説明

センサ

本発明は、非接触で働くセンサ素子(1)と、電子部品(5)および電気/電子接続部を含むハウジング(2)とを備えるセンサに関する。前記センサ素子(1)は、前記ハウジング(2)の一部を呈し、前記ハウジング(2)を測定側(3)に対して閉じて封止するために使用される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、非接触で動作するセンサ素子と、電子部品および電気接続を備えるハウジングとを有するセンサに関する。
【背景技術】
【0002】
本明細書のセンサは、非接触で動作するセンサであり、具体的な実現の原理は重要でない。
一般に、本明細書のセンサは、例えば、圧力センサ、光センサ、温度センサ、容量センサ、誘導センサなど、非接触で動作するあらゆるセンサである。
本明細書の話題とされる種類のセンサは、物理的なパラメータを検出するために、多数のさまざまな用途において使用されている。
多くの用途において、センサは、汚れ、ほこり、水、油、または、他の媒体など、測定値を歪める虞があり、センサを破壊してしまう虞すらある、かなり多くの環境の影響に曝される。
過度の圧力、または、真空、および、温度も、悪影響を引き起こす虞があり、センサの破壊につながる虞もある。
従って、そのような用途においては、ハウジングをしっかりと閉じ、多くの場合にはさらに密封することによって、外的影響からセンサを保護することが常に必要である。
【0003】
特定の用途においては、環境をセンサからの不穏な影響から保護する必要がある。
これは、特に、高真空の環境、または、超清浄な環境に当てはまる。
これらの環境は、センサからの汚染物質の放出によって損なわれる虞がある。
例えば、超高真空において使用される場合、真空を破壊しかねない邪魔な物質の気化を防止しなければならない。
超清浄な環境においては、センサは邪魔な物質を放出することもできない。
これは、例えば、製造プロセスのための環境がきわめて清浄でなければならない半導体の製造に当てはまる。
粒子、または、気体が、レチクル、基板、あるいは、光学装置(ミラー、レンズなど)を汚し、場合によっては破壊することによって、製造プロセスを損なう虞がある。
従って、このような環境条件のもとでは、邪魔な物質がセンサから外部へと分離しないことが必須である。
【0004】
センサハウジングを封じるために、多数の選択肢が実際に知られている。
例えば、複数の部分からなるハウジングを使用し、それぞれの部分を(例えば、ねじ接続、かしめ、リベットなどによって)互いに機械的に接続することが可能である。
封止の目的のために、ゴム、または、プラスチックで作られたシール部材が、一般的に使用されている。
さらに、センサ技術において一般的に使用される接着、または、モールディング方法も、実際に知られている。
ここで、接着手段、または、モールディング手段が、ハウジングの各部を互いに接続し、センサ素子へと接続する。
最終的に、モールディング材料が、センサ素子をハウジング内に固定する。
【0005】
封止のための他の選択肢は、はんだ付け、または、溶接によって与えられる。
ここでは、一般に、同一、または、類似の材料(特に、金属)が、互いに接続される。
さらに、金属とセラミックとのはんだ接続も、先行技術から知られている。
【0006】
実際に知られている上述の封止手段は、センサ素子がハウジングの内側の別の部品として具現化され、多少なりともハウジング部品によって囲まれている点で不利である。
多くの種類のセンサにおいて、測定値は、ハウジングの壁がきわめて薄く具現化されているにもかかわらず歪められてしまう。
例えば、光センサにおいては、測定は、封止の目的でハウジングと接着されたガラス窓を通して行われる。
特に接着点における吸収、または、回折によって、測定が影響を受ける虞が生じる。
磁気センサにおいては、測定信号が強磁性の材料の影響を被る。
誘導センサ、または、渦電流センサの場合には、金属製のハウジングが電磁界を活性化し、測定信号を弱める結果となる。
特に産業の用途において、センサについて必要とされる堅牢性および機械的な安定性という理由で、ハウジングを金属から製造し、通常は低コストな鋼から製造することが必要である。
ハウジングが測定信号に過度に影響を及ぼすことがないように、通常はセンサの面が、プラスチック、セラミック、または、他の非導電性材料で作られたキャップで覆われ、封止されている。
ここで、金属製のハウジングへのキャップの接続を接着、かしめ、または、シールリングの使用によって行うことができ、特にセラミック製のキャップの場合に、はんだ付けによっても行うことができる。
【0007】
