説明

タイヤトレッド用ゴム組成物及びこれを用いる空気入りタイヤ

【課題】低発熱性及び耐摩耗性が改良されたゴム組成物、これを用いた空気入りタイヤの提供。
【解決手段】末端変性基含有共役ジエン系共重合体を、30重量%以上含むジエン系ゴムと、シリカと、カーボンブラックと、特定の式で表されるシランカップリング剤のうちの1種以上とを含有し、前記シリカと前記カーボンブラックとの合計量が前記ジエン系ゴム100重量部に対して35〜140重量部であり、前記シランカップリング剤の量が前記シリカの量の4〜18重量%であり、前記共重合体は特定の方法によって製造され、前記共重合体中の、芳香族ビニル単量体含有量が38〜48重量%であり、全共役ジエン系単量体中のビニル単位含有量が20〜35モル%であり、重量平均分子量が600,000〜1,000,000であり、前記共重合体が有する末端変性基が、前記シリカとの相互作用を有する官能基を含む、タイヤトレッド用ゴム組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はタイヤトレッド用ゴム組成物及びこれを用いる空気入りタイヤに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、空気入りタイヤに対する要求性能として必要な、低発熱性と湿潤路面でのグリップ性とを両立させる充填剤として、湿式シリカが知られている。この湿式シリカは、その表面官能基であるシラノール基の水素結合により粒子同士が凝集する傾向にあり、ゴムへの分散が悪くなるために耐摩耗性の低下をまぬがれず、ゴム中へのシリカの分散を良くするためには混練時間を長くする必要がある。
これらの欠点を改良するために、シランカップリング剤が開発されている。
本願出願人はこれまでに3−オクタノイルチオ−1−プロピルトリエトキシシランの縮合物を含むタイヤ用ゴム組成物を提案した(特許文献1)。
また従来特定のシリカと特定の構造を有するSH系シランカップリング剤とをジエン系ゴムに対して含むゴム組成物が提案されている(例えば特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−232917号公報
【特許文献2】特開2009−263420号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながらシリカとシランカップリング剤の組み合わせのみでは、低発熱性と耐摩耗性を高度に両立させるためには未だ不十分であり、市場の要求性能を満足させることができなかった。
そこで、本発明は、低発熱性及び耐摩耗性が改良されたゴム組成物、これを特にトレッドに用いた上記性能を有する優れたタイヤを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本願発明者は、上記課題を解決すべく鋭意研究した結果、シリカとの相互作用に優れた変性共役ジエン系重合体及び特定の構造を有するシランカップリング剤を含むことによって低発熱性及び耐摩耗性が改良されたゴム組成物が得られることを見出した。
さらに、本願発明者は、末端が変性された、溶液重合による、末端変性基含有共役ジエン系共重合体を、30重量%以上含むジエン系ゴムと、シリカと、カーボンブラックと、下記式(a)〜(c)で表されるシランカップリング剤のうちの1種以上とを含有し、
前記シリカと前記カーボンブラックとの合計量が前記ジエン系ゴム100重量部に対して35〜140重量部であり、
前記シランカップリング剤の量が前記シリカの量の4〜18重量%であり、
前記末端変性基含有共役ジエン系共重合体は、炭化水素溶媒中、有機活性金属化合物を開始剤として用いて共役ジエン系単量体と芳香族ビニル単量体とを共重合させた活性共役ジエン系重合体鎖に、前記活性共役ジエン系重合体鎖の活性末端と反応可能な官能基を有する少なくとも1種類の化合物Aを反応させることによって製造され、
前記末端変性基含有共役ジエン系共重合体中の芳香族ビニル単量体含有量が38〜48重量%であり、前記末端変性基含有共役ジエン系共重合体を構成する全共役ジエン系単量体中のビニル単位含有量が20〜35モル%であり、前記末端変性基含有共役ジエン系共重合体の重量平均分子量が600,000〜1,000,000であり、前記末端変性基含有共役ジエン系共重合体が有する末端変性基が、前記シリカとの相互作用を有する官能基を含む、ゴム組成物が、低発熱性及び耐摩耗性が優れるタイヤトレッド用ゴム組成物となりうること、並びに、これを用いる空気入りタイヤが低発熱性及び耐摩耗性が優れることを見出し、本発明を完成させた。
【化1】

【化2】

(b)

[式(b)中、Lはそれぞれ独立して炭素数1〜9のアルカンジイル基又はアルケンジイル基であり、xは1〜150の整数であり、yは1〜150の整数である。]
【化3】

(c)
【0006】
すなわち、本発明は、下記1〜8を提供する。
1. 末端が変性された、末端変性基含有共役ジエン系共重合体を、30重量%以上含むジエン系ゴムと、シリカと、カーボンブラックと、下記式(a)〜(c)で表されるシランカップリング剤のうちの1種以上とを含有し、
前記シリカと前記カーボンブラックとの合計量が前記ジエン系ゴム100重量部に対して35〜140重量部であり、
前記シランカップリング剤の量が前記シリカの量の4〜18重量%であり、
前記末端変性基含有共役ジエン系共重合体は、炭化水素溶媒中、有機活性金属化合物を開始剤として用いて共役ジエン系単量体と芳香族ビニル単量体とを溶液重合によって共重合させた活性共役ジエン系重合体鎖に、前記活性共役ジエン系重合体鎖の活性末端と反応可能な官能基を有する少なくとも1種類の化合物Aを反応させることによって製造され、
前記末端変性基含有共役ジエン系共重合体中の芳香族ビニル単量体含有量が38〜48重量%であり、前記末端変性基含有共役ジエン系共重合体を構成する全共役ジエン系単量体中のビニル単位含有量が20〜35モル%であり、前記末端変性基含有共役ジエン系共重合体の重量平均分子量が600,000〜1,000,000であり、前記末端変性基含有共役ジエン系共重合体が有する末端変性基が、前記シリカとの相互作用を有する官能基を含む、タイヤトレッド用ゴム組成物。
【化4】

【化5】

(b)

[式(b)中、Lはそれぞれ独立して炭素数1〜9のアルカンジイル基又はアルケンジイル基であり、xは1〜150の整数であり、yは1〜150の整数である。]
【化6】

(c)

2. 前記シリカの量が、前記ジエン系ゴム100重量部に対して20〜120重量部である上記1に記載のタイヤトレッド用ゴム組成物。
3. 前記化合物Aが、下記式(I)〜(III)から選ばれる少なくとも1種類のポリオルガノシロキサン化合物を含む上記1または2に記載のタイヤトレッド用ゴム組成物。
【化7】

[上記式(I)において、R1〜R8は、炭素数1〜6のアルキル基または炭素数6〜12のアリール基であり、これらは互いに同一であっても相違してもよい。X1およびX4は、活性共役ジエン系重合体鎖の活性末端と反応する官能基を有する基、または炭素数1〜6のアルキル基もしくは炭素数6〜12のアリール基であり、X1およびX4は互いに同一であっても相違してもよい。X2は、活性共役ジエン系重合体鎖の活性末端と反応する官能基を有する基である。X3は、2〜20のアルキレングリコールの繰返し単位を含有する基であり、X3の一部は2〜20のアルキレングリコールの繰返し単位を含有する基から導かれる基であってもよい。mは3〜200の整数、nは0〜200の整数、kは0〜200の整数である。]
【化8】

[上記式(II)において、R9〜R16は、炭素数1〜6のアルキル基または炭素数6〜12のアリール基であり、これらは互いに同一であっても相違してもよい。X5〜X8は、活性共役ジエン系重合体鎖の活性末端と反応する官能基を有する基である。]
【化9】

[上記式(III)において、R17〜R19は、炭素数1〜6のアルキル基または炭素数6〜12のアリール基であり、これらは互いに同一であっても相違してもよい。X9〜X11は、活性共役ジエン系重合体鎖の活性末端と反応する官能基を有する基である。]
4. 前記シリカとの相互作用を有する官能基が、アルコキシシリル基、ヒドロキシル基、アルデヒド基、カルボキシル基、アミノ基、イミノ基、エポキシ基、アミド基、チオール基、およびエーテル基からなる群から選ばれる少なくとも1種である上記1〜3のいずれかに記載のタイヤトレッド用ゴム組成物。
5. 前記末端変性基含有共役ジエン系共重合体が、前記シリカとの相互作用を有する官能基として、ヒドロキシル基と、アルコキシシリル基、アルデヒド基、カルボキシル基、アミノ基、イミノ基、エポキシ基、アミド基、チオール基、およびエーテル基からなる群から選ばれる少なくとも1種とを有する上記1〜4のいずれかに記載のタイヤトレッド用ゴム組成物。
6. 前記ジエン系ゴムが、さらに、前記末端変性基含有共役ジエン系共重合体以外のジエン系ゴムを含む上記1〜5のいずれかに記載のタイヤトレッド用ゴム組成物。
7. 前記ジエン系ゴムが、前記末端変性基含有共役ジエン系共重合体以外のジエン系ゴムを、前記ジエン系ゴム全量中の70重量%以下の量で含む上記6に記載のタイヤトレッド部用ゴム組成物。
8. 上記1〜7のいずれかに記載のタイヤトレッド用ゴム組成物を使用した空気入りタイヤ。
【発明の効果】
【0007】
本発明のタイヤトレッド用ゴム組成物は低発熱性及び耐摩耗性に優れる。本発明の空気入りタイヤは低発熱性及び耐摩耗性が優れる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】図1は本発明のタイヤトレッド用ゴム組成物を使用した空気入りタイヤの実施形態の一例を示すタイヤ子午線方向の部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明について以下詳細に説明する。
本発明のタイヤトレッド用ゴム組成物は、
末端が変性された、溶液重合による、末端変性基含有共役ジエン系共重合体を、30重量%以上含むジエン系ゴムと、シリカと、カーボンブラックと、下記式(a)〜(c)で表されるシランカップリング剤のうちの1種以上とを含有し、
前記シリカと前記カーボンブラックとの合計量が前記ジエン系ゴム100重量部に対して35〜140重量部であり、
前記シランカップリング剤の量が前記シリカの量の4〜18重量%であり、
前記末端変性基含有共役ジエン系共重合体は、炭化水素溶媒中、有機活性金属化合物を開始剤として用いて共役ジエン系単量体と芳香族ビニル単量体とを共重合させた活性共役ジエン系重合体鎖に、前記活性共役ジエン系重合体鎖の活性末端と反応可能な官能基を有する少なくとも1種類の化合物Aを反応させることによって製造され、
前記末端変性基含有共役ジエン系共重合体中の芳香族ビニル単量体含有量が38〜48重量%であり、前記末端変性基含有共役ジエン系共重合体を構成する全共役ジエン系単量体中のビニル単位含有量が20〜35モル%であり、前記末端変性基含有共役ジエン系共重合体の重量平均分子量が600,000〜1,000,000であり、前記末端変性基含有共役ジエン系共重合体が有する末端変性基が、前記シリカとの相互作用を有する官能基を含む、タイヤトレッド用ゴム組成物である。
【化10】

