タッチパネル付き表示装置
【課題】良好な感度を保ちつつ、表示装置の駆動に起因するタッチパネルの誤検出を防止することができるタッチパネル付き表示装置を提供する。
【解決手段】タッチパネルコントローラ3は、液晶表示パネル2の上層に設けられたタッチパネル1のセンサ電極を一つずつ選択し、選択したセンサ電極に応じた位置に対する導体の接触の有無を判定する。制御部5は、個々のセンサ電極について、センサ電極と重なる液晶表示パネル2の各行が選択される期間内でそのセンサ電極の選択を行わないという条件を満たすように、タッチパネルコントローラ3に各センサ電極を選択させる。
【解決手段】タッチパネルコントローラ3は、液晶表示パネル2の上層に設けられたタッチパネル1のセンサ電極を一つずつ選択し、選択したセンサ電極に応じた位置に対する導体の接触の有無を判定する。制御部5は、個々のセンサ電極について、センサ電極と重なる液晶表示パネル2の各行が選択される期間内でそのセンサ電極の選択を行わないという条件を満たすように、タッチパネルコントローラ3に各センサ電極を選択させる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示装置上にタッチパネルが設けられたタッチパネル付き表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
図8は、一般的なタッチパネル付き表示装置の構成例を示す説明図である。タッチパネル付き表示装置は、図8に例示するように、画像を表示する液晶表示パネル92の上層にタッチパネル91を備える。なお、液晶表示パネル92は、両面に偏光板93を備え、液晶表示パネル92の背面には、バックライト94が設けられる。タッチパネル91は、液晶表示パネル92の上層に貼り付けられ、さらに、タッチパネル91の上層にカバーレンズ95が貼り付けられる。なお、カバーレンズ95を備えずに、タッチパネル91がカバーレンズとして兼用される場合もある。
【0003】
タッチパネル91は、例えば、タッチパネルコントローラ98が配置されたFPC(Flexible Printed Circuits :フレキシブルプリント基板)99が取り付けられる。液晶表示パネル92には、液晶表示パネル92を駆動する表示パネルコントローラ96や、表示パネルコントローラ96への配線が配置されるFPC97が取り付けられる。
【0004】
液晶表示パネル92は、例えば、画素毎にTFT(Thin Film Transistor)等のスイッチング素子を備えるアクティブマトリクス方式の液晶表示パネルであり、表示パネルコントローラ96が、各行を線順次に走査して画像を表示させる。
【0005】
タッチパネル91として、投影型静電容量方式のタッチパネルが用いられる。投影型静電容量方式のタッチパネルでは、ITO(Indium Tin Oxide)等の透明電極をセンサとして静電容量を計測し、タッチパネルに対する指等の導体の接触位置を検出する。なお、静電容量の計測では、静電容量の大きさに応じて数値化される値の計測を行えばよく、ピコファラド単位で静電容量を計測する計測態様でなくてもよい。投影型静電容量方式のタッチパネルには、以下に示す2つの方式がある。
【0006】
第1の方式は、個々の透明電極と、タッチパネルへの接触物(例えば指)とによって形成されるキャパシタの静電容量を計測する方式である。この方式は、自己容量計測方式(Self Capacitance方式)と呼ばれることもある。図9は、第1の方式(Self Capacitance方式)を採用するタッチパネルの電極の配置例を示す説明図である。図9に示す例では、6本の横向きの電極X1〜X6と、5本の縦向きの電極Y1〜Y5を配置した例を示している。第1の方式では、X6,X5,X4,X3,X2,X1,Y1,Y2,Y3,Y4,Y5の順に各電極を1本ずつ選択し、選択した電極と指とで形成されるキャパシタの静電容量を計測し、その静電容量に基づいて、指の接触位置の位置を検出する。図9に示す例では、縦軸方向と横軸方向のそれぞれにおける位置を検出することで、パネル上の接触位置を特定できる。なお、横向きの電極と縦向きの電極は、それらの交差部において絶縁とされている。
【0007】
第2の方式は、交差する透明電極によって形成されるキャパシタの静電容量を計測する方式である。この方式は、相互容量計測方式(Mutual Capacitance方式)と呼ばれることもある。交差する透明電極のうち、一方は、キャパシタに電荷を充放電させるために用いられる。この透明電極をドライブ側電極と称する。また、もう一方の電極は、キャパシタの静電容量を計測するために用いられる。この透明電極をセンス側電極と称する。指の接触により、キャパシタの静電容量は変動する。図10は、第2の方式(Mutual Capacitance方式)を採用するタッチパネルの電極の配置例を示す説明図である。図10では、6本のドライブ側電極D1〜D6と、5本のセンス側電極S1〜S5を直交させた場合を例示している。本例では、センス側電極S1〜S5により、30箇所の電極交差位置に形成されるキャパシタの静電容量を順次計測し、指の接触位置を検出する。
【0008】
また、いずれの方式においても、タッチパネル91に指等が接触すると、その位置に対応するキャパシタの静電容量は変化する。図11は、タッチパネルへの接触による静電容量の変化の例を示す説明図である。図11の横軸は時間軸であり、縦軸は静電容量の計測値を表す。図11に示す時刻t2〜t3の期間中にタッチパネル91に指が接触していたとする。指が接触していない間においても、静電容量は計測される。指が接触していない期間における静電容量の計測結果の変動の下限をL1とし、上限をL2とする。
【0009】
また、指がタッチパネル91に接触すると、その接触位置に応じた透明電極によって計測される静電容量は上昇する。静電容量の計測結果は、予め定められた閾値と比較され、静電容量の計測結果が閾値を超えている期間中、指がタッチパネル91に接触していると判定される。図11に示す例では、時刻t2〜t3の期間に指が接触していると判定され、時刻t1〜t2の期間や、時刻t3より後の期間は、非接触期間であると判定される。なお、時刻t2〜t3の期間では、静電容量の計測に用いられた透明電極に対応する位置が指の接触位置として検出される。また、接触期間と判定された期間における静電容量の平均値をL3とする。
【0010】
非接触期間における静電容量の変動幅をPとし、指の接触による静電容量の変化量(増加量)をQとする。P=L2−L1であり、Q=L3−L2である。タッチパネルにおいて、Pに対するQの割合(Q/P)が1よりも大きく、さらにマージンを持っていることが、タッチパネルの感度を高める観点から好ましい。
【0011】
また、特許文献1には、ディスプレイ装置において、タッチパネルのタッチ入力と関係ない映像入力が選択されているときに、タッチパネルが動作しないようにすることで、誤動作を防止するタッチパネル付き表示装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開2002−116879号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
タッチパネル付き表示装置では、表示された画像上の所望の位置をユーザが触れ、その接触位置をタッチパネルが検出する。従って、液晶表示パネル92(図8参照)の上層にタッチパネル91を重ねて配置しなければならない。すると、液晶表示パネル92の線順次走査によるノイズの影響を受け、タッチパネル91に指が接触していないにも関わらず、閾値を超える静電容量が計測されてしまうことがある。その結果、指が接触しているという誤った判定結果が生じる。
【0014】
これを詳述すると、液晶表示パネル92をタッチパネル91の下方に配置しないタッチパネル91単独の状態で静電容量を測定すると、静電容量の出力値(計測値)の変動幅は小さい。一方、液晶表示パネル92をタッチパネル91の下方に配置し、液晶表示パネルを駆動した状態で静電容量を測定すると、静電容量の計測値の変動幅は大きくなるとともに、静電容量の計測値が突出して大きくなる場合が生じる。この突出した値が閾値を超えると誤検出が生じることになる。
【0015】
図12は、液晶表示パネル92の駆動に起因するノイズによって静電容量が閾値を超える状況を示す説明図である。図12に示す例では、実際に指がタッチパネルに接触している期間は、時刻t14〜t15である。従って、時刻t14〜t15が接触期間と判定され、時刻t11〜t14の期間と、時刻t15より後の期間が非接触期間と判定されることが理想的である。しかし、図12に示す例では、液晶表示パネル92の駆動に起因するノイズにより、非接触期間であるはずの時刻t12〜t13の期間おいて、静電容量の計測値が閾値を超えている。この結果、図12に示す例では、t12〜t13が接触期間として誤検出されることになる。
【0016】
また、図12に示す例では、図11に示す例と比較して、L2が閾値より高い値に上昇し、非接触期間における静電容量の変動幅Pが広がる。逆に、指の接触による静電容量の変化量Qが狭まる。そのため、Q/Pの値が小さくなってしまう。
【0017】