しかしながら、先行技術のセンサ、および、それらの製造に使用される方法においては、実際のセンサ素子(例えば、誘導によって動作するセンサの銅コイル、または、容量センサのコンデンサ板)が、測定位置からハウジングによって遠く離れており、隔てられていることが欠点である。
これは、センサの感度の低下につながり、すなわち、ハウジングの影響に起因する感度の低下につながる。
【0008】
特に距離センサの場合に、測定対象物からのセンサ素子の測定距離が、ハウジング、ハウジングの材料の厚さゆえに増加する。
なぜならば、ハウジングの実際の具現化に起因し、あるいは、必要な空隙、または、接着の隙間に起因して、壁の厚さ、または、存在する距離により、実際の測定距離が増加するからである。
さらに、ハウジングキャップによる適切な囲いや覆いが必要であることが、追加のコストにつながり、すなわち、一方では材料のコストにつながり、他方では組み立てのコストにつながる。
【0009】
金属製のハウジングよりも費用対効果に優れたやり方で製造することができるプラスチック製のハウジングを有するセンサが、既に実際に知られている。
しかしながら、プラスチック製のハウジングは、環境から水分/水を吸収し、特に空気からも水分を吸収する点で不利である。
結果として、容量センサおよび渦電流センサの機能が損なわれる。
なぜならば、吸収された水に起因して、センサ装置の容量が変化し、通常は測定値のドリフトが引き起こされるからである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
以上の説明に照らし、本発明の目的は、非接触で働くセンサ素子を有するセンサであって、そのハウジングが、センサ素子を不利な態様で遮へいすることなく十分に良好に閉じているセンサを提供することにある。
さらには、センサを費用対高価に優れた態様で製造できなくてはならない。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上述の目的は、請求項1の特徴によって達成される。
従って、全体的なセンサは、センサ素子がハウジングの一部であり、このハウジングが測定側に対して閉じられ、あるいは、封じられていることを特徴とする。
【0012】
本発明によれば、センサハウジングが測定側に対してキャップなどによって閉じられている先行技術からの脱却が行われる。
それどころか、センサ素子そのものがハウジングの覆いを形成し、従ってセンサ素子がハウジングの一部を呈し、ハウジングを測定側に対して閉じると同時に封止するように、実際のセンサ素子がセンサの測定側に直接配置され、センサを形成する新規な技術が実現される。
【0013】
上述の説明に従い、本発明によれば、構造ユニットであるセンサ素子が、ハウジングを覆うために適することが求められる。
換言すると、センサ素子がハウジングの覆いを形成するため、センサ素子自身が、実際の測定、検出の機能に加えて、封止、囲いの機能も果たす。
【0014】
結果として、センサ素子がハウジングの一部を呈し、ハウジングへのしっかりとした接続によってユニットを形成する。
【0015】
実際、従来から一般的、かつ、好都合であるとおり、ハウジングを金属から製作することが可能である。
センサ素子を、少なくともその表面について、セラミックから製作することができる。
ここで、センサ素子の機能要素を適切に定められたセラミック基板に一体化させることができる。
【0016】
特に接続部について、熱による緊張およびそれに起因する割れの形成を避けるために、ハウジングおよびセンサ素子の熱膨張係数を互いにほぼ合わせることがさらに望ましい。
ここで、膨張係数がほぼ同一であるハウジング用の金属およびセンサ素子用のセラミックを容易に見出すことができる。
【0017】
実際、センサ素子を測定側においてハウジングへ好ましくは同一面になるように配置し、ハウジングと接着し、はんだ付けし、あるいは、溶接することが可能である。
センサ素子が同一面である実施例において、これは、センサ素子がハウジングを測定側に向かって少なくともわずかに延長するが、ハウジング(従って、ハウジングの内部)が密封されることを意味する。
【0018】
センサ素子を、中間ばめ(custom−fit)、および/または、しまりばめ(form−fitting)の態様でハウジングへ挿入して、測定側においてハウジングのカバーとすることも可能である。
そのような実施例の範囲において、ハウジングの壁がセンサ素子の全体を受け入れ、センサ素子がさらに遮へいされることなく、ハウジングの前面カバーを形成する。
【0019】
既に述べたように、センサ素子を任意の態様でハウジングと接続できるが、封止接続が望ましい。
