説明

スピーカー振動板およびスピーカー構造体

【課題】内部損失と剛性とのバランスに優れたスピーカー振動板およびスピーカー構造体を提供すること。
【解決手段】本発明のスピーカー振動板は、基材に熱硬化性樹脂が含浸されてなり;該基材が、第1の表面材と芯材と第2の表面材とをこの順に有し;該第1の表面材および該第2の表面材が、織布または不織布を含み;該芯材が、中空微粒子を含む織布または不織布から構成される芯材を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はスピーカー振動板およびスピーカー構造体に関する。より詳細には、本発明は、剛性と内部損失のバランスに優れたスピーカー振動板および軽量でかつ剛性に優れたスピーカー構造体に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、スピーカー用振動板材料としては、パルプなどの短繊維を抄造したもの、金属薄板を成形したもの、ポリプロピレン等の熱可塑性樹脂を射出成形したもの等が多く提案されている。
【0003】
近年、スピーカーシステムのハイパワー化のため、コイルからの発熱や大きな駆動力に耐えられる耐熱性と剛性が求められている。種々の振動板材料の中では、合成繊維や天然繊維の織布や不織布にエポキシ樹脂または不飽和ポリエステル樹脂等の熱硬化性樹脂を含浸して成形した繊維強化樹脂(FRP)が比較的優れており、FRPを用いた振動板が多用されている。FRP振動板としては、炭素繊維やガラス繊維の強化繊維織布にマトリックス樹脂としてエポキシ樹脂を含浸して熱硬化させたものが最も一般的である。FRP振動板は十分に優れた弾性率を有するが、内部損失が極端に少ない。その結果、Fh(高域共振周波数)で急峻なピークが発生するので、音色への色付けが大きい。さらに、硬化に10〜30分を要し、生産性が低いという欠点がある。
【0004】
また、FRPの工業的な成形方法としては、シートモールディングやバルクモールディング等があるが、何れも成形材料の供給は1つずつで硬化時間も数十分必要であり、作業性、生産性が悪いという欠点がある。
【0005】
一方、反応性が高い不飽和ポリエステル樹脂をシルク繊維や綿繊維の天然繊維に含浸硬化させた振動板が提案されている。(例えば、特許文献1または2参照)。このような振動板は、生産性が高く適度な内部損失も有するが、密度が大きく音圧低下防止のため厚みを薄くせざるを得ず、剛性が不足するという欠点がある。
【0006】
軽量で厚みが大きな熱可塑性樹脂発泡体を用いた振動板も提案されている(例えば、特許文献3参照)。しかし、樹脂発泡体は厚みを確保できるものの弾性率が低く、曲げ剛性が低いという欠点がある。より詳細には、発泡体を芯材として両面に高弾性率シートを表面材として接合すると剛性が向上するが、多層構造の板材の曲げ剛性は芯材と表面材の密着強度および、芯材のズリ変形強度に依存する。発泡体はズリ変形に対する強度が低く、また、中空部が多いので、弾性率が大きな表面材を両面に配置しても、曲げに対する十分な剛性が出ないという欠点がある。
【0007】
表面材を垂直な壁で結合した振動板(いわゆるハニカム構造を有する振動板)も提案されている。このような振動板は、一般に金属等の弾性率の高い表面材と垂直壁で構成されるので、曲げ剛性は大きい。しかし、このような振動板は、内部損失が極端に小さく、壁と表面材の空隙が共振するため、音響特性に悪影響を及ぼすなどの欠点がある。さらに、このような振動板は成形が困難である。
【0008】
スピーカーフレームなどのスピーカー構造体に注目した場合、一般的には構造体は鋼板、アルミ板、アルミダイキャスト、熱可塑性樹脂などが用いられている。近年、特に車載用のスピーカーは燃費向上の為に軽量化が求められている。このため、スピーカー部品の中でも比較的大きな重量比率を占めるスピーカー構造体の軽量化が求められている。しかし、スピーカー構造体として一般的な鋼板では密度が高く、アルミでは剛性が低いために取り付け時の締め付けで変形し異音が生じるなどの欠点がある。アルミダイキャストは薄肉化が困難であり、さらに脆い。熱可塑性樹脂は形状の自由度があり軽量である反面、単体で用いた場合は剛性が十分ではないという欠点がある。
【特許文献1】特許第3137241号公報
【特許文献2】特開2004−193716号公報
【特許文献3】特開2001−189990号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、上記従来の課題を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、内部損失と剛性とのバランスに優れたスピーカー振動板およびスピーカー構造体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明のスピーカー振動板は、基材に熱硬化性樹脂が含浸されてなり;該基材が、第1の表面材と芯材と第2の表面材とをこの順に有し;該第1の表面材および該第2の表面材が、織布または不織布を含み;該芯材が、中空微粒子を含む織布または不織布から構成されている。
