説明

スピーカ

【課題】深さを浅くすることができ、部品点数が少なく、高い性能を有するスピーカを提供する。
【解決手段】スピーカ1は、細長型のものであり、フレーム10と、振動板21と、それぞれ磁気回路30やボイスコイル42などを含む2つの駆動部5,6を有する。駆動部5,6のボイスコイルボビン41は、互いに隣り合うようにして、振動板21に取り付けられている。振動板21のうち2つのボイスコイルボビン41間には、配線材65が接続されている。各ボイスコイル42の導線42a,42bと導線42c,42dとは、振動板21の前面側に引き出されている。各駆動部5,6のボイスコイルについて、一方の導線42b,42cは配線材65に接続されており、他方の導線42a,42cは導線42b,42cとは異なる方向に配線されている。これにより、2つのボイスコイル42は、互いに直列に接続されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、スピーカに関し、特に、ボイスコイルを含む駆動部を複数有するスピーカに関する。
【背景技術】
【0002】
スピーカは、家庭用音響機器や車載用音響機器だけでなく、パーソナルコンピュータ、携帯電話、ゲーム機など、様々な電子機器に広く使用されている。電子機器は軽薄短小化が進んでおり、スピーカに対しても、より小型化されたもの、特に細長型で薄型なものが求められている。
【0003】
細長型で薄型のスピーカでは、大きな磁気回路を搭載することが難しくなるため、複数の小さな磁気回路に分けて一つの振動板を駆動させることが一般的となっている。
【0004】
このような複数の磁気回路を持つスピーカでは、錦糸線を使わずに、並列接続できるようにしたものがある。しかしながら、錦糸線を用いない場合であっても、スピーカの配線用に特別な部品を用いることが必要になる。
【0005】
このような問題点に関して、下記特許文献1には、振動板の中央に端子を設けて、ボイスコイルボビンに装着された錦糸線を端子に導くようにしたスピーカの構造が開示されている。このスピーカにおいて、2つのボイスコイルの中間に設置された端子板によって、その2つのボイスコイル同士が繋がれている。すなわち、1つの入力用端子に対して、2つのボイスコイルが接続されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許3652782号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、特許文献1に記載されているスピーカの構造は、ダンパーと振動板との間から錦糸線が引き出されるものであり、深さが浅いスピーカに用いることはできないという問題があった。また、隣り合うボイスコイルの引き出し線の向き(巻回方向)が同じ方向である場合には、一方のボイスコイルに接続された錦糸線が180度折れ曲がった状態で取り付けられるので、錦糸線やボイスコイルに無理がかかる場合がある。他方、隣り合うボイスコイルの引き出し線を向かい合わせに設置した場合(ボイスコイルの向きが互いに逆になる場合)には、磁気回路を逆相に着磁しなければならず、スピーカの構成が複雑でわずらわしいものになるという問題がある。
【0008】
この発明はそのような問題点を解決するためになされたものであり、深さを浅くすることができ、部品点数が少なく、高い性能を有するスピーカを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するためこの発明のある局面に従うと、スピーカは、それぞれボイスコイルを有する複数のボイスコイルボビンと、複数のボイスコイルボビンのそれぞれが取り付けられている振動板と、振動板に固定された配線材とを備え、複数のボイスコイルボビンのそれぞれは、他のボイスコイルボビンに隣り合うようにして配置されており、配線材は、振動板のうち、互いに隣り合うボイスコイルボビン間の部位に固定されており、複数のボイスコイルボビンのそれぞれのボイスコイルの正負の導線のうち一方の導線は、そのボイスコイルボビンとそれに隣り合うボイスコイルボビンとの間に配置されている配線材に接続され、隣り合うボイスコイルボビンに向けて配線されており、他方の導線は、一方の導線の配線方向とは異なる方向に配線されており、複数のボイスコイルは、互いに直列に接続されている。
【0010】
好ましくはスピーカは、互いに直列に接続された複数のボイスコイルの両端部となる導線にそれぞれ接続された錦糸線をさらに備え、錦糸線は、それぞれ、振動板の背面側に配置されており、その一端部が振動板の前面側に引き出され、他端部がスピーカの固定部に配置された端子に接続され、一端部と他端部との間の部位が湾曲自在である。
【0011】
好ましくは配線材は、その両端部がそれぞれ振動板の背面側から前面側に引き出されるように配置されており、ボイスコイルの導線は、配線材のうち振動板の前面側に引き出された部分に接続されている。
【0012】
