説明

スタータジェネレータ

【課題】電機子コイルの冷却を妨げることなく、本体を密閉されたケーシング内に収容して、本体の防水と機械的な保護とを図ることができるスタータジェネレータを提供する。
【解決手段】スタータジェネレータのロータ4と、ステータブラケット21に取り付けられたステータ25とを保護カバー30で覆い、保護カバー30とステータブラケット21とにより密閉されたケーシングを構成する。ロータヨーク7の底壁部6の外面に多数の送風羽13を形成し、各送風羽に隣接する位置にロータヨークの底壁部を貫通した通風孔14を形成して、多数の送風羽により、遠心送風ファンを構成する。ロータヨーク7内から通風孔14を通して外部に引き出されて遠心送風ファンによりロータヨークの外周側に送り出された空気をロータヨークの内側に流入させるように案内する案内面65をステータブラケット21に設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エンジンの始動時にはスタータモータとして動作し、エンジンが始動した後は磁石発電機として動作するスタータジェネレータに関するものである。
【背景技術】
【0002】
エンジンにより駆動される車両にスタータジェネレータを搭載することが提案されている。スタータジェネレータは、エンジンを始動する際にエンジンのクランク軸を駆動するスタータモータと、エンジンを始動した後に各種の電気負荷に電力を供給する発電機とを兼ねる回転電機である。特許文献1に示されているように、スタータジェネレータは、永久磁石からなる界磁を有してエンジンのクランク軸に取り付けられるロータと、多相の電機子コイルを有するステータと、ロータの回転角度位置情報を含む信号を出力する磁気センサと、エンジンの始動時に該スタータジェネレータをブラシレスモータとして動作させるべく、磁気センサの検出出力に応じて電機子コイルの励磁パターンを切り換えながら電機子コイルに駆動電流を流す駆動制御装置とを備えている。磁気センサとしては例えば、各相の電機子コイルに対して設定された検出位置でロータの磁極の極性を検出するホールセンサが用いられる。
【0003】
駆動制御装置は、エンジンを始動する際に、各瞬時における磁気センサの検出出力に応じて駆動電流を流す相と、流す駆動電流の極性とを示す励磁パターンを決定し、決定した励磁パターンに従って所定の相の電機子コイルに所定の極性の駆動電流を流すことにより、スタータジェネレータをブラシレスモータとして動作させて、エンジンのクランク軸を始動方向に回転させる。エンジンが始動した後、スタータジェネレータは、エンジンにより駆動されて磁石発電機として動作し、エンジン用点火装置や燃料噴射装置等の各種の電装品負荷に電力を供給する。
【0004】
エンジンにより駆動される車両、特に山野や不整地を走行するATV車(All terrain vehicle)にスタータジェネレータを搭載する場合には、スタータジェネレータを水や障害物から保護するめに、スタータジェネレータ全体を保護カバーで覆って密封することが好ましい。
【0005】
しかし、スタータジェネレータは、エンジンの始動時にモータとして高トルクを発生することが求められ、またエンジン始動後は、発電機として高出力を発生することが求められるため、常に電機子コイルから多くの熱が発生し、電機子コイルの温度が上昇する。
【0006】
そのため、スタータジェネレータを保護カバーで覆って密封した場合には、カバー内の温度が大きく上昇して、磁気センサの使用可能温度範囲を超えるおそれがある。スタータジェネレータを保護カバーで覆うことを可能にするためには、保護カバー内でスタータジェネレータの冷却を効率よく行なわせるための工夫が必要である。
【0007】
ステータの内側にロータが配置される発電機本体を保護カバーで覆って密封した車両用発電機においては、特許文献2に示されているように、保護カバーの側壁部内に冷却水循環路を形成して、保護カバーの側壁部の内面にステータの電機子鉄心の外周面を密接させた状態で配置する構造が提案されている。このように構成すると、電機子コイルで発生した熱を電機子鉄心から冷却水により冷却されている保護カバーの側壁部に伝達させることができるため、電機子コイルの冷却を効率よく行なわせることができる。
【特許文献1】特開2001−251898号公報
【特許文献2】特開2003−18793号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ロータがステータの内側に配置される回転電機の場合は、特許文献2に示されたように、ステータの電機子鉄心の外周面を保護カバーの側壁に密接させて配置することができるため、特許文献2に示された構造を採用することにより、電機子鉄心と保護カバーの側壁との間で熱交換を行なわせて、電機子コイルの冷却を効率よく行なわせることができる。
【0009】
しかしながら、ステータがロータの内側に配置されるスタータジェネレータの場合には、電機子鉄心の外周面を保護カバーの側壁に接触させることができないため、特許文献2に示された構造を採用しても、電機子コイルの冷却を効率よく行なわせることができない。
【0010】
