説明

タイヤ及び靴底用フレアー型スパイク

【課題】タイヤやおよび靴底に取り付ける容易に脱着、交換ができ、滑り止め効果が高い軽量でコンパクトなスパイクの開発。
【解決手段】タイヤのトレッド7または靴底にくぼみ3を設け、弾力性と復元性に富む材質で出来た放射状に複数本のつめ(スパイク)をもつフレアー型スパイク1をボルト5とスプリングワッシャー6を介してホルダー4に固定したもので、つめの先端が僅かに飛び出している。氷盤上ではこのフレアー型スパイクは滑りが生じていないときにはくぼみの中に収まるが、すべり初めるとスパイク1の先端が滑り方向の氷盤に食い込んでいくため滑りを抑える効果がある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【001】
本発明は、タイヤ及び靴底に取り付ける容易に脱着、交換が出来滑り止め効果が高く路面切削粉による粉塵公害の発生を抑えられる軽量でコンパクトなフレアー型のスパイクである
【背景技術】
【002】
冬季間北国、雪国に拘わらずツルツルな凍結路面が道路や歩道にも発生するそのため毎年、車輌のスリップ事故や歩行者の転倒事故のため多数の犠牲者が発生している。その滑り止め対策として車輌用では以前スパイクタイヤが強力な威力を発揮したのだが、そのピン先端の強烈な点集中接触がゆえに路面材を削り車粉公害を引き起こし、各自治体の条例で使用が規制され現在はスタッドレスタイヤが主流と成っている。スタッドレスタイヤも年々メーカーによる研究が進み性能は向上しているが、アイスバーンではスパイクスタイヤの性能と比較すると充分とはいえない。またスタッドレスタイヤが圧雪表面をソフトになでまわす為に新たにアイスバーンを造りだしてしまうという皮肉な現象も出現している。この為対策として大量の融雪材を散布したり、道路や横断歩道にロードヒーティングを設置する等莫大なエネルギーと費用を消費している
【003】
一方、歩行者用には靴底に予めスパイクピンを埋め込んだ靴や、スパイク付きのベルトを巻きつけたり被せる等の製品が販売されており凍結路面では滑り止めの効果を発揮するのだが、駅やデパート、地下通路やビル内等の平滑路面では金属製のスパイクが靴底面より飛び出しているが故に靴底のゴムが路面と充分に接触出来ないことがあり逆にとても滑り易く大変危険でもあり都市部でのツルツル路面の決定打と成っておらずあまり普及していないため、毎年転倒事故によるけが人があとを絶たないのが現状である
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【004】
冬季間北国、雪国に拘わらずツルツルな凍結路面が道路や歩道にも発生し車輌では渋滞や悲惨な交通事故が発生し、歩行者ではスリップにより転倒しけがをする事故が発生しとても大きな損失で社会問題と成っている。
【005】
スパイクタイヤは道路を削り車粉公害が発生し規制されスタッドレスタイヤに変わったが、そのアイスバーンにおける性能は満足するものに至っていない。
【006】
スタッドレスタイヤはその性質上、圧雪表面に傷を付けずにソフトになでまわす為に以前は見られなかった氷盤を自ら新たに造りだしてしまうという問題も発生している。
【007】
非積雪地域の車輌では、タイヤにスパイクの付いたネット式チェーンの装着等で対応しているが脱着の煩わしさや高価でもあり振動、騒音、寿命に課題がある
【008】
高速道路や峠等の道路には大量の融雪材が散布され、車輌の腐蝕促進と環境への影響が懸念され、また坂道ではロードヒーティングが施され設備費と維持費に膨大な費用が使われている。
【009】
歩行者はスパイク付きや後付けのスパイク付きカバーやベルト等が販売されているが駅やデパート、地下通路等の平滑路面では金属製スパイクが飛び出しているために逆に滑り易くあまり普及しておらず、歩道に砂をまく等対策しているが転倒事故が多発しており札幌市だけでも怪我の為に年間800件に及ぶ救急搬送事故が発生し、大きな社会問題となっている。
【課題を解決するための手段】
凍結、氷結路面における車輌や歩行者の滑り止め対策で最も有効な手段はスパイクであるということは周知の事実であるが、前述の通り様々な課題が残されている。
