説明

ステント組織グラフトプロテーゼ

【課題】 患者の血管と脈管を強化治療するステント組織グラフトプロテーゼを提供する。
【解決手段】本発明ステント組織グラフトプロテーゼは、内側拡張可能ステント(21)と、組織グラフト(24)と、その上に配置された積層組織構造体(33)とを含み、血管の宿主組織に適用される。この組織構造体は、小腸粘膜下組織(37)のような細胞外マトリックスを(36)を含み、宿主組織をプロテーゼ内に再増殖させる。このプロテーゼは、更に、外部拡張ステント(44)のような管状部材(25)を有し、組織グラフトを内側ステント内に保持する。内側と外側のステントの端部は、組織グラフトの端部と一致しているかそれを超えて伸びる。これにより、分配用カテーテルを引き抜く際、組織グラフトが捲り返るのを阻止する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療装置に関し、特に、ステントと組織グラフトプロテーゼに関し、さらに、プロテーゼを人間あるいは動物の患者の脈管系の動脈瘤のような移植部位に留置する留置システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来技術として、粘膜下組織が組織グラフト材料として示唆され、用いられている。例えば特許文献1は、動物の腸の組織(細胞)の粘膜下組織から構成される外科用を目的としたさまざまなチューブが記載されている。特許文献1は、複数の組織リボンあるいは繊維を管状形状物に巻回し、乾燥させたものを用いてチューブを構成することを教示している。
【0003】
【特許文献1】米国特許第2,127,903号明細書
【特許文献2】米国特許第3,562,820号明細書
【特許文献3】米国特許第4,956,178号明細書
【特許文献4】米国特許第6,358,284号明細書
【特許文献5】国際公開第01/10355号パンフレット
【特許文献6】国際公開第01/82836A2号パンフレット
【特許文献7】米国特許第5,693,085号明細書
【特許文献8】米国特許第5,916,264号明細書
【特許文献9】米国特許第4,580,568号明細書
【特許文献10】米国特許第6,206,931号明細書
【特許文献11】米国特許第5,380,304号明細書
【特許文献12】米国特許第5,700,253号明細書
【特許文献13】米国特許第6,325,819号明細書
【特許文献14】米国特許第6,220,336号明細書
【0004】
特許文献2は、プロテーゼ組織を形成するために、粘膜下組織あるいは漿膜の組織を用いることを記載している。ここに開示された一実施例においては、管上に粘膜下組織を引き延ばし、その組織を乾燥させることにより管状プロテーゼを形成することが記載されている。特許文献2の教示するところによれば、この手順は所望の壁厚が得られるまで繰り返される。
【0005】
特許文献3は、温血無脊椎動物の小腸の一部の粘膜下層を有する組織グラフト構成物(プロテーゼ)を開示する。この粘膜下層は、筋層と少なくとも粘膜層の管状部分から離層して得たものである。特許文献3は、組織グラフト組成物のシートを操作してシリンダを形成し、この組織を軸方向に縫合あるいは結合することにより管状構造物を形成する方法を開示している。
【0006】
特許文献4は、純化した粘膜下シートから管状グラフトを形成する方法を開示する。この方法においては、シートの第1と第2の対向する側にある端部を重ね合わせ、この重ね合った領域の層を互いに固着している。特許文献4はまた、第1層の上に重なる粘膜下組織からなる第2層を有するものを開示している。
【0007】
特許文献5は、粘膜下組織のような生物材料からなり、ルーメンの全長を横切るようなシーム(継ぎ目)を有さないルーメンの壁を有し、そして例えばこのルーメンの壁が非連続的なシームを有する管状グラフトを開示している。前記文献に開示されたように、このような装置は、複数の延長部と複数の対応する開孔を有する生物材料のシートを用いて構成される。このシートは、シリンダと、管状医療装置の形成に際して開孔を介して延びる延長部として構成される。
【0008】
特許文献6の開示するものは、脈管内ステントグラフトであり、このグラフトは単一繊維線で結合される複数のステントを有するステントフレームを具備している。細胞外マトリクス(extracellular matrix (ECM))、例えば小腸粘膜下組織(small intestine submucosa (SIS))を有するコラーゲンのカバーをステントフレームの内側を通してその外側に被せて配置している。このカバーをステントフレームに、例えばステントフレームの端部およびステントボディの接続部(例えばアイレット)でステントフレーム上に縫合することにより固定している。
【0009】
特許文献7は、コラーゲンを有するステントを開示する。このステントにおいては、コラーゲンは脈管ステントの外側表面に形成される。特許文献8の開示するステントグラフトは、同軸に配列され半径方向に拡張可能な2個のステントを有し、且つステントの間に延びることが可能な材料層を具備している。両方のステントは、それらの端部領域で互いに直接結合され、前記材料層が内側ステントの周囲に巻回された繊維バンドとして形成される。この材料層は、身体に適合可能な材料からなる薄膜あるいは繊維から構成されるか、あるいは生物適合性繊維から構成される。生物適合材料は、自己あるいは同類の動脈あるいは静脈を含む。
【0010】
腹部大動脈瘤(abdominal aortic aneurysm (AAA))を、ステントグラフトを脈管内で留置することにより、脈管内で排除する(空置)術は、限られたあるケースで外科手術による動脈瘤治療手術に対し魅力的な選択肢である。脈管内の空置術は、術前に詳細に視覚化して検討した後、動脈瘤および隣接する動脈の吻合の措置が選択的に行われる。選択的に行われる動脈瘤の空置術および緊急AAA空置術の両方に使用されるステントグラフト構造物は通常、従来の外科用合成材料、例えばDACRONあるいはポリテトラフルオロエチレン(polytetrafluoroethylene (PTFE))で金属製の拡張可能なステントでサポートしたもので構成される。
【0011】
従来、脈管系内に配置されるステントグラフトは、従来の合成材料に加えて、生物学的材料を含む固着されたグラフト材料製の1つあるいは複数のステントを含む。前述したように、これらの生物学的材料は、軸方向に配置された1つあるいは複数のステントに固着された組織を含む。この固着は、例えばステントの端部およびステントの長さ方向にわたって存在する組織に取り付けられるか、あるいはその上に折り曲げて配置される縫合により行われる。特許文献8に示唆されているように、2つのステントの間に軸方向に配列された、伸び縮み可能な材料層を挟み込んだステントが開示されている。しかし、ステントはその端部領域で互いに直接結合され、これによりその領域では、ステントの中間部分よりもより大幅に堅固な端部領域を形成している。
【0012】
ステントのある領域とない領域の間での急激な変化により、大きな痛みと好ましくない動脈内の過形成を引き起こし、これにより血管が狭窄する。このような因果関係は通常、「エッジ効果」と称する。取り付け、縫合あるいは他の取り付け構造は、カバー材料を介しての血液のリークを許し、かくして好ましくない、および/または生命の危険を伴う脈管内リークを引き起こす。さらにまた、ステントを組織の層でもってカバーするだけで、それに取り付けないものは、分配用カテーテルが移植部位でステントグラフト上を引き戻される時に、組織材料が捲り上がる、あるいは引き戻されることになる。このような捲り上がりは、動脈瘤がもはや空置されない点で問題であり、且つ捲り上がった組織材料のステントグラフトが引き抜きの際に大きな問題を引き起こす。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記の問題の解決および技術的進歩は、本発明のステントと組織グラフトプロテーゼにより解決される。本発明のステントと組織グラフトプロテーゼにおいては、組織グラフトが第1(内側)の拡張可能なステント上に配置され、外側の管状部材、例えば第2(外側)の拡張可能なステントがこの組織グラフト上で且つ第1拡張ステントを包囲して配置され、内側ステント上に配置された組織グラフトを保持する。その結果、組織グラフトを貫通する孔は、削除できないまでも最小にでき、エンドリーク(endoleak)の可能性が大幅に減る。この実施例においては、組織グラフトの端部に沿った内側と外側のステント端部は、互いに一致するよう整合される。この整合により、組織グラフトと接触している宿主組織(host tissue)は再造形され、プロテーゼ内に組み込まれるが、これは特に組織グラフトが例えば細胞外マトリクス(ECM)、例えば小腸粘膜下組織を含む場合に当てはまる。