【0011】
好ましい実施形態においては、上記芯材を構成する織布または不織布がポリエステル繊維から形成されている。
【0012】
好ましい実施形態においては、上記芯材が厚み方向の中間部分に上記中空微粒子が分散している織布または不織布から構成されている。
【0013】
好ましい実施形態においては、上記芯材が貫通孔をさらに有する。
【0014】
好ましい実施形態においては、上記芯材が上記中空微粒子を内包し、かつ互いに間隙を有して形成された複数のセルを含む織布または不織布から構成されている。
【0015】
好ましい実施形態においては、上記セルが、球状、円筒状および多角柱状からなる群から選択される少なくとも1つの形状を有する。
【0016】
好ましい実施形態においては、上記中空微粒子の粒径が15〜90μmである。
【0017】
好ましい実施形態においては、上記中空微粒子の密度が0.03〜0.06g/cmである。
【0018】
好ましい実施形態においては、上記第1の表面材および第2の表面材が、高弾性率繊維、天然繊維または再生繊維の織布または不織布を含む。
【0019】
好ましい実施形態においては、上記熱硬化性樹脂組成物が不飽和ポリエステル樹脂を含有する。
【0020】
好ましい実施形態においては、上記芯材と上記第1の表面材および/または第2の表面材との間に中間層が積層されている。
【0021】
本発明の別の局面においては、スピーカー構造体が提供される。このスピーカー構造体は、基材に熱硬化性樹脂が含浸されてなり;該基材が、第1の表面材と芯材と第2の表面材とをこの順に有し;該第1の表面材および該第2の表面材が、織布または不織布を含み;該芯材が、中空微粒子を含む織布または不織布から構成されている。
【0022】
好ましい実施形態においては、上記構造体はスピーカーフレーム、エンクロージャーまたはスタンドとして用いられる。
【0023】
本発明のさらに別の局面においては、上記振動板および/または、上記構造体を備え得るスピーカーが提供される。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、中空微粒子を含む芯材を用いることにより、低密度で、かつ、振動エネルギー損失の大きな振動板を得ることができる。一方、芯材に設けられた貫通孔またはセルが互いに有する間隙は、含浸熱硬化性樹脂によって充填されるので、当該熱硬化性樹脂が硬化することにより振動板の厚み方向に樹脂硬化物の柱が形成される。その結果、非常に優れた剛性を有する振動板が得られる。このようにして、本発明のスピーカー振動板は、従来技術では困難であった優れた内部損失と剛性とをバランスよく両立することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
本発明のスピーカー振動板は、第1の表面材と芯材と第2の表面材とをこの順に有し;該第1の表面材および該第2の表面材が、織布または不織布を含み;該芯材が、中空微粒子を含む織布または不織布から構成され;該基材が、熱硬化性樹脂組成物に含浸されてなる。必要に応じて、該芯材と第1の表面材および/または第2の表面材との間に中間層が積層され得る。
【0026】
A.表面材
表面材は、任意の適切な織布または不織布が採用され得る。該表面材は、織布または不織布の単一層であってもよく、織布および/または不織布の積層体であってもよい。また、第1の表面材と第2の表面材は同一であってもよく、異なっていてもよい。さらに、第1の表面材と第2の表面材の積層枚数は同一であってもよく、異なっていてもよい。
【0027】
上記表面材が織布である場合には、織布の織構造としては、任意の適切な構造(例えば、平織、綾織、朱子織、これらの組み合わせ)が採用され得る。好ましくは、平織である。織布の繊維軸方向における機械的特性が優れているので、強く深絞り成形を行えるからである。したがって、特に大口径のコーン型振動板用途において好ましい。平織りの場合の面密度は、用いる繊維の性質(例えば、機械的特性、繊維径、繊維長)などにより適宜選択されるが、代表的には100〜300g/mである。このような範囲の面密度は、強度の増大効果が大きく、成形性にも優れているからである。このような面密度は、例えば、縦40本/inch×横40本/inchまたは縦17本/inch×横17本/inchの織密度を包含する。
【0028】
上記表面材が不織布である場合には、当該不織布は任意の適切な方法により形成され得る。不織布の形成方法の代表例としては、水などの流体を用いる湿式製法、機械的に短繊維をランダムに絡ませる乾式製法などが挙げられる。湿式製法が好ましい。機械的特性の異方性を小さく抑えることができ、成形性が良好な不織布が得られるからである。不織布の目付け(面密度)は目的に応じて変化し得るが、代表的には30〜150g/m2である。
【0029】
