スパッタターゲットの自動PTF測定方法及びその装置
【課題】スパッタターゲットの磁場透過率を自動測定する。
【解決手段】スパッタターゲットの一方の側面で磁界を発生させ、該磁界をスパッタターゲットを透過させてスパッタターゲットの他方の側面に出力させ、磁界検出部により前記スパッタターゲットの前記他方の側面で磁界を測定し、自動機構を使用して測定中に前記スパッタターゲット又は前記磁界検出部の一方又は両方を移動させることによりスパッタターゲットの磁場透過率(PTF)を測定するものである。これにより、スパッタターゲットの地図作成を行なうようにし得る。
【解決手段】スパッタターゲットの一方の側面で磁界を発生させ、該磁界をスパッタターゲットを透過させてスパッタターゲットの他方の側面に出力させ、磁界検出部により前記スパッタターゲットの前記他方の側面で磁界を測定し、自動機構を使用して測定中に前記スパッタターゲット又は前記磁界検出部の一方又は両方を移動させることによりスパッタターゲットの磁場透過率(PTF)を測定するものである。これにより、スパッタターゲットの地図作成を行なうようにし得る。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スパッタターゲットの磁場透過率(以下、簡略のために、「Pass Though Flux」の短縮形であるPTFと記載する)特性を測定する方法及びその装置に関し、特に、本発明は、スパッタターゲットの自動PTF測定方法及びその装置に関する。
【背景技術】
【0002】
スパッタリングプロセスは、所望の基板上に材料の薄膜を成膜するために広く使用されている。代表的なスパッタリング装置は、電子やイオンビームの発生源と、原子の状態にされる材料を含むターゲット材と、スパッタされた材料が成膜される基板とを含んで構成されている。そのプロセスにおいては、ターゲット材がスパッタされ又は侵食される角度でターゲット材に電子やイオンビームを衝突させる。その結果、基板上にスパッタターゲット材が薄膜状又は層状に成膜される。スパッタターゲット材は、純金属から様々な複雑な合金までの範囲に渡って製造される。
【0003】
マグネトロンスパッタリングは、ターゲット材(カソード)の背後に永久磁石又は電磁石を配置し、ターゲットに磁界を作用させることができるようになっている。印加磁界は、ターゲットを透過し、ターゲットの表面に放電プラズマを集中させる。これにより、ターゲットの最表面は、ターゲット原子の状態にされ、その後、このターゲット原子がターゲットに隣接して配置された薄膜デバイス上に堆積される。
【0004】
磁気ターゲット材のマグネトロンスパッタリングは、エレクトロニクス産業、特に、半導体やデータ記憶装置の製造分野においてに非常に普及している。しかしながら、このようにターゲット材が磁性合金の場合には、その軟磁気特性により、ターゲット材内部で印加磁界の大部分が短絡される。これにより、磁界が短絡して形成された侵食溝内に透過した磁界が集中するため、ターゲット利用率が低下する。上記磁界の集中による悪影響は、材料の透磁率が上昇して材料のPTFが低下するほど大きくなる。
【0005】
一方、ターゲット材の透磁率が下がると、侵食の形態はあまり深刻な状態とならない。したがって、ターゲット材の利用効率が向上し、原料コストの低減に寄与する。また反対に、ターゲットの侵食形態が深刻な状態となると、スパッタリング現象が一点を起点に発生し、最適な成膜厚みの均一性を損なうことになる。したがって、ターゲット材の透磁率を下げることは、成膜厚みを均一にさせることにも役立つ。
【0006】
スパッタターゲットのPTFは、印加磁界に対する透過した磁界の比率により決まる。PTF値の100%は非磁性体を示す。この場合、印加磁界の殆どがターゲット材で短絡されない。磁性ターゲット材のPTF値は、一般に0%〜100%の範囲にあり、商業的に生産される大部分の材料はPTF値が30%〜100%のものである。
【0007】
PTFを測定するには異なった様々な技術がある。その技術の一つは、0.44(+/−0.04)テスラの棒磁石をターゲット材の一面に接触させて配置し、ターゲット材の反対面に接触させた軸状のホールプローブを使用して、透過した磁界を検出するものである。PTFは、ターゲット材を透過した磁界の最大値を磁石とプローブとの間にターゲットがない場合の印加磁界の強度で除算したもので定義される。なお、ターゲットがない場合の磁石とプローブとの間の距離は、ターゲットがある場合と同じ距離に維持されている。PTFは、割合又はパーセントのいずれかで表現される。
【0008】
PTFを測定するための他の技術は、馬蹄形磁石と横型、つまりトランスバース型ホールプローブを使用して行なうものである。磁石とプローブとの配置を異ならせて測定されたPTF値は、産業界で一般的に利用されている磁界強度の値とよい直線的相関性を呈することが分かっている。PTFの測定技術は、実際のマグネトロンスパッタリング装置において発生する印加磁界に近づけるべく構築されている。したがって、PTFの測定結果は、マグネトロンスパッタリング中におけるターゲット材の性能に対する直接指標として適用することができる。
【0009】
磁性材料のPTFや透磁率は、相互排他的なものではない。それよりもむしろ、磁性材料のPTFと最大透磁率との間には、非常に強い逆の相関性がある。材料の透磁率の値は、ASTM標準のA894−89による振動試料型磁力計(VSM)技術を使用して極めて正確に測定することができる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
現在、PTFの測定は手動操作されるPTF装置によって遂行されている。ASTMのF1761−00及びASTMのF2086−01標準には、磁場透過率の試験方法が説明されている。ターゲットは、手動により回転されて30,60,90及び120°の角度に位置付けられる。また、磁界が手動で測定され、その値が角度毎に記録される。オペレータは、上記標準によって指定された測定装置における被測定ターゲットに対する蹄鉄形磁石の異なる配置を手動で調整しなければならない。このようにPTF測定装置を手動設定及び操作するために、スパッタターゲット全面のPTF特性を正確に測定することは困難であり、時間がかかっている。したがって、ターゲットの測定には限界があり、オペレータはスパッタターゲットの特定の部分に存在する欠陥を検知することができない可能性がある。さらに、代表的な手動式のスパッタターゲット測定装置は、ターゲットテーブルの表面にスパッタターゲットを直接保持するようになっている。したがって、上記代表的な手動式測定装置を使用して行なう測定においては、ターゲットを各角度に配置するために回転する際、スパッタターゲットの表面をターゲットテーブルの表面によって引っ掻いてしまう可能性がある。
【0011】
そこで、スパッタターゲットの自動PTF測定装置及び方法が求められている。また、スパッタターゲットの測定地図の作成が可能な自動PTF測定装置及び方法が求められている。さらに、スパッタターゲットを回転して行なう測定中にも、スパッタターゲットの表面を引っ掻くことのないような自動PTF測定装置が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の様々な実施形態は、代表的なPTF測定装置及び方法における上述の諸問題点を解決しようとするものである。本発明の一実施形態は、スパッタターゲットのPTF測定装置に関し、同装置はスパッタターゲットを通り抜ける磁界を発生する磁界発生源と、前記磁界を測定するように設けられた磁界検出部と、前記スパッタターゲット又は前記磁界検出部の一方又は両方を移動させるように設けられた自動スタンド機構と、を備えて構成されるものである。
【0013】
さらに、本発明の他の実施形態は、スパッタターゲットのPTFを測定する方法に関し、同方法は、スパッタターゲットの一方の側面で磁界を発生させ、該磁界を、スパッタターゲットを透過させてスパッタターゲットの他方の側面に出力させ、磁界検出部により前記スパッタターゲットの前記他方の側面で磁界を測定し、自動スタンド機構を使用して測定中に前記スパッタターゲット又は前記磁界検出部の一方又は両方を移動させることによりスパッタターゲットのPTFを測定するものである。
【0014】
本発明の各実施形態は、スパッタターゲットを透過した磁界を測定するものである。PTFは、強磁性スパッタターゲットの一方の面から反対面まで透過した磁界から求められる。磁界発生源は、被測定ターゲットの半径方向にある。基準磁界は、スパッタターゲットが測定装置上に配置されてない時に磁界検出部で測定される磁界である。磁界強度は、磁界発生源に対する磁界検出部の高さ及び位置に依存する。磁界発生源の磁界は、自動化されたターゲット保持テーブルの上面で磁界検出部によって測定された磁界である。
【0015】
被測定スパッタターゲットは、自動化された測定装置の上方において少なくとも一つのドライブホイールと少なくとも二つのアイドラーホイールとの間に配置される。直径及び厚みの異なる様々なスパッタターゲットが自動PTF測定装置に供給され、測定装置に配設された磁界発生源と位置合わせされる。自動PTF測定装置は、スパッタターゲットの下側に配設された回転可能な台座に搭載された蹄鉄形永久磁石を備えている。そして、磁界検出部が、スパッタターゲットを貫通して反対面から空間に出る磁界を測定するために使用される。
【0016】
本発明の各実施形態においては、コンピュータによって、各PTF測定値を基準磁界で除算し、この商に100を乗算してターゲットの磁場透過率の百分率(PTF%)が測定される。最大及び最小PTF%を特定するために、データがコンピュータによって解析される。また、プロセッサによって、PTF%値が平均されて平均PTF%が求められる。さらに、本発明の各実施形態においては、測定された各ターゲットについて、ターゲットの各位置及び各配向角で測定されたPTF%値がデータ記憶装置又はデータベースに保存され、オペレータに対して表示される。測定された各ターゲットについて、平均PTF%がオペレータに対して表示され、さらにデータ記憶装置又はデータベースに保存される。各実施形態においては、コンピュータによって、最大及び最小のPTF%値が特定され、そのターゲット上の位置が特定される。ターゲットから集められたPTF%値の範囲及びそれらの位置が計算され、画面上に表示されてオペレータに示される。一実施形態においては、コンピュータによって、上記範囲が平均値で除算され、その結果がオペレータに示される。これらの結果もデータ記憶装置又はデータベースに保存することができる。
【0017】
本発明の代表的な実施形態によれば、磁石と磁界検出部に対するスパッタターゲットの位置の操作を自動制御することができる。また、本発明の代表的な実施形態によれば、スパッタターゲットのPTF測定精度及び再現性を向上することができる。さらに、従来のPTF測定における手作業を最小限にして、PTFを自動測定することができる。スパッタターゲットの自動制御PTF測定装置によれば、プロセッサ及びデータベースのデジタルデータ記憶装置を使用して、測定中に集められたデータをデジタル記録することができる。この場合、プロセッサによって、上記データを利用してスパッタターゲットのPTF特性を正確に地図化することができ、それらをオペレータに示すことができる。さらに、自動PTF測定装置によれば、少なくとも一つのドライブホイール及び少なくとも二つのアイドラーホイールによってターゲットテーブルの上方にスパッタターゲットを保持することができ、故に、ターゲットテーブルによってスパッタターゲットの表面が引っ掻かれる等の不具合を防止することができる。
【0018】
本発明の他の実施形態は、実例により本発明の実施形態を説明し又記載した以下の詳細な説明に基づいて、その技術に精通した者が容易に想到することができるであろう。本発明に基づいて他の実施形態及び異なった実施形態を実現することができることは自明である。また、本発明の技術的思想及び範囲を逸脱しなければ、各箇所を変形することができる。したがって、図面及び詳細な記載は、具体的な実例として見なされるべきであり、限定的なものとしてみなされるべきでない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
