所定間隔毎に複数形成されている。これにより、キャリア部材12には、長さ方向で隣接する切断用切欠部16,16の間に、固着部26が形成されている。即ち、キャリア部材12は、複数の固着部26が切断用切欠部16を介して連結された構造とされている。なお、固着部26は、略正方形断面とされている。
【0025】
各固着部26には、ジャンパ線14a,14bが固着されている。ジャンパ線14a,14bは、門形状を有している。本実施形態のキャリア部材12には、ピッチの異なる2種類のジャンパ線14a,14bが固着されている。これら2種類のジャンパ線14a,14bは、同一のジャンパ素線28から形成されている。ジャンパ素線28は、金属線材が所定長さで切断されて形成されている。本実施形態におけるジャンパ素線28は、全長に亘って略正方形断面とされているが、例えば扁平な長手矩形断面や、その他の多角形断面、楕円を含む円形断面等、任意の断面形状が適宜に採用可能である。また、ジャンパ素線28としては、金属線材のみならず、金属板をプレス打ち抜き加工したもの等を採用しても良い。
【0026】
ジャンパ線14は、長さ方向の中央部分において固着部26に固着されており、長さ方向の両側が、固着部26の側面20a,20bから、キャリア部材12の幅方向(図3中、左右方向)の両側に突出した状態で固着部26に固着されている。ジャンパ線14は、長さ方向(図3中、左右方向)の中央部分に関して対称形状とされている。ジャンパ線14において、固着部26から突出された両先端部分には、段差状の当て止め部30,30がそれぞれ形成されており、当て止め部30から長さ方向の先端縁部32側が、ジャンパ線14の外側に突出された段付形状とされている。これら当て止め部30,30は、各ジャンパ線14の両端部において、先端縁部32,32から互いに等しい距離:Lだけ離隔した同じ位置に形成されている。更に、当て止め部30,30の先端縁部32,32からの離隔距離:Lは、ジャンパ線14a,14bの種類の違いに関わらず、等しくされている。
【0027】
また、ジャンパ線14において、キャリア部材12の側面20a,20bのそれぞれから突出されて、当て止め部30,30に至るまでの部分が、中間部36,36とされている。これら中間部36,36には屈曲部38,38が形成されており、ジャンパ線14においてキャリア部材12からの突出部分が、屈曲部38,38において互いに同方向に略垂直に屈曲されることにより、門形状を有するジャンパ線14が形成されている。そして、ジャンパ線14aとジャンパ線14bにおいて、屈曲部38,38の形成位置が異ならされることによって、ジャンパ線14a,14bにおける屈曲部38から先端縁部32までの長さ寸法:Hと、ピッチ(先端縁部32,32間の離隔距離):Pが相互に異ならされている。本実施形態においては、ジャンパ線14aの屈曲部38から先端縁部32までの長さ寸法:H1が、ジャンパ線14bにおける長さ寸法:H2よりも大きくされることにより、ジャンパ線14aのピッチ:P1が、ジャンパ線14bのピッチ:P2よりも小さくされている。
【0028】
さらに、ジャンパ線14の両端部分において、当て止め部30,30から長さ方向の先端縁部32,32側には傾斜部34,34がそれぞれ形成されている。図3に示すように、傾斜部34,34の延出方向は、それぞれ、中間部36において屈曲部38から先端縁部32に至る延出方向(図3中、上下方向)に対して傾斜されている。これにより、ジャンパ線14は、当て止め部30,30から先端縁部32,32側の部分が、先端縁部32,32に行くに連れて相互に接近する方向に傾斜されている。
【0029】
このような構造とされたジャンパ線連結体10は、キャリア部材12の切断用切欠部16を適当な工具や手で切断することによって、ジャンパ線14aやジャンパ線14bを切り出すことが出来る。これにより、様々なピッチを有するジャンパ線14をコスト効率良く製造することが出来る。
【0030】
図4に、プリント基板に関する本発明の一実施形態を示す。本実施形態におけるプリント基板40には、一対のスルーホール42,42が貫設されている。そして、図5にジャンパ線14aを例に示すように、前記ジャンパ線連結体10から切り出されたジャンパ線14aの先端縁部32,32が、プリント基板40の実装面44側からスルーホール42,42に挿通されて、実装面44と反対の裏面46側に突出される。なお、ジャンパ線14aのスルーホール42,42への挿通量は、当て止め部30,30を、プリント基板40の実装面44に係止させることによって、容易に且つ精度良く規定することが出来る。更に、本実施形態においては、当て止め部30,30から先端側が傾斜部34,34とされていることにより、傾斜部34,34がスルーホール42,42の裏面46側の開口縁部48,48に接触して係止されるようになっている。これにより、半田付け前の状態でも、ジャンパ線14aのプリント基板40からの脱落を防止することが可能とされている。
【0031】