本発明の目的は、電機子コイルの冷却を妨げることなく、ロータと該ロータの内側に配置されるステータとを備えたスタータジェネレータ本体を密閉構造の保護カバーで覆って、本体の防水と機械的な保護とを図ることができるようにしたスタータジェネレータを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、エンジンの始動時にブラシレスモータとして動作してエンジンを始動させるために該エンジンのクランク軸を回転駆動し、エンジンが始動した後は該エンジンにより駆動されて磁石発電機として動作するスタータジェネレータを対象とする。
【0012】
本発明に係わるスタータジェネレータは、周壁部と該周壁部の軸線方向の一端を閉じる底壁部とを有するロータヨークと該ロータヨークの周壁部の内周に取り付けられた永久磁石とを有してロータヨークの底壁部の中央に設けられたボス部がエンジンのクランク軸に結合されるロータと、エンジンのケースに固定されるステータブラケットと、電機子鉄心と該電機子鉄心に巻回された多相の電機子コイルとを有して電機子鉄心がステータブラケットに固定されてロータの内側に配置されるステータと、ロータヨークの底壁部に対向する端部壁とロータヨークの周壁部を取り囲む筒状の側壁部とを有し、エンジンに対して液密にシールされた状態で固定されてロータ及びステータを収容する密閉されたロータ・ステータ収容空間を内部に形成する保護カバーとを備えている。そして、本発明においては、ロータヨークの底壁部の外周寄りの部分の外面に、ロータヨークの周方向に並ぶ多数の送風羽が形成されるとともに、多数の送風羽のそれぞれに隣接する位置にロータヨークの底壁部を貫通した多数の通風孔が形成されて、該多数の送風羽により、ロータが回転した際にロータヨーク内の空気を通風孔を通して引き出してロータヨークの外周側に送り出す遠心送風ファンが構成される。また、この遠心送風ファンによりロータヨークの外周側に送り出されて保護カバーの側壁部とロータヨークの周壁部との間の隙間を通してステータブラケット側に流れた空気をロータヨークの内側に流入させるように案内する案内面がステータブラケットに設けられている。
【0013】
上記のように、ロータヨークの底壁部に送風羽と通風孔とを設けて、送風羽によりロータヨーク内の空気を通風孔を通して引き出してロータヨークの外周側に送り出す遠心送風ファンを構成するとともに、該遠心送風ファンによりロータヨークの外周側に送り出されて保護カバーの側壁部とロータヨークの周壁部との間の隙間を通してステータブラケット側に流れた空気をロータヨークの内側に流入させるように案内する案内面をステータブラケットに設けておくと、ロータヨーク内から通風孔を通してロータヨークと保護カバーとの間の隙間を通った後、ロータヨークの開口部から該ロータヨーク内に戻る空気の流れを、保護カバー内に常時生じさせることができるため、ロータヨーク内で電機子コイルの熱を吸収して温度が上昇した空気をロータヨークの外側に引き出して保護カバーの端部壁及び側壁部に接触させることにより冷却した後ロータヨーク内に戻して、該空気に再び電機子コイルの熱を吸収させることができる。従って、電機子コイルの冷却を効率よく行なわせることができ、電機子コイルの冷却を妨げることなく、ロータと該ロータの内側に配置されるステータとを備えたスタータジェネレータ本体を保護カバー内に密封して、スタータジェネレータ本体の防水と機械的な保護とを図ることができる。
【0014】
本発明の好ましい態様では、ステータブラケットが、ロータの軸線と直交する板面を有し、ロータヨークの周壁部よりも大きい外径を有して、中央部にロータヨークのボス部を同心的に取り囲む孔が設けられた基板部と、該基板部の内周部からロータ側に突出してロータヨークのボス部を取り囲む環状の内周壁部と、ロータヨークの周壁部よりも外側の位置で基板部の外周部からロータ側に突出した外周壁部とを有して、基板部がエンジンのケースに設けられた環状のステータ取り付け用周壁部の端面に液密にシールされた状態で接続されるように構成される。またステータは、ステータブラケットの内周壁部に固定され、保護カバーはその側壁部の開口端をステータブラケットの外周壁部の端面に突き合わせた状態でステータブラケットに固定される。この場合、保護カバーの側壁部とロータヨークの周壁部との間の隙間を通してステータブラケット側に流れた空気をロータヨークの内側に流入させるように案内する案内面は、ステータブラケットの外周壁部と基板部との間の境界部に形成される。
【0015】
本発明の他の好ましい態様では、保護カバーの端部壁の内面及び保護カバーの側壁部の内周に多数の突起または放熱フィンが形成される。
【0016】
上記のように保護カバーの端部壁の内面及び側壁部の内周に多数の突起または放熱フィンを形成しておくと、ロータヨークの通風孔を通して流出した空気と保護カバーの端部壁との接触面積を増大させるとともに、保護カバーの側壁部とロータヨークの周壁部との間の隙間を通して流れる空気と保護カバーの側壁部との接触面積を増大させることができるため、ロータヨークの内部から導出された空気の冷却を促進して、スタータジェネレータの冷却効率を高めることができる。
【0017】
本発明の好ましい態様では、保護カバーの端部壁の少なくとも一部と該保護カバーの側壁部の少なくとも一部とを外側から覆うように、ウォータカバーが取り付けられて、該ウォータカバーと保護カバーとの間にエンジンの冷却水が導入される冷却水通路が形成され、該冷却水通路にエンジンの冷却水を導入し得るように構成される。
【0018】
上記のように構成すると、保護カバーを冷却水により積極的に冷却することができるため、スタータジェネレータの冷却を効率よく行なわせることができる。
【0019】