【化11】

(b)

[式(b)中、Lはそれぞれ独立して炭素数1〜9のアルカンジイル基又はアルケンジイル基であり、xは1〜150の整数であり、yは1〜150の整数である。]
【化12】

(c)
【0010】
本発明のタイヤトレッド用ゴム組成物は、ジエン系ゴムと、シリカと、カーボンブラックと、式(a)〜式(c)のいずれかで表されるシランカップリング剤とを含有することによって、ジエン系ゴムとシリカとの親和性を高くしシリカの分散性を向上することにより発熱性を小さくして転がり抵抗を低減することができる。特に芳香族ビニル単位含有量を38〜48重量%にすることにより末端変性基含有共役ジエン系共重合体が微細な相分離形態を形成すると共に、活性共役ジエン系重合体鎖の活性末端と反応可能な官能基を有する少なくとも1種類の化合物Aとの反応により生じる末端変性基がシリカと相互作用する官能基を含有し、重量平均分子量を60万〜100万にすることによりその末端変性基の濃度を適正化したので、末端変性基がシリカに効率的に作用しシリカの分散性を一層良化して空気入りタイヤの低転がり抵抗性を大幅に低減することができる。また末端変性基含有共役ジエン系共重合体の芳香族ビニル単位含有量を高くすることによってタイヤ剛性を高くし、耐摩耗性能、操縦安定性を従来レベルよりも向上することができる。
また、本発明において、末端変性基含有共役ジエン系共重合体がシリカと相互作用でき、特定のシランカップリング剤がシリカと化学的にまたは物理的に結合することができ、シリカの結合したシランカップリング剤が末端変性基含有共役ジエン系共重合体を架橋することができると予想される。このようなシランカップリング剤の架橋によって本発明のタイヤトレッド用ゴム組成物から得られるゴムは、低発熱性、耐摩耗性能、操縦安定性に優れ、モジュラスの低下を抑制することができると予想される。
【0011】
ジエン系ゴムについて以下に説明する。本発明において、ジエン系ゴムは、末端が変性された、末端変性基含有共役ジエン系共重合体(分子鎖の末端に変性基を有する共役ジエン系重合体ゴム)を、30重量%以上含む。
末端変性基含有共役ジエン系共重合体を配合することによりシリカとの親和性を高くし分散性を改善するため、シリカの作用効果を一層向上すると共に、低発熱性、耐摩耗性能に優れ、操縦安定性を高くする。
本発明において、末端変性基含有共役ジエン系共重合体は、炭化水素溶媒中、有機活性金属化合物を開始剤として用いて共役ジエン系単量体と芳香族ビニル単量体とを共重合させた活性共役ジエン系重合体鎖に、前記活性共役ジエン系重合体鎖の活性末端と反応可能な官能基を有する少なくとも1種類の化合物Aを反応させることによって製造される。
【0012】
末端変性基含有共役ジエン系共重合体の骨格は、共役ジエン系単量体と芳香族ビニル単量体とを共重合して得られた共重合体により構成される。共役ジエン系単量体としては、例えば1,3−ブタジエン、イソプレン(2−メチル−1,3−ブタジエン)、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、2−クロロ−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエンなどが例示される。また芳香族ビニル単量体としては、例えばスチレン、2−メチルスチレン、3−メチルスチレン、4−メチルスチレン、α−メチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、2,4−ジイソプロピルスチレン、4−tert−ブチルスチレン、ジビニルベンゼン、tert−ブトキシスチレン、ビニルベンジルジメチルアミン、(4−ビニルベンジル)ジメチルアミノエチルエーテル、N,N−ジメチルアミノエチルスチレン、ビニルピリジンなどが挙げられる。
【0013】
末端変性基含有共役ジエン系共重合体の骨格となる共役ジエン系共重合体は、その末端がイソプレン単位ブロックによって構成されることが好ましい。末端がイソプレン単位ブロックにより構成されることにより、その末端を変性し、シリカを配合したときに、変性共役ジエン系重合体とシリカとの親和性が良好となり、低発熱性、耐摩耗性が良好となる。したがって、重合体を構成する共役ジエン単量体単位がイソプレン単位以外の共役ジエンを含む場合には、活性共役ジエン系重合体鎖の活性末端と反応可能な官能基を有する化合物Aを添加する前、あるいはこれら化合物Aを分けて添加する間に、活性末端を有する重合体を含有する溶液に、イソプレンを添加することにより、その重合体末端にイソプレン単位ブロックを導入することが好ましい。
【0014】
本発明において、共役ジエン系重合体は、上述した共役ジエン系単量体及び芳香族ビニル単量体を、炭化水素溶媒中で有機活性金属化合物を開始剤として溶液重合によって共重合して調製する。炭化水素溶媒としては、通常使用される溶媒であればよく、例えばシクロヘキサン、n−ヘキサン、ベンゼン、トルエン等が例示される。
【0015】
使用する有機活性金属触媒としては、有機アルカリ金属化合物が好ましく使用され、例えばn−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、t−ブチルリチウム、ヘキシルリチウム、フェニルリチウム、スチルベンリチウムなどの有機モノリチウム化合物;ジリチオメタン、1,4−ジリチオブタン、1,4−ジリチオ−2−エチルシクロヘキサン、1,3,5−トリリチオベンゼンなどの有機多価リチウム化合物;ナトリウムナフタレンなどの有機ナトリウム化合物;カリウムナフタレンなどの有機カリウム化合物が挙げられる。また、3,3−(N,N−ジエメチルアミノ)−1−プロピルリチウム、3−(N,N−ジエチルアミノ)−1−プロピルリチウム、3−(N,N−ジプロピルアミノ)−1−プロピルリチウム、3−モルホリノ−1−プロピルリチウム、3−イミダゾール−1−プロピルリチウム及びこれらをブタジエン、イソプレン又はスチレン1〜10ユニットにより鎖延長した有機リチウム化合物なども使用することができる。
【0016】
また、重合反応において、芳香族ビニル単量体を共役ジエン系単量体とランダムに共重合する目的で、ジエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、テトラハイドロフラン、2,2−ビス(2−オキソラニル)プロパン等のエーテル類、トリエチルアミン、テトラメチルエチレンジアミン等のアミン類等の非プロトン性極性化合物を添加することも実施可能である。
【0017】
本発明において、共役ジエン系単量体及び芳香族ビニル単量体を溶液重合によって共重合して得られた活性共役ジエン系重合体鎖の活性末端に、反応可能な官能基を有する化合物Aを少なくとも1種結合させることにより、末端変性基を生成する。ここで、活性共役ジエン系重合体鎖の活性末端に反応可能な官能基を有する化合物Aは、少なくとも一つの活性共役ジエン系重合体鎖と結合すればよく、一つの化合物に一つ以上の活性共役ジエン系重合体鎖が結合することができる。すなわち、本発明で使用する末端変性基含有共役ジエン系共重合体は、共役ジエン系重合体の両末端に変性基を有した変性ゴム、任意にその変性基が1以上の他の共役ジエン系重合体と結合した変性ゴム及びこれら複数の変性ゴムの混合物を含むことができる。また、活性共役ジエン系重合体鎖の活性末端とこの活性末端に反応可能な官能基を有する化合物Aとの反応は、一段或いは多段に反応させることができる。また同一或いは異なる化合物を、逐次的に反応させることができる。
【0018】
本発明において、活性共役ジエン系重合体鎖の活性末端と反応可能な官能基を有する化合物Aとしては、例えばスズ化合物、ケイ素化合物、シラン化合物、アミド化合物および/またはイミド化合物、イソシアネートおよび/またはイソチオシアネート化合物、ケトン化合物、エステル化合物、ビニル化合物、オキシラン化合物、チイラン化合物、オキセタン化合物、ポリスルフィド化合物、ポリシロキサン化合物、ポリオルガノシロキサン化合物、ポリエーテル化合物、ポリエン化合物、ハロゲン化合物、フラーレン類などを有する化合物を挙げることができる。なかでもポリオルガノシロキサン化合物が好ましい。これら化合物Aは一種類の化合物A、或いは複数の化合物Aを組み合わせて、重合体に結合させることができる。
【0019】
活性共役ジエン系重合体鎖の活性末端と反応可能な化合物Aとしてのオキシラン化合物(エポキシ樹脂)としては、具体的には例えば、エチレングリコールジグリシジルエーテル、グリセリントリグリシジルエーテル等の多価アルコールのポリグリシジルエーテル、ジグリシジル化ビスフェノールA等の2個以上のフェノール基を有する芳香族化合物のポリグリシジルエーテル、1,4−ジグリシジルベンゼン、1,3,5−トリグリシジルベンゼン、ポリエポキシ化液状ポリブタジエン等のポリエポキシ化合物、4,4’−ジグリシジル−ジフェニルメチルアミン、4,4’−ジグリシジル−ジベンジルメチルアミン等のエポキシ基含有3級アミン、ジグリシジルアニリン、ジグリシジルオルソトルイジン、テトラグリシジルメタキシレンジアミン、テトラグリシジルアミノジフェニルメタン、テトラグリシジル−p−フェニレンジアミン、ジグリシジルアミノメチルシクロヘキサン、テトラグリシジル−1,3−ビスアミノメチルシクロヘキサン等のジグリシジルアミノ化合物等が例示される。
【0020】
ケイ素化合物としては、例えばテトラクロルケイ素、テトラブロムケイ素、メチルトリクロルケイ素、ブチルトリクロルケイ素、ジクロルケイ素、ビストリクロルシリルケイ素等が例示される。
【0021】
スズ化合物としては、例えばテトラクロルスズ、テトラブロムスズ、メチルトリクロルスズ、ブチルトリクロルスズ、ジクロルスズ、ビストリクロルシリルスズ、ビストリクロルシリルスズ等が例示される。
【0022】
シラン化合物としては、アルコキシ基、フェノキシ基、ハロゲンから選ばれる少なくとも一つを含むシラン化合物が例示される。このようなシラン化合物としては、例えばジメトキシジメチルシラン、ジフェノキシジメチルシラン、ジエトキシジエチルシラン、トリフェノキシメチルシラン、トリフェノキシビニルシラン、トリメトキシビニルシラン、ト
リエトキシビニルシラン、トリ(2−メチルブトキシ)エチルシラン、トリ(2−メチル
ブトキシ)ビニルシラン、トリフェノキシフェニルシラン、テトラフェノキシシラン、テ
トラエトキシシラン、テトラメトキシシラン、テトラキス(2−エチルヘキシルオキシ)
シラン、フェノキシジビニルクロロシラン、メトキシビエチルクロロシラン、ジフェノキ
シメチルクロロシラン、ジフェノキシフェニルヨードシラン、ジエトキシメチルクロロシラン、ジメトキシメチルクロロシラン、トリメトキシクロロシラン、トリエトキシクロロシラン、トリフェノキシクロロシラン、トリス(2−エチルヘキシルオキシ)クロロシラン、フェノキシメチルジクロロシラン、メトキシエチルジクロロシラン、エトキシメチルジクロロシラン、フェノキシフェニルジヨードシラン、ジフェノキシジクロロシラン、ジメトキシジクロロシラン、ビス(2−メチルブトキシ)ジブロモシラン、ビス(2−メチルブトキシ)ジクロロシラン、ジエトキシジクロロシラン、メトキシトリクロロシラン、エトキシトリクロロシラン、フェノキシトリクロロシラン、(2−エチルヘキシルオキシ)トリクロロシラン、(2−メチルブトキシ)トリクロロシラン等が例示される。