基材の表面材に用いられる織布または不織布を構成する繊維としては、任意の適切な繊維が採用され得る。織布または不織布を構成する繊維は、長繊維であってもよく、短繊維であってもよい。高弾性率繊維、天然繊維および再生繊維が好ましく、高弾性率繊維が特に好ましい。高弾性率繊維を用いることにより、非常に優れた強度を有する振動板を得ることができるからである。高弾性率繊維の代表例としては、炭素繊維、ポリエステル繊維、アラミド繊維が挙げられる。特に好ましくは炭素繊維である。
【0030】
好ましくは、高弾性率繊維は撚りがかかっていない繊維(無撚繊維)である。無撚繊維を用いることにより、単位面積当たりの厚みを極端に薄くすることが可能であり、その結果、軽量、かつ非常に優れた強度を有する振動板を得ることができる。さらに、このような織布または不織布を用いることで、含浸させる樹脂量(基材の繊維/樹脂比率)を大幅に減らすことができ、内部損失が顕著に向上する。
【0031】
上記炭素繊維としては、目的に応じて任意の適切な炭素繊維が採用され得る。炭素繊維は、軽くて、かつ、優れた機械的性質(例えば、高比強度、高比弾性率など)と炭素質に由来する優れた特性(例えば、耐熱性、低熱膨張率、など)とを併せもつので、スピーカー振動板の構造を良好に保持できる。炭素繊維の具体例としては、PAN(ポリアクリルニトリル)系炭素繊維またはピッチ系炭素繊維が挙げられる。炭素繊維のフィラメント数は、任意の適切なフィラメント数が選択され得る。1000本〜3000本が好ましい。
【0032】
上記ポリエステル繊維は、目的に応じて任意の適切なポリエステル繊維が採用される。ポリエステル繊維は優れた機械的特性を有し、成形後も吸湿による変形や弾性率低下が生じにくい。具体例としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等が挙げられる。
【0033】
上記アラミド繊維は、目的に応じて任意の適切なアラミド繊維が採用される。具体例として、パラ型アラミド繊維、メタ型アラミド繊維が挙げられる。スピーカー振動板としてアラミド繊維を用いる場合、繊維の内部損失が大きくかつ強度に優れるという理由で、パラ型アラミド繊維が好ましい。
【0034】
上記天然繊維または再生繊維は、目的に応じて任意の適切な繊維が採用される。特に好ましいのは天然繊維である。
【0035】
上記天然繊維は、撚りのかかった繊維であることが好ましい。天然繊維(例えば、綿繊維や麻繊維など)は繊維内部に中空を有することで上記高弾性率繊維と比較し、弾性率が低くなる。したがって、上記繊維に撚りをかけることで、繊維同士が絡み合い、撚りをかけない状態と比べて、高い弾性率を有することができる。
【0036】
上記綿繊維は、細長く扁平のねじれた帯状で、中空となっている。該ねじれ(天然撚り)は綿繊維同士が絡み合う性質を高めるため、ヤング率が高くなる。また、該中空は内部損失を高める。
【0037】
上記麻繊維は、靭皮繊維と葉脈繊維があり、繊維長が長い。好ましくは、靭皮繊維である黄麻が適している。黄麻は中空繊維が束状に存在するため内部損失を高め、セルロース含有量が50〜80%と高いためヤング率が高い。したがって、麻繊維を採用することで、優れた内部損失と剛性をバランスよく備え得るスピーカー振動板を得ることができる。
【0038】
上記再生繊維の好ましい具体例としては、任意の適切な繊維が採用され得る。好ましくは、レーヨンまたはセルロース誘導体繊維等が挙げられる。
【0039】
B.芯材
芯材は、任意の適切な材料により形成され得る。具体例としては、織布または不織布を挙げることができる。好ましくは不織布である。不織布は、繊維が3次元的に、かつ、ランダムに分散しているので、中空微粒子(後述)を含むのに適している。
【0040】
上記織布または不織布を構成する繊維としては、任意の適切な繊維が採用される。具体例としては、合成繊維が挙げられる。好ましくは、ポリエステル繊維である。ポリエステル繊維は、優れた機械的特性、寸法安定性、耐久性、耐熱性等を有している。このため、芯材成形後も安定して中空微粒子を含むことができ、成形後の吸湿による変形やヤング率低下を抑えることができる。さらに、耐熱性に優れているので、スピーカーシステム内(例えば、コイルなど)の発熱による変形などを抑えることもできる。
【0041】
上記芯材は、中空微粒子を含む。芯材が中空微粒子を含む形態としては、上記芯材の厚み方向の中間部分に中空微粒子が分散された状態、または中空微粒子を内包したセルが形成された形態が好ましい。
【0042】
図1は、芯材の厚み方向の中間部分に中空微粒子が分散されている形態の一例を説明する模式図である。芯材110は、当該芯材の全体を構成する織布または不織布10と、当該芯材の厚み方向の中間部分に分散された中空微粒子20とを有する。中空微粒子の分散密度は目的に応じて適宜選択され得る。代表的には、図示例のように、中空微粒子20は芯材の中間部分全体に充填されている。中空微粒子を芯材の中間部分全体に充填することにより、中空微粒子の実質的な層が形成される。スピーカー振動時には、当該実質的な層と織布または不織布10がずれ、かつ、中空微粒子同士がずれる。その結果、非常に優れた内部損失を有する振動板が得られる。
【0043】
