説明

スペクトル波形パターンのピーク位置補正方法およびプログラム

【課題】 スペクトル波形のピーク位置が非線形な変動や誤差を有する場合であっても、これを適正に補正するピーク位置補正方法を提供することである。
【解決手段】 スペクトル波形パターンを含む単一領域において基準ピーク位置を設定し、或いは、スペクトル波形パターンを横軸方向において分割して得られる複数の各領域において基準ピーク位置を設定するステップと、単一領域又は複数の各領域において補正の対象となる補正対象ピークを特定するステップと、単一領域又は複数の各領域において補正対象ピークを基準ピーク位置に移動するステップと、単一領域又は複数の各領域において、補正対象ピークの両側に位置するスペクトル波形パターンを、移動の量に応じて、横軸方向にほぼ比例的に伸縮させるステップとを含むことを特徴とする方法が提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スペクトル波形パターンから製品などの良品・不良品の検査を行うための前処理であるピーク位置補正方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
スペクトル波形により、良品・不良品の検査を実施可能な製品や材料は数多く存在する。たとえば、蛍光管は、図7に示すように、波長ごとにエネルギに大小があり、スペクトル波形により発光特性を表すことができる。また、漢方薬素材や農産品、石油化学製品も、図8に示すように、クロマトグラフや赤外分光計などを用いて、その特性をスペクトル波形として表すことができる。
このように、工業分野においても薬品・農業分野などにおいても、製品や素材・材料特性の検査にスペクトル波形が広く利用されているが、いずれの分野でも、検査対象となるスペクトル波形を、過去に良品と判定されたスペクトル波形群と比較対照して、同一とみなすことができるか否かを判定する。たとえば、図7(イ)に示される波形が従来良品と判定された代表的なスペクトルとすると、図7(ロ)ではほぼ全ての箇所で同じ波形パターンとみなすことができるが、矢印a部の山の形状が図7(イ)と相違しており、スペクトル波形の同一性に疑義が生ずることとなる。
【0003】
一方、全く同一のスペトル波形は、実質的に存在しない。すなわち、複数のスペクトル波形を重ねた場合、縦軸と横軸の両方向において完全に一致するものは存在しない。たとえ良品であっても、個体間に相違が存在し、また、同一対象を同一計測器で繰り返し計測した場合であっても、完全に一致する波形パターンを得ることはできない。その理由として、計測対象の個体間の誤差、対象自体の特性の変動、計測器固有の計測誤差などのような種々の誤差があげられるが、これらの誤差は、スペクトル波形の縦軸と横軸の両方向において発生する。
上述のように、全く同一のスペクトル波形が存在しないにもかかわらず、スペクトル波形による製品検査、即ちスペクトル波形の類似度の判定が行われている。このように、検査処理においては特に横軸方向の誤差が問題となることが多い。何故ならば、スペクトル波形の比較対照を行うとする場合、横軸方向にピークや凹凸位置が揃っていれば、縦軸方向の相違のみに着目することによって、検査を容易に実行することができるからである。
スペクトル波形の中で横軸方向の誤差が生じ易い例として、クロマトグラフによる計測結果がある。クロマトグラフでは、横軸方向に計測原理に起因する誤差が生じ易く、同一の検査対象を複数回計測した場合であっても、横軸方向における同一ピークの出現位置は、スペクトル波形の横幅全体の数%になる可能性もある。そのため、特にクロマトグラフでのピーク位置補正に関しては、統計的方法を用いる等の研究が行われている。その他のスペクトル波形においても、程度の差はあるものの、誤差の発生は不可避であり、目視検査においても、或いはコンピュータを利用した自動検査においても、検査の精度に大きな影響を及ぼすため、ピーク位置の補正処理は、重要な課題のひとつとなっている。
【0004】
スペクトル波形のピーク位置誤差の例を図5(イ)に示す。図5(イ)には、同一の性質を有する3通りの対象のスペクトル波形が示されているが、素材の性質を示す“ピークA”、“ピークB”、“ピークC”の横軸方向の位置が相違している。この相違は、上述の種々の要因による誤差であるものとする。これら3通りのスペクトル波形は、横軸方向に非線形な誤差を有している。すなわち、誤差は、横軸方向に単なる平行移動や均一な伸縮となって発生するわけではなく、場所により誤差が不均一に変動する。
