説明

スクラップシュート及びこのスクラップシュートを備えたプレス型

【課題】スクラップシュートの上端を引き上げることなく傾斜角度を大きくすることができるとともに、十分な間口を確保することができるスクラップシュート及びこのスクラップシュートを備えたプレス型を提供する。
【解決手段】ワークの端縁を切断したスクラップを、プレス型のスクラップ排出口から排出するスクラップシュート3であって、所定の傾斜角度まで回動し、載置された前記スクラップを滑動させて排出する板状のシュート本体4と、前記シュート本体の下面を回動可能に支持する柱状の支持部5と、前記シュート本体の上端を水平方向に、かつスクラップ排出口側に移動させる移動機構6と、を備え、前記移動機構6にて前記シュート本体4の上端を水平方向に移動させることによって、前記シュート本体4を回転させて傾斜角度を大きくするように構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スクラップシュート及びこのスクラップシュートを備えたプレス型に関し、特に、ワークの端縁を切断したスクラップを排出するスクラップシュート及びこのスクラップシュートを備えたプレス型に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、固定の下型と、この下型に対して昇降する上型との間にワークを挟み込むことによって、ワークを成形するプレス型が知られている。このようなプレス型は、ワークの端縁を切断したスクラップを排出するスクラップシュートを備えている。
【0003】
このプレス型について、特許文献1に記載されたプレス型を例にとって、図8に基づいて説明する。
先ず、特許文献1に示されたプレス型100は、図8に示すように、固定の下型110と、この下型110に対して昇降する上型120とを備えている。
【0004】
前記下型110は、ワークの端縁を切断するための下トリム刃111と、この下トリム刃111の下方に設けられ、ワークの端縁を切断したスクラップSを排出するスクラップシュート112と、このスクラップシュート112の上方に固設されたカム台113とを備えている。
【0005】
前記上型120は、前記下型110に載置されたワークを押さえるパッド121と、傾斜カム面122及び前記カム台113に案内されることによって進退する受動カム123とを備えている。この受動カム123は、前記下トリム刃111と共働することによってワークの端縁を切断するための上トリム刃124を有している。
【0006】
このプレス型100は、前記上型120の下死点において、ワークの端縁を切断した前記スクラップSを、前記スクラップシュート112上に落下させることによって、前記スクラップシュート112の傾斜角度で滑動させて型外に排出するものである。
【0007】
しかしながら、前記スクラップシュート112は、前記カム台113の直下に配置されているので、スクラップスペースが狭く、前記スクラップシュート112の傾斜角度を大きく設定することができず、例えば前記カム台113に引っかかったり、前記スクラップシュート112の傾斜角度で滑動が得られなかったりして前記スクラップSを型外に円滑に排出することができないという課題を有していた。
【0008】
そこで、特許文献1に記載された発明では、前記スクラップシュート112の傾斜角度を大きく設定するとともに、前記上型120の上死点において、前記カム台113を上方に回転させて持ち上げることによって、スクラップスペースを広くして前記スクラップSを型外に円滑に排出させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2008−260032号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、特許文献1に記載された発明において、前記スクラップシュートの傾斜角度を大きくするためには、前記スクラップシュートの上端を引き上げる必要がある。
ところで、このようなプレス型で、高さ方向に大きな寸法を有するワークを成形する場合は、前記下トリム刃の最下位置が、高さ方向に小さな寸法のワークを成形する場合に比べて、下方向に下がる。
【0011】
そのため、下トリム刃の下方空間が狭くなり、前記スクラップシュートの上端を引き上げるスペースを確保すること(スクラップシュートの上端を引き上げること)が困難となり、スクラップシュートの傾斜角度を大きくできないという技術的課題があった。
【0012】
また、特許文献1に記載された発明では、前記スクラップシュートの傾斜角度を大きくするため、前記スクラップシュート上端の引き上げを行っているが、この引き上げにより、前記スクラップシュートは前記カム台に近接する。
そのため、前記カム台を上方に回転させて持ち上げるように構成しても、前記スクラップシュートとカム台との間のスペース、即ち、前記スクラップSを排出するための十分な間口を得ることができないという技術的課題があった。
【0013】
本発明は、上記技術的課題を解決するためになされたものであり、スクラップシュートの上端を引き上げることなく傾斜角度を大きくすることができるとともに、十分な間口を確保することができるスクラップシュート及びこのスクラップシュートを備えたプレス型を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記技術的課題を解決するためになされた本発明にかかるスクラップシュートは、ワークの端縁を切断したスクラップを、プレス型のスクラップ排出口から排出するスクラップシュートであって、所定の傾斜角度まで回動し、載置された前記スクラップを滑動させて排出する板状のシュート本体と、前記シュート本体の下面を回動可能に支持する柱状の支持部と、前記シュート本体の上端を水平方向に、かつスクラップ排出口側に移動させる移動機構と、を備え、前記移動機構にて前記シュート本体の上端を水平方向に移動させることによって、前記シュート本体を回転させて傾斜角度を大きくするように構成されていることを特徴としている。
【0015】
このように、移動機構にて前記シュート本体の上端を水平方向に移動させることによって、前記シュート本体を回転させて傾斜角度を大きくするように構成されているため、スクラップシュートの上端を引き上げることなく傾斜角度を大きくすることができる。
したがって、スクラップを円滑に排出することができる。また、スクラップシュートの上端を引き上げないため、スクラップ排出のための十分な間口を確保することができる。
【0016】
ここで、前記移動機構が伸縮自在に構成されたピストンシリンダであって、前記ピストンシリンダのピストンの端部が前記シュート本体の上端部に取り付けられ、前記ピストンシリンダのピストンが伸長することにより、前記シュート本体の上端を水平方向に移動させ、前記シュート本体を回転させて傾斜角度を大きくするように構成されていることが望ましい。
【0017】
また、前記シュート本体は、第1の板状部材と、前記第1の板状部材に対して前記スクラップの滑動方向に沿ってスライド自在に取り付けられた第2の板状部材とを備え、前記支持部が前記第2の板状部材の下面を固定され、第2の板状部材が前記支持部と共に回動可能に形成され、前記移動機構が前記第1の板状部材の上端を水平方向に、かつスクラップ排出口側に移動させることによって、前記第1の板状部材及び第2の板状部材を回転させて、傾斜角度を大きくするように構成されていることが望ましい。
【0018】
前記支持部が前記第2の板状部材に固定されているため、移動機構にて第1の板状部材の上端を水平方向に、かつスクラップ排出口側に移動させると、第1の板状部材は、スクラップの滑動方向に沿って第2の板状部材に対してスライドする。この際、第1の板状部材及び第2の板状部材は、傾斜角度を大きくするように支持部を中心に回転する。
したがって、スクラップシュートの上端を引き上げることなく傾斜角度を大きくすることができるとともに、十分な間口を確保することができる。また、第1の板状部材及び第2の板状部材は、支持部を中心に回転するので、シュート本体の下端の位置、すなわちスクラップを排出する位置が変化しないため、スクラップシュートから排出されたスクラップを容易に処理することができる。
【0019】
また、前記移動機構は、前記第1の板状部材の両側にそれぞれ形成された2つのピンと係合することによって、前記第1の板状部材の上端を水平方向に沿って案内する2つのガイドレールと、前記第2の板状部材の下面に取り付けられ、自己の伸長によって前記支持部を中心に前記第2の板状部材を回転させるピストンシリンダと、を備え、前記ピストンシリンダにて前記第2の板状部材を回転させることによって、前記第1の板状部材の上端を水平方向に、かつスクラップ排出口側に移動させることが望ましい。
【0020】
この場合には、シリンダにて第2の板状部材を回転させると、第1の板状部材の上端は、2つのガイドレールによって水平方向に沿って案内される。この際、第1の板状部材は、スクラップの滑動方向に沿って第2の板状部材に対してスライドする。また、第1の板状部材及び第2の板状部材は、傾斜角度を大きくするように支持部を中心に回転する。
したがって、スクラップシュートの上端を引き上げることなく傾斜角度を大きくすることができるとともに、十分な間口を確保することができる。
【0021】
