説明

セメントクリンカの製造方法及びセメントクリンカの製造設備

【課題】セメントクリンカ製造の為の燃料供給を最小化、エネルギー回収収率を上げる。
【解決手段】回転炉(1)、プレヒータ(2)、クリンカクーラ(4)、第一熱交換器(9)を備える設備にて、プレヒータ(2)で原料を予熱、二酸化炭素を除去し、回転炉(1)からのクリンカをクリンカクーラ(4)で冷却し、クリンカクーラ(4)で生じた熱風の第一部分(二次空気)(5)を回転炉(1)へ向かわせ燃焼空気として使い、クリンカクーラ(4)で生じた熱風の第二部分(三次空気)(6)を誘導し、第一部分とは別に、燃料燃焼設備のある箇所に到達させ、クリンカクーラ(4)で生じた熱風の第三部分(過剰空気)(7)を誘導し、発電用エネルギー回収目的で第一熱交換器(9)に到達させ、更に、三次空気(6)と協働する第二熱交換器(10)を備え、第一熱交換器(9)及び第二熱交換器(10)に共通の流体サーキット(12)から受ける流体を加熱する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、設備内でのセメントクリンカの製造方法及びそのようなセメントクリンカの製造設備に関するものである。
【背景技術】
【0002】
セメントクリンカの製造には、あらかじめ粉砕した原料を回転炉でか焼する、いわゆる乾燥焼成法が最も多く使用される。作業に必要とされるエネルギーを減少させるために、回転炉の上流及び下流に熱交換器を加えて、回転炉から出た材料及びガスに含まれている熱を直接回収する。したがって、回転炉から出た生成物の温度が1000℃を超えるとき、焼成作業に使用されずに、これらの熱交換器から出る空気またはガスの高温ガス流の温度は、もはや350℃未満でしかない場合が多い。しかしながら、これらのガスは設備内に燃料の形態で導入されたエネルギーの20〜30%に当たる量の熱をなお含んでいる。
【0003】
一般的に、高温ガスは、クリンカの製造に使用される原料の乾燥に利用される。しかしながら、材料の湿気が極めて高いという極めて稀な場合を除いては、乾燥作業に必要とされるのはそのうちのほんの一部の熱である。したがって、高温ガスの使用されない部分は、使用可能なエネルギーとなる。
【0004】
失われた熱を発電後に回収することは、既に公知であり、多数の工場で実行されている。最も広く使用されている方法は、高温ガスを管から成る熱交換器の方へ向かわせる方法であり、その管内では、水が循環し、使用圧力下で熱がその水を蒸気に転化して、発電機のタービンを動かす。熱交換器内のガスの中程度の温度を考慮すると、電気へのエネルギーの全体的な変換収率は低い。
【0005】
熱交換器の性能を改良するために、水を例えばペンタンに替えることが公知である。この改良にもかかわらず、収率は17%を超えず、従来の火力発電所の収率より明らかに劣っている。
【0006】
したがって、回収率を大幅に向上させるために、いわゆるコージェネレーション方法が公知であり、その方法は、燃料の補足供給によって作業温度を高くすることから成る。そのように、例えば、回収エネルギーの量を増大させるだけではなく、温度の上昇によって変換収率をも向上させる。
【0007】
セメント工場の設備の大部分では石炭、石油コークスなどの固体燃料を使用するので、過剰な燃料の最適な燃焼を確実にするための大きな燃焼空間を使用することが必要であり、したがってこのために、十分に大きいサイズの燃焼室を使用することが必要である。そのような燃焼室を使用すると、さらに、そこから灰を除去することが必要であり、また、より多くのNOxガスが生成されるという欠点がある。
【0008】
例えば、特許文献1及び2から、燃焼エネルギーを回収し、それによって、発電するセメント工場設備が公知である。
【0009】
特許文献3から、燃料油などの可燃性物質を使用する電力発生装置の、ボイラの排気ガスの回収方法が公知である。この文献は、特に、セメントクリンカの製造設備の予熱セクションで実施される排気ガスの処理について触れている。
【0010】