そのため、検査の前処理として、横軸方向の誤差補正、すなわちピーク位置補正を高精度に実施することに対する要求(換言すると、スペクトル波形の複数のピーク位置について、同一とみなすことができるピーク同士の横軸方向の位置を出来るだけ一致させるという要求)が高い。そして、このピーク位置補正は、高精度であるだけではなく、可能な限り短時間に実行されるものでなければならない。特に、近年は検査処理をコンピュータに実行させるための開発も進められており、必要となる要素技術の開発が行われている(例えば、本発明者の開発に係る特許文献1に記載の方法を参照)。そして、検査処理をコンピュータに実行させる場合、特にピーク位置補正技術が不可欠となる。これは、目視検査の場合にはピークの対応付けを柔軟に行うことができるが、コンピュータでは、対応ピークの特定を適切に実行しないと、判定精度が著しく劣化するからである。
【0005】
従来適用されてきたピーク位置補正の代表的な方法は、以下のとおりである。
(1)スペクトル波形から代表的なピークを1つ選択し、他のスペクトルについては、選択した代表的ピークに横軸位置を合わせる方法(図9(イ)参照)
この方法は、スペクトル波形が横軸方向に均一にシフトしている場合には、有効に適用することができる。選択した代表的ピークが、スペクトル波形の横軸方向のほぼ中央に位置する方が、両端部の誤差補正を公平に実施することができる。
(2)横軸方向のピーク出現位置が予め分かっている成分を1又は複数種有する試料を準備してこれを計測し、現れたピークに対して検査対象に現れた該当ピーク位置を補正する方法(図9(ロ)参照)
図9(ロ)に描かれている2本の縦線が、予め分かっている成分のピーク出現位置である。2種の成分が使用された場合には、検査対象のスペクトル波形は、2個のピーク位置に該当ピークを合わせた後、その間の波形を線形に伸縮処理する。予め分かっている成分のピーク出現位置を利用する方法は、クロマトグラフ等で一般に利用される方法であり、「インターナルスタンダード」と呼ばれている。スペクトル波形の横軸方向誤差は一般に伸縮を伴うので、2個のピークを用いた方がピーク位置補正の効果がより高い。
(3)基準として定義したスペクトル波形のピークから2個の代表的なピークを選択し、その他のスペクトル波形について該当ピークをそれらの位置に補正する方法(図10参照)
図10に示す例では、右側と左側の2個のピークを選択しており、ピーク間に存在するスペクトル波形を線形に伸縮処理している。一般的には、スペクトル波形の横軸方向の出来るだけ両端に近いピークを選択することによって、補正効果を高めることができる。この方法は、たとえば特許文献2に記載されている。上述のインターナルスタンダードによる方法と相違する点は、別途用意する試料が不要であることである。
【0006】
【特許文献1】特開2004−110602号公報
【特許文献2】米国特許第5,969,228号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上述の(1)の方法も(2)の方法も、補正基準として設定又は選択するピークの個数は2個程度であり、ピーク間に存在するピーク位置は、比例的に伸縮して補正されるにすぎない。すなわち、比例的に伸縮したスペクトル波形に対しては有効であるが、非線形に伸縮したスペクトル波形に対しては有効でないという課題がある。
特に、クロマトグラフ等では、ピーク出現位置は非線形に変動する。たとえば、或るピークは前側にシフトし、別のピークは後側にシフトすることがある。このような場合、従来の方法では、補正基準ピーク以外のピーク位置の補正精度が著しく不十分となったり、補正により却ってピーク位置の誤差が増大することもあるという課題がある。
【0008】
本発明は、このような事情に鑑みて案出されたものであって、スペクトル波形のピーク位置が非線形な変動や誤差を有する場合であっても、これを適正に補正するピーク位置補正方法およびプログラムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本願請求項1に記載のスペクトル波形のピーク位置補正方法は、スペクトル波形パターンを含む単一領域において基準ピーク位置を設定し、或いは、スペクトル波形パターンを横軸方向において分割して得られる複数の各領域において基準ピーク位置を設定するステップと、前記単一領域又は前記複数の各領域において補正の対象となる補正対象ピークを特定するステップと、前記単一領域又は前記複数の各領域において前記補正対象ピークを前記基準ピーク位置に移動するステップと、前記単一領域又は前記複数の各領域において、前記補正対象ピークの両側に位置するスペクトル波形パターンを、前記移動の量に応じて、横軸方向にほぼ比例的に伸縮させるステップとを含むことを特徴とするものである。
【0010】
本願請求項2に記載のスペクトル波形のピーク位置補正方法は、前記請求項1の方法において、前記補正対象ピークを特定するステップにおいて前記基準ピーク位置の横軸方向の両側に所定範囲を設定し、前記所定範囲内から前記補正対象ピークを特定することを特徴とするものである。
【0011】