【0023】
また、シラン化合物は、上記以外の官能基として、グリシジル基、エポキシ基、メタクリロキシ基等を有することができる。このようなシラン化合物としては、例えばγ−グリシドキシエチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシブチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリプロポキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリブトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリフェノキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルエチルジメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルエチルジエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジプロポキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジブトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジフェノキシシラン、γ−グリシドキシプロピルジメチルメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルジエチルエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルジメチルエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルジメチルフェノキシシラン、γ−グリシドキシプロピルジエチルメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジイソプロペンオキシシラン、ビス(γ−グリシドキシプロピル)ジメトキシシラン、ビス(γ−グリシドキシプロピル)ジエトキシシラン、ビス(γ−グリシドキシプロピル)ジプロポキシシラン、ビス(γ−グリシドキシプロピル)ジブトキシシラン、ビス(γ−グリシドキシプロピル)ジフェノキシシラン、ビス(γ−グリシドキシプロピル)メチルメトキシシラン、ビス(γ−グリシドキシプロピル)メチルエトキシシラン、ビス(γ−グリシドキシプロピル)メチルプロポキシシラン、ビス(γ−グリシドキシプロピル)メチルブトキシシラン、ビス(γ−グリシドキシプロピル)メチルフェノキシシラン、トリス(γ−グリシドキシプロピル)メトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、γ−メタクリロキシメチルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシエチルトリエトキシシラン、ビス(γ−メタクリロキシプロピル)ジメトキシシラン、トリス(γ−メタクリロキシプロピル)メトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル−トリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル−トリエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル−トリプロポキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル−トリブトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル−トリフェノキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)プロピル−トリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル-メチルジメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル−エチルジメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル−エチルジエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル−メチルジエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル−メチルジプロポキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル−メチルジブトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル−メチルジフェノキシシラン、β−3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル−ジメチルメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル−ジエチルエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル−ジメチルエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル−ジメチルプロポキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル−ジメチルブトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル−ジメチルフェノキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル−ジエチルメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル−メチルジイソプロペンオキシシラン等が例示される。
【0024】
イソシアネート化合物またはイソチオシアネート化合物としては、例えば2,4−トリレンジイソシアナート、2,6−トリレンジイソシアナート、ジフェニルメタンジイソシアナート、ナフタレンジイソシアナート、トリジンジイソシアナート、トリフェニルメタントリイソシアナート、p−フェニレンジイソシアナート、トリス(イソシアナートフェニル)チオホスフェート、キシリレンジイソシアナート、ベンゼン−1,2,4−トリイソシアナート、ナフタレン−1,2,5,7−テトライソシアナート、ナフタレン−1,3,7−トリイソシアナート、フェニルイソシアナート、ヘキサメチレンジイソシアナート、メチルシクロヘキサンジイソシアナート、フェニル−1,4−ジイソチオシアナート、2,4−トリレンジイソシアナート、ジフェニルメタンジイソシアナート、ナフタレンジイソシアナートなどの芳香族ポリイソシアナート化合物等が例示される。
【0025】
さらに、4−ジメチルアミノベンゾフェノン、4−ジエチルアミノベンゾフェノン、4−ジ−t−ブチルアミノベンゾフェノン、4−ジフェニルアミノベンゾフェノン、4,4′−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4′−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4′−ビス(ジ−t−ブチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4′−ビス(ジフェニルアミノ)ベンゾフェノン、4,4′−ビス(ジビニルアミノ)ベンゾフェノン、4−ジメチルアミノアセトフェノン、4−ジエチルアミノアセトフェノン、1,3−ビス(ジフェニルアミノ)−2−プロパノン、1,7−ビス−(メチルエチルアミノ)−4−ヘプタノン等のN−置換アミノケトン類、及び対応するN−置換アミノチオケトン類;4−ジエチルアミノベンズアルデヒド、4−ジビニルアミノベンズアルデヒド等のN−置換アミノアルデヒド、及び対応するN−置換アミノチオアルデヒド類;N−メチル−β−プロピオラクタム、N−t−ブチル−β−プロピオラクタム、N−フェニル−β−プロピオラクタム、N−メトキシフェニル−β−プロピオラクタム、N−ナフチル−β−プロピオラクタム、N−メチル−2−ピロリドン、N−t−ブチル−2−ピロリドン、N−フェニル−ピロリドン、N−メトキシフェニル−2−ピロリドン、N−ビニル−2−ピロリドン、N−ベンジル−2−ピロリドン、N−ナフチル−2−ピロリドン、N−メチル−5−メチル−2−ピロリドン、N−メチル−3,3′−ジメチル−2−ピロリドン、N−t−ブチル−3,3′−ジメチル−2−ピロリドン、N−フェニル−3,3′−ジメチル−2−ピロリドン、N−メチル−2−ピペリドン、N−t−ブチル−2−ピぺリドン、N−フェニル−ピぺリドン、N−メトキシフェニル−2−ピぺリドン、N−ビニル−2−ピぺリドン、N−ベンジル−2−ピぺリドン、N−ナフチル−2−ピぺリドン、N−メチル−3,3′−ジメチル−2−ピぺリドン、N−フェニル−3,3′−ジメチル−2−ピぺリドン、N−メチル−ε−カプロラクタム、N−フェニル−ε−カプロラクタム、N−メトキシフェニル−ε−カプロラクタム、N−ビニル−ε−カプロラクタム、N−ベンジル−ε−カプロラクタム、N−ナフチル−ε−カプロラクタム、N−メチル−ω−ラウリロラクタム、N−フェニル−ω−ラウリロラクタム、N−t−ブチル−ラウリロラクタム、N−ビニル−ω−ラウリロラクタム、N−ベンジル−ω−ラウリロラクタム等のN−置換ラクタム類およびこれらの対応するチオラクタム類;1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、1,3−ジエチル−2−イミダゾリジノン、1,3−ジプロピル−2−イミダゾリジノン、1−メチル−3−エチル−2−イミダゾリジノン、1−メチル−3−プロピル−2−イミダゾリジノン、1−メチル−3−チル−2−イミダゾリジノン、1−メチル−3−2−エトキシエチル)−2−イミダゾリジノン、1,3−ジメチル−3,4,5,6−テトラヒドロピリミジノン等のN−置換エチレン尿素類および対応するN−置換チオエチレン尿素類等;4,4′−ビス(ジメチルアミノ)−ベンゾフェノン、4,4′−ビス(ジエチルアミノ)−ベンゾフェノン、4,4′−ビス(ジブチルアミノ)−ベンゾフェノン、4、4′−ジアミノベンゾフェノン、4−ジメチルアミノベンゾフェノン等及びこれらの対応のチオベンゾフェノン等のような一方あるいは両方のベンゼン環に少なくとも1つのアミノ基、アルキルアミノ基あるいはジアルキルアミノ基を有するベンゾフェノン及びチオベンゾフェノン;等が例示される。
【0026】
ハロゲン及び/又はアルコキシ基を含むケイ素化合物としては、下記一般式(IV)で表される化合物が好ましく、この化合物一分子に複数の活性共役ジエン系重合体鎖の結合が容易になる。
【化13】