液晶表示パネルの駆動に起因するノイズは、静電容量を計測するタッチパネルの透明電極の選択期間と、その透明電極の配置位置に重なる液晶表示パネルの行の選択期間とが重なるときに、静電容量計測に影響を及ぼす。図13は、ノイズの発生タイミングを示す説明図である。図13に示すセンシング期間は、タッチパネルの透明電極により静電容量を計測する期間を表している。図13に示す例では、S1〜S8の8個の透明電極を順次選択し、選択した透明電極で静電容量を計測する場合を示している。図13に示すように、S1〜S8の個々の透明電極を用いた静電容量の計測期間は、センシング期間に含まれている。また、図13に示す選択波形は、タッチパネルの下に配置される液晶表示パネルの各行を順次選択するタイミングを示している。1フレーム期間は、液晶表示パネルの第1行を選択してから次にその第1行を選択するまでの期間である。期間Aは、タッチパネルの透明電極S1の配置位置に重なる各行を順次選択する期間である。期間Bは、他の各行を順次選択する期間である。図13に示すように、タッチパネルの透明電極S1による静電容量の計測期間と、その透明電極S1の配置位置に重なる各行を順次選択する期間Aとが重なることで、透明電極S1による計測時に、直下の液晶表示パネルの行の選択に起因するノイズの影響を受ける。ここでは、透明電極S1による静電容量計測時のノイズを例に説明したが、タッチパネルにおける他の透明電極の選択時においても、その直下の液晶表示パネルの行が選択されているとノイズの影響を受ける。
【0018】
上記のようなノイズによる誤検出を防止するために、図8に例示する構成において、液晶表示パネル92とタッチパネル91との間に、ノイズシールドを設けることが考えられる。しかし、そのような構成とすると、ノイズシールドを設ける分、生産コストが高くなってしまう。また、ノイズシールドをタッチパネルの反センサ電極面に形成する場合、タッチパネルの基板に対して両面に電極を形成することになり、製造工程において両方の電極面への傷つきが多くなり、タッチパネルの生産歩留まりが低下してしまう。
【0019】
また、タッチパネルコントローラ98および表示パネルコントローラ96(図8参照)を制御するコンピュータ(図示せず)、あるいは、タッチパネルコントローラ98にデジタルフィルタを内蔵させることも考えられる。デジタルフィルタによって、突出した静電容量計測値を平均化することで誤検出を防止することができる。しかし、そのように平均化を行ったとしても、非接触期間における静電容量計測値の変動幅の上限L2(図11参照)は、ノイズが発生しない場合よりも高くなり、結果として、Q/Pの値が小さくなる。そのため、タッチパネルの感度が低下してしまう。
【0020】
特許文献1に記載されたタッチパネル付き表示装置は、タッチ入力と関係ない画像を表示する際に誤動作を防止できる。しかし、タッチ入力と関連する画像を線順次走査で表示する場合には、上記のような誤検出を防止できない。
【0021】
そこで、本発明は、良好な感度を保ちつつ、表示装置の駆動に起因するタッチパネルの誤検出を防止することができるタッチパネル付き表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0022】
本発明によるタッチパネル付き表示装置は、マトリクス状に配置された画素によって画像を表示する表示手段(例えば、液晶表示パネル2)と、表示手段の画素の行を順次選択して、表示手段に画像を表示させる表示駆動手段(例えば、表示パネルコントローラ4)と、複数のセンサ電極(例えば、センサ電極E1〜E8)を有し、表示手段の上層に設けられるタッチパネル(例えば、タッチパネル1)と、タッチパネルのセンサ電極を選択し、選択したセンサ電極における静電容量または静電容量の変化量を測定し、静電容量または静電容量の変化量の測定値に基づいて、選択したセンサ電極に応じた位置に対する導体の接触の有無を判定する接触判定手段(例えば、タッチパネルコントローラ3)と、表示駆動手段および接触判定手段を制御する制御手段(例えば、制御部5)とを備え、制御手段が、個々のセンサ電極について、センサ電極と重なる表示手段の各行が選択される期間内で当該センサ電極の選択を行わないという条件を満たすように、接触判定手段に各センサ電極を選択させることを特徴とする。
【0023】
また、各センサ電極が、タッチパネルの端部まで引き廻される方向と、表示手段における画素の行とが平行になるようにタッチパネルに形成されることが好ましい。
【0024】
また、制御手段が、表示駆動手段が第1行を選択してから次に第1行を選択するまでの期間であるフレーム期間内に、接触判定手段に各センサ電極を複数回ずつ選択させることが好ましい。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、良好な感度を保ちつつ、表示装置の駆動に起因するタッチパネルの誤検出を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明のタッチパネル付き表示装置の構成例を示すブロック図。
【図2】タッチパネル付き表示装置の具体的な構成例を示す分解斜視図。
【図3】タッチパネルに配置されたセンサ電極の例を示す説明図。
【図4】引き廻し部分を含むセンサ電極の形状を示す説明図。
【図5】液晶表示パネルに設けられる各電極およびソースライン、ゲートラインを示す説明図。
【図6】制御部が生成する制御信号と液晶表示パネルにおける選択行との関係の例を示す説明図。
【図7】各センサ電極における静電容量計測等を実行するタイミングの例を示す説明図。
【図8】一般的なタッチパネル付き表示装置の構成例を示す説明図。
【図9】第1の方式(Self Capacitance方式)を採用するタッチパネルの電極の配置例を示す説明図。
【図10】第2の方式(Mutual Capacitance方式)を採用するタッチパネルの電極の配置例を示す説明図。
【図11】タッチパネルへの接触による静電容量の変化の例を示す説明図。
【図12】液晶表示パネルの駆動に起因するノイズによって静電容量が閾値を超える状況を示す説明図。
【図13】ノイズの発生タイミングを示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
図1は、本発明のタッチパネル付き表示装置の構成例を示すブロック図である。また、図2は、タッチパネル付き表示装置の具体的な構成例を示す分解斜視図である。
【0028】
図1に示すように、本実施の形態のタッチパネル付き表示装置は、タッチパネル1と、液晶表示パネル2と、タッチパネルコントローラ3と、表示パネルコントローラ4と、制御部5とを備える。
【0029】
タッチパネル1は、液晶表示パネル2の上層に貼り付けられる。また、図2に示すように、液晶表示パネル2の背面には光を照射するバックライト7が設けられる。タッチパネル1の上層には、タッチパネル付き表示装置を保護するカバーレンズ8が設けられる。カバーレンズ8は、タッチパネル1と重なる部分に透明部材10を備え、透明部材10の周りには、例えばBM(Black Mask:ブラックマスク)9が設けられる。なお、カバーレンズ8を備えずに、タッチパネル1がカバーレンズとして兼用される構成であってもよい。
【0030】
液晶表示パネル2は、透明電極が設けられた2枚の基板間に液晶を挟持し、液晶の印加電圧を設定されることにより画像を表示する。以下に示す説明では、液晶表示パネル2が、画素毎にスイッチング素子を備えたアクティブマトリクス液晶表示パネルである場合を例に説明する。
【0031】
表示パネルコントローラ4は、液晶表示パネル2を制御して、液晶表示パネル2に画像を表示させる。表示パネルコントローラ4は、例えば、液晶表示パネル2の画素の各列に設けられたソースラインの電位を設定するソースドライバ11と、液晶表示パネル2の画素の各行に設けられたゲートラインを線順次走査するゲートドライバ12と、ソースドライバ11およびゲートドライバ12に対して制御信号を出力するタイミングコントローラ13とを含むIC(Integrated Circuit)によって実現される。タイミングコントローラ13は、制御部5に従って、選択する行(ゲートライン)の切り換えを指示する制御信号(以下、行切換信号)をソースドライバ11およびゲートドライバ12に入力する。また、タイミングコントローラ13は、表示する画像の画像データを行毎にソースドライバ11に入力する。ゲートドライバ12は、行切換信号が入力される毎に、選択する行を切り換える。また、ソースドライバ12は、行切換信号が入力される毎に、選択行の各画素の画像データに応じて、各列のソースラインの電位を設定する。この制御により、液晶表示パネル2に画像を表示させる。
【0032】
なお、液晶表示パネル2に設けられる各電極およびソースライン、ゲートラインについては後述する。
【0033】
タッチパネル1は、投影型静電容量方式のタッチパネルである。ここでは、タッチパネル1が第1の方式(Self Capacitance方式)である場合を例にして説明するが、第2の方式(Mutual Capacitance方式)であってもよい。タッチパネル1は、静電容量を計測するために用いる透明電極(以下、センサ電極)を複数備える。
【0034】