このフレアー型スパイクは以下に示す特徴がありこれにより、車粉公害を殆ど発生せずにスタッドレスタイヤの氷結路面での制動力と駆動力をよりスパイクタイヤに近付けることが可能になり、また歩行者はツルツル路面での転倒を減少させスパイクを装着したまま滑りを気にせずに安心してデパートや駅、地下通路等での歩行が可能になる。
【010】
図−1の例をもって説明すると2で示すボス部から弾力性と復元力に富んだ複数本のつめ1が放射状に伸び、そのつめを断面でM型状にしたものでつめ先部で垂線に対し5度から40度程度にしたフレアー型スパイクとする
【011】
7トレッドまたは靴底面に設けた3くぼみの奥に4のホルダーを配し5ボルトで6緩み止め用のスプリングワッシャーを介してフレアー型スパイクをくぼみの中でしっかり固定する構成でそのスパイクの先端がトレッド面または靴底面からわずかに突き出した構造である
【012】
図2でスパイクの動きを説明すると図2−1はタイヤ面または靴底面が地面に接地していない状態でスパイクの先端がタイヤ面または靴底面から僅かに飛び出したフリーの状態である
【013】
次に図2−2は通常走行および通常歩行時の滑りを伴わない車重および体重が掛かった接地状態でスパイクは破線で示すフリーの状態から路面により実線で示すように先端はタイヤ面または靴底面と同一位置まで僅かに周方向に拡がりながらくぼみの中に押し上げられる。
このときスパイク自体の弾力性によりスパイク先端には僅かに路面に対して押し付ける反力が生じている。この反力は用途やスパイクの数にもよるが数百グラムから数キログラム程度に設定しなければ車粉公害を引き起こすことになる。
【014】
上記項
【013】
でスパイク先端が僅かに周方向に拡がりながら押し上げられる時には路面とスパイクの先端部で僅かながらズレが発生し僅かながら磨耗するこの動きが最先端よりボス側の腹に当たる部分のほうが顕著でありスパイクの最先端部は常に鋭利な状態を保つことになる
【015】
次にタイヤ面又は靴底面が氷結路面上で滑りが生じ始めたときは図2−2のA部詳細のA−1に示すようにこの図ではタイヤ又は靴底が右から左側に滑り始めたときを現すがスパイク先端がある荷重で路面に押し付けられ、またある角度にあるためスパイクの先端はウエッジ効果により氷表面に食い込み滑りを止める方向の力が働く、放射状に複数本のスパイクを持つこのフレアー型スパイクでは全周方向つまり制動、発進及び横滑りに対しほぼ均等に作用する。1本のスパイクの耐力はせいぜい数キログラムであるが1個のスパイクの複数本あるスパイクのうち40〜50%のスパイクの耐力が期待出来る事と、同時に複数個が接地するように配置すればその合計積算耐力が期待できる。
【016】
図2−A−2はスパイクに大きな力が掛かった場合のスパイクの変形予想図で、障害物が取り除かれたら復元力により破損や変形せずに原型に復帰する。
【017】
4のホルダーは図3−1,2,3の様に従来のスパイクピンの様に下穴を設けておいて後から打ち込んでも良いし予めタイヤおよび靴底に埋め込み成型しても良いがスパイクを取り付ける際のビス等の回転力に充分耐えられるよう固定されなければならない。また図3−4に示すようにタイヤおよび靴底側に穴を設けスパイクのボスに大きめのフランジを付け、タッピングビス状のねじ等で直接取り付けても良く、またビス等の緩み止め方法にもこだわらない。
【018】
フレアー型スパイクとホルダーの取り付け方法は図3−1,2,3に示すようにビスで取り付ける方法やナットで取り付ける方法またはボス側にねじを取り付けるなどどの様な方法でも構わないが、ユーザーが市販の汎用工具で容易に脱着可能な方法とし、長期間フレアー型スパイクを取り外す時にホルダー側にメスネジが残る場合にはネジ内への異物浸入を防止するキャップを用意する必要がある
【019】
耐磨耗性を向上させる必要がある場合には、図3−3に示すような方法でスパイクの先端部に超硬チップなどの高硬度材料を取り付けても良い
【020】
4のホルダーの形状や材質には制限はないが耐腐蝕性に富むもとするの
【発明の効果】
【021】
このフレアー型スパイクを車輌用タイヤおよび靴底に適正数取り付けることにより凍結路面でのスリップによる事故の減少や、融雪材散布量の削減およびロードヒーティングの設備費、灯油や電気代の削減が可能となり環境保護にもつながる一方、歩行者はツルツル路面でのスリップによる転倒事故を減少させられ駅やデパートの平滑路面でも滑りにくくなり安心して歩行可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【022】
