スイッチング電源装置
【課題】金属ベース基板を用いた小型、高効率のスイッチング電源装置であって、入力電源側に漏洩するスイッチングノイズ電流を抑制したスイッチング電源装置を提供する。
【解決手段】入力電源Eに接続されたハイサイド側スイッチ素子Q1と出力トランスT1の1次側巻線T1pとローサイド側スイッチ素子Q2との直列回路を有する。出力電圧に基づく所定のパルス幅変調信号を出力し、両スイッチ素子Q1,Q2をオンオフ駆動する制御部CONT2を備える。制御部CONT2は、出力するパルス幅変調信号のオンデューティの最大値が50%を超える値に設定されている。金属ベース基板42上には、両スイッチ素子Q1,Q2が有する端子のうち、スイッチングにより電位が変動する端子が各々実装された一対の電位変動パターン44a,44bを備える。各電位変動パターン44a,44bと金属ベース基板42の金属ベース42aとの間に形成される各配線容量CQ1,CQ2が、互いに等しい。
【解決手段】入力電源Eに接続されたハイサイド側スイッチ素子Q1と出力トランスT1の1次側巻線T1pとローサイド側スイッチ素子Q2との直列回路を有する。出力電圧に基づく所定のパルス幅変調信号を出力し、両スイッチ素子Q1,Q2をオンオフ駆動する制御部CONT2を備える。制御部CONT2は、出力するパルス幅変調信号のオンデューティの最大値が50%を超える値に設定されている。金属ベース基板42上には、両スイッチ素子Q1,Q2が有する端子のうち、スイッチングにより電位が変動する端子が各々実装された一対の電位変動パターン44a,44bを備える。各電位変動パターン44a,44bと金属ベース基板42の金属ベース42aとの間に形成される各配線容量CQ1,CQ2が、互いに等しい。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、金属ベース基板に実装されたスイッチング電源装置に関し、特に、スイッチングノイズ電流の流出を抑制する構造を備えたスイッチング電源装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のスイッチング電源装置として、例えば、特許文献1に開示されているように、ハイサイド側またはローサイド側の少なくとも一方のスイッチ素子が有する端子であって、スイッチングにより電位が変動する端子を、該スイッチ素子を固定する放熱板にコンデンサを介して結合した2石フォワード型スイッチング電源装置が開示されている。これは、スイッチングにより電位が変動する両スイッチ素子の各端子と、スイッチ素子が絶縁シート等を介して取り付けられる放熱板との間に形成される各寄生容量にアンバランスがあると、両スイッチング素子がオフの時に各スイッチ素子の両端に発生する電圧にアンバランスが発生し、両スイッチ素子のトータル損失が大きくなるという問題に鑑みてなされたもので、少なくとも一方の寄生容量と並列にコンデンサを接続し、寄生容量のアンバランスを補正する技術である。
【0003】
また、特許文献2に開示されているスイッチング電源装置は、高周波トランスの入力側巻線にパルス電圧を発生させるチョッパ回路と、出力側巻線に誘起したパルス電圧を平滑して直流に変換する平滑回路とを備え、それらが金属ベース基板上に実装されたスイッチング電源装置であって、二つの出力側巻線が各々有する端子であり、スイッチングにより電位が変動する端子と、アース電位である金属ベースとの間に形成される配線容量が互いに等しくなるように各配線パターンが形成されたスイッチング電源装置が開示されている。これは、各配線容量に180度逆位相の電圧が印加されることを利用し、配線容量を互いに等しくすることによってスイッチングノイズ電流を相殺し、ノイズ成分の少ない電源出力を得る技術である。
【特許文献1】特開平7−177741号公報
【特許文献2】特開平3−169259号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の2石フォワード型スイッチング電源装置は、2つのスイッチ素子を絶縁シートを介して放熱板に螺子止め等する際に、絶縁シートの厚みのバラツキや螺子の締め付け具合いのバラツキによって、各寄生容量は一定の値にならない。また、寄生容量と並列に接続されるコンデンサを汎用的なディスクリート部品から選択するとすれば、容量の個体差や温度変動等が無視できない。すなわち、上記のバラツキ要因によって、寄生容量のアンバランスを安定に補正することができなかった。
【0005】
また、特許文献2のスイッチング電源装置にあっては、高周波トランスの入力側巻線に接続されたチョッパ回路におけるスイッチングによって電位が変動する端子と、金属ベースとの間に形成される各配線容量については考慮されていない。例えば、入力電圧がDC200〜400Vの高電圧を、一般的な産業機器に使用される数十V以下の低電圧に降圧するスイッチング電源装置にあっては、高周波トランスの入力側で高電圧動作するチョッパ回路の配線容量のほうが、出力側で低電圧動作する平滑回路の配線容量に比べ、スイッチングノイズに対する影響度が高い。しかしながら、このスイッチング電源装置にあっては、チョッパ回路が発生させる主要なスイッチングノイズ電流が、チョッパ回路側の配線容量を通過してスイッチング電源装置の入力電源側に帰還する動作を遮断することができないものであった。
【0006】
ここで、発明者は、スイッチング電源装置の小型化、高集積化を図るため、2石フォワード型に回路を構成し、放熱性に優れた金属ベース基板上に実装するスイッチング電源装置の検討を行った。
【0007】
当初検討したスイッチング電源装置10について、図に基づいて説明する。回路の構成は、図5に示すように、従来の特許文献1に開示された回路とほぼ同様である。入力端12に接続されたコンデンサC1と並列に、電界効果形トランジスタを用いたハイサイド側のスイッチ素子Q1、出力トランスT1の1次側巻線T1p、電界効果形トランジスタを用いたローサイド側のスイッチ素子Q2の直列回路が接続されている。また、この直列回路には、スイッチ素子Q2のドレイン端子側から入力コンデンサC1のプラス側に向けて電流を流す回生ダイオードSS1と、入力コンデンサC1のマイナス側からスイッチ素子Q1のソース端子側に電流を流す回生ダイオードSS2とが接続されている。
【0008】
出力トランスT1の2次側巻線T1sには、ダイオードD1,D2、インダクタL1、コンデンサC2で構成された整流平滑回路が接続されている。
【0009】
そして、スイッチ素子Q1,Q2のゲート端子には、コンデンサC2の両端に発生する出力電圧Voに基づいて所定のパルス幅変調信号を出力する制御部CONT1が接続されている。この制御部CONT1は、パルス幅変調信号によってスイッチ素子Q1,Q2を同位相でオンオフ駆動するよう構成されており、そのオンデューティの可変可能な範囲は、50%以下の範囲に制限されている。
【0010】
スイッチング電源装置10の入力端12には、入力電源Eが接続され、入力電源Eのマイナス側は感電防止用のコンデンサCY1を介してアース電位FGに接続されている。一方、出力端14には、負荷LDが接続され、負荷LDのマイナス側も同様に、感電防止用のコンデンサCY2を介してアース電位FGに接続されている。また、後述する金属ベース基板16の金属ベース16aも、アース電位FGに接続される。
【0011】