好ましくは配線材は、その両端部がそれぞれ振動板の前面側から背面側に引き出されるように配置されており、ボイスコイルの導線は、配線材のうち振動板の前面側にある部分に接続されている。
【発明の効果】
【0013】
これらの発明に従うと、各ボイスコイルの導線の一方が配線材に接続されることで、隣り合うボイスコイルボビンに向けて配線されている。したがって、深さを浅くすることができ、部品点数が少なく、高い性能を有するスピーカを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の実施の形態の1つにおけるスピーカの正面図である。
【図2】スピーカの側断面図である。
【図3】図1のA−A線断面図である。
【図4】振動板ユニットを示す正面図である。
【図5】振動板ユニットの側面図である。
【図6】振動板ユニットの背面図である。
【図7】フレームに駆動部が取り付けられている状態を示す正面図である。
【図8】フレームに振動板ユニットを組み付けた状態を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態の1つにおけるスピーカについて説明する。
【0016】
[実施の形態]
【0017】
図1は、本発明の実施の形態の1つにおけるスピーカ1の正面図である。
【0018】
図1に示されるように、スピーカ1は、正面(以下、前面ということがある。)から見て細長型の外形を有している。
【0019】
図2は、スピーカ1の側断面図である。図3は、図1のA−A線断面図である。
【0020】
以下、図1〜3を参照しながら、スピーカ1の構造について説明する。
【0021】
図2に示されるように、スピーカ1は、2つの駆動部5,6を有する、細長型のものである。駆動部5,6は、それぞれ、スピーカ1の背面(図2において右側;以下、裏面ということがある。)側に取り付けられている。駆動部5,6は、後述するように、それぞれボイスコイル42を含む。
【0022】
スピーカ1は、大まかに、フレーム10と、振動板ユニット20と、2つの駆動部5,6とを有している。振動板ユニット20は、振動板21と、エッジ25と、ガスケット29とを有している。振動板ユニット20には、キャップ27,28が取り付けられている。駆動部5は、磁気回路30と、ボイスコイルボビン41と、ボイスコイル42と、ダンパー100とを有している。駆動部6は、駆動部5と同一の構成を有している。
【0023】
駆動部5,6は、それぞれ、フレーム10の中央部を挟んで上下略対称となる位置に、互いに上下に並ぶように配置されている。換言すると、駆動部5,6は、それぞれのボイスコイルボビン41が互いに隣り合うように、並んで配置されている。
【0024】
磁気回路30は、ボトムヨーク31と、マグネット32と、トッププレート33とを有している。磁気回路30は、フレーム10に固定されている。磁気回路30は、外磁型のものである。マグネット32は、ボトムヨーク31の底部とトッププレート33との間に挟まれるようにして、ボトムヨーク31の中央円筒部の周囲に配置されている。これにより、ボトムヨーク31の中央円筒部と、トッププレート33の内周部との隙間に磁気ギャップが構成されている。なお、磁気回路30は内磁型のものであってもよい。
【0025】
ボイスコイル42は、ボイスコイルボビン41の下部(図2において右側の部分)周面に、巻回されて取り付けられている。本実施の形態において、ボイスコイルボビン41は、略円筒形状を有している。ボイスコイル42は、ボイスコイルボビン41と共に磁気回路30の磁気ギャップに位置するようにして配置されている。ボイスコイルボビン41は、ダンパー100を介して、フレーム10に支持されている。
【0026】
振動板ユニット20は、ガスケット29に対してエッジ25を介して振動板21が取り付けられて構成されている。振動板ユニット20は、ガスケット29がフレーム10に固定されることで、フレーム10に取り付けられている。エッジ25の内周部は、振動板21の外周部に接着されている。図1に示されるように、本実施の形態において、エッジ25の外周縁は、平面視で2つの半円弧と2つの互いに略平行な直線とを接続して形成される長円形状を有している。他方、フレーム10は、略矩形形状を有している。ガスケット29は、エッジ25の外周縁とフレーム10の取り付け面との間を覆うように形成されている。エッジ25の外周縁は、ガスケット29に接着されている。すなわち、振動板21は、ガスケット29にエッジ25を介して保持されている。
【0027】
図2に示されるように、振動板21は、2つの駆動部5,6にそれぞれ対応する2つのコーン部23,24を有し、一体に形成されている。すなわち、振動板21において、駆動部5に対応する部分と、駆動部6に対応する部分とが深くなっている(スピーカ1の正面から窪み、背面側に近づいている。)。また、振動板21は、その深い部分から振動板21の外周部に近づくに従って、浅くなるように、すなわちスピーカ1の正面(図2において左端の面)からの距離が小さくなるように形成されている。駆動部5,6の間の部分すなわちスピーカ1の中央部においても、振動板21の深さは浅くなっている。