本願請求項3に記載のスペクトル波形のピーク位置補正プログラムは、スペクトル波形パターンを含む単一領域において基準ピーク位置を設定し、或いは、スペクトル波形パターンを横軸方向において分割して得られる複数の各領域において基準ピーク位置を設定して記憶装置に格納するステップと、前記単一領域又は前記複数の各領域において補正の対象となる補正対象ピークを特定して記憶装置に格納するステップと、前記単一領域又は前記複数の各領域において前記補正対象ピークを前記基準ピーク位置に移動して記憶装置に格納するステップと、前記単一領域又は前記複数の各領域において、前記補正対象ピークの両側に位置するスペクトル波形パターンを、前記移動の量に応じて、横軸方向にほぼ比例的に伸縮させて記憶装置に格納するステップとを含むことを特徴とするものである。
【0012】
本願請求項4に記載のスペクトル波形のピーク位置補正プログラムは、前記請求項3のプログラムにおいて、前記補正対象ピークを特定するステップにおいて、前記基準ピーク位置の横軸方向の両側に所定範囲を設定し、前記所定範囲内から前記補正対象ピークを特定して記憶装置に格納することを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0013】
本発明の方法およびプログラムによれば、スペクトル波形を用いた検査処理において、スペクトル波形が横軸方向に非線形な変動や誤差を有する場合であっても、対応するピークを高精度に補正することができ、これにより、製品や素材・材料の良品・不良品の検査を精度よく行うことが可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
次に図面を参照して、本発明の好ましい実施の形態に係るピーク位置補正方法について詳細に説明する。図1は、本発明の好ましい実施の形態に係るピーク位置補正方法の概略的な構成を示したフロー図である。本実施の形態では、図2に示されるスペクトル波形パターンを例として説明する。
【0015】
最初に、スペクトル波形パターンを横軸方向において複数の領域に分割する(ステップ1)。分割する方法としては、種々の方法が考えられるが、本形態では、スペクトル波形の中から代表的ピークA、B、Cをそれぞれ含む領域に分割し、それぞれ領域<A>、領域<B>、領域<C>とする。ここで、代表的ピークとは一般に、スペクトル波形で示される対象物の特性を示すための重要なピーク等として定義されるが、この定義に限定されるものではない。
【0016】
次いで、分割した3つの領域のうち領域<A>について、ピーク位置補正の目標位置となる基準ピーク位置A’を設定する(ステップ2)。ここで、基準ピーク位置A’とは、例えば従来のデータ実績から「本来そこにピークが現れるべき位置」などを意味する。なお、代表的ピークAの左端からの横軸位置をa1 、右端からの横軸位置をa2 とし、基準ピーク位置A’の左端からの横軸位置をa1 ’、右端からの横軸位置をa2 ’とする(したがって、図2からも明らかなように、a1 +a2 =a1 ’+a2 ’となる)。
【0017】
次いで、補正の対象となる補正対象ピークを特定する(ステップ3)。本例では、補正対象ピークは、代表的ピークAであるとする。
【0018】
次いで、補正対象ピーク(代表的ピークA)の横軸位置a1 を基準ピーク位置A’に移動する(ステップ4)。具体的に説明すると、図2に示される例では、基準ピーク位置A’が代表的ピークAよりも左側に位置するので、代表的ピークAの横軸位置a1 を左方向にa1 −a1 ’移動する。
【0019】
次いで、代表的ピークAの右側および左側に位置するスペクトル波形を伸縮処理する(ステップ5)。具体的には、代表的ピークAの左側に位置するスペクトル波形をa1 ’/a1 倍に縮小し、右側に位置するスペクトル波形をa2 ’/a2 倍に伸長する。
【0020】
ステップ4及びステップ5についての具体的方法の一例を説明する。領域<A>の横軸方向の座標をXとし、左端位置をX=0とする。また、座標Xにおけるスペクトル波形の縦軸方向の座標をY(X)とする。領域<A>では、座標Xは、0〜(a1 +a2 )の値をとる。
また、基準ピーク位置A’が定義されている領域のスペクトル波形の縦軸方向の座標をY’(X)とする。
代表的ピークAより左側に位置するスペクトル波形Y(X)を、以下のようにY’(X)に補正する。
Y’(X)=Y×〔X×(a1 /a1 ’)〕 (1)
また、代表的ピークより右側に位置するスペクトル波形Y(X)を、以下のようにY’(X)に補正する。
Y’(X)=Y×〔(X−a1 ’)×(a2 /a2 ’)+a1 〕 (2)
一般に、Xは整数であるので、式(1)および式(2)の右辺の〔 〕内について整数化処理が行われる。
以上の処理により、代表的ピークAが基準ピーク位置A’に移動し、代表的ピーク以外のスペクトル波形は、伸縮補正される。
【0021】