好ましくは、図1に示すように、芯材には貫通孔30が形成され得る。貫通孔を形成することにより、振動板成形する際に熱硬化性樹脂が当該貫通孔に浸入し硬化する。その結果、厚み方向に樹脂硬化物の柱が形成されるので、優れた剛性を有する振動板が得られる。貫通孔30の個数、形成位置および形状は目的に応じて適宜設定され得る。例えば、貫通孔の形状は、多角柱状、楕円柱状、または円柱状である。
【0044】
図2〜図4は、芯材に中空微粒子を内包したセルが形成されている形態の代表例を説明する模式図である。該セルは任意の適切な形状を採用し得る。セルの形状の具体例としては、球状、円筒状、多角柱状が挙げられる。好ましくは円筒状または多角柱状である。図2はセルが球状である場合を示し、図3はセルが円筒状である場合を示し、図4はセルが六角柱状である場合を示す。図2の芯材120は、当該芯材の全体を構成する織布または不織布10と、中空微粒子20を内包するセル41とを有する。図3の芯材130は、当該芯材の全体を構成する織布または不織布10と、中空微粒子20を内包するセル42とを有する。図4の芯材140は、当該芯材の全体を構成する織布または不織布10と、中空微粒子20を内包するセル43とを有する。いずれの実施形態においても、セルは互いに間隙44を有して形成されている。
【0045】
上記間隙44を形成することにより、優れた機械特性(例えば、曲げ、せん断など)を有する振動板が得られる。振動板を成形する際に用いる熱硬化性樹脂(後述)が間隙44に選択的に含浸し、硬化することで、振動板の厚み方向に樹脂硬化物の壁または柱を形成し得るからである。セルの大きさは、目的に応じて適宜設定され得る。例えば、球状セルを形成する場合には、当該セルの直径は1.0〜3.0mmであり得る。セルの間隙もまた、目的に応じて適宜設定され得る。セルの大きさおよび/または間隙(セルの形成密度)を調整することにより、得られる振動板の剛性と内部損失を制御することができる。例えば、六角柱状セルを形成する場合には、六角形の1辺が約5mmに、該間隙が約2.5mmに設定され得る。
【0046】
上記セルは、中空微粒子を内包し得る限り任意の適切な手段により形成され得る。例えば、セルは中空微粒子を内包した構造体を不織布形成時に分散させてもよく、振動板のプレス時に形成しても良い。例えば、セルが振動板のプレス時に形成される場合には、セルの外部は芯材全体を構成する織布または不織布と同一であり得る。
【0047】
中空微粒子の粒径としては、目的に応じて任意の適切な粒径が採用され得る。粒径は好ましくは15〜90μm、さらに好ましくは30〜60μmである。このような粒径を有することにより、熱硬化性樹脂組成物を用い振動板を成形する場合(後述)において樹脂組成物の流動抵抗が著しく大きくなる。その結果、内部に空隙を有した状態で熱硬化性樹脂組成物が含浸されるので、内部損失の優れたスピーカー振動板が得られ得る。中空微粒子は、特定の粒径を有する中空微粒子を単独に用いても、種々の粒径を有する中空微粒子を組み合わせて用いても良い。
【0048】
中空微粒子の密度としては、任意の適切な密度が採用され得る。密度は、0.03〜0.06g/cmが好ましい。密度が0.03g/未満の場合は剛性が低くなり、十分な音圧を得ることができず、密度が0.06g/cmを超える場合はスピーカー振動板の重量が重くなり、満足した音響特性を得にくくなる。中空微粒子は特定の密度を有する中空微粒子を単独に用いても、種々の密度を有する中空微粒子を組み合わせて用いても良い。
【0049】
C.中間層
第1の表面材と芯材の間および/または第2の表面材と芯材の間には、任意の適切な中間層を積層してもよい。中間層を積層することで、剛性と内部損失とのバランスを適切に調節することができる。該中間層は、好ましくは織布または不織布で構成される。芯材へ熱硬化性樹脂組成物(後述)を透過させる必要がある為である。
【0050】
上記織布または不織布を構成する繊維としては、任意の適切な繊維が採用され得る。基材を加熱成形する際(後述)、熱による変形を少なくできる繊維が好ましい。さらに、上記表面材と比べヤング率が小さく、内部損失が大きい繊維が好ましい。具体例としては、アラミド繊維などの高弾性率繊維、または綿、麻などの天然繊維を挙げることができる。
【0051】
上記中間層の積層枚数は、任意の適切な枚数が採用され得る。さらに、表面材と中間層の組み合わせは、目的に応じて適宜選択され得る。例えば、さらに高い剛性を目的として振動板を設計する際には、組み合わせの具体例としては、炭素繊維織布/アラミド繊維不織布、炭素繊維織布/ポリエステル繊維不織布、アラミド繊維織布/アラミド繊維不織布などが挙げられる。一方、さらに高い内部損失を目的として振動板を設計する際には、組み合わせの具体例としては、炭素繊維織布/綿繊維不織布、炭素繊維織布/黄麻繊維不織布、アラミド繊維織布/綿繊維不織布などが挙げられる。なお、このような組み合わせはいずれも、剛性と内部損失のバランスに優れていることはいうまでもない。
【0052】
D.基材
基材は、第1の表面材、芯材、第2の表面材をこの順に有する。該基材は、熱硬化性樹脂組成物を含浸させてなる。基材は、必要に応じて上記のように第1の表面材と芯材の間および/または第2の表面材と芯材との間に中間層を有し得る。