次に、スイッチング電源装置10の実装構造を、図6〜図8に基づいて説明する。スイッチング電源装置10は、金属ベース16aの一方の面に、薄い絶縁層16bを介して形成された配線パターン16cを有する金属ベース基板16を備え、主要部品であるトランスT1、スイッチ素子Q1,Q2、回生ダイオードSS1,SS2、入力平滑コンデンサC1は、図6に示すように、配線パターン16c上にはんだ付け実装されている。なお、制御部CONT1、整流平滑回路も同様に実装されているが、ここでは省略する。
【0012】
スイッチ素子Q1,Q2は、図7(a)に示すように、JEITA((社)電子情報技術産業協会)が定める規格コードSC−83に準拠した面実装パッケージである。SC−83のパッケージは、半導体チップが実装された金属フレームがエポキシ樹脂などで封止され、外部接続用の端子がエポキシ樹脂から露出している構造を有する。配線パターン16c上に接続される各端子の内、ドレイン端子Dはゲート端子Gやソース端子Sに比べて広い面積を有している。これによって、ドレイン端子Dと配線パターンは広い面積ではんだ接続されるので、内部の半導体チップの発熱を効率よく放熱することができる。
【0013】
回生ダイオードSS1,SS2は、スイッチ素子Q1,Q2と同一パッケージのSC−83を選択した。SC−83は、図7(b)に示すように、1つのパッケージの中に2つのダイオード素子が形成され、各ダイオード素子のアノードは別個の端子Aに、カソードは共通の端子Kに接続されている。配線パターン16cに接続される各端子の内、カソード端子Kは、アノード端子Aに比べて広い面積を有している。
【0014】
金属ベース基板16の配線パターン16cのレイアウトは、図8(a)に示すように、1次側巻線T1pの一方の端子、スイッチ素子Q1のソース端子S、回生ダイオードSS1のカソード端子Kが実装され、各端子間を同電位に接続して一体に形成された電位変動パターン18aと、1次側巻線T1pの他方の端子、スイッチ素子Q2のドレイン端子D、回生ダイオードSS1のアノード端子Aが実装され、各端子間を同電位に接続して一体に形成された電位変動パターン18bとを備えている。
【0015】
金属ベース基板16は、図8(b)に示すように、電位変動パターン18a,18bと金属ベース16aとが、薄い絶縁層16bを介して対向し、図8(c)に示すように配線容量CQ1,CQ2が形成される。ここでは、スイッチ素子Q1,Q2、回生ダイオードSS1,SS2を同一パッケージのSC−83に統一してあるので、電位変動パターン18a,18bは、特に工夫せずとも略等しい面積に形成され、配線容量CQ1,CQ2はバランスのとれた略等しい値となっている。なお、この電位変動パターン18a,18bの電気的な挙動や、配線容量CQ1,CQ2の動作については、後の回路動作の説明の中で述べる。
【0016】
次に、スイッチング電源装置10の回路動作を、図9に基づいて説明する。図9は、出力トランスT1の1次側巻線T1pの電圧VT、スイッチング電流id、スイッチ素子Q1の電圧VQ1、スイッチ素子Q2の電圧VQ2の波形である。電圧VQ1,VQ2の波形は、スイッチングにより電位が変動しない安定電位側を基準(グランド)とした向きに表している。
【0017】
スイッチング電源10の入力端12に所定の入力電圧Viが印加されると、制御部CONT1が出力するパルス幅変調信号によってスイッチ素子Q1,Q2が同位相でオンオフ駆動する。このとき制御部CONT1は、式(1)に従って、出力電圧Voを所定の値に安定化するようパルス幅変調信号を形成し、スイッチ素子Q1,Q2のオンデューティを決定する。
【0018】
【数1】
ここで、Npは1次側巻線T1pの巻数、Nsは2次側巻線T1sの巻数、Dutyはオンデューティ、Vfは整流平滑回路のダイオードD1,D2の順方向電圧である。
【0019】
期間Aは、スイッチ素子Q1,Q2、ダイオードD1がオンしている期間であり、1次側巻線T1pに入力電圧Vinが印加され、出力トランスT1に励磁エネルギーが蓄積される。
【0020】
期間Bは、スイッチ素子Q1,Q2、ダイオードD1がオフし、回生ダイオードSS1,SS2がオンしている期間である。出力トランスT1は、期間Aに蓄積された励磁エネルギーを放出するため、逆方向に起電力が発生する。そして、1次側巻線T1pの電圧VTは、回生ダイオードSS1,SS2が導通することによって−Viに固定され、一定に推移する。
【0021】
期間Cは、既に励磁エネルギーの放出が完了したので、1次側巻線T1pの電圧VTは低下し、回生ダイオードSS1,SS2はオフする。
【0022】
一定の周期Tで以上の動作が繰り返されたとき、電位変動パターン18a,18bの電位の変化を示す電圧VQ1,VQ2の動きを比較すると、同一振幅の電圧が逆向きに生じていることがわかる。従って、互いに等しい配線容量CQ1,CQ2には、互いに等しいスイッチングノイズ電流が逆向きに流れるため、それらは互いに相殺され、入力電源側に流出しない。
【0023】
以上述べたように、発明者が検討したスイッチング電源装置10によれば、回生ダイオードSS1,SS2を実装する配線パターンの作用によって、特に工夫することなく、スイッチングノイズ電流の流出を抑制できることがわかった。
【0024】
しかしながら、スイッチング電源装置10にあっては、回生ダイオードSS1,SS2の存在が、装置の小型化の妨げとなった。また、スイッチング電流idの実効値が大きいため、1次側巻線T1pの抵抗成分、スイッチ素子Q1,Q2のオン抵抗成分などで発生する抵抗損失が大きくなり、高い効率を得ることができなかった。
【0025】
スイッチング電流idの実効値を低下させる手段としては、例えば広いオンデューティでスイッチング動作させる方法が考えられ、そのためには、式(1)に基づいて、出力トランスT1の巻数比Ns/Npを小さくすればよい。しかし、スイッチング電源装置10にあっては、図9に示すように、期間Bにおいて、回生ダイオードSS1,SS2の動作によって1次側巻線T1pの電圧VTが−Viに固定されるので、期間Aが一定以上長くなると、周期Tの中で励磁エネルギーの放出を完了することができなくなるという問題が生じる。すなわち、オンデューティDutyが50%を超えると、電圧VTの波形の期間Aにおける電圧・時間積(斜線部の面積)は、期間Bにおける電圧・時間積(斜線部の面積)よりも大きくなるため、出力トランスT1に励磁エネルギーが徐々に累積され、いずれ磁気飽和して正常に動作できなくなる。従って、このような出力トランスT1の偏磁による磁気飽和を回避するためには、常にオンデューティDuty50%以下の範囲で動作させなければならない。
【0026】
そこで発明者は、オンデューティを50%以上の範囲で正常動作させるため、出力トランスT1の巻き数比Ns/Npを小さくし、回生ダイオードSS1,SS2を削除する設計変更を施したスイッチング電源装置20を検討した。その実装構造は、図10に示すように、出力トランスT1、スイッチ素子Q1,Q2、入力平滑コンデンサC1を、スイッチング電源装置10と同様に金属ベース基板22に実装されている。金属ベース基板20の配線パターン20cのレイアウトは、回生ダイオードSS1,SS2を削除した分だけ外形が全体が小型化された一方で、図11に示すように、電位変動パターン24a,24bは、その面積が等しくならず、配線容量CQ1,CQ2にアンバランスが生じた。従って、配線容量CQ1,CQ2に流れるスイッチングノイズ電流は互いに相殺されず、入力電源側にスイッチングノイズ電流が流出してしまう結果となった。
【0027】
