説明

セーフティーキャップ装置

【課題】 セーフティーキャップ装置としては、外キャップと内キャップの間に逆止回転機構を設けて、開栓時には外キャップが空転し、掛止爪を強く押圧して連動する時にのみ内キャップを開栓する装置が賞用されて来たが、開栓時に外キャップを強く押圧して回す必要があり、閉栓操作が面倒で煩雑であるという課題があった。
【解決手段】 容器首部1に螺着して閉栓する内キャップ10と、内キャップの外周を回転自在に被覆する外キャップ20との間に、外キャップを閉栓方向Aに回転するとき内キャップを閉栓可能とし、開栓方向Bに回転するとき空回りする逆止回転機構を設け、外キャップ20のスカート部22に押圧に伴って内方に突出する掛止突出部23を設けると共に、内キャップ10の外周に前記掛止突出部に係合する係合部15を設けてなるセーフティーキャップ装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、開栓する方法を知っている人のみ開栓することが可能なセーフティーキャップ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、医薬品や農薬等を入れる容器のキャップは、乳幼児等が容器のキャップを開栓して誤って内容物を飲む等の事故を防止するために、開栓する方法を知っている人のみ開栓することが可能なセーフティーキャップ装置が使用されている。
【0003】
従来、セーフティーキャップ装置としては、容器首部に螺着して閉栓する内キャップに、外周を被覆するように外キャップを設けると共に、外キャップと内キャップの間に逆止回転機構を設けて、通常の状態で開栓しようとする時には外キャップと内キャップの回転を伝達する歯の噛み合わせを外して空転するようにし、逆止回転機構の掛止爪を強く押圧して連動することによりキャップを開栓するセーフティーキャップ装置が賞用されて来た(特許文献1)。
【特許文献1】特開2001−293967
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、従来装置では、開栓時に外キャップを強く押圧して回す必要があり、開栓操作が面倒で煩雑であるという課題があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
そこで、本発明は、請求項1に記載の如く、容器首部に螺着して閉栓する内キャップと、内キャップの外周を回転自在に被覆する外キャップとの間に、外キャップを閉栓方向に回転するとき掛止して内キャップを閉栓可能とし、開栓方向に回転するとき掛止することなく空回りする逆止回転機構を設けてなるセーフティーキャップ装置において、前記外キャップのスカート部に押圧に伴って内方に突出する掛止突出部を設けると共に、内キャップの外周に前記掛止突出部の突出に伴って係合する係合部を設けてなるセーフティーキャップ装置を提供するものである。
【0006】
また、本発明は、請求項2に記載の如く、請求項1に記載のセーフティーキャップ装置において、前記内キャップの外周に外周壁を凹陥させて係合部を設けると共に、外キャップの内周に周囲の内壁を凹陥させて掛止突出部を設けてなるセーフティーキャップ装置を提供するものである。
【0007】
また、本発明は、請求項3に記載の如く、請求項1又は2に記載のセーフティーキャップ装置において、掛止突出部を180度の間隔に相対して設けると共に、掛止突出部と掛止突出部の中間の外キャップのスカート部に湾曲補助部を設けてなるセーフティーキャップ装置を提供するものである。
【0008】
また、本発明は、請求項4に記載の如く、請求項1、2又は3に記載のセーフティーキャップ装置において、逆止回転機構が、内キャップの外周に弾性変形可能に突出する棒状部材の先端部に逆止歯片を有すると共に、外キャップの内周に棒状部材の先端部方向から逆止歯片に当接して内キャップが一体に回転して閉栓する閉栓片を設け、外キャップを開栓方向に回転するときには前記閉栓片が棒状部材の基端部側から逆止歯片を弾性変形させながら乗り越えて空転するように設けてなるセーフティーキャップ装置を提供するものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係るセーフティーキャップ装置によれば、請求項1に記載の如く、容器首部に螺着して閉栓する内キャップと、内キャップの外周を回転自在に被覆する外キャップとの間に、外キャップを閉栓方向に回転するとき掛止して内キャップを閉栓可能とし、開栓方向に回転するとき掛止することなく空回りする逆止回転機構を設けてなる構成を有するから、閉栓を確実の行えると共に、通常の開栓操作では空回りして開けることができない一方、上記セーフティーキャップ装置において、前記外キャップのスカート部に押圧に伴って内方に突出する掛止突出部を設けると共に、内キャップの外周に前記掛止突出部の突出に伴って係合する係合部を設けてなる構成を有することにより、開け方を知ってる者が外キャップのスカート部を押圧して開栓方向に回転すると、押圧に伴って突出した外キャップの掛止突出部が、内キャップの係合部に係合してキャップを開栓方向に回転することができる効果がある。
【0010】
また、本発明は、請求項2に記載の如く、請求項1に記載のセーフティーキャップ装置において、前記内キャップの外周に外周壁を凹陥させて係合部を設けると共に、外キャップの内周に周囲の内壁を凹陥させて掛止突出部を設けてなる構成を有するから、通常には内キャップの係合部は内キャップの外周壁から突出しない状態にあり、外キャップの掛止突出部も外キャップの内壁から突出せず、両者は当接せずの空転する状態であるが、外キャップの掛止突出部を外側から押圧する場合には、掛止突出部の周囲の内壁が凹陥させてあるから比較的弱い力で容易に押圧して開栓できる効果がある。
【0011】
また、本発明は、請求項3に記載の如く、請求項1又は2に記載のセーフティーキャップ装置において、掛止突出部を180度の間隔に相対して設けると共に、掛止突出部と掛止突出部の中間の外キャップのスカート部に湾曲補助部を設けてなる構成を有するから、外キャップの掛止突出部を持つことによって、その中間の湾曲補助部が撓んで掛止突出片を外側から容易に押圧することができる効果がある。
【0012】
また、本発明は、請求項4に記載の如く、請求項1、2又は3に記載のセーフティーキャップ装置において、逆止回転機構が、内キャップの外周に弾性変形可能に突出する棒状部材の先端部に逆止歯片を有すると共に、外キャップの内周に棒状部材の先端部方向から逆止歯片に当接して内キャップが一体に回転して閉栓する閉栓片を設け、外キャップを開栓方向に回転するときには前記閉栓片が棒状部材の基端部側から逆止歯片を弾性変形させながら乗り越えて空転するように設けてなる構成を有するから、閉栓時には閉栓片が棒状部材の先端部方向から逆止歯片に当接して、棒状部材が支え棒のように当接して内キャップが確実に回転して閉栓する一方、開栓方向に空転するときには逆止歯片が滑らかに弾性変形して、円滑に空転する効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明の実施の最良の形態を図示する実施例に基づいて説明する。
図1に示すセーフティーキャップ装置は、容器首部1の雄ねじ部2に螺着して閉栓する内キャップ10と、内キャップ外周を回転自在に被覆するように設けた外キャップ20とからなり、内キャップ10と外キャップ20との間には外キャップ20を閉栓方向Aに回転するとき掛止して内キャップ10を閉栓可能とし、開栓方向Bに回転するとき掛止することなく空回りする逆止回転機構aを設けてある。
【0014】
実施例の場合、逆止回転機構aは、内キャップ10と外キャップ20との天板部に近い位置、即ち、キャップスカート部から上方の変形を受け難い位置に設けてある。逆止回転機構aは、内キャップ10の上縁部に外周に弾性変形可能に突出する棒状部材11の先端部に逆止歯片12を設けると共に、外キャップ20の内周には、閉栓方向Aに回転するとき前記棒状部材11の先端部方向から逆止歯片12に当接して内キャップ10が一体に回転して閉栓する閉栓片21を突出して設け、閉栓時には閉栓片21が棒状部材11の先端部方向から逆止歯片12に当接し、棒状部材11が支え棒のように強く閉栓片21と当接して内キャップ10が確実に回転して閉栓することができる一方、外キャップ20を開栓方向Bに回転するときには前記閉栓片21が棒状部材11の基端部13側から逆止歯片12を弾性変形させながら軽快に乗り越えて空転するように設けてある。