図3は、タッチパネル1に配置されたセンサ電極の例を示す説明図である。タッチパネル1は、透明なタッチパネル基板21上に、複数のセンサ電極E1〜E8を備えている。センサ電極E1〜E8の配置領域が、指等の導体の接触があったか否かを判定する領域となる。なお、図3では、各センサ電極の引き廻し部分の図示を省略している。図3では、8個のセンサ電極を備える例を示しているが、センサ電極の数や形状は、図3に示す例に限定されない。また、以下の説明では、タッチパネル1に接触する導体が、指であるものとして説明する。
【0035】
また、タッチパネル1の端部までの引き廻し部分を含むセンサ電極は、直下に存在する液晶表示パネル2の画素の行との重なりが少ない方が好ましい。すなわち、引き廻し部分を含むセンサ電極と重なる液晶表示パネル2の画素の行数は少ない方が好ましい。従って、タッチパネル1の端部までのセンサ電極の引き廻し部分が伸びる方向が液晶表示パネル2の画素の各行(換言すれば、各ゲートライン)と平行になるように各センサ電極を形成することが好ましい。図4は、引き廻し部分を含むセンサ電極の形状を示す説明図である。図4に示すように、各センサ電極がタッチパネルの端部まで引き廻される方向が液晶表示パネル2における画素の各行と平行になるように各センサ電極を形成することにより、引き廻し部分22を含む個々のセンサ電極に重なる画素の行数を少なくすることができる。
【0036】
タッチパネルコントローラ3は、センサ電極を一つずつ選択し、選択したセンサ電極を用いて静電容量を計測する。本例では、タッチパネルコントローラ3は、センサ電極と、タッチパネルに触れる指とによって形成されるキャパシタの静電容量を計測する。タッチパネルコントローラ3は、静電容量の計測値が、予め定められた閾値を超えたならば、その静電容量の計測時に選択したセンサ電極の配置位置に指が接触したと判定する。例えば、タッチパネルコントローラ3は、センサ電極E1(図3参照)を選択したときの静電容量の計測値が、閾値を超えていたならば、センサ電極E1の配置位置に指が接触したと判定する。なお、タッチパネルコントローラ3は、静電容量の計測として、静電容量の大きさに応じて数値化される値の計測を行えばよく、静電容量の計測態様は、ピコファラド単位で静電容量を計測する計測態様でなくてもよい。タッチパネルコントローラ3は、例えば、ICによって実現される。
【0037】
制御部5(図1参照。図2において図示略。)は、表示パネルコントローラ4に液晶表示パネル2を線順次走査で駆動させ、また、タッチパネルコントローラ3に各センサ電極を順次選択させ、指の接触の有無を判定させる。ただし、制御部5は、個々のセンサ電極に関して、センサ電極と重なる液晶表示パネル2の各行が選択される期間内で、そのセンサ電極を選択しないように表示パネルコントローラ4およびタッチパネルコントローラ3を制御する。換言すれば、個々のセンサ電極に関して、センサ電極と重なる液晶表示パネル2の各行が選択される期間以外の期間で、そのセンサ電極を選択するように表示パネルコントローラ4およびタッチパネルコントローラ3を制御する。すなわち、表示パネルコントローラ4のゲートドライバ12(図1参照)が、ある行を選択している間に、その選択行に重なるセンサ電極をタッチパネルコントローラ3が選択しないようにする。制御部5は、例えば、マイクロコンピュータによって実現される。
【0038】
図2に示すように、表示パネルコントローラ4は、液晶表示パネル2の2枚の基板の一方に配置される。また、制御部5(図2において図示略)と表示パネルコントローラ4とを接続させる配線は、例えば、液晶表示パネル用FPC6上に形成される。
【0039】
また、タッチパネルコントローラ3は、例えば、タッチパネル用FPC5上に形成され、このFPC5上に形成された配線によって、制御部5(図2において図示略)と接続される。
【0040】
図5は、液晶表示パネル2に設けられる各電極およびソースライン、ゲートラインを示す説明図である。液晶表示パネル2の一方の透明基板(図示略)には、マトリクス状に画素電極31が設けられる。画素電極31の配置領域が画素に相当する。なお、図5では、1つの画素電極31のみを図示している。また、もう一方の透明基板(図示略)には、各画素電極31と対向するコモン電極30が設けられる。そして、透明基板間に液晶を封止して、コモン電極30と画素電極31との間に液晶を挟持させる。
【0041】
コモン電極30は、コモン電極用の所定の電位に設定される。
【0042】
また、液晶表示パネル2は、画素の列毎にソースラインを備え、画素の行毎にゲートラインを備える。そして、各画素電極31は、配置された列に対応するソースラインにスイッチング素子を介して接続される。また、各画素電極31は、配置された行に対応するゲートラインに、スイッチング素子を介して接続される。ここでは、スイッチング素子がTFTである場合を例にして説明する。
【0043】
図5では、画素電極31がi行目のゲートライン33iに接続され、k列目のソースライン34kに接続される場合を例にする。個々の画素電極31には、それぞれTFT32が設けられる。そして、TFT32のゲート32aは、配置された行のゲートライン33iに接続される。また、TFT32のソース32cは、配置された列のソースライン34kに接続される。そして、TFT32のドレイン32bは画素電極31に接続される。
【0044】
TFT32は、ゲート32aの電位が選択時電位に設定されると、ドレイン32bとソース32cとを導通状態にする。選択時電位とは、ドレイン32bとソース32cとを導通状態にするためにゲート32aに設定される電位である。ドレイン32bとソース32cとが導通状態となることにより、画素電極31は、ソースライン34kと等電位に設定される。表示パネルコントローラ4のゲートドライバ12(図1参照)は、選択した行のゲートラインを選択時電位に設定することによって、選択行のゲート32aを選択時電位とし、選択行の各画素電極31を対応する列のソースラインと等電位にする。この結果、選択行の各画素電極31は、その行の画像データに応じた電位に設定される。すると、選択行の各画素の液晶に、選択行の画像データに応じた電圧が印加され、その画素の表示状態が定まる。
【0045】
また、ゲートドライバ12(図1参照)は、選択していない行のゲートラインを、非選択時電位に設定することによって、画素電極31とソースライン34kとを非導通状態とする。非選択時電位とは、ドレイン32bとソース32cとを非導通状態にするためにゲート32aに設定される電位である。
【0046】
次に、動作について説明する。なお、タッチパネル1は、図3に示すセンサ電極E1〜E8を備えているものとする。
【0047】
図6は、制御部5(図1参照)が生成する制御信号と液晶表示パネル2における選択行との関係の例を示す説明図である。制御部5は、表示パネルコントローラ4に対して、1行目のゲートラインからの選択を順次行うことを指示するための制御信号(以下、フレーム信号と記す。)を入力する。図6に示す例では、フレーム信号をローレベルからハイレベルに切り換えることが、1行目のゲートラインからの選択開始の指示を意味する。フレーム信号がローレベルからハイレベルに切り換えられると、タイミングコントローラ13(図1参照)が、行切換信号をソースドライバ11およびゲートドライバ12に入力し、ゲートドライバ12が行切換信号に従って1行目のゲートラインから順次選択していく。図6に示す期間T1は、センサ電極E1に重なる各行のゲートラインを順次選択する期間である。
【0048】
また、制御部5は、フレーム信号をハイレベルに切り換えてから、全行の選択期間分の時間が経過した後、フレーム信号をローレベルに切り換える。従って、フレーム信号がハイレベルになっている期間内に、全行の選択期間が含まれる。制御部5は、フレーム信号をローレベルに切り換えた後、再度ハイレベルに切り換えることで、表示パネルコントローラ4に再度1行目からの走査を実行させる。
【0049】
また、制御部5は、タッチパネルコントローラ3(図1参照)に対して、個々のセンサ電極毎に、センサ電極を選択して、静電容量の計測および指の接触・非接触の判定を指示する制御信号(以下、計測指示信号)を入力する。図6に示す例では、センサ電極E1,E2に関する計測指示信号を図示しているが、制御部5は、他のセンサ電極E3〜E8に関する計測指示信号もタッチパネルコントローラ3に入力する。タッチパネルコントローラ3は、計測指示信号がローレベルからハイレベルになると、その計測指示信号に対応するセンサ電極を選択し、そのセンサ電極における静電容量を計測する。そして、計測結果が、予め定められた閾値を超えていれば、そのセンサ電極の配置位置への接触があると判定し、閾値以下であれば、そのセンサ電極の配置位置への接触はないと判定し、判定結果を制御部5に送る。制御部5は、タッチパネルコントローラ3による判定が終了すると、計測指示信号をハイレベルからローレベルに切り換える。
【0050】
制御部5は、個々のセンサ電極に関して、センサ電極と重なる各行(各ゲートライン)を順次選択する期間では、そのセンサ電極の計測指示信号をローレベルとし、計測指示信号をハイレベルとする期間は、そのセンサ電極と重なる各行を順次選択する期間外に設ける。例えば、制御部5は、センサ電極E1に関しては、センサ電極E1と重なる各行を選択する期間T1(図6参照)内では、センサ電極E1の計測指示信号をローレベルに維持する。そして、期間T1と重複しない期間において、センサ電極E1の計測指示信号をハイレベルに切り換え、タッチパネルコントローラ3にセンサ電極E1に関する処理を実行させる。