また、上記技術的課題を解決するためになされた本発明にかかるプレス型は、上記スクラップシュートを備えるプレス型であって、固定の下型と、前記下型に対して昇降する上型とを備え、前記下型と、前記上型との間に前記ワークを挟み込むことによって、前記ワークを成形するとともに、前記ワークの端縁を切断した前記スクラップを、前記スクラップシュート上に落下させることによって、前記スクラップシュートの傾斜角度で滑動させて、スクラップ排出口を介して型外に排出することを特徴としている。
【0022】
このようなプレス型によれば、移動機構にてシュート本体の上端を水平方向に、かつスクラップ排出口側に移動し、支持部を中心にシュート本体を回転させて傾斜角を大きくするように構成されているため、スクラップシュートの上端を引き上げることなく傾斜角度を大きくすることができる。
その結果、スクラップを円滑に排出することができ、またスクラップシュートの上端を引き上げる必要がないので、スクラップを排出するための十分な間口を確保することができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、スクラップシュートの上端を引き上げることなく傾斜角度を大きくすることができるとともに、十分な間口を確保することができるスクラップシュート及びこのスクラップシュートを備えたプレス型を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】図1は、本発明にかかるスクラップシュートを備えたプレス型の側面を示す構成概略図である。
【図2】図2は、図1に示したスクラップシュートを示す斜視図である。
【図3】図3は、図2に示した第1の板状部材を示す斜視図である。
【図4】図4は、図2に示した第2板状部材を示す斜視図である。
【図5】図5は、図1に示す状態からシュート本体の傾斜角度を大きくした状態を示す構成概略図である。
【図6】図6は、本発明にかかるスクラップシュートの変形例を示す構成概略図である。
【図7】図7は、図6に示す状態からシュート本体の傾斜角度を大きくした状態を示す構成概略図である。
【図8】図8は、従来のスクラップシュートを備えたプレス型を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明にかかるスクラップシュートを備えたプレス型について、図1乃至図5に基づいて説明する。尚、図1は、本発明にかかるスクラップシュートを備えたプレス型の側面を示す構成概略図、図2は、図1に示したスクラップシュートを示す斜視図、図3は、図2に示した第1の板状部材を示す斜視図、図4は、図2に示した第2板状部材を示す斜視図、図5は、図1に示す状態からシュート本体の傾斜角度を大きくした状態を示す構成概略図である。
【0026】
このプレス型1は、図1に示すように、カム台2aを備えた固定の下型2と、この下型2に対して昇降する上型(図示せず)との間にワーク(図示せず)を挟み込むことによって、ワークを成形するものである。本発明にかかるプレス型は、ワークの端縁を切断したスクラップ(図示せず)を排出するスクラップシュート3を除き、基本的には従来と同様な構成を備えている。
【0027】
前記スクラップシュート3は、図1及び図2に示すように、スクラップを自己の傾斜角度で滑動させて排出するシュート本体4と、前記シュート本体4の下面を支持する柱状の支持部5と、前記シュート本体4を駆動する移動機構6とを備えている。
【0028】
前記シュート本体4は、上方側に配設された矩形板状の第1の板状部材4aと、第1の板状部材4aに対して摺動可能(スライド可能)に、第1の板状部材4aの下方側に配設された矩形板状の第2の板状部材4bとを備え、全体として矩形板状に構成されている。
【0029】
前記第1の板状部材4aは、図3に示すように、両側部を折り曲げて形成された壁部4a1を有している。これらの壁部4a1は、両外壁の上端部の外側に形成されたピン4a2と、両外壁の下端側に取り付けられた断面コ字状のスライドレール4a3とを有している。
【0030】
前記第2の板状部材4bは、図4に示すように、両側部を折り曲げて形成された壁部4b1を有している。これらの壁部4b1の内面には、断面矩形状のスライドレール4b2が形成されている。このスライドレール4b2は、前記第1の板状部材4aに取り付けられたスライドレール4a3に摺動可能(スライド可能)に係合する。
これによって、前記第2の板状部材4bは、前記第1の板状部材4aに対してスライド自在に取り付けられる。
【0031】
前記支持部5は、前記下型2に回動可能に、かつ水平面と平行に配設されている。また、前記支持部5が前記第2の板状部材4bの下面に固定され、第2の板状部材4bは前記支持部5と共に回動するように構成されている。
【0032】
前記移動機構6は、前記シュート本体4の上端を水平方向に、かつスクラップの排出口側(図5のC方向)に駆動する機構である。
