説明

スパークプラグの製造方法

【課題】2以上の接地電極を備えたスパークプラグにおいて、接地電極の形状のばらつきを抑制する。
【解決手段】中心電極と、絶縁体と、主体金具と、2以上の接地電極であって、その各々の基端部が、主体金具の軸線方向先端側の部位の異なる位置に溶接された接地電極とを備えたスパークプラグの製造方法では、2以上の接地電極が主体金具に溶接された後の状態のワークを受型に配置する。次に、受型に配置されたワークが備える2以上の接地電極のうちの1つの接地電極の先端側を所定の位置に配置して、一定方向に切断する切断手段によって、切断する。次に、ワーク、受型および切断手段の少なくとも1つを、軸線を軸として回転させることで、2以上の接地電極のうちの未切断の1つの接地電極を所定の位置に配置する。そして、2以上の接地電極のすべてについて切断を行うまで、切断、または、切断および回転を繰り返す。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内燃機関用のスパークプラグの製造技術に関する。
【背景技術】
【0002】
内燃機関に用いられるスパークプラグとして、2以上の接地電極を備えたタイプが知られている(例えば、下記特許文献1)。かかるスパークプラグは、2以上の接地電極の基端部を主体金具に溶接することで製造される。溶接時に接地電極の基端部は溶融するので、接地電極の長さは、接地電極ごとにばらつきが生じる。このため、各々の接地電極は、主体金具に溶接した後に、所要の長さに切断される。かかる切断作業は、従来、手作業によって行われていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−164146号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の手作業による切断作業においては、作業者のカンやコツに頼って切断が行われる。このため、2以上の接地電極を備えたスパークプラグの切断後の接地電極の形状について、2以上の接地電極間でばらつきが生じやすい。特に、切断の方向と、接地電極との位置関係がずれると、切断に伴い発生するバリの形成方向にもばらつきが生じる。このように接地電極の形状がばらつくと、2以上の接地電極間における火花特性にばらつきが生じる恐れがある。このため、2以上の接地電極の切断後の接地電極の形状のばらつきを抑制することが求められる。また、切断作業におけるワークの取り扱い次第では、接地電極に傷や、意図しない曲がりが発生するおそれがある。このため、接地電極の傷や、意図しない曲がりの発生を抑制することが求められる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態または適用例として実現することが可能である。
【0006】
[適用例1]軸線方向に延びる棒状の中心電極と、
前記軸線方向に延びる軸孔を有し、その軸孔内の先端側で前記中心電極を保持する絶縁体と、
前記絶縁体の一部分を周方向に取り囲んで保持する主体金具と、
2以上の接地電極であって、該接地電極の各々の基端部が、前記主体金具の前記軸線方向先端側の部位の異なる位置にそれぞれ溶接された接地電極と
を備えたスパークプラグの製造方法において、
前記2以上の接地電極が前記主体金具に溶接された後の状態のワークを受型に配置する第1工程と、
前記受型に配置された前記ワークが備える前記2以上の接地電極のうちの1つの接地電極の先端側を所定の位置に配置して、一定方向に切断する切断手段によって、切断する第2工程と、
前記ワーク、前記受型および前記切断手段の少なくとも1つを、前記軸線を軸として回転させることで、前記2以上の接地電極のうちの、前記第2工程で未切断の1つの接地電極を前記所定の位置に配置する第3工程と
前記2以上の接地電極のすべてについて前記切断を行うまで、前記第2工程、または、前記第2工程および前記第3工程を繰り返す第4工程と
を備えたことを特徴とするスパークプラグの製造方法。
【0007】
かかる製造方法によれば、軸線を軸としてワークを回転させることにより、切断の対象となる接地電極と、切断の方向とが一定の位置関係となるように切断の対象となる接地電極を配置して、各々の接地電極を切断することができる。したがって、2以上の接地電極の切断形状が安定し、形状のばらつきを抑制できる。
【0008】
[適用例2]適用例1記載のスパークプラグの製造方法において、前記第1工程は、前記受型として、前記ワークの前記主体金具を、前記主体金具の前記軸線方向先端側から前記軸線方向に沿って挿入可能な第1孔部と、前記第1孔部と連通し、前記ワークの前記2以上の各接地電極を前記軸線方向に沿って挿入可能な貫通孔であって、前記軸線方向の長さが、前記ワークの前記切断の前の前記2以上の接地電極よりも短い第2孔部とが形成された受型を使用して、前記ワークを前記第1孔部および前記第2孔部に挿入することで、前記ワークを前記受型に配置し、前記第2工程は、前記第1孔部と反対側で前記第2孔部の外部に配置された前記切断手段で、前記切断を行うことを特徴とするスパークプラグの製造方法。
【0009】
かかる製造方法によれば、ワークの接地電極を第2孔部に挿入して、接地電極を切断することで、切断する際のワークの軸線に対する傾きを抑制できる。したがって、2以上の接地電極の切断形状が安定し、形状のばらつきを抑制できる。しかも、ワークの主体金具を第1孔部に挿入しつつ、ワークの接地電極を第2孔部に挿入するので、ワークを第1孔部および第2孔部に挿入する際にも、ワークの軸線に対する傾きを抑制できる。したがって、ワークを第1孔部および第2孔部に挿入する際に、ワークの接地電極を第2孔部の位置に正確に導きやすい。その結果、ワークの接地電極が、受型のうちの第2孔部が形成されていない部位に衝突して、当該接地電極に傷が発生することや、曲がりが発生することを抑制できる。