上記のように保護カバーの少なくとも一部を外側から覆うようにウォータカバーを取り付けて、ウォータカバーと保護カバーとの間に冷却水通路を形成する場合、冷却水通路に接する保護カバーの端部壁の内面及び冷却水通路に接する保護カバーの側壁部の内周に多数の突起または多数の放熱フィンを形成するのが好ましい。
【0020】
上記のように構成すると、ロータヨークと保護カバーとの間を流れる空気と冷却水との間で行なわれる熱交換を促進して、スタータジェネレータの冷却を効率よく行なわせることができるため、電機子コイルの冷却を妨げることなく、ロータと該ロータの内側に配置されるステータとを備えたスタータジェネレータ本体を、保護カバー内に密封して、スタータジェネレータ本体の防水と機械的な保護とを図ることができる。
【0021】
本発明の他の好ましい態様では、保護カバーの端部壁の少なくとも一部と該保護カバーの側壁部の少なくとも一部とを外側から覆うようにウォータカバーを取り付けて、ウォータカバーと保護カバーとの間にエンジンの冷却水が導入される冷却水通路を形成した上で、ロータヨークの底壁部の外面に、複数の磁極が周方向に等角度間隔で並ぶように着磁された位置検出用磁石を取り付け、該位置検出用磁石の磁極の極性を検出してロータの回転角度位置情報を含む信号を出力する磁気センサを保護カバーの端部壁の内面に熱的に結合した状態で取り付ける。また、エンジンの始動時に磁気センサにより検出される回転角度位置情報に基づいて決定される励磁パターンに従って電機子コイルに駆動電流を流す駆動制御装置を設けて、エンジンの始動時に該駆動制御装置により電機子コイルに駆動電流を供給することにより、スタータジェネレータをブラシレスモータとして駆動する。
【0022】
この場合も、該冷却水通路に接する保護カバーの端部壁の内面及び冷却水通路に接する保護カバーの側壁部の内周に多数の突起または多数の放熱フィンをそれぞれ形成しておくのが好ましい。
【0023】
上記のように、エンジンの始動時にスタータジェネレータをブラシレスモータとして動作させる場合に必要な磁気センサを、冷却水通路に接している保護カバーの端部壁に熱的に結合した状態で取り付けると、磁気センサを効率よく冷却することができるため、磁気センサの温度が使用可能温度範囲を超えるのを確実に防ぐことができる。
【0024】
上記磁気センサとしては、金属基板にホール素子を実装したものを用いて、該金属基板を冷却水通路に接している保護カバーの端部壁に熱的に結合した状態で取り付けるのが好ましい。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、ロータヨークの底壁部に送風羽と通風孔とを設けて、送風羽によりロータヨーク内の空気を通風孔を通して引き出してロータヨークの外周側に送り出す遠心送風ファンを構成するとともに、該遠心送風ファンによりロータヨークの外周側に送り出されて保護カバーの側壁部とロータヨークの周壁部との間の隙間を通してステータブラケット側に流れた空気をロータヨークの内側に流入させるように案内する案内面をステータブラケットに設けたので、ロータヨーク内から通風孔を通してロータヨークと保護カバーとの間の隙間を通った後、ロータヨークの開口部から該ロータヨーク内に戻る空気の流れを、保護カバー内に常時生じさせることができ、電機子コイルの熱を吸収したロータヨーク内の空気をロータヨークの外側に引き出して保護カバーの端部壁及び側壁部に接触させることにより冷却した後、該空気に再び電機子コイルの熱を吸収させて、電機子コイルの冷却を効率よく行なわせることができる。従って本発明によれば、電機子コイルの冷却を妨げることなく、ロータと該ロータの内側に配置されるステータとを備えたスタータジェネレータ本体を保護カバー内に密封して、スタータジェネレータ本体の防水と機械的な保護とを図ることができる。
【0026】
本発明において、保護カバーの端部壁の内面及び保護カバーの側壁部の内周に多数の突起または多数の放熱フィンを形成した場合には、ロータヨークの通風孔を通して流出した空気と保護カバーの端部壁との接触面積を増大させるとともに、保護カバーの側壁部とロータヨークの周壁部との間の隙間を通して流れる空気と保護カバーの側壁部との接触面積を増大させることができるため、ロータヨークの内部から導出された空気の冷却を促進して、スタータジェネレータの冷却効率を高めることができる。
【0027】
本発明において、保護カバーの端部壁の少なくとも一部と該保護カバーの側壁部の少なくとも一部とを外側から覆うように、ウォータカバーを取り付けて、該ウォータカバーと保護カバーとの間にエンジンの冷却水が導入される冷却水通路を形成し、該冷却水通路にエンジンの冷却水を導入し得るようにした場合には、保護カバーを冷却水により積極的に冷却することができるため、スタータジェネレータの冷却を効率よく行なわせることができる。
【0028】
本発明において、保護カバーの少なくとも一部を外側から覆うようにウォータカバーを取り付けて、ウォータカバーと保護カバーとの間に冷却水通路を形成するとともに、冷却水通路に接する保護カバーの端部壁の内面及び冷却水通路に接する保護カバーの側壁部の内周に多数の突起または多数の放熱フィンをそれぞれ形成した場合には、ロータヨークと保護カバーとの間を流れる空気と冷却水との間で行なわれる熱交換を促進して、スタータジェネレータの冷却を効率よく行なわせることができるため、電機子コイルの冷却を妨げることなく、ロータと該ロータの内側に配置されるステータとを備えたスタータジェネレータ本体を保護カバー内に密封して、スタータジェネレータ本体の防水と機械的な保護とを図ることができる。