設備のクリンカクーラによって生成された熱風は、導管によって前記ボイラまで送られ、燃焼ガスとして使用される。可燃性物質は、ボイラの入口部に隣接する区域の導管に特に粉砕した石炭の形態で導入される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明の目的は、コージェネレーションに必要な燃料の供給を最小限にして、エネルギー回収収率を上昇させることのできる設備でのセメントクリンカ製造方法及びセメントクリンカ製造設備そのものを提案することによって、前記の欠点を解決することにある。
【0012】
本発明のその他の目的及び利点は、以下の説明から明らかになるであろうが、それらの説明は例として示したものに過ぎず、本発明を何ら限定するものではない。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、まず、
‐回転炉、
‐前記回転炉からガスを受けるサイクロンプレヒータ、
‐前記回転炉の出口部の位置にあり、内部でクリンカが空気の送風によって冷却され、熱風を発生させるクリンカクーラ、
‐第一の熱交換器と呼ばれる少なくとも一つの熱交換器
を備える設備におけるセメントクリンカ製造方法であって、
該製造方法において、
‐前記サイクロンプレヒータにおいて、原料を予熱し、二酸化炭素を除去し、
‐前記クリンカクーラにおいて、回転炉から出たクリンカを冷却し、
‐前記クリンカクーラにおいて生成された熱風の第一の部分、いわゆる二次空気を回転炉の方へ向かわせ、燃焼空気として使用し、
‐前記クリンカクーラにおいて生成された、750℃以上の温度で定義される熱風の第二の部分、いわゆる三次空気を誘導し、第一の部分とは別に、燃料が燃焼する設備のある箇所に到達させ、燃焼空気として使用し、
‐前記クリンカクーラにおいて生成された熱風の第三の部分、いわゆる過剰空気を誘導し、発電用のエネルギーを回収することが目的で少なくとも一つの第一の熱交換器に到達させる、
製造方法に関するものである。
【0014】
本発明によると、第二の熱交換器であって、三次空気と協働して、前記第一の熱交換器及び該第二の熱交換器に共通の流体サーキットから受ける流体を加熱する第二の熱交換器を備え、該第二の熱交換器は、三次空気からエネルギーを取り出し、三次空気の温度を該第二の熱交換器の上流から下流へと低下させ、その三次空気を該第二の熱交換器の下流で燃焼空気として使用する。
【0015】
本発明の別の実施態様によると、前記流体サーキットの流体は蒸気または液体の形態の水であり、第一の熱交換器は蒸気生成器であり、前記第二の熱交換器は蒸気過熱器である。
【0016】
本発明は、また、
‐回転炉、
‐前記回転炉からガスを受けるサイクロンプレヒータ、
‐前記回転炉の出口部の位置に備えられ、内部でクリンカが空気の送風によって冷却され、熱風を生成するクリンカクーラであって、該クリンカクーラによってこのようにして生成された熱風の第一の部分、いわゆる二次空気が回転炉によって燃焼空気として使用される、クリンカクーラ、
‐前記クリンカクーラによって生成された熱風の第二の部分、すなわち、三次空気を設備の燃焼区域まで運ぶ導管、
‐前記クリンカクーラによって生成された熱風の第三の部分、いわゆる過剰空気を第一の熱交換器と呼ばれる発電機の熱交換器まで運ぶ導管、
を備えるセメントクリンカの製造設備に関するものである。
【0017】
本発明による設備によると、三次空気を運ぶ導管は、前記燃焼区域の上流で第二の熱交換器と協働し、流体サーキットは前記第一の熱交換器及び前記第二の熱交換器に共通である。
【0018】
本発明は、添付の図面を参照しておこなう以下の説明からより明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】一実施態様による、セメントクリンカ製造設備において実施される本発明による方法の概略図である。
【図2】第二の実施態様による、セメントクリンカ製造設備における本発明による方法の概略図である。
【図3】第三の実施態様による、セメントクリンカ製造設備における本発明による方法の概略図である。