(式(IV)において、X1及びX2はハロゲン原子又は炭素数1〜20のアルコキシ基である。p及びqは、それぞれ独立に0〜3の整数であり、式(IV)で表わされる化合物におけるハロゲン原子及び炭素数1〜20のアルコキシ基の数の合計は5以上である。R1及びR2は、それぞれ炭素数1〜20の1価の炭化水素基である。nは、0〜20の整数であり、A1及びA2は、それぞれ独立に、単結合又は炭素数1〜20の2価の炭化水素である。A3は、式−(SiX3r32-rm−、又は−NR4−、又は−N(−A4−SiX4S52-S)−で表わされる2価の基である。なお、X3,X4は、ハロゲン原子または炭素数1〜20のアルコキシ基である。R3,R5は、炭素数1〜20の1価の炭化水素基である。R4は、水素原子または炭素数1〜20の1価の炭化水素基である。A4は、単結合または炭素数1〜20の2価の炭化水素基である。rは0〜2の整数であり、mは0〜20の整数である。sは、0〜3の整数である。)
【0027】
一般式(IV)で表される化合物としては、例えば、ヘキサクロロジシラン、ビス(トリクロロシリル)メタン、1,2−ビス(トリクロロシリル)エタン、1,3−ビス(トリクロロシリル)プロパン、1,4−ビス(トリクロロシリル)ブタン、1,5−ビス(トリクロロシリル)ペンタン、1,6−ビス(トリクロロシリル)ヘキサン等のハロゲン化ケイ素化合物;ヘキサメトキシジシラン、ヘキサエトキシジシラン、ビス(トリメトキシシリル)メタン、ビス(トリエトキシシリル)メタン、ビス(トリメトキシシリル)エタン、ビス(トリエトキシシリル)エタン、ビス(トリメトキシシリル)プロパン、ビス(トリエトキシシリル)プロパン、ビス(トリメトキシシリル)ブタン、ビス(トリエトキシシリル)ブタン、ビス(トリメトキシシリル)ヘプタン、ビス(トリエトキシシリル)ヘプタン、ビス(トリメトキシシリル)ヘキサン、ビス(トリエトキシシリル)ヘキサン、ビス(トリメトキシシリル)ベンゼン、ビス(トリエトキシシリル)ベンゼン、ビス(トリメトキシシリル)シクロヘキサン、ビス(トリエトキシシリル)シクロヘキサン、ビス(トリエトキシシリル)ベンゼン、ビス(トリメトキシシリル)オクタン、ビス(トリエトキシシリル)オクタン、ビス(トリメトキシシリル)ノナン、ビス(トリエトキシシリル)ノナン、ビス(トリメトキシシリル)エチレン、ビス(トリエトキシシリル)エチレン、ビス(トリメトキシシリルエチル)ベンゼン、ビス(トリエトキシシリルエチル)ベンゼン、ビス(3−トリメトキシシリルプロピル)エタン、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)エタン等のアルコキシシラン化合物;ビス(3−トリメトキシシリルプロピル)メチルアミン、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)メチルアミン、ビス(3−トリメトキシシリルプロピル)エチルアミン、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)エチルアミン、ビス(3−トリメトキシシリルプロピル)プロピルアミン、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)プロピルアミン、ビス(3−トリメトキシシリルプロピル)ブチルアミン、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)ブチルアミン、ビス(3−トリメトキシシリルプロピル)フェニルアミン、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)フェニルアミン、ビス(3−トリメトキシシリルプロピル)ベンジルアミン、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)ベンジルアミン、ビス(トリメトキシシリルメチル)メチルアミン、ビス(トリエトキシシリルメチル)メチルアミン、ビス(2−トリメトキシシリルエチル)メチルアミン、ビス(2−トリエトキシシリルエチル)メチルアミン、ビス(トリエトキシシリルメチル)プロピルアミン、ビス(2−トリエトキシシリルエチル)プロピルアミン等のアミノ基を含むアルコキシシラン化合物;トリス(トリメトキシシリルメチル)アミン、トリス(2−トリエトキシシリルエチル)アミン、トリス(3−トリメトキシシリルプロピル)アミン、トリス(3−トリエトキシシリルプロピル)アミン等のアミノ基を含むアルコキシシラン化合物;等を例示することができる。
【0028】
ポリオルガノシロキサン化合物としては、下記一般式(I)〜(III)で表される化合物が好ましい。すなわち、活性共役ジエン系重合体鎖の活性末端と反応可能な官能基を有する化合物は、これらのポリオルガノシロキサン化合物から選ばれる少なくとも1種類を含むとよく、複数の種類を組み合わせてもよい。またこれらのポリオルガノシロキサン化合物と、活性末端と反応可能な官能基を有する他の化合物、例えば上述した式(IV)で表される化合物とを組み合わせてもよい。
一般式(I)
【化14】

(上記式(I)において、R1〜R8は、炭素数1〜6のアルキル基または炭素数6〜12のアリール基であり、これらは互いに同一であっても相違してもよい。X1およびX4は、活性共役ジエン系重合体鎖の活性末端と反応する官能基を有する基、または炭素数1〜6のアルキル基もしくは炭素数6〜12のアリール基であり、X1およびX4は互いに同一であっても相違してもよい。X2は、活性共役ジエン系重合体鎖の活性末端と反応する官能基を有する基である。X3は、2〜20のアルキレングリコールの繰返し単位を含有する基であり、X3の一部は2〜20のアルキレングリコールの繰返し単位を含有する基から導かれる基であってもよい。mは3〜200の整数、nは0〜200の整数、kは0〜200の整数である。)
一般式(II)
【化15】

(上記式(II)において、R9〜R16は、炭素数1〜6のアルキル基または炭素数6〜12のアリール基であり、これらは互いに同一であっても相違してもよい。X5〜X8は、活性共役ジエン系重合体鎖の活性末端と反応する官能基を有する基である。)
一般式(III):
【化16】

(上記式(III)において、R17〜R19は、炭素数1〜6のアルキル基または炭素数6〜12のアリール基であり、これらは互いに同一であっても相違してもよい。X9〜X11は、活性共役ジエン系重合体鎖の活性末端と反応する官能基を有する基である。sは1〜18の整数である。)
【0029】
上記一般式(I)で表されるポリオルガノシロキサンにおいて、R1〜R8、X1およびX4を構成する炭素数1〜6のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基などが挙げられる。炭素数6〜12のアリール基としては、例えば、フェニル基、メチルフェニル基などが挙げられる。これらのアルキル基およびアリール基の中では、メチル基が特に好ましい。
【0030】
一般式(I)のポリオルガノシロキサンにおいて、X1、X2およびX4を構成する重合体鎖の活性末端と反応する官能基を有する基としては、炭素数1〜5のアルコキシル基、2−ピロリドニル基を含有する炭化水素基、およびエポキシ基を含有する炭素数4〜12の基が好ましい。
【0031】
1、X2およびX4を構成する炭素数1〜5のアルコキシル基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基などが挙げられる。なかでも、メトキシ基が好ましい。X1、X2およびX4の少なくとも一つが炭素数1〜5のアルコキシル基の場合、活性共役ジエン系重合体鎖の活性末端にアルコキシル基を有するポリオルガノシロキサンを反応させると、ケイ素原子とアルコキシル基の酸素原子との結合が開裂して、そのケイ素原子に活性共役ジエン系重合体鎖が直接結合して単結合を形成する。
【0032】
1、X2およびX4を構成する2−ピロリドニル基を含有する炭化水素基としては、下記一般式(V)で表される基が好ましく挙げられる。
【化17】

