タッチ検出装置
【課題】タッチ検出信号のダイナミックレンジを高めてタッチ操作の強度を高精度に検出でき、かつ、装置の内部に表示器用の発光体部品を配置可能なタッチ検出装置を提供する。
【解決手段】タッチ検出装置(40)において、印刷配線基板(30)上の固定接点パターン(PT1)は、その中心部(M)から外側に向かって渦巻状に延びる接点パターンであって、可動接点パターン(PT2)が形成されたパッド部(21)の下面(21b)は、固定接点パターン(PT1)の径方向を中心部(M)に向かって該固定接点パターン(PT1)との距離が次第に大きくなるように傾斜している。また、固定接点パターン(PT1)の中心部(M)には、LED素子(35)が配設されており、パッド部(21)は、LED素子(35)の発光をパッド面(31a)側に導くように光透過性を有している。
【解決手段】タッチ検出装置(40)において、印刷配線基板(30)上の固定接点パターン(PT1)は、その中心部(M)から外側に向かって渦巻状に延びる接点パターンであって、可動接点パターン(PT2)が形成されたパッド部(21)の下面(21b)は、固定接点パターン(PT1)の径方向を中心部(M)に向かって該固定接点パターン(PT1)との距離が次第に大きくなるように傾斜している。また、固定接点パターン(PT1)の中心部(M)には、LED素子(35)が配設されており、パッド部(21)は、LED素子(35)の発光をパッド面(31a)側に導くように光透過性を有している。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷配線基板上に形成した固定接点パターンに対して可動接点パターンが接触することでタッチ検出が行われるように構成したタッチ検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
最近では、パーソナルコンピュータなどの電子機器に、デジタル信号での楽音の録音・編集・ミキシング等の楽曲制作機能を実現するアプリケーションプログラムをインストールしておき、コンピュータ上で該プログラムを動作させることにより曲作り(詳しくは、例えばMIDI等の楽曲データの生成)を行うようになっている。こうしたプログラムを利用しての楽曲制作過程におけるドラムなど打楽器パートの楽曲データ入力用の操作子として、パッド状(押下型)操作子を複数有してなる専用のコントローラが用意されている。ユーザは、このコントローラをコンピュータに接続し、該コントローラのパッドを必要に応じて押下操作する(叩く)ことによって、打楽器パートの楽曲データ入力を行うようになっている。
【0003】
ところで、上記のようなコントローラでは、パッド状の操作子に対する押下操作(タッチ操作)を検出するためのタッチ検出装置が必要である。このようなパッド状の操作子をはじめとする各種の操作子に対するタッチ検出を行うためのタッチ検出装置の一例として、特許文献1に記載のタッチ検出装置(感圧変化装置)がある。特許文献1に記載のタッチ検出装置は、スペーサ部材を介して所定間隔で対向配置された2枚の柔軟性を有する支持部材を備え、該2枚の支持部材の互いに対向する面に導体パターンを形成したものである。そして、支持部材の面にかかる圧力(荷重)によって支持部材が撓むことで導体パターンが接触してタッチ検出信号が出力されるように構成している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特公平02−49029号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1に示すタッチ検出装置の構造では、所定間隔で配置した2枚の支持部材はそれらの対向する面が互いに平行であって、かつ、当該面に形成した導体パターンは直線状に形成されているものである。この構成では、支持部材の面にかかる圧力(荷重)によって2枚の支持部材に形成した導体パターンが接触する際、その圧力の大きさに応じた接触領域の面積の変化量をあまり大きくすることができない。そのため、タッチ操作に応じて出力されるタッチ検出信号のダイナミックレンジが小さく、タッチ操作の強さを精度良く詳細に検出することが十分に行えないという課題がある。
【0006】
また、上記のようなタッチ検出装置では、ユーザの操作強度に応じて当該装置の近傍に配置された表示器の輝度や表示色を変化させることで、ユーザに意図どおりの強さの操作入力が行われたか否かを判断させるように構成したものがある。この場合、タッチ操作を行うユーザが当該タッチ操作の強さをより直感的に把握できるようにするためには、パッドの直下など、タッチ検出装置の内側(内部)に表示器を備えることが望ましい。しかしながら、特許文献1に記載のようなセンサ構造では、タッチ検出装置の内部に表示器を設けるためのスペースを確保し難いため、表示器を設ける場合には、タッチ検出装置の外部に設けざるを得ない。
【0007】
本発明は上述の点に鑑みてなされたものであり、その目的は、簡単な構造で、タッチ検出信号のダイナミックレンジを高めてタッチ操作の強度を高精度に検出でき、かつ、装置の内部に表示器を配置可能なタッチ検出装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するための本発明は、印刷配線基板(30)と、前記印刷配線基板(30)の上面(30a)に形成されたタッチ検出用の固定接点パターン(PT1)と、前記印刷配線基板(30)の前記上面(30a)側に設置された操作用部材(20)と、前記操作用部材(20)に形成された可動接点パターン(PT2)と、を備え、前記操作用部材(20)は、前記印刷配線基板(30)上に固定的に設置される基部(23)と、その下面(21b)に設けた前記可動接点パターン(PT2)が前記固定接点パターン(PT1)に対して所定の離間寸法を隔てて対向してなる可動部(21)と、前記基部(23)に対して前記可動部(21)を相対移動可能に連結してなる可撓性を有する連結部(25)とからなり、前記可動部(21)の移動に伴い前記可動接点パターン(PT2)が前記固定接点パターン(PT1)に接触することでタッチ検出が行われるタッチ検出装置(40)であって、前記印刷配線基板(30)上の前記固定接点パターン(PT1)は、その中心部(M)に配設された発光体部品(35)の側部から径方向の外側に向かって渦巻状に延びる接点パターンであって、前記可動部(21)の前記下面(21b)は、前記固定接点パターン(PT1)の径方向に沿って前記中心部(M)に向かって該固定接点パターン(PT1)との距離が次第に大きくなるように傾斜しており、前記可動部(21)は、前記発光体部品(35)の発光を該可動部(21)の上面(31a)側へ導くように光透過性を有していることを特徴とする。
【0009】
本発明にかかるタッチ検出装置によれば、印刷配線基板上の固定接点パターンをその中心部から外径側に向かって渦巻状に延びる接点パターンとしたことで、接点パターンの長手方向の延伸寸法を十分に長い寸法に設定できる。そのうえ、可動接点パターンが形成された可動部の下面を渦巻状の固定接点パターンの径方向に沿って傾斜した状態としたことで、可動部の押下操作の強さに応じて、可動接点パターンを渦巻状の固定接点パターンに対してその外径側から内径側へ順次に接触させることが可能となる。これらによって、固定接点パターンと可動接点パターンの接触の強さに応じた接触領域の面積の変化量を大きくすることができ、タッチ操作の検出値のダイナミックレンジを大きくすることができる。したがって、タッチ操作の強さを高い精度で検出可能なタッチ検出装置を構成できる。
【0010】
また、本発明にかかるタッチ検出装置では、固定接点パターンを渦巻状の接点パターンとしたことで、同じ強さのタッチ操作であれば、可動部に対する操作位置や操作方向によらず、常に略一定の出力値を得ることが可能となる。したがって、押釦型のパッド状操作子に対するタッチ操作を検出するのに好適なタッチ検出装置を構成できる。さらに、渦巻状の固定接点パターンの中心部に発光体部品を配設し、かつ、発光体部品の発光を可動部の上面側に導くように可動部に光透過性を持たせたことで、タッチ操作に対するレスポンス状態の表示を行うための表示器をタッチ検出装置の内部である可動部の直下位置に配置することが可能となる。これにより、タッチ操作を行うユーザが当該タッチ操作の強さなどの情報をより直感的に把握できるようになる。
【0011】
また、上記のタッチ検出装置では、発光体部品(35)は、複数個の発光体(35a,35b)を備えて構成されており、操作用部材(20)は、光透過性を有する合成樹脂材で構成されていてよい。さらにこの場合、上記複数個の発光体として、互いの発色が異なる複数個の発光体を備えるとよい。
【0012】
この構成によれば、複数個の発光体の発光状態を切り換えることによって、タッチ操作に対するレスポンス状態をより適切に表示することが可能となる。すなわち、例えば、検出されたタッチ操作の強さに応じて発光する発光体の個数を可変させることで、発光の強さを切り換えることができる。また、互いの発色が異なる複数の発光体を備えている場合には、検出されたタッチ操作の強さに応じて複数個の発光体の点灯を切り換えることで、発光する光の発色を可変させることができる。
【0013】
また、上記のタッチ検出装置では、可動部(21)の下面(21b)における発光体部品(35)に対向する位置に形成された凹部(21c)をさらに備えるとよい。この構成によれば、可動部の下面に形成した凹部によって、操作された可動部が変位(下降)した際に発光体と干渉することを防止できるので、可動部のスムーズな動作を確保できる。また、可動部に凹部を設けたことで、可動部のフレキシビリティを高めることができるので、可動部の下面に形成した可動接点パターンの固定接点パターンに対する良好な接触状態を確保できるようになる。
なお、上記の括弧内の符号は、後述する実施形態の対応する構成要素の符号を本発明の一例として示したものである。
