説明

スクイズフォーマー

【課題】機構部の構造の簡略化するとともに中栓部分を小形化し、小容量のボトルにも取付可能としたスクイズフォーマーを提供する。
【解決手段】スクイズ容器12の口部16に被着され、内外に貫通した挿通部27及び外気流入部33を有する中栓本体20を備える。中栓本体20の挿通部40に取り付けられ、外気流入部33を閉鎖する弁部材38を備える。弁部材38の下流に取り付けられた多孔体59と、弁部材38の上流に取り付けられスクイズ容器12内の底部に延出するチューブ60を有する。弁部材38は、気液混合室47と、気液混合室47とスクイズ容器12の内側を連通する通路45を有する狭窄部44と、逆止弁42を備える。狭窄部44には、スクイズ容器12内の液体を送る液体導入路41と、狭窄部44にスクイズ容器12内の空気を送る空気導入路43とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、容器を押圧することにより、収容された液体を泡状にして吐出するスクイズフォーマーに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、液体を収容し、この液体が液体洗剤等であり泡状にして吐出することができるスクイズフォーマーがある。特許文献1のスクイズフォーマー容器は、押出性を有する外容器と内袋が設けられ液体を収容する容器本体と、容器本体内の液体を泡状に吐出するフォーマーキャップが設けられている。フォーマーキャップは、気液混合室とメッシュ部材を備え、気液混合室に、内袋内の液体を流入させる液体流入孔と、外容器と内袋との間の空気を流入させる空気流入孔が設けられている。
【0003】
特許文献2の泡噴出容器は、胴部を押圧することにより泡を噴出する容器であり、容器本体内の液体を泡状に吐出する液体送り出し部材が設けられている。液体送り出し部材には、容器の胴部を押圧したときに、容器の液面上方の空気を入れる空気放出孔と、容器本体内の液体を入れる液体パイプが設けられている。そして、容器の胴部の押圧を解放した時に外気を容器に流入する外気吸入口が別に設けられ、外気吸入口には外気吸入弁が設けられている。
【0004】
さらに、特許文献3の泡吐出容器は、容器本体の開口部に被着されるキャップが設けられ、キャップには、容器本体内に延びる液体導入路と、容器本体内の上部空間に連通する空気導入路と、液体導入路と空気導入路とに連通する気液混合室が設けられているものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−149325号公報
【特許文献2】特開平7−223659号公報
【特許文献3】特開平7−215353号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記背景技術の各容器の構造の場合、収容した液体と容器内の空気とを混合する構造が複雑であるため製造コストが高くなるという問題がある。また、その製造の複雑さから中栓部分の機構部が大きくなり、小容量の容器に取り付けて使用することが難しいものであった。
【0007】
この発明は、上記背景技術の問題点に鑑みて成されたもので、機構部の構造の簡略化するとともに中栓部分を小形化し、小容量のボトルにも取付可能としたスクイズフォーマーを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明は、外圧によって弾性変形可能なスクイズ容器と、前記スクイズ容器の口部に被着され内外に貫通した挿通部及び外気流入部を有する中栓本体と、前記中栓本体の挿通部に取り付けられ前記外気流入部を閉鎖する弁部材と、前記弁部材の下流に取り付けられた多孔体と、前記弁部材の上流に取り付けられ前記スクイズ容器内の底部に延出するチューブが設けられ、前記弁部材には、気液混合室と、前記気液混合室と前記スクイズ容器の内側を連通する通路を有する狭窄部と、前記狭窄部に前記スクイズ容器内の液体を送る液体導入路と、前記狭窄部に前記スクイズ容器内の空気を送る空気導入路と、前記チューブを前記通路に連結するチューブ保持部と、前記中栓本体の外気流入部を閉鎖し所定の減圧状態で開く逆止弁と、前記多孔体を保持する多孔体抑え部が設けられているスクイズフォーマーである。
【0009】
さらに、前記狭窄部の通路には、前記スクイズ容器内の液面上方の空気に連通する前記空気導入路と液体導入路が開口しているものである。
【0010】
前記空気導入路は、前記チューブが挿入される挿通部の内側面に挿通方向に沿って形成された溝部であり、前記通路内で前記狭窄部の中心側を向いて位置し、前記液体導入路は、前記チューブ内に連通し、前記通路の内側で前記空気導入路と対向して位置しているスクイズフォーマーである。