具体的な数値例を図3に示す。図3には、横軸が1〜a1 の範囲にあるスペクトル波形が1〜a1 ’の範囲のスペクトル波形に補正(この例では縮小)される実際の数値が示されている。すなわち、横軸(X)座標が1〜88の範囲にあるスペクトル波形(図3(イ)参照)が、横軸座標が1〜70の範囲に縮小されている(図3(ロ)参照)。図3(ロ)には、補正前の対応するX座標が「元のX」として示されている。これにより、例えば、図3(イ)の10行目(X=10)の値は、補正後には図3(ロ)の8行目に移動していることが分かる。図3には、ほぼ10行おきに、補正前後の対応関係が矢印で示されている。
【0022】
次いで、他の2つの領域(領域<B>、領域<C>)について、領域<A>についての処理と同様の処理を行うことにより、各領域内においてスペクトル波形のピーク位置補正が実施される。
【0023】
図4は、補正前後の領域<A>、領域<B>、領域<C>におけるスペクトル波形を示したものである。図4においては、補正後のピーク位置が、領域<A>では左側、領域<B>では右側、領域<C>では左側に移動している。ピーク位置の補正方向のこのような相違は、ピーク位置が非線形に変動していることを表している。
【0024】
このようにして、スペクトル波形のピーク位置の誤差は、各領域ごとに補正される。
【0025】
図5は、3つのスペクトル波形についてピーク位置補正を実施した例である。補正前(図5(イ)参照)には、ピークA、B、Cがそれぞれ非線形にばらついていたが、補正後は各ピークがよく一致しているのが分かる(図5(ロ)参照)。ピーク以外の部分では、誤差が残っているが、補正前よりも誤差が小さくなっているのが分かる。誤差が残っている箇所についても、領域の分割数を増やすことによって誤差を最小化することが可能である。
【0026】
なお、基準ピーク位置の定義方法としては、上述のように、従来のデータ実績に基づいて定義する方法の他に、代表的であると考えられるスペクトル波形をひとつ選択し、そのピーク群を基準とする、等の種々の方法が考えられる。
【0027】
また、各領域における代表的ピークは高さが最も高いピークとするのが一般的であるが、それに限定されることなく、ピークとして特定可能なものであれば、いずれのピークを採用してもよい。例えば、図3の領域<B>では、ピークBの右側にやや低いピークが存在するが、このやや低いピークがピークBよりも技術的に重要なピークである場合には、ピークBではなく、このややく低いピークを代表的ピークとしてもよい。
【0028】
次に、補正対象ピークを特定する方法について説明する。ピーク位置補正を行う場合には、上述のように、補正前に、補正対象ピークを特定する必要がある。代表的ピークを補正対象ピークとした図3に示される例では、ピークA、B、Cを特定するのは比較的容易であるが、ピークの近隣に別のピークが存在するような場合などには、不適当なピークを特定する可能性もある。また、対象領域に代表的ピークが存在する場合であっても、本来は別の特性が現れているピークであり、補正対象ピークとするのが不適当なこともある。そのため、代表的ピークAが基準ピークA’の横軸方向の位置から許容範囲以上離れている場合には、ピークA’に補正すべきではないことがある。
【0029】
そこで、このような場合には、補正対象ピークを、適切な許容範囲内から選択するのがよい。たとえば、図6(イ)に示されるスペクトル波形の3つのピークの位置を補正しようとする場合、図6(ロ)において点線で示される範囲内から補正対象ピークを特定する。このような点線で示される範囲は、例えば計測誤差、個体間のばらつき等を考慮して設定される。そして、この範囲内に選択可能なピークが存在しない場合には、そのスペクトル波形は「補正不能」な波形として処理する。
【0030】
次に、コンピュータに上述のステップ(すなわち、ステップ1〜ステップ5)を実行させるためのプログラムについて説明する。本プログラムが実行されるコンピュータは、バスによって相互に接続されたCPU(中央処理装置)、メモリ、ハードディスク等の記憶装置、キーボード等の入力装置、表示装置、及び出力装置(いずれも図示せず)を有するものでもよいし、或いはマイクロチップ型式の処理装置等でもよい。
【0031】
まず、入力装置によって入力されたスペクトル波形パターンがメモリに格納される。次いで、スペクトル波形パターンが横軸方向において複数の領域に分割されてメモリに格納される。次いで、各領域において基準ピーク位置が設定されメモリに格納される。次いで、各領域において補正対象ピークが特定されてメモリに格納される。次いで、各領域において補正対象ピークを基準ピーク位置に移動してメモリに格納される。次いで、各領域において、補正対象ピークの両側に位置するスペクトル波形パターンを、移動の量に応じて、横軸方向にほぼ比例的に伸縮させてメモリに格納される。
【0032】