【0014】
本発明の他の実施例は、拡張可能な内側ステントが組織グラフトの端部を越えて延びる。一方、外側管状部材は、組織グラフトの少なくとも全長にわたって配置される、あるいは組織グラフトの端部を越えて延び、これにより好ましくない捲り返しあるいは組織グラフトのずれを阻止する。このことは、例えばプロテーゼを配置する間、特に分配用カテーテルをプロテーゼから引き抜く時に当てはまる。内側拡張可能ステントの端部を組織グラフトの端部と一致させることにより、組織グラフトが内側拡張可能ステント内に捲り込むことあるいは折り畳まれることを阻止する。その結果、組織グラフトは、血管の通路、すなわちルーメンを狭窄することがなく、あるいは血栓に対するエッジ、シェルフ等を形成することなく、あるいはそれに固着することがない。ステント組織グラフトプロテーゼは通常、動脈内に配置されるために、パルス状の血流により組織グラフトの内側拡張ステントの両端部への捲り返しを引き起こす。このことは、内側拡張ステントの端部が組織グラフトの端部と一致するかあるいはそれを越えて延びているときには阻止できる。
【0015】
組織ステントグラフトプロテーゼの外側管状部材は、好ましくはいくつかの異なる形状の内の1つを採ることができる。本発明の一実施例においては、管状部材は、ポリマー材料、例えばポリエチレンテラファレート(polyethyleneteraphalate (PET))製の孔の開いた(多孔)チューブあるいはスリーブを含む。孔のサイズは、その孔を介した宿主血管組織との接触とその再造形を促進するよう選択される。ステント組織グラフトプロテーゼの好ましい実施例においては、管状部材は、第2(外側)の拡張可能なステントを含む。これは、自己拡張型、バルーン拡張型あるいはその組み合わせである。さらにまた、内側拡張可能なステントは、自己拡張型、バルーン拡張型あるいはその組み合わせである。本発明の好ましい実施例においては、内側拡張可能ステントと外側拡張可能ステントはそれぞれ、複数の円周方向セグメントと複数の結合バーとを有し、この結合バーが円周方向セグメントを軸方向に相互に接続している。この円周方向セグメントは、蛇行構造を有し、好ましくは直線状支柱を複数の曲げ部で相互に接続したジグザグパターンを有する。このジグザグパターンにより、圧縮した状態のステントの直径(大きさ)を提供でき、これによりプロテーゼを移植部位に分配する分配システム内への搭載を容易にしている。開放されると、ジグザグパターンは通常、圧縮状態の直径の6倍以上になり、内側と外側の拡張可能ステントの間の組織グラフトを血管壁に接触させる。
【0016】
内側と外側の拡張可能なステントの拡張した状態の内径と外径は、内側ステント上の配置された組織グラフトが血管の壁と接触できるよう外側方向の十分なる圧力を加えるよう選択され、且つ組織グラフトあるいは血管壁のいずれにも損傷を引き起こさないように選択される。さらにまた、これらの直径は、搭載時に、組織構造物が、水和化されている、凍結乾燥されている、あるいはその両方の組み合わせのいずれにある時でも、様々な搭載手順を受け入れることができるよう選択される。
【0017】
好ましい実施例においては、内側ステントの外径は、外側ステントの内径よりも大きくなるよう選択される。この実施例により、ステントと凍結乾燥された組織グラフトプロテーゼを導入装置あるいは分配装置に搭載するのを容易にする。このことは、水和された組織にも当てはまる。凍結乾燥された組織グラフトは、内側ステントと外側ステントの寸法の間の直径を有し、かくして内側ステント上に配置/保持され、且つ血管と接触するよう選択するのが好ましい。
【0018】
水和された組織グラフトを用いた他の実施例においては、内側ステント外径は外側ステントの内径よりも小さくなるよう選択される。ここで、組織グラフトは、2個の内側ステントと外側ステントの寸法の間の直径を有するよう選択される。このような実施例により、内側ステント上に水和した組織グラフトを搭載することが可能となり、且つ外側ステントが水和した組織グラフト上に搭載される十分な許容差を提供し、これにより、水和された組織に対する損傷を無くすことができる。導入システム内に配置された場合には、常に十分な圧力が内側ステントと外側ステントの間に掛かり、組織グラフトを内側ステント上に保持できる。通常、プロテーゼは血管の直径に対し、約10%から20%、好ましくは10%から15%、最も好ましくは10%大きくし、これにより十分な外側への力が組織グラフトとステントに掛かり、移植された血管内のプロテーゼの移動(ずれ)を無くする、あるいは最小にする。ステント組織グラフトプロテーゼを血管の直径よりも20%以上大きくすると、血管の壁に対する損傷を引き起こし、特にステントが血管内を移動し(ズレ)やすくなる。
【0019】
好ましく且つベストモードの実施例においては、内側ステントの外径は外側ステントの内径よりも大きい。しかし、乾燥した積層構造の管状の組織グラフト構造物が、ニチノール製で完全にマルテンサイト化され拡張した状態にある外側ステント内に挿入される。乾燥した構造物は、水をそこから真空圧縮することにより形成されるが、凍結乾燥(lyophilization)を用いて水も取り除くことができる。内側ステントは、好ましくはニチノール製あるいは完全なマルテンサイト組織で圧縮した状態であり、この内側ステントが乾燥管状構造物内に挿入され、この構造物を外側ステントが包囲している。組織グラフト構造物とその周囲にあるステントとの構成物を再度水和化し、分配システムのカニョーレ内に搭載する。再度水和化された構造物は圧縮され、凍結され、分配システムのシース内に搭載される。凍結されている間あるいは少なくとも再度水和されている間、分配システム内の組織グラフトは乾燥凍結あるいは蒸発冷却される。この組織グラフト構造物とステントとの組み合わせ体は、組織の損傷あるいはピンホールの形成なしに、分配システム内に搭載することが可能である。このような組織の損傷あるいはピンホールの形成は、凍結乾燥されたあるいは乾燥された組織構造物を分配システム内に単に搭載する際に起きる。
【0020】
本発明の他の実施例においては、内側と外側の拡張可能なステントの内径と外径は、水和された組織グラフトにより多くの圧縮力をかけられるように、あるいは乾燥凍結した組織グラフトにはより少ない圧縮力をかけられるよう選択される。
【0021】
本発明のステント組織グラフトプロテーゼの他の実施例においては、組織グラフトは、細胞外マトリクス材料を含む組織の少なくとも1個のシームレスチューブ、より好ましくは、それに接触している宿主組織が再造形されるような小腸粘膜下組織製の複数のシームレスチューブを含む。本発明の好ましい実施例においては、組織グラフトは、細胞外マトリクス材料を含む組織の複数のシームレスチューブを含む積層組織構造物を含む。この構造物は、豚の小腸粘膜下組織の少なくとも内側と外側の異なる公称直径のシームレスチューブを含む、この粘膜下組織は、少なくとも2個の異なる重さの若年豚から培養して得られる(harvested)。積層構造物にさらに強度を増すために、成熟豚の小腸粘膜下組織のシートを用いることもできる。かくして、好ましい構造物は若年豚の豚の小腸粘膜下組織の内側チューブを含む。
【0022】
次に、成熟豚小腸粘膜下組織の少なくとも1枚のシートを内側シームレスチューブの周囲に1回あるいは複数回巻回して構造物の強度をさらに高めることができる。さらにまた、若年豚組織の外側シームレスチューブを成熟豚の組織の巻回したシート上に配置する。構造物をさらに結合強化するために、フィブリンおよび/またはフィブリノゲンの接着剤を形成中に構造物の層に塗布して、層と構造物をさらに一体化させる。構造物を積層する別の好ましい方法は、ECM層を互いに真空圧縮することである。水和構造物をその後凍結乾燥して、構造物の層の濃度を高め、且つ圧縮して再度水和して、乾燥凍結する前の組織構造物の最初の水和した厚さよりも小さい壁を形成する。これにより、構造物の壁厚をさらに減少し、且つ本発明のステント組織グラフトプロテーゼの全体厚さを減少するような組織グラフトを生成できる。