【0010】
[適用例3]適用例2記載のスパークプラグの製造方法において、前記第1工程は、前記受型として、前記第1孔部が形成された第1受型部と、前記第2孔部が形成された第2受型部とが着脱可能に構成された受型を使用して、前記ワークを前記受型に配置することを特徴とするスパークプラグの製造方法。
【0011】
かかる製造方法によれば、第2受型を交換すれば、接地電極の仕様が異なる複数種類のスパークプラグの製造を行うことができる。換言すれば、接地電極の仕様が異なる複数種類のスパークプラグの製造に際して、第1受型を共通的に使用することができる。したがって、受型の汎用性が向上し、スパークプラグの製造効率が向上する。接地電極の仕様とは、例えば、接地電極の数、軸線方向の長さ、軸線方向と直交する断面形状などを例示できる。
【0012】
[適用例4]適用例2または適用例3記載のスパークプラグの製造方法において、前記第1工程は、前記受型として、前記第2孔部を形成する壁部の前記第1孔部側の端部が面取りされた受型を使用して、前記ワークを前記受型に配置することを特徴とするスパークプラグの製造方法。
【0013】
かかる製造方法によれば、ワークを第1孔部および第2孔部に挿入する際に、第2孔部に挿入するワークの接地電極の位置が、第2孔部の位置から僅かにずれたとしても、接地電極を第2孔部に導きやすい。したがって、ワークの接地電極が、受型のうちの第2孔部が形成されていない部位に衝突して、当該接地電極に傷や曲がりが発生することを抑制できる。
【0014】
[適用例5]適用例2ないし適用例4のいずれか記載のスパークプラグの製造方法において、前記第1工程は、前記ワークを、前記軸線方向の同一の位置の複数点、線、または、面で、前記軸線方向に押圧することが可能な押圧部材を使用して押圧することにより、前記ワークを前記第1孔部および前記第2孔部に挿入することを特徴とするスパークプラグの製造方法。
【0015】
かかる製造方法によれば、ワークを第1孔部および第2孔部に挿入する際に、ワークの軸線に対する傾きを抑制できる。したがって、ワークを第1孔部および第2孔部に挿入する際に、ワークの接地電極を第2孔部の位置に正確に導きやすい。その結果、ワークの接地電極が、受型のうちの第2孔部が形成されていない部位に衝突して、当該接地電極に傷や曲がりが発生することを抑制できる。
【0016】
[適用例6]適用例5記載のスパークプラグの製造方法において、前記第3工程は、前記押圧部材が前記押圧を行い、かつ、前記受型が、該受型に配置された前記ワークを保持した状態で、前記受型を回転させ、前記押圧部材が前記押圧を行っている状態で前記受型が回転した際に、該受型の回転に追随して前記押圧部材も回転することを特徴とするスパークプラグの製造方法。
【0017】
かかる製造方法によれば、受型の回転に追随して押圧部材も回転するので、受型を回転させた際に、押圧部材の押圧力を受けるワークと、当該押圧力を直接的には受けない受型とが、ほぼ同じ位置関係で回転することができる。したがって、ワークと受型との回転が十分に同期せずに、ワークの接地電極が、受型の第2孔部の側面に強く接触して、傷つくことを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】スパークプラグ100の概略構成を示す部分断面図である。
【図2】接地電極30の切断工程の手順を示す工程図である。
【図3】接地電極30の切断を行う前のワーク150の概略構成を示す部分断面図である。
【図4】受型300の概略構成を示す斜視図である。
【図5】受型300の概略構成を示す平面図である。
【図6】第1受型部310と第2受型部320とを分離した状態の受型300の断面図である。
【図7】第1受型部310と第2受型部320とを組み付けた状態の受型300の断面図である。
【図8】ワーク150を受型300に配置した状態を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
A.実施例:
A−1.スパークプラグ100の概略構成:
図1は、本発明のスパークプラグの製造方法によって製造されるスパークプラグ100の部分断面図である。図1において、一点鎖線で示す軸線OL1の右側は、外観正面図を示し、軸線OL1の左側は、スパークプラグ100の中心軸を通る断面でスパークプラグ100を切断した断面図を示している。以下では、図1におけるスパークプラグ100の軸線OL1方向の下側をスパークプラグ100の先端側、上側を後端側として説明する。スパークプラグ100は、絶縁碍子10と、主体金具50と、中心電極20と、接地電極30a,30bと、端子電極40とを備える。
【0020】
絶縁碍子10は、中心電極20および端子電極40を収容する軸孔12が中心に形成された筒状の絶縁体である。絶縁碍子10は、アルミナを始めとするセラミックス材料を焼成して形成される。絶縁碍子10の軸線OL1方向の中央には、絶縁碍子10のうちで外径が最も大きい中央胴部19が形成されている。絶縁碍子10の中央胴部19よりも後端側には、端子電極40と主体金具50との間を絶縁する後端側胴部18が形成されている。絶縁碍子10の中央胴部19と後端側胴部18との間には、先端側から後端側に向けて縮径するテーパ状の後端側段部15が形成されている。絶縁碍子10の中央胴部19よりも先端側には、後端側胴部18よりも外径が小さい先端側胴部17が形成されている。絶縁碍子10の先端側胴部17の更に先端側には、先端側胴部17よりも小さい外径の脚長部13が形成されている。