【0053】
上記熱硬化性樹脂組成物は、任意の適切な樹脂組成物が採用される。不飽和ポリエステル樹脂を主剤として含む樹脂組成物が好ましい。硬化温度が低いので基材が熱によって変質や劣化することを抑制でき、硬化時間も短いので他の熱硬化性樹脂組成物に比べ製造時間を短縮できる為である。上記熱硬化性樹脂組成物は、必要に応じて各種添加剤を含有する。このような添加剤の代表例として、低収縮剤、硬化剤などが挙げられる。硬化剤としては、例えば、有機化酸化物や、ビニル単量体の架橋材などが挙げられる。低収縮剤としては、例えば熱可塑性樹脂およびその溶液が挙げられる。
【0054】
本発明のスピーカー振動板は、代表的には、熱硬化性樹脂組成物を基材に滴下した後、所定の形状を有する金型でプレスすることにより成形される。熱硬化性樹脂組成物はプレスによって表面材から含浸し、次に流動抵抗の少ない貫通孔または間隙を充填する。一方、中空微粒子が存在する部分(厚み方向の中心部分またはセル)では流動抵抗が著しく大きくなり、熱硬化性樹脂組成物が含浸することが困難となる。したがって、樹脂硬化後のスピーカー振動板の内部は、表面材の隙間から芯材の貫通孔および/または間隙に樹脂が充填硬化した構造を有する。図5は、好ましい実施形態による基材の断面概略図である。基材200は、第1の表面材51と中間層61と芯材100と中間層62と第2の表面材52とを有する。基材200は、樹脂硬化物の柱70によって支持されている。
【0055】
本発明の別の局面によれば、スピーカー構造体が提供される。このスピーカー構造体は、上記のような基材を用いて所定の形状に成形されてなる。このようなスピーカー構造体は、スピーカーフレーム、エンクロージャーまたはスタンド等に用いられ得る。
【0056】
以下、実施例によって本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれら実施例によって限定されるものではない。なお、特に示さない限り、実施例中の部およびパーセントは重量基準である。
【0057】
(実施例1)
下記の組成を有する不飽和ポリエステル溶液を調製した:
不飽和ポリエステル樹脂(ジャパンコンポジット(株)製;ポリホープN350L):
100(部)
低収縮化剤(日本油脂(株)製;モディパーS501) : 5
パーオクタO(日本油脂(株)製) : 1.3
【0058】
中空微粒子(粒径:15〜90μm、密度:0.03〜0.06g/cm)を分散させたポリエステル繊維不織布(LANTOR製、Coremat Xi、厚さ:2mm、面密度:76g/m)を芯材とし、表面材として綿繊維織布(織密度:縦40本/inch、横40本/inch、面密度:110g/m、20cm角)を芯材の両面に1層ずつ積層した。この3層積層体を基材とした。
【0059】
約25cm角のステンレス板の中央部分に直径約18cmの穴を開けた冶具を2つ用意し、この2つの冶具の間に上記積層体基材を挟み込んだ。冶具で固定した基材の中央付近に、上から上記不飽和ポリエステル溶液約8gを滴下した。次いで、所定の形状のマッチドダイ金型を用いて、135℃で2分間成形し、口径16cm、厚さ1.45mmのスピーカー振動板を得た。
【0060】
得られた振動板について、密度、重量、ヤング率および内部損失(tanδ)を通常の方法で測定した。得られた結果を、後述の実施例2〜4および比較例1〜2の結果と併せて下記表1に示す。なお、剛性比は、比較例1の(ヤング率×厚みの3乗)を1.0とした場合、他の振動板の(ヤング率×厚みの3乗)との比を算出したものである。
【0061】
(実施例2)
中空微粒子を内包した球状セルを有するポリエステル繊維不織布(LANTOR製、Soric TF、厚さ:2mm、面密度:130g/m)を芯材としたこと以外は実施例1と同様にして、口径16cm、厚さ1.53mmのスピーカー振動板を得た。得られた振動板について実施例1と同様の評価を行った。結果を下記表1に示す。
【0062】
(実施例3)
中空微粒子を内包した六角柱セルを有するポリエステル繊維不織布(LANTOR製、Soric XF、厚さ:2mm、面密度:140g/m)を芯材としたこと以外は実施例1と同様にして、口径16cm、厚さ1.57mmのスピーカー振動板を得た。得られた振動板について実施例1と同様の評価を行った。結果を下記表1に示す。
【0063】
(実施例4)
第1の表面材(ここでは芯材上側の表面材)としてポリエチレンナフタレート(PEN)繊維織布(織密度:縦17本/inch、横17本/inch、面密度:160g/m、20cm角)を用い、第2の表面材(ここでは芯材下側の表面材)としてアラミド繊維不織布(帝人(株)、テクノーラ、面密度:60g/m、厚み:0.65mm、20cm角)を用いたこと以外は実施例3と同様にして、口径16cm、厚さ1.61mmのスピーカー振動板を得た。得られた振動板について実施例1と同様の評価を行った。結果を下記表1に示す。
【0064】
(比較例1)