【0029】
本発明において、エンジンの始動時にスタータジェネレータをブラシレスモータとして動作させる場合に必要な磁気センサを、冷却水通路に接している保護カバーの端部壁に熱的に結合した状態で取り付けた場合には、磁気センサを効率よく冷却することができるため、磁気センサの温度が使用可能温度範囲を超えるのを確実に防ぐことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
以下図面を参照して本発明の実施形態を詳細に説明する。図1ないし図6は本発明に係わるスタータジェネレータの一実施形態を示したもので、図1は同実施形態に係わるスタータジェネレータの縦断面図、図2は同実施形態に係わるスタータジェネレータの保護カバーを外した状態での正面図、図3は同実施形態で用いるロータヨークの斜視図、図4は同実施形態で用いる磁気センサの斜視図、図5は同実施形態で用いる磁気センサの基板と該基板に取り付けられたホール素子等の電子部品とを示した斜視図、図6は同実施形態に係わるスタータジェネレータ内で生じる空気流と冷却水の流れとを示した縦断面図である。
【0031】
図1において、1はエンジン、2はエンジンのクランクケース、3はクランクケース2に回転自在に支持されたクランク軸であり、クランク軸3にはロータ4が取り付けられている。図示のロータ4は、周壁部5と該周壁部の軸線方向の一端を閉じる底壁部6とを一体に有するカップ状のロータヨーク7と、ロータヨーク7の周壁部5の内周に等角度間隔で配置されて、該周壁部に接着された複数の弧状の永久磁石8とを有している。
【0032】
ロータヨークの底壁部6の中央には、該ロータヨークの内側に突出した大径の筒状部9aと該筒状部9aの底部から周壁部5の開口端を越える位置まで突出して延びている小径の柱状延長部9bとからなるボス部9が一体に設けられている。ボス部9の延長部9bの軸芯部にはテーパ孔10が設けられ、エンジンのクランク軸3の先端に形成されたテーパ部3aがテーパ孔10に嵌合されている。ボス部9の延長部9bの軸芯部を貫通したボルト11がクランク軸3の軸芯部に設けられたネジ孔に螺合されて締め付けられることによりロータ4がクランク軸3に締結されている。ロータヨーク7は、鉄等の強磁性材料により形成される。
【0033】
ロータ4の周壁部5の内周に取り付けられた複数の永久磁石8は、ロータ4の周方向にN極とS極とが交互に並ぶようにしてロータの径方向に着磁されていて、これらの磁石によりロータの界磁が構成されている。本実施形態では、永久磁石8として希土類磁石が用いられている。
【0034】
エンジンのクランク軸の回転角度情報を得るため、ロータ4の周壁部5の外周には、該ロータ4の周方向に延びる円弧状の突起からなるリラクタ(誘導子)12が形成されている。図示の例では、リラクタ12が180度離れた対称位置に1対設けられている。
【0035】
図2及び図3に示されているように、ロータ4の底壁部6の外周寄りの部分(ボス部9の筒状部9aと周壁部5との間をつなぐ部分)の外面には、ロータヨーク7の周方向に沿って放射状に並ぶ多数の送風羽13が突設されている。また多数の送風羽13,13,…のそれぞれに隣接する位置に、ロータの周方向に並ぶ多数の通風孔14,14,…がロータヨーク7の底壁部6を貫通した状態で形成され、多数の送風羽13,13,…により、ロータ4が回転した際にロータヨーク7内の空気を通風孔14,14,…を通して引き出してロータヨーク7の外周側に送り出す遠心送風ファンが構成されている。
【0036】
ロータヨーク7の底壁部の外面には、複数の磁極が周方向に等角度間隔で並ぶように着磁された円環状の位置検出用磁石15が接着により取り付けられている。この磁石15は、後記する磁気センサとともに、スタータジェネレータをブラシレスモータとして駆動する際にロータ4の回転角度位置情報を検出する位置検出器を構成する。本実施形態では、位置検出用磁石15が、ロータ4の内周の永久磁石8により形成される界磁の磁極配列と同じ磁極配列を有するように、ロータ4の磁極の極数と同じ極数の磁極が周方向に等角度間隔で並ぶように着磁されている。
【0037】
クランクケース2の端面には、クランク軸3を同心的に取り囲む円環状のステータ取り付け用周壁部20が突設され、この周壁部に金属材料からなるステータブラケット21が固定されている。ステータブラケット21は、ロータ4の軸線と直交する板面を有し、ロータヨーク7の周壁部よりも大きい外径を有して、中央部にロータヨーク7のボス部9の延長部9bを同心的に取り囲む孔22が設けられた円板状の基板部21aと、該基板部21aの内周部からロータ4側に突出してロータヨーク7のボス部9の延長部9bを取り囲む環状の内周壁部21bと、ロータヨーク7の周壁部5よりも外側の位置で基板部21aの外周部からロータ側に突出した外周壁部21cとを有している。ステータブラケット21は、その基板部21aがエンジンのクランクケース2に設けられた環状のステータ取り付け用周壁部20の端面に図示しないガスケットを介して当接されて、図示しないボルトによりクランクケース2に締結されることにより、ステータ取付用周壁部20に液密にシールされた状態で接続される。
【0038】