【0011】
また、前記狭窄部は、水平方向の断面形状が放射状に等間隔に位置する複数本の細い棒状で形成され、前記通路は円周に沿ってほぼ等間隔に位置する扇状に形成され、前記各通路には、前記チューブの上端面に連通した前記液体導入路と、前記液体導入路に対向して開口した前記空気導入路が設けられている。
【0012】
さらに、前記中栓本体には、前記多孔体の上流側の面に当接し、前記多孔体の中央から側壁まで互いに等間隔の放射状に位置する複数の棒状体で形成され前記多孔体を保持する保持体が設けられ、前記保持体には扇状の通路が形成されている。
【発明の効果】
【0013】
この発明のスクイズフォーマーは、機構部の構造を簡略化することにより、コストダウンを図ることができるとともに、中栓部分を小形化し、小容量のボトルにも取付可能としたものである。そして、気液混合室に連通する通路には狭窄部を設け、容器底部からの液体導入路と容器口部からの空気導入路が互いに対向させて形成することにより、液体と空気の流速を上げて混合効率を高め、収容している液体を均一できめ細かな泡で、十分に泡立たせることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】この発明の一実施形態のスクイズフォーマーの部分破断斜視図である。
【図2】この実施形態のスクイズフォーマーのノズル部材を開いた状態を示す縦断面図である。
【図3】この実施形態のスクイズフォーマーのノズル部材を閉じた状態を示す縦断面図である。
【図4】この実施形態のスクイズフォーマーの斜視図である。
【図5】この実施形態のスクイズフォーマーの縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、この発明の実施形態について図面に基づいて説明する。図1〜図5はこの発明の一実施形態を示すもので、この実施形態のスクイズフォーマー10は、外圧によって弾性変形可能なスクイズ容器12が設けられている。スクイズ容器12は有底筒状の容器本体14を有し、容器本体14の上端部には径が小さい円筒状の口部16が一体に形成され、口部16の外周面には、雄ねじ18が一体に形成されている。
【0016】
スクイズ容器12の雄ねじ18には、中栓本体20が螺合して取り付けられている。中栓本体20には、口部16を閉鎖する天面部22が設けられている。天面部22の周縁部には、スクイズ容器12の口部16に嵌合可能に外側に位置し、口部16を覆う円筒状の側面部24が設けられている。側面部24の内周面には、口部16の雄ねじ18に螺合される雌ねじ26が形成されている。天面部22には、筒状の外円筒部28が同心状に一体に設けられ、その内側が挿通部27として開口している。外円筒部28の外周面には、後述するノズル部材46が係止される環状の突起29が軸方向に並んで複数個形成されている。天面部22の、スクイズ容器12の容器本体14側の面には、口部16の内周面に密着する短い円筒状の取付部30が一体に設けられている。天面部22の、スクイズ容器12の容器本体14と反対の面には、外円筒部28の外側に、同心円状に形成された側面円筒部31が一体に設けられている。さらに、挿通部27には、外円筒部28と同心円状に内側に形成された内円筒部32が設けられ、外円筒部28の円周面から放射状の連結部34を介して連続している。
【0017】
内円筒部32の、スクイズ容器12、容器本体14と反対側の端部近傍には、保持体36が形成されている。保持体36の水平方向の断面形状は、放射状に等間隔に位置する複数本の細い棒状体37で形成され、円周に沿ってほぼ等間隔に位置する扇状の通路空間が形成されている。外円筒部28と内円筒部32の間の空間は、外気がスクイズ容器12の容器本体14に流入する外気流入部33となる。
【0018】
中栓本体20の、内円筒部32の内側には、弁部材38が設けられている。弁部材38には、内円筒部32に嵌合される筒状の挿通部40が設けられている。挿通部40の外周面には、フランジ状に形成された逆止弁42が一体に形成されている。逆止弁42は、中栓本体20の内円筒部32の下端部に交差して当接し、外円筒部28と内円筒部32の間の外気流入部33を閉鎖している。
【0019】