このフレアー型スパイクは車輌用タイヤのトレッド部に適正数設置することとスパイクのばね定数を極力低く抑えることにより車粉公害をほとんど発生させずに氷結路面でのスリップによる事故を減少させることが出来る。
また靴底にも適正数設置することにより、ツルツルの氷結路面でのスリップ事故を減少させ、尚且つスパイクを装着したまま駅やデパート、ビル内等の平滑路面を安心して歩行することが出来る。
【実施例】
図4−1に車輌用タイヤへの実施例を示す
図4−2に靴底への実施例を示す
【図面の簡単な説明】
【図1】フレアー型スパイク取り付け状況例断面を示した斜視図
【図2】図2−1はフレアー型スパイクが路面と接地前の断面図である 図2−2はフレアー型スパイクが路面と接地後の断面図である 図2−A−1は図2−2のA部詳細でタイヤおよび靴底が滑り始めたときのスパイク先端が氷に突き刺ささっている状況の断面図である 図2−A−2は図2−2のA部詳細でタイヤおよび靴底が滑りだしスパイクが障害物に引っ掛かる等の過負荷状態のときの変形予想図である
【図3】図3−1はおわん型のフレアー型スパイクをビスでホルダーに取り付ける例である 図3−2は台形輻輳型のフレアー型スパイクをボスにネジを取り付けホルダーに取り付ける例である 図3−3はM型のフレアー型スパイクの先端に超硬チップ等の高硬度材料を取り付けホルダーにナットで取り付ける例である 図3−4は三角形型のフレアー型スパイクでタイヤまたは靴底に穴を設けボスに大きめのフランジとタッピングビス状のネジを設け直接取り付ける例である
【図4】図4−1はタイヤトレッド部にフレアー型スパイクを配置した実施例である 図4−2は靴底にフレアー型スパイクを配置した実施例である
【符号の説明】
1 スパイク
2 ボス
3 くぼみ
4 ホルダー
5 ボルト
6 スプリングワッシャー
7 トレッドまたは靴底面
8 高硬度材チップ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
タイヤのトレッド部表面及び靴底表面にくぼみを設けそのくぼみの中に円盤状又は多角形材等のボス材料から2本(枚)以上の弾力性と復元性に富んだ,断面が三角形以上の多角形及び楕円、円形のつめ(スパイク)が放射状に突き出したものを図1に示す様にM型、又は図3の台形型及び三角形、おわん形にしたものを、堅牢かつ一般的な取付方法で固定したもので、そのスパイクの先端がタイヤのトレッド表面及び靴底面からわずかに突き出した形状で必要に応じつめ先部分に耐磨耗性材料を取り付けた車輌用タイヤ及び靴底用のフレアー型スパイクであり、スパイクの配置は図3−2のような輻輳型でも構わない
【請求項2】
このフレアー型スパイクは、非降雪期や非凍結期及びスパイク先端の摩耗や損傷したときに一般ユーザーが市販の汎用工具で容易に取り外し、取り付け、交換が出来る構造とした車輌用タイヤ及び靴底用のフレアー型スパイクである
【請求項3】
「請求項1」及び「請求項2」に記載したフレアー型スパイクを取り付けるために、タイヤのトレッド部や靴底にくぼみないしスペースを設けた、又は取り付け可能な細工を施したタイヤ及び靴または後付け品
【特許請求の範囲】
【請求項1】
中心部のボス部(2)から放射状に2本以上の弾力性と剛性及び耐磨耗性に富んだスパイク(1)が突き出たものを図−1 の様に断面でM型状や、図3−1のおわん状、図−3−2の台形状及び、図−3−4の三角状の、すそ広がり(フレアー)状にしたウエッジ効果を利用した、タイヤ及び靴底用の氷面上での滑り止め用フレアー型スパイク
【請求項2】
「請求項1」のフレアー型スパイクを取り付ける為にタイヤのトレッド部及び靴底にくぼみやスペースを設けた、又は取り付け可能な細工を施したタイヤ及び靴、並びにネットチェーンやアウターブーツ等のタイヤや靴に装着する後付け製品

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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