説明

ストロボ制御システム

【課題】 撮影者や被写体やストロボ装置が自由に移動しても、常に各々の被写体に最適な発光を可能にしたストロボ制御システムを提供すること。
【解決手段】 床面に2次元的に複数配置した電極と、撮像装置に内蔵された電界通信型の送受信手段と、ストロボ装置に内蔵された電界通信型の送受信手段と、被写体識別カードに内蔵された電界通信型の送受信手段と、前記複数の電極に接続され、電極上の人物ないしは物体を特定し、電気信号に変換して通知する電界通信型の送受信手段とから構成され、前記撮像装置は、前記被写体識別カードを持った被写体の位置、前記ストロボ装置の位置、前記撮像装置の位置を前記電極の送受信手段により取得し、取得した位置情報と、前記撮像装置内の発光制御情報をもとに、前記ストロボ装置の発光方向、発光量等を制御することを特徴とする構成とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ストロボ制御システムに関し、特にストロボ装置、撮像装置などを含む制御方法、及び、制御システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、ワイヤレス多灯ストロボシステムにおいて、各ストロボの発光量調整や発光方向の調整などは、ある程度の知識や経験が必要であった。また、撮影者や被写体の位置は限定され、撮影位置を変える度にストロボの位置、発光量調整、発光方向調整が必要であった。
【0003】
そこで、知識や経験がなくても、思い通りのストロボ発光の実現が望まれる。また、撮影者や被写体の位置を限定しなくても、自動でストロボの発光量、発光方向を制御し、最適なストロボ発光を実現することが望まれる。
【0004】
例えば、特許文献1には、カメラの位置を自由に変化させた場合でも、ストロボ装置の向きをカメラの被写体に追従させるための技術が開示されている。
【0005】
特許文献1では、カメラのAF(Auto Focus)時の合焦距離から被写体までの距離を求め、カメラとストロボの距離は各々内蔵するGPS(Global Positioning System)などにより求めている。これらの距離情報から幾何学的にストロボの発光方向を算出し、ストロボ装置の向きをカメラの被写体に自動で追従させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2010−48877号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上述の特許文献に開示された従来技術では、被写体が複数存在する場合に適切な発光制御ができない場合がある。従来技術では、撮影方向を方位センサなどにより求めているため、主被写体が画角中心にいない場合、方位センサが示す撮影方向とストロボ装置の最適な発光方向が一致するとは限らない。
【0008】
また、従来技術では被写体までの距離を合焦距離により算出しているが、主被写体にピントが合わない写真を撮る場合、主被写体に適切な発光ができない場合がある。
【0009】
さらに、従来技術ではカメラ、ストロボの位置をGPSや移動体通信網などの複数の基地局から発信されるデータを利用して算出しているが、現在は屋内での位置精度があまり高くないため、より細やかなストロボ制御を実現することが難しい。
【0010】
そこで、本発明の目的は、撮影者(カメラ)や複数の被写体やストロボ装置が自由に移動しても、常に各々の被写体に最適な発光を可能にしたストロボ制御システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために、本発明に係るストロボ制御システムは、
床面に2次元的に複数配置した電極と、
カメラに内蔵され、人体を介して通信する電界通信型の送受信手段と、ストロボ装置に内蔵され、筐体を介して通信する電界通信型の送受信手段と、被写体識別カードに内蔵され、人体を介して通信する電界通信型の送受信手段と、前記複数の電極に接続され、電極上に電界通信型の送受信手段を持った人物ないしは物体が存在する場合に、電極上の人物ないしは物体を特定し、電気信号に変換して通知する電界通信型の送受信手段とから構成され、前記カメラは、前記被写体識別カードを持った被写体の位置、前記ストロボ装置の位置、前記カメラの位置を前記電極の送受信手段により取得し、取得した位置情報と、前記カメラ内の発光制御情報をもとに、前記ストロボ装置の発光方向、発光量等を制御することを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、撮影者(撮像装置)や複数の被写体やストロボ装置が自由に移動しても、常に各々の被写体に最適な発光を可能にしたストロボ制御システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の第1の実施例による使用例を示した模式図である。