(式(V)中、jは2〜10の整数である。特にjは2であることが好ましい。)
【0033】
このようにX1,X2及びX4の少なくとも一つが2−ピロリドニル基を含有する炭化水素基を含むポリオルガノシロキサンを、活性共役ジエン系重合体鎖の活性末端に反応させると、2−ピロリドニル基を構成するカルボニル基の炭素−酸素結合が開裂して、その炭素原子に重合体鎖が結合した構造を形成する。
【0034】
1、X2およびX4を構成するエポキシ基を有する炭素数4〜12の基としては、下記一般式(VI)で表される基が好ましく挙げられる。
一般式(VI): ZYE
【0035】
上記式(VI)中、Zは炭素数1〜10のアルキレン基またはアルキルアリーレン基であり、Yはメチレン基、硫黄原子または酸素原子であり、Eはエポキシ基を有する炭素数2〜10の炭化水素基である。これらの中でも、Yが酸素原子であるものが好ましく、Yが酸素原子かつEがグリシジル基であるものがより好ましく、Zが炭素数3のアルキレン基、Yが酸素原子かつEがグリシジル基であるものが特に好ましい。
【0036】
一般式(I)で表されるポリオルガノシロキサンにおいて、X1、X2およびX4の少なくとも一つがエポキシ基を含有する炭素数4〜12の基の場合、活性共役ジエン系重合体鎖の活性末端にポリオルガノシロキサンを反応させると、エポキシ環を構成する炭素−酸素結合が開裂して、その炭素原子に重合体鎖が結合した構造を形成する。
【0037】
一般式(I)で表されるポリオルガノシロキサンにおいて、X1およびX4としては、上記の中でも、エポキシ基を含有する炭素数4〜12の基または炭素数1〜6のアルキル基が好ましく、また、X2としては、エポキシ基を含有する炭素数4〜12の基が好ましい。
【0038】
一般式(I)で表されるポリオルガノシロキサンにおいて、X3は、2〜20のアルキレングリコールの繰返し単位を含有する基である。2〜20のアルキレングリコールの繰返し単位を含有する基としては、下記一般式(VII)で表される基が好ましい。
【化18】