【0023】
若年豚組織のピンホールのリークの問題を解決するために、成熟豚組織の少なくとも1枚のシートをマンドリルの周囲に巻回して、好ましくは4層の積層組織構造物を形成する。1つの成熟豚組織の層を含む最小のものを考慮することもできるし、また成熟豚組織の6層以上の層を有する組織構造物が組織層で考慮することもできる。しかし、成熟豚組織の4層を含む構造物は、本発明のベストモードの実施例である。
【0024】
本発明のステント組織グラフトプロテーゼのさらなる利点は、内側ステントと外側管状部材の端部、特に外側拡張ステントは、互いに固着されていない点である。固着(固定)することは、それらの間に組織グラフトを最初は含むように見えるが、内側ステントと外側部材の端部の、固着により増加した剛性は、プロテーゼ端部に隣接する組織およびそれを越えて延びる組織にさらに損傷を与える。このような損傷は、内側ステントと外側管状部材の端部を互い違いに配置することにより最小にできる。しかし、組織グラフトは、内側ステントの端部を越えて延びてはならず、外側管状部材(ステント)は組織グラフトを完全にカバーして、分配手順の間、好ましくないめくりかえしを阻止しなければならない。
【実施例】
【0025】
図1は、本発明のステント組織グラフトプロテーゼ20の好ましい実施例を示す。さらにこの実施例は、本発明のベストモードを示す。ステント組織グラフトプロテーゼ20は、その中を軸方向に延びる通路23を有する第1(内側)拡張可能ステント21と、第1(内側)拡張可能ステント21上に配置された組織グラフト24と、その中を軸方向に延びる通路27を具備し、組織グラフト24上に配置され、且つ第1(内側)拡張可能ステント21の周囲に配置される、例えば第2(外側)拡張可能ステント44のような管状部材25とを有し、これにより組織グラフト24を第1(内側)拡張可能ステント21上に保持する。第1(内側)拡張可能ステント21は、遠位ステント端28と近位ステント端29とを有する。組織グラフト24は、遠位グラフト端30と近位グラフト端31とを有する。管状部材25特に第2(外側)拡張可能ステント44は、遠位管状外側ステント端55と近位管状外側ステント56とを有する。本発明のこの実施例およびベストモードの実施例においては、組織グラフト24は、積層組織構造33を有し、積層組織構造33の遠位グラフト端30と近位グラフト端31は、それぞれ第1(内側)拡張可能ステント21と第2(外側)拡張可能ステント44の同じ場所に配置された遠位端と近位端と軸方向で一致している。組織グラフト24の遠位端と近位端は、第1(内側)拡張可能ステント21のそれぞれの遠位端と近位端と一致しており、これによりプロテーゼが例えば患者の動脈内に配置された時に、パルス状の血流の間、組織グラフトが内側ステントの通路23内に折り畳まれるあるいはめくり込まれるのを阻止している。
【0026】
組織グラフトが内側ステントの通路すなわちルーメン内に折り込まれるあるいはめくり返されると、血流の流れが乱れ、血栓が形成されるようなルーメン内の障害物を形成し、さらに血流を制限してしまう。このことは、順行性と逆行性のパルス状の血流の間、プロテーゼの両端で発生することがある。さらにまた、内側拡張可能ステントは、組織グラフトと外側ステントに対し、半径方向外側に拡張する力を加えて組織グラフトがその中に配置されたときに血管の壁に直接的に接触を保持している。組織グラフトと血管壁との直接的接触により、宿主血管壁の細胞または組織が組織グラフト内に再造形されるのを容易にする。特にこのことは、組織グラフトが細胞外マトリクス、例えば小腸粘膜下組織を含む場合に、当てはまる。
【0027】
遠位管状外側ステント端55と近位管状外側ステント56は、内部拡張可能ステントと組織グラフトのそれぞれの遠位端と近位端に一致して配置されている。管状部材、すなわち外側ステントの端部は、組織グラフトと一致しており、これにより好ましくはプロテーゼを血管の部位に配置するのに用いられる分配用カテーテルを引き出す時に組織グラフトのめくり返しあるいは折り込みを阻止する。外側管状部材即ちステントが組織グラフトの全長にわたって配置されていない場合には、分配用カテーテルがプロテーゼから引き抜かれる際に、組織グラフトがそれ自身の上に、あるいは内側ステント上にめくり返る、あるいは折り込まれる、あるいは引き戻されるような組織グラフトと分配カテーテルとの間の十分な固着が発生し得る。外側管状部材あるいはステントは、このような組織グラフトのめくり返し、折り返し、引き戻しを阻止するが、このことは特にその端部で発生し、さらにまたその全長にわたってプロテーゼの壁厚さを維持する。
【0028】
図2は、図1のステント組織グラフトプロテーゼ20の拡大部分斜視図である。このプロテーゼの拡大図において管状部材25、例えば第2(外側)拡張可能ステント44は、遠位端セルセグメント61を含む複数の円周方向セルセグメント57と、フレキシブルなフレキシブルな相互接続セルセグメント71と、ステントの長さ方向に沿って軸方向に延びるフープセルセグメント72とを有する。複数の結合バー60は、外側ステントと円周方向セルセグメント57に沿って軸方向に延びる。軸方向に延びる結合バーにより相互接続された円周セグメントを含む内側ステントと外側ステントの詳細は、米国特許出願第10/267,385(公開番号U.S.2003−0088310 A1、出願日2002年10月9日、発明の名称「カニョーラ・ステント」)に開示されており、その全体を本明細書に取り入れるものとする。フレキシブルな相互接続セルセグメントは、ステントに対し側面方向の柔軟性を与え、一方、端部セル・セグメントとフープ・セル・セグメントは、血管を開放状態に維持するためにより大きい半径方向の強度を有する。しかし、遠位端セルセグメント61、近位端セルセグメント62(図1)は、それよりも低い外側に向いた半径方向の力をかけて、好ましくはステントが係合した血管壁と係合していない血管壁との間の力の急激な力の変動に起因する「エッジ効果」のトラウマ(痛み)を最小にしている。各セグメントは、蛇行パターン50を有し、端部セル・セグメントとフープ・セル・セグメントは、ジグザグ(Z)パターン59として公知の蛇行パターンを有する。
【0029】
第1(内側)拡張可能ステント21は第2(外側)拡張可能ステント44に類似し、遠位端セルセグメント63を有する円周方向セルセグメント65とフレックスセルセグメント64とフープセルセグメント42(図示せず)とを有する。前述したように、第1(内側)拡張可能ステント21と第2(外側)拡張可能ステント44のそれぞれの円周方向セルセグメント65と円周方向セルセグメント57は、複数の曲げ部52により相互接続された複数の直線状支柱51の蛇行したジグザグパターンを含む。この公知の市販されたジグザグパターンは、特許文献9に記載されたGianturco Z−stentとして公知のステントに最初に組み込まれたものである。この開示は本明細書に組み込むものとする。内側拡張ステントと外側拡張ステントは、ZILVER(登録商標)ステントとして公知であり、インディアナ州、ブルーミントンのCook社により市販されている。1つまたは複数個のアイレット66が、内側拡張ステント外側拡張ステントの端部から延びて、金のような放射性不透過材料を含み、それが患者の血管内に配置された時にステントの位置を、放射線とうしての視覚化を可能にしている。前述したように、拡張可能なステントは、自己拡張型、バルーン拡張型あるいはその両方の組み合わせのいずれかである。自己拡張型ステントは、弾性金属、例えば316Lシリーズのステンレスから、あるいはニチノールと通常称するニッケル・チタンのような形状記憶合金から形成される。しかし、いかなる生物適合性材料も、組織グラフトと血管壁との接触を維持するために、外側半径方向の力を提供するために適したものである。同様に、バルーン拡張ステントは、ステンレス製あるいは他の生物適合性材料から形成できる。自己拡張材料あるいはバルーン拡張材料のいずれも、チューブあるいはカニョーラから形成されるか、または例えば円形、矩形あるいは他の適宜の断面形状を有する弾性材料のフィラメントから形成される。如何なる拡張可能ステントも本発明と共に用いることができ、本発明は、蛇行形状に限定されるものではない。