添付図面に基づいて以下に詳述されている事項は、本発明の様々な実施形態の説明を意図としたものであり、本発明の実施が可能なただ一つの実施形態を表わすように意図したものではない。詳述された事項には、本発明の理解を深めるために特定の事項を含んでいる。しかし、本発明がこれらの特定事項に限定されないことは、当該技術に精通した者にとって自明である。いくつかの例示において、周知な構造及び構成要素は、本発明の概念を不明瞭にしないために、ブロックダイヤグラム形式又は部分的な概要図で示されている。
【0020】
図1は本発明によるコンピュータ制御PTF測定装置100の一実施形態の概略構成を示す右側面図であり、図2はその左側面図である。
【0021】
コンピュータ制御PTF測定装置100はベース部材102を備えている。テーブル支持部材104が一端部をベース部材102上に固定し、他端部をターゲットテーブル106に固定して設けられている。このテーブル支持部材104はベース部材102と共にターゲットテーブル106を支持するものである。また、プローブ滑り棒支持構造体108がベース部材102に固定されており、テーブル支持部材104と同様にターゲットテーブル106を支持するようになっている。本実施形態において、装置の構成部材、例えばベース部材102、テーブル支持部材104、ターゲットテーブル106、プローブ滑り棒支持構造体108には、非磁性材が使用され、例えば磁界発生源400などの磁界発生源の磁気特性に影響を与えることなく装置を動作させることができるように成っている。
【0022】
コンピュータ制御PTF測定装置100は、スパッタターゲットのPTFを測定するために磁界検出部を移動できるように成っている。磁界検出部202は、磁界検出部保持機構204内に設けられている。この磁界検出部202は、ガウスメータや、テスラメータ、又は他の適当な磁界測定装置から成っている。図8に示すようないくつかの代表的な実施形態においては、磁界検出部は、磁界を検知する磁界プローブ及び磁界を測定するガウスメータ又はテスラメータの両方で構成される。
【0023】
図3はコンピュータ制御PTF測定装置100の移動可能な磁界検出部組立体200を示す部分概要図である。磁界検出部202は、垂直面内を矢印A方向又は矢印A′方向に移動可能とされ、ターゲットテーブル106上又は上方に置かれたスパッタターゲットの測定位置に位置付けることができるようになっている。調整モータ206は、図8に示すコンピュータ540によって制御され、磁界検出部202を矢印A方向又は矢印A′方向に移動させる駆動力を供給するものである。
【0024】
磁界検出部調整アーム212は、滑り棒軸受組立体218に接続されている。滑り棒軸受組立体218は、プローブ滑り棒支持構造体108に固定された滑り棒220の途中に停止している。また、滑り棒軸受組立体218は、磁界検出部調整アーム212によって案内されて滑り棒220に沿った垂直方向に移動するようになっている。調整モータ206によって歯車214が回転すると、調整送りねじ216が回転して磁界検出部調整アーム212を矢印A方向又は矢印A′方向に移動させる。したがって、調整モータ206によって歯車214が回転されて調整送りねじ216が回転すると、磁界検出部調整アーム212は滑り棒220に沿って滑り棒軸受組立体218を移動させる。磁界検出部保持機構204が滑り棒軸受組立体218に接続されているので、磁界検出部202は矢印A方向へ移動することになる。また、調整モータ206が反転した場合には、磁界検出部202はA′方向に移動する。
【0025】
さらに、調整モータ206が駆動されて磁界検出部調整アーム212が矢印A方向又は矢印A′方向に移動すると、位置エンコーダ210は磁界検出部202の移動を追跡する。調整モータ206には、ホームスイッチが設けられており、スパッタターゲットの移動又は測定開始前に、滑り棒軸受組立体218を滑り棒220に沿って少なくとも一つ予め設定された位置まで移動させてスタート位置を初期化することができるようになっている。これにより、位置エンコーダ210は、調整モータ206の駆動を記録するとともにその初期位置を記録する。
【0026】
図4はコンピュータ制御PTF測定装置100の横移動部及び回転組立体300の部分側面図である。コンピュータ540からの指令を受信すると、横移動モータ302は、回転板304を矢印B方向又は矢印B′方向に移動させ、スパッタターゲットを磁界検出部の下にて磁界発生源の上方に位置付けてPTF測定が行えるようにする。
【0027】
回転板横移動部306は、ターゲットテーブル106の下方に設けられている。回転板304は回転板横移動軸受組立体308につながれており、この回転板横移動軸受組立体308は回転板横移動部306の途中に停止している。この回転板横移動軸受組立体308は、回転板304を回転板横移動部306に沿って矢印B方向又は矢印B′方向に移動させることができる。回転板横移動アーム310がその一端部を回転板304に固定し、反対側端部を横送りねじ312に接続して設けられている。横移動モータ302は、回転板横移動アーム310及び回転板304を動かす横送りねじ312に接続された横送り歯車314を回転させる。
【0028】
横移動モータ302には、ホームスイッチが設けられており、スパッタターゲットの移動又は測定開始前に、横移動モータ302のスタート位置を初期化することができるようになっている。横移動モータ302のホームスイッチは、回転板横移動軸受組立体308を回転板横移動部306に沿って少なくとも一つ予め設定された位置まで移動させてスタート位置を初期化するためのものである。横移動モータ302は、コンピュータ540からの指令を受けて横送り歯車314を回転させる。横送りエンコーダ316は、横移動モータ302の駆動を記録するとともにその初期位置を記録する。横移動モータ302が駆動されて回転板横移動アーム310が矢印B方向又は矢印B′方向へ移動すると、横送りエンコーダ316は回転板304の移動を追跡する。
【0029】
回転板304の上面側には、様々な大きさのスパッタターゲットを保持することができるように、ドライブホイール318及びアイドラーホイール320が締結されている。図1、図2及び図4〜図7には、ドライブホイール318が一つだけで示されているが、スパッタターゲットを保持し、また回転させるために複数のドライブホイールを使用してもよい。この場合、回転モータ322から追加されたドライブホイールまで動力を供給するために必要に応じて駆動歯車を追加してもよい。同様に、スパッタターゲットを保持するために少なくも二つのアイドラーホイールを使用してもよい。ターゲットテーブル106の面には、例えば図6に示すような楕円形の穴344が形成されており、ドライブホイール318及びアイドラーホイール320が通り抜けできるようになっている。ドライブホイール又はアイドラーホイールの追加に伴い、楕円形の穴を追加して設けてもよい。回転モータ322及び回転エンコーダ324が回転板304の下側に設けられている。また、ドライブホイール318を移動させる回転台調整部326が設けられている。この回転台調整部326は、ドライブホイール318を例えば図5(c)に示す矢印C方向又は矢印C′方向に移動させてドライブホイール318と少なくとも二つのアイドラーホイール320の接点内に大きさの異なるスパッタターゲットを配置できるようにするものである。ドライブホイールの追加に対応するように、回転台調整部をさらに設けてもよい。駆動歯車328は、ドライブホイール318を回転させてスパッタターゲットを回転し、予め設定された複数の位置で異なるPTF測定を可能にするものである。
【0030】
図5(a)〜(d)は回転モータ322によって駆動される駆動歯車328の動作を示す説明図である。上述したように、ドライブホイールの追加に伴って、駆動歯車も追加する必要が生じ得る。回転モータ322に連結された駆動歯車330は、回転エンコーダ324に取り付けられた駆動歯車332に噛み合っている。回転エンコーダ324は、回転モータ322及びドライブホイール318の移動を追跡し、そのデータをコンピュータ540に送信する。駆動歯車332は、回転台ポスト337(図5(b)参照)を軸に回転する駆動歯車334と噛み合っている。駆動歯車334は駆動歯車336に噛み合い、駆動歯車336はドライブホイール318に連結している。各駆動歯車330,332,334,336をこのように配置することによって、回転モータ322はドライブホイール318を回転させてスパッタターゲットを回転させることができる。さらに、サイズの異なったスパッタターゲットに適用するためにドライブホイール318を矢印C方向又は矢印C′方向に円弧状に移動させることができる。
【0031】
図5(c),(d)に示すように、駆動歯車336に連結されたドライブホイール318だけでなく駆動歯車334及び駆動歯車336は、回転台ポスト337を軸に回転する回転アーム338に設けられた軸を中心に回転する。一端を回転板304の裏面に固定し他端を回転アーム338に接続して引張ばね340が設けられている。この引張ばね340は、ドライブホイール318とスパッタターゲット342とを機械的に接触させる機械的張力を発生するものである。回転アーム338は、図5(c)に示すように矢印C方向又は矢印C′方向に回動する。回転アーム338を動かすことによって、コンピュータ制御PTF装置100において、大きさの異なったスパッタターゲットを適用することができる。ドライブホイールの追加に伴って、回転アームも追加してもよい。ドライブホイール318及びアイドラーホイール320には、例えばスパッタターゲット342を保持する円周縁が設けられている。このようにして、例えばスパッタターゲット342は、ドライブホイール318及びアイドラーホイール320の円周縁に保持されてターゲットテーブル106の上方に載置される。したがって、スパッタターゲットは、回転中にターゲットテーブル106によって引っ掻かれることがない。
【0032】
図6は、コンピュータ制御PTF装置100の平面図である。ターゲットテーブル106に形成された楕円形の穴344によって、回転板304上に取り付けられたドライブホイール318及びアイドラーホイール320は、スパッタターゲットをターゲットテーブル106の表面上方に位置付け、保持することができる。ターゲットテーブル106の下方に配置され、ドライブホイール318及びアイドラーホイール320を備えた回転板304は、上記楕円形の穴344によって矢印B方向又は矢印B′方向に移動可能となる。これにより、大きさの異なったスパッタターゲットを載置して、このスパッタターゲット上の異なる位置における測定が可能となる。このようなコンピュータ制御PTF装置100によれば、回転板304が矢印B方向又は矢印B′方向に移動されてスパッタターゲットの所定位置が磁界検出部202の下側に位置付けられ、そこで測定が行なわれる。
【0033】
図7に示すように、スパッタターゲット342は、磁界発生源400と磁界検出部202との間に配置される。磁界発生源400は、ベース部材102上に備えられた回転可能な台座402上に設けられている。磁界発生源400は、好ましくは馬蹄形磁石である。コンピュータ制御PTF装置100のオペレータは、例えば、ASTM1761又はASTM2086によって規定されているように磁界発生源400を回転して測定することができる。スパッタターゲット342は、好ましくはドライブホイール318及びアイドラーホイール320によって保持される。このように配置することによって、ドライブホイール318が駆動し、対応するアイドラーホイール320が駆動すると、スパッタターゲット342はターゲットテーブル106と接触することなく回転する。これにより、スパッタターゲット342は、回転中に、スパッタターゲット342によって引っ掻かれない。さらに、図4に関して上述したように、回転板304は、磁界検出部202の下側にスパッタターゲット342を位置付けるために、矢印B方向又は矢印B′方向に水平に移動される。磁界検出部は、スパッタターゲット342及び磁界発生源400に対して矢印A方向又は矢印A′で示す垂直方向に移動される。
【0034】
図8は、本発明の様々な実施形態によるPTF測定装置100の動作を制御するコンピュータ制御システム500のブロック図である。図8に示すように、横送りエンコーダ316、横移動モータ302、位置エンコーダ210、調整モータ206、回転エンコーダ324及び回転モータ322が制御プロセサ510に通信可能に接続されている。したがって、各エンコーダ210,316,324、及び各モータ206,302,322と制御プロセサ510との間でデータ及び指令のやり取りが行なわれる。制御プロセサ510は、通信手段520によって通信網530と通信可能に接続されている。制御プロセサ510は、コンピュータ540からの指令を受信し、各モータ206,302,322に適宜オン又はオフの指示を出し、各エンコーダ210,316,324によって集められたデータを読み込み、又は「ホーム」から、或は横移動モータ302及び調整モータ206のホームスイッチから初期化情報を受け取るようになっている。コンピュータ540は、通信手段520を使用して通信網530に接続され、外部のデータベース550と通信可能となっている。