そして、スルーホール42,42に挿通された先端縁部32,32が半田付けされることによって、ジャンパ線14aが実装面44上に実装されて、スルーホール42,42間を電気的に連結する。これにより、スルーホール42,42のそれぞれに接続された図示しないプリント配線が、ジャンパ線14aを介して相互に接続される。同様にして、前記ジャンパ線連結体10から切り出されたジャンパ線14bがプリント基板40に半田付けされて、実装面44上に実装される。なお、ジャンパ線14の実装面44からの突出高さは、当て止め部30から屈曲部38までの離隔距離で規定される。そして、前述のように、互いに同一のジャンパ素線28から形成されたジャンパ線14aとジャンパ線14bは、ピッチが相対的に小さくされたジャンパ線14aの方が、当て止め部30から屈曲部38までの離隔距離が、ジャンパ線14bに比して大きくされている。これにより、ジャンパ線14aの実装面44からの突出高さが、ジャンパ線14bの実装面44からの突出高さよりも大きくされている。このようにして、ピッチおよび実装面44からの突出高さが異なる2種類のジャンパ線14aとジャンパ線14bが、プリント基板40に実装されている。
【0032】
特に本実施形態においては、キャリア部材12が非導電性を有している。これにより、図4に示したように、複数のジャンパ線14aやジャンパ線14bを、キャリア部材12で電気絶縁性を確保した連結状態でプリント基板40に実装することが可能とされている。なお、図4においては、3本のジャンパ線14aが連結状態でプリント基板40に実装されていると共に、2本のジャンパ線14bが連結状態でプリント基板40に実装されている。このように、複数のジャンパ線14a,14bを一体的に取り扱って、スルーホール42への挿通作業や半田付け作業をより容易に且つ効率良く行なうことが出来る。
【0033】
次に、図6に、ジャンパ線連結体に関する本発明の第二の実施形態としてのジャンパ線連結体50を示す。なお、以下の説明において、前記第一の実施形態と同様の構造とされた部材および部位には、図中に前記第一の実施形態と同一の符号を付すことにより、その説明を適宜に省略する。ジャンパ線連結体50は、金属製のキャリア部材52の長さ方向で所定間隔毎に、ジャンパ線14が固定された構造とされている。
【0034】
キャリア部材52は、薄肉の金属板にプレス打ち抜き加工や屈曲加工等が施された帯形状とされている。キャリア部材52には、複数の固着部54がキャリア部材52の長さ方向に連結状態で並設されている。固着部54においてキャリア部材52の長さ方向に直交する幅方向両端縁部には、一対の把持片56,56がそれぞれ一体形成されている。把持片56は、帯状のキャリア部材52が広がる平面に対して直交する高さ方向に立ち上がり、高さ方向の外方に開口する開口部58が形成された略コの字形状の突片とされている。そして、両把持片56,56の開口部58が、固着部54の幅方向で同一直線上に位置されている。これら把持片56,56は、キャリア部材52を形成する金属板において幅方向両側に突出する略コの字形状の突片が屈曲されて立ち上げられることにより、キャリア部材52に一体成形されている。
【0035】
また、キャリア部材52の長さ方向で隣接する固着部54,54の間には、キャリア部材52の幅方向中間部分においてパイロット孔24が貫設されている。これにより、キャリア部材52には、固着部54,54の間において断面積が小さくされた連結部60が形成されており、キャリア部材52は、連結部60において、キャリア部材52の幅方向に延びる直線:l上で屈曲および切断可能とされている。また、前記第一の実施形態と同様、パイロット孔24に図示しない送り歯車の歯などを係合することによって、キャリア部材52の長さ方向での送り出しが可能とされている。
【0036】
そして、キャリア部材52の各固着部54に、2種類のジャンパ線14a,14bが固定されている。これらジャンパ線14a,14bは、前記第一の実施形態に示したものと同様であり、門形状を有すると共に、長さ方向の両端部に当て止め部30と傾斜部34を有している。ジャンパ線14a,14bは、長さ方向の中央部分が把持片56,56の開口部58,58に嵌め入れられることにより、これら把持片56,56に圧入保持されて、固着部54に固定される。固着部54への固定状態において、ジャンパ線14は、両端部がキャリア部材52の幅方向の外側に突出される。そして、ジャンパ線14において、把持片56,56から当て止め部30,30までの間が中間部36とされている。
【0037】
このような構造とされたジャンパ線連結体50は、ジャンパ線14a,14bをキャリア部材52から取り外すことにより、各種のピッチを有するジャンパ線14a,14bを得ることが出来る。なお、ジャンパ線14a,14bのキャリア部材52からの取り外しは、キャリア部材52から個別に取り外しても良いし、キャリア部材52を連結部60で切断して所望本数を切り出した後に、ジャンパ線14a,14bをキャリア部材52から取り外しても良い。
【0038】
また、本実施形態のジャンパ線連結体50は、キャリア部材52の連結部60を、キャリア部材52の幅方向に延びる直線:l上で容易に屈曲することが出来る。これにより、ジャンパ線連結体50を屈曲部38の形成前の状態で図示しないリール等に巻き取って、コンパクトに保管することも出来る。