【0028】
コーン部23は、駆動部5のボイスコイルボビン41の上部(図2においてボイスコイルボビン41の左側の部分)に接続されている。また、コーン部24は、駆動部6のボイスコイルボビン41の上部に接続されている。これにより、両ボイスコイルボビン41が前後(図2において左右方向)に変位して振動するのに伴い、振動板21が振動する。キャップ27,28は、それぞれ、コーン部23,24の正面側に、それによりボイスコイルボビン41が覆われるように、接着されている。
【0029】
図3に示されるように、ダンパー100は、内周部110と、外周部120と、コルゲーション部130とを有している。ダンパー100は、長径部と短径部とを有する略長円形状を有している。ダンパー100は、長径部がスピーカ1の長手方向すなわち上下方向(図3において紙面に垂直な方向)となるように配置されている。コルゲーション部130は、内周部110と外周部120とを接続している。コルゲーション部130には、複数の山部及び谷部が設けられている。内周部110は、ボイスコイルボビン41の外周部に接着されている。外周部120は、フレーム10に取り付けられている。これにより、振動板21と、駆動部5,6のそれぞれのボイスコイルボビン41やボイスコイル42とで構成されるスピーカ1の振動系は、2つのダンパー100と、エッジ25とで支持されている。
【0030】
図2に示されるように、振動板21の中央部には、配線材65が固定されている。本実施の形態において、駆動部5のボイスコイル42と駆動部6のボイスコイル42とは、配線材65を介して、直列に接続されている。
【0031】
配線材65は、振動板21の背面側に取り付けられている。配線材65の駆動部5側の端部65aは、コーン部23の下部(駆動部6側の部分)から、振動板21を貫通し、振動板21の前面側に引き出されている。また、配線材65の駆動部6側の端部65bは、コーン部24の上部(駆動部5側の部分)から、振動板21を貫通し、振動板21の前面側に引き出されている。すなわち、配線材65は、その両端部65a,65bがそれぞれ振動板21の背面側から前面側に引き出されるようにして配置されている。
【0032】
振動板21の長径方向両端部(上下両端部)には、錦糸線61,62が配置されている。錦糸線61は、振動板21の上方に配置されている。錦糸線61の一方の端部61aは、フレーム10の背面に設けられた端子63に接続されている。錦糸線61の他方の端部61bは、コーン部23の上部から、振動板21を貫通し、振動板21の前面側に引き出されるようにして、振動板21に固定されている。また、錦糸線62は、振動板21の下方に配置されている。錦糸線62の一方の端部62aは、コーン部24の下部から、振動板21を貫通し、振動板21の前面側に引き出されるようにして、振動板21に固定されている。錦糸線62の他方の端部62bは、フレーム10の背面に設けられた端子64に接続されている。錦糸線61,62のそれぞれは、その両端部61a,61b間、62a,62b間で湾曲自在に、振動板21のフレーム10に対する変位を許容するようにして配置されている。
【0033】
各ボイスコイル42の正負の導線(引き出し線)は、正負方向が長径軸と平行な方向すなわち上下方向になるように、互いに同じ方向を向くようにして、共に振動板21の前面側に引き出されている。図2に示されるように、駆動部5のボイスコイル42の正負2つの導線42a,42bのうち、一方の導線42aは、ボイスコイルボビン41から錦糸線61に向けて、すなわち上方に向けて配線されている。他方の導線42bは、ボイスコイルボビン41から配線材65に向けて、すなわち下方に向けて配線されている。また、駆動部6のボイスコイル42の2つの導線42c,42dのうち、一方の導線42cは、ボイスコイルボビン41から配線材65に向けて、すなわち上方に向けて配線されている。他方の導線42dは、ボイスコイルボビン41から錦糸線62に向けて、すなわち下方に向けて配線されている。換言すると、駆動部5のボイスコイル42の正負2つの導線42a,42bは、ボイスコイル42から見て正面視で互いに異なる方向に、それぞれ上下方向に配線されている。駆動部6のボイスコイル42の正負2つの導線42c,42dは、ボイスコイル42から見て正面視で互いに異なる方向に、それぞれ上下方向に配線されている。
【0034】
駆動部5のボイスコイル42の導線42aは、振動板21の前面側に引き出されている錦糸線61の端部61bに接続されている。また、導線42bは、振動板21の前面側に引き出されている配線材65の端部65aに接続されている。駆動部6のボイスコイル42の導線42cは、振動板21の前面側に引き出されている配線材65の端部65bに接続されている。また、導線42dは、振動板21の前面側に引き出されている錦糸線62の端部62aに接続されている。