ステータブラケット21には、ステータ25が取り付けられている。ステータ25は、鋼板の積層体からなっていて、環状の継鉄部26aの外周部から多数の突極部26bを放射状に突出させた構造を有する周知の多極環状電機子鉄心26と、電機子鉄心26の一連の突極部に巻回されたコイルを多相結線して構成した多相の電機子コイル27とからなっている。ステータ25は、その電機子鉄心26の継鉄部26aの内周が、ステータブラケット21の内周壁部22の先端寄りの部分の内周を所定量切削することにより形成された段差部を有する電機子鉄心嵌合部に嵌合されることにより、ロータ4と同心的に位置決めされるとともに、ロータの軸線方向に対して位置決めされる。ステータ25は、このように位置決めされた状態で、電機子鉄心26の継鉄部26aを貫通してステータブラケット21の内周壁部22にねじ込まれたボルト28により、ステータブラケット21に締結される。ステータ25の電機子鉄心26の突極部26bの先端には、ステータの磁極部が形成されていて、該ステータ25の磁極部が、ロータ4の磁極にエアギャップを介して対向させられる。本実施形態では、電機子コイルの相数が3に設定されている。
【0039】
ステータブラケット21にはまた、ロータ4をステータ25とともに覆う金属製の保護カバー30が液密にシールされた状態で接続されて、保護カバー30の内側に、ロータ4及びステータ25を収容する密閉されたロータ・ステータ収容空間が形成される。
【0040】
図示の保護カバー30は、ロータヨーク7の底壁部6に対向する端部壁31とロータヨーク7の周壁部5を取り囲む円筒状の側壁部32とを有するカップ状の形状に形成されていて、ロータ4及びステータ25を内包した状態で配置され、側壁部32の開口端に形成されたフランジ部33が、ステータブラケット21の外周壁部21cに図示しないガスケットを介して当接されている。そして、フランジ部33とステータブラケット21の外周壁部21cとが図示しないボルトにより共締めされてクランクケースのステータ取り付け用周壁部20に締結されることにより、保護カバー30がステータブラケット21の外周壁部21cを介して液密にシールされた状態でエンジンに接続されている。保護カバー30とエンジンのクランクケース2との間に、密閉されたロータ・ステータ収容空間が形成され、ロータ4及びステータ25が保護カバー30内に密封されている。ステータブラケット21の外周壁部21cの一部に形成された切り欠きにグロメット35が嵌合され、電機子コイル27の各相の端子から引き出されたリード線(図示せず。)と、後記する磁気センサから引き出されたリード線53とを含むワイヤハーネスHが、グロメット35を通して外部に引き出されている。
【0041】
保護カバー30の端部壁31の内面には、該保護カバー内の空気との接触面積を増大させるため、分散配置された多数の柱状突起38が形成され、保護カバー30の側壁部32の内周には該側壁部の軸線方向に延びる放熱フィン39が、該側壁部の周方向に並べた状態で多数形成されている。
【0042】
なお保護カバー30の端部壁31の内面に柱状突起を形成する代わりに多数の放熱フィンを形成してもよい。保護カバー30の側壁部とロータヨーク7の周壁部との間を通して空気の流れを円滑に生じさせるため、保護カバー30の側壁部の内周には、図示の例のように、保護カバーの軸線方向に延び、周方向に並ぶ多数の放熱フィンを形成することが好ましいが、これらの放熱フィンに代えて、多数の突起を形成してもよい。
【0043】
保護カバー30の側壁部32の一部には該保護カバーの径方向に突出したボス部40が形成され、このボス部40を貫通させた状態で、リラクタ12のエッジを検出してパルス信号を発生するパルサ(パルス信号発生器)41が取り付けられている。パルサ41は、リラクタ12に対向する磁極部を先端に有する鉄心と該鉄心に磁気結合された永久磁石と該鉄心に巻回された信号コイルとを備えた周知のもので、リラクタ12がパルサ41の鉄心の磁極部との対向を開始する際、及び該対向を終了する際にそれぞれ該鉄心中で生じる磁束の変化により、信号コイルに極性が異なるパルスを発生する。パルサ41が発生するパルスは、エンジンの回転速度を検出するために用いられる他、エンジンの回転速度に対して演算されたエンジンの点火位置の計測を開始するタイミングを定める信号や、燃料の噴射を開始するタイミングを定める信号等として用いられる。
【0044】
保護カバー30の端部壁38の外周寄りの部分の内側には、磁気センサ45を嵌合させて位置決めするための凹部46が形成され、該凹部46の底壁部の外面側に形成された突出部47に、磁気センサを保護カバー30に固定するネジ48をねじ込むためのネジ孔が形成されている。
【0045】
磁気センサ45は、図4及び図5に示されているように、金属製の基板50を備え、金属基板50の表面に形成された薄い絶縁層51の上に、3相の電機子コイルに対してそれぞれ設けられた3相のホールセンサ52uないし52wと、ホールセンサ52uないし52wを外部の回路に接続するためのリード線53が接続されるコネクタ54,54,…とが実装されるとともに、ホールセンサ52uないし52wとコネクタ54,54,…との間を接続する配線パターン55が形成されている。金属基板50の上には、ホールセンサ52uないし52w及び配線パターン55が設けられた部分を覆う絶縁カバー56が、該金属基板と一体化するように成形され、コネクタ54,54,…に接続されたリード線53が絶縁カバー56から外部に導出されている。絶縁カバー56は、金属基板の裏面を覆わないように設けられ、金属基板50の両端の、絶縁カバー56から外れた位置には取付孔58、58が形成されている。