【図4】第一及び第二の熱交換器ならびにこれらの熱交換器に共通の流体サーキットを図示した詳細図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明は、
‐回転炉1、
‐前記回転炉からガスを受けるプレヒータ2、
‐前記回転炉1の出口部の位置にあり、内部でクリンカが空気の送風によって冷却され、熱風を生成するクリンカクーラ4、
‐第一の熱交換器と呼ばれる少なくとも一つの熱交換器9
を備える設備におけるセメントクリンカの製造方法であって、
該方法において、
‐前記サイクロンプレヒータ2において、原料を予熱し、二酸化炭素を除去し、
‐前記クリンカクーラ4において、回転炉から出たクリンカを冷却し、
‐前記クリンカクーラにおいて生成された熱風の第一の部分5、いわゆる二次空気を回転炉の方へ向かわせ、燃焼空気として使用し、
‐前記クリンカクーラにおいて生成された、750℃以上の温度で定義される熱風の第二の部分6、いわゆる三次空気を誘導し、第一の部分とは別に、燃料が燃焼する設備のある箇所に到達させ、燃焼空気として使用し、
‐前記クリンカクーラにおいて生成された熱風の第三の部分7、いわゆる過剰空気を誘導し、発電用のエネルギーを回収することが目的で少なくとも一つの第一の熱交換器9に到達させる、
製造方法に関するものである。
【0021】
特に図1及び図2に示したような実施態様、及び従来技術で公知の技術によると、特に温度が750℃を超えるかまたは少なくとも等しい前記三次空気6は、導管60によって、前記サイクロンプレヒータ2の下部に接続されている一つまたは複数のプレか焼反応炉3(reacteur de precalcination)に運ばれる。これらのプレか焼炉(precalcinateur)は、各々、一つまたは複数のバーナーを備える。
【0022】
本発明によると、三次空気6と協働する第二の熱交換器10が備えられており、それによって、前記第一の熱交換器9及び前記第二の熱交換器10に共通な流体サーキット12から受けた流体を加熱する。
【0023】
本発明は、設備に、温度が約250〜300℃の過剰空気7の進路に配置された第一の熱交換器9の他に、高温、特に750℃を超える温度で作動する第二の熱交換器10を加えることで、エネルギー回収率を高めるという事実に基づいている。
【0024】
この第二の熱交換器10は、プレか焼炉3のバーナー(例えば、図1または図2)か、または、回転炉1のバーナー(例えば、図3)に運ばれる三次空気6のエネルギーを取り出し、したがって、空気が燃焼空気特性、よって、その三次空気特性を失わない割合で、空気の温度を低下させる。そのようにして、前記第二の熱交換器10の下流から上流での温度の損失は、約100〜150℃であり得る。燃焼空気、すなわち、第二の熱交換器10の下流での三次空気6の温度は、650℃以上になるだろう。
【0025】
一実施態様によると、流体サーキット12の流体は、蒸気または液体の形態の水であり、第一の熱交換器9は蒸気生成器であり、第二の熱交換器10は蒸気過熱器である。
【0026】
特に図4の例を参照すると、特に高圧蒸気の形態の流体サーキット12の流体によって、タービン20及びその交流発電機を駆動することができる。例えば、過剰空気7の温度は約250℃であり、蒸気生成器である第一の熱交換器9を通過する。このようにして生成された蒸気は、サーキット内のその進路を辿り、第二の熱交換器10まで到達し、その第二の熱交換器は、三次空気6が通過する蒸気過熱器であり、その三次空気は過熱器の上流で例えば750℃の温度である。過熱器の下流では、水蒸気は高圧(例えば、350バール)になり、タービン及びその交流発電機を駆動することができる。タービンの下流及び蒸気生成器の上流で、凝縮器30によって、圧力を下げることができる。
【0027】
一実施態様によると、エネルギー回収のために第三の熱交換器11を備え、サイクロンプレヒータから出たガス8を少なくとも部分的に運び、該第三の熱交換器11と協働させる。
【0028】