式(VII)中、tは2〜20の整数であり、R1は炭素数2〜10のアルキレン基またはアルキルアリーレン基であり、R3は水素原子またはメチル基であり、R2は炭素数1〜10のアルコキシル基またはアリーロキシ基である。これらの中でも、tが2〜8の整数であり、R1が炭素数3のアルキレン基であり、R3が水素原子であり、かつR2がメトキシ基であるものが好ましい。
【0039】
上記一般式(II)で表されるポリオルガノシロキサンにおいて、R9〜R16は炭素数1〜6のアルキル基または炭素数6〜12のアリール基であり、これらは互いに同一であっても相違していてもよい。X5〜X8は、重合体鎖の活性末端と反応する官能基を有する基である。
【0040】
上記一般式(III)で表されるポリオルガノシロキサンにおいて、R17〜R19は炭素数1〜6のアルキル基または炭素数6〜12のアリール基であり、これらは互いに同一であっても相違していてもよい。X9〜X11は、重合体鎖の活性末端と反応する官能基を有する基である。sは1〜18の整数である。
【0041】
上記一般式(II)および上記一般式(III)で表されるポリオルガノシロキサンにおいて、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数6〜12のアリール基、ならびに重合体鎖の活性末端と反応する官能基を有する基は、一般式(I)のポリオルガノシロキサンについて説明したものと同様である。
【0042】
化合物Aは、低発熱性、耐摩耗性能により優れ、操縦安定性に優れるという観点から、式(I)〜(III)から選ばれる少なくとも1種類のポリオルガノシロキサン化合物を含むのが好ましい。
【0043】
さらに、上記反応により生成した末端変性基は、シリカとの相互作用を有する官能基を有する。このシリカとの相互作用を有する官能基は、上述した化合物の構造に含まれた官能基でよい。また、上記化合物と活性末端との反応により生じ得た官能基でもよい。シリカとの相互作用を有する官能基としては、特に制限されるものではないが、例えばアルコキシシリル基、ヒドロキシル基(オルガノシロキサン構造を含む)、アルデヒド基、カルボキシル基、アミノ基、イミノ基、エポキシ基、アミド其、チオール基、エーテル基等が例示される。なかでも低発熱性、耐摩耗性能により優れ、操縦安定性に優れるという観点から、ヒドロキシル基(オルガノシロキサン構造を含む)が好ましい。このように末端変性基がシリカとの相互作用を有する官能基を含むことにより、シリカとの親和性をより高くし、分散性を大幅に改良することができる。
【0044】
本発明では、末端変性基含有共役ジエン系共重合体における末端変性基の濃度は、末端変性基含有共役ジエン系共重合体の重量平均分子量(Mw)との関係で決められる。末端変性基含有共役ジエン系共重合体の重量平均分子量は低発熱性、耐摩耗性能に優れ、操縦安定性に優れるという観点から、60万〜100万、好ましくは65〜85万である。末端変性基含有共役ジエン系共重合体の重量平均分子量が60万未満であると、末端変性基含有共役ジエン系共重合体末端の変性基濃度が高くなり、ゴム組成物の特性がシリカの分散性は良化するが、重合体自身の分子量が低いために、強度、剛性が発現しない可能性があり、高温の粘弾性特性の改良幅も小さくなってしまう。また末端変性基含有共役ジエン系共重合体の重量平均分子量が100万を超えると、末端変性基含有共役ジエン系共重合体の末端の変性基濃度が低くなりシリカとの親和性が不足し、分散性が悪化するため転がり抵抗を低減する効果が不足する。なお末端変性基含有共役ジエン系共重合体の重量平均分子量(Mw)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により標準ポリスチレン換算により測定するものとする。
【0045】
本発明で使用する末端変性基含有共役ジエン系共重合体は、低発熱性、耐摩耗性能に優れ、操縦安定性に優れるという観点から、その芳香族ビニル単位含有量が38〜48重量%、好ましくは40〜45重量%である。末端変性基含有共役ジエン系共重合体の芳香族ビニル単位含有量をこのような範囲内にすることにより、ゴム組成物の剛性及び強度を高くして空気入りタイヤにしたときの操縦安定性をより高くすることができる。また末端変性基含有共役ジエン系共重合体以外の他のジエン系ゴムを配合するとき、末端変性基含有共役ジエン系共重合体が他のジエン系ゴムに対して微細な相分離形態を形成する。このため、末端変性基含有共役ジエン系共重合体がシリカ粒子の近くに局在化するようになり、その末端変性基がシリカに対して効率的に作用することにより親和性を一層高くし、シリカの分散性を良好にすることができる。末端変性基含有共役ジエン系共重合体の芳香族ビニル単位含有量が38重量%未満であると、他のジエン系ゴムに対して微細な相分離形態を形成する作用が十分に得られない。またゴム組成物の剛性及び強度を高くする効果が十分に得られない。また末端変性基含有共役ジエン系共重合体の芳香族ビニル単位含有量が48重量%を超えると、共役ジエン系重合体ゴムのガラス転移温度(Tg)が上昇し、粘弾性特性のバランスが悪くなり、発熱性を低減する効果が得られにくくなる。なお末端変性基含有共役ジエン系共重合体の芳香族ビニル単位含有量は赤外分光分析(ハンプトン法)により測定するものとする。
【0046】
本発明では、末端変性基含有共役ジエン系共重合体を構成する全共役ジエン系単量体中のビニル単位含有量は、低発熱性、耐摩耗性能に優れ、操縦安定性に優れるという観点から、20〜35モル%であり、好ましくは26〜34モル%にする。末端変性基含有共役ジエン系共重合体のビニル単位含有量を20〜35モル%にすることにより、末端変性基含有共役ジエン系共重合体のガラス転移温度(Tg)を適正化することができる。また、他のジエン系ゴムに対して形成された末端変性基含有共役ジエン系共重合体の微細な相分離形態を安定化することができる。末端変性基含有共役ジエン系共重合体のビニル単位含有量が20モル%未満であると、末端変性基含有共役ジエン系共重合体のTgが低くなり、湿潤路でのグリップの指標である0℃における動的粘弾性特性の損失正接(tanδ)が低下してしまう。また、末端変性基含有共役ジエン系共重合体の微細な相分離形態を安定化することができない。また末端変性基含有共役ジエン系共重合体のビニル単位含有量が35モル%を超えると加硫速度が低下したり、強度や剛性が低下したりする可能性がある。なお末端変性基含有共役ジエン系共重合体のビニル単位含有量は赤外分光分析(ハンプトン法)により測定するものとする。
【0047】
末端変性基含有共役ジエン系共重合体は、油展することによりゴム組成物の成形加工性を良好にすることができる。油展量は特に制限されるものではないが、末端変性基含有共役ジエン系共重合体100重量部に対し、好ましくは25重量部以下にするとよい。末端変性基含有共役ジエン系共重合体の油展量が25重量部を超えると、ゴム組成物にオイル、軟化剤、粘着性付与剤等を配合するときの組成設計の自由度が小さくなる。
【0048】
また、末端変性基含有共役ジエン系共重合体のガラス転移温度(Tg)は、特に限定されるものではないが、好ましくは−30〜−15℃にするとよい。末端変性基含有共役ジエン系共重合体のTgをこのような範囲内にすることにより、操縦安定性を確保すると共に、転がり抵抗を低減することができる。末端変性基含有共役ジエン系共重合体のガラス転移温度(Tg)は、示差走査熱量測定(DSC)により20℃/分の昇温速度条件によりサーモグラムを測定し、転移域の中点の温度とする。また、末端変性基含有共役ジエン系共重合体が油展品であるときは、油展成分(オイル)を含まない状態における末端変性基含有共役ジエン系共重合体のガラス転移温度とする。
【0049】
本発明において、末端変性基含有共役ジエン系共重合体の含有量は、低発熱性、耐摩耗性能に優れ、操縦安定性に優れるという観点から、ジエン系ゴム100重量%中、30重量%以上であり、好ましくは40〜90重量%であり、より好ましくは50〜90重量%である。末端変性基含有共役ジエン系共重合体の含有量がジエン系ゴム中の30重量%未満であると、シリカとの親和性が低下するのでその分散性を良好にすることができない。
【0050】
末端変性基含有共役ジエン系共重合体は、低発熱性、耐摩耗性能により優れ、操縦安定性に優れるという観点から、シリカとの相互作用を有する官能基として、ヒドロキシル基と、アルコキシシリル基、アルデヒド基、カルボキシル基、アミノ基、イミノ基、エポキシ基、アミド基、チオール基、およびエーテル基からなる群から選ばれる少なくとも1種とを有するのが好ましい。
【0051】
本発明において、ジエン系ゴムはゴム成分として末端変性基含有共役ジエン系共重合体以外の他のジエン系ゴムを含むことができる。
末端変性基含有共役ジエン系共重合体以外の他のジエン系ゴムは、共役ジエン系単量体を単独重合または必要に応じて芳香族ビニル単量体とともに共重合させたものであれば特に制限されない。共役ジエン系単量体、芳香族ビニル単量体は上記と同様である。
末端変性基含有共役ジエン系共重合体以外の他のジエン系ゴム中の芳香族ビニル単量体含有量は、高補強性に優れるという観点から、38〜48重量%であるのが好ましい。
末端変性基含有共役ジエン系共重合体以外の他のジエン系ゴムを構成する全共役ジエン系単量体中のビニル単位含有量は、25〜50重量%であるのが好ましく、35重量%を超え50重量%以下であるとすることができる。
末端変性基含有共役ジエン系共重合体以外の他のジエン系ゴムの重量平均分子量は、耐摩耗性、強度に優れるという観点から、450,000〜1,300,000であるのが好ましい。
末端変性基含有共役ジエン系共重合体以外の他のジエン系ゴムは、末端変性基を有してもよい。末端変性基(シリカとの相互作用を有する官能基)としては、例えば、アルコキシシリル基、ヒドロキシル基、アルデヒド基、カルボキシル基、アミノ基、イミノ基、エポキシ基、アミド基、チオール基、およびエーテル基からなる群から選ばれる少なくとも1種が挙げられる。
他のジエン系ゴム(または他のジエン系ゴムの主鎖)としては、例えば天然ゴム、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、溶液重合スチレンブタジエンゴム(S−SBR)、乳化重合スチレンブタジエンゴム(E−SBR)、ブチルゴム、ハロゲン化ブチルゴム等を例示することができる。好ましくは天然ゴム、ブタジエンゴム、乳化重合スチレンブタジエンゴム、溶液重合スチレンブタジエンゴムがよい。また他のジエン系ゴムとして、上述した末端変性基含有共役ジエン系共重合体以外の変性ジエン系ゴムを配合することができる。
他のジエン系ゴムはその製造について特に制限されない。例えば従来公知のものが挙げられる。
他のジエン系ゴムは、単独又は複数のブレンドとして使用することができる。他のジエン系ゴムの含有量について、操縦安定性、グリップ性、低コスト性に優れるという観点から、前記ジエン系ゴムが、前記末端変性基含有共役ジエン系共重合体以外のジエン系ゴムを、ジエン系ゴム全量中の0〜70重量%含むのが好ましく、60重量%以下であるのがより好ましい。
【0052】
シリカについて以下に説明する。本発明のタイヤトレッド用ゴム組成物に含有されるシリカは特に制限されない。シリカとしては、タイヤトレッド用ゴム組成物に通常使用されるシリカ、例えば湿式法シリカ、乾式法シリカあるいは表面処理シリカなどを使用することができる。シリカの粒子性状は特に制限されない。低発熱性、耐摩耗性能により優れ、操縦安定性、耐久性能に優れるという観点から、下記(1)〜(4)の4つの粒子特性を満たすものとすることができる。
(1)DBP吸収量が190ml/100g以上
シリカのDBP吸収量は190ml/100g以上とすることができる。DBP吸収量が190ml/100g以上である場合破断強度に優れる。シリカのDBP吸収量は、JIS K6217−4吸油量A法に準拠して求めるものとする。
(2)窒素吸着比表面積(N2SA)が150〜225m2/g
シリカの窒素吸着比表面積(N2SA)は150〜225m2/gとすることができ、194〜225m2/gが好ましい。シリカのN2SAが225m2/g以下の場合混合性に優れ、練りが均一となり安定したゴム材料を得ることができる。シリカのN2SAはJIS K6217−2に準拠して求めるものとする。
(3)CTAB比表面積(CTAB)が150〜215m2/g
シリカのCTAB比表面積(CTAB)は150〜215m2/gとすることができ、185〜215m2/gが好ましい。シリカのCTABが215m2/g以下である場合、転がり抵抗に優れる。シリカのCTABはJIS K6217−3に準拠して求めるものとする。
(4)N2SAとCTABの比(N2SA/CTAB)が0.9〜1.4
上述したN2SAとCTABの比(N2SA/CTAB)は好ましくは0.9〜1.4にする。シリカの特性比(N2SA/CTAB)が0.9以上である場合補強性に優れる。シリカの特性比(N2SA/CTAB)が1.4以下の場合シリカの分散性に優れ転がり抵抗に優れる。
【0053】
上述した(1)〜(4)の粒子性状のすべてを満たし(2)、(3)の条件が好ましい範囲である高比表面積のシリカ(例えば、ローディア社製Zeosil Premium 200MP)は、粒子表面間の相互作用が強くジエン系ゴムとの親和性が乏しいため、単にジエン系ゴムに配合すると分散性を良好にすることが困難であり、tanδなどの動的粘弾性特性を改質する効果が十分に得られなかった。また従来の末端変性スチレンブタジエンゴムと共に配合しても高比表面積のシリカの分散性は必ずしも十分に改良されたとは言えなかった。
【0054】
これに対し本発明では、(1)〜(4)の粒子性状のすべてを満たし(2)、(3)の条件が好ましい範囲である高比表面積のシリカを上述した末端変性基含有共役ジエン系共重合体と共に配合することにより、シリカの分散性を改良することができる。このため、末端変性基含有共役ジエン系共重合体及び高比表面積のシリカがtanδを共に改質し、さらなる相乗的効果を得ることができる。
なお、本発明では上述のとおりシリカは特に限定されるものではなく、高比表面積のシリカ以外のシリカを使用することができる。
【0055】
シリカは、市販されているものの中から適宜選択して使用することができる。また通常の製造方法により得られたシリカを使用することができる。シリカはそれぞれ単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0056】
シリカの量は、低発熱性、耐摩耗性能により優れ、操縦安定性、耐久性能に優れるという観点から、ジエン系ゴム100重量部に対して20〜120重量部であるのが好ましく、30〜90重量部であるのがより好ましい。
【0057】
カーボンブラックについて以下に説明する。本発明のタイヤトレッド用ゴム組成物に含有されるカーボンブラックは特に制限されない。例えば従来公知のものが挙げられる。カーボンブラックはそれぞれ単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
カーボンブラックの量は、耐摩耗性能により優れ、操縦安定性に優れるという観点から、ジエン系ゴム100重量部に対して0〜40重量部であるのが好ましく、5〜35重量部であるのがより好ましい。
【0058】
本発明において、シリカとカーボンブラックとの合計量は、低発熱性、耐摩耗性能に優れ、操縦安定性、耐久性能に優れるという観点から、ジエン系ゴム100重量部に対して35〜140重量部である。シリカとカーボンブラックとの合計量は、同様の理由から、ジエン系ゴム100重量部に対して、35〜120重量部であるのが好ましく、40〜100重量部であるのがより好ましい。
【0059】
シランカップリング剤について以下に説明する。本発明のタイヤトレッド用ゴム組成物に含有されるシランカップリング剤は、下記式(a)〜(c)で表されるシランカップリング剤のうちの1種以上である。
【化19】

【化20】

(b)

[式(b)中、Lはそれぞれ独立して炭素数1〜9のアルカンジイル基又はアルケンジイル基であり、xは1〜150の整数であり、yは1〜150の整数である。]
【0060】
式(b)中、Lはそれぞれ独立して炭素数1〜9のアルカンジイル基又はアルケンジイル基であり、xは1〜150の整数であり、yは1〜150の整数である。
炭素数1〜9のアルカンジイル基は2価のアルカンであればよく、鎖状、分岐状のいずれでもよい。炭素数1〜9のアルカンジイル基としては、例えば、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、プロピレン基が挙げられる。
アルケンジイル基は2価のアルケンであればよく、鎖状、分岐状のいずれでもよい。アルケンジイル基の炭素数は2〜9とすることができる。アルケンジイル基としては、例えば、ビニレン基、プロペニレン基が挙げられる。
xは1〜150の整数であり、1〜150の整数であるのが好ましい。
yは1〜150の整数であり、1〜125の整数であるのが好ましい。
【0061】
【化21】