【0015】
即ち、図2に記載のように、棒状部材11の基端部13は内キャップ10の外周壁17とほぼ同一面又はやや突出面をなし、先端部の逆止歯片12は内キャップ10の外周壁17から外方に突出して、閉栓時には閉栓片21が逆止歯片12に確実に当接するように構成してあると共に、棒状部材11の内側には凹溝14が設けてあり、外キャップ20を開栓方向に回転するときに前記閉栓片21が棒状部材11を基端部13側から逆止歯片12を内側の凹溝14内に弾性変形させながら乗り越えて円滑に空転するように構成してある。
【0016】
なお、図2の実施例のように、棒状部材11の基端部13を内キャップ10の外周壁17からやや突出面をなすように設けることによって、内キャップ10の外周壁17と閉栓片21との間に円滑に回転するように隙間を設けることができ、且つ、隙間を設けても外キャップ20を開栓方向Bに回転するときに前記閉栓片21が棒状部材11を基端部13側に確実に当接して逆止歯片12を内側の凹溝14内に弾性変形させながら円滑に乗り越えて空転するように構成してある。
また、実施例の場合、逆止歯片12と閉栓片21は90度間隔で4個所に設けてあるが、60度間隔で6個所又は120度間隔で3個所等のように、必要に応じて適宜に配設することができることは勿論である。
【0017】
他方、上記セーフティーキャップ装置において、前記外キャップ20のやや薄く成形したスカート部22には、外側からの押圧に伴って内方に突出する掛止突出部23を設けると共に、内キャップ10の外周には、外キャップ20の開栓方向Bへの回転時に前記掛止突出部23の突出に伴って係合する係合部15を設けてなる、前記逆止回転機構aとは逆の逆止回転機構bを設けてある。26は、スカート部22の内側に設けた掛止突出部23に対応するスカート部22の外側及びその近傍に位置する押圧部であるが、外観上特別に目印になるような特徴を設けないことが好ましい。
【0018】
この逆止回転機構bは、開ける方法を知ってる者が外キャップ20のスカート部22の押圧部26を押圧して開栓方向Bに回転するときにのみ、押圧に伴って突出した外キャップ20の掛止突出部23が、内キャップ10の係合部15に係合して内外キャップ10,20を一体に開栓方向Bに回転することができる。
また、係合部15は外キャップ20を閉栓方向Aに回転する際には、掛止突出部23が係合部15に係合することなく滑って空回りするように構成してある。
【0019】
実施例の場合、前記内キャップ10の外周に外周壁17をカットエッジ状に凹陥させてカットエッジ部を係合部15として凹陥部16に対して突出して設けると共に、外キャップ20の内周には周囲の内周壁25を凹陥させて凹陥部24に対して掛止突出部23を突出する形に設けてあり、外キャップ20のスカート部22の押圧部26を押圧して開栓方向Bに回転するとき、押圧に伴って突出した外キャップ20の掛止突出部23が、内キャップ10の係合部15に凹陥部16側から回転して係合し、内外キャップ10,20を一体に開栓方向Bに回転することができるように構成してあり、逆に外キャップ20を閉栓方向Aに回転する際には掛止突出部23が係合部15に係合することなく凹陥部16に滑って入りそのまま内キャップ10の外周壁17に沿って空回りするように構成してある。
【0020】
図3において、24が掛止突出部23を覆う凹陥部であり、その部分に対応する押圧部26を押圧しない限り、掛止突出部23が外キャップ20の内周壁25から突出しないから、幼児などの開け方を知らない者には開放は困難になる。
また、通常には、内キャップ10の係合部15は内キャップの外周壁17から突出しない状態にあり、外キャップ20の掛止突出部23も外キャップの内周壁25から突出せず、両者は当接せずの空転する状態にある。
そして、図3に記載のように、外キャップ20の掛止突出部23を外側から押圧する場合には、掛止突出部23の周囲の内壁が凹陥させて軟弱に構成してあるから、比較的弱い力で容易に押圧することできる。
【0021】