この移動機構6は、前記下型2の両側(両側面)にそれぞれ配設されたガイドレール6aと、前記第2の板状部材4bの下面にピストンがジョイント6b1を介して取り付けられたピストンシリンダ6bとを備えている。前記ピストンシリンダ6bの他端は、前記下型2の底面にジョイント6b2を介して取り付けられている。
【0033】
このピストンシリンダ6bは、ピストンが伸長することによって、前記支持部5と共に(支持部5を中心として)前記第2の板状部材4bを回転させる。
なお、本実施形態では、ピストンシリンダ6bには、エアシリンダを採用しているが、油圧シリンダや、ボールねじなどの他の機械要素を採用してもよい。
【0034】
また、前記ガイドレール6aには直線状の溝部が形成され、このガイドレール6aの溝部に、前記第1の板状部材4aに形成されたピン4a2がスライド可能に取付けられている。これにより、前記第1の板状部材4aの上端は、前記ガイドレール6aによって水平方向に、かつスクラップの排出口側(図5のC方向)に案内される。
【0035】
このようなプレス型1において、上型を下降させて、前記下型2と上型との間にワークを挟み込むことによって、ワークを成形する。上型の下死点において、ワークの端縁を切断したスクラップは、前記スクラップシュート3のシュート本体4上に落下する。そして、プレス型1は、上型を上昇させる。
【0036】
その後、前記スクラップシュート3は、図5に示すように、前記ピストンシリンダ6bを伸長させて(図5矢印A)、前記第2の板状部材4bを回転させる(図5矢印B)。
この際、前記第1の板状部材4aの上端は、前記ガイドレール6aによって水平方向に、かつ図5の矢印C方向である、スクラップの排出口側に案内される。
また、前記第1の板状部材4aは、図5の矢印D方向である、スクラップの滑動方向に沿って前記第2の板状部材4bに収納されるようにスライドする。
そして、前記シュート本体4上に落下したスクラップは、前記シュート本体4の傾斜角度で滑動してプレス型1の型外に排出される。
【0037】
このように、前記移動機構6は、前記ピストンシリンダ6bにて前記第2の板状部材4bを回転させると共に、前記第1の板状部材4aの上端を水平方向に移動させる。
ここで、前記ピストンシリンダ6bのピストンを収縮させて前記第2の板状部材4bを回転させていない状態、すなわち図1に示す状態における前記シュート本体4の傾斜角度をθ1とし、前記ピストンを伸長させて前記第2の板状部材4bを回転させた状態、即ち、図5に示す状態における前記シュート本体4の傾斜角度をθ2とすると、θ2>θ1となる。
【0038】
このスクラップシュート3にあっては、前記移動機構6にて前記シュート本体4(第2の板状部材4b)の前記支持部5を中心に回転させ、更に前記シュート本体4(第1の板状部材4a)の上端を水平方向に、かつスクラップ排出口方向に移動させることにより、スクラップシュート3の傾斜角度を大きくなす。
【0039】
このように、前記スクラップシュート3の上端を引き上げることなく傾斜角度を大きくすることができるため、スクラップを円滑に排出することができる。また、前記スクラップシュート3の上端を引き上げられないため、スクラップを排出するための十分な間口を確保することができる。
【0040】
次に、本発明にかかるスクラップシュートの変形例について、図6及び図7に基づいて説明する。
ここで、図6は、本発明にかかるスクラップシュートの変形例を示す構成概略図である。図7は、図6に示す状態からシュート本体の傾斜角度を大きくした状態を示す構成概略図である。なお、図1に示したスクラップシュートと同一、または相当する部材は、同一の符号を付してその説明を省略する。
【0041】
このスクラップシュート3は、図6に示すように、1つの部材からなる矩形板状のシュート本体7と、前記シュート本体7の下面に固定されることなく、前記シュート本体7を支持する柱状の支持部8と、前記シュート本体7の上端を水平方向に、かつスクラップ排出口側に移動する移動機構9とを備えている点に特徴がある。
【0042】
前記支持部8は、前記下型2に水平面と平行に配設されている。前記移動機構9は、前記シュート本体7の上端にジョイント9a1を介してピストンシリンダ9aのピストンが取り付けられている。
そして、ピストンシリンダ9aのピストンを水平方向、図7の矢印A方向に伸長することによって、シュート本体7は、前記支持部8を中心に、図7の矢印C方向に滑りながら、図7矢印B方向に回転する。
その結果、前記シュート本体7上に落下したスクラップは、前記シュート本体7の傾斜角度で滑動してプレス型1の型外に排出される。
【0043】
このように、このスクラップシュート3においても、スクラップシュートの上端を引き上げることなく、傾斜角度を大きくすることができる。