【発明の効果】
【0014】
本発明にかかるタッチ検出装置によれば、簡単な構造で、タッチ検出信号のダイナミックレンジを効果的に高めることができ、かつ、装置の内部である可動部の直下位置に表示器用の発光体部品を配置できるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の一実施形態にかかるタッチ検出装置を備えた楽曲データ入力装置の外観構成を示す斜視図である。
【図2】楽曲データ入力装置の構成部品を示す分解斜視図である。
【図3】タッチ検出装置が備えるタッチ検出部の詳細構成を示す図で、(a)は、タッチ検出部の側断面図((b)のA−A矢視に対応する断面図)、(b)は、タッチ検出部における印刷配線基板の上面を示す平面図である。
【図4】可動部材の可動部をその下面側から見た斜視図である。
【図5】(a)は、タッチ検出部に対する操作を検出するためのタッチ検出回路の構成例を示す回路図、(b)は、固定接点パターンにおける回路図中の各点及び各抵抗との対応を示す図、(c)は、パッド部のストローク量(下降量)に対する出力電圧の変化を示す概略のグラフである。
【図6】タッチ操作の検出に基づいてLED素子を発光させる手順を説明するためのフローチャートである。
【図7】楽曲データ入力装置の制御回路の構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、添付図面を参照して本発明の実施形態を詳細に説明する。図1は、本発明の一実施形態にかかるタッチ検出装置40を備えた楽曲データ入力装置1の外観構成を示す斜視図である。また、図2は、楽曲データ入力装置1の構成部品を示す分解斜視図である。なお、図2では、楽曲データ入力装置1の構成部品の一部分のみを図示していると共に、各部品同士を固定するための固定構造などの図示も省略していることで、全体を簡略化した状態で図示している。図1及び図2に示す楽曲データ入力装置1は、上ケース11及び下ケース15からなる外装ケース10と、外装ケース10の内部に設置した操作用部材20及び印刷配線基板(以下、「基板」と記す。)30からなるタッチ検出装置40と、補強板50とを備えて構成されている。以下、各構成部品について詳細に説明する。
【0017】
外装ケース10を構成する上ケース11及び下ケース15は、合成樹脂材などで形成された周囲壁(外縁)を有する略長方形の平板状部材である。下ケース15の外縁15aは上方に折曲形成されており、上ケース11(枠体12)の外縁12aは下方に折曲形成されている。上ケース11と下ケース15を上下に重ね合わせ、それらの外縁12a,15a同士を接合して一体化するようになっており、その内部に楽曲データ入力装置1の構成部品である操作用部材20、基板30、補強板50を収容するようになっている。
【0018】
また、図1に示すように、下ケース15の下面側にはスタンド17が取り付けられている。スタンド17は、下ケース15の下面に対して支点(図示せず)を中心に回動可能に取り付けられている。同図に示すように、スタンド17を回動させて下ケース15の下面に対して起こした状態とすることで、スタンド17で下ケース15を斜めに支持し、楽曲データ入力装置1を傾斜させた状態で設置することができる。
【0019】
また、図2に示すように、下ケース15の内面には、基板30上の後述する固定接点パターンPT1に対応する位置に、略円柱状の小突起15bが複数形成されている。小突起15bは、操作用部材20のパッド部21を介して指などで押圧又は打撃操作される基板30上の固定接点パターンPT1をその下面側から支持するもので、パッド部21の打撃による基板30の変形を防止する機能、及びタッチ出力の検出精度低下を防止するための機能を有している。
【0020】
上ケース11は、その外縁12aが下ケース15の外縁15aと重なる枠体(第1上ケース)12と、枠体12に設けた開口部12e内に設置される略平板状のパネル板(第2上ケース)13との2部品で構成されている。パネル板13は、その外形が枠体12の外形よりも一回り小さい長方形状で、枠体12の開口部12eに嵌め込んで取り付けるようになっている。また、パネル板13には、操作用部材20に設けた後述する各パッド部21のパッド面21aを露出させるための複数の透孔(開口部)13fが形成されている。
【0021】
操作用部材20は、合成樹脂ラバー、シリコン樹脂など合成樹脂製の凹凸を有する可撓性板状部材(弾性部材)で、基板30上の各固定接点パターンPT1の外側を囲む位置に設置される基部23と、複数の固定接点パターンPT1それぞれに対応する複数の突起状のパッド部(可動部)21と、基部23に対してパッド部21を相対移動可能に連結してなる連結部25(図3参照)とを備えている。各パッド部21は、各固定接点パターンPT1に対応する寸法及び形状の小突起からなり、その上面が指などで操作するパッド面(操作面)21aになっている。なお、操作用部材20の構成については、下記のタッチ検出装置40の説明で詳述する。
【0022】
基板30は、下ケース15内に収容可能な略長方形状の外形を有する平板状の硬質基板である。基板30上には、タッチ検出装置40の各タッチ検出部41用の固定接点パターンPT1が形成されている。固定接点パターンPT1は、基板30上に複数が所定間隔でマトリクス状に整列配置されている。基板30上の各固定接点パターンPT1の中心部には、LED素子35が実装されている。また、基板30上の各固定接点パターンPT1の外側を囲む位置には、格子状のスペーサ用パターンPT3が形成されている。なお、基板30の構成についても、下記のタッチ検出装置40の説明で詳述する。
【0023】
補強板50は、下ケース15内で基板30の下面側に設置されている。この補強板50は、下ケース15内に収容可能な略長方形状の外形を有する金属製の平板状部材である。補強板50の長手方向の両端辺50a,50aは、上方に折り曲げられた補強部になっている。また、補強板50における基板30上の固定接点パターンPT1及び下ケース15の小突起15bに対応する位置には、小突起15bを挿通させて基板30の各固定接点パターンPT1の下面側に当接させるための透孔53が形成されている。透孔53は、概略T字状の外形を有している。
【0024】
タッチ検出装置40は、基板30と、基板30の上面30aに形成された固定接点パターンPT1と、基板30の上面30a側に設置された操作用部材20と、操作用部材20に形成された可動接点パターンPT2などを備えて構成されている。なお、本実施形態の楽音データ入力装置1には、図1に示すように、タッチ検出装置40の各タッチ検出部41の他に、操作スイッチ45やロータリーエンコーダ47など他の操作子も設けられているが、これらは、本発明とは直接関連しないので、ここではそれらの説明を省略する。
【0025】
図3は、タッチ検出装置40が備えるタッチ検出部41の詳細構成を示す図で、(a)は、タッチ検出部41の側断面図((b)のA−A矢視に対応する断面図)、(b)は、タッチ検出部41における基板30の上面30aを示す平面図である。また、図4は、操作用部材20のパッド部21をその下面21b側から見た斜視図である。以下、タッチ検出装置40の構成について詳細に説明する。
【0026】
図3(a)に示すように、操作用部材20は、基板30上に固定的に設置される基部23と、基板30の各固定接点パターンPT1の上方に対向して配置されるパッド部21と、基部23に対してパッド部21を相対移動可能に連結してなる可撓性を有する連結部(スカート部)25とからなる。基部23は、図2に示すように、略長方形状の外形を有する操作用部材20及び基板30の縦横辺に沿って伸びる格子状に形成されており、その下面23bがスペーサ用パターンPT3を介して基板30上に載置(固定)されるようになっている。なお、基板30上に載置された操作用部材20の基部23は、基板30と上ケース11(パネル板13)とに挟持された状態で固定されるようになっている。また、パッド部21は、格子状の基部23の間(格子間の略正方形状の隙間)に収まる略立方体型の突起状で、図3(a)に示すように、その上面に設けた操作面21aが基部23の上面23aよりも上方に突出した状態で設置されている。
【0027】
また、図4に示すように、パッド部21の下面21bは、基板30に設けた固定接点パターンPT1に対応する円形に近似した形状の面になっている。そして、当該下面21bには、基板30の固定接点パターンPT1に接触させるための可動接点パターンPT2が形成されている。可動接点パターンPT2は、導電性を有する接点パターンからなる。この可動接点パターンPT2は、パッド部21の下面21bに当該可動接点パターンPT2の材料である導体塗料の塗布などによって形成したものである。また、パッド部21の下面21bの中央には、基板30上のLED素子35を配置するための凹部21cが形成されている。凹部21cは、LED素子35の高さ寸法よりも大きな高さ寸法を有する略円形のドーム型の窪みからなる。また、図3(a)に示すように、パッド部21の下面21b及び該下面21bに形成した可動接点パターンPT2は、パッド部21の外周縁から中央の凹部21cに向かってその高さ位置が次第に高くなるように、基板30の上面30aに対して略円錐状に若干傾斜した状態になっている。これにより、固定接点パターンPT1と可動接点パターンPT2との離間寸法は、パッド部21の下面21bの径方向に沿って一定ではなく、外径側から内径側に向かって次第に増加する寸法になっている。また、基板30上のLED素子35の発光がパッド部21を透過して操作面21a側に導かれるように、操作用部材20は、透光性を有する半透明の材料で構成されている。なお、パッド部21における凹部21cと操作面21aとの間の位置に透光性が確保されていれば、操作面21aの他の部分には、表示用の塗装などが施されていてもよい。