【0021】
主体金具50は、絶縁碍子10の後端側胴部18の一部から脚長部13に亘る部位を周方向に包囲して保持する円筒状の金具である。主体金具50は低炭素鋼材より形成され、全体にニッケルメッキや亜鉛メッキ等のメッキ処理が施されている。主体金具50には、軸線OL1方向に貫通する挿入孔55が形成されている。この挿入孔55には、絶縁碍子10が挿入・保持されている。主体金具50は、工具係合部51と、取付ねじ部52と、加締部53と、シール部54とを備える。工具係合部51、加締部53およびシール部54は、主体金具50の後端側に、後端側から見て、加締部53、工具係合部51、シール部54の順に形成されている。取付ねじ部52は、主体金具50の先端側に形成されている。
【0022】
工具係合部51は、スパークプラグ100をエンジンヘッド(図示省略)に取り付ける工具が嵌合する。本実施例では、工具係合部51は、軸線OL1に直交する断面形状が六角形に形成されている。取付ねじ部52は、エンジンヘッドの取付ねじ孔に螺合するねじ山を有する。シール部54は、取付ねじ部52の根元に鍔状に形成されている。シール部54とエンジンヘッドとの間には、板体を折り曲げて形成した環状のガスケット5が嵌挿される。加締部53は、主体金具50の後端側の端部に設けられた薄肉の部材であり、主体金具50が絶縁碍子10を保持するために設けられる。具体的には、スパークプラグ100の製造時において、加締部53を内側に折り曲げて、この加締部53の内面を絶縁碍子10の後端側段部15に接触させつつ、この加締部53を先端側に押圧することにより、中心電極20の先端が主体金具50の先端側から突出した状態で、絶縁碍子10が主体金具50に一体的に保持される。
【0023】
中心電極20は、有底筒状に形成された電極母材21の内部に、電極母材21よりも熱伝導性に優れる芯材25を埋設した棒状の部材である。本実施例では、電極母材21は、ニッケルを主成分とするニッケル合金から成る。また、芯材25は、銅または銅を主成分とする合金から成る。中心電極20は、電極母材21の先端が絶縁碍子10の軸孔12から突出した状態で絶縁碍子10の軸孔12に挿入され、セラミック抵抗3およびシール体4を介して端子電極40に電気的に接続される。
【0024】
2つの接地電極30a,30bは耐腐食性の高い金属から構成され、一例として、ニッケル合金が用いられる。この接地電極30a,30bの各々の基端部は、主体金具50の先端面の異なる位置にそれぞれ溶接されている。本実施例では、接地電極30a,30bは、軸線OL1に直交する方向の接地電極30a,30bの断面が矩形形状を有する棒状の部材が屈曲して形成される。接地電極30a,30の矩形断面は、軸線OL1の同一の位置において、同一の形状を有している。なお、ここでの「同一の形状」とは、公差を許容する意味で用いている。また、接地電極30a,30bは、軸線OL1に対して、180度回転対称の位置に形成されている。かかる接地電極30a,30bのうちの、溶接された基端部と反対側の端部は、絶縁碍子10から露出した中心電極20の側面と対向するように、中心電極20側に屈曲されている。この接地電極30a,30bの先端部の端面と、中心電極20の側面との間に、火花放電が生じる火花ギャップSGが形成される。以下の説明において、2つの接地電極30a,30bを総称して、接地電極30ともいう。
【0025】
端子電極40は、軸孔12の後端側に設けられ、その後端側の一部は、絶縁碍子10の後端側から露出している。端子電極40には高圧ケーブル(図示省略)がプラグキャップ(図示省略)を介して接続され、高電圧が印加される。
【0026】
A−2.スパークプラグ100の製造方法:
スパークプラグ100の製造工程について説明する。スパークプラグ100の製造工程は、準備工程と組み付け工程とに分けられる。準備工程においては、まず、スパークプラグ100の構成部品をそれぞれ作製する。次に、作製された絶縁碍子10の内部に、中心電極20、セラミック抵抗3、シール体4および端子電極40を所定の順序で挿入し、ガラスシールと呼ばれる加熱圧縮工程によってこれらを一体的に形成する。また、作成された主体金具50に対して、所要の形状になるように所定の加工、例えば、塑性加工、切削を施し、工具係合部51、シール部54等を形成する。なお、本実施例においては、この段階では、取付ねじ部52にねじ山は形成されていない。ただし、この段階で、取付ねじ部52にねじ山を形成してもよい。
【0027】
組み付け工程では、まず、絶縁碍子10を組み付ける前の主体金具50の先端面に、接地電極30を抵抗溶接により接合する。この段階では、接地電極30は、軸線OL1と平行な棒状の状態である。ここで溶接される接地電極30の軸線OL1方向の長さは、製品としてのスパークプラグ100の接地電極30の所要長さよりも長い。このように、主体金具50に棒状の接地電極30が溶接された部材をワーク150ともいう。
【0028】
次に、ワーク150のうちの、溶接した接地電極30の先端側を、接地電極30が所要の長さとなるように切断する。かかる工程を切断工程ともいう。本実施例では、切断手段として、切断刃によって切断を行う切断機を使用する。ただし、切断手段は、接地電極30の切断に適用可能な任意の方式を採用可能である。例えば、切断手段として、レーザ切断機を使用してもよい。切断工程の詳細については、後述する。