【図2】本発明の第1の実施例による電極の結線例である。
【図3】本発明の第1の実施例によるシステム構成例である。
【図4】本発明の第1の実施例によるストロボ制御フローである。
【図5】本発明の第1の実施例による使用例を示した模式図である。
【図6】本発明の第1の実施例によるストロボ制御フローである。
【図7】本発明の第1の実施例による使用例を示した模式図である。
【図8】本発明の第1の実施例によるストロボ制御フローである。
【図9】本発明の第2の実施例による電極の結線例である。
【図10】本発明の第2の実施例によるシステム構成例である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に、本発明の好ましい実施の形態を、添付の図面に基づいて詳細に説明する。図1は、本発明の実施形態にかかわるストロボ制御システムの模式図である。
【0015】
[実施例1]
以下、図1〜図8を参照して、本発明の第1の実施例による、ストロボ制御システムについて説明する。
【0016】
図1は撮影スタジオなどを上から見た模式図となっている。
【0017】
図1の100は床面に2次元的に複数配置した電極を表している。床100は、それぞれの区切られた領域に人体通信部を備えている。人体通信部とは、人体乃至は物体表面に微弱な電界信号を誘起し、その電界信号を送信、受信する送受信機を指す。同じく、人体通信部を携帯した人やものが電極上に接近することで相互にデータのやり取りが可能となる。
【0018】
101は人体通信部を内蔵した撮像装置である。撮像装置に人体通信部を内蔵することで、撮像装置を携帯する撮影者102の人体を介して、撮像装置の人体通信部と床の電極の人体通信部が通信を行い、撮影者102が床面上(100)のどの位置にいるのかを知ることができる。
【0019】
103は人体通信部を内蔵した被写体識別カードである。同じく、被写体識別カードに人体通信部を内蔵することで、被写体識別カードを携帯する被写体104の人体を介して、カードの人体通信部と床の電極の人体通信部が通信を行い、被写体104が床面上(100)のどの位置にいるのかを知ることができる。
【0020】
110は人体通信部を内蔵したストロボ装置である。同じく、ストロボ装置に人体通信部を内蔵することで、ストロボ装置の人体通信部と床の電極の人体通信部が通信を行い、ストロボ装置が床面上(100)のどの位置にいるのかを知ることができる。
【0021】
図2は床の電極の結線例であり、床にある電極が相互に接続される様子を示している。床面100には、電極(201、202、203、204…)が複数配置され、各電極上に撮影者102や被写体104、ストロボ装置110がくることで、その存在を他の電極に通知することができる。他の電極に通知する内容としては、電極を識別できる識別番号とともに、その電極上にいる撮影者ないしは被写体、ストロボ装置の識別番号を一緒に送ることで、どの電極上にどの対象がいるかを判別できるようにする。
【0022】
図3にはシステム構成図を示している。
【0023】
100は図1で説明した複数電極を配置した床を表しており、電極部324−aには電極330−a、人体通信部331−a、制御部332−a、通信I/F333−a等を備えている。人体通信部331−aは、床表面に配置される電極330−aを介して、電極上にくる他の人体通信部と通信を行う。制御部332−aは、人体通信部331−aからの情報を通信I/F333−aを介して、他の電極に通知する。通信I/Fは有線であっても、無線であっても構わない。他の電極部324−b、324−cも同様の構成のため、説明を省略する。この構成をとることで、撮像装置101が被写体識別カード103、ストロボ装置110の位置を知ることができる。
【0024】
101は撮像装置であり、制御部300、撮像部301、発光部302、表示部303、姿勢検出部304、人体通信部305、操作部306、メモリ307、電源部308等から構成される。撮像部301は、CMOSセンサやCCDセンサからなる撮像素子と、撮像素子に光学像を結像するレンズ、絞り、シャッター、A/D変換回路等からなる。発光部302は、撮像装置301に内蔵されるストロボ装置であり、内蔵ストロボの使用の有無によって、外部のストロボ装置310の発光量を調節する。表示部303は、撮像部301からの画像データの表示や、撮像装置301のメニュー表示やエラーなどの動作状態表示を行う。姿勢検出部304は、撮像装置の姿勢を検出するためのもので、加速度センサやジャイロセンサ、地磁気センサ等で構成される。