【0028】
操作用部材20の連結部25は、パッド部21の下端近傍の外周とそれに対向する基部23の側面とを連結している薄板状の部分である。この薄板状の連結部25は伸縮変形が可能であって、連結部25の伸縮変形によって、基部23に対するパッド部21の相対的な上下動が許容されるようになっている。
【0029】
基板30の上面30aに設けた固定接点パターンPT1は、抵抗性カーボンパターン又は低抵抗導電パターンなどからなる。固定接点パターンPT1は、LED素子35を配置した中心部Mが接点パターンの無いスペースになっており、該中心部Mの両側それぞれから互いに逆巻きの渦巻状に延伸する第1接点パターンPT1−1と第2接点パターンPT1−2の2本の渦巻状接点パターンを備えて構成されている。第1接点パターンPT1−1と第2接点パターンPT1−2は、互いが逆向きに巻かれた渦巻状であって、中心部Mから径方向に沿って交互に位置するように所定間隔で並べて配置されている。
【0030】
固定接点パターンPT1の中心部Mのスペースに配置したLED素子(発光体部品)35は、緑色のLED素子(発光体)35aと赤色のLED素子(発光体)35bの2個が並べて設置されている。これにより、タッチ検出部41で検出したタッチ操作の強さに応じて、緑色のLED素子35aのみ発光、緑色のLED素子35aと赤色のLED素子35bの両方を発光、赤色のLED素子35bのみを発光の三段階に発光状態を切り換えることができる。なお、緑色のLED素子35aと赤色のLED素子35bの両方を発光させたときは、橙色の発色となる。
【0031】
上記の固定接点パターンPT1は、基板30の上面30aに導体性ペーストからなる塗料を塗布することで形成するか、あるいは、基板30の上面30aにおける固定接点パターンPT1を形成する部分以外の部分にマスキングを施した状態で、該基板30を導体塗料の液中に浸漬させることで、該基板30の上面30aに導体塗料を付着させて形成されている。
【0032】
また、基板30の上面30aに設けたスペーサ用パターンPT3は、各固定接点パターンPT1の外側を囲む複数の直線からなる格子状に形成されている。スペーサ用パターンPT3は、操作用部材20の格子状の基部23に対応する形状及び配置になっている。このスペーサ用パターンPT3は、各固定接点パターンPT1の外側において、各固定接点パターンPT1を囲む完全な矩形状の枠線ではなく、その一部が不規則に省かれた間欠的な状態で形成されている。
【0033】
基板30の上面30aにおける固定接点パターンPT1の周囲には、図示は省略するが、固定接点パターンPT1を他の回路に接続するための引出用パターン(引出配線)が配設されている。そのため、スペーサ用パターンPT3は、引出用パターンを避けた位置に形成する必要がある。したがって、スペーサ用パターンPT3は、上記のように矩形状の枠線に対して不規則に省かれて間欠的な状態で形成されている。
【0034】
すなわち、図3(b)に示すように、スペーサ用パターンPT3は、固定接点パターンPT1の外周を囲む位置において、四角(四個の角部)を有する四角形状(多角形状)に沿って形成されている。そして、四角のうち一の角部(図3(b)に示す右下の角部)に対応する位置は、スペーサ用パターンPT3が形成されていない間欠部になっている。この間欠部に上記の引出用パターンが配設されている。
【0035】
ここで、上記構成のタッチ検出装置40の動作について簡単に説明する。タッチ検出装置40では、非動作位置(初期位置)にあるパッド部21の操作面(タッチパッド面)21aが指などで押圧又は打撃操作されると、連結部25の撓み変形によってパッド部21が下降する。それにより、パッド部21の下面21bに設けた可動接点パターンPT2が基板30の固定接点パターンPT1に接触し、固定接点パターンPT1の第1接点パターンPT1−1と第2接点パターンPT1−2とが導通する。ここで、既述のように、固定接点パターンPT1と可動接点パターンPT2との離間寸法は、固定接点パターンPT1の外径側から内径側に向かって次第に増加する寸法になっていることで、操作面21aに対する押圧操作又は打撃操作の強さに応じたパッド部21の高さ位置の変化に伴い、可動接点パターンPT2が渦巻状の固定接点パターンPT1に対してその外径側から内径側へ順次に接触していくようになっている。すなわち、押圧操作又は打撃操作の強さに応じて可動接点パターンPT2が固定接点パターンPT1に接触する領域の大きさが変化し、固定接点パターンPT1の抵抗値が変化するようになっている。
【0036】
図5(a)は、タッチ検出部41に対するタッチ操作を検出するための検出回路の構成例を示す回路図であり、同図(b)は、固定接点パターンPT1における回路図中の各点及び各抵抗との対応を示す図である。なお、図5(a)に示す検出回路は、本実施形態のタッチ検出部41に対するタッチ操作の強さを検出可能な回路の一例であって、検出回路の構成は、同図に示すものに限定される訳ではない。図5に示すタッチ検出回路200は、固定接点パターンPT1及び可動接点パターンPT2で構成されるタッチ検出部41の回路構成と等価であるセンサ等価回路201を備えている。センサ等価回路201は、固定接点パターンPT1の一方である第1接点パターンPT1−1に対応する抵抗R21と、他方である第2接点パターンPT1−2に対応する抵抗R22とを備えている。そして、固定接点パターンPT1と可動接点パターンPT2との接触面積及び接触圧の変化に応じて、抵抗値R2=R21+R22の値が変化する。なお、図5(a)では、パッド部21に対する押圧操作の強さに応じて抵抗R21及び抵抗R22に接触する針201a,201aが移動し、該針201a,201aの接触位置によって抵抗値R21及びR22が変化するように構成したものをセンサ等価回路201として示している。
【0037】
このような可動接点パターンPT2と固定接点パターンPT1との接触面積(あるいは接触圧)の変化によって、P2の電圧V1が変化するようになっている。そして、入力電圧Vに対して、抵抗R1と抵抗R2(=R21+R22)による抵抗値R=R1/(R1+R2)に応じた出力電圧V1が得られる。
【0038】
なお上記では、抵抗値R2(=R21+R22)が固定接点パターンPT1と可動接点パターンPT2との接触面積及び接触圧に応じて変化すると記したが、それ以外にも、抵抗値R2が固定接点パターンPT1と可動接点パターンPT2との接触面積のみに応じて変化するようにも構成できる。そのためには、R21及びR22を高抵抗値(例えば、R21及びR22の抵抗値=10KΩ〜100KΩとし、かつ、R21=R22とすることが望ましい。)とし、接地側の抵抗R1をその値がR1≦R21となるように設定し、さらに、可動接点パターンPT2の抵抗値(図5(a)の回路図では、該抵抗値=0とみなしている。)を固定接点パターンPT1と比べて非常に低い抵抗値(例えば、パッド部21が一杯にストロークする強さで押圧されたときの抵抗値=0.1〜100Ω程度)に設定するようにすればよい。
【0039】
図5(c)は、パッド部21のストローク量(下降量)に対する出力電圧V1の変化を示す概略のグラフである。タッチ検出部41では、固定接点パターンPT1と可動接点パターンPT2との接触が開始されるC点から、パッド部21のストローク量が増加するに連れて、渦巻状の固定接点パターンPT1に対する可動接点パターンPT2の接触領域が順に増加してゆく。これにより、P1とP2の間の抵抗値R2=R21+R22が次第に小さくなってゆき、V1={R1/(R1+R2)}×Vで表される出力電圧V1が増加してゆく。そして、固定接点パターンPT1の全体に可動接点パターンPT2が接触するD点以降は、出力電圧V1=V(最大値)となる。
【0040】
タッチ検出回路200では、上記の出力電圧V1をピークホールド回路(P/H回路)203に入力して、ピークホールド電圧VLを得る。このピークホールド電圧VLを後述するRAM103などに取り込むことで、後述するCPU101がピークホールド電圧VLを用いてタッチ検出部41に対するタッチ操作の強さを判断する。また、ピークホールド電圧VLが取り込まれることで、ピークホールド回路203には、CPU101から取込終了シグナルSGが入力される。この取込終了シグナルSGの入力によってピークホールド回路203がリセットされる。
【0041】
また、タッチ検出装置40の各タッチ検出部41では、上記のタッチ検出回路200で検出したタッチ操作の強さに応じて、LED素子35の発光状態を切り換えるように構成されている。以下、このLED素子35の発光状態を切り換える手順について説明する。図6は、当該手順を説明するためのフローチャートである。同図に示すフローチャートでは、まず、タッチ検出装置40の各タッチ検出部41に対するタッチ操作が有るか否かを判断する(ステップST1)。その結果、タッチ操作が無い場合(NO)には、タッチ操作が有るまで待機し、タッチ操作が有る場合(YES)には、続けて、上記のタッチ検出回路200で検出したタッチ操作の検出電圧(ピークホールド電圧)VLの値と、予め設定された電圧の三段階の閾値V0,V1,V2(ここではV0<V1<V2である。)との比較を行う(ステップST2)。
【0042】
その結果、検出電圧VLが閾値V0よりも小さい場合(VL<V0)は、LED素子35の点灯は行わない。また、検出電圧VLが閾値V0以上閾値V1未満(V0≦VL<V1)であれば、弱いタッチ操作と判断し、緑色のLED素子35aのみを所定時間点灯させる(ステップST3)。これにより、パッド部21の操作面21aが緑色に点灯する。また、検出電圧VLが閾値V1以上閾値V2未満(V1≦VL<V2)であれば、中程度の強さのタッチ操作であると判断し、緑色のLED素子35aと赤色のLED素子35bの両方を所定時間点灯させる(ステップST4)。これにより、パッド部21の操作面21aが橙色に点灯する。また、検出電圧VLが閾値V2以上(V2≦VL)であれば、強いタッチ操作であると判断し、赤色のLED素子35bのみを所定時間点灯させる(ステップST5)。これにより、パッド部21の操作面21aが赤色に点灯する。このようにすることで、タッチ検出部41の操作面21aに対するタッチ操作の強さに応じて、該操作面21aの点灯色を緑色、橙色、赤色の三段階に切り換えることができる。