特に、一実施態様によると、サイクロンプレヒータのガス8は第三の熱交換器11と協働して、その結果、流体サーキットの流体を加熱する。この流体サーキットは、前記第一の熱交換器9と前記第二の熱交換器10の間の共通の前記流体サーキット12に共通でも、共通でなくてもよい。
【0029】
図3を参照し、本発明の方法の別の実施態様によると、前記第一の熱交換器9の上流でクリンカクーラ4の熱い過剰空気7をサイクロンプレヒータ2のガス8に混合し、それによって、熱交換器に、より多量の熱エネルギーを供給することができる。
【0030】
場合によっては、特に、湿り気のある原料の場合には、クーラの過剰空気7に混合する前に、少なくとも部分的にサイクロンプレヒータ2のガス8を使用して、装置14内でクリンカの製造原料を乾燥させることができる。
【0031】
本発明は、また、
‐回転炉1、
‐前記回転炉からガスを受けるサイクロンプレヒータ2、
‐前記回転炉1の出口部の位置に備えられ、内部でクリンカが空気の送風によって冷却され、熱風を発生させるクリンカクーラ4であって、そのクリンカクーラ4によってこのようにして生成された熱風の第一の部分5、いわゆる二次空気は回転炉によって燃焼空気として使用され、
‐前記クリンカクーラによって生成された熱風の第二の部分6、すなわち、三次空気を設備の燃焼区域まで運ぶ導管60、601、602
‐前記クリンカクーラ4によって生成された熱風の第三の部分7、いわゆる過剰空気を第一の熱交換器と呼ばれる発電機の熱交換器9まで運ぶ導管70、
を備えるセメントクリンカの製造設備に関するものである。
【0032】
特に図1及び図2のような、導管70は、空気、いわゆる三次空気を一つまたは複数のプレか焼反応炉3まで運び、そのプレか焼炉3は、各々一つまたは複数のバーナーを備える前記サイクロンプレヒータの下部に接続されている。
【0033】
図3に図示した別の実施態様によると、三次空気の導管60は、空気を回転炉1のバーナーまで運ぶ。
【0034】
本発明による設備によると、三次空気6を運ぶ導管601、602は、第二の熱交換器10と協働し、流体サーキット12は前記第一の熱交換器9及び前記第二の熱交換器10に共通である。この設備によって、特に本発明による方法を実施することができるであろう。
【0035】
設備の一実施態様によると、第一の熱交換器9は蒸気生成器であり、第二の熱交換器10は蒸気過熱器であり、図4の例によって示すように、高圧水蒸気を発生させ、タービン20及びその交流発電機を作動させることができる。
【0036】
図1の例に示したように、設備は第三の熱交換器11を備えることができる。プレヒータ2から出たガス8の少なくとも一部は、エネルギー回収のため、該第三の熱交換器11と協働する。別の例によると、流体サーキットは第三の熱交換器11を通過する。この流体サーキットは、前記第一の熱交換器9及び前記第二の熱交換器10と共通の前記流体サーキット12と共通でも、共通でなくてもよい。
【0037】
図2の例によると、サイクロンプレヒータのガスの排気管80は、第一の熱交換器9の上流で過剰空気7の導管と接続する。このサイクロンプレヒータ2のガス8の排気管80は、場合によっては、前記の過剰空気7の導管70との接続部の上流で原料乾燥装置14と協働することができる。
【0038】
ここで、設備の四つの例を説明する。設備の第一の例は、従来技術の設備である。例2、3及び4は、各々、本発明によるクリンカ製造設備の様々な実施態様例である。
【0039】
例1(従来技術)
従来技術で公知のような、関係する設備は、平均的なサイズ、すなわち、現在使用されている大多数の装置の代表的な能力で、一日につきクリンカ5000トンを生産するクリンカ製造装置である。そのような設備は、クリンカ製品1kg当たり3000kJを消費し、燃料の形態で供給され、その燃料の62.8%はプレか焼炉に導入される。したがって、プレか焼炉内の一つまたは複数の燃料によって生成されるパワー(puissance)は、108.8MWである。
【0040】
なかでも、クリンカクーラは、プレか焼反応炉の燃焼を供給する890℃の三次空気117000Nm3/時、及び245℃の排気210000Nm3/時を生成する。サイクロンプレヒータのガスの流量は286200Nm3/時、温度は320℃である。