このスイッチングノイズ電流を抑制するため、例えば図12に示すように電位変動パターン24a,24bと金属ベース22bとの間にシールド層26を形成することによって、スイッチングノイズ電流自体の流出を遮断する方法も考えられるが、スイッチ素子Q1,Q2と金属ベース22aとの距離が離れるため放熱性が低下する他、金属ベース基板24のコスト増を伴う等の問題があった。
【0028】
この発明は、上記背景技術に鑑みて成されたもので、金属ベース基板を用いた小型、高効率の2石フォワード型のスイッチング電源装置であって、入力電源側に漏洩するスイッチングノイズ電流を抑制することができるスイッチング電源装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0029】
この発明は、入力電源に接続されたハイサイド側スイッチ素子と出力トランスの1次側巻線とローサイド側スイッチ素子との直列回路と、前記出力トランスの2次側巻線に接続され、前記両スイッチ素子のスイッチングによって前記2次側巻線に発生する交流電圧を整流平滑して直流の出力電圧を得る整流平滑回路と、前記出力電圧に基づく所定のパルス幅変調信号を出力し、前記両スイッチ素子をオンオフ駆動する制御部とを備え、前記両スイッチ素子が金属ベース基板上の配線パターンに実装されたスイッチング電源装置において、前記制御部は、出力するパルス幅変調信号のオンデューティの最大値が50%を超える値に設定され、前記金属ベース基板上には、前記両スイッチ素子が有する端子のうち、スイッチングにより電位が変動する端子が各々実装された各配線パターンであって、前記各端子に対応した少なくとも一対の電位変動パターンを備え、前記各電位変動パターンと前記金属ベース基板の金属ベースとの間に形成される各配線容量が互いに等しくなるように形成されているスイッチング電源装置である。
【0030】
また、前記ハイサイド側スイッチ素子の前記電位変動パターンは、前記端子が接続された実装パターンに付加パターンが接続されて成り、前記付加パターンの面積調整によって、前記各配線容量が等しくなるよう設定されているスイッチング電源装置である。
【発明の効果】
【0031】
この発明のスイッチング電源装置によれば、2石フォワード型のスイッチング電源装置を、オンデューティが50%を超える範囲で動作させるため、広い入力電圧範囲においてスイッチング電流の実効値を小さくすることができ、各部の抵抗成分による損失を低減することができる。
【0032】
また、ハイサイド側、ローサイド側の各スイッチ素子の所定の端子が接続され、スイッチングにより電位が変動する電位変動パターンは、金属ベースとの間に形成される配線容量が互いに等しくなるように形成されているので、スイッチングノイズ電流は各配線容量に互いに逆方向に等しく流れて相殺され、入力電源側に流出しない。よって、スイッチング電源装置外部に与える悪影響を大幅に低減することができる。
【0033】
また、各配線容量のバランスを調整するために付加パターンを設けることにより、一方のスイッチ素子の側だけに、かつ、他の大型部品の下方の空間を利用して形成することが可能であり、特に高価な多層基板を用いることなく、スイッチング電源装置を小型化することができる。
【0034】
また、各配線容量のバランスは、付加パターンの面積のみを適宜変更することによって調整可能なため、例えば、搭載部品の端子のはんだ接続の信頼性を向上させるべく設定されたパッド形状等、所定の配線パターンのレイアウトを固定したまま、ノイズ低減性能を向上させることができる。
【0035】
また、金属ベース基板の絶縁層の厚みは、基板毎にみるとばらつきがあるが、一枚の基板の内部ではほぼ一様な厚みであるといえる。従って、大量生産によって基板毎に絶縁層の厚みが変動しても、配線パターンの形状が固定であるため、各配線容量のバランスは正確に維持される。さらに、スイッチング電源装置の使用環境の変化によって絶縁層の温度や吸湿状態等が変化し、配線容量に変動が生じた場合でも、各配線容量は互いに等しく増減するので、容量のバランスは維持される。よって、安定なノイズ低減性能を実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0036】
以下、この発明の一実施形態のスイッチング電源装置40について、図に基づいて説明する。なお、上述のスイッチング電源装置10,20と同様の構成は、同一の符号を付して説明する。
【0037】
回路の構成は、図1に示すように、入力端12に接続されたコンデンサC1と並列に、電界効果形トランジスタを用いたハイサイド側のスイッチ素子Q1、出力トランスT1の1次側巻線T1p、電界効果形トランジスタを用いたローサイド側のスイッチ素子Q2の直列回路が接続されている。ここでは、スイッチング電源装置10が有する回生ダイオードSS1,SS2は設けられていない。
【0038】
出力トランスT1の2次側巻線T1sには、ダイオードD1,D2、インダクタL1、コンデンサC2で構成された整流平滑回路が接続されている。
【0039】
そして、スイッチ素子Q1,Q2のゲート端子には、コンデンサC2の両端に発生する出力電圧Voに基づいて所定のパルス幅変調信号を出力する制御部CONT2が接続されている。この制御部CONT2は、パルス幅変調信号によってスイッチ素子Q1,Q2を同位相でオンオフ駆動可能に構成されており、そのオンデューティは50%を超える範囲まで可変可能である。ここでは、上限80%程度に設定されている。
【0040】
スイッチング電源装置40の入力端12には、入力電源Eが接続され、入力電源Eのマイナス側は感電防止用のコンデンサCY1を介してアース電位FGに接続されている。一方、出力端14には、負荷LDが接続され、負荷LDのマイナス側も同様に、感電防止用のコンデンサCY2を介してアース電位FGに接続されている。また、後述する金属ベース基板42の金属ベース42aも、アース電位FGに接続される。
【0041】
次に、スイッチング電源装置40の実装構造を、図2〜図3に基づいて説明する。スイッチング電源装置40は、金属ベース42aの一方の面に、薄い絶縁層42bを介して形成された配線パターン42cを有する金属ベース基板42を備え、主要部品である出力トランスT1、スイッチ素子Q1,Q2、入力平滑コンデンサC1は、図2に示すように、配線パターン42c上にはんだ付け実装されている。なお、制御部CONT2、整流平滑回路も同様に実装されているが、ここでは省略する。
【0042】
金属ベース基板42の大きさは、例えばFuLL−Brickサイズと呼ばれる電源業界標準の外形(幅117mm、奥行き61mm)を有している。金属ベース42aは、厚み1〜2mm程度の金属板であり、材質は、鉄、アルミ、ステンレス、銅などが用いられる。絶縁層42bは、金属ベース42aの一方の面に、エポキシ系樹脂を適宜の厚さに塗り重ねて形成されている。この厚みは、配線パターン42cと金属ベース42aとの間の絶縁性能や、実装部品の放熱性能等を考慮して設定されている。このエポキシ系樹脂は、無機フィラー等が充填されて高熱伝導性を備えており、比誘電率は4〜8程度である。配線パターン42cは、厚み35〜200μm程度の銅箔で、表面にメッキ処理などが施されている。なお、金属ベース基板42の裏面側には、任意形状の放熱フィンなどが取り付けられ、強制通風などによって冷却可能に組み立てられる。
【0043】