【0035】
導線42aは、錦糸線61との接続部分も含め、振動板21の前面側に、接着剤49などにより固定されている。同様に、導線42b,42c,42dは、配線材65との接続部分や錦糸線62との接続部分も含め、振動板21の前面側に、接着剤49などにより固定されている。
【0036】
ここで、本実施の形態において、駆動部5,6では、互いに、ボイスコイル42は同一の方向に巻回されており、マグネット32の極性は同方向である。すなわち、駆動部5,6のそれぞれの磁気回路30は、互いに同相に着磁されている。駆動部5,6のそれぞれのボイスコイル42のうち、配線材65に接続されている2つの導線42b,42cは、一方が正極側で、他方が負極側である。
【0037】
このように、駆動部5,6の各ボイスコイル42の一方の導線42b,42cは、配線材65に接続され、各ボイスコイル42の他端の導線42a,42dは、錦糸線を介して2つの端子63,64に接続されている。これにより、それぞれのボイスコイル42は、端子63,64間を両端として、互いに直列に接続されている。
【0038】
なお、配線材65としては、例えば、錦糸線61,62などと同一の素材の部材が用いられる。配線材65は、振動板21の形状になじむような柔軟性があり、導電性を有するものであればこれに限られない。例えば、銅箔や、導線や、フレキシブル基板などを配線材65として用いてもよい。
【0039】
次に、スピーカ1の組立て手順の一例について説明する。
【0040】
図4は、振動板ユニット20を示す正面図である。図5は、振動板ユニット20の側面図である。図6は、振動板ユニット20の背面図である。
【0041】
スピーカ1は、先に、振動板ユニット20部分が組み立てられて、その後、フレーム10に振動板ユニット20を組み付けることで組み立てられる。このとき、図6に示されるように、振動板ユニット20には、錦糸線61,62と、配線材65とが取り付けられている。配線材65は、例えば接着剤67により、振動板21に固定されている。
【0042】
図4に示されるように、振動板21には、2つのボイスコイルボビン41が取り付けられる孔部21a,21bが形成されている。正面から見て、振動板21のうち孔部21aの上下には、それぞれ、錦糸線61の端部61bと、配線材の端部65aとが引き出されている。また、振動板21のうち孔部21bの上下には、それぞれ、配線材65の端部65bと、錦糸線62の端部62aとが引き出されている。図5に示されるように、錦糸線61,62は、それぞれ一方の端部61b,62aが振動板21の前面側に引き出された状態で(図5においては端部61b,62aは振動板21に隠れている)、振動板21に保持されている。
【0043】
図7は、フレーム10に駆動部5,6が取り付けられている状態を示す正面図である。
【0044】
上述の振動板ユニット20とは別に、フレーム10には、駆動部5,6が取り付けられる。図7に示されるように、フレーム10には、2つの磁気回路30が取り付けられた上で、ダンパー100とともにボイスコイルボビン41が取り付けられる。駆動部5,6のそれぞれのボイスコイル42の導線42a,42bと、導線42c,42dは、ボイスコイルの正負方向が長径軸と平行で、互いに同じ方向を向くようにして配置され、そのボイスコイルボビン41から上方に引き出されている。
【0045】
また、フレーム10には、端子63,64が取り付けられている。振動板ユニット20の錦糸線61,62の端部61a,62bは、端子63,64に接続される。
【0046】
図8は、フレーム10に振動板ユニット20を組み付けた状態を示す正面図である。
【0047】
フレーム10には、ガスケット29が固定され、振動板21に駆動部5,6のそれぞれのボイスコイルボビン41が取り付けられる。これにより、フレーム10に振動板ユニット20が組み付けられる。このとき、ボイスコイル42の導線42a〜42dは、振動板21の前面側に引き出されている。
【0048】
フレーム10に振動板ユニット20が組み付けられると、図8に示されるように、配線が行われる。すなわち、駆動部5のボイスコイル42の導線42a,42bは、それぞれ、錦糸線61の端部61b、配線材65の端部65aに接続される。また、駆動部6のボイスコイル42の導線42c,42dは、それぞれ、配線材65の端部65b、錦糸線62の端部62aに接続される。
【0049】
このように配線が行われた後、接着剤49で導線42a〜42dが振動板21に固定され、キャップ27,28が取り付けられることで、図1に示されるようなスピーカ1が完成する。
【0050】
[実施の形態における効果]
【0051】
以上のように構成されたスピーカ1では、ボイスコイル42同士が振動板21に取り付けられている配線材65を介して接続されるため、ダンパー100と振動板21の間の空間を狭くすることができる。したがって、ダンパー100を用いてスピーカの性能を維持しつつ、スピーカ1の深さを浅くすることができる。また、磁気回路30の着磁方向は2つの駆動部5,6間で同一とされているため、スピーカ1の構成を簡素にすることができ、組立て工数を削減できる。