【0041】
クーラの排気の進路に配置された熱交換器は、ガスの温度を245℃から135℃に低下させ、8.6MWのパワーを交換する。熱交換器の流体に与えられる低い温度を考慮すると、電力変換収率は、この低温に適した流体を使用するという条件で、15%を超えない。そのようにして、1.29MWを発電することができる。
【0042】
ガスのエネルギーの50%が原料乾燥に必要な場合を考察する。プレヒータのガスの進路に配置され、その残りの50%を処理する熱交換器は、ガスの温度を320℃から135℃に低下させ、11.5MWのパワーを交換する。熱交換器の流体に与えられる中程度の温度を考慮すると、電力変換収率は、15%を超えず、そのようにして、最大で1.73MWを発電することができる。
【0043】
最大の発電総量は、3.02MWである。
【0044】
例2
本発明による、熱交換器が三次空気の進路に配置されており、その温度を700℃まで低下させる、例1の設備を考察する。プレか焼反応炉に導入する燃料の量を増やす必要があり、設備の新規な作動条件を以下に記載する。
【0045】
プレか焼炉内で燃料によって生成されるパワーは、117.8MWである。クリンカクーラは、ここでは、860℃の三次空気127900Nm3/時、及び235℃の排気(過剰空気)199200Nm3/時を生成する。サイクロンプレヒータのガスの流量は300000Nm3/時、温度は335℃である。
【0046】
三次空気の進路に配置された熱交換器(第二の熱交換器)は、その温度を860℃から700℃に低下させ、8.3MWのパワーを交換する。クーラの排気(過剰空気)の進路に配置された熱交換器(第一の熱交換器)は、ガスの温度を235℃から135℃に低下させ、7.4MWのパワーを交換する。二つの熱交換器は接続されており、したがって、第二の熱交換器は流体のプレヒータの役割を果たす。最大温度に上昇させると、達することのできる電力変換収率は、合計15.7MWの28%であり、すなわち、4.40MWである。
【0047】
例1に示した、クーラの排気の単一流のエネルギー回収に比較すると、製造量は3.11MW増大し、燃料として供給される補足エネルギーの限界収率は9MWで、34.5%に達する。
【0048】
例3
本発明による、サイクロンプレヒータのガスの50%が原料の乾燥に使用される例2の設備を考察する。
【0049】
プレヒータのガス流は、二つに分割される。原料の乾燥に使用されない第一流、すなわち、150000Nm3/時は、熱交換器(第三の熱交換器)を介して運ばれ、ガスの温度を335℃から135℃に低下させ、13.1MWのパワーを交換する。その熱交換器は、他の二つの熱交換器(第一の熱交換器及び第二の熱交換器)に接続されており、そのようにして合計28.8MWが使用可能となる。変換収率は28%に達し、電気エネルギー8.06MWを発電する。
【0050】
回収可能なエネルギーが3.02MWである例1に比較すると、燃料として供給される補足エネルギーの限界収率は9MWとなり、56%に達する。この値は、固体燃料を使用する現在の火力発電所の収率に等価である。
【0051】
例4
本発明による、サイクロンプレヒータのガスの50%が原料の乾燥に使用され、105℃で182000Nm3/時の流量を生成させる例2の設備を考察する。
【0052】
このとき、プレヒータのガス全量は、乾燥装置の下流でクーラの排気(過剰空気)に混合される。そのとき、218℃で531200Nm3/時の流量が使用可能となる。この流体は、熱交換器(第一の熱交換器)を介して運ばれ、その熱交換器でガスの温度を218℃から135℃に低下させ、17.5MWのパワーを交換する。
【0053】
熱交換器(第一の熱交換器)は三次空気の熱交換器(第二の熱交換器)に接続されており、したがって、合計で25.8MWが使用可能となる。電力変換収率は、28%に達し、すなわち、電気エネルギー7.22MWを発電する。
【0054】