配線パターン42cのレイアウトは、図3(a)に示すように、1次側巻線T1pの一方の端子とスイッチ素子Q1のソース端子Sが実装され、両端子を同電位に接続した実装パターン44a1に、付加パターン44a2を接続して一体に形成された電位変動パターン44aを備えている。ここでは、付加パターン44a2を幅狭のパターンで接続することによって、リフローはんだ工程において、実装パターン44a1のはんだペーストの温度上昇が妨げられないように考慮されている。また、1次側巻線T1pの他方の端子とスイッチ素子Q2のドレイン端子Dが実装され、両端子を同電位して一体に形成された電位変動パターン44bを備えている。ここでは、面積の小さい実装パターン44a1に付加パターン44a2を追加することによって電位変動パターン44aの面積を増加させ、電位変動パターン44aが電位変動パターン44bと等しい面積になるよう調整されている。従って、図3(b)に示すように、配線容量CQ1,CQ2はバランスのとれた等しい値となっている。また、付加バターン44a2は、出力トランスT1の下方に隠れる位置に設けられているので、実装された状態において、付加パターン44a2の上方に無駄な空間は生じない。
【0044】
次に、この実施形態のスイッチング電源装置40の回路動作について、図4に基づいて説明する。スイッチング電源40の入力端12に所定の入力電圧Viが印加されると、制御部CONT2が出力するパルス幅変調信号によってスイッチ素子Q1,Q2が同位相でオンオフ駆動する。このとき制御部CONT2は、出力電圧Voを所定の値に安定化するようパルス幅変調信号を形成し、スイッチ素子Q1,Q2のオンデューティを決定する。
【0045】
この実施形態の出力トランスT1の巻数比Ns/Npは、図10に示したスイッチング電源装置20の場合よりも小さく設定されている。従って、式(1)から明らかなように、入力電圧Vi、出力電圧Voが等しいとき、オンデューティはスイッチング電源装置20よりも広くなる。
【0046】
期間Aは、スイッチ素子Q1,Q2、ダイオードD1がオンしている期間であり、1次側巻線T1pに入力電圧Vinが印加され、出力トランスT1に励磁エネルギーが蓄積される。
【0047】
期間Bは、スイッチ素子Q1,Q2、ダイオードD1がオフしている期間である。出力トランスT1は、期間Aに蓄積された励磁エネルギーを放出するため、逆方向に起電力を発生させる。そのとき、1次側巻線T1pの電圧VTは、−Vinを超えて低い電圧であって、出力トランスT1などに形成される寄生容量等との関係で決まる電圧まで低くなる。すなわち、スイッチング電源装置20のように回生ダイオードSS1,SS2によって−Vinに固定されることがない。従って、期間Aにおいて、出力トランスT1に50%超のオンデューティで励磁エネルギーが蓄積されても、期間Bの間に励磁エネルギーの放出を完了することができる。
【0048】
そして、期間Cは、既に励磁エネルギーの放出が完了したので、1次側巻線T1pの電圧VTは低下している。
【0049】
一定の周期Tで以上の動作が繰り返されたとき、電位変動パターン44a,44bの動作を示すVQ1,VQ2の電位の変化を比較すると、常に同一振幅の電圧が逆向きに生じていることがわかる。従って、互いに等しい配線容量CQ1,CQ2には、等しいスイッチングノイズ電流が逆向きに流れるため、それらは互いに相殺され、入力電源側に流出しない。
【0050】
また、スイッチング電流idは、図6に示したスイッチング電源装置10と比較して、平均値Iinはほぼ等しいが、オンデューティが広い分だけピーク値が低くなり、実効値は小さくなる。従って、1次側巻線T1pの抵抗成分、スイッチ素子Q1,Q2のオン抵抗成分などで発生する抵抗損失が低減される。また、その損失低減に伴って各部品を小型することも可能となる。
【0051】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。例えば、スイッチング電源装置40においては、電位変動パターン44aは、実装パターン44a1と付加パターン44a2が分離して形成されているが、搭載部品の端子のはんだ接続の信頼性の悪化等、他に弊害が生じない場合には、実装パターン44a1を幅広にするなどして各配線容量のバランスを調整し、付加パターン44a2を省略してもよい。
【0052】
また、スイッチ素子Q1は、一素子当たりの電気ストレス軽減のため、複数のスイッチ素子を並列接続等して構成してもよい。スイッチ素子Q2についても同様である。また各スイッチ素子のパッケージ形状についても、金属ベース基板に実装可能な形状であれば、特に限定するものではない。さらに、各スイッチ素子の両端には、サージ吸収用の部品やその他の回路が接続されていてもよい。少なくとも、電位変動パターン44a,44bの面積が等しくなるよう設定されていればよい。
【0053】
また、制御部CONT2に設定されているオンデュ−ティの上限値は、スイッチング電源装置の動作中に可変されるものであってもよい。例えば、入力電圧が低いときはスイッチング電流の実効値を低減するため、上限値が50%超の値に設定され、入力電圧が高いときは、負荷急変等の過渡動作時の出力トランスT1の保護のため、上限値が50%以下の値に可変されるものであってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】この発明のスイッチング電源装置の一の実施形態を示す回路図である。
【図2】この実施形態の実装構造を示す上面図である。
【図3】この実施形態の金属ベース基板を示す上面図(a)、側面模式図(b)である。
【図4】この実施形態の回路動作を示す各部の波形である。
【図5】従来のスイッチング電源装置の一例を示す回路図である。
【図6】この従来例の実装構造を示す上面図である。
【図7】SC−83パッケージの電界効果形トランジスタの端子配置を説明する構造図(a)、ダイオードの端子配置を説明する構造図(b)である。
【図8】この従来例の金属ベース基板を示す上面図(a)、A−A断面図(b)、側面模式図(c)である。
【図9】この従来例の回路動作を示す各部の波形である。
【図10】他の従来例の実装構造を示す上面図である。
【図11】この従来例の金属ベース基板を示す上面図(a)、B−B断面図(b)、側面模式図(c)である。
【図12】さらに他の従来例の金属ベース基板を示す側断面図である。
【符号の説明】
【0055】
10,20,40 スイッチング電源装置
16,22,42 金属ベース基板
16a,22a,42a 金属ベース
18a,18b,24a,24b,44a,44b 電位変動パターン
42 金属ベース基板
CONT2 制御部
CQ1,CQ2 配線容量
E 入力電源
Q1,Q2 スイッチ素子
SS1,SS2 回生ダイオード
T1 出力トランス
【技術分野】
【0001】
この発明は、金属ベース基板に実装されたスイッチング電源装置に関し、特に、スイッチングノイズ電流の流出を抑制する構造を備えたスイッチング電源装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のスイッチング電源装置として、例えば、特許文献1に開示されているように、ハイサイド側またはローサイド側の少なくとも一方のスイッチ素子が有する端子であって、スイッチングにより電位が変動する端子を、該スイッチ素子を固定する放熱板にコンデンサを介して結合した2石フォワード型スイッチング電源装置が開示されている。これは、スイッチングにより電位が変動する両スイッチ素子の各端子と、スイッチ素子が絶縁シート等を介して取り付けられる放熱板との間に形成される各寄生容量にアンバランスがあると、両スイッチング素子がオフの時に各スイッチ素子の両端に発生する電圧にアンバランスが発生し、両スイッチ素子のトータル損失が大きくなるという問題に鑑みてなされたもので、少なくとも一方の寄生容量と並列にコンデンサを接続し、寄生容量のアンバランスを補正する技術である。