【0030】
図3は、本発明のステント組織グラフトプロテーゼ20の他の実施例のジグザグすなわちZステントの拡大部分図である。同図において、組織グラフト24の遠位グラフト端30は、第2(外側)拡張可能ステント44の遠位管状外側ステント端55と一致している、第1(内側)拡張可能ステント21の遠位ステント端28から軸方向に引っ込んだ状態にある。この実施例において、組織グラフト24の遠位端は、第1(内側)拡張可能ステント21と第2(外側)拡張可能ステント44の一致した遠位端から約1cm中に引っ込んでいる。これにより、組織グラフトの遠位端が遠位端セルセグメント61と遠位端セルセグメント63の直線状支柱のほぼ中間部に配置される。その結果、この構成により、ステントの端部に加わる力の量を減らし、血管のステントに係合する部分と係合しない部分の遷移領域の「エッジ効果」を最小にする。さらにまた、放射線不透過マーカーとアイレットは、内側ステント端部と外側ステント端部上で互いに一致している。しかし、アイレットと端部セル支柱の円周方向を回転し、互い違いにして、組織グラフトの捕獲された遠位端に加わる力を分配させることができる。
【0031】
図4は、本発明のステント組織グラフトプロテーゼ20の他の実施例の部分拡大図である。同図において、第2(外側)拡張可能ステント44の遠位端は、第1(内側)拡張可能ステント21の遠位端から引っ込んだ状態にある。組織グラフト24の遠位グラフト端30は、第1(内側)拡張可能ステント21と第2(外側)拡張可能ステント44の両方の遠位端から軸方向に引っ込んだ状態にある。前述したように、組織グラフトの遠位グラフト端30は、遠位端セルセグメント61の直線状支柱の中間部に配置される。この構成により、プロテーゼの遠位端部分と近位端部分に軸方向に沿って、プロテーゼの半径方向の力をさらに分散させる。別の構成として、組織グラフト24の遠位グラフト端30を外側ステントの遠位端55と一致させることも可能である。しかし、重要な点は、軸方向の力をプロテーゼの端部部分に沿って分散させることである。さらにまた、ステントの外側管状部材は、組織グラフトを完全にカバーして血管内に配置されている間、分配用カテーテルを引き抜く際に組織グラフトのめくり込みを阻止しなければならない。同様に、内側ステントの端部は、組織グラフトの端部と少なくとも一致するか、あるいはそれを越えていなければならず、これにより組織グラフトの端部がプロテーゼのルーメン内に回り込むあるいは折り込まれて、血流に対する制限あるいは抵抗とならないようにしている。
【0032】
図5は、本発明のステント組織グラフトプロテーゼ20の他の実施例の部分拡大図である。同図において、第1(内側)拡張可能ステント21の遠位端は、第2(外側)拡張可能ステント44の遠位端から引っ込んだ状態になっている。組織グラフト24の遠位グラフト端30は、第1(内側)拡張可能ステント21と第2(外側)拡張可能ステント44の両方の遠位端から軸方向に且つ中に引っ込んだ状態になっている。この実施例においては、組織グラフトの遠位端30は、第1(内側)拡張可能ステント21の遠位端セルセグメント63の直線状支柱の中間部に配置される。その結果、組織グラフトプの遠位グラフト端30は、第2(外側)拡張可能ステント44のフレキシブルな相互接続セルセグメント71により支持される。この構造は、プロテーゼの半径方向の外側に向いた力をプロテーゼの遠位端部分と近位端部分に沿って分配する他の実施例である。図4の実施例と同様に、重大な関心事は、軸方向の力が、プロテーゼの端部周囲で分散されることである。さらにまた、内側ステントと外側ステントは、組織グラフトを完全にカバーして、組織グラフトがプロテーゼ内に、血管内に配置されている間分配用シースを引き抜く間、巻き込まれるのを阻止する。
【0033】
図6は、図1のステント組織グラフトプロテーゼ20の線6−6に沿った拡大横方向断面図である。最も内側のリングが第1(内側)拡張可能ステント21を示し、その管状壁22は約215μmの壁厚を有し、通路23は、その中を軸方向に延びる。最も外側のリングが管状部材25、特に第2(外側)拡張可能ステント44を示し、その壁26は約215μmの壁厚であり、その通路27はその中を軸方向に延びる。前述したように、管状部材25は、例えばPETのようなポリマー材料製のフレキシブルなチューブであり、組織グラフトが血管壁に接触できるような孔をその中に具備する。第1(内側)拡張可能ステント21と第2(外側)拡張可能ステント44の間に挟まれて配置されるのは、組織グラフト24、特に積層組織構造33である。積層組織構造33は、積層数によって500−600μmの厚さの構造物壁53とその中を軸方向に延びる構造物通路54とを有する。この実施例においては、積層組織構造物は、それぞれが細胞外マトリクス材料からなる組織の5つの層を含む。この構造物は、例えば若年豚の豚の小腸粘膜下組織(small intestine submucosa (SIS))からなる最も内側のシームレスな組織であるシームレスチューブ32を有する。この若年豚の小腸粘膜下組織は、成熟豚した小腸粘膜下組織の密度と強度を有さないために、異なる直径の若年豚のSIS組織の複数のシームレスのチューブが好ましい。
【0034】
この組織構造物の好ましい実施例においては、若年豚の豚の組織の第1(内側)のシームレスチューブ32と、若年豚の豚のSIS組織の第2中間シームレスチューブ67と、若年豚の豚のSIS組織の最外側シームレスチューブ68が成熟豚した豚SIS組織の1つの層にほぼ等しい壁厚を有する組織の複数のシームレスチューブ34を構成する。例えば、各組織の少なくとも1個のシームレスチューブ32、若年豚のSIS組織の第2中間シームレスチューブ67、若年豚のSIS組織の最外側シームレスチューブ68は、約100μmの平均厚さを有し、その厚さは、80から125μmの範囲にわたる。成熟豚SIS組織材料のシートの厚さは、約250μmの平均厚さで、200−300μmの範囲の厚さを有する。かくして、若年豚の豚SIS組織の3個のシームレスチューブを含む組織構造物は、通常120mm水銀柱の公称血圧に耐える十分な強度を有しなければならない。凍結乾燥したの3層組織構造物を含むこの実施例は、分配用システム内に容易に搭載できる。しかし、さまざまな直径の内側ステントと外側ステントおよび若年豚の豚SIS組織の3本のチューブの凍結乾燥した組織構造物を用いてステント組織グラフトプロテーゼ20を組立/搭載することは、組織構造物内にピンホールや裂け目ができることがある。ただし特別な注意をその組立/搭載プロセスの間に払えば別である。しかし、組立体を真空処理する方法をこれに用いること、およびECM構造物の他の構造物に用いることにより、プロテーゼ組み立て中にピンホールあるいは裂け目を無くすことができないまでも、最小にすることができる。
【0035】
従って、組織構造物の強度をさらに増すために、および流体のリークを小さくするために、図6の実施例の積層組織構造33は、2つの成熟豚SIS組織の第1層69と成熟豚SIS組織の第2層70を有し、この材料は、例えば細胞外マトリクス材料を含む成熟豚小腸粘膜下組織である。この細胞外マトリクス材料は、血管の内皮細胞と接触するような組織の再造形を容易にする。その結果、この5層の組織グラフト構造物は、例えば血管壁内の瘤を排除するような十分な強度と耐久性を提供できる。別の構成として、若年豚の豚SISの4枚または5枚のシームレスチューブの凍結乾燥積層組織構造物も分配カテーテル内に搭載するプロセスの間の損傷に耐えることができる。さらにまた、若年豚のSIS組織の内側と外側のシームレスチューブと成熟豚した豚のSIS組織の2つの層を本発明のプロテーゼに使用することもできる。積層組織構造物の詳細な記載は、米国仮出願第60/408,914号(出願日:2002年9月6日、発明の名称:若年豚の小腸粘膜下組織を含む組織グラフトプロテーゼ装置(PCT出願第PCT/US03/27695(出願日:2003年9月4日))を参考文献としてその全体を本明細書に組み込む。SIS組織あるいはSIS組織構造物は、インディアナ州、ウエスト ラファイエットのCook Biotech社から市販されている。