【0043】
以上説明したように、本実施形態のタッチ検出装置40では、基板30上の固定接点パターンPT1をその中心部Mから外径側に向かって渦巻状に延びる接点パターンとしたことで、固定接点パターンPT1の長手方向の延伸寸法を十分に長い寸法に設定できる。そのうえ、可動接点パターンPT2が形成されたパッド部21の下面21bを渦巻状の固定接点パターンPT1の径方向(隣接する固定接点パターンPT1同士の離間方向)に沿って傾斜した状態としたことで、パッド部21の押下操作の強さに応じて、可動接点パターンPT2を渦巻状の固定接点パターンPT1に対してその外径側から内径側へ順次に接触させることが可能となる。これらによって、固定接点パターンPT1と可動接点パターンPT2の接触によるタッチ操作の検出値のダイナミックレンジを大きくすることが可能となる。したがって、タッチ操作の強さを高い精度で検出可能なタッチ検出装置40となる。
【0044】
また、本実施形態のタッチ検出装置40では、同じ強さのタッチ操作であれば、パッド部21に対する操作位置や操作方向によらず、常に略一定の出力値を得ることが可能となる。したがって、押釦型のパッド状操作子に対するタッチ操作を検出するのに好適なタッチ検出装置40を構成できる。さらに、渦巻状の固定接点パターンPT1の中心部Mに発光体部品であるLED素子35を配設し、かつ、このLED素子35の発光をパッド面21a側に導くようにパッド部21に光透過性を持たせたことで、タッチ操作に対するレスポンス状態の表示を行うための表示器用のLED素子35をパッド部21の直下に配置した構成としている。これにより、表示器用のLED素子35を省スペースにて効果的に配置することができる。さらに、タッチ操作を行うユーザが当該タッチ操作の強さなどの情報をより直感的に把握できるようになる。また、本実施形態のタッチ検出装置40では、緑色のLED素子35aと赤色のLED素子35bの発光状態の切り換えによってLED素子35の発色を可変させるようにしたことで、タッチ操作に対するレスポンス状態をより適切に表示することが可能となる。
【0045】
また、本実施形態のタッチ検出装置40では、パッド部21の下面21bに形成した凹部21cによって、操作されたパッド部21が下降する際に基板30上のLED素子35と干渉することを防止でき、パッド部21のスムーズな動作を確保できる。また、凹部21cによってLED素子35の光を拡散させることができるので、パッド面21aの輝度を高める効果も期待できる。さらに、パッド部21に凹部21cを設けたことで、パッド部21のフレキシビリティ(柔軟性)を高めることができるので、パッド部21の下面21bに形成した可動接点パターンPT2の固定接点パターンPT1に対する良好な接触状態を確保できる。
【0046】
次に、楽曲データ入力装置1が備える制御回路の構成について説明する。図7は、楽曲データ入力装置1の制御回路の構成を示すブロック図である。同図に示すように、楽曲データ入力装置1は、マイクロプロセッサユニット(CPU)101、リードオンリメモリ(ROM)102、ランダムアクセスメモリ(RAM)103からなるマイクロコンピュータによって制御される。CPU101は、楽曲データ入力装置1全体の動作を制御するものである。このCPU101に対して、バス109介してROM102、RAM103、検出回路104、表示回路106、通信インタフェース(I/F)108がそれぞれ接続されている。
【0047】
ROM102は、CPU101により実行あるいは参照される各種制御プログラムや各種データ等を格納する。RAM103は、CPU101が所定のプログラムを実行する際に発生する各種データなどを一時的に記憶するワーキングメモリとして、あるいは現在実行中のプログラムやそれに関連するデータを一時的に記憶するメモリ等として使用される。RAM103の所定のアドレス領域がそれぞれの機能に割り当てられ、レジスタやフラグ、テーブル、メモリなどとして利用される。
【0048】
操作子105は、各種機能付加や不付加又は設定パラメータの設定を行うもので、本実施形態の楽音データ入力装置1では、上記のタッチ検出装置40が備える各タッチ検出部41がこれに該当する。タッチ検出部41はパッド状のスイッチであって、叩く操作の検出に応じて楽曲データを生成するものである。また、検出回路104には、図5に示すタッチ検出回路200が含まれる。
【0049】
通信インタフェース(I/F)108は、例えば汎用又は専用の通信ケーブル、あるいはLANやインターネット、電話回線等の有線あるいは無線の通信ネットワークに接続されており、該通信ケーブルや通信ネットワーク等を介して他のコンピュータ(図示せず)と接続され、当該コンピュータとの間で楽曲データや各種信号さらには各種情報を送受信するためのインタフェースである。こうした通信インタフェース108は、有線あるいは無線のものいずれかでなく双方を備えていてよい。そして、楽曲データ入力装置1のタッチ検出部41(パッド状のスイッチ)を叩くといった押下操作をすることによって、楽曲制作ソフトウェアプログラムを起動中のコンピュータに対してドラム音色の楽曲データを入力することができる。
【0050】
以上本発明の実施形態を説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲、及び明細書と図面に記載された技術的思想の範囲内において種々の変形が可能である。例えば、上記実施形態では、固定接点パターンPT1の中心部Mに設けた発光体部品であるLED素子35として、互いに異なる発光色のLED素子35a,35bを備えた場合を示したが、これ以外にも、本発明にかかる発光体部品が備える複数の発光体としては、同色の複数個のLED素子を備えるようにして、それらの発光する数を可変させることで、光の強さを変えるように構成することなども可能である。
【0051】
また、上記実施形態に示したタッチ検出装置40では、パッド部21の下面21bをその外周縁から中央の凹部21cに向かってその高さ位置が次第に高くなるように傾斜させている。これに対して、パッド部の下面を傾斜させる態様としては、これ以外にもパッド部の下面が中心から外周縁に向かって径方向に沿って次第に高くなるように傾斜させることも考えられる。すなわちその場合、パッド部の下降に伴い可動接点パターンが固定接点パターンの中心側から外径側に向かって順に接触するようになる。しかしながら、そのような構成では、弱タッチのとき(パッド部の下降量が少ないとき)に固定接点パターンに対する可動接点パターンの接触が点接触状態となってしまい、接触状態が不安定で検出信号の出力にバラつきが生じ易いという問題がある。これに対して、本願発明及び上記実施形態のようにパッド部の下面をその外周縁から中央に向かって次第に高くなるように傾斜させていれば、弱タッチのときの固定接点パターンに対する可動接点パターンの接触を、可動接点パターンの外周全周での面接触状態とすることが可能となる。これにより、固定接点パターンに対する可動接点パターンの接触状態を安定させることができ、検出信号の出力にバラつきが生じることを効果的に抑制できる。
【符号の説明】
【0052】
1・・・楽曲データ入力装置,10・・・外装ケース,11・・・上ケース,12・・・枠体,13・・・パネル板,15・・・下ケース,20・・・操作用部品,21・・・パッド部(可動部),21a・・・パッド面(操作面),21b・・・下面,21c・・・凹部,23・・・基部,25・・・連結部,30・・・印刷配線基板(基板),30a・・・上面,35・・・LED素子(発光体部品),35a・・・LED素子(緑色),35b・・・LED素子(赤色),40・・・タッチ検出装置,41・・・タッチ検出部,45・・・操作スイッチ,47・・・ロータリーエンコーダ,50・・・補強板,PT1・・・固定接点パターン,PT2・・・可動接点パターン,PT3・・・スペーサ用パターン,104・・・検出回路,105・・・操作子,106・・・表示回路,108・・・通信インタフェース,109・・・バス,200・・・タッチ検出回路,201・・・センサ等価回路
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷配線基板上に形成した固定接点パターンに対して可動接点パターンが接触することでタッチ検出が行われるように構成したタッチ検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
最近では、パーソナルコンピュータなどの電子機器に、デジタル信号での楽音の録音・編集・ミキシング等の楽曲制作機能を実現するアプリケーションプログラムをインストールしておき、コンピュータ上で該プログラムを動作させることにより曲作り(詳しくは、例えばMIDI等の楽曲データの生成)を行うようになっている。こうしたプログラムを利用しての楽曲制作過程におけるドラムなど打楽器パートの楽曲データ入力用の操作子として、パッド状(押下型)操作子を複数有してなる専用のコントローラが用意されている。ユーザは、このコントローラをコンピュータに接続し、該コントローラのパッドを必要に応じて押下操作する(叩く)ことによって、打楽器パートの楽曲データ入力を行うようになっている。
【0003】