【0035】
データベース550には、スパッタターゲットを測定して得られたデータを保存することができる。上記データには、部品番号、ロット番号、プレートナンバー、ターゲット番号、印加磁界、平均磁束密度、磁束密度の範囲、最小磁束密度、最大磁束密度、又は平均PTF%、それら諸値のいくつかの組合せ、或は他の適当な測定値又はデータが含まれる。また、データベース550には、コンピュータ540によって作成されたスパッタターゲットPTF地図が保存される。さらに、データベース550には、所定の特性が保存されてスパッタターゲットの測定中に利用することができるようになっている。例えば、データベース550には、測定されるスパッタターゲット上の位置、測定数、磁界発生源の印加磁界、平均PTF%、平均磁束密度、磁束密度の範囲、それら諸値のいくつかの組合せ、或は他の適当な情報に関するデータが保存される。
【0036】
コンピュータ540は、パーソナルコンピュータ、ラップトップコンピュータ、メインフレームコンピュータ、ダムターミナル、パーソナルデジタルアシスタント(PDA)、無線ターミナル、携帯電話、又はネットワーク化されたパーソナルコンピューティング装置の何らかの他の形式のものである。コンピュータ540は、データを送受信すべく通信網530に接続するためのネットワークカード542を含む。さらに、コンピュータ540は、制御プログラムを実行するプロセッサ544を備え、横送りエンコーダ316、横移動モータ302、位置エンコーダ210、調整モータ206、回転エンコーダ324、回転モータ322、制御プロセッサ510、データベース550又は通信網530に接続された他のデータ記憶装置、例えば磁界検出部202、テスラメータ560、磁界プローブ570等の磁界検出部、それらいくつかを組み合わせたもの、或は他の適当な装置からデータを取得する。PTF測定データ、スパッタターゲットの地図、又は他の適当なデータや情報は、表示部546上に表示されてオペレータに提示される。
【0037】
図8に示す実施形態においては、コンピュータ540は、テスラメータ560及び磁界プローブ570に通信可能に接続されている。この場合、磁界プローブ570はスパッタターゲットを透過した磁界強度を検出し、テスラメータ560はプローブから入力された磁界情報を解釈して定量化し、コンピュータ540へその集めたデータを送る。他の実施形態においては、テスラメータ560及び磁界プローブ570は、図1〜図3及び図7に示す磁界検出部202のような磁界検出部として一つの装置の中に組み込まれている。他の実施形態においては、テスラメータ560はガウスメータに置き換えることができる。
【0038】
図9は自動化されたPTF測定方法600を示すフローチャートである。先ず、ステップ602においては、例えば図8に示すデータベース550に保存されたターゲット特性や、顧客又はオペレータによって提供されたターゲット特性が集められる。ここで、上記特性は、例えばスパッタターゲットの所望のPTF特性、所望の測定数、スパッタターゲット上の測定位置、スパッタターゲットに適用される磁界の大きさ、測定されるターゲットの許容磁束密度範囲、測定されるターゲットの平均磁束密度、それら諸値のいくつかを組み合わせたもの、又は他の適当な情報に関するものである。次に、ステップ604においては、横移動モータ302及び調整モータ206が初期化される。各モータは、スタート位置を示すホームスイッチを備えている。これらスイッチは、滑り棒軸受組立体218が滑り棒220に沿って少なくとも一つ予め設定された位置まで機械的に移動した際に、又は回転板横移動軸受組立体308が回転板横移動部306上を少なくとも一つ予め設定された位置まで移動した際に起動する。これにより、スイッチから図8に示す制御プロセッサ510又はコンピュータ540に初期設定信号が送られる。横送りエンコーダ316、位置エンコーダ210及び回転エンコーダ324も、制御プロセッサ510又はコンピュータ540によって初期化される。次に、ステップ606においては、調整モータ206が起動され、磁界検出部202が磁界発生源400からの磁界を受けて、例えばデータベース550に保存された所定のガウス磁界強度(即ち、磁界強度)に達成するまで移動される。ステップ608においては、コンピュータ540によって、ターゲット342が磁界検出部202の下に位置付けられたか否かが判定される。ここで、ターゲット342が磁界検出部202の下に位置していない場合には、ステップ610においてオペレータに対して警告が発せられる。さらに、ステップ612においてPTF測定試験は異常終了する。
【0039】
スパッタターゲット342が磁界検出部202の下に位置付けられている場合には、ステップ614に進んで、制御プロセッサ510又はコンピュータ540によって横移動モータ302が起動され、スパッタターゲット342が磁界検出部202の下まで移動されて予め設定された第1番目の測定位置に位置付けられる。次に、ステップ616においては、磁界強度(即ち、ガウス磁界強度)が磁界検出部202、又はテスラメータ560及び磁界プローブ570によって集められ、通信手段520を通じてデータベース550に送られ、コンピュータ540で処理される。ステップ618においては、磁界検出部202を使用してスパッタターゲットに予め設定された全ての位置の測定が終了したか否かがコンピュータ540で判定される。ここで、スパッタターゲットに予め設定された全ての位置の測定がまだ終了していない場合には、ステップ620に進んで、コンピュータ540は、回転モータ322及びドライブホイール318を起動して、スパッタターゲット342を次の測定位置まで回転させる。そして、ステップ616に戻って、磁界強度のデータを集める。予め設定された全ての位置の測定が終了した場合には、ステップ622に進んで、PTF%がコンピュータ540によって計算され、この計算値がデータベース550に保存された所定の特性値と比較される。次に、ステップ624においては、測定されたターゲットのPTF%がデータベース550に保存された所定の特性値と一致するか否かがコンピュータ540で判定される。ターゲットのPTF%が所定の特性値と一致しない場合には、ステップ626に進んで、測定データがデータベース550に保存される。そして、例えば、平均PTF、最大PTF、最小PTF、ターゲットが特性値と一致したこと、ターゲットが特性値に一致しなかったこと、又は他の適当な情報等の測定結果が表示され、オペレータに通知される。ターゲットが所定の特性値と一致した場合にも、データは表示されてオペレータに通知される。
【0040】
図10はPTFを地図化する方法700を示すフローチャートである。先ず、ステップ702において、ターゲット特性がコンピュータ540によってデータベース550から検索される。次に、ステップ704において、横移動モータ302及び調整モータ206が制御プロセッサ510又はコンピュータ540によって初期化される。横送りエンコーダ316、磁界検出部の位置エンコーダ210及び回転エンコーダ324も、制御プロセッサ510又はコンピュータ540によって初期化される。次に、ステップ706においては、調整モータ206が制御プロセッサ510又はコンピュータ540によって駆動される。また、磁界検出部202又は磁界プローブ570が磁界発生源400の印加磁界を受けて、データベース550に保存された所定の磁界強度(即ち、ガウス磁界強度)に達するまで矢印A方向又は矢印A′方向に移動される。さらに、スパッタターゲットが磁界検出部の下側の位置まで移動される。ステップ708においては、スパッタターゲット342が磁界検出部202の下に位置付けられたか否かをコンピュータ540で判定する。ターゲット342が磁界検出部202の下に位置付けられていない場合には、ステップ710においてオペレータに対して警告が発せられる。さらに、ステップ712においてPTF測定試験は異常終了する。
【0041】
スパッタターゲット342が磁界検出部202の下に位置付けられている場合には、ステップ714に進んで、コンピュータ540によって横移動モータ302が起動され、スパッタターゲットが磁界検出部202の下まで移動されて予め設定された第1番目の測定位置に位置付けられる。次に、ステップ716においては、磁界強度(即ち、ガウス磁界強度)が磁界検出部202又は磁界プローブ570によって集められ、通信手段520を通じてデータベース550に送られる。ステップ718においては、スパッタターゲットについて予め設定された全ての位置において磁界検出部202による測定が終了したか否かが判定される。ここで、スパッタターゲットに予め設定された全ての位置の測定がまだ終了していない場合には、ステップ720に進んで、コンピュータ540は、回転モータ322を起動して、スパッタターゲット342を次の測定位置まで回転させる。そして、ステップ716に戻って、さらに磁界測定を行い、ガウス磁界強度のデータを集める。予め設定された全ての位置の測定が終了した場合には、ステップ722に進んで、ターゲットの測定が完了したか否かがコンピュータ540によって判定される。ターゲット342の測定が完了していない場合には、ステップ724に進んで、コンピュータ540は横移動モータ302を起動してターゲット342を移動させ、磁界検出部202の下に次に指定された測定位置を位置付ける。そして、ステップ716に戻る。ターゲット342の測定が完了した場合には、ステップ726に進んでPTF%が計算され、この計算値が設定されてデータベース550に保存された特性値と比較される。次に、ステップ728においては、コンピュータ540によって計算されてスパッタターゲット342の磁気特性地図が作成される。ステップ730においては、上記地図と計算結果がコンピュータ540に接続された表示部546に表示されてオペレータに示される。例えば、スパッタターゲットの磁気特性地図の表示は、図11に示すスパッタターゲット表示画面800のようなものである。
【0042】
磁気特性の地図化の一実施形態においては、スパッタターゲット上の128の異なった位置が測定される。コンピュータ制御PTF装置100は、図4、図6及び図7に示す矢印B方向又は矢印B′方向に回転プレートを移動させるだけでなく、ドライブホイール318の動作を制御してスパッタターゲットを回転させる。代表的な実施形態においては、16点の磁束測定がスパッタターゲットの外縁部に予め指定された円周リング状の領域に沿って行なわれる。これら16点の測定は、上記リング状の領域に沿って互いに等間隔、又は適当な距離を置いて、異なった方角で行なわれる。これら16点の測定が完了すると、コンピュータ540は、回転プレート304を移動させるように横移動モータ302に命じ、磁界検出部202を上記リング状の領域からスパッタターゲットの中心方向に移動した位置に位置付ける。そして、再び、16点の測定が上記円周リング状の領域の内側で行われる。リング状の領域に沿ったスパッタターゲットを測定するこの工程は、128点の異なった測定が完了するまで実行される。集められた測定データは、データベース、例えば外部のデータベース550に保存され、図11のスパッタターゲット表示画面800のような地図を作成するために使用される。
【0043】
図11は本発明の代表的な実施形態による、オペレータに提示されるスパッタターゲットの表示画面800の一例を示すものである。表示画面800には、スパッタターゲットの部品番号802、スパッタターゲットのロット番号804、プレートナンバー806及びターゲット番号808のような情報が示される。磁界プローブ570及びテスラメータ560(又は磁界検出部202のような単一の磁界検出装置)、及び回転エンコーダ324、位置エンコーダ210、又は横送りエンコーダ316と、通信手段520を介して通信可能に接続された制御プロセッサ510によって、上記各装置からデータが集められて計算され、テキストボックス810に印加磁界が、テキストボックス812に平均磁束密度測定値が、テキストボックス814に平均PTF%が、テキストボックス816に測定された磁界の磁束密度の範囲が、テキストボックス818にターゲットの測定された磁界の最小磁束密度が、またテキストボックス820にターゲットの測定された磁界の最大磁束密度が表示される。地図の凡例822は平均値を示すものであり、ターゲット地図824の特定エリアが、個々の平均測定値以上である又は以下であることを示している。