【0029】
次に、接地電極30a,30bの先端側を切断されたワーク150のうちの取付ねじ部52にねじ山を形成し、主体金具50にメッキ処理を施す。次に、主体金具50の内側に、ガラスシールによって中心電極20と一体となった絶縁碍子10を差し込む。次に、主体金具50の加締部53を内側に折り曲げるようにして加締める。これによって、中心電極20の先端が主体金具50の先端側から突出した状態で、絶縁碍子10が主体金具50に一体的に保持される。次に、棒状の接地電極30を中心電極20の側に曲げる曲げ加工を行う。次に、先端側から主体金具50にガスケット5を挿入し、ガスケット5の内径側を軸線OL1方向に押しつぶして、主体金具50にガスケット5を装着する。こうして、スパークプラグ100は、完成する。
【0030】
図2は、切断工程の手順を示す。切断工程は、本実施例では、全行程を自動化によって行う。切断工程では、まず、ワーク150を用意する(ステップS210)。図3は、用意するワーク150の概略構成を示す。図示するように、ワーク150の30a,30bは、主体金具50の先端面に、軸線OL1に平行な棒形状の状態で溶接されている。加締部53は、上述した加締めを行う前段階であることから、軸線OL1に平行に形成されている。
【0031】
ここで説明を図2に戻す。ワーク150を用意すると、次に、ワーク150を受型300に配置する(ステップS220)。具体的には、ワーク150を、受型300が備える孔部に挿入することで、ワーク150を受型300に配置する。
【0032】
図4は、本実施例で使用する受型300の斜視図である。受型300は、第1受型部310と第2受型部320とを備えている。第1受型部310は、挿入部311と円筒部312とを備えている。挿入部311および円筒部312には、円筒部312の円筒形状の中心軸OL2方向に貫通する第1孔部313が形成されている。第1孔部313は、第1孔部313の中心軸が、円筒部312の円筒形状の中心軸OL2と一致するように形成されている。第1孔部313は、ワーク150を挿入するために形成されている。挿入部311は、中空円盤形状を有しており、ワーク150を挿入する際の挿入口となる。円筒部312は、挿入部311よりも外径が小さく形成されている。第2受型部320は、第1受型部310の挿入部311と反対側に設けられる。第2受型部320は、第1受型部310と外径が同一の円筒形状を有している。第1受型部310と第2受型部320とは、本実施例では、着脱可能に構成されている。
【0033】
図5は、受型300の平面図である。図5は、受型300を挿入部311側から見た外観を示す。第2受型部320には、その円筒形状の中心軸OL2方向に貫通する2つの第2孔部323が形成されている。第2孔部323の中心軸OL2に直交する断面は、接地電極30と同様に矩形形状を有している。また、2つの第2孔部323は、中心軸OL2に対して、180度回転対称の位置に形成されている。かかる第2孔部323は、ワーク150を受型300に挿入する際に、接地電極30を挿入するために形成されている。つまり、第2孔部323は、ワーク150の軸線OL1と、受型300の中心軸OL2とが一致する位置関係で、第1孔部313にワーク150を挿入すると、接地電極30a,30bは、2つの第2孔部323に挿入される。
【0034】
図6は、中心軸OL2を通る断面で受型300を切断した断面図である。図6では、着脱可能な第1受型部310および第2受型部320を分離した状態を示している。第1受型部310の第1孔部313は、第1受型部310の内径の側面である壁部314,315,316によって形成されている。壁部314は、第1孔部313の大部分を形成し、中心軸OL2方向の中央に位置している。壁部315は、第1孔部313の挿入部311側の端部に位置し、第1孔部313の開口部を形成する。この壁部315は、壁部314が面取りされることで形成されている。すなわち、壁部315は、壁部314のうちの挿入部311側の端部から挿入部311の開口部に向かうほど、第1孔部313の内径が大きくなるように形成されている。壁部316は、第1孔部313の挿入部311側と反対側の端部に位置する。この壁部316によって形成される第1孔部313の内径は、壁部314によって形成される第1孔部313の内径よりも大きく形成されている。第1孔部313のうちの壁部316によって形成される空間を第1嵌合部317ともいう。
【0035】
第2受型部320の第1受型部310側の端部には、他の部位よりも外径が小さい第2嵌合部321が形成されている。第2嵌合部321の外径は、第1受型部310の第1嵌合部317の内径よりも僅かに小さく形成されている。第2受型部320の第2孔部323は、壁部324,325によって形成されている。壁部325は、第1受型部310側の端部に位置する。この壁部325は、壁部324が面取りされることで形成されている。壁部324,325によって形成される第2孔部323の中心軸OL2方向の長さは、ワーク150の接地電極30の軸線OL1方向の長さよりも短く形成されている。本実施例では、第2孔部323の中心軸OL2方向の長さは、ワーク150の接地電極30の切断後の所要の長さに形成されている。第2受型部320の第2嵌合部321と反対側の端部には、中心軸OL2方向に貫通するボルト孔328が形成されている。
【0036】