ところで、上記のようなコントローラでは、パッド状の操作子に対する押下操作(タッチ操作)を検出するためのタッチ検出装置が必要である。このようなパッド状の操作子をはじめとする各種の操作子に対するタッチ検出を行うためのタッチ検出装置の一例として、特許文献1に記載のタッチ検出装置(感圧変化装置)がある。特許文献1に記載のタッチ検出装置は、スペーサ部材を介して所定間隔で対向配置された2枚の柔軟性を有する支持部材を備え、該2枚の支持部材の互いに対向する面に導体パターンを形成したものである。そして、支持部材の面にかかる圧力(荷重)によって支持部材が撓むことで導体パターンが接触してタッチ検出信号が出力されるように構成している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特公平02−49029号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1に示すタッチ検出装置の構造では、所定間隔で配置した2枚の支持部材はそれらの対向する面が互いに平行であって、かつ、当該面に形成した導体パターンは直線状に形成されているものである。この構成では、支持部材の面にかかる圧力(荷重)によって2枚の支持部材に形成した導体パターンが接触する際、その圧力の大きさに応じた接触領域の面積の変化量をあまり大きくすることができない。そのため、タッチ操作に応じて出力されるタッチ検出信号のダイナミックレンジが小さく、タッチ操作の強さを精度良く詳細に検出することが十分に行えないという課題がある。
【0006】
また、上記のようなタッチ検出装置では、ユーザの操作強度に応じて当該装置の近傍に配置された表示器の輝度や表示色を変化させることで、ユーザに意図どおりの強さの操作入力が行われたか否かを判断させるように構成したものがある。この場合、タッチ操作を行うユーザが当該タッチ操作の強さをより直感的に把握できるようにするためには、パッドの直下など、タッチ検出装置の内側(内部)に表示器を備えることが望ましい。しかしながら、特許文献1に記載のようなセンサ構造では、タッチ検出装置の内部に表示器を設けるためのスペースを確保し難いため、表示器を設ける場合には、タッチ検出装置の外部に設けざるを得ない。
【0007】
本発明は上述の点に鑑みてなされたものであり、その目的は、簡単な構造で、タッチ検出信号のダイナミックレンジを高めてタッチ操作の強度を高精度に検出でき、かつ、装置の内部に表示器を配置可能なタッチ検出装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するための本発明は、印刷配線基板(30)と、前記印刷配線基板(30)の上面(30a)に形成されたタッチ検出用の固定接点パターン(PT1)と、前記印刷配線基板(30)の前記上面(30a)側に設置された操作用部材(20)と、前記操作用部材(20)に形成された可動接点パターン(PT2)と、を備え、前記操作用部材(20)は、前記印刷配線基板(30)上に固定的に設置される基部(23)と、その下面(21b)に設けた前記可動接点パターン(PT2)が前記固定接点パターン(PT1)に対して所定の離間寸法を隔てて対向してなる可動部(21)と、前記基部(23)に対して前記可動部(21)を相対移動可能に連結してなる可撓性を有する連結部(25)とからなり、前記可動部(21)の移動に伴い前記可動接点パターン(PT2)が前記固定接点パターン(PT1)に接触することでタッチ検出が行われるタッチ検出装置(40)であって、前記印刷配線基板(30)上の前記固定接点パターン(PT1)は、その中心部(M)に配設された発光体部品(35)の側部から径方向の外側に向かって渦巻状に延びる接点パターンであって、前記可動部(21)の前記下面(21b)は、前記固定接点パターン(PT1)の径方向に沿って前記中心部(M)に向かって該固定接点パターン(PT1)との距離が次第に大きくなるように傾斜しており、前記可動部(21)は、前記発光体部品(35)の発光を該可動部(21)の上面(31a)側へ導くように光透過性を有していることを特徴とする。
【0009】
本発明にかかるタッチ検出装置によれば、印刷配線基板上の固定接点パターンをその中心部から外径側に向かって渦巻状に延びる接点パターンとしたことで、接点パターンの長手方向の延伸寸法を十分に長い寸法に設定できる。そのうえ、可動接点パターンが形成された可動部の下面を渦巻状の固定接点パターンの径方向に沿って傾斜した状態としたことで、可動部の押下操作の強さに応じて、可動接点パターンを渦巻状の固定接点パターンに対してその外径側から内径側へ順次に接触させることが可能となる。これらによって、固定接点パターンと可動接点パターンの接触の強さに応じた接触領域の面積の変化量を大きくすることができ、タッチ操作の検出値のダイナミックレンジを大きくすることができる。したがって、タッチ操作の強さを高い精度で検出可能なタッチ検出装置を構成できる。
【0010】
また、本発明にかかるタッチ検出装置では、固定接点パターンを渦巻状の接点パターンとしたことで、同じ強さのタッチ操作であれば、可動部に対する操作位置や操作方向によらず、常に略一定の出力値を得ることが可能となる。したがって、押釦型のパッド状操作子に対するタッチ操作を検出するのに好適なタッチ検出装置を構成できる。さらに、渦巻状の固定接点パターンの中心部に発光体部品を配設し、かつ、発光体部品の発光を可動部の上面側に導くように可動部に光透過性を持たせたことで、タッチ操作に対するレスポンス状態の表示を行うための表示器をタッチ検出装置の内部である可動部の直下位置に配置することが可能となる。これにより、タッチ操作を行うユーザが当該タッチ操作の強さなどの情報をより直感的に把握できるようになる。
【0011】
また、上記のタッチ検出装置では、発光体部品(35)は、複数個の発光体(35a,35b)を備えて構成されており、操作用部材(20)は、光透過性を有する合成樹脂材で構成されていてよい。さらにこの場合、上記複数個の発光体として、互いの発色が異なる複数個の発光体を備えるとよい。
【0012】
この構成によれば、複数個の発光体の発光状態を切り換えることによって、タッチ操作に対するレスポンス状態をより適切に表示することが可能となる。すなわち、例えば、検出されたタッチ操作の強さに応じて発光する発光体の個数を可変させることで、発光の強さを切り換えることができる。また、互いの発色が異なる複数の発光体を備えている場合には、検出されたタッチ操作の強さに応じて複数個の発光体の点灯を切り換えることで、発光する光の発色を可変させることができる。
【0013】
また、上記のタッチ検出装置では、可動部(21)の下面(21b)における発光体部品(35)に対向する位置に形成された凹部(21c)をさらに備えるとよい。この構成によれば、可動部の下面に形成した凹部によって、操作された可動部が変位(下降)した際に発光体と干渉することを防止できるので、可動部のスムーズな動作を確保できる。また、可動部に凹部を設けたことで、可動部のフレキシビリティを高めることができるので、可動部の下面に形成した可動接点パターンの固定接点パターンに対する良好な接触状態を確保できるようになる。
なお、上記の括弧内の符号は、後述する実施形態の対応する構成要素の符号を本発明の一例として示したものである。
【発明の効果】
【0014】
本発明にかかるタッチ検出装置によれば、簡単な構造で、タッチ検出信号のダイナミックレンジを効果的に高めることができ、かつ、装置の内部である可動部の直下位置に表示器用の発光体部品を配置できるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の一実施形態にかかるタッチ検出装置を備えた楽曲データ入力装置の外観構成を示す斜視図である。
【図2】楽曲データ入力装置の構成部品を示す分解斜視図である。
【図3】タッチ検出装置が備えるタッチ検出部の詳細構成を示す図で、(a)は、タッチ検出部の側断面図((b)のA−A矢視に対応する断面図)、(b)は、タッチ検出部における印刷配線基板の上面を示す平面図である。
【図4】可動部材の可動部をその下面側から見た斜視図である。
【図5】(a)は、タッチ検出部に対する操作を検出するためのタッチ検出回路の構成例を示す回路図、(b)は、固定接点パターンにおける回路図中の各点及び各抵抗との対応を示す図、(c)は、パッド部のストローク量(下降量)に対する出力電圧の変化を示す概略のグラフである。
【図6】タッチ操作の検出に基づいてLED素子を発光させる手順を説明するためのフローチャートである。
【図7】楽曲データ入力装置の制御回路の構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、添付図面を参照して本発明の実施形態を詳細に説明する。図1は、本発明の一実施形態にかかるタッチ検出装置40を備えた楽曲データ入力装置1の外観構成を示す斜視図である。また、図2は、楽曲データ入力装置1の構成部品を示す分解斜視図である。なお、図2では、楽曲データ入力装置1の構成部品の一部分のみを図示していると共に、各部品同士を固定するための固定構造などの図示も省略していることで、全体を簡略化した状態で図示している。図1及び図2に示す楽曲データ入力装置1は、上ケース11及び下ケース15からなる外装ケース10と、外装ケース10の内部に設置した操作用部材20及び印刷配線基板(以下、「基板」と記す。)30からなるタッチ検出装置40と、補強板50とを備えて構成されている。以下、各構成部品について詳細に説明する。
【0017】
外装ケース10を構成する上ケース11及び下ケース15は、合成樹脂材などで形成された周囲壁(外縁)を有する略長方形の平板状部材である。下ケース15の外縁15aは上方に折曲形成されており、上ケース11(枠体12)の外縁12aは下方に折曲形成されている。上ケース11と下ケース15を上下に重ね合わせ、それらの外縁12a,15a同士を接合して一体化するようになっており、その内部に楽曲データ入力装置1の構成部品である操作用部材20、基板30、補強板50を収容するようになっている。
【0018】