【0051】
なお、図3に示すように、センサ電極E1,E2は横方向に並んでいるので、図6に示す期間T1は、センサ電極E2と重なる各行を選択する期間でもある。従って、制御部5は、センサ電極E2に関する計測指示信号も、期間T1内ではローレベルとし、期間T1と重複しない期間で、ハイレベルに切り換える。なお、制御部5は、各センサ電極に関する計測指示信号をハイレベル期間をそれぞれずらす。従って、センサ電極E1,E2に関する計測指示信号を同時にハイレベルにすることはない。
【0052】
ここでは、センサ電極E1,E2を例に説明したが、他のセンサ電極E3〜E8に関しても、それらのセンサ電極と重なる各行の選択期間の間は、それらのセンサ電極における静電容量計測および接触の有無の判定は実行させず、他の期間で静電容量計測および接触の有無の判定を実行させるようにタッチパネルコントローラ3を制御する。
【0053】
図7は、各センサ電極における静電容量計測等を実行するタイミングの例を示す説明図である。期間T1は、図3に示すセンサ電極E1,E2と重なる各行を順次選択する期間である。これらの行は、センサ電極E1,E2以外の各センサ電極E3〜E8とは重なっていない。よって、制御部5は、期間T1において、期間T1内で順次選択する各行と重ならない各センサ電極E3〜E8を順次選択するようにタッチパネルコントローラ3を制御すればよい。すなわち、期間T1において、センサ電極E3〜E8に関する計測指示信号を順次、ハイレベルに切り換えればよい。
【0054】
図7に示す期間T2は、図3に示すセンサ電極E3,E4と重なる各行を順次選択する期間である。期間T3は、図3に示すセンサ電極E5,E6と重なる各行を順次選択する期間である。期間T4は、図3に示すセンサ電極E7,E8と重なる各行を順次選択する期間である。これらの各期間T2〜T4においても、制御部5は、それらの期間内で順次選択する行と重ならない各センサ電極を順次選択するようにタッチパネルコントローラ3を制御すればよい。すなわち、期間T2では、制御部5は、タッチパネルコントローラ3にセンサ電極E1,E2,E5〜E8を順次選択させればよい。また、期間T3では、タッチパネルコントローラ3にセンサ電極E1〜E4,E7,E8を順次選択させればよい。また、期間T4では、タッチパネルコントローラ3にセンサ電極E1〜E6を順次選択させればよい。
【0055】
図7に示すように、各センサ電極E1〜E8を選択するようにタッチパネルコントローラ3を制御すれば、1フレーム期間で、各センサ電極を複数回ずつ(本例では3回ずつ)選択することになるので、ユーザがタッチパネル1に接触したときの応答を速くすることができる。
【0056】
なお、制御部5は、個々の期間T1〜T4において、それらの期間内で順次選択する行と重ならないセンサ電極を全て選択するのではなく、その一部を選択するように制御してもよい。例えば、制御部5は、図7に示す期間T1において、タッチパネルコントローラ3にセンサ電極E3〜E6を順次選択させてもよい。そして、期間T2では、センサ電極E5〜E8を順次選択させてもよい。期間T3では、センサ電極E7,E8,E1,E2を順次選択させてもよい。期間T4では、センサ電極E1〜E4を順次選択させてもよい。この場合でも、1フレーム期間で、各センサ電極を2回ずつ選択することになるので、タッチパネル1に接触したときの応答を速くすることができる。
【0057】
また、例えば、制御部5は、期間T1において、タッチパネルコントローラ3にセンサ電極E3,E4を順次選択させてもよい。そして、期間T2では、センサ電極E5,E6を順次選択させてもよい。そして、期間T3では、センサ電極E7,E8を順次選択させてもよい。そして、期間T4では、センサ電極E1,E2を順次選択させてもよい。この場合は、1フレーム期間で、各センサ電極を1回ずつ選択することになる。
【0058】
以上に示したセンサ電極の選択の仕方は例示であり、センサ電極と重なる液晶表示パネル2の各行が選択される期間内で、そのセンサ電極を選択しないという条件と、複数のセンサ電極を同時に選択しないという条件を満たしてれば、センサ電極の選択の仕方は、任意でよい。ただし、1フレーム期間内で、各センサ電極を複数回選択することが、接触に対する応答の高速化の観点から好ましい。
【0059】
本発明によれば、あるセンサ電極と重なる液晶表示パネル2の各行が選択される期間内では、そのセンサ電極を選択せず、他の期間内でそのセンサ電極を選択する。従って、タッチパネルコントローラ3が、あるセンサ電極を選択し、そのセンサ電極における静電容量を計測するときには、そのセンサ電極の直下にある行は選択されていないため、センサ電極の直下の行を選択することで発生するノイズの影響を受けずに、静電容量を計測することができる。従って、静電容量の計測結果が突出して大きな値になることがない。その結果、タッチパネル1に対する接触がないにも関わらず、接触ありと誤判定することを防止できる。
【0060】
また、静電容量の計測結果が突出して大きな値になることがないため、タッチパネル1に対する接触がない非接触期間における静電容量計測値の変動幅の上限L2(図11参照)が高くなることがない。よって、非接触期間における静電容量計測値の変動幅Pに対する、接触による静電容量の変化量Qの割合であるQ/Pを大きな値に保つことができ、タッチパネルの感度低下を防止することができる。
【0061】
また、各センサ電極がタッチパネルの端部まで引き廻される方向と、表示手段における画素の行とが平行になるように各センサ電極をタッチパネルに形成することで、個々のセンサ電極に重なる画素の行数をすくなくすることができる。その結果、個々のセンタ電極を選択できる期間を増やすことができる。
【0062】
上記の説明では、タッチパネル1が第1の方式(Self Capacitance方式)である場合を例にして説明した。タッチパネル1が第2の方式(Mutual Capacitance方式)である場合、キャパシタの静電容量を計測するために用いるセンス側電極が、センサ電極に相当する。従って、液晶表示パネル2の各行と平行になるように、タッチパネルのセンス側電極を形成すればよい。すなわち、センス側電極がタッチパネルの端部まで引き廻される方向を、液晶表示パネル2の各行と平行にすればよい。なお、Mutual Capacitance方式では、ドライブ側電極はセンス側電極と直交するため、ドライブ側電極は液晶表示パネル2の各行と平行にならないが、センス側電極が液晶表示パネル2の各行と平行になっていればよい。
【0063】
また、上記の実施の形態では、タッチパネルコントローラ3が、静電容量を計測し、その計測値と閾値とを比較して指の接触の有無を判定する場合を説明した。タッチパネルコントローラ3は、静電容量の変化を計測対象とし、静電容量の変化量を表す値を計測してもよい。この場合にも、タッチパネルコントローラ3は、変化量の計測値が、予め定められた閾値を超えていれば接触があると判定し、閾値以下であれば接触がないと判定すればよい。
【0064】
また、上記の実施の形態では、タッチパネル1の下層に設ける表示装置として、アクティブマトリクス型の液晶表示パネル2を備える場合を例にして説明したが、表示装置は、線順次走査で駆動される表示装置であればよい。例えば、タッチパネル1の下層の表示装置として、パッシブマトリクス型の液晶表示パネルを用いてもよい。あるいは、線順次走査で駆動される表示装置であれば、液晶表示パネル以外の表示装置であってもよい。例えば、有機EL表示装置であってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0065】
本発明は、表示装置上に静電容量型のタッチパネルが設けられたタッチパネル付き表示装置に好適に適用される。
【符号の説明】
【0066】
1 タッチパネル
2 液晶表示パネル
3 表示パネルコントローラ4
4 タッチパネルコントローラ
5 制御部
11 ソースドライバ
12 ゲートドライバ
13 タイミングコントローラ
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示装置上にタッチパネルが設けられたタッチパネル付き表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
図8は、一般的なタッチパネル付き表示装置の構成例を示す説明図である。タッチパネル付き表示装置は、図8に例示するように、画像を表示する液晶表示パネル92の上層にタッチパネル91を備える。なお、液晶表示パネル92は、両面に偏光板93を備え、液晶表示パネル92の背面には、バックライト94が設けられる。タッチパネル91は、液晶表示パネル92の上層に貼り付けられ、さらに、タッチパネル91の上層にカバーレンズ95が貼り付けられる。なお、カバーレンズ95を備えずに、タッチパネル91がカバーレンズとして兼用される場合もある。
【0003】
タッチパネル91は、例えば、タッチパネルコントローラ98が配置されたFPC(Flexible Printed Circuits :フレキシブルプリント基板)99が取り付けられる。液晶表示パネル92には、液晶表示パネル92を駆動する表示パネルコントローラ96や、表示パネルコントローラ96への配線が配置されるFPC97が取り付けられる。
【0004】
液晶表示パネル92は、例えば、画素毎にTFT(Thin Film Transistor)等のスイッチング素子を備えるアクティブマトリクス方式の液晶表示パネルであり、表示パネルコントローラ96が、各行を線順次に走査して画像を表示させる。
【0005】
タッチパネル91として、投影型静電容量方式のタッチパネルが用いられる。投影型静電容量方式のタッチパネルでは、ITO(Indium Tin Oxide)等の透明電極をセンサとして静電容量を計測し、タッチパネルに対する指等の導体の接触位置を検出する。なお、静電容量の計測では、静電容量の大きさに応じて数値化される値の計測を行えばよく、ピコファラド単位で静電容量を計測する計測態様でなくてもよい。投影型静電容量方式のタッチパネルには、以下に示す2つの方式がある。
【0006】
第1の方式は、個々の透明電極と、タッチパネルへの接触物(例えば指)とによって形成されるキャパシタの静電容量を計測する方式である。この方式は、自己容量計測方式(Self Capacitance方式)と呼ばれることもある。図9は、第1の方式(Self Capacitance方式)を採用するタッチパネルの電極の配置例を示す説明図である。図9に示す例では、6本の横向きの電極X1〜X6と、5本の縦向きの電極Y1〜Y5を配置した例を示している。第1の方式では、X6,X5,X4,X3,X2,X1,Y1,Y2,Y3,Y4,Y5の順に各電極を1本ずつ選択し、選択した電極と指とで形成されるキャパシタの静電容量を計測し、その静電容量に基づいて、指の接触位置の位置を検出する。図9に示す例では、縦軸方向と横軸方向のそれぞれにおける位置を検出することで、パネル上の接触位置を特定できる。なお、横向きの電極と縦向きの電極は、それらの交差部において絶縁とされている。
【0007】
第2の方式は、交差する透明電極によって形成されるキャパシタの静電容量を計測する方式である。この方式は、相互容量計測方式(Mutual Capacitance方式)と呼ばれることもある。交差する透明電極のうち、一方は、キャパシタに電荷を充放電させるために用いられる。この透明電極をドライブ側電極と称する。また、もう一方の電極は、キャパシタの静電容量を計測するために用いられる。この透明電極をセンス側電極と称する。指の接触により、キャパシタの静電容量は変動する。図10は、第2の方式(Mutual Capacitance方式)を採用するタッチパネルの電極の配置例を示す説明図である。図10では、6本のドライブ側電極D1〜D6と、5本のセンス側電極S1〜S5を直交させた場合を例示している。本例では、センス側電極S1〜S5により、30箇所の電極交差位置に形成されるキャパシタの静電容量を順次計測し、指の接触位置を検出する。
【0008】
また、いずれの方式においても、タッチパネル91に指等が接触すると、その位置に対応するキャパシタの静電容量は変化する。図11は、タッチパネルへの接触による静電容量の変化の例を示す説明図である。図11の横軸は時間軸であり、縦軸は静電容量の計測値を表す。図11に示す時刻t2〜t3の期間中にタッチパネル91に指が接触していたとする。指が接触していない間においても、静電容量は計測される。指が接触していない期間における静電容量の計測結果の変動の下限をL1とし、上限をL2とする。
【0009】
また、指がタッチパネル91に接触すると、その接触位置に応じた透明電極によって計測される静電容量は上昇する。静電容量の計測結果は、予め定められた閾値と比較され、静電容量の計測結果が閾値を超えている期間中、指がタッチパネル91に接触していると判定される。図11に示す例では、時刻t2〜t3の期間に指が接触していると判定され、時刻t1〜t2の期間や、時刻t3より後の期間は、非接触期間であると判定される。なお、時刻t2〜t3の期間では、静電容量の計測に用いられた透明電極に対応する位置が指の接触位置として検出される。また、接触期間と判定された期間における静電容量の平均値をL3とする。
【0010】
非接触期間における静電容量の変動幅をPとし、指の接触による静電容量の変化量(増加量)をQとする。P=L2−L1であり、Q=L3−L2である。タッチパネルにおいて、Pに対するQの割合(Q/P)が1よりも大きく、さらにマージンを持っていることが、タッチパネルの感度を高める観点から好ましい。
【0011】
また、特許文献1には、ディスプレイ装置において、タッチパネルのタッチ入力と関係ない映像入力が選択されているときに、タッチパネルが動作しないようにすることで、誤動作を防止するタッチパネル付き表示装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開2002−116879号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
タッチパネル付き表示装置では、表示された画像上の所望の位置をユーザが触れ、その接触位置をタッチパネルが検出する。従って、液晶表示パネル92(図8参照)の上層にタッチパネル91を重ねて配置しなければならない。すると、液晶表示パネル92の線順次走査によるノイズの影響を受け、タッチパネル91に指が接触していないにも関わらず、閾値を超える静電容量が計測されてしまうことがある。その結果、指が接触しているという誤った判定結果が生じる。
【0014】
これを詳述すると、液晶表示パネル92をタッチパネル91の下方に配置しないタッチパネル91単独の状態で静電容量を測定すると、静電容量の出力値(計測値)の変動幅は小さい。一方、液晶表示パネル92をタッチパネル91の下方に配置し、液晶表示パネルを駆動した状態で静電容量を測定すると、静電容量の計測値の変動幅は大きくなるとともに、静電容量の計測値が突出して大きくなる場合が生じる。この突出した値が閾値を超えると誤検出が生じることになる。
【0015】
図12は、液晶表示パネル92の駆動に起因するノイズによって静電容量が閾値を超える状況を示す説明図である。図12に示す例では、実際に指がタッチパネルに接触している期間は、時刻t14〜t15である。従って、時刻t14〜t15が接触期間と判定され、時刻t11〜t14の期間と、時刻t15より後の期間が非接触期間と判定されることが理想的である。しかし、図12に示す例では、液晶表示パネル92の駆動に起因するノイズにより、非接触期間であるはずの時刻t12〜t13の期間おいて、静電容量の計測値が閾値を超えている。この結果、図12に示す例では、t12〜t13が接触期間として誤検出されることになる。
【0016】
また、図12に示す例では、図11に示す例と比較して、L2が閾値より高い値に上昇し、非接触期間における静電容量の変動幅Pが広がる。逆に、指の接触による静電容量の変化量Qが狭まる。そのため、Q/Pの値が小さくなってしまう。
【0017】
液晶表示パネルの駆動に起因するノイズは、静電容量を計測するタッチパネルの透明電極の選択期間と、その透明電極の配置位置に重なる液晶表示パネルの行の選択期間とが重なるときに、静電容量計測に影響を及ぼす。図13は、ノイズの発生タイミングを示す説明図である。図13に示すセンシング期間は、タッチパネルの透明電極により静電容量を計測する期間を表している。図13に示す例では、S1〜S8の8個の透明電極を順次選択し、選択した透明電極で静電容量を計測する場合を示している。図13に示すように、S1〜S8の個々の透明電極を用いた静電容量の計測期間は、センシング期間に含まれている。また、図13に示す選択波形は、タッチパネルの下に配置される液晶表示パネルの各行を順次選択するタイミングを示している。1フレーム期間は、液晶表示パネルの第1行を選択してから次にその第1行を選択するまでの期間である。期間Aは、タッチパネルの透明電極S1の配置位置に重なる各行を順次選択する期間である。期間Bは、他の各行を順次選択する期間である。図13に示すように、タッチパネルの透明電極S1による静電容量の計測期間と、その透明電極S1の配置位置に重なる各行を順次選択する期間Aとが重なることで、透明電極S1による計測時に、直下の液晶表示パネルの行の選択に起因するノイズの影響を受ける。ここでは、透明電極S1による静電容量計測時のノイズを例に説明したが、タッチパネルにおける他の透明電極の選択時においても、その直下の液晶表示パネルの行が選択されているとノイズの影響を受ける。
【0018】
上記のようなノイズによる誤検出を防止するために、図8に例示する構成において、液晶表示パネル92とタッチパネル91との間に、ノイズシールドを設けることが考えられる。しかし、そのような構成とすると、ノイズシールドを設ける分、生産コストが高くなってしまう。また、ノイズシールドをタッチパネルの反センサ電極面に形成する場合、タッチパネルの基板に対して両面に電極を形成することになり、製造工程において両方の電極面への傷つきが多くなり、タッチパネルの生産歩留まりが低下してしまう。
【0019】
また、タッチパネルコントローラ98および表示パネルコントローラ96(図8参照)を制御するコンピュータ(図示せず)、あるいは、タッチパネルコントローラ98にデジタルフィルタを内蔵させることも考えられる。デジタルフィルタによって、突出した静電容量計測値を平均化することで誤検出を防止することができる。しかし、そのように平均化を行ったとしても、非接触期間における静電容量計測値の変動幅の上限L2(図11参照)は、ノイズが発生しない場合よりも高くなり、結果として、Q/Pの値が小さくなる。そのため、タッチパネルの感度が低下してしまう。