【0036】
さらに、小腸粘膜下組織のような好ましい細胞外マトリクス材料は、特許文献10に記載されている。本発明で用いるためにここに開示した豚から培養されたSIS材料は、極端に低レベルの内毒素しか有さない細胞外マトリクスSIS材料を製造するために小腸のさまざまな層を消毒し、その後剥ぎ取ることにより得られる。積層組織構造33は、構造物のさまざまな層を互いに接着する、例えばフィブリンあるいはフィブリノゲン接着剤を用いた米国特許出願第60/408,914号により形成される。さらに構造物を凍結乾燥すると、約800μmの厚さの初期に水和された壁を有した構造物は、再度水和すると、約500−600μmの厚さにまで減少する。
【0037】
図7は、図6の組織グラフト24、特に積層組織構造33の拡大横方向断面図である。組織構造物の断面図は、成熟豚SIS組織の第1層69の内側エッジ88が成熟豚SIS組織の第2層70の外側エッジ87に対し如何に配置されるかを示している。図に示すように、内側エッジ88は、成熟豚SIS組織のシートの一端であり、組織の少なくとも1個のシームレスチューブ32および若年豚のSIS組織の第2中間シームレスチューブ67の上に構造物の長さ方向に沿って配置されている。成熟豚SIS組織のシートをその後組織の少なくとも1個のシームレスチューブ32および若年豚のSIS組織の第2中間シームレスチューブ67の周囲に2回巻回する。その後、成熟豚SIS組織の同一のシートの軸方向に延びた外側エッジ87が管状構造物の中心から延びる線にあたって配置され、そしてこれが成熟豚SIS組織の第1層69の内側エッジ88にあたる。その結果、成熟豚組織の単一層が成熟豚組織シートの内側端部と外側端部を分離する。成熟豚SIS組織のシートの位置を維持するために、フィブリンあるいはフィブリノゲン接着剤をシートの表面に塗布する。成熟豚SIS組織のシートを2層として巻回した後、若年豚のSIS組織の最外側シームレスチューブ68が成熟豚SIS組織の巻回したシートの上に配置される。
【0038】
ベストモードの実施例においては、成熟豚SIS組織の1枚または複数枚の水和シートをマンドレルの周囲に巻回して、好ましくは4層組織シートを具備した積層構造体を形成する。水和シートの数は、構造物のサイズと周囲長さに依存する。SISチューブは、次のようにして形成される。低重量のSISが水和物として得られる。この材料を長手方向軸が水平になるように配置する。堅いロッドあるいはマンドレルを上部エッジのSIS上にその後配置する。SISの上部エッジをその後注意深く、剛性マンドレル上に被せて(pull over)できるだけ平滑且つストレートに形成する。
【0039】
その後、この材料をマンドレル上に所望の数の層が得られるまで重ねながら巻き付ける。SISの複数のピースを用いて材料の所望の層数あるいは厚さを達成することもできる。材料がマンドレル上に巻かれた後、この構造物(マンドレルとSISの組み合わせ)を市販の真空圧縮装置内に配置する。このような真空圧縮装置は、ジョージア州、ケネソーのZip−Vac East社から市販されている。この真空圧縮装置は、真空が引かれるフレキシブルなチェンバーであり、チェンバーのフレキシブルな境界がマンドレル/SIS周囲に引かれる。真空引きされているために、水がSISから除去され、サイドがSISに対しそしてその周囲に圧縮される。これにより乾燥して十分積層されたSIS材料のチューブが得られる。このSISチューブをその後マンドレルからはずして、端部を所望の長さに揃える。
【0040】
さらなる処理が腹部大動脈瘤(abdominal aortic aneurysm (AAA))ステントグラフトを製造するのに必要である。乾燥したSISチューブを所望の直径のZILVER(あるいは他のデザインの)ステント内に挿入する。別のステントをその後SISチューブ内に留置する。その結果、内側にステントと、乾燥したSISチューブと、外側ステントが形成される。その後この構造体を高純度の水で、少なくとも10分間水和する。この再水和された構造物(ステント/SIS/ステント)をその後分配システムカニョーレ上に搭載する。その後、均一の半径方向の力で圧縮し、そのまま構造物を凍らせる。凍らせた後、この構造物を分配システムのシース内に搭載する。凍らせたまま、少なくとも水和されている間、構造物全体をその後フリーズドライ(凍結乾燥あるいは蒸発冷却)する。
【0041】
この凍結乾燥された構造物をその後滅菌装置に送り、無菌状態で分配用に準備される。組織グラフト構造物とステントとを組み合わせる際には、例えばニチノール製のステントは十分にマルテンサイト状態にしておき、ニチノール材料内に応力により誘因されるマルテンサイトを導入しないようにする。これは、ステントを液体窒素中に置き、そしてニチノールをそのマルテンサイトの最終温度以下に保持することにより達成できる。ステントの温度は0℃以上に且つオーステナイト開始温度以下に上げて、水和されたSIS積層構造物をその中あるいはその周囲に搭載する。
【0042】
さらにより大きな直径のチューブがチューブ形状のSIS材料を用いて製造可能である。SISチューブの所望の直径がチューブ形状のSIS材料の直径に類似する場合には、チューブ形状のSISのピースを堅いマンドレル上に配置する。チューブ形状の材料の複数のピースを、SIS装置の所望の枚数の層あるいは厚さが得られるまで重ねる。全てのチューブ形状のSISがマンドレル上に配置された後、マンドレルとSISを上記したように真空圧縮する。真空圧縮後の他の製造プロセスは、上記したのと同一である。チューブ形状のSIS材料を用いる利点は、シームレスな内側ルーメンが得られる点である。
【0043】
AAAステントグラフトは、1個のZILVER(他の)ステントと1個のSISチューブのみから製造可能である。この構造物は、例えば接着剤あるいは縫合でステントに取り付けられるSISを必要とする。
【0044】
AAAステントグラフトは、SIS構成要素を直接1本のステント上に真空圧縮することにより製造できる。乾燥後、この構造物を再水和し、圧縮し、搭載し、フリーズドライ処理をする。2つのステントの間のSIS材料を真空圧縮し、装置の形状を小さくすることも可能である。
【0045】
図8は、図6の組織グラフト24、特に積層組織構造33の他の実施例の拡大横断面図である。この実施例においては、成熟豚SIS組織の1枚のシートが、若年豚SIS組織の組織の少なくとも1枚のシームレスチューブ32と若年豚のSIS組織の第2中間シームレスチューブ67の周囲に2回以上巻回される。特に、成熟豚SIS組織の第1層69の内側エッジは、構造体に沿って軸方向に配置され、その後内側シームレスチューブの周囲に2.25回から2.50回巻回される。このことは、上記したベストモードの実施例でも好ましい。
【0046】
その結果、成熟豚SIS組織の1枚のシートの外側エッジ87がシートの内側エッジ88と半径方向でもはや整合しない。しかし、1枚のシートの1/4回開から1/2回のさらなる巻回により第3の層を提供して組織のシートの内側エッジ88の上にさらなる強度を与える。これにより、シートの内側エッジ上に成熟豚組織の最低でも2つの層を提供できる。ここで、フィブリンあるいはフィブリノゲンの接着剤をシートに塗布して、成熟豚SISシートを内側シームレスチューブの周囲への巻回の配置を補助する。若年豚のSIS組織の最外側シームレスチューブ68をその後巻回された成熟豚SIS組織シート上に配置する。この最外側のシームレスチューブにより成熟豚SIS組織の巻回されたシートをその場所に維持する。
【0047】
図6に戻ると、第1(内側)拡張可能ステント21は、内径45と外径47を有する。同様に第2(外側)拡張可能ステント44は、内径46と外径48を有する。例えば、ステント組織グラフトプロテーゼ20は、全長が約80mmで公称内径が約9.0から9.2mmである。ステント組織グラフトプロテーゼ20の分配システム内への組み立ておよび搭載方法に応じて、積層組織構造物に沿った内側ステントと外側ステントの直径は、組織構造物に対し、異なる圧縮力を与えるよう選択することができる。