(c)
【0062】
本発明のタイヤトレッド用ゴム組成物は上記のシランカップリング剤を含有することによって、低発熱性、耐摩耗性能に優れ、操縦安定性に優れる。また同様の理由から、式(b)、式(c)で表されるシランカップリング剤が好ましい。
【0063】
シランカップリング剤はそれぞれ単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。シランカップリング剤はその製造について特に制限されない。例えば従来公知のものが挙げられる。
本発明において、シランカップリング剤の量は、低発熱性及び耐摩耗性に優れ、操縦安定性に優れるという観点から、シリカの量の4〜18重量%である。シランカップリング剤の量は、同様の理由から、シリカの量の5〜16重量%であるのがより好ましい。
【0064】
本発明のタイヤトレッド用ゴム組成物は、シリカ、カーボンブラック以外の他の充填剤をさらに配合することができる。シリカ、カーボンブラック以外の他の充填剤としては、例えばクレー、マイカ、タルク、炭酸カルシウム、水酸化アルミニウム、酸化アルミニウム、酸化チタン等が例示される。他の充填剤の含有量は、充填剤全体の100重量%中50重量%以下、好ましくは0〜30重量%にするとよい。他の充填剤の含有量が50重量%を超えると転がり抵抗が悪化する。
【0065】
本発明のタイヤトレッド用ゴム組成物には、必要に応じて、その効果や目的を損なわない範囲でさらに添加剤を含有することができる。添加剤としては、例えば、加硫又は架橋剤、加硫促進剤、老化防止剤、可塑剤、加工助剤、液状ポリマー、テルペン系樹脂、熱硬化性樹脂などのタイヤトレッド用ゴム組成物に一般的に使用される各種配合剤が挙げられる。添加剤は一般的な方法で混練してゴム組成物とし、加硫又は架橋するのに使用することができる。添加剤の配合量は本発明の目的に反しない限り、従来の一般的な配合量とすることができる。
本発明のタイヤトレッド用ゴム組成物は、公知のゴム用混練機械、例えば、バンバリーミキサー、ニーダー、ロール等を使用して、上記各成分を混合することによって製造することができる。
【0066】
本発明のタイヤトレッド用ゴム組成物は、空気入りタイヤ(例えば、タイヤトレッド)に好適に使用することができる。このゴム組成物をトレッド部に使用した空気入りタイヤは、低発熱性(低転がり抵抗)、耐摩耗性能及び操縦安定性を従来レベル以上に向上することができる。
【0067】
本発明の空気入りタイヤについて以下に説明する。本発明の空気入りタイヤは本発明のタイヤトレッド用ゴム組成物を使用した空気入りタイヤである。
本発明の空気入りタイヤについて添付の図面を用いて以下に説明する。
図1は、タイヤトレッド用ゴム組成物を使用した空気入りタイヤの実施形態の一例を示す。図1において、1はトレッド部、2はサイドウォール部、3はビード部である。
【0068】
図1において、左右のビード部3間にタイヤ径方向に延在する補強コードをタイヤ周方向に所定の間隔で配列してゴム層に埋設した2層のカーカス層4が延設され、その両端部がビード部3に埋設したビードコア5の周りにビードフィラー6を挟み込むようにしてタイヤ軸方向内側から外側に折り返されている。カーカス層4の内側にはインナーライナー層7が配置されている。トレッド部1のカーカス層4の外周側には、タイヤ周方向に傾斜して延在する補強コードをタイヤ軸方向に所定の間隔で配列してゴム層に埋設した2層のベルト層8が配設されている。この2層のベルト層8の補強コードは層間でタイヤ周方向に対する傾斜方向を互いに逆向きにして交差している。ベルト層8の外周側には、ベルトカバー層9が配置されている。このベルトカバー層9の外周側に、トレッド部1がトレッドゴム層12により形成される。トレッドゴム層12は本発明のタイヤトレッド用ゴム組成物により構成されている。各サイドウォール部2のカーカス層4の外側にはサイドゴム層13が配置され、各ビード部3のカーカス層4の折り返し部外側にはリムクッションゴム層14が設けられている。
【0069】
本発明の空気入りタイヤは、本発明のタイヤトレッド用ゴム組成物を空気入りタイヤに用いる以外特に制限はなく、例えば従来公知の方法に従って製造することができる。また、タイヤに充填する気体としては、通常の或いは酸素分圧を調整した空気の他、窒素、アルゴン、ヘリウム等の不活性ガスを用いることができる。
【実施例】
【0070】
以下に、実施例を示して本発明を具体的に説明する。ただし、本発明はこれらに限定されない。
<タイヤトレッド用ゴム組成物の製造>
第1表に示す成分を同表に示す量(重量部)で用いて(ただしここでは硫黄、加硫促進剤を除く。)これらを16Lの密閉型ミキサーで150℃、6分間混練し放出したマスターバッチに、硫黄、加硫促進剤を加えてオープンロールで混練することにより調製した。
<加硫ゴムサンプルの製造>
上記のようにして得られたタイヤトレッド用ゴム組成物を所定形状の金型中で、160℃、20分間プレス加硫して加硫ゴムサンプルを製造した。
【0071】
<空気入りタイヤの製造>
上述したタイヤトレッド用ゴム組成物をトレッド部に使用して、タイヤ構造が添付の図1に示す構成であり、タイヤサイズが225/50R17の空気入りタイヤを、各タイヤ用ゴム組成物につき4本ずつ製造した。
【0072】
<評価>
上記のようにして得られた、加硫ゴムサンプルを用いて、下記に示す方法で転がり性能(60℃のtanδ)、耐摩耗性能を測定した。上記のようにして得られた、空気入りタイヤを用いて、下記に示す方法で操縦安定性を測定した。結果を第1表に示す。
【0073】
・転がり性能
上記のとおり得られた加硫ゴムサンプルの転がり性能を、tanδにより評価した。tanδは、東洋精機製作所社製粘弾性スペクトロメーターを用いて、初期歪み10%、振幅±2%、周波数20Hz、温度60℃の条件下で測定した。得られた結果は比較例1を100とする指数である。この指数が大きいほどtanδが小さく低発熱性であり、空気入りタイヤにしたとき転がり抵抗が小さく、転がり性能、燃費性能が優れることを意味する。
【0074】
・操縦安定性
上記のとおり得られた空気入りタイヤをリムサイズ7×Jのホイールに組付け、国産2.5リットルクラスの試験車両に装着し、空気圧230kPaの条件で乾燥路面からなる1周2.6kmのテストコースを実車走行させ、そのときの操縦安定性を専門パネラー3名による感応評価により採点した。得られた結果は比較例1を100とする指数である。この指数が大きいほど乾燥路面における操縦安定性が優れていることを意味する。
【0075】
・耐摩耗性能
上記のとおり得られた加硫ゴムサンプルを、JIS K6264に準拠して、ランボーン摩耗試験機(岩本製作所社製)を使用して、荷重49N、スリップ率25%、時間4分、室温の条件で摩耗量を測定した。得られた結果は、比較例1の摩耗量の逆数を100とする指数である。この指数が大きいほど耐摩耗性が優れることを意味する。
【0076】
【表1】

【0077】
第1表に示されている各成分の詳細は以下のとおりである。
・SBR1:乳化重合スチレンブタジエンゴム、芳香族ビニル単位含有量が40重量%、ビニル単位含有量が13.5モル%、重量平均分子量(Mw)が760、000、Tgが−28℃、日本ゼオン社製、商品名Nipol1739、ゴム成分100重量部に対しオイル分37.5重量部を含む油展品、末端変性なし
・SBR2:末端変性溶液重合スチレンブタジエンゴム、芳香族ビニル単位含有量が39重量%、ビニル単位含有量が45モル%、重量平均分子量(Mw)が80万、Tgが−26℃、旭化成ケミカルズ社製タフデン E580、ゴム成分100重量部に対しオイル分37.5重量部を含む油展品
・SBR3:末端変性基含有共役ジエン系共重合体、芳香族ビニル単位含有量が42重量%、ビニル単位含有量が32重量%、重量平均分子量(Mw)が75万、Tgが−25℃、ゴム成分100重量部に対しオイル分25重量部を含む油展品、以下の製造方法により調製した末端変性溶液重合スチレンブタジエンゴム。
【0078】
〔SBR3の製造方法〕
窒素置換された内容量10Lのオートクレーブ反応器に、シクロヘキサン4533g、スチレン338.9g(3.254mol)、ブタジエン468.0g(8.652mol)、イソプレン20.0g(0.294mol)およびN,N,N′,N′−テトラメチルエチレンジアミン0.189mL(1.271mmol)を仕込み、攪拌を開始した。反応容器内の内容物の温度を50℃にした後、n−ブチルリチウム5.061mL(7.945mmol)を添加した。重合転化率がほぼ100%に到達した後、さらにイソプレン12.0gを添加して5分間反応させた後、1,6−ビス(トリクロロシリル)ヘキサンの40wt%トルエン溶液0.281g(0.318mmol)を添加し、30分間反応させた。さらに、下記に示すポリオルガノシロキサンAの40wt%キシレン溶液18.3g(0.318mmol)を添加し、30分間反応させた。メタノール0.5mLを添加して30分間攪拌した。得られたポリマー溶液に老化防止剤(イルガノックス1520、BASF社製)を少量添加し、伸展油としてフッコールエラミック30(新日本石油(株)製)を25部添加した後、スチームストリッピング法により固体状のゴムを回収した。得られた固体ゴムをロールにより脱水し、乾燥機中で乾燥を行い、変性S−SBR1を得た。変性S−SBR1をSBR3とする。SBR3はゴム成分100重量部に対しオイル分20重量部を含む。
・ポリオルガノシロキサンA; 前記一般式(I)の構造を有するポリオルガノシロキサンであって、m=80、n=0、k=120、X1,X4,R1〜R3,R5〜R8がそれぞれメチル基(−CH3)、X2が下記式で表される炭化水素基であるポリオルガノシロキサン
【化22】