【0052】
また、本実施の形態において、中継用の配線材65は、振動板21の略中央に固定されている。したがって、振動板21の中央部が配線材65及び接着剤67により補強され、スピーカ1の耐久性が向上する。振動板21の重量バランスが保たれ、スピーカ1がローリングに強くなる。
【0053】
スピーカ1は、特に配線材65に加えて他の部材を必要とすることなく、比較的容易に複数の駆動部5,6を直列接続できるように構成されている。したがって、スピーカ1の部品点数を少なく抑えることができるとともに、スピーカ1を高性能化することができる。
【0054】
[その他]
【0055】
上記の実施の形態において、配線材はその両端部を除き振動板の背面側に固定されているが、配線材の大部分が振動板の前面側に固定されていてもよい。例えば、配線材は、その両端部がそれぞれ振動板の前面側から背面側に引き出されるように配置されていてもよい。このようなとき、ボイスコイルの導線は、配線材のうち振動板の前面側にある部分に接続されていればよい。
【0056】
駆動部の数すなわちボイスコイルの数は、2つに限られず、さらに多くてもよい。ボイスコイルが3つ以上の場合であっても、互いに隣り合うボイスコイル同士が、上述の実施の形態と同様に配線材を介して接続されるようにすればよい。ボイスコイルが3つ以上の場合において、複数のボイスコイルが正面視で直線状に並んでいてもよいし、L字状やV字状など、直線状に並んでいなくてもよい。磁気回路の着磁方向を統一し、かつ、部品点数を抑えつつ複数のボイスコイルを容易に接続することができる。
【0057】
上記実施の形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0058】
1 スピーカ
5,6 駆動部
10 フレーム
21 振動板
41 ボイスコイルボビン
42 ボイスコイル
42a,42b,42c,42d 導線
61,62 錦糸線
61a,61b,62a,62b 錦糸線の端部
65 配線材
65a,65b 配線材の端部
100 ダンパー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
それぞれボイスコイルを有する複数のボイスコイルボビンと、
前記複数のボイスコイルボビンのそれぞれが取り付けられている振動板と、
前記振動板に固定された配線材とを備え、
前記複数のボイスコイルボビンのそれぞれは、他のボイスコイルボビンに隣り合うようにして配置されており、
前記配線材は、前記振動板のうち、前記互いに隣り合うボイスコイルボビン間の部位に固定されており、
前記複数のボイスコイルボビンのそれぞれのボイスコイルの正負の導線のうち一方の導線は、そのボイスコイルボビンとそれに隣り合うボイスコイルボビンとの間に配置されている前記配線材に接続され、前記隣り合うボイスコイルボビンに向けて配線されており、
他方の導線は、前記一方の導線の配線方向とは異なる方向に配線されており、
前記複数のボイスコイルは、互いに直列に接続されている、スピーカ。
【請求項2】
前記互いに直列に接続された複数のボイスコイルの両端部となる導線にそれぞれ接続された錦糸線をさらに備え、
前記錦糸線は、それぞれ、前記振動板の背面側に配置されており、その一端部が前記振動板の前面側に引き出され、他端部が前記スピーカの固定部に配置された端子に接続され、前記一端部と他端部との間の部位が湾曲自在である、請求項1に記載のスピーカ。
【請求項3】
前記配線材は、その両端部がそれぞれ前記振動板の背面側から前面側に引き出されるように配置されており、
前記ボイスコイルの導線は、前記配線材のうち前記振動板の前面側に引き出された部分に接続されている、請求項1又は2に記載のスピーカ。
【請求項4】
前記配線材は、その両端部がそれぞれ前記振動板の前面側から背面側に引き出されるように配置されており、
前記ボイスコイルの導線は、前記配線材のうち前記振動板の前面側にある部分に接続されている、請求項1又は2に記載のスピーカ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図5】
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【図7】
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【図4】
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【図6】
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【図8】
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