【0044】
添付図面に関する記載は、本発明の様々な実施形態を説明することを意図したものであって、本発明を実施可能な唯一の実施形態を示したものではない。以上の説明においては、本発明の理解を深めることを目的として特定事項を含んでいるが、本発明はこれら特定事項がなくても実施でき、それは技術に精通している者に自明である。一部、周知な構造及び要素が本発明の概念を明瞭にするためにブロック図で示されている。
【0045】
開示されているプロセスにおいて、各ステップの特定の順番又は階層は、代表例を示したものである。設計を優先する場合には、本開示の範囲を維持しながらも、プロセスの各ステップの特定の順番又は階層を入れ替えてもよい。他の方法においては、一順番例として開示された上記各ステップの要素を要求するが、開示された特定の順番又は階層に制限されない。
【0046】
様々な実例となる論理ブロック、モジュール、回路、要素、及び/又はここに開示された実施形態に関して記載された構成要素は、汎用プロセッサ、デジタルシグナルプロセッサ(DSP)、特定用途向けIC(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)又は他のプログラマブルロジック要素、離散的なゲート又はトランジスタロジック、離散的なハードウェアの構成、又はここに記載された機能を実行することを意図してそれらのいくつかを組み合わせて実施できる。汎用プロセッサは、マイクロプロセッサであってもよく、別の方法では、プロセッサはいくつかの従来のプロセッサ、コントローラ、マイクロコントローラ、或は状態機械であってもよい。さらに、プロセッサは、演算器の組み合わせ、例えばDSPと、マイクロプロセッサ、複数のマイクロプロセッサ、DSPコアに接続された1個以上のマイクロプロセッサ、又は他の同様な構成との組合せとして実施してもよい。
【0047】
ここに開示された実施形態に関して記載されている方法又はアルゴリズムは、ハードウェア、プロセッサによって実行されたソフトウェアモジュール、又は上記二つの組合せでそのまま実施されてもよい。ソフトウェアモジュールは、RAMメモリ、フラッシュメモリ、ROMメモリ、EPROMメモリ、EEPROMメモリ、レジスター、ハードディスク、可搬性ディスク、CD−ROM、又は技術的に周知の他の形式の記憶媒体に保存されていてもよい。記憶媒体をプロセッサに接続して、このプロセッサによって記憶媒体から情報を読出し、記憶媒体に情報を書き込むようにしてもよい。別の方法では、記憶媒体はプロセッサに不可欠なものである。
【0048】
以上の説明によれば、当業者はここに記載された様々な実施形態を実行することができる。これら実施形態の様々な改良は、技術に精通している者にとって容易である。また、ここに規定されている一般的な原理は、他の実施形態においても適用することができる。したがって、請求項は、ここに示された実施形態に制限されることを意図していないが、請求項の文言と一致する十分な範囲を許容する。ここで、単数の要素への言及は、特にそのような状態にある場合を除いて、「一つ及び一つだけ」を意味するものでなく、むしろ「一つ以上」を意味するものである。当業者に周知の又は周知となった後のこの開示の中に記載された様々な実施形態の要素に等価な全ての構造及び機能は、参照することによりここに組み込まれ、請求項に包含される。さらに、ここに開示されていないものは、そのような開示が請求項で明示的に記載されているかどうかにかかわらず公にするように意図されている。請求項に記載されていない要素は、その要素が「手段」の文言を使用して明示的に記載され、又は方法の請求項の場合には「ステップ」の文言を使用して記載されているときを除いて、米国特許法第35巻第112条第6項に基づいて解釈される。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】本発明の実施形態によるコンピュータ制御PTF測定装置の概略構成を示す右側面図である。
【図2】本発明の実施形態によるコンピュータ制御PTF測定装置の概略構成を示す左側面図である。
【図3】本発明の実施形態によるコンピュータ制御PTF測定装置の移動可能な磁界検出部組立体を示す部分概要図である。
【図4】本発明の実施形態によるコンピュータ制御PTF測定装置の横移動部及び回転モータ並びにそれらに関連する歯車を示す部分側面図である。
【図5】本発明の実施形態によるコンピュータ制御PTF測定装置の駆動歯車組立体の動作を示す説明図であり、(a)は左側面図、(b)は平面図、(c)は回転アームの動作を示す図、(d)は底面図である。
【図6】本発明の実施形態によるコンピュータ制御PTF測定装置の平面図である。
【図7】本発明の実施形態によるコンピュータ制御PTF測定装置の磁界発生源と磁界検出部とに対するスパッタターゲットの配置例を示す部分概要図である。
【図8】本発明の実施形態によるPTF測定装置の動作を制御する制御装置を示すフブロック図である。
【図9】本発明の実施形態において、PTFを自動測定する方法を説明するフローチャートである。
【図10】本発明の実施形態において、スパッタターゲットのPTFを自動測定し、その結果を地図化する方法を説明するフローチャートである。
【図11】本発明の実態様における、解析されたスパッタターゲットのPTF測定地図の例を示す説明図である。
【符号の説明】
【0050】
100…コンピュータ制御PTF測定装置
106…ターゲットテーブル
200…磁界検出部組立体(自動スタンド機構)
202…磁界検出部
300…横移動部及び回転組立体(自動スタンド機構)
318…ドライブホイール
320…アイドラーホイール
342…スパッタターゲット
400…磁界発生源
402…台座
510…制御プロセッサ
【技術分野】
【0001】
本発明は、スパッタターゲットの磁場透過率(以下、簡略のために、「Pass Though Flux」の短縮形であるPTFと記載する)特性を測定する方法及びその装置に関し、特に、本発明は、スパッタターゲットの自動PTF測定方法及びその装置に関する。
【背景技術】
【0002】
スパッタリングプロセスは、所望の基板上に材料の薄膜を成膜するために広く使用されている。代表的なスパッタリング装置は、電子やイオンビームの発生源と、原子の状態にされる材料を含むターゲット材と、スパッタされた材料が成膜される基板とを含んで構成されている。そのプロセスにおいては、ターゲット材がスパッタされ又は侵食される角度でターゲット材に電子やイオンビームを衝突させる。その結果、基板上にスパッタターゲット材が薄膜状又は層状に成膜される。スパッタターゲット材は、純金属から様々な複雑な合金までの範囲に渡って製造される。
【0003】
マグネトロンスパッタリングは、ターゲット材(カソード)の背後に永久磁石又は電磁石を配置し、ターゲットに磁界を作用させることができるようになっている。印加磁界は、ターゲットを透過し、ターゲットの表面に放電プラズマを集中させる。これにより、ターゲットの最表面は、ターゲット原子の状態にされ、その後、このターゲット原子がターゲットに隣接して配置された薄膜デバイス上に堆積される。
【0004】
磁気ターゲット材のマグネトロンスパッタリングは、エレクトロニクス産業、特に、半導体やデータ記憶装置の製造分野においてに非常に普及している。しかしながら、このようにターゲット材が磁性合金の場合には、その軟磁気特性により、ターゲット材内部で印加磁界の大部分が短絡される。これにより、磁界が短絡して形成された侵食溝内に透過した磁界が集中するため、ターゲット利用率が低下する。上記磁界の集中による悪影響は、材料の透磁率が上昇して材料のPTFが低下するほど大きくなる。
【0005】
一方、ターゲット材の透磁率が下がると、侵食の形態はあまり深刻な状態とならない。したがって、ターゲット材の利用効率が向上し、原料コストの低減に寄与する。また反対に、ターゲットの侵食形態が深刻な状態となると、スパッタリング現象が一点を起点に発生し、最適な成膜厚みの均一性を損なうことになる。したがって、ターゲット材の透磁率を下げることは、成膜厚みを均一にさせることにも役立つ。
【0006】
スパッタターゲットのPTFは、印加磁界に対する透過した磁界の比率により決まる。PTF値の100%は非磁性体を示す。この場合、印加磁界の殆どがターゲット材で短絡されない。磁性ターゲット材のPTF値は、一般に0%〜100%の範囲にあり、商業的に生産される大部分の材料はPTF値が30%〜100%のものである。
【0007】
PTFを測定するには異なった様々な技術がある。その技術の一つは、0.44(+/−0.04)テスラの棒磁石をターゲット材の一面に接触させて配置し、ターゲット材の反対面に接触させた軸状のホールプローブを使用して、透過した磁界を検出するものである。PTFは、ターゲット材を透過した磁界の最大値を磁石とプローブとの間にターゲットがない場合の印加磁界の強度で除算したもので定義される。なお、ターゲットがない場合の磁石とプローブとの間の距離は、ターゲットがある場合と同じ距離に維持されている。PTFは、割合又はパーセントのいずれかで表現される。
【0008】
PTFを測定するための他の技術は、馬蹄形磁石と横型、つまりトランスバース型ホールプローブを使用して行なうものである。磁石とプローブとの配置を異ならせて測定されたPTF値は、産業界で一般的に利用されている磁界強度の値とよい直線的相関性を呈することが分かっている。PTFの測定技術は、実際のマグネトロンスパッタリング装置において発生する印加磁界に近づけるべく構築されている。したがって、PTFの測定結果は、マグネトロンスパッタリング中におけるターゲット材の性能に対する直接指標として適用することができる。
【0009】
磁性材料のPTFや透磁率は、相互排他的なものではない。それよりもむしろ、磁性材料のPTFと最大透磁率との間には、非常に強い逆の相関性がある。材料の透磁率の値は、ASTM標準のA894−89による振動試料型磁力計(VSM)技術を使用して極めて正確に測定することができる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
現在、PTFの測定は手動操作されるPTF装置によって遂行されている。ASTMのF1761−00及びASTMのF2086−01標準には、磁場透過率の試験方法が説明されている。ターゲットは、手動により回転されて30,60,90及び120°の角度に位置付けられる。また、磁界が手動で測定され、その値が角度毎に記録される。オペレータは、上記標準によって指定された測定装置における被測定ターゲットに対する蹄鉄形磁石の異なる配置を手動で調整しなければならない。このようにPTF測定装置を手動設定及び操作するために、スパッタターゲット全面のPTF特性を正確に測定することは困難であり、時間がかかっている。したがって、ターゲットの測定には限界があり、オペレータはスパッタターゲットの特定の部分に存在する欠陥を検知することができない可能性がある。さらに、代表的な手動式のスパッタターゲット測定装置は、ターゲットテーブルの表面にスパッタターゲットを直接保持するようになっている。したがって、上記代表的な手動式測定装置を使用して行なう測定においては、ターゲットを各角度に配置するために回転する際、スパッタターゲットの表面をターゲットテーブルの表面によって引っ掻いてしまう可能性がある。
【0011】
そこで、スパッタターゲットの自動PTF測定装置及び方法が求められている。また、スパッタターゲットの測定地図の作成が可能な自動PTF測定装置及び方法が求められている。さらに、スパッタターゲットを回転して行なう測定中にも、スパッタターゲットの表面を引っ掻くことのないような自動PTF測定装置が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の様々な実施形態は、代表的なPTF測定装置及び方法における上述の諸問題点を解決しようとするものである。本発明の一実施形態は、スパッタターゲットのPTF測定装置に関し、同装置はスパッタターゲットを通り抜ける磁界を発生する磁界発生源と、前記磁界を測定するように設けられた磁界検出部と、前記スパッタターゲット又は前記磁界検出部の一方又は両方を移動させるように設けられた自動スタンド機構と、を備えて構成されるものである。