・オイル:アロマオイル、昭和シェル石油社製エキストラクト4号S
・CB:カーボンブラック、東海カーボン社製シーストKH
・シリカ1:ローディア社製Zeosil 1165MP、DBP吸収量が200ml/100g、窒素吸着比表面積(N2SA)が160m2/g、CTAB比表面積(CTAB)が159m2/g、N2SAとCTABの比(N2SA/CTAB)が1.01
・シリカ2:ローディア社製Zeosil Premium 200MP、DBP吸収量が203ml/100g、窒素吸着比表面積(N2SA)が200m2/g、CTAB比表面積(CTAB)が197m2/g、N2SAとCTABの比(N2SA/CTAB)が1.02
・シランカップリング剤1(SI75):エボニックデグサ社製Si75
・シランカップリング剤2(NXT):モメンティブパフォーマンスマテリアルズ社製NXTシラン
・シランカップリング剤3(NXT−Z45):モメンティブパフォーマンスマテリアルズ社製NXT−Z45。米国特許出願公開第2007/0197725号明細書に記載されている合成法によって得られ、チオエステルを含むユニット:メルカプト基を含むユニットが55:45よりなる。式(b)におけるx:y=55:45(モル%)
・シランカップリング剤4(SI363):エボニックデグサ社製SI363、下記式で表される化合物
【化23】

・6C:FLEXSYS(株)製SANTOFLEX 6PPD
・WAX:ワックス、大内新興化学工業社製サンノック
・亜鉛華:酸化亜鉛、正同化学工業社製酸化亜鉛3種
・加硫促進剤1:加硫促進剤CBS、大内新興化学工業社製ノクセラーCZ−G
・加硫促進剤2:加硫促進剤TBzTD、フレキシス社製PERKACIT TBzTD(テトラベンジルチウラムジスルフィド)
・加硫促進剤3:加硫促進剤DPG、住友化学社製ソクシノールD−G
・硫黄:鶴見化学工業社製金華印油入微粉硫黄
【0079】
第1表に示す結果から明らかなように、本願発明において含有される末端変性基含有共役ジエン系共重合体以外のSBRを含有する比較例2は、比較例1(本願発明において含有される末端変性基含有共役ジエン系共重合体以外のSBR及び本願発明において含有されるシランカップリング剤以外のシランカップリング剤を含有する)より、耐摩耗性能が低く操縦安定性に改善は見られなかった。本願発明において含有される末端変性基含有共役ジエン系共重合体以外のSBRを含有する比較例3は比較例1より操縦安定性が低かった。本願発明において含有される末端変性基含有共役ジエン系共重合体以外のSBRを含有する比較例4は比較例1より操縦安定性が低く、耐摩耗性能に改善は見られなかった。ジエン系ゴムに含まれる末端変性基含有共役ジエン系共重合体の量が30重量%未満である比較例5は比較例1より耐摩耗性能が低く操縦安定性に改善は見られなかった。シランカップリング剤の量がシリカの量の4重量%未満である比較例6は低発熱性(転がり性能)、耐摩耗性能が低かった。
これらに対して、実施例1〜7は低発熱性(転がり性能)、耐摩耗性能、操縦安定性に優れる。これらの結果から、本願発明は操縦安定性を末端変性基含有共役ジエン系共重合体と特定のシランカップリング剤との組み合わせによって改善した。また、低発熱性(転がり性能)、耐摩耗性能、操縦安定性の性能向上幅も大きく、これらの効果に関し末端変性基含有共役ジエン系共重合体と特定のシランカップリング剤との組み合わせは相乗効果があることが分かった。
【符号の説明】
【0080】
1 トレッド部
12 トレッドゴム層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
末端が変性された末端変性基含有共役ジエン系共重合体を30重量%以上含むジエン系ゴムと、シリカと、カーボンブラックと、下記式(a)〜(c)で表されるシランカップリング剤のうちの1種以上とを含有し、
前記シリカと前記カーボンブラックとの合計量が前記ジエン系ゴム100重量部に対して35〜140重量部であり、
前記シランカップリング剤の量が前記シリカの量の4〜18重量%であり、
前記末端変性基含有共役ジエン系共重合体は、炭化水素溶媒中、有機活性金属化合物を開始剤として用いて共役ジエン系単量体と芳香族ビニル単量体とを溶液重合によって共重合させた活性共役ジエン系重合体鎖に、前記活性共役ジエン系重合体鎖の活性末端と反応可能な官能基を有する少なくとも1種類の化合物Aを反応させることによって製造され、
前記末端変性基含有共役ジエン系共重合体中の芳香族ビニル単量体含有量が38〜48重量%であり、前記末端変性基含有共役ジエン系共重合体を構成する全共役ジエン系単量体中のビニル単位含有量が20〜35モル%であり、前記末端変性基含有共役ジエン系共重合体の重量平均分子量が600,000〜1,000,000であり、前記末端変性基含有共役ジエン系共重合体が有する末端変性基が、前記シリカとの相互作用を有する官能基を含む、タイヤトレッド用ゴム組成物。
【化1】

【化2】

(b)

[式(b)中、Lはそれぞれ独立して炭素数1〜9のアルカンジイル基又はアルケンジイル基であり、xは1〜150の整数であり、yは1〜150の整数である。]
【化3】

(c)
【請求項2】
前記シリカの量が、前記ジエン系ゴム100重量部に対して20〜120重量部である請求項1に記載のタイヤトレッド用ゴム組成物。
【請求項3】
前記化合物Aが、下記式(I)〜(III)から選ばれる少なくとも1種類のポリオルガノシロキサン化合物を含む請求項1または2に記載のタイヤトレッド用ゴム組成物。
【化4】

[上記式(I)において、R1〜R8は、炭素数1〜6のアルキル基または炭素数6〜12のアリール基であり、これらは互いに同一であっても相違してもよい。X1およびX4は、活性共役ジエン系重合体鎖の活性末端と反応する官能基を有する基、または炭素数1〜6のアルキル基もしくは炭素数6〜12のアリール基であり、X1およびX4は互いに同一であっても相違してもよい。X2は、活性共役ジエン系重合体鎖の活性末端と反応する官能基を有する基である。X3は、2〜20のアルキレングリコールの繰返し単位を含有する基であり、X3の一部は2〜20のアルキレングリコールの繰返し単位を含有する基から導かれる基であってもよい。mは3〜200の整数、nは0〜200の整数、kは0〜200の整数である。]
【化5】

[上記式(II)において、R9〜R16は、炭素数1〜6のアルキル基または炭素数6〜12のアリール基であり、これらは互いに同一であっても相違してもよい。X5〜X8は、活性共役ジエン系重合体鎖の活性末端と反応する官能基を有する基である。]
【化6】

[上記式(III)において、R17〜R19は、炭素数1〜6のアルキル基または炭素数6〜12のアリール基であり、これらは互いに同一であっても相違してもよい。X9〜X11は、活性共役ジエン系重合体鎖の活性末端と反応する官能基を有する基である。]
【請求項4】
前記シリカとの相互作用を有する官能基が、アルコキシシリル基、ヒドロキシル基、アルデヒド基、カルボキシル基、アミノ基、イミノ基、エポキシ基、アミド基、チオール基、およびエーテル基からなる群から選ばれる少なくとも1種である請求項1〜3のいずれかに記載のタイヤトレッド用ゴム組成物。
【請求項5】
前記末端変性基含有共役ジエン系共重合体が、前記シリカとの相互作用を有する官能基として、ヒドロキシル基と、アルコキシシリル基、アルデヒド基、カルボキシル基、アミノ基、イミノ基、エポキシ基、アミド基、チオール基、およびエーテル基からなる群から選ばれる少なくとも1種とを有する請求項1〜4のいずれかに記載のタイヤトレッド用ゴム組成物。
【請求項6】
前記ジエン系ゴムが、さらに、前記末端変性基含有共役ジエン系共重合体以外のジエン系ゴムを含む請求項1〜5のいずれかに記載のタイヤトレッド用ゴム組成物。
【請求項7】
前記ジエン系ゴムが、前記末端変性基含有共役ジエン系共重合体以外のジエン系ゴムを、前記ジエン系ゴム全量中の70重量%以下の量で含む請求項6に記載のタイヤトレッド部用ゴム組成物。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれかに記載のタイヤトレッド用ゴム組成物を使用した空気入りタイヤ。

【図1】
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【公開番号】特開2013−75986(P2013−75986A)
【公開日】平成25年4月25日(2013.4.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−216768(P2011−216768)
【出願日】平成23年9月30日(2011.9.30)
【出願人】(000006714)横浜ゴム株式会社 (4,905)
【Fターム(参考)】