【0046】
磁気センサ45は、金属基板50を保護カバー30の端部壁31の凹部46内に嵌合させて、金属基板50の裏面を、凹部46の底面に直接接触させるか、または熱伝導性が良好な材料からなる伝熱層を介して凹部46の底面に接触させることにより、保護カバー30の端部壁に熱的に結合された状態で配置され、取付孔58,58を貫通させたネジ48を保護カバー30の端部壁に形成された突出部47に設けられたネジ孔に螺合させることにより、磁気センサ45が保護カバー30の端部壁31に固定されている。上記伝熱層は、シリコーンなどの熱伝導性が良好な樹脂からなるペーストやシリコーンからなる両面接着テープ等により形成できる。
【0047】
ホールセンサ52uないし52wは、上記のようにして磁気センサ45を保護カバー30の端部壁に取り付けた状態で、ロータヨーク7の底壁部に取り付けられた位置検出用磁石15の周方向に沿って、3相の電機子コイルのそれぞれに対して設定された検出位置に配置されるように位置決めされ、各相のホールセンサが、各相の電機子コイルに対して設定された検出位置でエアギャップを介して位置検出用磁石15の磁極の極性を検出することにより、ロータ4の回転角度位置情報を含む矩形波状の検出信号を出力する。
【0048】
リード線53は、電機子コイルから引き出されたリード線と共にワイヤハーネスHを構成し、該ワイヤハーネスHがグロメット35を通して外部に導出されて、スタータジェネレータの外部に配置された図示しないスタータジェネレータ駆動制御装置に接続される。スタータジェネレータ駆動制御装置は、ブリッジの各辺が半導体スイッチと該半導体スイッチに逆並列接続されたダイオードとにより構成されて、直流端子側がバッテリに接続され、交流端子側が3相の電機子コイルに接続された周知の3相ブリッジタイプのインバータ回路と、該インバータ回路の各半導体スイッチをオンオフ制御するコントローラとを備えている。コントローラは、エンジンの始動時に、ホールセンサ52uないし52wの出力から得られるロータの回転角度位置情報に基づいて決定される励磁パターンに従って3相の電機子コイル27に駆動電流を流すようにインバータ回路を制御することにより、スタータジェネレータをブラシレスモータとして駆動してエンジンのクランキングを行なわせる。
【0049】
エンジンが始動した後、スタータジェネレータがエンジンにより駆動されて磁石式交流発電機として動作する際には、上記コントローラが、発電機からインバータ回路のブリッジの各辺のダイオードにより構成される全波整流回路を通してバッテリに印加される充電電圧を設定範囲に保つように、インバータ回路のスイッチ素子をオンオフ制御する。
【0050】
本実施形態では、保護カバー30の端部壁31の少なくとも一部と該保護カバーの側壁部の少なくとも一部とを外側から覆うように金属製のウォータカバー60が取り付けられている。ウォータカバー60は、保護カバー30に溶接されていて、ウォータカバー60と保護カバー30との間にエンジンの冷却水が導入される冷却水通路61が形成されている。ウォータカバー60には、冷却水通路61に冷却水を導入する冷却水導入口を構成する接続管部62と、冷却水通路61内の冷却水を外部に流出させる冷却水導出口を構成する接続管部63とが設けられ、これらの接続管部が図示しない配管を通してエンジンのラジエータに接続されることにより、図6に示したように冷却水通路61内にエンジンの冷却水Wが流されるようになっている。
【0051】
またステータブラケット21の外周壁部21cと基板部21aとの間の境界部及びステータブラケット21の内周壁部21bと基板部21aとの境界部に、送風羽13により構成された遠心送風ファンによりロータヨーク7の外周側に送り出されて、保護カバー30の側壁部32とロータヨーク7の周壁部5との間の隙間を通してステータブラケット21側に流れた空気Aをロータヨーク7の内側に流入させるように案内する湾曲した案内面65及び66が形成され、これらの案内面と、外周壁部21c及び内周壁部21bとの間の部分とにより、保護カバー30の側壁部32とロータヨーク7の周壁部5との間を通してステータブラケット21側に流れた空気Aをロータヨーク7の内側に流入させるエアフローガイド部67が形成されている。
【0052】
本実施形態のスタータジェネレータは、エンジン1の始動時に、磁気センサ45により検出されるロータ4の回転角度位置情報に応じて決められる励磁パターンに従って、バッテリから所定の相の電機子コイル27に通電されることによりブラシレスモータとして駆動されて、エンジン1のクランキングを行なうスタータモータとして機能する。スタータジェネレータはまた、エンジン1が始動した後、該エンジンにより駆動されて磁石発電機として動作し、電機子コイル27に誘起する交流電圧が整流されるとともに電圧調整されて、バッテリと該バッテリの両端に接続された負荷とに供給される。
【0053】