かかる受型300において、第1受型部310に形成された第1孔部313の内径は、ワーク150の先端側の部位、具体的には、ねじ山が形成されていない取付ねじ部52の外径よりも僅かに大きく形成されている。換言すれば、第1孔部313の内径は、第1孔部313にワーク150を挿入する際に、ねじ山が形成されていない取付ねじ部52の外面が、第1孔部313の壁部314と接触する程度の大きさに形成されている。かかる第1孔部313の壁部314は、ワーク150の接地電極30を、第2受型部320の第2孔部323に挿入する際のガイドとしての機能を有している。つまり、第1孔部313は、ワーク150を構成する主体金具50の先端側の部位の軸線OL1に直交する方向の移動を制限しつつ、主体金具50の先端側の部位を、第2孔部323側に導く。壁部314がガイドとして機能することにより、ワーク150を第1孔部313および第2孔部323に挿入する際に、ワーク150の軸線OL1と、受型300の中心軸OL2とを一致させやすくなる。したがって、接地電極30が、第2受型部320の後端側の端面に接触することを抑制できる。その結果、接地電極30に傷や曲がりが生じることを抑制できる。
【0037】
また、受型300において、第2孔部323の内径は、接地電極30を第2孔部323に挿入する際に、接地電極30の各々の外面が、第2孔部323の壁部324の各面と接触する程度の大きさに形成されている。かかる構成により、後述する方法で、接地電極30の先端部を切断する際に、第2孔部323は、接地電極30を支持することができる。したがって、接地電極30の切断時に切断方向への力が作用しても、接地電極30に曲がりが生じることを抑制できる。
【0038】
図7は、図6に示した第1受型部310と第2受型部320とを組み付けた状態を示す。第1受型部310と第2受型部320とは、第2受型部320の第2嵌合部321を、第1受型部310の第1嵌合部317に挿入することで、組み付けられる。具体的には、第1嵌合部317と第2嵌合部321とを嵌合させて、ボルト孔328にボルトを挿入して固定することによって、第1受型部310と第2受型部320とは組み付けられる。なお、第1受型部310および第2受型部320の位置決めには、ノックピン(図示省略)を使用してもよい。
【0039】
ここで、説明を図2に戻す。上記のステップS220では、ワーク150を、ワーク150の先端側から第1孔部313に挿入する。そして、ワーク150の接地電極30を第2孔部323に挿入する。このように、ワーク150を第1孔部313および第2孔部323に挿入することで、ワーク150は受型300に配置される。
【0040】
図8は、ワーク150に受型300を配置した状態を示す。ワーク150を受型300に配置した状態では、ワーク150を構成する主体金具50の先端面が、第2受型部320の後端面と接触する。このため、ワーク150を構成する接地電極30の後端側の部位は、全て第2孔部323に収容された状態となる。一方、接地電極30の先端側の部位は、接地電極30と第2孔部323との長さの関係に基づき、第2受型部320の外部に露出する。上述したとおり、第2孔部323の長さは、接地電極30の所要長さと等しく設定されているから、接地電極30のうちの所要長さに相当する長さの部位だけが、第2孔部323に収容された状態となっている。
【0041】
本実施例では、このようにワーク150を受型300の第1孔部313および第2孔部323に挿入する際、押圧部材400によって、ワーク150を軸線OL1方向に押圧する。図8に示すように、本実施例における押圧部材400は、本体部410と、テーパ部420とを備える。本体部410は、ワーク150を押圧する側と反対の側で、ベアリング500を介して、シャフト600と接続されている。シャフト600は、シャフト600の中心軸が、受型300の中心軸OL2と一致する位置に設けられる。シャフト600は、アクチュエータ(図示省略)によって、シャフト600の中心軸に沿って、上下運動可能に構成されている。
【0042】
テーパ部420は、押圧部材400のうちの、ワーク150を押圧する側に設けられる。テーパ部420は、ワーク150を押圧する側に向かって先細りする錐体形状を有している。テーパ部420は、シャフト600がワーク150側に移動して、押圧部材400がワーク150を押圧する際、テーパ部420の先端部が、ワーク150の挿入孔55に挿入される。テーパ部420は、錐体形状に形成されているので、図8に示すように、テーパ部420は、ワーク150の加締部53の内径側の端部と、錐体形状の周方向に線で接触する。つまり、テーパ部420は、軸線OL1方向の同一の位置において、線で加締部53を押圧する。かかる構成により、ワーク150を第1孔部313および第2孔部323に挿入する際に、ワーク150の軸線OL1に対する傾きを抑制できる。したがって、ワーク150の接地電極30を第2孔部323に正確に導きやすい。その結果、ワーク150の接地電極30が、第2受型部320の後端側の端面に接触することを抑制できる。その結果、接地電極30に傷や曲がりが生じることを抑制できる。
【0043】