人体通信部305は、人体乃至は物体に誘起された電界信号を受信、送信する送受信機であり、撮影者の人体を介して床の電極の人体通信部と通信することができる。操作部306は、ボタン及びダイヤル等から構成されており、撮影指示や撮像装置101の設定等ができるものとする。メモリ307は、撮像部301で撮像された画像データを一時的に保持するバッファメモリや、表示部303の画像表示用メモリ、制御部300の作業領域として使用される。また、制御部300で実行されるプログラムやパラメータ等が格納される。また、人体通信するにあたり、撮像装置であることを識別するための識別番号が格納される。電源部308は、撮像装置101の電源部であり、アルカリ電池やリチウム電池等の一次電池やNiCd電池やNiMH電池、Li電池等の二次電池、ACアダプター等から構成される。制御部300は、撮像装置101の制御を行う。また、制御部300では、人体通信部305を介して、被写体認識カードの位置、ストロボの位置を把握し、ストロボの発光方向や発光量の制御を行う。
【0025】
103は被写体識別カードであり、人体通信部309、制御部310、メモリ311等で構成される。人体通信部309は、人体乃至は物体に誘起された電界信号を受信、送信する送受信機であり、被写体の人体を介して床の電極の人体通信部と通信することができる。メモリ311には、被写体情報が記憶されている。被写体情報には、被写体識別番号や被写体の色、被写体の大きさなどを含む。制御部310は被写体情報を要求された場合に、人体通信部309を介して、メモリ311に保存されている被写体情報を送信する。
【0026】
110はストロボ装置であり、人体通信部312、制御部313、発光部314、メモリ315、駆動部316等で構成される。人体通信部312は、人体乃至は物体に誘起された電界信号を受信、送信する送受信機であり、ストロボ装置の筐体を介して床の電極の人体通信部と通信することができる。発光部314は、制御部313の指示に基づき、所望の発光量で発光動作を行う。発光部314は、例えば、キセノン発光管、メインコンデンサ、反射板などから構成される。メモリ315は、人体通信を行う際にストロボであることを認識するためのストロボ識別番号を記憶するのに用いられる。また、ストロボの発光制御情報、駆動制御情報などを記憶するために用いられる。駆動部316は、制御部313の指示に基づき、ストロボの発光方向を制御する。
【0027】
図4にはストロボ制御フローを示してあり、制御部300にて制御するためのフローとなっている。
【0028】
S420では最初に撮影者の位置情報を取得する。撮像装置101に内蔵された人体通信部と撮影者が立っている電極に内蔵される人体通信部との間で通信を行い、撮像装置は撮影者の位置情報を取得する。
【0029】
次に、S421で被写体の位置情報を取得する。被写体識別カード内に内蔵される人体通信部と電極を介して撮像装置101に内蔵される人体通信部との間で通信を行い、撮像装置は被写体の位置情報を取得する。
【0030】
S422では、S420、S421で取得した位置情報をもとに撮影方向を算出する。撮影方向は撮影者の位置と被写体の位置を結ぶ直線方向とする。
【0031】
S400ではストロボ装置の位置情報を取得する。S400では、被写体の位置とストロボ装置の位置から、被写体周辺のストロボ装置の有無を調べる。
【0032】
撮像装置101では、被写体への発光制御情報として、直接光を利用するか、バウンス光を利用するかを設定することができるものとする。
【0033】
また、発光方向は被写体の前方、後方、右側面、左側面などを選択し、設定できるものとする。さらに、直接光、または、バウンス光の発光量を設定できるものとする。
【0034】
S401では、撮像装置に設定されている発光制御情報をもとに、所望の発光制御が可能かどうかを判定している。
【0035】
S401にて、発光可能と判定された場合はS423に遷移し、発光が不可能と判定された場合はS403に遷移する。S423では、ストロボ装置の発光方向と発光量を指示する。ストロボ装置は指示された発光方向に応じて、発光部を回転駆動させて、発光方向を決定する。S403では、撮影者に対して、所望の発光制御ができない旨のエラー通知を行う。
【0036】
S402では、人体通信により、ストロボの充電完了通知(略して、充完通知と呼ぶ)の有無を確認する。充電が完了していない場合は、S405にて撮影準備が整っていない旨、撮影者に通知し、充電が完了した場合は、S404にて撮影準備が整った旨、撮影者に通知する。
【0037】
S406では、レリーズ指示の有無を確認している。レリーズ指示がある場合は、S407に移行し、レリーズタイミングでストロボに対し発光指示を出す。発光指示は人体通信によって、通知するものとする。レリーズ指示がない場合は、S408に移行し、被写体識別カード103、ストロボ装置110、撮像装置101の移動の有無を確認している。移動がある場合は、再度最適なストロボ発光ができるかどうかを確認する必要がある。