挿通部40の、逆止弁42より少し上方の内周側には、狭窄部44が一体に形成されている。狭窄部44の水平方向の断面形状は、放射状に等間隔に位置する複数本の細い棒状に形成され、円周に沿ってほぼ等間隔に位置する扇状の通路45が形成されている。通路45には、スクイズ容器12の容器本体14内の液面上方の空気に連通する空気導入路43が開口している。空気導入路43は、挿通部40の内側面に挿通方向に沿って形成された溝部であり、後述するチューブ60との間に空気を導入する空間が形成されたものである。空気導入路43は、通路45内において、狭窄部44の中心に対して外側に位置した壁面に開口され、狭窄部44の中心方向に向いている。さらに、通路45の、狭窄部44の中心側内周壁面には、後述するチューブ60内側に連通する液体導入路41が形成されている。液体導入路41は、通路45の内周壁面を切り欠いたものであり、チューブ60が取り付けられて通路45を閉鎖したときに、液体導入路41のみがチューブ60内側に連通するものである。
【0020】
そして、弁部材38の挿通部40内側の、狭窄部44よりも上方は、空気と薬剤を混合する気液混合室47となる。挿通部40の下方部分は後述するチューブ60を連結するチューブ保持部40aであり、挿通部40の上方部分は、後述する多孔体59に当接する多孔体抑え部40bである。
【0021】
中栓本体20の上方には、ノズル部材46が取り付けられている。ノズル部材46には、中栓本体20の外円筒部28、内円筒部32の上端部を覆う円形の天面板48が設けられている。天面板48の周縁部には、中栓本体20の外円筒部28に嵌合可能に外側に位置し、外円筒部28を覆う円筒状の側面部50が設けられている。側面部50の下端部の内周面には、外円筒部28の突起29に係止される突起52が形成されている。側面部50の一部には、外側へ突出する吐出口54が、天面板48と連続して一体に形成されている。天面板48の裏面には、中栓本体20の内円筒部32の、内側に嵌合される内円筒部56と内円筒部32の外側に嵌合される外円筒部58が形成されている。
【0022】
弁部材38の挿通部40のチューブ保持部40aには、チューブ60の上端部が差し込まれて連結されている。チューブ60の上端部は狭窄部44に当接し、狭窄部44の通路45を閉鎖し、液体導入路41のみがチューブ60内側に連通し、通路45につながっている。チューブ60の下端部は、容器本体14の底部に達している。
【0023】
中栓本体20の、内円筒部32の内側面には、保持体36の容器本体14側の面に、多孔体59が当接して設けられている。多孔体59は、連通した細かい孔が形成された部材であり、例えばスポンジ状の部材から成り、内円筒部32の内周面に嵌合される円形に形成され、弁部材38の挿通部40の多孔体抑え部40bに当接され、多孔体抑え部40bと、保持体36に挟持され保持されている。
【0024】
次に、この実施形態のスクイズフォーマー10の使用方法について説明する。容器本体14に収容している液体を保管するときは、図2に示すようにノズル部材46を中栓本体20の上部に被せて閉じる。このとき、ノズル部材46の側面部50の下端部が、中栓本体20の、側面円筒部31と外円筒部28の間の天面部22に当接し、側面部50の突起52が、外円筒部28の一番下の突起29に係止されている。
【0025】
容器本体14に収容している液体を吐出するときは、図3に示すようにノズル部材46を中栓本体20から引き上げる。このとき、ノズル部材46の側面部50の下端部は、天面部22から離れ、突起52が外円筒部28の一番上の突起29に係止され、抜け落ちを防いでいる。この状態でスクイズ容器12の容器本体14の側面を押圧する。すると、容器本体14の内圧が高くなり、チューブ60を通って液体が弁部材38の狭窄部44の液体導入路41を通過し、通路45に入る。このとき、容器本体14の液面上部の空気も空気導入路43から通路45に入り、通路45で液体と空気が互いに対向して混合されて泡となる。そして、泡は気液混合室47でさらに攪拌されて充満し、多孔体59を通過して均一な泡となり、ノズル部材46の吐出口54から外へ吐出される。
【0026】
スクイズ容器12の容器本体14の押圧を解除すると、容器本体14内が減圧となり、中栓本体20の外気流入部33からノズル部材46の吐出口54を介して外気が外気流入部33に入る。そして弁部材38の逆止弁42が開いて、容器本体14内に外気が入り、外気圧と等しくなり減圧が解除される。
【0027】