ここで、説明を図2に戻す。図8に示したように、ワーク150を受型300に配置すると、次に、接地電極30のうちの1つについて、接地電極30の先端側を、第2孔部323の外部に設けられた切断手段700によって切断する(ステップS230)。ここでは、図8に示すように、接地電極30bを切断するものとする。上述したように、本実施例では、切断手段700は、切断刃によって切断を行う切断機である。本実施例では、第2孔部323の長さは、接地電極30の所要長さと同一に設定されているから、切断手段700の切断刃は、第2受型部320の先端側(第1受型部310と反対側)の端面に沿って移動して、接地電極30を切断する。なお、第2孔部323の長さが接地電極30の所要長さよりも短い場合には、切断刃を、第2受型部320の先端側の端面から離れた位置で移動させて、接地電極30を所要長さに切断すればよい。
【0044】
かかる接地電極30の切断は、切断対象となる接地電極30を予め定められた所定の位置に配置して行われる。つまり、ワーク150を接地電極30に配置した際、切断対象の接地電極30bが所定の位置になければ、受型300を、軸線OL1を軸として回転させて、接地電極30bを所定の位置に配置する。
【0045】
本実施例では、上述した所定の位置での接地電極30の切断方向は、軸線OL1に直交し、かつ、切断対象となる接地電極30の軸線OL1に直交する断面形状の中心から軸線OL1に向かう方向である。軸線OL1からワーク150の外方に向かって切断するためには、接地電極30aと接地電極30bとの間に切断刃を挿入する必要がある。接地電極30aと接地電極30bとの距離は僅かであるから、接地電極30a,30bのいずれもが切断されていない状態では、その間に切断刃は挿入しにくい。一方、ワーク150の外方から軸線OL1に向かって切断する場合には、接地電極30a,30bの間に切断刃を挿入する必要がない。このため、ワーク150の外方から軸線OL1に向かって切断することで切断が行いやすくなる。
【0046】
また、本実施例では、接地電極30の切断は、押圧部材400によって、ワーク150を押圧した状態で行われる。したがって、ワーク150の軸線OL1に対する傾きを抑制した状態で、接地電極30の切断を行うことができる。その結果、接地電極30の軸線OL1に直交する断面に平行に切断刃を当てることができ、接地電極30の切断形状のばらつきを抑制できる。また、切断後の接地電極30の長さのばらつきを抑制できる。
【0047】
接地電極30の1つを切断すると、次に、軸線OL1(中心軸OL2)を軸として受型300を180度回転させて、未切断の接地電極30aを上述した所定の位置に配置する(ステップS240)。この所定の位置では、切断対象の接地電極30の断面形状と、切断手段700による切断方向とは、常に一定の相対位置関係となる。つまり、ステップS240では、接地電極30bを切断した位置と同一の位置に、接地電極30aを配置する。本実施例では、第1受型部310は、電動ロータリテーブル上に固定されている(図8では、図示を省略)。受型300は、電動ロータリテーブルを回転させることで、電動ロータリテーブルの回転に同期して回転する。ワーク150は、第1孔部313および第2孔部323に挿入されることで受型300によって保持されているので、受型300が回転すると、それに同期して、ワーク150も回転する。
【0048】
受型300が回転する際、ワーク150は、依然として、押圧部材400によって押圧されている。上述したように、押圧部材400の上部、すなわち、押圧部材400の押圧の方向と反対側には、ベアリング500が取り付けられている。このため、押圧部材400に押圧された状態のワーク150を保持する受型300が回転すると、受型300の回転に追従して、押圧部材400も回転することとなる。つまり、受型300を回転させた際に、押圧部材400の押圧力を受けるワーク150と、押圧力を直接的には受けない受型300とが、ほぼ同じ位置関係で回転することができる。ワーク150と受型300との回転が十分に同期しなければ、ワーク150の接地電極30が、受型300の第2孔部323の壁部324に強く接触して、傷つく恐れがある。一方、本実施例の態様では、ワーク150の接地電極30が、傷つくことを抑制できる。
【0049】
受型300を回転させると、次に、未切断の接地電極30aを、接地電極30bと同様に切断する(ステップS250)。そして、シャフト600を上方に移動させて、押圧部材400を待避させて、全ての接地電極30が切断されたワーク150を受型300から取り外す(ステップS260)。こうして、切断工程は終了となる。
【0050】
以上説明したスパークプラグ100の製造方法によれば、軸線OL1を軸としてワーク150を回転させることにより、切断の対象となる接地電極30と、切断手段700による切断の方向とが一定の位置関係となるように切断の対象となる接地電極30a、30bを配置して、各々の接地電極30a、30bを切断する。したがって、2以上の接地電極30a、30bの切断形状が安定し、形状のばらつきを抑制できる。特に、本実施例では、切断対象となる接地電極30a、30bの断面形状の中心から軸線OL1に向かう方向に接地電極30a、30bを切断する。したがって、切断に伴って接地電極30a,30bに形成されるバリは、いずれも、接地電極30a、30bの断面形状の中心から軸線OL1に向かう方向に形成される。つまり、接地電極30a,30bに形成されるバリは、軸線OL1に対して回転対称に形成される。したがって、接地電極30a,30bの火花特性のばらつきが抑制される。
【0051】
また、上述したスパークプラグ100の製造方法によれば、ワーク150の接地電極30a、30bを第2孔部323に挿入して、接地電極30a、30bを切断する。したがって、切断する際のワークの軸線OL1に対する傾きを抑制できる。その結果、2以上の接地電極30a、30bの切断形状が安定し、形状のばらつきを抑制できる。