【0038】
S408で移動が検出された場合は、S409に移行する。S409では、移動によって被写体識別カード103、ストロボ装置110が消失しているかどうかの確認を行う。被写体、ストロボ装置が消失した場合は、ストロボ制御フローを終了する。
【0039】
S409にて被写体、ストロボの消失がない場合は、再度S400からやり直し、ストロボ発光が可能かどうかを確認する。
【0040】
一方、S408で被写体、ストロボ装置、撮影者の移動がなかった場合、S410に移行し、撮像装置101のストロボ制御情報に変更があるか否かを判別する。ストロボ制御情報に変更がある場合は、再度S400に移行し、最適な発光ができるかどうかを確認する。S410において、ストロボ制御情報に変更がない場合はS406に移行し、レリーズ指示の有無を確認するステップを繰り返す。
【0041】
以上のステップにより、撮影者、被写体が動いた場合、ストロボ装置を動かした場合でも、最適なストロボ制御を行うことができる。
【0042】
図5にはストロボ装置が複数配置された場合の模式図を示している。
【0043】
500は、図1の100同様、床面に2次元的に複数配置した電極を表している。床500は、それぞれの区切られた領域に人体通信部を備えている。501、502は、図1の101、102と同様に、人体通信部を備えた撮像装置、撮影者である。503、504は、図1の103、104と同様に、人体通信部を備えた被写体識別カード、被写体を表している。510〜519は、それぞれに人体通信部を有するストロボ装置を表している。図5では、撮像装置501に設定されるストロボ制御情報をもとに、各ストロボの発光制御を行う。ストロボ制御情報に合致しないストロボ装置は発光を禁止する。
【0044】
図6に図5の構成でのストロボ制御フローを示した。
【0045】
S600〜S603は、図4の場合と同じなので、説明を省略する。
【0046】
S604では、複数あるストロボ装置が撮像装置内の設定に適した位置にあるかどうかを判定する。設定に合致するストロボ装置に対しては、発光許可を通知する(S605)。一方、設定に合致していないストロボ装置に対しては、発光禁止を通知する(S606)。複数のストロボを一度に発光させる場合は、被写体への発光量が適切になるように、各ストロボへの発光量を決める。S607では、ストロボ装置の発光方向、発光量を指示する。ストロボ装置は指示された発光方向に応じて、発光部を回転駆動させて発光方向を調整する。
【0047】
S608にて、全ストロボの設定が完了した場合はS609に移行し、全ストロボからの充完通知が来たかどうかを確認する。全ストロボから充完通知がある場合は撮影者に対し、撮影準備が整った旨を表示し(S610)、充完通知がない場合は撮影準備ができていない旨を表示する(S611)。
【0048】
S612では、レリーズ指示があるか否かを判定しており、レリーズ指示がある場合はS613に移行し、全ストロボに発光通知を出す。ここで、S605で発光許可を得ているストロボ装置のみが発光するものとする。S606にて、発光禁止の指示を受けているストロボ装置は発光通知があっても、発光しないものとする。
【0049】
S614、S615、S616は図4の場合と同じなので、説明を省略する。
【0050】
図7には、被写体が複数いる場合の模式図を示している。
【0051】
700は、図1の100同様、床面に2次元的に複数配置した電極を表している。床700は、それぞれの区切られた領域に人体通信部を備えている。701、702は、図1の701、702と同様に、人体通信部を備えた撮像装置、撮影者である。704、705は、図1の104と同様に、被写体を表している。703、706は、図1の103と同様に、人体通信部を備えた被写体識別カードを表している。ここで、各被写体識別カードには、被写体優先度情報が記憶してあり、どの被写体を優先的に照射するかを識別できるものとする。710〜719は、それぞれに人体通信部を有するストロボ装置を表している。
【0052】
図7では、複数いる被写体に各々に適切な発光ができるように周辺のストロボ装置を制御する。各被写体に優先順位をつけるため、被写体識別カードには優先度を記憶させておき、その優先度に応じて、周辺のストロボ装置の発光制御を行う。撮像装置701のストロボ制御設定は被写体毎に持つことができ、各々の被写体に合ったストロボ制御を設定できるものとする。制御装置701には、各被写体への発光制御情報として、直接光を利用するか、バウンス光を利用するかを設定することができるものとする。発光方向は被写体の前方、後方、右側面、左側面などを選択し、設定できるものとする。さらに、直接光、または、バウンス光の発光量を設定できるものとする。