【0013】
さらに、本発明の他の実施形態は、スパッタターゲットのPTFを測定する方法に関し、同方法は、スパッタターゲットの一方の側面で磁界を発生させ、該磁界を、スパッタターゲットを透過させてスパッタターゲットの他方の側面に出力させ、磁界検出部により前記スパッタターゲットの前記他方の側面で磁界を測定し、自動スタンド機構を使用して測定中に前記スパッタターゲット又は前記磁界検出部の一方又は両方を移動させることによりスパッタターゲットのPTFを測定するものである。
【0014】
本発明の各実施形態は、スパッタターゲットを透過した磁界を測定するものである。PTFは、強磁性スパッタターゲットの一方の面から反対面まで透過した磁界から求められる。磁界発生源は、被測定ターゲットの半径方向にある。基準磁界は、スパッタターゲットが測定装置上に配置されてない時に磁界検出部で測定される磁界である。磁界強度は、磁界発生源に対する磁界検出部の高さ及び位置に依存する。磁界発生源の磁界は、自動化されたターゲット保持テーブルの上面で磁界検出部によって測定された磁界である。
【0015】
被測定スパッタターゲットは、自動化された測定装置の上方において少なくとも一つのドライブホイールと少なくとも二つのアイドラーホイールとの間に配置される。直径及び厚みの異なる様々なスパッタターゲットが自動PTF測定装置に供給され、測定装置に配設された磁界発生源と位置合わせされる。自動PTF測定装置は、スパッタターゲットの下側に配設された回転可能な台座に搭載された蹄鉄形永久磁石を備えている。そして、磁界検出部が、スパッタターゲットを貫通して反対面から空間に出る磁界を測定するために使用される。
【0016】
本発明の各実施形態においては、コンピュータによって、各PTF測定値を基準磁界で除算し、この商に100を乗算してターゲットの磁場透過率の百分率(PTF%)が測定される。最大及び最小PTF%を特定するために、データがコンピュータによって解析される。また、プロセッサによって、PTF%値が平均されて平均PTF%が求められる。さらに、本発明の各実施形態においては、測定された各ターゲットについて、ターゲットの各位置及び各配向角で測定されたPTF%値がデータ記憶装置又はデータベースに保存され、オペレータに対して表示される。測定された各ターゲットについて、平均PTF%がオペレータに対して表示され、さらにデータ記憶装置又はデータベースに保存される。各実施形態においては、コンピュータによって、最大及び最小のPTF%値が特定され、そのターゲット上の位置が特定される。ターゲットから集められたPTF%値の範囲及びそれらの位置が計算され、画面上に表示されてオペレータに示される。一実施形態においては、コンピュータによって、上記範囲が平均値で除算され、その結果がオペレータに示される。これらの結果もデータ記憶装置又はデータベースに保存することができる。
【0017】
本発明の代表的な実施形態によれば、磁石と磁界検出部に対するスパッタターゲットの位置の操作を自動制御することができる。また、本発明の代表的な実施形態によれば、スパッタターゲットのPTF測定精度及び再現性を向上することができる。さらに、従来のPTF測定における手作業を最小限にして、PTFを自動測定することができる。スパッタターゲットの自動制御PTF測定装置によれば、プロセッサ及びデータベースのデジタルデータ記憶装置を使用して、測定中に集められたデータをデジタル記録することができる。この場合、プロセッサによって、上記データを利用してスパッタターゲットのPTF特性を正確に地図化することができ、それらをオペレータに示すことができる。さらに、自動PTF測定装置によれば、少なくとも一つのドライブホイール及び少なくとも二つのアイドラーホイールによってターゲットテーブルの上方にスパッタターゲットを保持することができ、故に、ターゲットテーブルによってスパッタターゲットの表面が引っ掻かれる等の不具合を防止することができる。
【0018】
本発明の他の実施形態は、実例により本発明の実施形態を説明し又記載した以下の詳細な説明に基づいて、その技術に精通した者が容易に想到することができるであろう。本発明に基づいて他の実施形態及び異なった実施形態を実現することができることは自明である。また、本発明の技術的思想及び範囲を逸脱しなければ、各箇所を変形することができる。したがって、図面及び詳細な記載は、具体的な実例として見なされるべきであり、限定的なものとしてみなされるべきでない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
添付図面に基づいて以下に詳述されている事項は、本発明の様々な実施形態の説明を意図としたものであり、本発明の実施が可能なただ一つの実施形態を表わすように意図したものではない。詳述された事項には、本発明の理解を深めるために特定の事項を含んでいる。しかし、本発明がこれらの特定事項に限定されないことは、当該技術に精通した者にとって自明である。いくつかの例示において、周知な構造及び構成要素は、本発明の概念を不明瞭にしないために、ブロックダイヤグラム形式又は部分的な概要図で示されている。
【0020】
図1は本発明によるコンピュータ制御PTF測定装置100の一実施形態の概略構成を示す右側面図であり、図2はその左側面図である。
【0021】
コンピュータ制御PTF測定装置100はベース部材102を備えている。テーブル支持部材104が一端部をベース部材102上に固定し、他端部をターゲットテーブル106に固定して設けられている。このテーブル支持部材104はベース部材102と共にターゲットテーブル106を支持するものである。また、プローブ滑り棒支持構造体108がベース部材102に固定されており、テーブル支持部材104と同様にターゲットテーブル106を支持するようになっている。本実施形態において、装置の構成部材、例えばベース部材102、テーブル支持部材104、ターゲットテーブル106、プローブ滑り棒支持構造体108には、非磁性材が使用され、例えば磁界発生源400などの磁界発生源の磁気特性に影響を与えることなく装置を動作させることができるように成っている。
【0022】
コンピュータ制御PTF測定装置100は、スパッタターゲットのPTFを測定するために磁界検出部を移動できるように成っている。磁界検出部202は、磁界検出部保持機構204内に設けられている。この磁界検出部202は、ガウスメータや、テスラメータ、又は他の適当な磁界測定装置から成っている。図8に示すようないくつかの代表的な実施形態においては、磁界検出部は、磁界を検知する磁界プローブ及び磁界を測定するガウスメータ又はテスラメータの両方で構成される。
【0023】
図3はコンピュータ制御PTF測定装置100の移動可能な磁界検出部組立体200を示す部分概要図である。磁界検出部202は、垂直面内を矢印A方向又は矢印A′方向に移動可能とされ、ターゲットテーブル106上又は上方に置かれたスパッタターゲットの測定位置に位置付けることができるようになっている。調整モータ206は、図8に示すコンピュータ540によって制御され、磁界検出部202を矢印A方向又は矢印A′方向に移動させる駆動力を供給するものである。
【0024】
磁界検出部調整アーム212は、滑り棒軸受組立体218に接続されている。滑り棒軸受組立体218は、プローブ滑り棒支持構造体108に固定された滑り棒220の途中に停止している。また、滑り棒軸受組立体218は、磁界検出部調整アーム212によって案内されて滑り棒220に沿った垂直方向に移動するようになっている。調整モータ206によって歯車214が回転すると、調整送りねじ216が回転して磁界検出部調整アーム212を矢印A方向又は矢印A′方向に移動させる。したがって、調整モータ206によって歯車214が回転されて調整送りねじ216が回転すると、磁界検出部調整アーム212は滑り棒220に沿って滑り棒軸受組立体218を移動させる。磁界検出部保持機構204が滑り棒軸受組立体218に接続されているので、磁界検出部202は矢印A方向へ移動することになる。また、調整モータ206が反転した場合には、磁界検出部202はA′方向に移動する。
【0025】
さらに、調整モータ206が駆動されて磁界検出部調整アーム212が矢印A方向又は矢印A′方向に移動すると、位置エンコーダ210は磁界検出部202の移動を追跡する。調整モータ206には、ホームスイッチが設けられており、スパッタターゲットの移動又は測定開始前に、滑り棒軸受組立体218を滑り棒220に沿って少なくとも一つ予め設定された位置まで移動させてスタート位置を初期化することができるようになっている。これにより、位置エンコーダ210は、調整モータ206の駆動を記録するとともにその初期位置を記録する。
【0026】
図4はコンピュータ制御PTF測定装置100の横移動部及び回転組立体300の部分側面図である。コンピュータ540からの指令を受信すると、横移動モータ302は、回転板304を矢印B方向又は矢印B′方向に移動させ、スパッタターゲットを磁界検出部の下にて磁界発生源の上方に位置付けてPTF測定が行えるようにする。
【0027】
回転板横移動部306は、ターゲットテーブル106の下方に設けられている。回転板304は回転板横移動軸受組立体308につながれており、この回転板横移動軸受組立体308は回転板横移動部306の途中に停止している。この回転板横移動軸受組立体308は、回転板304を回転板横移動部306に沿って矢印B方向又は矢印B′方向に移動させることができる。回転板横移動アーム310がその一端部を回転板304に固定し、反対側端部を横送りねじ312に接続して設けられている。横移動モータ302は、回転板横移動アーム310及び回転板304を動かす横送りねじ312に接続された横送り歯車314を回転させる。
【0028】
横移動モータ302には、ホームスイッチが設けられており、スパッタターゲットの移動又は測定開始前に、横移動モータ302のスタート位置を初期化することができるようになっている。横移動モータ302のホームスイッチは、回転板横移動軸受組立体308を回転板横移動部306に沿って少なくとも一つ予め設定された位置まで移動させてスタート位置を初期化するためのものである。横移動モータ302は、コンピュータ540からの指令を受けて横送り歯車314を回転させる。横送りエンコーダ316は、横移動モータ302の駆動を記録するとともにその初期位置を記録する。横移動モータ302が駆動されて回転板横移動アーム310が矢印B方向又は矢印B′方向へ移動すると、横送りエンコーダ316は回転板304の移動を追跡する。
【0029】
回転板304の上面側には、様々な大きさのスパッタターゲットを保持することができるように、ドライブホイール318及びアイドラーホイール320が締結されている。図1、図2及び図4〜図7には、ドライブホイール318が一つだけで示されているが、スパッタターゲットを保持し、また回転させるために複数のドライブホイールを使用してもよい。この場合、回転モータ322から追加されたドライブホイールまで動力を供給するために必要に応じて駆動歯車を追加してもよい。同様に、スパッタターゲットを保持するために少なくも二つのアイドラーホイールを使用してもよい。ターゲットテーブル106の面には、例えば図6に示すような楕円形の穴344が形成されており、ドライブホイール318及びアイドラーホイール320が通り抜けできるようになっている。ドライブホイール又はアイドラーホイールの追加に伴い、楕円形の穴を追加して設けてもよい。回転モータ322及び回転エンコーダ324が回転板304の下側に設けられている。また、ドライブホイール318を移動させる回転台調整部326が設けられている。この回転台調整部326は、ドライブホイール318を例えば図5(c)に示す矢印C方向又は矢印C′方向に移動させてドライブホイール318と少なくとも二つのアイドラーホイール320の接点内に大きさの異なるスパッタターゲットを配置できるようにするものである。ドライブホイールの追加に対応するように、回転台調整部をさらに設けてもよい。駆動歯車328は、ドライブホイール318を回転させてスパッタターゲットを回転し、予め設定された複数の位置で異なるPTF測定を可能にするものである。
【0030】