【0039】
このようなジャンパ線連結体50から得られたジャンパ線14a,14bは、前記第一の実施形態と同様に、図示しないプリント基板のスルーホールに挿通されて半田付けされることにより、スルーホールに接続されたプリント配線間を相互に接続する。そして、本実施形態においても、当て止め部30でスルーホールへの挿通量を規定すると共に、傾斜部34でプリント基板からの抜けを阻止することが可能とされている。本実施形態から明らかなように、キャリア部材は合成樹脂製に限定されるものではない。また、ジャンパ線は、最終的にキャリア部材から完全に取り外されるものでも良い。
【0040】
以上、本発明の実施形態について詳述したが、本発明はその具体的な記載によって限定されない。例えば、ジャンパ線の当て止め部の段差形状、傾斜部の延出方向を、前記第一の実施形態と反対に設定することも可能である。即ち、前記実施形態において、当て止め部30,30を、ジャンパ線14の内側に突出する段差形状としても良いし、傾斜部34における当て止め部30から先端縁部32に至る延出方向を、中間部36において屈曲部38から当て止め部30に至る延出方向に対して、先端縁部32に行くに連れてジャンパ線14の外側に離隔する方向に傾斜させて、一対の傾斜部34,34を、先端縁部32,32に行くに連れてジャンパ線14の外側に次第に拡開するようにしても良い。そして、それら当て止め部30と傾斜部34の形状は任意に組み合わせて採用することが可能である。
【0041】
また、当て止め部としては、例えば潰し加工等により突起を形成して、該突起をプリント基板に係止させる等しても良い。更にまた、傾斜部は必ずしも必要ではなく、ジャンパ線の両端部において当て止め部から先端縁部までを、中間部の延出方向と等しくして、互いに平行に延び出させる等しても良い。
【符号の説明】
【0042】
10,50:ジャンパ線連結体、12,52:キャリア部材、14a,b:ジャンパ線、16:切断用切欠部、20a,b:側面、28:ジャンパ素線、30:当て止め部、32:先端縁部、34:傾斜部、36:中間部、38:屈曲部、40:プリント基板、42:スルーホール、44:実装面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
キャリア部材と、該キャリア部材に対してその長さ方向の所定間隔毎に固定された複数のジャンパ線とを備えており、
前記複数のジャンパ線がそれぞれ同一のジャンパ素線から形成されており、前記ジャンパ線の長さ方向両側が前記キャリア部材から幅方向両側に突出されていると共に、
前記ジャンパ線における前記キャリア部材からの両側の突出部分には、それぞれ同じ位置にプリント基板のスルーホールに係止される当て止め部が形成されている一方、
前記ジャンパ線には、前記キャリア部材からの両側の突出部分の前記キャリア部材から前記当て止め部に至る中間部に屈曲部が設けられており、該屈曲部で前記両側の突出部分が同一方向に屈曲されて門形状とされていると共に、
前記複数のジャンパ線が、前記屈曲部の形成位置を相互に異ならされて前記両側の突出部分における前記屈曲部から先端縁部までの長さ寸法と両前記先端縁部間の離隔距離とがそれぞれ異ならされた複数種類から構成されていることを特徴とするジャンパ線連結体。
【請求項2】
前記キャリア部材が非導電性の合成樹脂から形成されており、該キャリア部材の長さ方向で前記複数のジャンパ線の間には、切断用切欠部が形成されている請求項1に記載のジャンパ線連結体。
【請求項3】
前記複数のジャンパ線の前記突出部分において、前記当て止め部から前記先端縁部側が傾斜部とされており、該傾斜部の延出方向が、前記屈曲部から前記当て止め部に至る延出方向に対して傾斜されている一方、前記プリント基板のスルーホールへの挿通状態において、前記傾斜部が前記スルーホールに対して当接して係止されるようになっている請求項1又は2に記載のジャンパ線連結体。
【請求項4】
複数のジャンパ線がそれぞれ二つのスルーホール間を連結して実装面に装着されているプリント基板であって、
前記複数のジャンパ線が請求項1〜3の何れか1項に記載のジャンパ線連結体から切り離された前記複数種類のジャンパ線を含んで構成されている一方、
前記複数種類のジャンパ線の両前記先端縁部が前記二つのスルーホールに挿通されて半田付けされており、前記複数種類のジャンパ線の前記実装面からの突出高さが相互に異ならされていることを特徴とするプリント基板。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−69313(P2012−69313A)
【公開日】平成24年4月5日(2012.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−211731(P2010−211731)
【出願日】平成22年9月22日(2010.9.22)
【出願人】(000183406)住友電装株式会社 (6,135)
【Fターム(参考)】