この実施形態のスクイズフォーマー10によれば、機構部の構造の簡略化を図るとともに中栓本体20、弁部材38を小形化し、小容量のスクイズ容器12にも取り付け可能となるものである。弁部材38は、チューブ60を連結するチューブ保持部40aと、スクイズ容器12外部から空気を導入する外気流入部33を閉鎖する逆止弁42と、多孔体59を固定する多孔体抑え部40bが一体に成形されているため、部品点数を減らし部品代及び組立費用を軽減してコストダウンが可能となる。また、一体化することで構造部分が簡略化され中栓本体20、弁部材38を小さくすることが可能となる。さらに、狭窄部44を設けることで液体と空気の流速を上げて混合効率を高め、多孔体59が1個だけでも十分な泡状化が可能となる。また、スクイズ容器12の容器本体14底部からの液体導入路41と、口部16からの空気導入路43の両方が極狭流路で形成されるため、スクイズ容器12を逆さにしてスクイズしても液体と空気の混合比率が変わらず、安定した泡状化が可能となる。保持体36の断面形状は、放射状に等間隔に位置する複数本の細い棒状体37で形成されているため、多孔体59の接着や溶着等をすることなくしっかりと固定でき、柔軟素材あるいは極薄形状の多孔体であっても注出時の圧力によって変形、脱落することがない。また、多孔体59を保持する外周面を小さくできるので、多孔体59の径が小さくても開口部は大きくなり、中栓本体20の小形化が可能となる。このように、各構造を極力簡略化できるので、スクイズフォーマー10の製造コストを抑えられるとともに、スクイズフォーマー10全体を小形化して、小容量のスクイズ容器12にも対応が可能となる。
【0028】
なお、この発明のスクイズフォーマーは、前記実施の形態に限定されるものではなく、逆止弁や狭窄部の形状は、適宜変更可能である。弁部材には、逆止弁とチューブ保持体、多孔体押さえ部の3個が一体ではなく、いずれか2個が一体とするものでもよい。各部材の連結方法は、螺合や嵌合、また気密パッキン等を介したもの等確実に気密になるものであればよい。収容する液体は、液体石鹸や殺菌剤、ローション、毛染め剤等、いろいろなものに使用することができる。
【符号の説明】
【0029】
10 スクイズフォーマー
12 スクイズ容器
14 本体
16 口部
20 中栓本体
28 外円筒部
32 内円筒部
34 連結部
36 保持体
37 棒状体
38 弁部材
40 挿通部
40a チューブ保持部
40b 多孔体抑え部
41 液体導入路
42 逆止弁
43 空気導入路
44 狭窄部
45 通路
46 ノズル部材
47 気液混合室
54 吐出口
59 多孔体
60 チューブ


【特許請求の範囲】
【請求項1】
外圧によって弾性変形可能なスクイズ容器と、前記スクイズ容器の口部に被着され内外に貫通した挿通部及び外気流入部を有する中栓本体と、前記中栓本体の挿通部に取り付けられ前記外気流入部を閉鎖する弁部材と、前記弁部材の下流に取り付けられた多孔体と、前記弁部材の上流に取り付けられ前記スクイズ容器内の底部に延出するチューブが設けられ、前記弁部材には、気液混合室と、前記気液混合室と前記スクイズ容器の内側を連通する通路を有する狭窄部と、前記狭窄部に前記スクイズ容器内の液体を送る液体導入路と、前記狭窄部に前記スクイズ容器内の空気を送る空気導入路と、前記チューブを前記通路に連結するチューブ保持部と、前記中栓本体の外気流入部を閉鎖し所定の減圧状態で開く逆止弁と、前記多孔体を保持する多孔体抑え部が設けられていることを特徴とするスクイズフォーマー。
【請求項2】
前記狭窄部の通路には、前記スクイズ容器内の液面上方の空気に連通する前記空気導入路と液体導入路が開口している請求項1記載のスクイズフォーマー。
【請求項3】
前記空気導入路は、前記チューブが挿入される挿通部の内側面に挿通方向に沿って形成された溝部であり、前記通路内で前記狭窄部の中心側を向いて位置し、前記液体導入路は、前記チューブ内に連通し、前記通路の内側で前記空気導入路と対向して位置している請求項1記載のスクイズフォーマー。
【請求項4】
前記狭窄部は、水平方向の断面形状が放射状に等間隔に位置する複数本の細い棒状で形成され、前記通路は円周に沿ってほぼ等間隔に位置する扇状に形成され、前記各通路には、前記チューブの上端面に連通した前記液体導入路と、前記液体導入路に対向して開口した前記空気導入路が設けられている請求項3記載のスクイズフォーマー。
【請求項5】
前記中栓本体には、前記多孔体の上流側の面に当接し、前記多孔体の中央から側壁まで互いに等間隔の放射状に位置する複数の棒状体で形成され前記多孔体を保持する保持体が設けられ、前記保持体には扇状の通路が形成されている請求項1記載のスクイズフォーマー。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−51622(P2011−51622A)
【公開日】平成23年3月17日(2011.3.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−201736(P2009−201736)
【出願日】平成21年9月1日(2009.9.1)
【出願人】(000104526)キタノ製作株式会社 (20)
【Fターム(参考)】