【0052】
また、上述したスパークプラグ100の製造方法によれば、受型300は、第1受型部310と第2受型部320とが着脱可能に構成される。したがって、接地電極30の数、軸線OL1方向の長さ、軸線OL1方向と直交する断面形状など、接地電極30の仕様が異なる複数種類のスパークプラグ100の製造に際して、第1受型部310を共通的に使用しつつ、接地電極30の仕様に応じて、第2受型部320を交換すればよい。したがって、受型300の汎用性が向上し、スパークプラグ100の製造効率が向上する。また、第1受型部310と第2受型部320とを着脱可能に構成することによって、第2受型部320に、壁部325によって形成される面取り形状を加工しやすい。
【0053】
また、上述したスパークプラグ100の製造方法において、第1受型部310の壁部315は面取り形状を有している。したがって、ワーク150を第1孔部313に挿入する際に、ワーク150の挿入位置が第1孔部313から僅かにずれたとしても、ワーク150を第1孔部313に導きやすい。したがって、ワーク150が挿入部311の後端側の端面に衝突して、ワーク150に傷が発生することを抑制できる。同様に、第2受型部320の壁部325は面取り形状を有している。したがって、ワーク150を第1孔部313および第2孔部323に挿入する際に、ワーク150の接地電極30の挿入位置が、第2孔部323から僅かにずれたとしても、接地電極30を第2孔部323に導きやすい。したがって、ワーク150の接地電極30が、第2受型部320の後端側の端面に衝突して、接地電極30に傷が発生することや、曲がりが発生することを抑制できる。
【0054】
B.変形例:
B−1.変形例1:
接地電極30の切断方向は、上述の例に限られるものではなく、所定の位置に配置したワーク150の接地電極30を一定方向から切断するものであればよい。例えば、切断方向は、軸線OL1に直交し、かつ、軸線OL1から接地電極30の軸線OL1に直交する断面形状の中心に向かう方向であってもよい。こうしても、接地電極30a,30bに形成されるバリは、軸線OL1に対して回転対称に形成されるので、接地電極30a,30bの火花特性のばらつきが抑制される。
【0055】
B−2.変形例2:
押圧部材400の形状は、上述の例に限られるものではなく、種々の形状とすることができる。例えば、ワーク150を押圧する側と反対方向に向かって先細りする中空の錐体形状であってもよい。この場合、押圧部材400の錐体形状の内面が、ワーク150の加締部53の外径側の端部と、錐体形状の周方向に線で接触することとなる。こうしても、押圧部材400は、軸線OL1方向の同一の位置において、加締部53を線で押圧することができる。もとより、押圧部材400は、錐体形状に限るものではなく、ワーク150を、軸線OL1方向の同一の位置の複数点、線、または、面で、軸線OL1方向に押圧することが可能な任意の形状としてもよい。例えば、平板形状の押圧部材でワーク150の加締部53を面で押圧してもよい。
【0056】
B−3.変形例3:
スパークプラグ100の製造工程における切断工程を実施するタイミングは、上述の例に限られず、適宜、設定することができる。切断工程は、主体金具50に接地電極30を溶接した後であって、接地電極30の曲げ工程を実施する前の任意のタイミングとしてもよい。例えば、切断工程は、主体金具50の内側に、中心電極20と一体となった絶縁碍子10を差し込んだ後に実施してもよい。かかる場合、押圧部材400は、端子電極40の後端側の端面を押圧するものであってもよい。あるいは、切断工程は、取付ねじ部52にねじ山を形成した後に実施してもよい。ただし、ねじ山が形成される前に実施することで、ワーク150を受型300に配置する際に、受型300の壁部314が取付ねじ部52をガイドする効果を高めることができる。
【0057】
B−4.変形例4:
スパークプラグ100は、3以上の接地電極30を備えていてもよい。例えば、3極タイプや4極タイプであってもよい。N個(Nは2以上の整数)の接地電極30を備えるスパークプラグ100では、接地電極30は、軸線OL1に対して、360/N度の回転対称で設けられる。かかる場合、切断工程においては、上記ステップS240およびステップS250(図2参照)を、N個の接地電極30すべてについて切断するまで繰り返してもよい。
【0058】
B−5.変形例5:
受型300の形状は、上述の形状に限られるものではなく、ワーク150を構成する接地電極30の各々を所定の切断位置に配置できるものであればよい。例えば、第2受型部320のみを受型として使用してもよい。あるいは、ワーク150の主体金具50の形状に追随した空間を有し、当該空間を含んで2分割された受型を使用してもよい。例えば、2分割された受型の一方の空間に主体金具50を配置した後に、2分割された受型を一体化し、工具係合部51をチャックする受型を使用してもよい。
【0059】
B−6.変形例6:
上述の実施形態においては、上記ステップS240(図2参照)において、受型300を回転させることとしたが、未切断の接地電極30を所定の切断位置に配置する態様は、受型300を回転させることに限られない。軸線OL1を軸として、ワーク150、受型300および切断手段700のうちの少なくとも1つを回転させる態様であればよい。例えば、切断手段700が、受型300の外方で回転してもよい。
【0060】
B−7.変形例7:
スパークプラグ100の製造工程は、必ずしも全自動化する必要はなく、半自動で実現してもよい。例えば、受型300へのワーク150の配置や、切断手段700による接地電極30の切断を、ボタン押下などの手動操作に基づいて実施する態様としてもよい。
【0061】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、このような実施形態に限定されず、その趣旨を逸脱しない範囲で種々の構成を採ることができる。例えば、上述した各適用例の構成要素や、実施形態中の要素は、本願の課題の少なくとも一部を解決可能な態様、または、上述した各効果の少なくとも一部を奏する態様において、適宜、組み合わせ、省略、上位概念化を行うことが可能である。
【符号の説明】
【0062】
3…セラミック抵抗
4…シール体
5…ガスケット
10…絶縁碍子
12…軸孔
13…脚長部
15…後端側段部
17…先端側胴部
18…後端側胴部
19…中央胴部
20…中心電極
21…電極母材
25…芯材
30a,30b…接地電極
40…端子電極
50…主体金具
51…工具係合部
52…取付ねじ部
53…加締部
54…シール部
55…挿入孔
100…スパークプラグ
150…ワーク
300…受型
310…第1受型部
311…挿入部
312…円筒部
313…第1孔部
314,315,316…壁部
317…第1嵌合部
320…第2受型部
321…第2嵌合部
323…第2孔部
324,325…壁部
328…ボルト孔
400…押圧部材
410…本体部
420…テーパ部
500…ベアリング
600…シャフト
700…切断手段
SG…火花ギャップ
OL1…軸線
OL2…中心軸

【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸線方向に延びる棒状の中心電極と、
前記軸線方向に延びる軸孔を有し、その軸孔内の先端側で前記中心電極を保持する絶縁体と、
前記絶縁体の一部分を周方向に取り囲んで保持する主体金具と、
2以上の接地電極であって、該接地電極の各々の基端部が、前記主体金具の前記軸線方向先端側の部位の異なる位置にそれぞれ溶接された接地電極と
を備えたスパークプラグの製造方法において、
前記2以上の接地電極が前記主体金具に溶接された後の状態のワークを受型に配置する第1工程と、
前記受型に配置された前記ワークが備える前記2以上の接地電極のうちの1つの接地電極の先端側を所定の位置に配置して、一定方向に切断する切断手段によって、切断する第2工程と、
前記ワーク、前記受型および前記切断手段の少なくとも1つを、前記軸線を軸として回転させることで、前記2以上の接地電極のうちの、前記第2工程で未切断の1つの接地電極を前記所定の位置に配置する第3工程と
前記2以上の接地電極のすべてについて前記切断を行うまで、前記第2工程、または、前記第2工程および前記第3工程を繰り返す第4工程と
を備えたことを特徴とするスパークプラグの製造方法。
【請求項2】
請求項1記載のスパークプラグの製造方法において、
前記第1工程は、
前記受型として、
前記ワークの前記主体金具を、前記主体金具の前記軸線方向先端側から前記軸線方向に沿って挿入可能な第1孔部と、
前記第1孔部と連通し、前記ワークの前記2以上の各接地電極を前記軸線方向に沿って挿入可能な貫通孔であって、前記軸線方向の長さが、前記ワークの前記切断の前の前記2以上の接地電極よりも短い第2孔部とが形成された受型を使用して、
前記ワークを前記第1孔部および前記第2孔部に挿入することで、前記ワークを前記受型に配置し、
前記第2工程は、前記第1孔部と反対側で前記第2孔部の外部に配置された前記切断手段で、前記切断を行う
ことを特徴とするスパークプラグの製造方法。
【請求項3】
請求項2記載のスパークプラグの製造方法において、
前記第1工程は、前記受型として、前記第1孔部が形成された第1受型部と、前記第2孔部が形成された第2受型部とが着脱可能に構成された受型を使用して、前記ワークを前記受型に配置する
ことを特徴とするスパークプラグの製造方法。
【請求項4】
請求項2または請求項3記載のスパークプラグの製造方法において、
前記第1工程は、前記受型として、前記第2孔部を形成する壁部の前記第1孔部側の端部が面取りされた受型を使用して、前記ワークを前記受型に配置する
ことを特徴とするスパークプラグの製造方法。
【請求項5】
請求項2ないし請求項4のいずれか記載のスパークプラグの製造方法において、
前記第1工程は、前記ワークを、前記軸線方向の同一の位置の複数点、線、または、面で、前記軸線方向に押圧することが可能な押圧部材を使用して押圧することにより、前記ワークを前記第1孔部および前記第2孔部に挿入する
ことを特徴とするスパークプラグの製造方法。
【請求項6】
請求項5記載のスパークプラグの製造方法において、
前記第3工程は、前記押圧部材が前記押圧を行い、かつ、前記受型が、該受型に配置された前記ワークを保持した状態で、前記受型を回転させ、
前記押圧部材が前記押圧を行っている状態で前記受型が回転した際に、該受型の回転に追随して前記押圧部材も回転する
ことを特徴とするスパークプラグの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−98023(P2013−98023A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−240007(P2011−240007)
【出願日】平成23年11月1日(2011.11.1)
【出願人】(000004547)日本特殊陶業株式会社 (2,912)
【Fターム(参考)】