また、図1に示すように、下ケース15の下面側にはスタンド17が取り付けられている。スタンド17は、下ケース15の下面に対して支点(図示せず)を中心に回動可能に取り付けられている。同図に示すように、スタンド17を回動させて下ケース15の下面に対して起こした状態とすることで、スタンド17で下ケース15を斜めに支持し、楽曲データ入力装置1を傾斜させた状態で設置することができる。
【0019】
また、図2に示すように、下ケース15の内面には、基板30上の後述する固定接点パターンPT1に対応する位置に、略円柱状の小突起15bが複数形成されている。小突起15bは、操作用部材20のパッド部21を介して指などで押圧又は打撃操作される基板30上の固定接点パターンPT1をその下面側から支持するもので、パッド部21の打撃による基板30の変形を防止する機能、及びタッチ出力の検出精度低下を防止するための機能を有している。
【0020】
上ケース11は、その外縁12aが下ケース15の外縁15aと重なる枠体(第1上ケース)12と、枠体12に設けた開口部12e内に設置される略平板状のパネル板(第2上ケース)13との2部品で構成されている。パネル板13は、その外形が枠体12の外形よりも一回り小さい長方形状で、枠体12の開口部12eに嵌め込んで取り付けるようになっている。また、パネル板13には、操作用部材20に設けた後述する各パッド部21のパッド面21aを露出させるための複数の透孔(開口部)13fが形成されている。
【0021】
操作用部材20は、合成樹脂ラバー、シリコン樹脂など合成樹脂製の凹凸を有する可撓性板状部材(弾性部材)で、基板30上の各固定接点パターンPT1の外側を囲む位置に設置される基部23と、複数の固定接点パターンPT1それぞれに対応する複数の突起状のパッド部(可動部)21と、基部23に対してパッド部21を相対移動可能に連結してなる連結部25(図3参照)とを備えている。各パッド部21は、各固定接点パターンPT1に対応する寸法及び形状の小突起からなり、その上面が指などで操作するパッド面(操作面)21aになっている。なお、操作用部材20の構成については、下記のタッチ検出装置40の説明で詳述する。
【0022】
基板30は、下ケース15内に収容可能な略長方形状の外形を有する平板状の硬質基板である。基板30上には、タッチ検出装置40の各タッチ検出部41用の固定接点パターンPT1が形成されている。固定接点パターンPT1は、基板30上に複数が所定間隔でマトリクス状に整列配置されている。基板30上の各固定接点パターンPT1の中心部には、LED素子35が実装されている。また、基板30上の各固定接点パターンPT1の外側を囲む位置には、格子状のスペーサ用パターンPT3が形成されている。なお、基板30の構成についても、下記のタッチ検出装置40の説明で詳述する。
【0023】
補強板50は、下ケース15内で基板30の下面側に設置されている。この補強板50は、下ケース15内に収容可能な略長方形状の外形を有する金属製の平板状部材である。補強板50の長手方向の両端辺50a,50aは、上方に折り曲げられた補強部になっている。また、補強板50における基板30上の固定接点パターンPT1及び下ケース15の小突起15bに対応する位置には、小突起15bを挿通させて基板30の各固定接点パターンPT1の下面側に当接させるための透孔53が形成されている。透孔53は、概略T字状の外形を有している。
【0024】
タッチ検出装置40は、基板30と、基板30の上面30aに形成された固定接点パターンPT1と、基板30の上面30a側に設置された操作用部材20と、操作用部材20に形成された可動接点パターンPT2などを備えて構成されている。なお、本実施形態の楽音データ入力装置1には、図1に示すように、タッチ検出装置40の各タッチ検出部41の他に、操作スイッチ45やロータリーエンコーダ47など他の操作子も設けられているが、これらは、本発明とは直接関連しないので、ここではそれらの説明を省略する。
【0025】
図3は、タッチ検出装置40が備えるタッチ検出部41の詳細構成を示す図で、(a)は、タッチ検出部41の側断面図((b)のA−A矢視に対応する断面図)、(b)は、タッチ検出部41における基板30の上面30aを示す平面図である。また、図4は、操作用部材20のパッド部21をその下面21b側から見た斜視図である。以下、タッチ検出装置40の構成について詳細に説明する。
【0026】
図3(a)に示すように、操作用部材20は、基板30上に固定的に設置される基部23と、基板30の各固定接点パターンPT1の上方に対向して配置されるパッド部21と、基部23に対してパッド部21を相対移動可能に連結してなる可撓性を有する連結部(スカート部)25とからなる。基部23は、図2に示すように、略長方形状の外形を有する操作用部材20及び基板30の縦横辺に沿って伸びる格子状に形成されており、その下面23bがスペーサ用パターンPT3を介して基板30上に載置(固定)されるようになっている。なお、基板30上に載置された操作用部材20の基部23は、基板30と上ケース11(パネル板13)とに挟持された状態で固定されるようになっている。また、パッド部21は、格子状の基部23の間(格子間の略正方形状の隙間)に収まる略立方体型の突起状で、図3(a)に示すように、その上面に設けた操作面21aが基部23の上面23aよりも上方に突出した状態で設置されている。
【0027】
また、図4に示すように、パッド部21の下面21bは、基板30に設けた固定接点パターンPT1に対応する円形に近似した形状の面になっている。そして、当該下面21bには、基板30の固定接点パターンPT1に接触させるための可動接点パターンPT2が形成されている。可動接点パターンPT2は、導電性を有する接点パターンからなる。この可動接点パターンPT2は、パッド部21の下面21bに当該可動接点パターンPT2の材料である導体塗料の塗布などによって形成したものである。また、パッド部21の下面21bの中央には、基板30上のLED素子35を配置するための凹部21cが形成されている。凹部21cは、LED素子35の高さ寸法よりも大きな高さ寸法を有する略円形のドーム型の窪みからなる。また、図3(a)に示すように、パッド部21の下面21b及び該下面21bに形成した可動接点パターンPT2は、パッド部21の外周縁から中央の凹部21cに向かってその高さ位置が次第に高くなるように、基板30の上面30aに対して略円錐状に若干傾斜した状態になっている。これにより、固定接点パターンPT1と可動接点パターンPT2との離間寸法は、パッド部21の下面21bの径方向に沿って一定ではなく、外径側から内径側に向かって次第に増加する寸法になっている。また、基板30上のLED素子35の発光がパッド部21を透過して操作面21a側に導かれるように、操作用部材20は、透光性を有する半透明の材料で構成されている。なお、パッド部21における凹部21cと操作面21aとの間の位置に透光性が確保されていれば、操作面21aの他の部分には、表示用の塗装などが施されていてもよい。
【0028】
操作用部材20の連結部25は、パッド部21の下端近傍の外周とそれに対向する基部23の側面とを連結している薄板状の部分である。この薄板状の連結部25は伸縮変形が可能であって、連結部25の伸縮変形によって、基部23に対するパッド部21の相対的な上下動が許容されるようになっている。
【0029】
基板30の上面30aに設けた固定接点パターンPT1は、抵抗性カーボンパターン又は低抵抗導電パターンなどからなる。固定接点パターンPT1は、LED素子35を配置した中心部Mが接点パターンの無いスペースになっており、該中心部Mの両側それぞれから互いに逆巻きの渦巻状に延伸する第1接点パターンPT1−1と第2接点パターンPT1−2の2本の渦巻状接点パターンを備えて構成されている。第1接点パターンPT1−1と第2接点パターンPT1−2は、互いが逆向きに巻かれた渦巻状であって、中心部Mから径方向に沿って交互に位置するように所定間隔で並べて配置されている。
【0030】
固定接点パターンPT1の中心部Mのスペースに配置したLED素子(発光体部品)35は、緑色のLED素子(発光体)35aと赤色のLED素子(発光体)35bの2個が並べて設置されている。これにより、タッチ検出部41で検出したタッチ操作の強さに応じて、緑色のLED素子35aのみ発光、緑色のLED素子35aと赤色のLED素子35bの両方を発光、赤色のLED素子35bのみを発光の三段階に発光状態を切り換えることができる。なお、緑色のLED素子35aと赤色のLED素子35bの両方を発光させたときは、橙色の発色となる。
【0031】
上記の固定接点パターンPT1は、基板30の上面30aに導体性ペーストからなる塗料を塗布することで形成するか、あるいは、基板30の上面30aにおける固定接点パターンPT1を形成する部分以外の部分にマスキングを施した状態で、該基板30を導体塗料の液中に浸漬させることで、該基板30の上面30aに導体塗料を付着させて形成されている。
【0032】
また、基板30の上面30aに設けたスペーサ用パターンPT3は、各固定接点パターンPT1の外側を囲む複数の直線からなる格子状に形成されている。スペーサ用パターンPT3は、操作用部材20の格子状の基部23に対応する形状及び配置になっている。このスペーサ用パターンPT3は、各固定接点パターンPT1の外側において、各固定接点パターンPT1を囲む完全な矩形状の枠線ではなく、その一部が不規則に省かれた間欠的な状態で形成されている。
【0033】
基板30の上面30aにおける固定接点パターンPT1の周囲には、図示は省略するが、固定接点パターンPT1を他の回路に接続するための引出用パターン(引出配線)が配設されている。そのため、スペーサ用パターンPT3は、引出用パターンを避けた位置に形成する必要がある。したがって、スペーサ用パターンPT3は、上記のように矩形状の枠線に対して不規則に省かれて間欠的な状態で形成されている。