図5(a)〜(d)は回転モータ322によって駆動される駆動歯車328の動作を示す説明図である。上述したように、ドライブホイールの追加に伴って、駆動歯車も追加する必要が生じ得る。回転モータ322に連結された駆動歯車330は、回転エンコーダ324に取り付けられた駆動歯車332に噛み合っている。回転エンコーダ324は、回転モータ322及びドライブホイール318の移動を追跡し、そのデータをコンピュータ540に送信する。駆動歯車332は、回転台ポスト337(図5(b)参照)を軸に回転する駆動歯車334と噛み合っている。駆動歯車334は駆動歯車336に噛み合い、駆動歯車336はドライブホイール318に連結している。各駆動歯車330,332,334,336をこのように配置することによって、回転モータ322はドライブホイール318を回転させてスパッタターゲットを回転させることができる。さらに、サイズの異なったスパッタターゲットに適用するためにドライブホイール318を矢印C方向又は矢印C′方向に円弧状に移動させることができる。
【0031】
図5(c),(d)に示すように、駆動歯車336に連結されたドライブホイール318だけでなく駆動歯車334及び駆動歯車336は、回転台ポスト337を軸に回転する回転アーム338に設けられた軸を中心に回転する。一端を回転板304の裏面に固定し他端を回転アーム338に接続して引張ばね340が設けられている。この引張ばね340は、ドライブホイール318とスパッタターゲット342とを機械的に接触させる機械的張力を発生するものである。回転アーム338は、図5(c)に示すように矢印C方向又は矢印C′方向に回動する。回転アーム338を動かすことによって、コンピュータ制御PTF装置100において、大きさの異なったスパッタターゲットを適用することができる。ドライブホイールの追加に伴って、回転アームも追加してもよい。ドライブホイール318及びアイドラーホイール320には、例えばスパッタターゲット342を保持する円周縁が設けられている。このようにして、例えばスパッタターゲット342は、ドライブホイール318及びアイドラーホイール320の円周縁に保持されてターゲットテーブル106の上方に載置される。したがって、スパッタターゲットは、回転中にターゲットテーブル106によって引っ掻かれることがない。
【0032】
図6は、コンピュータ制御PTF装置100の平面図である。ターゲットテーブル106に形成された楕円形の穴344によって、回転板304上に取り付けられたドライブホイール318及びアイドラーホイール320は、スパッタターゲットをターゲットテーブル106の表面上方に位置付け、保持することができる。ターゲットテーブル106の下方に配置され、ドライブホイール318及びアイドラーホイール320を備えた回転板304は、上記楕円形の穴344によって矢印B方向又は矢印B′方向に移動可能となる。これにより、大きさの異なったスパッタターゲットを載置して、このスパッタターゲット上の異なる位置における測定が可能となる。このようなコンピュータ制御PTF装置100によれば、回転板304が矢印B方向又は矢印B′方向に移動されてスパッタターゲットの所定位置が磁界検出部202の下側に位置付けられ、そこで測定が行なわれる。
【0033】
図7に示すように、スパッタターゲット342は、磁界発生源400と磁界検出部202との間に配置される。磁界発生源400は、ベース部材102上に備えられた回転可能な台座402上に設けられている。磁界発生源400は、好ましくは馬蹄形磁石である。コンピュータ制御PTF装置100のオペレータは、例えば、ASTM1761又はASTM2086によって規定されているように磁界発生源400を回転して測定することができる。スパッタターゲット342は、好ましくはドライブホイール318及びアイドラーホイール320によって保持される。このように配置することによって、ドライブホイール318が駆動し、対応するアイドラーホイール320が駆動すると、スパッタターゲット342はターゲットテーブル106と接触することなく回転する。これにより、スパッタターゲット342は、回転中に、スパッタターゲット342によって引っ掻かれない。さらに、図4に関して上述したように、回転板304は、磁界検出部202の下側にスパッタターゲット342を位置付けるために、矢印B方向又は矢印B′方向に水平に移動される。磁界検出部は、スパッタターゲット342及び磁界発生源400に対して矢印A方向又は矢印A′で示す垂直方向に移動される。
【0034】
図8は、本発明の様々な実施形態によるPTF測定装置100の動作を制御するコンピュータ制御システム500のブロック図である。図8に示すように、横送りエンコーダ316、横移動モータ302、位置エンコーダ210、調整モータ206、回転エンコーダ324及び回転モータ322が制御プロセサ510に通信可能に接続されている。したがって、各エンコーダ210,316,324、及び各モータ206,302,322と制御プロセサ510との間でデータ及び指令のやり取りが行なわれる。制御プロセサ510は、通信手段520によって通信網530と通信可能に接続されている。制御プロセサ510は、コンピュータ540からの指令を受信し、各モータ206,302,322に適宜オン又はオフの指示を出し、各エンコーダ210,316,324によって集められたデータを読み込み、又は「ホーム」から、或は横移動モータ302及び調整モータ206のホームスイッチから初期化情報を受け取るようになっている。コンピュータ540は、通信手段520を使用して通信網530に接続され、外部のデータベース550と通信可能となっている。
【0035】
データベース550には、スパッタターゲットを測定して得られたデータを保存することができる。上記データには、部品番号、ロット番号、プレートナンバー、ターゲット番号、印加磁界、平均磁束密度、磁束密度の範囲、最小磁束密度、最大磁束密度、又は平均PTF%、それら諸値のいくつかの組合せ、或は他の適当な測定値又はデータが含まれる。また、データベース550には、コンピュータ540によって作成されたスパッタターゲットPTF地図が保存される。さらに、データベース550には、所定の特性が保存されてスパッタターゲットの測定中に利用することができるようになっている。例えば、データベース550には、測定されるスパッタターゲット上の位置、測定数、磁界発生源の印加磁界、平均PTF%、平均磁束密度、磁束密度の範囲、それら諸値のいくつかの組合せ、或は他の適当な情報に関するデータが保存される。
【0036】
コンピュータ540は、パーソナルコンピュータ、ラップトップコンピュータ、メインフレームコンピュータ、ダムターミナル、パーソナルデジタルアシスタント(PDA)、無線ターミナル、携帯電話、又はネットワーク化されたパーソナルコンピューティング装置の何らかの他の形式のものである。コンピュータ540は、データを送受信すべく通信網530に接続するためのネットワークカード542を含む。さらに、コンピュータ540は、制御プログラムを実行するプロセッサ544を備え、横送りエンコーダ316、横移動モータ302、位置エンコーダ210、調整モータ206、回転エンコーダ324、回転モータ322、制御プロセッサ510、データベース550又は通信網530に接続された他のデータ記憶装置、例えば磁界検出部202、テスラメータ560、磁界プローブ570等の磁界検出部、それらいくつかを組み合わせたもの、或は他の適当な装置からデータを取得する。PTF測定データ、スパッタターゲットの地図、又は他の適当なデータや情報は、表示部546上に表示されてオペレータに提示される。
【0037】
図8に示す実施形態においては、コンピュータ540は、テスラメータ560及び磁界プローブ570に通信可能に接続されている。この場合、磁界プローブ570はスパッタターゲットを透過した磁界強度を検出し、テスラメータ560はプローブから入力された磁界情報を解釈して定量化し、コンピュータ540へその集めたデータを送る。他の実施形態においては、テスラメータ560及び磁界プローブ570は、図1〜図3及び図7に示す磁界検出部202のような磁界検出部として一つの装置の中に組み込まれている。他の実施形態においては、テスラメータ560はガウスメータに置き換えることができる。
【0038】
図9は自動化されたPTF測定方法600を示すフローチャートである。先ず、ステップ602においては、例えば図8に示すデータベース550に保存されたターゲット特性や、顧客又はオペレータによって提供されたターゲット特性が集められる。ここで、上記特性は、例えばスパッタターゲットの所望のPTF特性、所望の測定数、スパッタターゲット上の測定位置、スパッタターゲットに適用される磁界の大きさ、測定されるターゲットの許容磁束密度範囲、測定されるターゲットの平均磁束密度、それら諸値のいくつかを組み合わせたもの、又は他の適当な情報に関するものである。次に、ステップ604においては、横移動モータ302及び調整モータ206が初期化される。各モータは、スタート位置を示すホームスイッチを備えている。これらスイッチは、滑り棒軸受組立体218が滑り棒220に沿って少なくとも一つ予め設定された位置まで機械的に移動した際に、又は回転板横移動軸受組立体308が回転板横移動部306上を少なくとも一つ予め設定された位置まで移動した際に起動する。これにより、スイッチから図8に示す制御プロセッサ510又はコンピュータ540に初期設定信号が送られる。横送りエンコーダ316、位置エンコーダ210及び回転エンコーダ324も、制御プロセッサ510又はコンピュータ540によって初期化される。次に、ステップ606においては、調整モータ206が起動され、磁界検出部202が磁界発生源400からの磁界を受けて、例えばデータベース550に保存された所定のガウス磁界強度(即ち、磁界強度)に達成するまで移動される。ステップ608においては、コンピュータ540によって、ターゲット342が磁界検出部202の下に位置付けられたか否かが判定される。ここで、ターゲット342が磁界検出部202の下に位置していない場合には、ステップ610においてオペレータに対して警告が発せられる。さらに、ステップ612においてPTF測定試験は異常終了する。
【0039】
スパッタターゲット342が磁界検出部202の下に位置付けられている場合には、ステップ614に進んで、制御プロセッサ510又はコンピュータ540によって横移動モータ302が起動され、スパッタターゲット342が磁界検出部202の下まで移動されて予め設定された第1番目の測定位置に位置付けられる。次に、ステップ616においては、磁界強度(即ち、ガウス磁界強度)が磁界検出部202、又はテスラメータ560及び磁界プローブ570によって集められ、通信手段520を通じてデータベース550に送られ、コンピュータ540で処理される。ステップ618においては、磁界検出部202を使用してスパッタターゲットに予め設定された全ての位置の測定が終了したか否かがコンピュータ540で判定される。ここで、スパッタターゲットに予め設定された全ての位置の測定がまだ終了していない場合には、ステップ620に進んで、コンピュータ540は、回転モータ322及びドライブホイール318を起動して、スパッタターゲット342を次の測定位置まで回転させる。そして、ステップ616に戻って、磁界強度のデータを集める。予め設定された全ての位置の測定が終了した場合には、ステップ622に進んで、PTF%がコンピュータ540によって計算され、この計算値がデータベース550に保存された所定の特性値と比較される。次に、ステップ624においては、測定されたターゲットのPTF%がデータベース550に保存された所定の特性値と一致するか否かがコンピュータ540で判定される。ターゲットのPTF%が所定の特性値と一致しない場合には、ステップ626に進んで、測定データがデータベース550に保存される。そして、例えば、平均PTF、最大PTF、最小PTF、ターゲットが特性値と一致したこと、ターゲットが特性値に一致しなかったこと、又は他の適当な情報等の測定結果が表示され、オペレータに通知される。ターゲットが所定の特性値と一致した場合にも、データは表示されてオペレータに通知される。
【0040】