センサ素子をハウジングと接着でき、はんだ付けでき、あるいは、溶接することができる。
また、接着手段を介在させつつ、センサ素子を加熱されたハウジングへと挿入し、センサハウジングが冷却プロセスの際にセンサ素子へと整然と縮むことで、圧力ばめ(force−fitting)による接続を行うことも可能である。
【0020】
また、センサ素子をセラミック、および/または、セラミック基板から製造でき、センサ素子の機能が、潜在的に多層セラミックによって定められる。
特に、センサ素子が、LTCC技術(低温同時焼成セラミックス)にて製造されることが望ましい。
ここで、以下が説明される。
【0021】
LTCC技術を使用して、いわゆる低温同時焼成セラミックスが生成される。
これは、先行技術において多層回路を焼結セラミック基板にもとづいて生成している技術である。
回路基板トラック(電路)、コンデンサ、抵抗器、およびコイルを製造することができる。
これらの部材はシルクスクリーン印刷、または、フォトテクニカル(photo−technical)プロセスによって層へと適用される。
未焼成のセラミックフィルムが、個別に構造化され、すなわち、それぞれのセンサの機能素子によって構造化され、その後に積み重ねられ、ラミネートされる。
最後に、所定の焼結プロファイルが、セラミック材料に合わせて調節された通常は約850〜900℃の範囲である焼結温度にて適用される。
【0022】
いずれの場合も、センサ素子をそれぞれのセンサの電気/電子部品、ならびに接点、接続を含む多層セラミック基板としてLTCC技術で製造することが、望ましい。
このように、LTCC技術におけるセンサ素子は、セラミックから主として製作される一体化の素子と理解されるものである。
このようにして製造され、焼結されたセンサ素子は、とりわけ十分に良好な圧力に対する耐性を呈するため、金属ハウジングを閉じるために理想的に使用することが可能であり、実際のセンサ素子を別途の保護カバーによって外部から遮へいしてしまうことがない。
一方で、センサ素子が測定側において露出するため、先行技術から公知の範囲において実際に生じる問題が解決される。
【0023】
本発明による利点を以下のように簡単に要約することができる。
センサ素子が、別の部品、空隙、モールディング隙間などを設けることなく、前面においてきわめて遠くに位置し、すなわち、測定対象物の近くに位置する。
これにより、感度を向上させることができる。
センサ素子の感度が向上することにより、信号についてより小さな増幅を選択することが可能となり、センサの分解能および安定性を高めることができる。
距離が短いことで、必要とされる測定点がより小さく、より小さい測定対象物を一定の線形性で測定、検出することが可能になる。
センサ素子がハウジングの一部であるため、ハウジングについて、通常であれば一般的なカバーを省略できる。
はんだ接続という選択肢によって、センサ素子が封止の態様でハウジングと接続される。
センサの内部への異物の侵入を効果的に防止することができる。
センサが密封され、いかなる追加のシール手段も必要とせずに圧力および真空の用途に適する。
センサの内部から真空環境、または、超清浄環境への揮発性物質の排出、または、放出を、効果的に防止することができる。
センサ素子の後ろ側で電子部品が一体化されることにより、配線長の短縮および寄生容量の低減が可能となり、センサの安定性(長期安定性、EMV安定性、温度安定性)および感度を向上させることができる。
セラミック基板の使用により、センサ素子の機械的な堅牢性および安定性を向上させることができる。
特に、セラミックの膨張係数が小さいため、温度安定性が高く、温度に関して安定で長持ちするセンサを実現することができる。
セラミックへの水の吸収が僅かであるため、寄生容量の変化による影響が生じないようにすることができる。
セラミック上で測定用のコイル、または、測定用の容量のすぐ近くで温度を直接測定するため、温度勾配の影響を受けないようにすることができる。
温度補償が、センサの測定側のすぐ近くの測定位置で直接行われる。
【0024】
本発明の教示の望ましい具現化およびさらなる発展のための種々の選択肢が存在する。
この目的のため、一方では請求項1に従属する請求項を参照しつつ、他方では図面にもとづく本発明の望ましい典型的な実施例についての以下の説明を参照されたい。
本発明の教示の全体的な望ましい実施例、および、さらなる発展について、図面を用いた本発明の望ましい典型的な実施例の説明に関連してさらに説明する。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】LTCC技術にて製作されたセンサ素子が、セラミック基板を備えており、渦電流の原理に従って動作する本発明によるセンサの全体的な設計の概略を示す側面断面図。