【0003】
また、特許文献2に開示されているスイッチング電源装置は、高周波トランスの入力側巻線にパルス電圧を発生させるチョッパ回路と、出力側巻線に誘起したパルス電圧を平滑して直流に変換する平滑回路とを備え、それらが金属ベース基板上に実装されたスイッチング電源装置であって、二つの出力側巻線が各々有する端子であり、スイッチングにより電位が変動する端子と、アース電位である金属ベースとの間に形成される配線容量が互いに等しくなるように各配線パターンが形成されたスイッチング電源装置が開示されている。これは、各配線容量に180度逆位相の電圧が印加されることを利用し、配線容量を互いに等しくすることによってスイッチングノイズ電流を相殺し、ノイズ成分の少ない電源出力を得る技術である。
【特許文献1】特開平7−177741号公報
【特許文献2】特開平3−169259号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の2石フォワード型スイッチング電源装置は、2つのスイッチ素子を絶縁シートを介して放熱板に螺子止め等する際に、絶縁シートの厚みのバラツキや螺子の締め付け具合いのバラツキによって、各寄生容量は一定の値にならない。また、寄生容量と並列に接続されるコンデンサを汎用的なディスクリート部品から選択するとすれば、容量の個体差や温度変動等が無視できない。すなわち、上記のバラツキ要因によって、寄生容量のアンバランスを安定に補正することができなかった。
【0005】
また、特許文献2のスイッチング電源装置にあっては、高周波トランスの入力側巻線に接続されたチョッパ回路におけるスイッチングによって電位が変動する端子と、金属ベースとの間に形成される各配線容量については考慮されていない。例えば、入力電圧がDC200〜400Vの高電圧を、一般的な産業機器に使用される数十V以下の低電圧に降圧するスイッチング電源装置にあっては、高周波トランスの入力側で高電圧動作するチョッパ回路の配線容量のほうが、出力側で低電圧動作する平滑回路の配線容量に比べ、スイッチングノイズに対する影響度が高い。しかしながら、このスイッチング電源装置にあっては、チョッパ回路が発生させる主要なスイッチングノイズ電流が、チョッパ回路側の配線容量を通過してスイッチング電源装置の入力電源側に帰還する動作を遮断することができないものであった。
【0006】
ここで、発明者は、スイッチング電源装置の小型化、高集積化を図るため、2石フォワード型に回路を構成し、放熱性に優れた金属ベース基板上に実装するスイッチング電源装置の検討を行った。
【0007】
当初検討したスイッチング電源装置10について、図に基づいて説明する。回路の構成は、図5に示すように、従来の特許文献1に開示された回路とほぼ同様である。入力端12に接続されたコンデンサC1と並列に、電界効果形トランジスタを用いたハイサイド側のスイッチ素子Q1、出力トランスT1の1次側巻線T1p、電界効果形トランジスタを用いたローサイド側のスイッチ素子Q2の直列回路が接続されている。また、この直列回路には、スイッチ素子Q2のドレイン端子側から入力コンデンサC1のプラス側に向けて電流を流す回生ダイオードSS1と、入力コンデンサC1のマイナス側からスイッチ素子Q1のソース端子側に電流を流す回生ダイオードSS2とが接続されている。
【0008】
出力トランスT1の2次側巻線T1sには、ダイオードD1,D2、インダクタL1、コンデンサC2で構成された整流平滑回路が接続されている。
【0009】
そして、スイッチ素子Q1,Q2のゲート端子には、コンデンサC2の両端に発生する出力電圧Voに基づいて所定のパルス幅変調信号を出力する制御部CONT1が接続されている。この制御部CONT1は、パルス幅変調信号によってスイッチ素子Q1,Q2を同位相でオンオフ駆動するよう構成されており、そのオンデューティの可変可能な範囲は、50%以下の範囲に制限されている。
【0010】
スイッチング電源装置10の入力端12には、入力電源Eが接続され、入力電源Eのマイナス側は感電防止用のコンデンサCY1を介してアース電位FGに接続されている。一方、出力端14には、負荷LDが接続され、負荷LDのマイナス側も同様に、感電防止用のコンデンサCY2を介してアース電位FGに接続されている。また、後述する金属ベース基板16の金属ベース16aも、アース電位FGに接続される。
【0011】
次に、スイッチング電源装置10の実装構造を、図6〜図8に基づいて説明する。スイッチング電源装置10は、金属ベース16aの一方の面に、薄い絶縁層16bを介して形成された配線パターン16cを有する金属ベース基板16を備え、主要部品であるトランスT1、スイッチ素子Q1,Q2、回生ダイオードSS1,SS2、入力平滑コンデンサC1は、図6に示すように、配線パターン16c上にはんだ付け実装されている。なお、制御部CONT1、整流平滑回路も同様に実装されているが、ここでは省略する。
【0012】
スイッチ素子Q1,Q2は、図7(a)に示すように、JEITA((社)電子情報技術産業協会)が定める規格コードSC−83に準拠した面実装パッケージである。SC−83のパッケージは、半導体チップが実装された金属フレームがエポキシ樹脂などで封止され、外部接続用の端子がエポキシ樹脂から露出している構造を有する。配線パターン16c上に接続される各端子の内、ドレイン端子Dはゲート端子Gやソース端子Sに比べて広い面積を有している。これによって、ドレイン端子Dと配線パターンは広い面積ではんだ接続されるので、内部の半導体チップの発熱を効率よく放熱することができる。
【0013】
回生ダイオードSS1,SS2は、スイッチ素子Q1,Q2と同一パッケージのSC−83を選択した。SC−83は、図7(b)に示すように、1つのパッケージの中に2つのダイオード素子が形成され、各ダイオード素子のアノードは別個の端子Aに、カソードは共通の端子Kに接続されている。配線パターン16cに接続される各端子の内、カソード端子Kは、アノード端子Aに比べて広い面積を有している。
【0014】
金属ベース基板16の配線パターン16cのレイアウトは、図8(a)に示すように、1次側巻線T1pの一方の端子、スイッチ素子Q1のソース端子S、回生ダイオードSS1のカソード端子Kが実装され、各端子間を同電位に接続して一体に形成された電位変動パターン18aと、1次側巻線T1pの他方の端子、スイッチ素子Q2のドレイン端子D、回生ダイオードSS1のアノード端子Aが実装され、各端子間を同電位に接続して一体に形成された電位変動パターン18bとを備えている。
【0015】
金属ベース基板16は、図8(b)に示すように、電位変動パターン18a,18bと金属ベース16aとが、薄い絶縁層16bを介して対向し、図8(c)に示すように配線容量CQ1,CQ2が形成される。ここでは、スイッチ素子Q1,Q2、回生ダイオードSS1,SS2を同一パッケージのSC−83に統一してあるので、電位変動パターン18a,18bは、特に工夫せずとも略等しい面積に形成され、配線容量CQ1,CQ2はバランスのとれた略等しい値となっている。なお、この電位変動パターン18a,18bの電気的な挙動や、配線容量CQ1,CQ2の動作については、後の回路動作の説明の中で述べる。
【0016】
次に、スイッチング電源装置10の回路動作を、図9に基づいて説明する。図9は、出力トランスT1の1次側巻線T1pの電圧VT、スイッチング電流id、スイッチ素子Q1の電圧VQ1、スイッチ素子Q2の電圧VQ2の波形である。電圧VQ1,VQ2の波形は、スイッチングにより電位が変動しない安定電位側を基準(グランド)とした向きに表している。