図10はPTFを地図化する方法700を示すフローチャートである。先ず、ステップ702において、ターゲット特性がコンピュータ540によってデータベース550から検索される。次に、ステップ704において、横移動モータ302及び調整モータ206が制御プロセッサ510又はコンピュータ540によって初期化される。横送りエンコーダ316、磁界検出部の位置エンコーダ210及び回転エンコーダ324も、制御プロセッサ510又はコンピュータ540によって初期化される。次に、ステップ706においては、調整モータ206が制御プロセッサ510又はコンピュータ540によって駆動される。また、磁界検出部202又は磁界プローブ570が磁界発生源400の印加磁界を受けて、データベース550に保存された所定の磁界強度(即ち、ガウス磁界強度)に達するまで矢印A方向又は矢印A′方向に移動される。さらに、スパッタターゲットが磁界検出部の下側の位置まで移動される。ステップ708においては、スパッタターゲット342が磁界検出部202の下に位置付けられたか否かをコンピュータ540で判定する。ターゲット342が磁界検出部202の下に位置付けられていない場合には、ステップ710においてオペレータに対して警告が発せられる。さらに、ステップ712においてPTF測定試験は異常終了する。
【0041】
スパッタターゲット342が磁界検出部202の下に位置付けられている場合には、ステップ714に進んで、コンピュータ540によって横移動モータ302が起動され、スパッタターゲットが磁界検出部202の下まで移動されて予め設定された第1番目の測定位置に位置付けられる。次に、ステップ716においては、磁界強度(即ち、ガウス磁界強度)が磁界検出部202又は磁界プローブ570によって集められ、通信手段520を通じてデータベース550に送られる。ステップ718においては、スパッタターゲットについて予め設定された全ての位置において磁界検出部202による測定が終了したか否かが判定される。ここで、スパッタターゲットに予め設定された全ての位置の測定がまだ終了していない場合には、ステップ720に進んで、コンピュータ540は、回転モータ322を起動して、スパッタターゲット342を次の測定位置まで回転させる。そして、ステップ716に戻って、さらに磁界測定を行い、ガウス磁界強度のデータを集める。予め設定された全ての位置の測定が終了した場合には、ステップ722に進んで、ターゲットの測定が完了したか否かがコンピュータ540によって判定される。ターゲット342の測定が完了していない場合には、ステップ724に進んで、コンピュータ540は横移動モータ302を起動してターゲット342を移動させ、磁界検出部202の下に次に指定された測定位置を位置付ける。そして、ステップ716に戻る。ターゲット342の測定が完了した場合には、ステップ726に進んでPTF%が計算され、この計算値が設定されてデータベース550に保存された特性値と比較される。次に、ステップ728においては、コンピュータ540によって計算されてスパッタターゲット342の磁気特性地図が作成される。ステップ730においては、上記地図と計算結果がコンピュータ540に接続された表示部546に表示されてオペレータに示される。例えば、スパッタターゲットの磁気特性地図の表示は、図11に示すスパッタターゲット表示画面800のようなものである。
【0042】
磁気特性の地図化の一実施形態においては、スパッタターゲット上の128の異なった位置が測定される。コンピュータ制御PTF装置100は、図4、図6及び図7に示す矢印B方向又は矢印B′方向に回転プレートを移動させるだけでなく、ドライブホイール318の動作を制御してスパッタターゲットを回転させる。代表的な実施形態においては、16点の磁束測定がスパッタターゲットの外縁部に予め指定された円周リング状の領域に沿って行なわれる。これら16点の測定は、上記リング状の領域に沿って互いに等間隔、又は適当な距離を置いて、異なった方角で行なわれる。これら16点の測定が完了すると、コンピュータ540は、回転プレート304を移動させるように横移動モータ302に命じ、磁界検出部202を上記リング状の領域からスパッタターゲットの中心方向に移動した位置に位置付ける。そして、再び、16点の測定が上記円周リング状の領域の内側で行われる。リング状の領域に沿ったスパッタターゲットを測定するこの工程は、128点の異なった測定が完了するまで実行される。集められた測定データは、データベース、例えば外部のデータベース550に保存され、図11のスパッタターゲット表示画面800のような地図を作成するために使用される。
【0043】
図11は本発明の代表的な実施形態による、オペレータに提示されるスパッタターゲットの表示画面800の一例を示すものである。表示画面800には、スパッタターゲットの部品番号802、スパッタターゲットのロット番号804、プレートナンバー806及びターゲット番号808のような情報が示される。磁界プローブ570及びテスラメータ560(又は磁界検出部202のような単一の磁界検出装置)、及び回転エンコーダ324、位置エンコーダ210、又は横送りエンコーダ316と、通信手段520を介して通信可能に接続された制御プロセッサ510によって、上記各装置からデータが集められて計算され、テキストボックス810に印加磁界が、テキストボックス812に平均磁束密度測定値が、テキストボックス814に平均PTF%が、テキストボックス816に測定された磁界の磁束密度の範囲が、テキストボックス818にターゲットの測定された磁界の最小磁束密度が、またテキストボックス820にターゲットの測定された磁界の最大磁束密度が表示される。地図の凡例822は平均値を示すものであり、ターゲット地図824の特定エリアが、個々の平均測定値以上である又は以下であることを示している。
【0044】
添付図面に関する記載は、本発明の様々な実施形態を説明することを意図したものであって、本発明を実施可能な唯一の実施形態を示したものではない。以上の説明においては、本発明の理解を深めることを目的として特定事項を含んでいるが、本発明はこれら特定事項がなくても実施でき、それは技術に精通している者に自明である。一部、周知な構造及び要素が本発明の概念を明瞭にするためにブロック図で示されている。
【0045】
開示されているプロセスにおいて、各ステップの特定の順番又は階層は、代表例を示したものである。設計を優先する場合には、本開示の範囲を維持しながらも、プロセスの各ステップの特定の順番又は階層を入れ替えてもよい。他の方法においては、一順番例として開示された上記各ステップの要素を要求するが、開示された特定の順番又は階層に制限されない。
【0046】
様々な実例となる論理ブロック、モジュール、回路、要素、及び/又はここに開示された実施形態に関して記載された構成要素は、汎用プロセッサ、デジタルシグナルプロセッサ(DSP)、特定用途向けIC(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)又は他のプログラマブルロジック要素、離散的なゲート又はトランジスタロジック、離散的なハードウェアの構成、又はここに記載された機能を実行することを意図してそれらのいくつかを組み合わせて実施できる。汎用プロセッサは、マイクロプロセッサであってもよく、別の方法では、プロセッサはいくつかの従来のプロセッサ、コントローラ、マイクロコントローラ、或は状態機械であってもよい。さらに、プロセッサは、演算器の組み合わせ、例えばDSPと、マイクロプロセッサ、複数のマイクロプロセッサ、DSPコアに接続された1個以上のマイクロプロセッサ、又は他の同様な構成との組合せとして実施してもよい。
【0047】
ここに開示された実施形態に関して記載されている方法又はアルゴリズムは、ハードウェア、プロセッサによって実行されたソフトウェアモジュール、又は上記二つの組合せでそのまま実施されてもよい。ソフトウェアモジュールは、RAMメモリ、フラッシュメモリ、ROMメモリ、EPROMメモリ、EEPROMメモリ、レジスター、ハードディスク、可搬性ディスク、CD−ROM、又は技術的に周知の他の形式の記憶媒体に保存されていてもよい。記憶媒体をプロセッサに接続して、このプロセッサによって記憶媒体から情報を読出し、記憶媒体に情報を書き込むようにしてもよい。別の方法では、記憶媒体はプロセッサに不可欠なものである。
【0048】
以上の説明によれば、当業者はここに記載された様々な実施形態を実行することができる。これら実施形態の様々な改良は、技術に精通している者にとって容易である。また、ここに規定されている一般的な原理は、他の実施形態においても適用することができる。したがって、請求項は、ここに示された実施形態に制限されることを意図していないが、請求項の文言と一致する十分な範囲を許容する。ここで、単数の要素への言及は、特にそのような状態にある場合を除いて、「一つ及び一つだけ」を意味するものでなく、むしろ「一つ以上」を意味するものである。当業者に周知の又は周知となった後のこの開示の中に記載された様々な実施形態の要素に等価な全ての構造及び機能は、参照することによりここに組み込まれ、請求項に包含される。さらに、ここに開示されていないものは、そのような開示が請求項で明示的に記載されているかどうかにかかわらず公にするように意図されている。請求項に記載されていない要素は、その要素が「手段」の文言を使用して明示的に記載され、又は方法の請求項の場合には「ステップ」の文言を使用して記載されているときを除いて、米国特許法第35巻第112条第6項に基づいて解釈される。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】本発明の実施形態によるコンピュータ制御PTF測定装置の概略構成を示す右側面図である。
【図2】本発明の実施形態によるコンピュータ制御PTF測定装置の概略構成を示す左側面図である。
【図3】本発明の実施形態によるコンピュータ制御PTF測定装置の移動可能な磁界検出部組立体を示す部分概要図である。
【図4】本発明の実施形態によるコンピュータ制御PTF測定装置の横移動部及び回転モータ並びにそれらに関連する歯車を示す部分側面図である。
【図5】本発明の実施形態によるコンピュータ制御PTF測定装置の駆動歯車組立体の動作を示す説明図であり、(a)は左側面図、(b)は平面図、(c)は回転アームの動作を示す図、(d)は底面図である。
【図6】本発明の実施形態によるコンピュータ制御PTF測定装置の平面図である。
【図7】本発明の実施形態によるコンピュータ制御PTF測定装置の磁界発生源と磁界検出部とに対するスパッタターゲットの配置例を示す部分概要図である。
【図8】本発明の実施形態によるPTF測定装置の動作を制御する制御装置を示すフブロック図である。
【図9】本発明の実施形態において、PTFを自動測定する方法を説明するフローチャートである。
【図10】本発明の実施形態において、スパッタターゲットのPTFを自動測定し、その結果を地図化する方法を説明するフローチャートである。
【図11】本発明の実態様における、解析されたスパッタターゲットのPTF測定地図の例を示す説明図である。
【符号の説明】
【0050】
100…コンピュータ制御PTF測定装置
106…ターゲットテーブル
200…磁界検出部組立体(自動スタンド機構)
202…磁界検出部
300…横移動部及び回転組立体(自動スタンド機構)
318…ドライブホイール
320…アイドラーホイール
342…スパッタターゲット
400…磁界発生源
402…台座
510…制御プロセッサ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
スパッタターゲットを通り抜ける磁界を発生する磁界発生源と、
前記磁界を測定するように設けられた磁界検出部と、
前記スパッタターゲット又は前記磁界検出部の一方又は両方を移動させるように設けられた自動スタンド機構と、
を備えて構成したことを特徴とするスパッタターゲットの磁場透過率測定装置。
【請求項2】
前記磁界検出部とデータの相互通信をするプロセッサであって、前記スパッタターゲット上の少なくとも一箇所における前記磁界検出部による少なくとも一つの測定値を使用して、スパッタターゲットの磁場透過率を測定する構成としたプロセッサを含むことを特徴とする請求項1記載のスパッタターゲットの磁場透過率測定装置。
【請求項3】
前記プロセッサがスパッタターゲットの磁場透過率の地図を作成する構成としたことを特徴とする請求項2記載のスパッタターゲットの磁場透過率測定装置。
【請求項4】
前記プロセッサが前記スパッタターゲットの平均磁束密度、スパッタターゲットの磁束密度の範囲、スパッタターゲットの最小磁束密度、スパッタターゲットの最大磁束密度、平均PTF%、又はそれら諸値のいくつかを組み合わせたもののうち、少なくとも一つを測定する構成としたことを特徴とする請求項2記載のスパッタターゲットの磁場透過率測定装置。
【請求項5】