【図2】LTCC技術にて製作されたセンサ素子が、セラミック基板を備えており、渦電流の原理に従って動作し、センサ素子の後ろ側に配置された電子部品を備えている本発明によるセンサの別の典型的な実施例の概略を示す側面断面図。
【図3】LTCC技術にて製作されたセンサ素子が、セラミック基板を備えており、渦電流の原理および容量に従って動作し、センサ素子の後ろ側に配置された電子部品を備えている本発明によるセンサの別の典型的な実施例の概略を示す側面断面図。
【図4】LTCC技術にて製作されたセンサ素子が、セラミック基板を備えており、圧力センサとして具現化され、センサ素子の後ろ側に配置された電子部品を備えている本発明によるセンサの別の典型的な実施例の概略を示す側面断面図。
【図5】一体の貫通接続を備える多層LTCC技術を使用する本発明によるセンサの別の典型的な実施例の概略を示す側面断面図。
【発明を実施するための形態】
【0026】
図1が、ここでは誘導センサ、または、容量センサを代表し得る本発明によるセンサの典型的な実施例をきわめて概略的な断面図にて示している。
センサ素子1が、ハウジング2の一部であり、ハウジング2を測定側3で密封している。
【0027】
実際に、センサ素子1は、LTCC技術(低温同時焼成セラミックス)にて製造された多層セラミック(9)を有している。
ここで、実際のセンサ素子1は、多層セラミック(9)に一体化され、セラミック基板9のいくつかの層に埋め込まれたコイル4である。
【0028】
これは、容量センサにおいて、導電平板電極を有し、この電極と測定対象物との間に形成されるコンデンサの一部であると考えられる。
ここでセンサ素子1は、また、複数の層を備え、各層が焼結プロセスにて互いに接続され、すなわち、拡散によって互いに接続されているセラミック基板9である。
焼結において、コンパクトであり、安定性であり、容易に取り扱うことができるユニットが生成される。
【0029】
図1に示したセンサ素子1は、金属からなるハウジング2とはんだ付けされることで、固定に接続されたコンパクトなユニットを形成している。
ハウジング2は、センサ素子1によって密封されている。
はんだ付けによるはんだ接続8が示されている。
【0030】
ここで、図1はハウジング2および覆いのセンサ素子1に関する基本的な設計のみを示しているため、図1の図においては電気接続が省略されている。
【0031】
図2は、本発明によるセンサのさらなる発展を示しており、ここではセンサ素子1が後ろ側(すなわち、ハウジング2の内側)に電子部品5を備えている。
また、図2に示したセンサ素子1は、渦電流の原理に従って動作するものである。
【0032】
電子部品5は、それ自体が公知であるハイブリッド技法によって設けることができる。
【0033】
さらに図2は、センサ素子1へと延びる接続ケーブル7を封止状態で通過させるケーブル通路6が設けられ、接続ケーブル7の電線がセンサ素子1へと連結され、電気的に接続されることを示している。
【0034】
さらに、ハウジング2とセンサ素子1との間の封止用のはんだ接続8が、図2に示されている。
確実な封止が、このはんだ接続8によって生み出されている。
さらには、セラミック基板9から製作されたセンサ素子1は、充分な耐久性を有している。
【0035】
図3は本発明によるセンサの典型的な実施例を示しており、ここでは、動作の異なる2つのセンサ素子1がセラミック基板9に配置され、セラミック基板9に一体化されている。
渦電流センサ用のコイル4に加えて、容量センサ用の電極10が、一体化されている。
このようにして、複合センサが形成され、この複合センサに、さらに別の温度センサを設けることも可能である。
例えば、コイル4の電線のオーム抵抗を、それ自体は公知の態様で、温度測定に使用することができ、従って誘導によって動作するセンサ素子1の温度補償に使用することができる。
測定用コイル(4)および補償用コイル(4)を互いに別々にセラミック基板9へと挿入することが、特に望ましい。
ここで、コイル4のそれぞれの特徴を目的(距離の測定および温度の補償)に合わせて最適に調節することができる。
【0036】
図4は、センサ素子1が、やはりLTCC技術に従って、圧力センサとして具現化されていることを示している。
ここでもまた、セラミック基板9がいくつかの層を備えており、これらの層が協働し、金属製のハウジング2を覆ってはんだ接続8により封止する。
【0037】
ここでもまた、電子部品5が、センサ素子1、および/または、セラミック基板9の後ろ側に設けられている。