回収可能なエネルギーが3.02MWである例1に比較すると、燃料として供給される補足エネルギーの限界収率は9MWで、46.6%に達する。この値は、固体燃料を使用する現在の火力発電所の収率に等価である。
【0055】
当業者は、もちろん、特許請求の範囲で規定される本発明の範囲内で、別の実施態様を考えることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0056】
【特許文献1】欧州特許出願公開第0492133号明細書
【特許文献2】中国特許出願公開第1601214号明細書
【特許文献3】欧州特許第0045811号明細書
【符号の説明】
【0057】
1 回転炉
2 サイクロンプレヒータ
3 プレか焼炉
4 クリンカクーラ
5 二次空気
6 三次空気
7 過剰空気
8 ガス
9、10、11 熱交換器
12 流体サーキット
14 原料乾燥装置
30 凝縮器
60、601、602、70 導管
80 排気管

【特許請求の範囲】
【請求項1】
‐回転炉(1)、
‐前記回転炉からガスを受けるサイクロンプレヒータ(2)、
‐前記回転炉(1)の出口部の位置にあり、内部でクリンカが空気の送風によって冷却され、熱風を発生させるクリンカクーラ(4)、
‐第一の熱交換器と呼ばれる少なくとも一つの熱交換器(9)
を備える設備におけるセメントクリンカの製造方法であって、該方法において、
‐前記サイクロンプレヒータ(2)において、原料を予熱し、二酸化炭素を除去し、
‐前記クリンカクーラ(4)において、回転炉から出たクリンカを冷却し、
‐前記クリンカクーラにおいて生成された熱風の第一の部分(5)、いわゆる二次空気を回転炉(1)の方へ向かわせ、燃焼空気として使用し、
‐前記クリンカクーラにおいて生成された、750℃以上の温度で定義される熱風の第二の部分(6)、いわゆる三次空気を誘導し、第一の部分とは別に、燃料が燃焼する設備のある箇所に到達させ、燃焼空気として使用し、
‐前記クリンカクーラにおいて生成された熱風の第三の部分(7)、いわゆる過剰空気を誘導し、発電用のエネルギーを回収することが目的で少なくとも一つの前記第一の熱交換器(9)に到達させる、
ことから成る製造方法において、
‐第二の熱交換器(10)であって、三次空気(6)と協働して、前記第一の熱交換器(9)及び該第二の熱交換器(10)に共通の流体サーキット(12)から受ける流体を加熱する第二の熱交換器(10)が備えられており、該第二の熱交換器(10)は、三次空気からエネルギーを取り出し、三次空気の温度を該第二の熱交換器(10)の上流から下流へと低下させ、その三次空気を該第二の熱交換器(10)の下流で燃焼空気として使用する
ことを特徴とする方法。
【請求項2】
前記流体サーキット(12)の流体は、蒸気または液体の形態の水であり、前記第一の熱交換器(9)は蒸気生成器であり、前記第二の熱交換器(10)は蒸気過熱器であることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
設備は、一つまたは複数のプレか焼反応炉(3)を備え、そのプレか焼反応炉は前記サイクロンプレヒータ(2)の下部に接続されており各々一つまたは複数のバーナーを備え、三次空気(6)が前記一つまたは複数のプレか焼反応炉まで運ばれることを特徴とする、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
エネルギー回収のための第三の熱交換器(11)が備えられ、サイクロンプレヒータ(2)から出たガス(8)の少なくとも一部を前記第三の熱交換器(11)と協働するように導くことを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一つに記載の方法。
【請求項5】
サイクロンプレヒータ(2)のガス(8)は第三の熱交換器(11)と協働し、それによって、前記第一の熱交換器(9)及び前記第二の熱交換器(10)間の共通の前記流体サーキット(12)に共通のまたは共通でない流体サーキットの流体を加熱することを特徴とする、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