絹繊維織布(繊維長:58mm、面密度:30g/m、厚み:0.28mm)および絹繊維不織布(繊維長:58mm、面密度:40g/m、厚み:0.30mm)を積層した基材を用いたこと以外は実施例1と同様にして、口径16cm、厚さ0.21mmのスピーカー振動板を得た。得られた振動板について実施例1と同様の評価を行った。結果を下記表1に示す。
【0065】
(比較例2)
PEN繊維織布(織密度:縦17本/inch、横17本/inch、面密度:160g/m、20cm角)、ポリカーボネート発泡シート(JSP(株)製、ミラボード H、面密度:360g/m、厚み:3mm、20cm角)およびアラミド繊維不織布(帝人(株)製、テクノーラ、面密度:60g/m、厚み:0.65mm、20cm角)をこの順に積層した基材を用いたこと以外は実施例1と同様にして、口径16cm、厚さ0.51mmのスピーカー振動板を得た。得られた振動板について実施例1と同様の評価を行った。結果を下記表1に示す。
【0066】
【表1】

【0067】
(実施例5)
実施例3で用いたポリエステル不織布を芯材とし、芯材上側にPEN繊維織布(織密度:縦17本/inch、横17本/inch、面密度:160g/m、20cm角)を、芯材下側に黄麻繊維織布(織密度:縦8本/inch、横44本/inch、面密度:260g/m、20cm角)およびアラミド繊維不織布(帝人(株)製:製品名テクノーラ、面密度:60g/m、厚み:0.65mm、20cm角)を配置した。この4層積層体を基材とした。さらに、不飽和ポリエステル溶液を10g用いたこと以外は実施例1と同様にして成形を行い、口径16cm、厚さ1.96mmのスピーカー振動板を得た。得られた振動板について実施例1と同様の評価を行った。結果を下記表2に示す。なお、剛性比は、比較例3の(ヤング率×厚みの3乗)を1.0とした場合、他の振動板の(ヤング率×厚みの3乗)との比を算出したものである。
【0068】
(実施例6)
PEN繊維織布と芯材の間に黄麻繊維織布(織密度:縦8本/inch、横44本/inch、面密度:260g/m、20cm角)をさらに積層したこと以外は実施例5と同様にして、口径16cm、厚さ2.13mmのスピーカー振動板を得た。得られた振動板について実施例1と同様の評価を行った。結果を下記表2に示す。
【0069】
(比較例3)
PEN繊維織布(織密度:縦17本/inch、横17本/inch、面密度:160g/m、20cm角)、ポリカーボネート発泡シート(JSP(株)製、ミラボード H、面密度:360g/m、厚み:3mm、20cm角)およびアラミド繊維不織布(帝人(株)製、テクノーラ、面密度:60g/m、厚み:0.65mm、20cm角)をこの順に積層した基材を用いたこと以外は実施例1と同様にして、口径16cm、厚さ0.51mmのスピーカー振動板を得た。得られた振動板について実施例1と同様の評価を行った。結果を下記表2に示す。
【0070】
(比較例4)
黄麻繊維織布(織密度:縦8本/inch、横44本/inch、面密度:260g/m、20cm角)を5枚積層し基材を得た。それ以外は実施例1と同様にして口径16cm、厚さ1.73mmのスピーカー振動板を得た。得られた振動板について実施例1と同様の評価を行った。結果を下記表2に示す。
【0071】
【表2】

【0072】
(実施例7)
表面材として、炭素繊維織布(東レ(株)製、トレカクロス C06343、平織り、織密度:縦12.5本/inch、横12.5本/inch、面密度:198g/m、厚さ:0.25mm)を実施例3の芯材の両面に積層し、3層構造の基材とした。約25cm角のステンレス板の中央部分に直径約18cmの穴を開けた冶具を2つ用意し、この2つの冶具の間に上記積層体を挟み込んだ。冶具で固定した基材の中央付近に、実施例1と同様に調製した不飽和ポリエステル溶液約8gを滴下した。次いで、所定の形状のマッチドダイ金型を用いて、135℃で2分間成形し、80℃の恒温槽で約1時間養生し、口径約20cm、厚さ2.16mmのスピーカーフレームを得た。得られたフレームについて実施例1と同様の評価を行った。結果を下記表3に示す。なお、剛性比は、比較例6の(ヤング率×厚みの3乗)を1.0とした場合、他のスピーカーフレームの(ヤング率×厚みの3乗)との比を算出したものである。
【0073】
(実施例8)
実施例7の基材において、芯材片側(下側)の炭素繊維織布をアラミド繊維織布(東レデュポン(株)製、ケブラー、平織り、織密度:縦12.5本/inch、横12.5本/inch、面密度:110g/m、厚さ:0.26mm)に変更したこと以外は実施例7と同様にして、口径約20cm、厚さ2.00mmのスピーカーフレーム
を得た。得られたフレームについて実施例1と同様の評価を行った。結果を下記表3に示す。
【0074】
(比較例5)
炭素繊維織布(東レ(株)製、トレカクロス C06343、平織、織密度:縦12.5本/inch、横12.5本/inch、面密度:198g/m、厚さ:0.25mm、20cm角)を3層積層し基材を得た。この基材を用いたこと以外は実施例7と同様にして、口径20cm、厚さ0.64mmのスピーカーフレームを得た。得られたフレームについて実施例1と同様の評価を行った。結果を下記表3に示す。