【0048】
本発明の一実施例においては、第1(内側)拡張可能ステント21は、十分緩和した(延びた)状態で約10mmの公称内径を有し、一方第2(外側)拡張可能ステント44の公称内径は十分緩和した状態で約9mmである。ステント組織グラフトプロテーゼ20の好ましい組み立て方法においては、第1(内側)拡張可能ステント21は、半径方向に圧縮され、公称直径9.5mmを有する積層組織構造33内に挿入される。
【0049】
この組織構造物をその後半径方向に圧縮して公称内径9.0mmを有する第2(外側)拡張可能ステント44内に挿入する。この組織構造物に沿って配置された内側ステントと外側ステントの端部を調整して、互いに一致するようにする。プロテーゼはその後、分配システムに搭載するよう半径方向に圧縮する。プロテーゼの半径方向の圧縮は、市販の装置、例えばアリゾナ州、フェニックスrのMachine Solutions社によるSC200MSI Stent Pre−Reduction Equipment(PTA)により達成できる。
【0050】
構造物に損傷を与えずにプロテーゼを半径方向に圧縮する別の方法も考え得る。例えば管状組織構造物を平坦化し、折り曲げられた構造物を外側ステント内に挿入し、その後内側ステントを折り曲げられた構造物と外側ステント内に挿入する。かくして、構造物は分配システム内に搭載されるためにのみ圧縮される。半径方向に圧縮した後、プロテーゼは分配システム内に搭載される。
【0051】
図9は、本発明のプロテーゼ留置装置73の遠位端部分の拡大部分断面図である。このプロテーゼ分配システムは、インディアナ州、ブルーミントンのCook社からFLEXOR(登録商標)分配システムとして市販されている。この分配システムは、公知のワイヤガイドを用いて配置部位に配置されるオーバーワイヤシステムである。この医療装置分配システムの詳細は、米国特許出願第60/338,714号(出願日:2001年11月29日、特許公開番号第US−2003−0144670−A1号、発明の名称:医療装置分配システム)に開示されている。プロテーゼ留置装置73は、その遠位端に配置された放射線不透過マーカー84を有する留置用カテーテル74を含む。
【0052】
この分配用カテーテルは、フレキシブルで且つ耐挫屈性で、特許文献11および特許文献12に詳細が開示されている。この分配用カテーテルは、インディアナ州、ブルーミントンのCook社からFLEXOR(登録商標)導入シースとして市販されている。この分配用カテーテルは、プロテーゼ分配システムの内部部材75の周囲に圧縮した圧縮状態でステント組織グラフトプロテーゼ20を保持する。内部部材75は、分配用カテーテルの遠位端内を通過し、それを越えて延びる。内部部材75は、遠位チップ部78と、近位部79と、それらの間に配置された中間部80とを有する。
【0053】
ステント組織グラフトプロテーゼ20は、留置用カテーテル74によりその周囲に保持されるよう凹んだ中間部分周囲に配置される。内部部材75は、ステンレス製のカニョーレのような内部チューブ76を有し、この内部チューブ76が遠位チップ部78から内側部材の近位端まで軸方向に延びてそれに接続される。例えば放射線不透過スリーブを含む係合部81が、中間部分の近位端に配置され、市販されている熱収縮チューブのようなポリマー材料製スリーブ82によりそこに配置される。スリーブ82の外径は、分配用カテーテルの内側ルーメンの直径に極めて近いサイズまで熱収縮される。選択的事項としての放射線不透過スリーブ83は、内部部材の係合部分を蛍光透視法でより見やすくするために用いられる。さらにまた、スリーブ82は、プロテーゼの近位端に当接し、分配装置の内部ルーメンの直径に極めて近似して、分配装置がプロテーゼから引き抜かれる際に、プロテーゼが軸方向に移動するのを阻止している。用語「近位」と「遠位」の使用は、通常2つの異なる基準から名前が付けられている。脈管系の医療分野においては、心臓を基準にしており、かくして移植された医療装置、例えば開示されたプロテーゼについての言葉「遠位」は、心臓から離れた方向であり、一方「近位」は心臓に最も近い部分である。他の医療分野においては、外科医を基準に「遠位」と「近位」と名付けており、例えば開示された分配システムは心臓のそれとは反対である。
【0054】
ステント組織グラフトプロテーゼ20をプロテーゼ留置装置73内に搭載するために、分配システムの内部チューブ76は、半径方向に圧縮された状態のステント組織グラフトプロテーゼ20のルーメン、すなわち軸方向通路内に配置される。内部チューブ76がプロテーゼの通路内に延びるが、この際遠位チップ部78はそれに固定されない。内側チューブが圧縮状態のプロテーゼ内に配置された後、プロテーゼの近位端が組織グラフト24のルーメン内に、内側部材の係合部81に到達するまで、押し込まれる。プロテーゼが分配用カテーテル内で内側部材の中間部80の周囲に完全に配置された後、内部チューブ76の長さはその後調整され、遠位チップ部78が矢印で示すように内側チューブの遠位端上に挿入される。横方向の開口すなわち開口85が、遠位端部分に配置され、市販の生物適合性医療用接着剤である接着剤86がその中に挿入され、かくして遠位端部分を内側チューブに固定する。図に示すように、放射線不透過マーカー84は留置用カテーテル74の遠位端に配置され、分配用カテーテルの遠位端を放射線が不透過となるようにマークする。
【0055】
ステント組織グラフトプロテーゼ20を組み立て、それをプロテーゼ留置装置73内に搭載する別の方法は、自己拡張型の第1(内側)拡張可能ステント21が約9.0mmの内径を有するよう選択し、且つ積層組織構造33が約9.5mmの内径を有するよう選択することである。内側ステントを圧縮し、水和した積層組織構造物内に挿入し、水和した構造物と係合するよう拡張する。内側ステントと水和した組織構造物をその後、分配用カテーテル内に挿入できる直径まで圧縮する。内側ステントと水和された組織構造物を、圧縮することにより、水和された組織構造物の損傷を最小限にする。圧縮された内側ステントと水和された組織構造物をその後凍らせて、圧縮した直径の円筒状固体物にする。第外側ステント48をその後この固体物の周囲に圧縮し、これらの組み合わせ体を分配用カテーテル内に、内側チューブにそって搭載する。内側部材の遠位端部分はその後、内側チューブに固着される。プロテーゼが圧縮した状態の直径固体物を含む分配用カテーテル内に搭載された後、プロテーゼ分配システムは、真空チェンバー内に配置され、凍った組織構造物の凍結乾燥を完了する。
【0056】
図10は、本発明のプロテーゼ89の他の実施例を示す図である。この実施例においては、プロテーゼ89は、端部を突き合わせて配置された2個の第1(内側)拡張可能ステント21を有し、全長が2個の内側ステント長の合計となるプロテーゼを形成する。例として、インディアナ州、ブルーミントンのCook社から市販されているZILVERステントは、その長さが20mmから80mmで10mm刻みの長さで市販されており、ステントの直径は6.0から10.0mmで1.0mm刻みで市販されている。12mmと14mmのステントの直径も考慮される。従ってこの実施例では、約160mmの積層組織構造33内に2個の80mm長さの第1(内側)拡張可能ステント21を組み込んでいる。この積層組織構造物は、若年豚SIS組織のシームレスチューブを2層以上含む。構造物はまた、成熟豚SIS組織のラップされたシートを含む。しかし、このベストモードの実施例は、成熟豚SIS組織の多層積層構造体のみを含む。プロテーゼ89を完成させるために、3個の第2(外側)拡張可能ステント44が、内側ステントと組織構造物上に配置され、例えば2つの端部を内側ステントの端部に合わせる配置される。かくして、例として、3個の第2(外側)拡張可能ステント44は、それぞれ53mmの長さと9.0mmの直径を有するが、これらを用いてプロテーゼを完成させる(53x3=80x2)。別の構成として2個の標準の長さである60mmの内側/外側ステントを40mmの長さの外側/内側ステントと組み合わせてプロテーゼを完成させてもよい。
【0057】