その結果、スクラップシュートの上端を引き上げる必要がないので、スクラップを排出するための十分な間口を確保することができ、また大きな傾斜角度が得られるため、スクラップを円滑に排出することができる。
【0044】
尚、この変形例のシュート本体7にあっては、前記支持部8を中心に、図7の矢印C方向に滑りながら、図7矢印B方向に回転する。そのため、シュート本体7の下端部が下方に進出するため、他の部位と干渉を考慮しなければならない。
これに対して、前記実施形態における第2の板状部材4bは、前記支持部5を中心に回転するので、前記第2の板状部材4bの下端の位置は一定であり、他の部位との干渉を考慮する必要がない。即ち、スクラップを排出する位置が変化しないため、排出されるスクラップを受けるスクラップ受け部を一定の位置に配置することができる。
【符号の説明】
【0045】
1 プレス型
2 下型
2a カム台
3 スクラップシュート
4 シュート本体
4a 第1の板状部材
4a1 壁部
4a2 ピン
4a3 スライドレール
4b 第2の板状部材
4b1 壁部
4b2 スライドレール
5 支持部
6 移動機構
6a ガイドレール
6b ピストンシリンダ
6b1 ジョイント
6b2 ジョイント
7 シュート本体
8 支持部
9 移動機構
9a ピストンシリンダ
9a1 ジョイント

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワークの端縁を切断したスクラップを、プレス型のスクラップ排出口から排出するスクラップシュートであって、
所定の傾斜角度まで回動し、載置された前記スクラップを滑動させて排出する板状のシュート本体と、
前記シュート本体の下面を回動可能に支持する柱状の支持部と、
前記シュート本体の上端を水平方向に、かつスクラップ排出口側に移動させる移動機構と、を備え、
前記移動機構にて前記シュート本体の上端を水平方向に移動させることによって、前記シュート本体を回転させて傾斜角度を大きくするように構成されていることを特徴とするスクラップシュート。
【請求項2】
前記移動機構が伸縮自在に構成されたピストンシリンダであって、前記ピストンシリンダのピストンの端部が前記シュート本体の上端部に取り付けられ、
前記ピストンシリンダのピストンが伸長することにより、前記シュート本体の上端を水平方向に移動させ、前記シュート本体を回転させて傾斜角度を大きくするように構成されていることを請求項1記載の特徴とするスクラップシュート。
【請求項3】
前記シュート本体は、第1の板状部材と、前記第1の板状部材に対して前記スクラップの滑動方向に沿ってスライド自在に取り付けられた第2の板状部材とを備え、
前記支持部が前記第2の板状部材の下面を固定され、第2の板状部材が前記支持部と共に回動可能に形成され、
前記移動機構が前記第1の板状部材の上端を水平方向に、かつスクラップ排出口側に移動させることによって、前記第1の板状部材及び第2の板状部材を回転させて、傾斜角度を大きくするように構成されていることを特徴とする請求項1記載のスクラップシュート。
【請求項4】
前記移動機構は、
前記第1の板状部材の両側にそれぞれ形成された2つのピンと係合することによって、 前記第1の板状部材の上端を水平方向に沿って案内する2つのガイドレールと、
前記第2の板状部材の下面に取り付けられ、自己の伸長によって前記支持部を中心に前記第2の板状部材を回転させるピストンシリンダと、を備え、
前記ピストンシリンダにて前記第2の板状部材を回転させることによって、前記第1の板状部材の上端を水平方向に、かつスクラップ排出口側に移動させることを特徴とする請求項3記載のスクラップシュート。
【請求項5】
前記請求項1乃至請求項4のいずれかに記載されたスクラップシュートを備えるプレス型であって、
固定の下型と、前記下型に対して昇降する上型とを備え、
前記下型と、前記上型との間に前記ワークを挟み込むことによって、前記ワークを成形するとともに、前記ワークの端縁を切断した前記スクラップを、前記スクラップシュート上に落下させることによって、前記スクラップシュートの傾斜角度で滑動させて、スクラップ排出口を介して型外に排出することを特徴とするプレス型。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−56352(P2013−56352A)
【公開日】平成25年3月28日(2013.3.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−195578(P2011−195578)
【出願日】平成23年9月8日(2011.9.8)
【出願人】(000157083)トヨタ自動車東日本株式会社 (1,164)