【0034】
すなわち、図3(b)に示すように、スペーサ用パターンPT3は、固定接点パターンPT1の外周を囲む位置において、四角(四個の角部)を有する四角形状(多角形状)に沿って形成されている。そして、四角のうち一の角部(図3(b)に示す右下の角部)に対応する位置は、スペーサ用パターンPT3が形成されていない間欠部になっている。この間欠部に上記の引出用パターンが配設されている。
【0035】
ここで、上記構成のタッチ検出装置40の動作について簡単に説明する。タッチ検出装置40では、非動作位置(初期位置)にあるパッド部21の操作面(タッチパッド面)21aが指などで押圧又は打撃操作されると、連結部25の撓み変形によってパッド部21が下降する。それにより、パッド部21の下面21bに設けた可動接点パターンPT2が基板30の固定接点パターンPT1に接触し、固定接点パターンPT1の第1接点パターンPT1−1と第2接点パターンPT1−2とが導通する。ここで、既述のように、固定接点パターンPT1と可動接点パターンPT2との離間寸法は、固定接点パターンPT1の外径側から内径側に向かって次第に増加する寸法になっていることで、操作面21aに対する押圧操作又は打撃操作の強さに応じたパッド部21の高さ位置の変化に伴い、可動接点パターンPT2が渦巻状の固定接点パターンPT1に対してその外径側から内径側へ順次に接触していくようになっている。すなわち、押圧操作又は打撃操作の強さに応じて可動接点パターンPT2が固定接点パターンPT1に接触する領域の大きさが変化し、固定接点パターンPT1の抵抗値が変化するようになっている。
【0036】
図5(a)は、タッチ検出部41に対するタッチ操作を検出するための検出回路の構成例を示す回路図であり、同図(b)は、固定接点パターンPT1における回路図中の各点及び各抵抗との対応を示す図である。なお、図5(a)に示す検出回路は、本実施形態のタッチ検出部41に対するタッチ操作の強さを検出可能な回路の一例であって、検出回路の構成は、同図に示すものに限定される訳ではない。図5に示すタッチ検出回路200は、固定接点パターンPT1及び可動接点パターンPT2で構成されるタッチ検出部41の回路構成と等価であるセンサ等価回路201を備えている。センサ等価回路201は、固定接点パターンPT1の一方である第1接点パターンPT1−1に対応する抵抗R21と、他方である第2接点パターンPT1−2に対応する抵抗R22とを備えている。そして、固定接点パターンPT1と可動接点パターンPT2との接触面積及び接触圧の変化に応じて、抵抗値R2=R21+R22の値が変化する。なお、図5(a)では、パッド部21に対する押圧操作の強さに応じて抵抗R21及び抵抗R22に接触する針201a,201aが移動し、該針201a,201aの接触位置によって抵抗値R21及びR22が変化するように構成したものをセンサ等価回路201として示している。
【0037】
このような可動接点パターンPT2と固定接点パターンPT1との接触面積(あるいは接触圧)の変化によって、P2の電圧V1が変化するようになっている。そして、入力電圧Vに対して、抵抗R1と抵抗R2(=R21+R22)による抵抗値R=R1/(R1+R2)に応じた出力電圧V1が得られる。
【0038】
なお上記では、抵抗値R2(=R21+R22)が固定接点パターンPT1と可動接点パターンPT2との接触面積及び接触圧に応じて変化すると記したが、それ以外にも、抵抗値R2が固定接点パターンPT1と可動接点パターンPT2との接触面積のみに応じて変化するようにも構成できる。そのためには、R21及びR22を高抵抗値(例えば、R21及びR22の抵抗値=10KΩ〜100KΩとし、かつ、R21=R22とすることが望ましい。)とし、接地側の抵抗R1をその値がR1≦R21となるように設定し、さらに、可動接点パターンPT2の抵抗値(図5(a)の回路図では、該抵抗値=0とみなしている。)を固定接点パターンPT1と比べて非常に低い抵抗値(例えば、パッド部21が一杯にストロークする強さで押圧されたときの抵抗値=0.1〜100Ω程度)に設定するようにすればよい。
【0039】
図5(c)は、パッド部21のストローク量(下降量)に対する出力電圧V1の変化を示す概略のグラフである。タッチ検出部41では、固定接点パターンPT1と可動接点パターンPT2との接触が開始されるC点から、パッド部21のストローク量が増加するに連れて、渦巻状の固定接点パターンPT1に対する可動接点パターンPT2の接触領域が順に増加してゆく。これにより、P1とP2の間の抵抗値R2=R21+R22が次第に小さくなってゆき、V1={R1/(R1+R2)}×Vで表される出力電圧V1が増加してゆく。そして、固定接点パターンPT1の全体に可動接点パターンPT2が接触するD点以降は、出力電圧V1=V(最大値)となる。
【0040】
タッチ検出回路200では、上記の出力電圧V1をピークホールド回路(P/H回路)203に入力して、ピークホールド電圧VLを得る。このピークホールド電圧VLを後述するRAM103などに取り込むことで、後述するCPU101がピークホールド電圧VLを用いてタッチ検出部41に対するタッチ操作の強さを判断する。また、ピークホールド電圧VLが取り込まれることで、ピークホールド回路203には、CPU101から取込終了シグナルSGが入力される。この取込終了シグナルSGの入力によってピークホールド回路203がリセットされる。
【0041】
また、タッチ検出装置40の各タッチ検出部41では、上記のタッチ検出回路200で検出したタッチ操作の強さに応じて、LED素子35の発光状態を切り換えるように構成されている。以下、このLED素子35の発光状態を切り換える手順について説明する。図6は、当該手順を説明するためのフローチャートである。同図に示すフローチャートでは、まず、タッチ検出装置40の各タッチ検出部41に対するタッチ操作が有るか否かを判断する(ステップST1)。その結果、タッチ操作が無い場合(NO)には、タッチ操作が有るまで待機し、タッチ操作が有る場合(YES)には、続けて、上記のタッチ検出回路200で検出したタッチ操作の検出電圧(ピークホールド電圧)VLの値と、予め設定された電圧の三段階の閾値V0,V1,V2(ここではV0<V1<V2である。)との比較を行う(ステップST2)。
【0042】
その結果、検出電圧VLが閾値V0よりも小さい場合(VL<V0)は、LED素子35の点灯は行わない。また、検出電圧VLが閾値V0以上閾値V1未満(V0≦VL<V1)であれば、弱いタッチ操作と判断し、緑色のLED素子35aのみを所定時間点灯させる(ステップST3)。これにより、パッド部21の操作面21aが緑色に点灯する。また、検出電圧VLが閾値V1以上閾値V2未満(V1≦VL<V2)であれば、中程度の強さのタッチ操作であると判断し、緑色のLED素子35aと赤色のLED素子35bの両方を所定時間点灯させる(ステップST4)。これにより、パッド部21の操作面21aが橙色に点灯する。また、検出電圧VLが閾値V2以上(V2≦VL)であれば、強いタッチ操作であると判断し、赤色のLED素子35bのみを所定時間点灯させる(ステップST5)。これにより、パッド部21の操作面21aが赤色に点灯する。このようにすることで、タッチ検出部41の操作面21aに対するタッチ操作の強さに応じて、該操作面21aの点灯色を緑色、橙色、赤色の三段階に切り換えることができる。
【0043】
以上説明したように、本実施形態のタッチ検出装置40では、基板30上の固定接点パターンPT1をその中心部Mから外径側に向かって渦巻状に延びる接点パターンとしたことで、固定接点パターンPT1の長手方向の延伸寸法を十分に長い寸法に設定できる。そのうえ、可動接点パターンPT2が形成されたパッド部21の下面21bを渦巻状の固定接点パターンPT1の径方向(隣接する固定接点パターンPT1同士の離間方向)に沿って傾斜した状態としたことで、パッド部21の押下操作の強さに応じて、可動接点パターンPT2を渦巻状の固定接点パターンPT1に対してその外径側から内径側へ順次に接触させることが可能となる。これらによって、固定接点パターンPT1と可動接点パターンPT2の接触によるタッチ操作の検出値のダイナミックレンジを大きくすることが可能となる。したがって、タッチ操作の強さを高い精度で検出可能なタッチ検出装置40となる。
【0044】
また、本実施形態のタッチ検出装置40では、同じ強さのタッチ操作であれば、パッド部21に対する操作位置や操作方向によらず、常に略一定の出力値を得ることが可能となる。したがって、押釦型のパッド状操作子に対するタッチ操作を検出するのに好適なタッチ検出装置40を構成できる。さらに、渦巻状の固定接点パターンPT1の中心部Mに発光体部品であるLED素子35を配設し、かつ、このLED素子35の発光をパッド面21a側に導くようにパッド部21に光透過性を持たせたことで、タッチ操作に対するレスポンス状態の表示を行うための表示器用のLED素子35をパッド部21の直下に配置した構成としている。これにより、表示器用のLED素子35を省スペースにて効果的に配置することができる。さらに、タッチ操作を行うユーザが当該タッチ操作の強さなどの情報をより直感的に把握できるようになる。また、本実施形態のタッチ検出装置40では、緑色のLED素子35aと赤色のLED素子35bの発光状態の切り換えによってLED素子35の発色を可変させるようにしたことで、タッチ操作に対するレスポンス状態をより適切に表示することが可能となる。
【0045】
また、本実施形態のタッチ検出装置40では、パッド部21の下面21bに形成した凹部21cによって、操作されたパッド部21が下降する際に基板30上のLED素子35と干渉することを防止でき、パッド部21のスムーズな動作を確保できる。また、凹部21cによってLED素子35の光を拡散させることができるので、パッド面21aの輝度を高める効果も期待できる。さらに、パッド部21に凹部21cを設けたことで、パッド部21のフレキシビリティ(柔軟性)を高めることができるので、パッド部21の下面21bに形成した可動接点パターンPT2の固定接点パターンPT1に対する良好な接触状態を確保できる。