図11は、本発明のプロテーゼ90の他の実施例を示す。この実施例においては、プロテーゼ90は、端部を突き合わせた2個の第1(内側)拡張可能ステント21を有し、それらは積層組織構造33により部分的にカバーされている。かくしてプロテーゼ90は、組織構造物の端部を越えて延びる第1(内側)拡張可能ステント21を有し、これにより、例えば血流がプロテーゼがそこに配置される枝血管を介してそしてその中に流れる。積層組織構造物を当接する内側ステント上に保持するために、第2(外側)拡張可能ステント44が組織構造物の全長上に配置され、血管内に配置された間、組織構造物の、めくれあるいは折り込みを阻止する。さまざまな長さの内側拡張ステントと外側拡張ステントの組み合わせと積層組織構造物とを組み合わせることにより、たくさんのさまざまな解剖部位に適合できるよう誂える。内側ステントと外側ステントの端部をテーパ状にして異なる直径にして大動脈あるいは腸骨動脈の直径に容易に合わせることができる。
【0058】
図12は、本発明のプロテーゼ91の他の実施例で、例えば二股に分かれた血管内に配置されるものである。この実施例において、プロテーゼ91は、ドラムグラフト咬合器92に隣接して配置された第1(内側)拡張可能ステント21を有し、積層組織構造33が部分的に第1(内側)拡張可能ステント21をカバーし、ドラムグラフト咬合器92を完全にカバーする。第2(外側)拡張可能ステント44は完全に積層組織構造33をカバーする。ドラムグラフト咬合器92は通常管状フレームあるいはステントを含み、血液が浸透しない材料製の2枚のカバーがフレームの端部上に横方向に搭載される。2個の開口がそれぞれのカバーに具備されて別のプロテーゼが2個のカバーのそれぞれ内の開口を介して配置される。ドラムグラフト咬合器92の詳細は特許文献13に開示されている。前述したように第1(内側)拡張可能ステント21は、積層組織構造33と第2(外側)拡張可能ステント44の端部を越えて延びて、脈管内に配置されたときに、枝血管に血流が流れるようにしている。
【0059】
図13、14は、腎動脈96,97と、腸骨動脈94,95の間の大動脈93内に配置された瘤98の断面図である。図13、14はさらに大動脈血管の瘤98内に、二股のステント組織グラフトのプロテーゼ91を配置した状態と、瘤を大動脈を介して流れる血流から切り離している状態を示す。プロテーゼ91は、公知の低侵襲性外科手術を用いて、動脈内に切除あるいは皮膚を経由した挿入により、瘤98を跨いで脈管内に配置される。この外科手術は公知で且つ市販されているワイヤガイド101,102が同側腸骨動脈94、反対側腸骨動脈95を介して配置される。マルチステント手術においては、メインボディのプロテーゼ91が、最初に瘤98を跨いで、ワイヤガイド101に沿って、同側腸骨動脈94を介して配置される。瘤を跨いで配置されると、反対側のワイヤガイド102が、メインボディのプロテーゼとドラムグラフト咬合器92の咬合器の開口を貫通して反対側腸骨を介して配置される。図14に示すように、同側枝延長プロテーゼ100が、メインボディのプロテーゼの咬合器の開口を貫通して、ワイヤガイド101に沿って挿入される。同側枝延長プロテーゼ100は、メインボディのプロテーゼの咬合器をその近位端で貫通し、遠位端で同側腸骨動脈94内に延びる。同様に、反対側枝延長プロテーゼ99はその近位端で咬合器を貫通してメインボディのプロテーゼ91の上部部分内に延びる。その近位端で反対側枝延長プロテーゼ99は、反対側腸骨動脈95内に延びる。
【0060】
本発明のステント組織グラフトプロテーゼは、内部ステントと積層組織構造物と外部ステントとのさまざまな組み合わせにより患者の解剖学的ニーズに適合するよう、さまざまな実施例に構成される。複数の内側ステントと外側ステントとを用いて、ステントの一部をカバーしたりあるいはカバーしなかったりして、患者のニーズに適合するようなプロテーゼの組み合わせを形成できる。図に示したように、咬合器は、例えば矩形のステントアダプタを用いて、ステント組織グラフトプロテーゼの二股に分かれた形状を構成できる。一例として、矩形のステントアダプタは、特許文献14と、米国特許出願第2001/0039450号(発明の名称:移植可能なバスキュラー装置)に開示されている。
【0061】
以上の説明は、本発明の一実施例に関するもので、この技術分野の当業者であれば、本発明の種々の変形例を考え得るが、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。特許請求の範囲の構成要素の後に記載した括弧内の番号は、図面の部品番号に対応し、発明の容易なる理解の為に付したものであり、発明を限定的に解釈するために用いてはならない。また、同一番号でも明細書と特許請求の範囲の部品名は必ずしも同一ではない。これは上記した理由による。
【0062】
本発明の変形例として、例えば前述したように、組織グラフト24は第2(外側)拡張可能ステント44として説明されている。管状部材の他の実施例は、孔がそこに形成されたようなポリマー性の管状部材を含み、この孔は、例えばレーザー等で形成され、これにより宿主組織を再造形できるよう多層構造の組織構造物と接触するようにしてもよい。この管状部材は、生物適合性材料から形成され、このような管状スリーブも本発明の範囲に含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】本発明のステント組織グラフトプロテーゼの好ましい実施例の斜視図。
【図2】図1のプロテーゼの部分拡大図。
【図3】本発明のプロテーゼの他の実施例で、組織グラフトの遠位端が、内側ステントと外側ステントの一致した場所にあるステント端部から軸方向に凹んだ状態を表す部分拡大図。
【図4】本発明のステント組織グラフトプロテーゼの他の実施例で、外側ステントの遠位端が、内側ステントの遠位端より凹んだ状態を表す部分拡大図。
【図5】本発明のプロテーゼの他の実施例で、内側ステントの遠位端が、外側ステントの遠位端より凹んだ状態を、および組織グラフトの遠位端が、内側ステントと外側ステントの両方の遠位端からあるいは内に軸方向に凹んだ状態を表す部分拡大図。
【図6】図1のプロテーゼの線6−6に沿った拡大横断面図。
【図7】組織グラフトのセグメントの一実施例、特に図6の積層組織構造物であるプロテーゼの拡大横断面図。
【図8】組織グラフトのセグメントの他の実施例、特に図6の積層組織構造物であるプロテーゼの拡大横断面図。
【図9】本発明のプロテーゼ分配システムの遠位端部分の拡大部分断面図。
【図10】本発明のステント組織グラフトプロテーゼの他の実施例の斜視図。
【図11】本発明の組織ステントグラフトプロテーゼのさらに別の実施例の斜視図。
【図12】二股に分岐した血管内に用いられる、本発明のステント組織グラフトプロテーゼの他の実施例を表す斜視図。
【図13】腹部大動脈瘤内に配置された本発明のプロテーゼの血管内配置を示す図。
【図14】腹部大動脈瘤内に配置された本発明のプロテーゼの血管内配置を示す図。
【符号の説明】
【0064】
20 ステント組織グラフトプロテーゼ
21 第1(内側)拡張可能ステント
22 21の管状壁
23 21の通路
24 組織グラフト
25 管状部材
26 25の壁
27 25の通路
28 21の遠位ステント端
29 21の近位ステント端
30 24の遠位グラフト端
31 24の近位グラフト端
32 24の組織の少なくとも1個のシームレスチューブ
33 24の積層組織構造
34 24の組織の複数のシームレスチューブ
35 33の組織シート
36 24の細胞外マトリックス(ECM)材料
37 24の小腸粘膜下組織(SIS)
38 34の第1直径チューブ
39 34の第2直径チューブ
40 自己拡張ステント
41 バルーン拡張ステント
42 21のフープセルセグメント
43 21の結合バー
44 第2(外側)拡張可能ステント
45 第1ステントの内径
46 第2ステントの内径
47 第1ステントの外径
48 第2ステントの外径
49 多孔性(発泡)ポリマー材料
50 蛇行パターン
51 複数の直線状支柱
52 複数の曲げ部
53 33の構造物壁
54 33の構造物通路
55 44の遠位管状外側ステント端
56 44の近位管状外側ステント端
57 44の円周方向セルセグメント
58 44の結合バー
59 50のジグザグ(Z)パターン
60 44の結合バー
61 44の遠位端セルセグメント