【0053】
図8には、図7の構成の場合のストロボ制御フローを示している。図8のフローでは、例として、被写体704の優先度が被写体705に比べて高いものとしている。
【0054】
S800〜S803は、図4、図7と同様のため、説明を省略する。
【0055】
S804では、優先度の高い被写体704に対して、周辺のストロボ装置が発光可能かどうかを調べる。優先度の高い被写体に最適に発光ができるように、優先的に調べる。S805では、次に優先度の高い被写体に対して、周辺のストロボ装置が発光可能かどうかを調べる。図8のフローには記載がないが、被写体がさらに複数いる場合には順次優先度の高い被写体から発光可能かどうかを確認する。
【0056】
被写体に適した発光が可能な場合は、S806において、ストロボ装置に対して発光許可を通知する。続いて、S808にて、ストロボ装置の発光方向と発光量を指示する。複数のストロボを発光する場合は被写体への発光量が適切になるように各ストロボの発光量を調節する。
【0057】
一方で、被写体に適した発光ができないストロボ装置に関しては、発光禁止を通知する(S807)。S809以降は、図6と同様となるため、説明を省略する。
【0058】
以上の実施形態に従えば、撮影者や被写体、ストロボ装置が自由に移動しても、常に各々の被写体に最適な発光を可能にしたストロボ制御システムが実現できる。また、ストロボ装置が複数存在する場合の各ストロボ装置の適切な制御方法が実現できる。さらには、被写体が複数いる場合においても、各被写体に適切な発光が可能なストロボ制御システムが実現できる。
【0059】
[実施例2]
以下、図9、図10を参照して、本発明の第2の実施例による、ストロボ制御システムについて説明する。
【0060】
図9には、床の電極の結線例であり、各電極は制御装置705に接続され、制御装置から撮像装置701、ストロボ装置710等に制御コマンドが発行されるシステムが示されている。
【0061】
実施例1では、撮影者、被写体、ストロボ装置の位置を取得し、被写体に適切な発光ができるようにストロボ装置を制御するのは撮像装置の役割であった。実施例2では制御装置705でストロボ装置の制御を行う場合について説明する。
【0062】
図9の900は2次元的に電極(951、952、953、954…)を敷き詰めた床面である。901は人体通信部を内蔵した撮像装置である。撮像装置に人体通信部を内蔵することで、撮像装置を携帯する撮影者902の人体を介して、撮像装置の人体通信部と床の電極の人体通信部が通信を行い、撮影者902が床面上(900)のどの位置にいるのかを知ることができる。903は人体通信部を内蔵した被写体識別カードである。同じく、被写体識別カードに人体通信部を内蔵することで、被写体識別カードを携帯する被写体904の人体を介して、カードの人体通信部と床の電極の人体通信部が通信を行い、被写体904が床面上(900)のどの位置にいるのかを知ることができる。910は人体通信部を内蔵したストロボ装置である。同じく、ストロボ装置に人体通信部を内蔵することで、ストロボ装置の人体通信部と床の電極の人体通信部が通信を行い、ストロボ装置が床面上(900)のどの位置にいるのかを知ることができる。905は制御装置であり、たとえばPC(Personal Computer)などである。全電極は制御装置905に接続されており、接続インターフェース950は有線であっても、無線であっても構わない。
【0063】
次に、図10にシステム構成図を示している。
【0064】
図10中、実施例1の図2と重複するブロックの説明は省略する。図2のシステム構成に加え、制御装置905が追加される。制御装置905は表示部1051、操作部1052、通信I/F1053、メモリ部1054、制御部1055とから構成され、例えば、PCのようなものである。表示部1051には、液晶ディスプレイ等であり、各電極配置と撮影者、被写体、ストロボ装置がどの電極上にいるかなどを表示する。また、所望のストロボ発光制御ができない場合の警告表示等も行う。操作部1052はキーボードやマウスなどの操作部材である。通信I/F1053は各電極部と通信するための通信インターフェースであり、無線であっても、有線であってもよい。メモリ部1054は制御部1055の作業領域として使用される。また、制御部1055で実行されるプログラムやパラメータ等が格納される。
【0065】
制御装置905では、実施例1の図4、図6、図8に示したようなストロボ制御フローを撮像装置に代わって実行するものとする。
【0066】