【0020】
特許文献1に記載されたタッチパネル付き表示装置は、タッチ入力と関係ない画像を表示する際に誤動作を防止できる。しかし、タッチ入力と関連する画像を線順次走査で表示する場合には、上記のような誤検出を防止できない。
【0021】
そこで、本発明は、良好な感度を保ちつつ、表示装置の駆動に起因するタッチパネルの誤検出を防止することができるタッチパネル付き表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0022】
本発明によるタッチパネル付き表示装置は、マトリクス状に配置された画素によって画像を表示する表示手段(例えば、液晶表示パネル2)と、表示手段の画素の行を順次選択して、表示手段に画像を表示させる表示駆動手段(例えば、表示パネルコントローラ4)と、複数のセンサ電極(例えば、センサ電極E1〜E8)を有し、表示手段の上層に設けられるタッチパネル(例えば、タッチパネル1)と、タッチパネルのセンサ電極を選択し、選択したセンサ電極における静電容量または静電容量の変化量を測定し、静電容量または静電容量の変化量の測定値に基づいて、選択したセンサ電極に応じた位置に対する導体の接触の有無を判定する接触判定手段(例えば、タッチパネルコントローラ3)と、表示駆動手段および接触判定手段を制御する制御手段(例えば、制御部5)とを備え、制御手段が、個々のセンサ電極について、センサ電極と重なる表示手段の各行が選択される期間内で当該センサ電極の選択を行わないという条件を満たすように、接触判定手段に各センサ電極を選択させることを特徴とする。
【0023】
また、各センサ電極が、タッチパネルの端部まで引き廻される方向と、表示手段における画素の行とが平行になるようにタッチパネルに形成されることが好ましい。
【0024】
また、制御手段が、表示駆動手段が第1行を選択してから次に第1行を選択するまでの期間であるフレーム期間内に、接触判定手段に各センサ電極を複数回ずつ選択させることが好ましい。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、良好な感度を保ちつつ、表示装置の駆動に起因するタッチパネルの誤検出を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明のタッチパネル付き表示装置の構成例を示すブロック図。
【図2】タッチパネル付き表示装置の具体的な構成例を示す分解斜視図。
【図3】タッチパネルに配置されたセンサ電極の例を示す説明図。
【図4】引き廻し部分を含むセンサ電極の形状を示す説明図。
【図5】液晶表示パネルに設けられる各電極およびソースライン、ゲートラインを示す説明図。
【図6】制御部が生成する制御信号と液晶表示パネルにおける選択行との関係の例を示す説明図。
【図7】各センサ電極における静電容量計測等を実行するタイミングの例を示す説明図。
【図8】一般的なタッチパネル付き表示装置の構成例を示す説明図。
【図9】第1の方式(Self Capacitance方式)を採用するタッチパネルの電極の配置例を示す説明図。
【図10】第2の方式(Mutual Capacitance方式)を採用するタッチパネルの電極の配置例を示す説明図。
【図11】タッチパネルへの接触による静電容量の変化の例を示す説明図。
【図12】液晶表示パネルの駆動に起因するノイズによって静電容量が閾値を超える状況を示す説明図。
【図13】ノイズの発生タイミングを示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
図1は、本発明のタッチパネル付き表示装置の構成例を示すブロック図である。また、図2は、タッチパネル付き表示装置の具体的な構成例を示す分解斜視図である。
【0028】
図1に示すように、本実施の形態のタッチパネル付き表示装置は、タッチパネル1と、液晶表示パネル2と、タッチパネルコントローラ3と、表示パネルコントローラ4と、制御部5とを備える。
【0029】
タッチパネル1は、液晶表示パネル2の上層に貼り付けられる。また、図2に示すように、液晶表示パネル2の背面には光を照射するバックライト7が設けられる。タッチパネル1の上層には、タッチパネル付き表示装置を保護するカバーレンズ8が設けられる。カバーレンズ8は、タッチパネル1と重なる部分に透明部材10を備え、透明部材10の周りには、例えばBM(Black Mask:ブラックマスク)9が設けられる。なお、カバーレンズ8を備えずに、タッチパネル1がカバーレンズとして兼用される構成であってもよい。
【0030】
液晶表示パネル2は、透明電極が設けられた2枚の基板間に液晶を挟持し、液晶の印加電圧を設定されることにより画像を表示する。以下に示す説明では、液晶表示パネル2が、画素毎にスイッチング素子を備えたアクティブマトリクス液晶表示パネルである場合を例に説明する。
【0031】
表示パネルコントローラ4は、液晶表示パネル2を制御して、液晶表示パネル2に画像を表示させる。表示パネルコントローラ4は、例えば、液晶表示パネル2の画素の各列に設けられたソースラインの電位を設定するソースドライバ11と、液晶表示パネル2の画素の各行に設けられたゲートラインを線順次走査するゲートドライバ12と、ソースドライバ11およびゲートドライバ12に対して制御信号を出力するタイミングコントローラ13とを含むIC(Integrated Circuit)によって実現される。タイミングコントローラ13は、制御部5に従って、選択する行(ゲートライン)の切り換えを指示する制御信号(以下、行切換信号)をソースドライバ11およびゲートドライバ12に入力する。また、タイミングコントローラ13は、表示する画像の画像データを行毎にソースドライバ11に入力する。ゲートドライバ12は、行切換信号が入力される毎に、選択する行を切り換える。また、ソースドライバ12は、行切換信号が入力される毎に、選択行の各画素の画像データに応じて、各列のソースラインの電位を設定する。この制御により、液晶表示パネル2に画像を表示させる。
【0032】
なお、液晶表示パネル2に設けられる各電極およびソースライン、ゲートラインについては後述する。
【0033】
タッチパネル1は、投影型静電容量方式のタッチパネルである。ここでは、タッチパネル1が第1の方式(Self Capacitance方式)である場合を例にして説明するが、第2の方式(Mutual Capacitance方式)であってもよい。タッチパネル1は、静電容量を計測するために用いる透明電極(以下、センサ電極)を複数備える。
【0034】
図3は、タッチパネル1に配置されたセンサ電極の例を示す説明図である。タッチパネル1は、透明なタッチパネル基板21上に、複数のセンサ電極E1〜E8を備えている。センサ電極E1〜E8の配置領域が、指等の導体の接触があったか否かを判定する領域となる。なお、図3では、各センサ電極の引き廻し部分の図示を省略している。図3では、8個のセンサ電極を備える例を示しているが、センサ電極の数や形状は、図3に示す例に限定されない。また、以下の説明では、タッチパネル1に接触する導体が、指であるものとして説明する。
【0035】
また、タッチパネル1の端部までの引き廻し部分を含むセンサ電極は、直下に存在する液晶表示パネル2の画素の行との重なりが少ない方が好ましい。すなわち、引き廻し部分を含むセンサ電極と重なる液晶表示パネル2の画素の行数は少ない方が好ましい。従って、タッチパネル1の端部までのセンサ電極の引き廻し部分が伸びる方向が液晶表示パネル2の画素の各行(換言すれば、各ゲートライン)と平行になるように各センサ電極を形成することが好ましい。図4は、引き廻し部分を含むセンサ電極の形状を示す説明図である。図4に示すように、各センサ電極がタッチパネルの端部まで引き廻される方向が液晶表示パネル2における画素の各行と平行になるように各センサ電極を形成することにより、引き廻し部分22を含む個々のセンサ電極に重なる画素の行数を少なくすることができる。
【0036】
タッチパネルコントローラ3は、センサ電極を一つずつ選択し、選択したセンサ電極を用いて静電容量を計測する。本例では、タッチパネルコントローラ3は、センサ電極と、タッチパネルに触れる指とによって形成されるキャパシタの静電容量を計測する。タッチパネルコントローラ3は、静電容量の計測値が、予め定められた閾値を超えたならば、その静電容量の計測時に選択したセンサ電極の配置位置に指が接触したと判定する。例えば、タッチパネルコントローラ3は、センサ電極E1(図3参照)を選択したときの静電容量の計測値が、閾値を超えていたならば、センサ電極E1の配置位置に指が接触したと判定する。なお、タッチパネルコントローラ3は、静電容量の計測として、静電容量の大きさに応じて数値化される値の計測を行えばよく、静電容量の計測態様は、ピコファラド単位で静電容量を計測する計測態様でなくてもよい。タッチパネルコントローラ3は、例えば、ICによって実現される。
【0037】