なお、上述の例では、データがメモリに格納されるものとして説明したが、データ量が多い場合には、ハードディスク等の大容量記憶装置に格納される。
【0033】
本発明は、以上の発明の実施の形態に限定されることなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲内で、種々の変更が可能であり、それらも本発明の範囲内に包含されるものであることはいうまでもない。
【0034】
例えば、前記実施の形態においては、スペクトル波形パターンを横軸方向において複数の領域に分割し、各領域においてピーク位置補正を行っているが、スペクトル波形パターンを含む単一領域において、領域分割ステップを除いた上述と同様の手順でピーク位置補正を行うこともできる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明の好ましい実施の形態に係るピーク位置補正方法の構成を概略的に示したフロー図である。
【図2】本発明のピーク位置補正方法における領域分割、ピーク位置移動等を説明するための図である。
【図3】本発明のピーク位置補正方法における具体的な数値例を示した表である。
【図4】補正前後における各領域のスペクトル波形を示した図である。
【図5】3つのスペクトル波形についてピーク位置補正を実施した図である。
【図6】本発明のピーク位置補正方法において補正対象ピークを所定の許容範囲内から選択する方法を説明するための図である。
【図7】蛍光管のスペクトル波形の一例を示した図である。
【図8】漢方薬素材等をクロマトグラフ等を用いて計測したスペクトル波形の一例を示した図である。
【図9】従来のピーク位置補正方法の例を示した図である。
【図10】従来のピーク位置補正方法の別の例を示した図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
スペクトル波形パターンから製品、素材特性等の良品・不良品の検査を行うための前処理であるピーク位置補正方法であって、
スペクトル波形パターンを含む単一領域において基準ピーク位置を設定し、或いは、スペクトル波形パターンを横軸方向において分割して得られる複数の各領域において基準ピーク位置を設定するステップと、
前記単一領域又は前記複数の各領域において補正の対象となる補正対象ピークを特定するステップと、
前記単一領域又は前記複数の各領域において前記補正対象ピークを前記基準ピーク位置に移動するステップと、
前記単一領域又は前記複数の各領域において、前記補正対象ピークの両側に位置するスペクトル波形パターンを、前記移動の量に応じて、横軸方向にほぼ比例的に伸縮させるステップと、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項2】
前記補正対象ピークを特定するステップにおいて、前記基準ピーク位置の横軸方向の両側に所定範囲を設定し、前記所定範囲内から前記補正対象ピークを特定することを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
スペクトル波形パターンから製品、素材特性等の良品・不良品の検査を行うための前処理であるピーク位置補正プログラムであって、
スペクトル波形パターンを含む単一領域において基準ピーク位置を設定し、或いは、スペクトル波形パターンを横軸方向において分割して得られる複数の各領域において基準ピーク位置を設定して記憶装置に格納するステップと、
前記単一領域又は前記複数の各領域において補正の対象となる補正対象ピークを特定して記憶装置に格納するステップと、
前記単一領域又は前記複数の各領域において前記補正対象ピークを前記基準ピーク位置に移動して記憶装置に格納するステップと、
前記単一領域又は前記複数の各領域において、前記補正対象ピークの両側に位置するスペクトル波形パターンを、前記移動の量に応じて、横軸方向にほぼ比例的に伸縮させて記憶装置に格納するステップと、
をコンピュータに実行させるためのプログラム。
【請求項4】
前記補正対象ピークを特定するステップにおいて、前記基準ピーク位置の横軸方向の両側に所定範囲を設定し、前記所定範囲内から前記補正対象ピークを特定して記憶装置に格納することを特徴とする請求項3に記載のプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2007−133733(P2007−133733A)
【公開日】平成19年5月31日(2007.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−327230(P2005−327230)
【出願日】平成17年11月11日(2005.11.11)
【出願人】(505420541)アングルトライ株式会社 (6)
【出願人】(000003665)株式会社ツムラ (43)
【Fターム(参考)】