本実施形態においては、ロータヨークの底壁部に送風羽13と通風孔14とを設けて、送風羽13によりロータヨーク内の空気を通風孔14を通して引き出してロータヨーク7の外周側に送り出す遠心送風ファンが構成されているため、電機子コイル27からの発熱により加熱されたロータヨーク7内の空気Aは、図6に白い矢印で示したように、遠心送風ファンによりロータヨークの外周側に送り出された後、保護カバー30の側壁部32とロータヨーク7の周壁部5との間の隙間を通してステータブラケット21側に流れる。従って、ロータヨーク7内から通風孔14を通してロータヨーク7と保護カバー30との間の隙間を通った後、ロータヨーク7の開口部から該ロータヨーク内に戻る空気の流れを、保護カバー内に常時生じさせることができる。このような空気の流れを常時生じさせておくと、電機子コイル27からの発熱により加熱されて通風孔14を通して流出した空気Aは、保護カバー30の端部壁31及び側壁部32に接触しながら流れる過程で冷却水通路61内の冷却水Wと熱交換して冷却される。冷却された空気は、エアフローガイド部67により向きを変えられてロータヨーク7内に流入して、再度電機子コイル27からの発熱を吸収するため、電機子コイル27を効率よく冷却することができ、電機子コイルの温度が上昇するのを防ぐことができる。従って、本発明によれば、電機子コイルの冷却を妨げることなく、ロータと該ロータの内側に配置されるステータとを備えたスタータジェネレータ本体を密閉されたケーシング内に収容して、スタータジェネレータ本体の防水と機械的な保護とを図ることができる。
【0054】
上記の実施形態では、磁気センサ45を構成するホールセンサ52uないし52wが金属基板50に実装されていて、該金属基板50が保護カバー30の端部壁の冷却水通路61に接している部分に熱的に結合されているため、ホールセンサを効率よく冷却することができ、ホールセンサの温度が使用可能範囲を超えるのを確実に防ぐことができる。
【0055】
上記のように保護カバー30の端部壁31の内面及び側壁部32の内周に多数の突起または放熱フィンを形成しておくと、ロータヨーク7の通風孔14を通して流出した空気と保護カバーの端部壁31との接触面積を増大させるとともに、保護カバーの側壁部32とロータヨークの周壁部5との間の隙間を通して流れる空気と保護カバーの側壁部32との接触面積を増大させることができるため、ロータヨークの内部から導出された空気と保護カバー30の外側の冷却媒体との間で行なわれる熱交換を促進して、スタータジェネレータの冷却効率を高めることができる。
【0056】
上記の実施形態では、保護カバー30の端部壁31の少なくとも一部と側壁部32の少なくとも一部を覆うようにウォータカバー60を取り付けて、保護カバー30の端部壁31の少なくとも一部と側壁部32の少なくとも一部とに接する冷却水通路61を形成したが、本発明はこのように構成する場合に限定されない。例えば、図7に示すように、保護カバー30の端部壁31の外面に多数の放熱フィン70を形成して保護カバー30の内側の空気と保護カバー30の外側の空気との間で行なわれる熱交換を促進することにより、スタータジェネレータの電機子コイルの冷却を促進するようにしてもよい。
【0057】
なお図7には図示してないが、更に保護カバー30の側壁部32の外面にも多数の放熱フィンを設けるようにしてもよい。
【0058】
上記の実施形態では、保護カバー30の側壁部の開口端とステータブラケット21の外周壁部21cとの間及びステータブラケット21の基板部21aとクランクケース2のステータ取付け用周壁部20の端面との間にそれぞれガスケットを介在させた状態で、保護カバー30をステータブラケット21と共締めしてエンジンのクランクケース2に締結して、保護カバー30をエンジンに液密にシールした状態で接続することにより、保護カバー30の内側にロータ4及びステータ25を収容する密閉構造のロータ・ステータ収容空間を形成している。しかしながら、本発明においては、保護カバー30内にロータ4及びステータ25が密封されるようにすればよく、保護カバーの取り付け方は上記の例に限定されない。例えば、保護カバー30の側壁部32の開口端をステータブラケット21と別個にクランクケース2に液密にシールした状態で締結することにより、保護カバー30の内側に密閉構造のロータ・ステータ収容空間を構成して、保護カバー30内にロータ及びステータを密封する構造にしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】本発明の一実施形態に係わるスタータジェネレータの縦断面図である。
【図2】同実施形態に係わるスタータジェネレータの保護カバーを外した状態での正面図である。
【図3】同実施形態で用いるロータヨークの斜視図である。
【図4】同実施形態で用いる磁気センサの斜視図である。
【図5】同実施形態で用いる磁気センサの基板と該基板に取り付けられたホール素子等の電子部品とを示した斜視図である。
【図6】同実施形態に係わるスタータジェネレータ内で生じる空気流と冷却水の流れとを示した縦断面図である。
【図7】本発明の他の実施形態に係わるスタータジェネレータの縦断面図である。
【符号の説明】
【0060】
1 エンジン
2 クランクケース
3 クランク軸
4 ロータ
5 ロータヨークの周壁部
6 ロータヨークの底壁部
7 ロータヨーク
8 永久磁石
9 ロータヨークのボス部
12 リラクタ
13 送風羽
14 通風孔
15 位置検出用磁石
21 ステータブラケット
21a ステータブラケットの基板部
21b ステータブラケットの内周壁部
21c ステータブラケットの外周壁部
25 ステータ
26 電機子鉄心
27 電機子コイル
30 保護カバー
31 保護カバーの端部壁
32 保護カバーの円筒状側壁部
38 突起
39 放熱フィン
45 磁気センサ
50 金属基板
52uないし52w ホールセンサ
53 ワイヤハーネス
60 ウォータカバー
61 冷却水通路