制御部5(図1参照。図2において図示略。)は、表示パネルコントローラ4に液晶表示パネル2を線順次走査で駆動させ、また、タッチパネルコントローラ3に各センサ電極を順次選択させ、指の接触の有無を判定させる。ただし、制御部5は、個々のセンサ電極に関して、センサ電極と重なる液晶表示パネル2の各行が選択される期間内で、そのセンサ電極を選択しないように表示パネルコントローラ4およびタッチパネルコントローラ3を制御する。換言すれば、個々のセンサ電極に関して、センサ電極と重なる液晶表示パネル2の各行が選択される期間以外の期間で、そのセンサ電極を選択するように表示パネルコントローラ4およびタッチパネルコントローラ3を制御する。すなわち、表示パネルコントローラ4のゲートドライバ12(図1参照)が、ある行を選択している間に、その選択行に重なるセンサ電極をタッチパネルコントローラ3が選択しないようにする。制御部5は、例えば、マイクロコンピュータによって実現される。
【0038】
図2に示すように、表示パネルコントローラ4は、液晶表示パネル2の2枚の基板の一方に配置される。また、制御部5(図2において図示略)と表示パネルコントローラ4とを接続させる配線は、例えば、液晶表示パネル用FPC6上に形成される。
【0039】
また、タッチパネルコントローラ3は、例えば、タッチパネル用FPC5上に形成され、このFPC5上に形成された配線によって、制御部5(図2において図示略)と接続される。
【0040】
図5は、液晶表示パネル2に設けられる各電極およびソースライン、ゲートラインを示す説明図である。液晶表示パネル2の一方の透明基板(図示略)には、マトリクス状に画素電極31が設けられる。画素電極31の配置領域が画素に相当する。なお、図5では、1つの画素電極31のみを図示している。また、もう一方の透明基板(図示略)には、各画素電極31と対向するコモン電極30が設けられる。そして、透明基板間に液晶を封止して、コモン電極30と画素電極31との間に液晶を挟持させる。
【0041】
コモン電極30は、コモン電極用の所定の電位に設定される。
【0042】
また、液晶表示パネル2は、画素の列毎にソースラインを備え、画素の行毎にゲートラインを備える。そして、各画素電極31は、配置された列に対応するソースラインにスイッチング素子を介して接続される。また、各画素電極31は、配置された行に対応するゲートラインに、スイッチング素子を介して接続される。ここでは、スイッチング素子がTFTである場合を例にして説明する。
【0043】
図5では、画素電極31がi行目のゲートライン33iに接続され、k列目のソースライン34kに接続される場合を例にする。個々の画素電極31には、それぞれTFT32が設けられる。そして、TFT32のゲート32aは、配置された行のゲートライン33iに接続される。また、TFT32のソース32cは、配置された列のソースライン34kに接続される。そして、TFT32のドレイン32bは画素電極31に接続される。
【0044】
TFT32は、ゲート32aの電位が選択時電位に設定されると、ドレイン32bとソース32cとを導通状態にする。選択時電位とは、ドレイン32bとソース32cとを導通状態にするためにゲート32aに設定される電位である。ドレイン32bとソース32cとが導通状態となることにより、画素電極31は、ソースライン34kと等電位に設定される。表示パネルコントローラ4のゲートドライバ12(図1参照)は、選択した行のゲートラインを選択時電位に設定することによって、選択行のゲート32aを選択時電位とし、選択行の各画素電極31を対応する列のソースラインと等電位にする。この結果、選択行の各画素電極31は、その行の画像データに応じた電位に設定される。すると、選択行の各画素の液晶に、選択行の画像データに応じた電圧が印加され、その画素の表示状態が定まる。
【0045】
また、ゲートドライバ12(図1参照)は、選択していない行のゲートラインを、非選択時電位に設定することによって、画素電極31とソースライン34kとを非導通状態とする。非選択時電位とは、ドレイン32bとソース32cとを非導通状態にするためにゲート32aに設定される電位である。
【0046】
次に、動作について説明する。なお、タッチパネル1は、図3に示すセンサ電極E1〜E8を備えているものとする。
【0047】
図6は、制御部5(図1参照)が生成する制御信号と液晶表示パネル2における選択行との関係の例を示す説明図である。制御部5は、表示パネルコントローラ4に対して、1行目のゲートラインからの選択を順次行うことを指示するための制御信号(以下、フレーム信号と記す。)を入力する。図6に示す例では、フレーム信号をローレベルからハイレベルに切り換えることが、1行目のゲートラインからの選択開始の指示を意味する。フレーム信号がローレベルからハイレベルに切り換えられると、タイミングコントローラ13(図1参照)が、行切換信号をソースドライバ11およびゲートドライバ12に入力し、ゲートドライバ12が行切換信号に従って1行目のゲートラインから順次選択していく。図6に示す期間T1は、センサ電極E1に重なる各行のゲートラインを順次選択する期間である。
【0048】
また、制御部5は、フレーム信号をハイレベルに切り換えてから、全行の選択期間分の時間が経過した後、フレーム信号をローレベルに切り換える。従って、フレーム信号がハイレベルになっている期間内に、全行の選択期間が含まれる。制御部5は、フレーム信号をローレベルに切り換えた後、再度ハイレベルに切り換えることで、表示パネルコントローラ4に再度1行目からの走査を実行させる。
【0049】
また、制御部5は、タッチパネルコントローラ3(図1参照)に対して、個々のセンサ電極毎に、センサ電極を選択して、静電容量の計測および指の接触・非接触の判定を指示する制御信号(以下、計測指示信号)を入力する。図6に示す例では、センサ電極E1,E2に関する計測指示信号を図示しているが、制御部5は、他のセンサ電極E3〜E8に関する計測指示信号もタッチパネルコントローラ3に入力する。タッチパネルコントローラ3は、計測指示信号がローレベルからハイレベルになると、その計測指示信号に対応するセンサ電極を選択し、そのセンサ電極における静電容量を計測する。そして、計測結果が、予め定められた閾値を超えていれば、そのセンサ電極の配置位置への接触があると判定し、閾値以下であれば、そのセンサ電極の配置位置への接触はないと判定し、判定結果を制御部5に送る。制御部5は、タッチパネルコントローラ3による判定が終了すると、計測指示信号をハイレベルからローレベルに切り換える。
【0050】
制御部5は、個々のセンサ電極に関して、センサ電極と重なる各行(各ゲートライン)を順次選択する期間では、そのセンサ電極の計測指示信号をローレベルとし、計測指示信号をハイレベルとする期間は、そのセンサ電極と重なる各行を順次選択する期間外に設ける。例えば、制御部5は、センサ電極E1に関しては、センサ電極E1と重なる各行を選択する期間T1(図6参照)内では、センサ電極E1の計測指示信号をローレベルに維持する。そして、期間T1と重複しない期間において、センサ電極E1の計測指示信号をハイレベルに切り換え、タッチパネルコントローラ3にセンサ電極E1に関する処理を実行させる。
【0051】
なお、図3に示すように、センサ電極E1,E2は横方向に並んでいるので、図6に示す期間T1は、センサ電極E2と重なる各行を選択する期間でもある。従って、制御部5は、センサ電極E2に関する計測指示信号も、期間T1内ではローレベルとし、期間T1と重複しない期間で、ハイレベルに切り換える。なお、制御部5は、各センサ電極に関する計測指示信号をハイレベル期間をそれぞれずらす。従って、センサ電極E1,E2に関する計測指示信号を同時にハイレベルにすることはない。
【0052】
ここでは、センサ電極E1,E2を例に説明したが、他のセンサ電極E3〜E8に関しても、それらのセンサ電極と重なる各行の選択期間の間は、それらのセンサ電極における静電容量計測および接触の有無の判定は実行させず、他の期間で静電容量計測および接触の有無の判定を実行させるようにタッチパネルコントローラ3を制御する。
【0053】
図7は、各センサ電極における静電容量計測等を実行するタイミングの例を示す説明図である。期間T1は、図3に示すセンサ電極E1,E2と重なる各行を順次選択する期間である。これらの行は、センサ電極E1,E2以外の各センサ電極E3〜E8とは重なっていない。よって、制御部5は、期間T1において、期間T1内で順次選択する各行と重ならない各センサ電極E3〜E8を順次選択するようにタッチパネルコントローラ3を制御すればよい。すなわち、期間T1において、センサ電極E3〜E8に関する計測指示信号を順次、ハイレベルに切り換えればよい。
【0054】
図7に示す期間T2は、図3に示すセンサ電極E3,E4と重なる各行を順次選択する期間である。期間T3は、図3に示すセンサ電極E5,E6と重なる各行を順次選択する期間である。期間T4は、図3に示すセンサ電極E7,E8と重なる各行を順次選択する期間である。これらの各期間T2〜T4においても、制御部5は、それらの期間内で順次選択する行と重ならない各センサ電極を順次選択するようにタッチパネルコントローラ3を制御すればよい。すなわち、期間T2では、制御部5は、タッチパネルコントローラ3にセンサ電極E1,E2,E5〜E8を順次選択させればよい。また、期間T3では、タッチパネルコントローラ3にセンサ電極E1〜E4,E7,E8を順次選択させればよい。また、期間T4では、タッチパネルコントローラ3にセンサ電極E1〜E6を順次選択させればよい。
【0055】