【0017】
スイッチング電源10の入力端12に所定の入力電圧Viが印加されると、制御部CONT1が出力するパルス幅変調信号によってスイッチ素子Q1,Q2が同位相でオンオフ駆動する。このとき制御部CONT1は、式(1)に従って、出力電圧Voを所定の値に安定化するようパルス幅変調信号を形成し、スイッチ素子Q1,Q2のオンデューティを決定する。
【0018】
【数1】
ここで、Npは1次側巻線T1pの巻数、Nsは2次側巻線T1sの巻数、Dutyはオンデューティ、Vfは整流平滑回路のダイオードD1,D2の順方向電圧である。
【0019】
期間Aは、スイッチ素子Q1,Q2、ダイオードD1がオンしている期間であり、1次側巻線T1pに入力電圧Vinが印加され、出力トランスT1に励磁エネルギーが蓄積される。
【0020】
期間Bは、スイッチ素子Q1,Q2、ダイオードD1がオフし、回生ダイオードSS1,SS2がオンしている期間である。出力トランスT1は、期間Aに蓄積された励磁エネルギーを放出するため、逆方向に起電力が発生する。そして、1次側巻線T1pの電圧VTは、回生ダイオードSS1,SS2が導通することによって−Viに固定され、一定に推移する。
【0021】
期間Cは、既に励磁エネルギーの放出が完了したので、1次側巻線T1pの電圧VTは低下し、回生ダイオードSS1,SS2はオフする。
【0022】
一定の周期Tで以上の動作が繰り返されたとき、電位変動パターン18a,18bの電位の変化を示す電圧VQ1,VQ2の動きを比較すると、同一振幅の電圧が逆向きに生じていることがわかる。従って、互いに等しい配線容量CQ1,CQ2には、互いに等しいスイッチングノイズ電流が逆向きに流れるため、それらは互いに相殺され、入力電源側に流出しない。
【0023】
以上述べたように、発明者が検討したスイッチング電源装置10によれば、回生ダイオードSS1,SS2を実装する配線パターンの作用によって、特に工夫することなく、スイッチングノイズ電流の流出を抑制できることがわかった。
【0024】
しかしながら、スイッチング電源装置10にあっては、回生ダイオードSS1,SS2の存在が、装置の小型化の妨げとなった。また、スイッチング電流idの実効値が大きいため、1次側巻線T1pの抵抗成分、スイッチ素子Q1,Q2のオン抵抗成分などで発生する抵抗損失が大きくなり、高い効率を得ることができなかった。
【0025】
スイッチング電流idの実効値を低下させる手段としては、例えば広いオンデューティでスイッチング動作させる方法が考えられ、そのためには、式(1)に基づいて、出力トランスT1の巻数比Ns/Npを小さくすればよい。しかし、スイッチング電源装置10にあっては、図9に示すように、期間Bにおいて、回生ダイオードSS1,SS2の動作によって1次側巻線T1pの電圧VTが−Viに固定されるので、期間Aが一定以上長くなると、周期Tの中で励磁エネルギーの放出を完了することができなくなるという問題が生じる。すなわち、オンデューティDutyが50%を超えると、電圧VTの波形の期間Aにおける電圧・時間積(斜線部の面積)は、期間Bにおける電圧・時間積(斜線部の面積)よりも大きくなるため、出力トランスT1に励磁エネルギーが徐々に累積され、いずれ磁気飽和して正常に動作できなくなる。従って、このような出力トランスT1の偏磁による磁気飽和を回避するためには、常にオンデューティDuty50%以下の範囲で動作させなければならない。
【0026】
そこで発明者は、オンデューティを50%以上の範囲で正常動作させるため、出力トランスT1の巻き数比Ns/Npを小さくし、回生ダイオードSS1,SS2を削除する設計変更を施したスイッチング電源装置20を検討した。その実装構造は、図10に示すように、出力トランスT1、スイッチ素子Q1,Q2、入力平滑コンデンサC1を、スイッチング電源装置10と同様に金属ベース基板22に実装されている。金属ベース基板20の配線パターン20cのレイアウトは、回生ダイオードSS1,SS2を削除した分だけ外形が全体が小型化された一方で、図11に示すように、電位変動パターン24a,24bは、その面積が等しくならず、配線容量CQ1,CQ2にアンバランスが生じた。従って、配線容量CQ1,CQ2に流れるスイッチングノイズ電流は互いに相殺されず、入力電源側にスイッチングノイズ電流が流出してしまう結果となった。
【0027】
このスイッチングノイズ電流を抑制するため、例えば図12に示すように電位変動パターン24a,24bと金属ベース22bとの間にシールド層26を形成することによって、スイッチングノイズ電流自体の流出を遮断する方法も考えられるが、スイッチ素子Q1,Q2と金属ベース22aとの距離が離れるため放熱性が低下する他、金属ベース基板24のコスト増を伴う等の問題があった。
【0028】
この発明は、上記背景技術に鑑みて成されたもので、金属ベース基板を用いた小型、高効率の2石フォワード型のスイッチング電源装置であって、入力電源側に漏洩するスイッチングノイズ電流を抑制することができるスイッチング電源装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0029】
この発明は、入力電源に接続されたハイサイド側スイッチ素子と出力トランスの1次側巻線とローサイド側スイッチ素子との直列回路と、前記出力トランスの2次側巻線に接続され、前記両スイッチ素子のスイッチングによって前記2次側巻線に発生する交流電圧を整流平滑して直流の出力電圧を得る整流平滑回路と、前記出力電圧に基づく所定のパルス幅変調信号を出力し、前記両スイッチ素子をオンオフ駆動する制御部とを備え、前記両スイッチ素子が金属ベース基板上の配線パターンに実装されたスイッチング電源装置において、前記制御部は、出力するパルス幅変調信号のオンデューティの最大値が50%を超える値に設定され、前記金属ベース基板上には、前記両スイッチ素子が有する端子のうち、スイッチングにより電位が変動する端子が各々実装された各配線パターンであって、前記各端子に対応した少なくとも一対の電位変動パターンを備え、前記各電位変動パターンと前記金属ベース基板の金属ベースとの間に形成される各配線容量が互いに等しくなるように形成されているスイッチング電源装置である。
【0030】
また、前記ハイサイド側スイッチ素子の前記電位変動パターンは、前記端子が接続された実装パターンに付加パターンが接続されて成り、前記付加パターンの面積調整によって、前記各配線容量が等しくなるよう設定されているスイッチング電源装置である。
【発明の効果】
【0031】
この発明のスイッチング電源装置によれば、2石フォワード型のスイッチング電源装置を、オンデューティが50%を超える範囲で動作させるため、広い入力電圧範囲においてスイッチング電流の実効値を小さくすることができ、各部の抵抗成分による損失を低減することができる。
【0032】
また、ハイサイド側、ローサイド側の各スイッチ素子の所定の端子が接続され、スイッチングにより電位が変動する電位変動パターンは、金属ベースとの間に形成される配線容量が互いに等しくなるように形成されているので、スイッチングノイズ電流は各配線容量に互いに逆方向に等しく流れて相殺され、入力電源側に流出しない。よって、スイッチング電源装置外部に与える悪影響を大幅に低減することができる。
【0033】