【0075】
(比較例6)
炭素繊維織布をアラミド繊維織布(東レデュポン(株)製、ケブラー、平織り、織密度:縦12.5本/inch、横12.5本/inch、面密度:110g/m、厚さ:0.26mm)に変更したこと以外は比較例5と同様にして、口径20cm、厚さ0.54mmのスピーカーフレームを得た。得られたスピーカーフレームについて実施例1と同様の評価を行った。結果を下記表3に示す。
【0076】
(比較例7)
冷延鋼板(SPCC材、厚さ:0.8mm)をプレス金型により冷間プレスすることにより口径20cm、厚さ0.8mmのスピーカーフレームを得た。得られたスピーカーフレームについて実施例1と同様の評価を行った。結果を下記表3に示す。
【0077】
(比較例8)
ABS樹脂(東レ(株)製、トヨラック、品番:855VG30/ガラス繊維30%)を射出成形によりスピーカーフレーム形状に成形した(厚さ:2.0mm)。実施例1と同様の評価を行い、結果を下記表3に示す。
【0078】
【表3】

【0079】
(実施例9)
実施例1で用いたポリエステル不織布を芯材とし、第1および第2の中間層としてアラミド繊維不織布(帝人(株)製:テクノーラ、繊維長58mm、面密度:60g/m、厚さ0.4mm、20cm角)を芯材の両面にそれぞれ配置した。第1および第2の表面材として、炭素繊維織布(東レ(株)製、トレカクロス C06142、1000フィラメント、平織、織密度:縦22.5本/inch、横22.5本/inch、面密度:119g/m、厚さ:0.15mm、20cm角)を中間層の両面に積層したものを基材とした。この基材を用いた以外は実施例1と同様にして、口径16cm、厚さ1.542mmのスピーカー振動板を得た。得られた振動板について実施例1と同様の評価を行った。結果を下記表4に示す。なお、剛性比は、比較例1の(ヤング率×厚みの3乗)を1.0とした場合、他の振動板の(ヤング率×厚みの3乗)との比を算出したものである。また、表4には、上記比較例1および2の結果も再度示す。
【0080】
(実施例10)
実施例9の炭素繊維織布をフィラメント数3000の炭素繊維織布(東レ(株)製、トレカクロス C06343、3000フィラメント、平織り、織密度:縦12.5本/inch、横12.5本/inch、面密度:198g/m、厚さ:0.25mm、20cm角)に変えたこと以外は実施例9と同様にして、口径16cm、厚さ1.599mmの振動板を得た。得られた振動板について実施例1と同様の評価を行った。結果を下記表4に示す。
【0081】
(実施例11)
実施例9の振動板において、第1および第2の中間層を綿不織布(面密度:40g/m、厚さ:0.30mm)としたこと以外は実施例9同様にして、口径16cm、厚さ1.602mmの振動板を得た。得られた振動板について実施例1と同様の評価を行った。結果を下記表4に示す。
【0082】
(実施例12)
実施例11の基材において、綿不織布を第1の中間層(ここでは芯材上側の中間層)のみに用いたこと以外は実施例9同様にして口径16cm、厚さ1.539mmの振動板を得た。得られた振動板について実施例1と同様の評価を行った。結果を下記表4に示す。
【0083】
(実施例13)
実施例9の基材より中間層を省いたこと以外は実施例9同様にして、口径16cm、厚さ1.587mmの振動板を得た。得られた振動板について実施例1と同様の評価を行った。結果を下記表4に示す。
【0084】
(実施例14)
実施例2で用いたポリエステル不織布を芯材とし、第1の中間層として綿不織布(面密度:40g/m、厚さ:0.30mm)を芯材の上面に配置した。第1の表面材としてPEN繊維織布(帝人(株)製、織密度:タテ・ヨコ共に17本/inch、面密度:166g/m2、20cm角)を第1の中間層の上面に積層し、第2の表面材として実施例9で用いたアラミド不織布を芯材片側(下面)に積層したものを基材とした。この基材を用いた以外は実施例1と同様にして、口径16cm、厚さ1.630mmのスピーカー振動板を得た。得られた振動板について実施例1と同様の評価を行った。結果を下記表4に示す。
【0085】
【表4】

【0086】
上記表1から明らかなように、芯材に中空微粒子を含むことで実施例1〜4の振動板は、比較例1〜2の振動板に比べて内部損失および剛性比が優れている。さらに、実施例1〜3の結果より中空微粒子を内包するセルを形成することにより、内部損失およびヤング率がさらに向上することが分かる。また、実施例4の結果より、表面材にポリエステル繊維および/またはアラミド繊維などの高弾性率繊維を用いることで、内部損失およびヤング率がさらに向上することが分かる。
【0087】
上記表2および実施例4(表1に記載)から明らかなように、中空微粒子を内包した芯材の上側および/または下側に中空で弾性率の大きい天然繊維織布を積層すると、天然繊維織布を積層しない場合と比較し内部損失に優れた振動板を得ることができる。天然繊維織布の表面に高弾性率繊維からなる織布および/または不織布を積層することで、さらに優れたヤング率を有する振動板を得ることができることが分かる。