前記プロセッサは、前記スパッタターゲットの地図を作成するように構成され、該地図は、平均磁束密度以上若しくは以下、又は平均PTF%以上若しくは以下として予め設定されたスパッタターゲットの百分率範囲を、該スパッタターゲット上の少なくとも一箇所について特定する構成としたことを特徴とする請求項4記載のスパッタターゲットの磁場透過率測定装置。
【請求項6】
前記磁界発生源は、スパッタターゲットの下側に配設されたことを特徴とする請求項1記載のスパッタターゲットの磁場透過率測定装置。
【請求項7】
前記磁界発生源は、回転可能な台座上に設けられたことを特徴とする請求項1記載のスパッタターゲットの磁場透過率測定装置。
【請求項8】
前記自動スタンド機構がスパッタターゲットを回転させる構成としたことを特徴とする請求項1記載のスパッタターゲットの磁場透過率測定装置。
【請求項9】
前記自動スタンド機構が少なくとも一つの予め定められた位置までスパッタターゲットを回転させ、該少なくとも予め定めた一位置で、前記プロセッサは、前記磁界検出部とデータの相互通信し、前記スパッタターゲット上の少なくとも一箇所に対する前記磁界検出部の少なくとも一つの測定値を使用して、スパッタターゲットの磁場透磁率を測定する構成としたことを特徴とする請求項8記載のスパッタターゲットの磁場透過率測定装置。
【請求項10】
前記自動スタンド機構は、少なくとも二つのアイドラーホイール及び一つのドライブホイールがスパッタターゲットを該自動スタンド機構のターゲットテーブル上方で回転可能に保持することを特徴とする請求項8記載のスパッタターゲットの磁場透過率測定装置。
【請求項11】
前記プロセッサが前記自動スタンド機構とデータの相互通信をして前記スパッタターゲット又は前記磁界検出部の一方又は両方を移動させる構成としたことを特徴とする請求項2記載のスパッタターゲットの磁場透過率測定装置。
【請求項12】
スパッタターゲットの一方の側面で磁界を発生させ、該磁界をスパッタターゲットを透過させてスパッタターゲットの他方の側面に出力させ、
磁界検出部により前記スパッタターゲットの前記他方の側面で磁界を測定し、
自動スタンド機構を使用して測定中に前記スパッタターゲット又は前記磁界検出部の一方又は両方を移動させる、
ことを特徴とするスパッタターゲットの磁場透過率測定方法。
【請求項13】
前記磁界検出部とデータの相互通信するプロセッサを用い、前記スパッタターゲット上の少なくとも一箇所に対する前記磁界検出部による少なくとも一つの測定値を使用して、スパッタターゲットの磁場透磁率を測定することを特徴とする請求項12記載のスパッタターゲットの磁場透過率測定方法。
【請求項14】
前記プロセッサを用いて、前記スパッタターゲットの磁場透過率の地図を作成することを含む請求項13記載のスパッタターゲットの磁場透過率測定方法。
【請求項15】
前記プロセッサを用いて、前記スパッタターゲットの平均磁束密度、スパッタターゲットの磁束密度の範囲、スパッタターゲットの最小磁束密度、スパッタターゲットの最大磁束密度、平均PTF%、又はそれら諸値のいくつかを組み合わせたもののうち、少なくとも一つを測定することを含む請求項13記載のスパッタターゲットの磁場透過率測定方法。
【請求項16】
前記プロセッサを用いることによりスパッタターゲットの地図を作成し、該地図は、前記スパッタターゲット上の少なくとも一箇所に対する平均磁束密度以上若しくは以下、又は平均PTF%以上若しくは以下の値として予め設定された前記スパッタターゲットの百分率範囲を特定するものである請求項15記載のスパッタターゲットの磁場透過率測定方法。
【請求項17】
前記磁界発生源は、スパッタターゲットの下側に配設されたことを特徴とする請求項12記載のスパッタターゲットの磁場透過率測定方法。
【請求項18】
前記磁界発生源は、回転可能な台座上に設けられたことを特徴とする請求項12記載のスパッタターゲットの磁場透過率測定方法。
【請求項19】
前記自動スタンド機構は、スパッタターゲットを回転させるように構成されたことを特徴とする請求項12記載のスパッタターゲットの磁場透過率測定方法。
【請求項20】
前記自動スタンド機構を使用して少なくとも一つ予め定められた位置まで前記スパッタターゲットを回転させ、前記プロセッサを使用して前記少なくとも一つの予め定められた位置で、該スパッタターゲット上の少なくとも一箇所に対する前記磁界検出部による少なくとも一つの測定値を使用して、前記スパッタターゲットの磁場透磁率を決定するように構成したことを含む請求項19記載のスパッタターゲットの磁場透過率測定方法。
【請求項21】
少なくとも二つのアイドラーホイール及び一つのドライブホイールでスパッタターゲットを前記自動スタンド機構のターゲットテーブル上方で回転可能に保持することを含む請求項19記載のスパッタターゲットの磁場透過率測定方法。
【請求項22】
前記スパッタターゲット又は前記磁界検出部の一方又は両方を移動させるために前記プロセッサが前記自動スタンド機構とデータの相互通信を行なうように構成としたことを特徴とする請求項13記載のするスパッタターゲットの磁場透過率測定方法。
【請求項1】
スパッタターゲットを通り抜ける磁界を発生する磁界発生源と、
前記磁界を測定するように設けられた磁界検出部と、
前記スパッタターゲット又は前記磁界検出部の一方又は両方を移動させるように設けられた自動スタンド機構と、
を備えて構成したことを特徴とするスパッタターゲットの磁場透過率測定装置。
【請求項2】
前記磁界検出部とデータの相互通信をするプロセッサであって、前記スパッタターゲット上の少なくとも一箇所における前記磁界検出部による少なくとも一つの測定値を使用して、スパッタターゲットの磁場透過率を測定する構成としたプロセッサを含むことを特徴とする請求項1記載のスパッタターゲットの磁場透過率測定装置。
【請求項3】
前記プロセッサがスパッタターゲットの磁場透過率の地図を作成する構成としたことを特徴とする請求項2記載のスパッタターゲットの磁場透過率測定装置。
【請求項4】
前記プロセッサが前記スパッタターゲットの平均磁束密度、スパッタターゲットの磁束密度の範囲、スパッタターゲットの最小磁束密度、スパッタターゲットの最大磁束密度、平均PTF%、又はそれら諸値のいくつかを組み合わせたもののうち、少なくとも一つを測定する構成としたことを特徴とする請求項2記載のスパッタターゲットの磁場透過率測定装置。
【請求項5】
前記プロセッサは、前記スパッタターゲットの地図を作成するように構成され、該地図は、平均磁束密度以上若しくは以下、又は平均PTF%以上若しくは以下として予め設定されたスパッタターゲットの百分率範囲を、該スパッタターゲット上の少なくとも一箇所について特定する構成としたことを特徴とする請求項4記載のスパッタターゲットの磁場透過率測定装置。
【請求項6】
前記磁界発生源は、スパッタターゲットの下側に配設されたことを特徴とする請求項1記載のスパッタターゲットの磁場透過率測定装置。
【請求項7】
前記磁界発生源は、回転可能な台座上に設けられたことを特徴とする請求項1記載のスパッタターゲットの磁場透過率測定装置。
【請求項8】
前記自動スタンド機構がスパッタターゲットを回転させる構成としたことを特徴とする請求項1記載のスパッタターゲットの磁場透過率測定装置。
【請求項9】
前記自動スタンド機構が少なくとも一つの予め定められた位置までスパッタターゲットを回転させ、該少なくとも予め定めた一位置で、前記プロセッサは、前記磁界検出部とデータの相互通信し、前記スパッタターゲット上の少なくとも一箇所に対する前記磁界検出部の少なくとも一つの測定値を使用して、スパッタターゲットの磁場透磁率を測定する構成としたことを特徴とする請求項8記載のスパッタターゲットの磁場透過率測定装置。
【請求項10】
前記自動スタンド機構は、少なくとも二つのアイドラーホイール及び一つのドライブホイールがスパッタターゲットを該自動スタンド機構のターゲットテーブル上方で回転可能に保持することを特徴とする請求項8記載のスパッタターゲットの磁場透過率測定装置。
【請求項11】
前記プロセッサが前記自動スタンド機構とデータの相互通信をして前記スパッタターゲット又は前記磁界検出部の一方又は両方を移動させる構成としたことを特徴とする請求項2記載のスパッタターゲットの磁場透過率測定装置。
【請求項12】
スパッタターゲットの一方の側面で磁界を発生させ、該磁界をスパッタターゲットを透過させてスパッタターゲットの他方の側面に出力させ、
磁界検出部により前記スパッタターゲットの前記他方の側面で磁界を測定し、
自動スタンド機構を使用して測定中に前記スパッタターゲット又は前記磁界検出部の一方又は両方を移動させる、
ことを特徴とするスパッタターゲットの磁場透過率測定方法。
【請求項13】
前記磁界検出部とデータの相互通信するプロセッサを用い、前記スパッタターゲット上の少なくとも一箇所に対する前記磁界検出部による少なくとも一つの測定値を使用して、スパッタターゲットの磁場透磁率を測定することを特徴とする請求項12記載のスパッタターゲットの磁場透過率測定方法。
【請求項14】
前記プロセッサを用いて、前記スパッタターゲットの磁場透過率の地図を作成することを含む請求項13記載のスパッタターゲットの磁場透過率測定方法。
【請求項15】
前記プロセッサを用いて、前記スパッタターゲットの平均磁束密度、スパッタターゲットの磁束密度の範囲、スパッタターゲットの最小磁束密度、スパッタターゲットの最大磁束密度、平均PTF%、又はそれら諸値のいくつかを組み合わせたもののうち、少なくとも一つを測定することを含む請求項13記載のスパッタターゲットの磁場透過率測定方法。
【請求項16】
前記プロセッサを用いることによりスパッタターゲットの地図を作成し、該地図は、前記スパッタターゲット上の少なくとも一箇所に対する平均磁束密度以上若しくは以下、又は平均PTF%以上若しくは以下の値として予め設定された前記スパッタターゲットの百分率範囲を特定するものである請求項15記載のスパッタターゲットの磁場透過率測定方法。
【請求項17】
前記磁界発生源は、スパッタターゲットの下側に配設されたことを特徴とする請求項12記載のスパッタターゲットの磁場透過率測定方法。
【請求項18】
前記磁界発生源は、回転可能な台座上に設けられたことを特徴とする請求項12記載のスパッタターゲットの磁場透過率測定方法。
【請求項19】
前記自動スタンド機構は、スパッタターゲットを回転させるように構成されたことを特徴とする請求項12記載のスパッタターゲットの磁場透過率測定方法。
【請求項20】
前記自動スタンド機構を使用して少なくとも一つ予め定められた位置まで前記スパッタターゲットを回転させ、前記プロセッサを使用して前記少なくとも一つの予め定められた位置で、該スパッタターゲット上の少なくとも一箇所に対する前記磁界検出部による少なくとも一つの測定値を使用して、前記スパッタターゲットの磁場透磁率を決定するように構成したことを含む請求項19記載のスパッタターゲットの磁場透過率測定方法。
【請求項21】
少なくとも二つのアイドラーホイール及び一つのドライブホイールでスパッタターゲットを前記自動スタンド機構のターゲットテーブル上方で回転可能に保持することを含む請求項19記載のスパッタターゲットの磁場透過率測定方法。
【請求項22】
前記スパッタターゲット又は前記磁界検出部の一方又は両方を移動させるために前記プロセッサが前記自動スタンド機構とデータの相互通信を行なうように構成としたことを特徴とする請求項13記載のするスパッタターゲットの磁場透過率測定方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2008−129005(P2008−129005A)
【公開日】平成20年6月5日(2008.6.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−93341(P2007−93341)
【出願日】平成19年3月30日(2007.3.30)
【出願人】(506002384)ヘラエウス インコーポレーテッド (22)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年6月5日(2008.6.5)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年3月30日(2007.3.30)
【出願人】(506002384)ヘラエウス インコーポレーテッド (22)
【Fターム(参考)】
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