62 44の近位端セルセグメント
63 21の遠位端セルセグメント
64 21のフレックスセルセグメント
65 21の円周方向セルセグメント
66 アイレット
67 若年豚のSIS組織の第2中間シームレスチューブ
68 若年豚のSIS組織の最外側シームレスチューブ
69 成熟豚SIS組織の第1層
70 成熟豚SIS組織の第2層
71 44のフレキシブルな相互接続セルセグメント
72 44のフープセルセグメント
73 プロテーゼ留置装置
74 留置用カテーテル
75 内部部材
76 内部チューブ
77 使用せず
78 遠位チップ部
79 近位部
80 中間部
81 係合部
82 スリーブ
83 75の放射線不透過スリーブ
84 74の放射線不透過マーカー
85 遠位チップ開口
86 接着剤
87 70の外側エッジ
88 69の内側エッジ
89 プロテーゼ
90 プロテーゼ
91 プロテーゼ
92 ドラムグラフト咬合器
93 大動脈
94 同側腸骨動脈
95 反対側腸骨動脈
96 同側腎動脈
97 反対側腎動脈
98 瘤
99 反対側枝延長プロテーゼ
100 同側枝延長プロテーゼ
101 ワイヤガイド
102 ワイヤガイド

【特許請求の範囲】
【請求項1】
管状壁とそこを軸方向に延びる通路を有する第1拡張可能ステント(21)と、
前記第1拡張可能ステント上に配置された組織グラフト(24)と、
管状壁とそこを軸方向に延びる通路を有する管状部材(25)と、
を有し、
前記管状部材は、組織グラフト上で且つ前記第1拡張可能ステントの周囲に配置され、
前記組織グラフトを前記第1拡張可能ステント上に配置する
ことを特徴とするステント組織グラフトプロテーゼ。
【請求項2】
前記第1拡張可能ステント(21)は、第1遠位ステント端(28)と、第1近位ステント端(29)とを有し、
前記組織グラフト(24)は、遠位グラフト端(30)と、近位グラフト端(31)とを有し、
それぞれが、前記第1ステントと、前記第1遠位ステント端と前記第1近位ステント端の少なくとも一方を含み、そこまで配置される
ことを特徴とする請求項1記載のプロテーゼ。
【請求項3】
前記組織グラフト(24)は、組織のシームレスチューブと、組織の積層構造物と、組織のシートの少なくとも1つを含む
ことを特徴とする請求項1または2記載のプロテーゼ。
【請求項4】
前記組織グラフト(24)は、細胞外マトリクス、好ましくは小腸粘膜下組織を含む
ことを特徴とする請求項3記載のプロテーゼ。
【請求項5】
前記積層された組織構造物は、複数の積層された組織層を含み、その範囲は、好ましくは2ないし10層、より好ましくは2ないし6層、さらに好ましくは4層である
ことを特徴とする請求項3記載のプロテーゼ。
【請求項6】
前記第1拡張可能ステント(21)は、自己拡張型ステント、バルーン拡張型ステント、あるいはそれらの組み合わせである
ことを特徴とする請求項1−5のいずれかに記載のプロテーゼ。
【請求項7】
前記第1拡張可能ステント(21)は、複数の円周セグメント(65)と、複数の結合バー(43)とを有し、この結合バーが前記複数の円周セグメントを相互接続する
ことを特徴とする請求項1−6のいずれかに記載のプロテーゼ。
【請求項8】
前記管状部材(25)は、第2拡張可能ステントを含み、この第2拡張可能ステントは、自己拡張型ステント、バルーン拡張型ステント、あるいはそれらの組み合わせである
ことを特徴とする請求項1−7のいずれかに記載のプロテーゼ。
【請求項9】
前記第1と第2の拡張可能ステントは、内径と外径を有し、前記拡張状態にある第1拡張可能ステントの外径は、拡張状態にある第2拡張可能ステントの内径以下あるいは以上である
ことを特徴とする請求項8記載のプロテーゼ。
【請求項10】
前記管状部材(25)は、多孔ポリマー材料を含む
ことを特徴とする請求項1記載のプロテーゼ。
【請求項11】
前記管状部材は、前記組織グラフト上に完全に配置される
ことを特徴とする請求項1記載のプロテーゼ。
【請求項12】
前記第1拡張可能ステント(21)の少なくとも1端は、前記組織グラフト(24)の少なくとも1端を越えて延びる
ことを特徴とする請求項1記載のプロテーゼ。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
管状壁とその中を軸方向に延びる通路を有する第1拡張可能ステント(21)と、
前記第1拡張可能ステント上に配置された組織グラフト(24)と、
管状壁とその中を軸方向に延びる通路を有する管状部材(25)と、
を有し、
前記管状部材は、
前記組織グラフト(24)上で且つ前記第1拡張可能ステント(21)の周囲に配置され、
前記組織グラフトを前記第1拡張可能ステント上に保持し、
前記組織グラフト上に完全に配置される
ことを特徴とするステント組織グラフトプロテーゼ。
【請求項2】
前記第1拡張可能ステント(21)は、第1遠位ステント端(28)と第1近位ステント端(29)とを有し、
前記組織グラフト(24)は、遠位グラフト端(30)と近位グラフト端(31)とを有し、
前記各グラフト端は、前記第1拡張ステント上に配置され、前記第1遠位ステント端と前記第1近位ステント端の少なくとも一方を含み、そこまで配置される
ことを特徴とする請求項1記載のプロテーゼ。
【請求項3】
前記組織グラフト(24)は、組織のシームレスチューブと、組織の積層構造物と、組織のシートの内の少なくとも1つを含む
ことを特徴とする請求項1または2記載のプロテーゼ。
【請求項4】
前記組織グラフト(24)は、細胞外マトリクス、好ましくは小腸粘膜下組織を含む
ことを特徴とする請求項3記載のプロテーゼ。
【請求項5】
前記積層された組織構造物は、複数の積層された組織層を含み、その層数の範囲は、好ましくは2層ないし10層、より好ましくは2層ないし6層、さらに好ましくは4層である
ことを特徴とする請求項3記載のプロテーゼ。
【請求項6】
前記第1拡張可能ステント(21)は、自己拡張型ステント、バルーン拡張型ステント、あるいはそれらの組み合わせのいずれかである
ことを特徴とする請求項1−5のいずれかに記載のプロテーゼ。
【請求項7】
前記第1拡張可能ステント(21)は、複数の円周セグメント(65)と、複数の結合バー(43)とを有し、
前記結合バーが、前記複数の円周セグメントを相互接続する
ことを特徴とする請求項1−6のいずれかに記載のプロテーゼ。
【請求項8】
前記管状部材(25)は、第2拡張可能ステントを含み、
前記第2拡張可能ステントは、自己拡張型ステント、バルーン拡張型ステント、あるいはそれらの組み合わせのいずれかである
ことを特徴とする請求項1−7のいずれかに記載のプロテーゼ。
【請求項9】
前記第1と第2の拡張可能ステントは、内径と外径を有し、
前記拡張状態にある第1拡張可能ステントの外径は、拡張状態にある第2拡張可能ステントの内径以下あるいは内径以上である
ことを特徴とする請求項8記載のプロテーゼ。
【請求項10】
前記管状部材(25)は、多孔性ポリマー材料を含む
ことを特徴とする請求項1記載のプロテーゼ。
【請求項11】
前記第1拡張可能ステント(21)の少なくとも一端は、前記組織グラフト(24)の少なくとも一端を越えて延びる
ことを特徴とする請求項1−10のいずれかに記載のプロテーゼ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公表番号】特表2006−507094(P2006−507094A)
【公表日】平成18年3月2日(2006.3.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−555590(P2004−555590)
【出願日】平成15年11月21日(2003.11.21)
【国際出願番号】PCT/US2003/037365
【国際公開番号】WO2004/047687
【国際公開日】平成16年6月10日(2004.6.10)
【出願人】(591048405)クック インコーポレイティド (11)
【氏名又は名称原語表記】COOK INCORPORATED
【出願人】(500355776)クック・バイオテック・インコーポレーテッド (7)
【出願人】(301034359)オレゴン ヘルス サイエンシーズ ユニバーシティー (3)
【Fターム(参考)】