また、本発明は、請求項3に記載の如く、掛止突出部23を180度の間隔に相対して設けると共に、掛止突出部23と掛止突出部23の中間の外キャップ20のスカート部22に湾曲補助部27を設けてある。実施例の場合、湾曲補助部27は外キャップ20の内周壁25を薄くした薄肉部28を形成して、スカート部22の壁厚を薄くして湾曲しやすく構成してある。そして、外キャップのスカート部22の押圧部26を掴むことによって、その中間の湾曲補助部27が外側に撓んで掛止突出片23を外側から容易に押し込むことができるように構成してある。
【0022】
また、図3に記載のように、係合部15の数は90度間隔で4個に設けてあるのに対し、掛止突出部23は180度間隔で2個所に設けてあり、掛止突出部23を両側から押圧して2個所の係合部15に同時に確実に係合するように構成してあるが、安全性を高めるには、係合部15の数を減らしたり、掛止突出部23を1個所に設けたりすることも勿論可能である。
【0023】
その他、内キャップ10と外キャップ20とは、嵌合時に内キャップ10の外周壁に突設した係合鍔部18と、外キャップ20の内周壁に突設した掛止鍔片部29とが抜けないように係合すると共に、外キャップ20のスカート部22の下端縁部が内キャップ10の下端縁部に突設したフランジ部19上に当接して密着するから、一体のキャップとなり、内キャップ10内に設けた雌ねじ部3が容器首部1の雌ねじ部2に螺号するように構成してある。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明装置の一実施例を示す概略分解斜視図。
【図2】その要部を横断して示す概略横断面図。
【図3】その他の要部を横断して示す概略横断面図。
【符号の説明】
【0025】
1 容器首部
2 雄ねじ部
10 内キャップ
11 棒状部材
12 逆止歯片
13 基端部
14 凹溝
15 係合部
16 凹陥部
17 外周壁
18 係合鍔部
19 フランジ部
20 外キャップ
21 閉栓片
22 スカート部
23 掛止突出部
24 凹陥部
25 内周壁
26 押圧部
27 湾曲補助部
28 薄肉部
29 掛止鍔片部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器首部に螺着して閉栓する内キャップと、内キャップの外周を回転自在に被覆する外キャップとの間に、外キャップを閉栓方向に回転するとき掛止して内キャップを閉栓可能とし、開栓方向に回転するとき掛止することなく空回りする逆止回転機構を設けてなるセーフティーキャップ装置において、前記外キャップのスカート部に押圧に伴って内方に突出する掛止突出部を設けると共に、内キャップの外周に前記掛止突出部の突出に伴って係合する係合部を設けてなるセーフティーキャップ装置。
【請求項2】
請求項1に記載のセーフティーキャップ装置において、前記内キャップの外周に外周壁を凹陥させて係合部を設けると共に、外キャップの内周に周囲の内壁を凹陥させて掛止突出部を設けてなるセーフティーキャップ装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のセーフティーキャップ装置において、掛止突出部をほぼ180度の間隔に相対して設けると共に、掛止突出部と掛止突出部の中間の外キャップのスカート部に湾曲補助部を設けてなるセーフティーキャップ装置。
【請求項4】
請求項1、2又は3に記載のセーフティーキャップ装置において、逆止回転機構が、内キャップの外周に弾性変形可能に突出する棒状部材の先端部に逆止歯片を有すると共に、外キャップの内周に棒状部材の先端部方向から逆止歯片に当接して内キャップが一体に回転して閉栓する閉栓片を設け、外キャップを開栓方向に回転するときには前記閉栓片が棒状部材の基端部側から逆止歯片を弾性変形させながら乗り越えて空転するように設けてなるセーフティーキャップ装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2006−103715(P2006−103715A)
【公開日】平成18年4月20日(2006.4.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−290100(P2004−290100)
【出願日】平成16年10月1日(2004.10.1)
【出願人】(000234627)シロウマサイエンス株式会社 (40)
【出願人】(592187822)日星産業株式会社 (4)
【Fターム(参考)】