図7に示すように、各センサ電極E1〜E8を選択するようにタッチパネルコントローラ3を制御すれば、1フレーム期間で、各センサ電極を複数回ずつ(本例では3回ずつ)選択することになるので、ユーザがタッチパネル1に接触したときの応答を速くすることができる。
【0056】
なお、制御部5は、個々の期間T1〜T4において、それらの期間内で順次選択する行と重ならないセンサ電極を全て選択するのではなく、その一部を選択するように制御してもよい。例えば、制御部5は、図7に示す期間T1において、タッチパネルコントローラ3にセンサ電極E3〜E6を順次選択させてもよい。そして、期間T2では、センサ電極E5〜E8を順次選択させてもよい。期間T3では、センサ電極E7,E8,E1,E2を順次選択させてもよい。期間T4では、センサ電極E1〜E4を順次選択させてもよい。この場合でも、1フレーム期間で、各センサ電極を2回ずつ選択することになるので、タッチパネル1に接触したときの応答を速くすることができる。
【0057】
また、例えば、制御部5は、期間T1において、タッチパネルコントローラ3にセンサ電極E3,E4を順次選択させてもよい。そして、期間T2では、センサ電極E5,E6を順次選択させてもよい。そして、期間T3では、センサ電極E7,E8を順次選択させてもよい。そして、期間T4では、センサ電極E1,E2を順次選択させてもよい。この場合は、1フレーム期間で、各センサ電極を1回ずつ選択することになる。
【0058】
以上に示したセンサ電極の選択の仕方は例示であり、センサ電極と重なる液晶表示パネル2の各行が選択される期間内で、そのセンサ電極を選択しないという条件と、複数のセンサ電極を同時に選択しないという条件を満たしてれば、センサ電極の選択の仕方は、任意でよい。ただし、1フレーム期間内で、各センサ電極を複数回選択することが、接触に対する応答の高速化の観点から好ましい。
【0059】
本発明によれば、あるセンサ電極と重なる液晶表示パネル2の各行が選択される期間内では、そのセンサ電極を選択せず、他の期間内でそのセンサ電極を選択する。従って、タッチパネルコントローラ3が、あるセンサ電極を選択し、そのセンサ電極における静電容量を計測するときには、そのセンサ電極の直下にある行は選択されていないため、センサ電極の直下の行を選択することで発生するノイズの影響を受けずに、静電容量を計測することができる。従って、静電容量の計測結果が突出して大きな値になることがない。その結果、タッチパネル1に対する接触がないにも関わらず、接触ありと誤判定することを防止できる。
【0060】
また、静電容量の計測結果が突出して大きな値になることがないため、タッチパネル1に対する接触がない非接触期間における静電容量計測値の変動幅の上限L2(図11参照)が高くなることがない。よって、非接触期間における静電容量計測値の変動幅Pに対する、接触による静電容量の変化量Qの割合であるQ/Pを大きな値に保つことができ、タッチパネルの感度低下を防止することができる。
【0061】
また、各センサ電極がタッチパネルの端部まで引き廻される方向と、表示手段における画素の行とが平行になるように各センサ電極をタッチパネルに形成することで、個々のセンサ電極に重なる画素の行数をすくなくすることができる。その結果、個々のセンタ電極を選択できる期間を増やすことができる。
【0062】
上記の説明では、タッチパネル1が第1の方式(Self Capacitance方式)である場合を例にして説明した。タッチパネル1が第2の方式(Mutual Capacitance方式)である場合、キャパシタの静電容量を計測するために用いるセンス側電極が、センサ電極に相当する。従って、液晶表示パネル2の各行と平行になるように、タッチパネルのセンス側電極を形成すればよい。すなわち、センス側電極がタッチパネルの端部まで引き廻される方向を、液晶表示パネル2の各行と平行にすればよい。なお、Mutual Capacitance方式では、ドライブ側電極はセンス側電極と直交するため、ドライブ側電極は液晶表示パネル2の各行と平行にならないが、センス側電極が液晶表示パネル2の各行と平行になっていればよい。
【0063】
また、上記の実施の形態では、タッチパネルコントローラ3が、静電容量を計測し、その計測値と閾値とを比較して指の接触の有無を判定する場合を説明した。タッチパネルコントローラ3は、静電容量の変化を計測対象とし、静電容量の変化量を表す値を計測してもよい。この場合にも、タッチパネルコントローラ3は、変化量の計測値が、予め定められた閾値を超えていれば接触があると判定し、閾値以下であれば接触がないと判定すればよい。
【0064】
また、上記の実施の形態では、タッチパネル1の下層に設ける表示装置として、アクティブマトリクス型の液晶表示パネル2を備える場合を例にして説明したが、表示装置は、線順次走査で駆動される表示装置であればよい。例えば、タッチパネル1の下層の表示装置として、パッシブマトリクス型の液晶表示パネルを用いてもよい。あるいは、線順次走査で駆動される表示装置であれば、液晶表示パネル以外の表示装置であってもよい。例えば、有機EL表示装置であってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0065】
本発明は、表示装置上に静電容量型のタッチパネルが設けられたタッチパネル付き表示装置に好適に適用される。
【符号の説明】
【0066】
1 タッチパネル
2 液晶表示パネル
3 表示パネルコントローラ4
4 タッチパネルコントローラ
5 制御部
11 ソースドライバ
12 ゲートドライバ
13 タイミングコントローラ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
マトリクス状に配置された画素によって画像を表示する表示手段と、
前記表示手段の画素の行を順次選択して、前記表示手段に画像を表示させる表示駆動手段と、
複数のセンサ電極を有し、前記表示手段の上層に設けられるタッチパネルと、
前記タッチパネルのセンサ電極を選択し、選択したセンサ電極における静電容量または静電容量の変化量を測定し、前記静電容量または静電容量の変化量の測定値に基づいて、選択したセンサ電極に応じた位置に対する導体の接触の有無を判定する接触判定手段と、
前記表示駆動手段および前記接触判定手段を制御する制御手段とを備え、
前記制御手段は、
個々のセンサ電極について、センサ電極と重なる前記表示手段の各行が選択される期間内で当該センサ電極の選択を行わないという条件を満たすように、前記接触判定手段に各センサ電極を選択させる
ことを特徴とするタッチパネル付き表示装置。
【請求項2】
各センサ電極は、タッチパネルの端部まで引き廻される方向と、表示手段における画素の行とが平行になるようにタッチパネルに形成される
請求項1に記載のタッチパネル付き表示装置。
【請求項3】
制御手段は、表示駆動手段が第1行を選択してから次に前記第1行を選択するまでの期間であるフレーム期間内に、接触判定手段に各センサ電極を複数回ずつ選択させる
請求項1または請求項2に記載のタッチパネル付き表示装置。
【請求項1】
マトリクス状に配置された画素によって画像を表示する表示手段と、
前記表示手段の画素の行を順次選択して、前記表示手段に画像を表示させる表示駆動手段と、
複数のセンサ電極を有し、前記表示手段の上層に設けられるタッチパネルと、
前記タッチパネルのセンサ電極を選択し、選択したセンサ電極における静電容量または静電容量の変化量を測定し、前記静電容量または静電容量の変化量の測定値に基づいて、選択したセンサ電極に応じた位置に対する導体の接触の有無を判定する接触判定手段と、
前記表示駆動手段および前記接触判定手段を制御する制御手段とを備え、
前記制御手段は、
個々のセンサ電極について、センサ電極と重なる前記表示手段の各行が選択される期間内で当該センサ電極の選択を行わないという条件を満たすように、前記接触判定手段に各センサ電極を選択させる
ことを特徴とするタッチパネル付き表示装置。
【請求項2】
各センサ電極は、タッチパネルの端部まで引き廻される方向と、表示手段における画素の行とが平行になるようにタッチパネルに形成される
請求項1に記載のタッチパネル付き表示装置。
【請求項3】
制御手段は、表示駆動手段が第1行を選択してから次に前記第1行を選択するまでの期間であるフレーム期間内に、接触判定手段に各センサ電極を複数回ずつ選択させる
請求項1または請求項2に記載のタッチパネル付き表示装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2011−170784(P2011−170784A)
【公開日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−36391(P2010−36391)
【出願日】平成22年2月22日(2010.2.22)
【出願人】(000103747)オプトレックス株式会社 (843)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年2月22日(2010.2.22)
【出願人】(000103747)オプトレックス株式会社 (843)
【Fターム(参考)】
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