【0088】
上記表3から明らかなように、実施例7および8のスピーカー構造体は、比較例5〜8のスピーカー構造体と比べ、優れた剛性比および内部損失を有している。さらに、実施例の構造体は密度も低く軽量化に寄与している。比較例7のスピーカー構造体は剛性に優れているが内部損失が実施例の半分以下であり、固有の残響音が残りやすい。さらに、密度が著しく大きいので、スピーカー構造体としては好ましくない。比較例8は内部損失が高いものの剛性が著しく小さく、密度も実施例の約2倍以上であるので、スピーカー構造体としては好ましくない。
【0089】
表4から明らかなように、中間層を少なくとも1層積層することで、優れたヤング率および内部損失をバランスよく有するスピーカー振動板を得ることができる。さらに、中間層が1層積層された場合は、低密度化が可能であり、かつ、優れたヤング率および内部損失をバランスよく有することが分かる。
【産業上の利用可能性】
【0090】
以上のように、本発明によれば、芯材に中空微粒子を充填し、基材に熱硬化性樹脂組成物を含浸させることで、ヤング率と内部損失のいずれにも優れたスピーカー振動板および、軽量でかつ剛性に優れたスピーカーを得られる。
【図面の簡単な説明】
【0091】
【図1】本発明の好ましい実施形態の貫通孔を有する芯材の模式図である。
【図2】本発明の好ましい実施形態の球状セルを有する芯材の模式図である。
【図3】本発明の好ましい実施形態の円筒状セルを有する芯材の模式図である。
【図4】本発明の好ましい実施形態の多角柱状セルを有する芯材の模式図である。
【図5】本発明の好ましい実施形態による基材の断面概略図である。
【符号の説明】
【0092】
10 織布または不織布
20 中空微粒子
30 貫通孔
41 球状セル
42 円筒状セル
43 多角柱状セル
44 間隙
50 表面材
60 中間層
70 樹脂硬化物
100 芯材
200 基材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材に熱硬化性樹脂が含浸されてなるスピーカー振動板であって、
該基材が、第1の表面材と芯材と第2の表面材とをこの順に有し;該第1の表面材および該第2の表面材が、織布または不織布を含み;該芯材が、中空微粒子を含む織布または不織布から構成されている、スピーカー振動板。
【請求項2】
前記芯材を構成する織布または不織布が、ポリエステル繊維から形成されている、請求項1に記載のスピーカー振動板。
【請求項3】
前記芯材が、厚み方向の中間部分に前記中空微粒子が分散している織布または不織布から構成されている、請求項1または2に記載のスピーカー振動板。
【請求項4】
前記芯材が、貫通孔をさらに有する、請求項3に記載のスピーカー振動板。
【請求項5】
前記芯材が、前記中空微粒子を内包し、かつ互いに間隙を有して形成された複数のセルを含む織布または不織布から構成される、請求項1または2に記載のスピーカー振動板。
【請求項6】
前記セルが、球状、円筒状および多角柱状からなる群から選択される少なくとも1つの形状を有する、請求項5に記載のスピーカー振動板。
【請求項7】
前記中空微粒子の粒径が、15〜90μmである、請求項1から6のいずれかに記載のスピーカー振動板。
【請求項8】
前記中空微粒子の密度が、0.03〜0.06g/cmである、請求項1から7のいずれかに記載のスピーカー振動板。
【請求項9】
前記第1の表面材および第2の表面材が、高弾性率繊維、天然繊維または再生繊維の織布または不織布を含む、請求項1から8のいずれかに記載のスピーカー振動板。
【請求項10】
前記熱硬化性樹脂組成物が不飽和ポリエステル樹脂を含有する、請求項1から9のいずれかに記載のスピーカー振動板。
【請求項11】
前記芯材と前記第1の表面材および/または第2の表面材との間に中間層が積層されている、請求項10に記載のスピーカー振動板。
【請求項12】
基材に熱硬化性樹脂が含浸されてなるスピーカー構造体であって、
該基材が、第1の表面材と芯材と第2の表面材とをこの順に有し;該第1の表面材および該第2の表面材が、織布または不織布を含み;該芯材が、中空微粒子を含む織布または不織布から構成されている、スピーカー構造体。
【請求項13】
スピーカーフレーム、エンクロージャーまたはスタンドとして用いられる、請求項12に記載されているスピーカー構造体。
【請求項14】
請求項1から11のいずれかに記載のスピーカー振動板、および/または、請求項12または13に記載のスピーカー構造体を含む、スピーカー。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2007−6435(P2007−6435A)
【公開日】平成19年1月11日(2007.1.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−312107(P2005−312107)
【出願日】平成17年10月27日(2005.10.27)
【出願人】(000000273)オンキヨー株式会社 (502)
【Fターム(参考)】