【0038】
図4による例示においても、接続ケーブル7が、ケーブル通路6を通ってハウジング2の内部へ延びており、センサ素子1の後ろ側と連結され、電気的に接続されている。
【0039】
図4に示すように、圧力検出素子11がセラミック基板9の中空チャンバ12に直接囲まれている。
セラミック基板9の前側には、圧力が作用したときにたわむ圧力検出膜13が形成されている。
圧力検出膜13の距離の変化を再度測定するために、渦電流コイルの容量電極をセラミック基板9の内部で使用することができる。
【0040】
LTCCセラミックから製作された上述のセンサ素子1をチタニウム、ジルコニウム、または、これらの合金から製作されたハウジング2と組み合わせることが望ましい。
チタニウム、または、ジルコニウムと、セラミック(9)は、ほぼ同一の熱膨張係数を有しているため、温度変化の際に材料間の接続場所において煩わしい張力が生じない。
軟ろう付けのために、例えば、金属化によるセラミック基板9の前処理が必要であり、例えば、はんだ付けの部位における金属製のハウジング2の金めっきが必要である。
チタニウムは、その材料特性、特に固有表面エネルギー/表面張力ゆえに、セラミック(9)にきわめて良好にはんだ付けすることができる。
いわゆる活性ろう付け(active brazing)において、チタニウムおよびセラミック(9)をはんだ接続8に先立っていかなる中間の層も接着用の添加物として適用する必要なく、互いに直接接続することができる。
【0041】
例えば、金属製のハウジング2を金属フレームおよびハウジング蓋を含むいくつかの部品にて具現化することも可能である。
多段階のプロセスにおいて、例えば、チタニウム、または、ジルコニウムからなる金属フレームを硬ろう付け(hard soldering)によってセンサ素子1へとはんだ付けすることができる。
硬ろう付けが、約850℃という比較的高い温度で行われるという事実ゆえに、以後のはんだ付けプロセスを硬ろう付けによる接続を弱めることなく、軟ろう付けによって実行することができる。
このようにして、金属フレームをセンサ素子1とはんだ付けした後で、電子部品5をセンサ素子1とはんだ付けすることができる。
ハウジング蓋は、電子素子の適用後に金属フレームへと接続される。
例えば、これをはんだ付け、溶接、または、接着によって行うこともできる。
【0042】
多層LTCC技術の使用は、回路基板トラック14を生成でき、従って貫通接続18を生成することができるので望ましい。
真空領域の圧力チャンバ15内の電子部品5の接点は、多くの場合に、ケーブル、配線、または、回線が使用されなければならないときに問題となる。
これらの領域から配線を引き出すことは、高価、かつ、複雑な真空管路が必要であるため、厄介である。
それらは、多くの場合にガラスで絶縁されることとなるため、製造および適用において複雑、かつ、高価である。
【0043】
図5の例示によれば、本発明によるセンサ素子1において、金属製のハウジング2の下方のセラミック基板9の内部のコイル4、および、回路基板トラック14を真空領域の圧力チャンバ15から引き出すことができる。
セラミック基板9の内部の焼結による接続により、コイル4、および、回路基板トラック14は、ハウジング2の封止が損なわれないように密封されている。
接続線のための追加の真空管路、または、圧力管路が不要であるため、単純であり、費用対効果に優れ、さらにはきわめてコンパクトでもある通路を実現することができる。
このようにして、密封された機械的に安定した接続を、簡単な方法で電子回路について生成することができる。
【0044】
圧力、および/または、真空とは反対の側17において、回路基板トラック14は、貫通接続18を介してセラミック基板9から引き出されている。
貫通接続18の地点に、はんだパッドを適用することができ、はんだパッドと、プラグ19、または、接続ケーブル20を従来のはんだ付けの技術によってはんだ付けすることができる。
ここで、セラミック基板9のこの面が、圧力チャンバ15、および/または、真空の外部に位置するという事実ゆえ、高い圧力、または、真空に耐える必要がない有益、かつ、単純なプラグ19を使用することができる。
【0045】
本発明によるセンサのさらに望ましい実施例に関しては、繰り返しを避けるために、本明細書の概要の部分および添付の特許請求の範囲を参照されたい。
【0046】
最後に、本発明によるセンサの上述の典型的な実施例が、あくまでも請求項に記載される教示を説明するためのものであり、本発明が典型的な実施例に限られないことは言うまでもない。
【符号の説明】
【0047】
1 ・・・ センサ素子