また、各配線容量のバランスを調整するために付加パターンを設けることにより、一方のスイッチ素子の側だけに、かつ、他の大型部品の下方の空間を利用して形成することが可能であり、特に高価な多層基板を用いることなく、スイッチング電源装置を小型化することができる。
【0034】
また、各配線容量のバランスは、付加パターンの面積のみを適宜変更することによって調整可能なため、例えば、搭載部品の端子のはんだ接続の信頼性を向上させるべく設定されたパッド形状等、所定の配線パターンのレイアウトを固定したまま、ノイズ低減性能を向上させることができる。
【0035】
また、金属ベース基板の絶縁層の厚みは、基板毎にみるとばらつきがあるが、一枚の基板の内部ではほぼ一様な厚みであるといえる。従って、大量生産によって基板毎に絶縁層の厚みが変動しても、配線パターンの形状が固定であるため、各配線容量のバランスは正確に維持される。さらに、スイッチング電源装置の使用環境の変化によって絶縁層の温度や吸湿状態等が変化し、配線容量に変動が生じた場合でも、各配線容量は互いに等しく増減するので、容量のバランスは維持される。よって、安定なノイズ低減性能を実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0036】
以下、この発明の一実施形態のスイッチング電源装置40について、図に基づいて説明する。なお、上述のスイッチング電源装置10,20と同様の構成は、同一の符号を付して説明する。
【0037】
回路の構成は、図1に示すように、入力端12に接続されたコンデンサC1と並列に、電界効果形トランジスタを用いたハイサイド側のスイッチ素子Q1、出力トランスT1の1次側巻線T1p、電界効果形トランジスタを用いたローサイド側のスイッチ素子Q2の直列回路が接続されている。ここでは、スイッチング電源装置10が有する回生ダイオードSS1,SS2は設けられていない。
【0038】
出力トランスT1の2次側巻線T1sには、ダイオードD1,D2、インダクタL1、コンデンサC2で構成された整流平滑回路が接続されている。
【0039】
そして、スイッチ素子Q1,Q2のゲート端子には、コンデンサC2の両端に発生する出力電圧Voに基づいて所定のパルス幅変調信号を出力する制御部CONT2が接続されている。この制御部CONT2は、パルス幅変調信号によってスイッチ素子Q1,Q2を同位相でオンオフ駆動可能に構成されており、そのオンデューティは50%を超える範囲まで可変可能である。ここでは、上限80%程度に設定されている。
【0040】
スイッチング電源装置40の入力端12には、入力電源Eが接続され、入力電源Eのマイナス側は感電防止用のコンデンサCY1を介してアース電位FGに接続されている。一方、出力端14には、負荷LDが接続され、負荷LDのマイナス側も同様に、感電防止用のコンデンサCY2を介してアース電位FGに接続されている。また、後述する金属ベース基板42の金属ベース42aも、アース電位FGに接続される。
【0041】
次に、スイッチング電源装置40の実装構造を、図2〜図3に基づいて説明する。スイッチング電源装置40は、金属ベース42aの一方の面に、薄い絶縁層42bを介して形成された配線パターン42cを有する金属ベース基板42を備え、主要部品である出力トランスT1、スイッチ素子Q1,Q2、入力平滑コンデンサC1は、図2に示すように、配線パターン42c上にはんだ付け実装されている。なお、制御部CONT2、整流平滑回路も同様に実装されているが、ここでは省略する。
【0042】
金属ベース基板42の大きさは、例えばFuLL−Brickサイズと呼ばれる電源業界標準の外形(幅117mm、奥行き61mm)を有している。金属ベース42aは、厚み1〜2mm程度の金属板であり、材質は、鉄、アルミ、ステンレス、銅などが用いられる。絶縁層42bは、金属ベース42aの一方の面に、エポキシ系樹脂を適宜の厚さに塗り重ねて形成されている。この厚みは、配線パターン42cと金属ベース42aとの間の絶縁性能や、実装部品の放熱性能等を考慮して設定されている。このエポキシ系樹脂は、無機フィラー等が充填されて高熱伝導性を備えており、比誘電率は4〜8程度である。配線パターン42cは、厚み35〜200μm程度の銅箔で、表面にメッキ処理などが施されている。なお、金属ベース基板42の裏面側には、任意形状の放熱フィンなどが取り付けられ、強制通風などによって冷却可能に組み立てられる。
【0043】
配線パターン42cのレイアウトは、図3(a)に示すように、1次側巻線T1pの一方の端子とスイッチ素子Q1のソース端子Sが実装され、両端子を同電位に接続した実装パターン44a1に、付加パターン44a2を接続して一体に形成された電位変動パターン44aを備えている。ここでは、付加パターン44a2を幅狭のパターンで接続することによって、リフローはんだ工程において、実装パターン44a1のはんだペーストの温度上昇が妨げられないように考慮されている。また、1次側巻線T1pの他方の端子とスイッチ素子Q2のドレイン端子Dが実装され、両端子を同電位して一体に形成された電位変動パターン44bを備えている。ここでは、面積の小さい実装パターン44a1に付加パターン44a2を追加することによって電位変動パターン44aの面積を増加させ、電位変動パターン44aが電位変動パターン44bと等しい面積になるよう調整されている。従って、図3(b)に示すように、配線容量CQ1,CQ2はバランスのとれた等しい値となっている。また、付加バターン44a2は、出力トランスT1の下方に隠れる位置に設けられているので、実装された状態において、付加パターン44a2の上方に無駄な空間は生じない。
【0044】
次に、この実施形態のスイッチング電源装置40の回路動作について、図4に基づいて説明する。スイッチング電源40の入力端12に所定の入力電圧Viが印加されると、制御部CONT2が出力するパルス幅変調信号によってスイッチ素子Q1,Q2が同位相でオンオフ駆動する。このとき制御部CONT2は、出力電圧Voを所定の値に安定化するようパルス幅変調信号を形成し、スイッチ素子Q1,Q2のオンデューティを決定する。
【0045】
この実施形態の出力トランスT1の巻数比Ns/Npは、図10に示したスイッチング電源装置20の場合よりも小さく設定されている。従って、式(1)から明らかなように、入力電圧Vi、出力電圧Voが等しいとき、オンデューティはスイッチング電源装置20よりも広くなる。
【0046】
期間Aは、スイッチ素子Q1,Q2、ダイオードD1がオンしている期間であり、1次側巻線T1pに入力電圧Vinが印加され、出力トランスT1に励磁エネルギーが蓄積される。
【0047】
期間Bは、スイッチ素子Q1,Q2、ダイオードD1がオフしている期間である。出力トランスT1は、期間Aに蓄積された励磁エネルギーを放出するため、逆方向に起電力を発生させる。そのとき、1次側巻線T1pの電圧VTは、−Vinを超えて低い電圧であって、出力トランスT1などに形成される寄生容量等との関係で決まる電圧まで低くなる。すなわち、スイッチング電源装置20のように回生ダイオードSS1,SS2によって−Vinに固定されることがない。従って、期間Aにおいて、出力トランスT1に50%超のオンデューティで励磁エネルギーが蓄積されても、期間Bの間に励磁エネルギーの放出を完了することができる。
【0048】
そして、期間Cは、既に励磁エネルギーの放出が完了したので、1次側巻線T1pの電圧VTは低下している。
【0049】