65 案内面
66 案内面
67 エアフローガイド部
70 放熱フィン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジンの始動時にブラシレスモータとして動作して前記エンジンを始動させるために該エンジンのクランク軸を回転駆動し、前記エンジンが始動した後は該エンジンにより駆動されて磁石発電機として動作するスタータジェネレータであって、
周壁部と該周壁部の軸線方向の一端を閉じる底壁部とを有するロータヨークと該ロータヨークの周壁部の内周に取り付けられた永久磁石とを有して前記ロータヨークの底壁部の中央に設けられたボス部が前記エンジンのクランク軸に結合されるロータと、
前記エンジンのケースに固定されるステータブラケットと、
電機子鉄心と該電機子鉄心に巻回された多相の電機子コイルとを有して前記電機子鉄心が前記ステータブラケットに固定されて前記ロータの内側に配置されるステータと、
前記ロータヨークの底壁部に対向する端部壁と前記ロータヨークの周壁部を取り囲む筒状の側壁部とを有し、前記エンジンに対して液密にシールされた状態で固定されて前記ロータ及びステータを収容する密閉されたロータ・ステータ収容空間を内部に形成する保護カバーと、
を具備し、
前記ロータヨークの底壁部の外周寄りの部分の外面に、前記ロータヨークの周方向に並ぶ多数の送風羽が形成されるとともに、前記多数の送風羽のそれぞれに隣接する位置に前記ロータヨークの底壁部を貫通した多数の通風孔が形成されて、該多数の送風羽により、ロータが回転した際に前記ロータヨーク内の空気を前記通風孔を通して引き出して前記ロータヨークの外周側に送り出す遠心送風ファンが構成され、
前記遠心送風ファンにより前記ロータヨークの外周側に送り出されて前記保護カバーの側壁部とロータヨークの周壁部との間の隙間を通して前記ステータブラケット側に流れた空気を前記ロータヨークの内側に流入させるように案内する案内面が前記ステータブラケットに設けられているスタータジェネレータ。
【請求項2】
前記ステータブラケットは、前記ロータの軸線と直交する板面を有し、前記ロータヨークの周壁部よりも大きい外径を有して、中央部に前記ロータヨークのボス部を同心的に取り囲む孔が設けられた基板部と、該基板部の内周部から前記ロータ側に突出して前記ロータヨークのボス部を取り囲む環状の内周壁部と、前記ロータヨークの周壁部よりも外側の位置で前記基板部の外周部から前記ロータ側に突出した外周壁部とを有して、前記基板部が前記エンジンのケースに設けられた環状のステータ取り付け用周壁部の端面に液密にシールされた状態で接続されるように構成され、
前記ステータは、前記ステータブラケットの内周壁部に固定され、
前記保護カバーは前記側壁部の開口端を前記ステータブラケットの外周壁部の端面に突き合わせた状態で前記ステータブラケットに固定され、
前記ステータブラケットの外周壁部と前記基板部との間の境界部に前記案内面が形成されている請求項1に記載のスタータジェネレータ。
【請求項3】
前記保護カバーの端部壁の内面及び前記保護カバーの側壁部の内周に多数の突起または放熱フィンが形成されている請求項1または2に記載のスタータジェネレータ。
【請求項4】
前記保護カバーの端部壁の少なくとも一部と該保護カバーの側壁部の少なくとも一部とを外側から覆うようにウォータカバーが取り付けられて、該ウォータカバーと保護カバーとの間にエンジンの冷却水が導入される冷却水通路が形成され、
前記ウォータカバーと前記保護カバーとの間に形成された冷却水通路に前記エンジンの冷却水を導入し得るように構成されている請求項1または2に記載のスタータジェネレータ。
【請求項5】
前記冷却水通路に接する前記保護カバーの端部壁の内面及び前記冷却水通路に接する側壁部の内周に多数の突起または放熱フィンが形成されている請求項4に記載のスタータジェネレータ。
【請求項6】
前記ロータヨークの底壁部の外面に、前記ロータの磁極と同数の磁極が周方向に等角度間隔で並ぶように着磁された位置検出用磁石が取り付けられ、
前記位置検出用磁石の磁極の極性を検出して前記ロータの回転角度位置情報を含む信号を出力する磁気センサが前記保護カバーの端部壁の冷却水通路に接している部分の内面に熱的に結合された状態で取り付けられ、
前記エンジンの始動時に前記磁気センサにより検出される回転角度位置情報に基づいて決定される励磁パターンに従って前記電機子コイルに駆動電流を流す駆動制御装置が設けられて、前記エンジンの始動時に前記駆動制御装置により前記電機子コイルに駆動電流が供給されることにより、ブラシレスモータとして駆動される請求項4または5に記載のスタータジェネレータ。
【請求項7】
前記磁気センサは、金属基板にホール素子を実装したものが用いられて、該金属基板が前記保護カバーの端部壁の冷却水通路に接している部分の内面に熱的に結合された状態で取り付けられている請求項6に記載のスタータジェネレータ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−278751(P2009−278751A)
【公開日】平成21年11月26日(2009.11.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−126817(P2008−126817)
【出願日】平成20年5月14日(2008.5.14)
【出願人】(000001340)国産電機株式会社 (191)
【Fターム(参考)】