以上の実施形態に従えば、撮影者や被写体、ストロボ装置が自由に移動しても、常に各々の被写体に最適な発光を可能にしたストロボ制御システムが実現できる。また、ストロボ装置が複数存在する場合の各ストロボ装置の適切な制御方法が実現できる。さらには、被写体が複数いる場合においても、各被写体に適切な発光が可能なストロボ制御システムが実現できる。
【0067】
本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明はこれらの実施形態に限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。
【符号の説明】
【0068】
100 2次元的に複数の電極を配置した床
101 撮像装置
102 撮影者
103 被写体識別カード
104 被写体
110 ストロボ装置


【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮像装置(101)、ストロボ装置(110)、被写体識別カード(103)とから構成され、人体乃至は物体に誘起される電界を利用して通信を行う、電界通信型のストロボ制御システムであって、
床面に2次元的に複数配置した電極(100)と、
前記撮像装置に内蔵され、人体を介して通信する電界通信型の送受信手段(305)と、
前記ストロボ装置に内蔵され、筐体を介して通信する電界通信型の送受信手段(312)と、
前記被写体識別カードに内蔵され、人体を介して通信する電界通信型の送受信手段(309)と、
前記複数の電極に接続され、電極上に電界通信型の送受信手段を持った人物ないしは物体が存在する場合に、電極上の人物ないしは物体を特定し、電気信号に変換して通知する電界通信型の送受信手段(331−a)とから構成され、
前記撮像装置(101)は、前記被写体識別カード(103)を持った被写体の位置、前記ストロボ装置(110)の位置、前記撮像装置(101)の位置を前記電極の送受信手段により取得し、取得した位置情報と、前記撮像装置(101)内の発光制御情報をもとに、前記ストロボ装置(110)の発光方向、発光量を制御することを特徴とした電界通信型のストロボ制御システム。
【請求項2】
撮像装置(901)、ストロボ装置(910)、被写体識別カード(903)、制御装置(905)とから構成され、人体乃至は物体に誘起される電界を利用して通信を行う、電界通信型のストロボ制御システムであって、
床面に2次元的に複数配置した電極(900)と、
前記撮像装置に内蔵され、人体を介して通信する電界通信型の送受信手段(1005)と、
前記ストロボ装置に内蔵され、筐体を介して通信する電界通信型の送受信手段(1012)と、
前記被写体識別カードに内蔵され、人体を介して通信する電界通信型の送受信手段(1009)と、
前記複数の電極に接続され、電極上に電界通信型の送受信手段を持った人物ないしは物体が存在する場合に、電極上の人物ないしは物体を特定し、電気信号に変換して通知する電界通信型の送受信手段(1024−a)とから構成され、
前記制御装置(905)は、前記被写体識別カード(903)を持った被写体の位置、前記ストロボ装置(910)の位置、前記撮像装置(901)の位置を前記電極の送受信手段(1024−a)により取得し、取得した位置情報と、前記撮像装置内の発光制御情報をもとに、前記ストロボ装置の発光方向、発光量を制御することを特徴とした電界通信型のストロボ制御システム。
【請求項3】
前記ストロボ装置(510〜519)が複数あり、
被写体との位置関係において所定条件が合致したストロボ装置を制御することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の電界通信型のストロボ制御システム。
【請求項4】
被写体識別カード(703、706)が複数あり、
更に、被写体識別カードに被写体固有の情報を記録させるためのメモリ手段を有し、
前記メモリ手段には被写体の優先度情報を持たせて、前記優先情報に基づいて、周囲のストロボ装置を制御することを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れか1項に記載の電界通信型のストロボ制御システム。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−159628(P2012−159628A)
【公開日】平成24年8月23日(2012.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−18342(P2011−18342)
【出願日】平成23年1月31日(2011.1.31)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】