一定の周期Tで以上の動作が繰り返されたとき、電位変動パターン44a,44bの動作を示すVQ1,VQ2の電位の変化を比較すると、常に同一振幅の電圧が逆向きに生じていることがわかる。従って、互いに等しい配線容量CQ1,CQ2には、等しいスイッチングノイズ電流が逆向きに流れるため、それらは互いに相殺され、入力電源側に流出しない。
【0050】
また、スイッチング電流idは、図6に示したスイッチング電源装置10と比較して、平均値Iinはほぼ等しいが、オンデューティが広い分だけピーク値が低くなり、実効値は小さくなる。従って、1次側巻線T1pの抵抗成分、スイッチ素子Q1,Q2のオン抵抗成分などで発生する抵抗損失が低減される。また、その損失低減に伴って各部品を小型することも可能となる。
【0051】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。例えば、スイッチング電源装置40においては、電位変動パターン44aは、実装パターン44a1と付加パターン44a2が分離して形成されているが、搭載部品の端子のはんだ接続の信頼性の悪化等、他に弊害が生じない場合には、実装パターン44a1を幅広にするなどして各配線容量のバランスを調整し、付加パターン44a2を省略してもよい。
【0052】
また、スイッチ素子Q1は、一素子当たりの電気ストレス軽減のため、複数のスイッチ素子を並列接続等して構成してもよい。スイッチ素子Q2についても同様である。また各スイッチ素子のパッケージ形状についても、金属ベース基板に実装可能な形状であれば、特に限定するものではない。さらに、各スイッチ素子の両端には、サージ吸収用の部品やその他の回路が接続されていてもよい。少なくとも、電位変動パターン44a,44bの面積が等しくなるよう設定されていればよい。
【0053】
また、制御部CONT2に設定されているオンデュ−ティの上限値は、スイッチング電源装置の動作中に可変されるものであってもよい。例えば、入力電圧が低いときはスイッチング電流の実効値を低減するため、上限値が50%超の値に設定され、入力電圧が高いときは、負荷急変等の過渡動作時の出力トランスT1の保護のため、上限値が50%以下の値に可変されるものであってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】この発明のスイッチング電源装置の一の実施形態を示す回路図である。
【図2】この実施形態の実装構造を示す上面図である。
【図3】この実施形態の金属ベース基板を示す上面図(a)、側面模式図(b)である。
【図4】この実施形態の回路動作を示す各部の波形である。
【図5】従来のスイッチング電源装置の一例を示す回路図である。
【図6】この従来例の実装構造を示す上面図である。
【図7】SC−83パッケージの電界効果形トランジスタの端子配置を説明する構造図(a)、ダイオードの端子配置を説明する構造図(b)である。
【図8】この従来例の金属ベース基板を示す上面図(a)、A−A断面図(b)、側面模式図(c)である。
【図9】この従来例の回路動作を示す各部の波形である。
【図10】他の従来例の実装構造を示す上面図である。
【図11】この従来例の金属ベース基板を示す上面図(a)、B−B断面図(b)、側面模式図(c)である。
【図12】さらに他の従来例の金属ベース基板を示す側断面図である。
【符号の説明】
【0055】
10,20,40 スイッチング電源装置
16,22,42 金属ベース基板
16a,22a,42a 金属ベース
18a,18b,24a,24b,44a,44b 電位変動パターン
42 金属ベース基板
CONT2 制御部
CQ1,CQ2 配線容量
E 入力電源
Q1,Q2 スイッチ素子
SS1,SS2 回生ダイオード
T1 出力トランス
【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力電源に接続されたハイサイド側スイッチ素子と出力トランスの1次側巻線とローサイド側スイッチ素子との直列回路と、前記出力トランスの2次側巻線に接続され、前記両スイッチ素子のスイッチングによって前記2次側巻線に発生する交流電圧を整流平滑して直流の出力電圧を得る整流平滑回路と、前記出力電圧に基づく所定のパルス幅変調信号を出力し、前記両スイッチ素子をオンオフ駆動する制御部とを備え、前記両スイッチ素子が金属ベース基板上の配線パターンに実装されたスイッチング電源装置において、
前記制御部は、出力するパルス幅変調信号のオンデューティの最大値が50%を超える値に設定され、
前記金属ベース基板上には、前記両スイッチ素子が有する端子のうちスイッチングにより電位が変動する端子が各々実装された配線パターンであって、前記各端子に対応した少なくとも一対の電位変動パターンを備え、
前記各電位変動パターンと前記金属ベース基板の金属ベースとの間に形成される各配線容量が互いに等しくなるように形成されていることを特徴とするスイッチング電源装置。
【請求項2】
前記ハイサイド側スイッチ素子の前記電位変動パターンは、前記端子が接続された実装パターンに付加パターンが接続されて成り、前記付加パターンの面積調整によって、前記各配線容量が等しくなるよう設定されていることを特徴とする請求項1記載のスイッチング電源装置。
【請求項1】
入力電源に接続されたハイサイド側スイッチ素子と出力トランスの1次側巻線とローサイド側スイッチ素子との直列回路と、前記出力トランスの2次側巻線に接続され、前記両スイッチ素子のスイッチングによって前記2次側巻線に発生する交流電圧を整流平滑して直流の出力電圧を得る整流平滑回路と、前記出力電圧に基づく所定のパルス幅変調信号を出力し、前記両スイッチ素子をオンオフ駆動する制御部とを備え、前記両スイッチ素子が金属ベース基板上の配線パターンに実装されたスイッチング電源装置において、
前記制御部は、出力するパルス幅変調信号のオンデューティの最大値が50%を超える値に設定され、
前記金属ベース基板上には、前記両スイッチ素子が有する端子のうちスイッチングにより電位が変動する端子が各々実装された配線パターンであって、前記各端子に対応した少なくとも一対の電位変動パターンを備え、
前記各電位変動パターンと前記金属ベース基板の金属ベースとの間に形成される各配線容量が互いに等しくなるように形成されていることを特徴とするスイッチング電源装置。
【請求項2】
前記ハイサイド側スイッチ素子の前記電位変動パターンは、前記端子が接続された実装パターンに付加パターンが接続されて成り、前記付加パターンの面積調整によって、前記各配線容量が等しくなるよう設定されていることを特徴とする請求項1記載のスイッチング電源装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2009−261044(P2009−261044A)
【公開日】平成21年11月5日(2009.11.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−103814(P2008−103814)
【出願日】平成20年4月11日(2008.4.11)
【出願人】(000103208)コーセル株式会社 (80)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年11月5日(2009.11.5)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年4月11日(2008.4.11)
【出願人】(000103208)コーセル株式会社 (80)
【Fターム(参考)】
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