2 ・・・ ハウジング
3 ・・・ (センサの)測定側
4 ・・・ コイル(回路基板の電路)
5 ・・・ 電子部品
6 ・・・ ケーブル通路
7 ・・・ 接続ケーブル
8 ・・・ はんだ接続
9 ・・・ セラミック基板(セラミック、多層セラミック)
10 ・・・ 電極
11 ・・・ 圧力検出素子
12 ・・・ 中空チャンバ
13 ・・・ 圧力検出膜
14 ・・・ (通過のための)回路基板トラック
15 ・・・ 圧力チャンバ(真空領域)
16 ・・・ 高圧と真空との境界
17 ・・・ 圧力または真空とは反対の側
18 ・・・ 貫通接続(はんだパッド)
19 ・・・ プラグ
20 ・・・ (プラグの、または、プラグの代わりの)接続ケーブル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
非接触で働くセンサ素子(1)と、電子部品(5)および電気/電子接続部を含むハウジング(2)とを備えるセンサであって、
前記センサ素子(1)が、前記ハウジング(2)の一部を構成するとともに、前記ハウジング(2)を測定側(3)に対して閉じて封止していることを特徴とするセンサ。
【請求項2】
前記ハウジング(2)が、金属で形成され、前記センサ素子(1)が、該センサ素子(1)の表面にセラミックを含んでいることを特徴とする請求項1に記載のセンサ。
【請求項3】
前記ハウジング(2)が、チタニウム、または、ジルコニウム、あるいは、それぞれの合金で形成されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のセンサ。
【請求項4】
前記ハウジング(2)および前記センサ素子(1)の熱膨張係数が、同じに設けられていることを特徴とする請求項1または請求項3に記載のセンサ。
【請求項5】
前記測定側(3)において、前記センサ素子(1)が、同一面の態様で前記ハウジング(2)へ配置され、あるいは、中間ばめ、または、しまりばめの態様で前記ハウジング(2)へ挿入されていることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1つに記載のセンサ。
【請求項6】
前記センサ素子(1)が、前記ハウジング(2)と接着され、はんだ付けされ、あるいは、溶接されていることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか1つに記載のセンサ。
【請求項7】
前記センサ素子(1)が、多層セラミック(9)からなることを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれか1つに記載のセンサ。
【請求項8】
前記センサ素子(1)が、LTCC技術(低温同時焼成セラミックス)技術によって形成されていることを特徴とする請求項7に記載のセンサ。
【請求項9】
前記センサ素子(1)が、前記測定側(3)とは反対を向いた側である後ろ側に、ハイブリッド技術での電子部品(5)を備えていることを特徴とする請求項1乃至請求項8のいずれか1つに記載のセンサ。
【請求項10】
2つ以上の前記センサ素子(1)が、セラミック基板(9)に一体化され、前記2つ以上のセンサ素子(1)が、前記セラミック基板(9)において組み合わせて配設されていることができることを特徴とする請求項7乃至請求項9のいずれか1つに記載のセンサ。
【請求項11】
前記2つ以上のセンサ素子(1)が、互いに機能的に接続されていることを特徴とする請求項10に記載のセンサ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2013−515247(P2013−515247A)
【公表日】平成25年5月2日(2013.5.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−545085(P2012−545085)
【出願日】平成22年12月15日(2010.12.15)
【国際出願番号】PCT/DE2010/001478
【国際公開番号】WO2011/076181
【国際公開日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【出願人】(592093648)マイクロ−エプシロン・メステヒニク・ゲーエムベーハー・ウント・コンパニー・カー・ゲー (11)
【氏名又は名称原語表記】MICRO−EPSILON MESSTECHNIK GESELLSCHAFT MIT BESCHRANKTER HAFTUNG & COMPAGNIE KOMMANDITGESELLSCHAFT
【Fターム(参考)】