クリンカクーラ(4)の熱い過剰空気(7)を、第一の熱交換器(9)の上流でサイクロンプレヒータ(2)のガス(8)に混合することを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一つに記載の方法。
【請求項7】
サイクロンプレヒータ(2)の少なくとも一部分のガス(8)を、クーラの過剰空気(7)に混合する前に、装置(14)内のクリンカ製造原料の乾燥に使用することを特徴とする、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
燃焼空気、すなわち、三次空気(6)の温度は、前記第二の熱交換器(10)の下流で650℃以上であることを特徴とする、請求項1〜7のいずれか一つに記載の方法。
【請求項9】
‐回転炉(1)、
‐前記回転炉からガスを受けるサイクロンプレヒータ(2)、
‐前記回転炉(1)の出口部の位置に備えられ、内部でクリンカが空気の送風によって冷却され、熱風を発生させるクリンカクーラ(4)であって、該クリンカクーラ(4)によってこのようにして生成された熱風の第一の部分(5)、いわゆる二次空気は回転炉によって燃焼空気として使用される、クリンカクーラ(4)
‐前記クリンカクーラ(4)によって生成された熱風の第二の部分(6)、すなわち、三次空気を設備の燃焼区域まで運ぶ導管(60、601、602)、
‐前記クリンカクーラ(4)によって生成された熱風の第三の部分(7)、いわゆる過剰空気を第一の熱交換器と呼ばれる発電機の熱交換器(9)まで運ぶ導管(70)、
を備える、セメントクリンカの製造設備であって、
三次空気(6)が流れる導管(60)は、前記燃焼区域の上流で第二の熱交換器(10)と協働し、流体サーキット(12)は前記第一の熱交換器(9)及び前記第二の熱交換器(10)に共通であることを特徴とする、セメントクリンカの製造設備。
【請求項10】
一つまたは複数のプレか焼反応炉(3)が、前記サイクロンプレヒータ(2)の下部に接続されており、各々一つまたは複数のバーナーを備え、三次空気(6)の導管が前記一つまたは複数のプレか焼反応炉まで三次空気を流すことを特徴とする、請求項9に記載の製造設備。
【請求項11】
前記第一の熱交換器(9)は蒸気生成器であり、前記第二の熱交換器(10)は蒸気過熱器であることを特徴とする、請求項9または10に記載の製造設備。
【請求項12】
第三の熱交換器(11)を備え、その内部で、サイクロンプレヒータ(2)から出たガス(8)の少なくとも一部が、エネルギー回収のため前記第三の熱交換器(11)と協働することを特徴とする、請求項9〜11のいずれか一つに記載の製造設備。
【請求項13】
流体サーキットは、前記第一の熱交換器(9)及び前記第二の熱交換器(10)に共通の前記流体サーキット(12)と同一または同一でないこともあるが、前記第三の熱交換器(11)を通過することを特徴とする、請求項12に記載の製造設備。
【請求項14】
サイクロンプレヒータ(2)のガス(8)の排気管(80)は、第一の熱交換器(9)の上流で過剰空気(7)の導管と接続することを特徴とする、請求項9〜11のいずれか一つに記載の製造設備。
【請求項15】
サイクロンプレヒータ(2)のガス(8)の排気管(80)は、前記過剰空気(7)の導管(70)との接合部の上流で原料乾燥装置(14)と協働することを特徴とする、請求項14に記載の製造設備。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2011−524325(P2011−524325A)
【公表日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−512169(P2011−512169)
【出願日】平成21年6月2日(2009.6.2)
【国際出願番号】PCT/FR2009/000636
【国際公開番号】WO2009/156614
【国際公開日】平成21年12月30日(2009.12.30)
【出願人】(509140467)
【氏名又は名称原語表記】FIVES FCB
【Fターム(参考)】