【0046】
次に、楽曲データ入力装置1が備える制御回路の構成について説明する。図7は、楽曲データ入力装置1の制御回路の構成を示すブロック図である。同図に示すように、楽曲データ入力装置1は、マイクロプロセッサユニット(CPU)101、リードオンリメモリ(ROM)102、ランダムアクセスメモリ(RAM)103からなるマイクロコンピュータによって制御される。CPU101は、楽曲データ入力装置1全体の動作を制御するものである。このCPU101に対して、バス109介してROM102、RAM103、検出回路104、表示回路106、通信インタフェース(I/F)108がそれぞれ接続されている。
【0047】
ROM102は、CPU101により実行あるいは参照される各種制御プログラムや各種データ等を格納する。RAM103は、CPU101が所定のプログラムを実行する際に発生する各種データなどを一時的に記憶するワーキングメモリとして、あるいは現在実行中のプログラムやそれに関連するデータを一時的に記憶するメモリ等として使用される。RAM103の所定のアドレス領域がそれぞれの機能に割り当てられ、レジスタやフラグ、テーブル、メモリなどとして利用される。
【0048】
操作子105は、各種機能付加や不付加又は設定パラメータの設定を行うもので、本実施形態の楽音データ入力装置1では、上記のタッチ検出装置40が備える各タッチ検出部41がこれに該当する。タッチ検出部41はパッド状のスイッチであって、叩く操作の検出に応じて楽曲データを生成するものである。また、検出回路104には、図5に示すタッチ検出回路200が含まれる。
【0049】
通信インタフェース(I/F)108は、例えば汎用又は専用の通信ケーブル、あるいはLANやインターネット、電話回線等の有線あるいは無線の通信ネットワークに接続されており、該通信ケーブルや通信ネットワーク等を介して他のコンピュータ(図示せず)と接続され、当該コンピュータとの間で楽曲データや各種信号さらには各種情報を送受信するためのインタフェースである。こうした通信インタフェース108は、有線あるいは無線のものいずれかでなく双方を備えていてよい。そして、楽曲データ入力装置1のタッチ検出部41(パッド状のスイッチ)を叩くといった押下操作をすることによって、楽曲制作ソフトウェアプログラムを起動中のコンピュータに対してドラム音色の楽曲データを入力することができる。
【0050】
以上本発明の実施形態を説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲、及び明細書と図面に記載された技術的思想の範囲内において種々の変形が可能である。例えば、上記実施形態では、固定接点パターンPT1の中心部Mに設けた発光体部品であるLED素子35として、互いに異なる発光色のLED素子35a,35bを備えた場合を示したが、これ以外にも、本発明にかかる発光体部品が備える複数の発光体としては、同色の複数個のLED素子を備えるようにして、それらの発光する数を可変させることで、光の強さを変えるように構成することなども可能である。
【0051】
また、上記実施形態に示したタッチ検出装置40では、パッド部21の下面21bをその外周縁から中央の凹部21cに向かってその高さ位置が次第に高くなるように傾斜させている。これに対して、パッド部の下面を傾斜させる態様としては、これ以外にもパッド部の下面が中心から外周縁に向かって径方向に沿って次第に高くなるように傾斜させることも考えられる。すなわちその場合、パッド部の下降に伴い可動接点パターンが固定接点パターンの中心側から外径側に向かって順に接触するようになる。しかしながら、そのような構成では、弱タッチのとき(パッド部の下降量が少ないとき)に固定接点パターンに対する可動接点パターンの接触が点接触状態となってしまい、接触状態が不安定で検出信号の出力にバラつきが生じ易いという問題がある。これに対して、本願発明及び上記実施形態のようにパッド部の下面をその外周縁から中央に向かって次第に高くなるように傾斜させていれば、弱タッチのときの固定接点パターンに対する可動接点パターンの接触を、可動接点パターンの外周全周での面接触状態とすることが可能となる。これにより、固定接点パターンに対する可動接点パターンの接触状態を安定させることができ、検出信号の出力にバラつきが生じることを効果的に抑制できる。
【符号の説明】
【0052】
1・・・楽曲データ入力装置,10・・・外装ケース,11・・・上ケース,12・・・枠体,13・・・パネル板,15・・・下ケース,20・・・操作用部品,21・・・パッド部(可動部),21a・・・パッド面(操作面),21b・・・下面,21c・・・凹部,23・・・基部,25・・・連結部,30・・・印刷配線基板(基板),30a・・・上面,35・・・LED素子(発光体部品),35a・・・LED素子(緑色),35b・・・LED素子(赤色),40・・・タッチ検出装置,41・・・タッチ検出部,45・・・操作スイッチ,47・・・ロータリーエンコーダ,50・・・補強板,PT1・・・固定接点パターン,PT2・・・可動接点パターン,PT3・・・スペーサ用パターン,104・・・検出回路,105・・・操作子,106・・・表示回路,108・・・通信インタフェース,109・・・バス,200・・・タッチ検出回路,201・・・センサ等価回路
【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷配線基板と、
前記印刷配線基板の上面に形成されたタッチ検出用の固定接点パターンと、
前記印刷配線基板の前記上面側に設置された操作用部材と、
前記操作用部材に形成された可動接点パターンと、を備え、
前記操作用部材は、前記印刷配線基板上に固定的に設置される基部と、その下面に設けた前記可動接点パターンが前記固定接点パターンに対して所定の離間寸法を隔てて対向してなる可動部と、前記基部に対して前記可動部を相対移動可能に連結してなる可撓性を有する連結部とからなり、
前記可動部の移動に伴い前記可動接点パターンが前記固定接点パターンに接触することでタッチ検出が行われるタッチ検出装置であって、
前記印刷配線基板上の前記固定接点パターンは、その中心部に配設された発光体部品の側部から径方向の外側に向かって渦巻状に延びる接点パターンであって、
前記可動部の前記下面は、前記固定接点パターンの径方向に沿って前記中心部に向かって該固定接点パターンとの距離が次第に大きくなるように傾斜しており、
前記可動部は、前記発光体部品の発光を該可動部の上面側へ導くように光透過性を有している
ことを特徴とするタッチ検出装置。
【請求項2】
前記発光体部品は、複数個の発光体を備えて構成されており、
前記操作用部材は、光透過性を有する合成樹脂材で構成されている
ことを特徴とする請求項1に記載のタッチ検出装置。
【請求項3】
前記可動部の前記下面における前記発光体部品に対向する位置に形成された凹部をさらに備える
ことを特徴とする請求項1又は2に記載のタッチ検出装置。
【請求項1】
印刷配線基板と、
前記印刷配線基板の上面に形成されたタッチ検出用の固定接点パターンと、
前記印刷配線基板の前記上面側に設置された操作用部材と、
前記操作用部材に形成された可動接点パターンと、を備え、
前記操作用部材は、前記印刷配線基板上に固定的に設置される基部と、その下面に設けた前記可動接点パターンが前記固定接点パターンに対して所定の離間寸法を隔てて対向してなる可動部と、前記基部に対して前記可動部を相対移動可能に連結してなる可撓性を有する連結部とからなり、
前記可動部の移動に伴い前記可動接点パターンが前記固定接点パターンに接触することでタッチ検出が行われるタッチ検出装置であって、
前記印刷配線基板上の前記固定接点パターンは、その中心部に配設された発光体部品の側部から径方向の外側に向かって渦巻状に延びる接点パターンであって、
前記可動部の前記下面は、前記固定接点パターンの径方向に沿って前記中心部に向かって該固定接点パターンとの距離が次第に大きくなるように傾斜しており、
前記可動部は、前記発光体部品の発光を該可動部の上面側へ導くように光透過性を有している
ことを特徴とするタッチ検出装置。
【請求項2】
前記発光体部品は、複数個の発光体を備えて構成されており、
前記操作用部材は、光透過性を有する合成樹脂材で構成されている
ことを特徴とする請求項1に記載のタッチ検出装置。
【請求項3】
前記可動部の前記下面における前記発光体部品に対向する位置に形成された凹部をさらに備える
ことを特徴とする請求項1又は2に記載のタッチ検出装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【公開番号】特開2013−51095(P2013−51095A)
【公開日】平成25年3月14日(2013.3.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−188036(P2011−188036)
【出願日】平成23年8月30日(2011.8.30)
【出願人】(000004075)ヤマハ株式会社 (5,930)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年3月14日(2013.3.14)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年8月30日(2011.8.30)
【出願人】(000004075)ヤマハ株式会社 (5,930)
【Fターム(参考)】
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