説明

チューブ容器

【課題】下端を左右方向に扁平に閉塞した筒状の胴部の上端より肩部を介して口頸部を起立した合成樹脂製の容器体を備えたチューブ容器であって、収容物が減少した際に収容物への空気の混入を極力防止でき、また、吐出量の特定を容易に行え、しかもその取り扱い操作も簡単なチューブ容器を提案する。
【解決手段】胴部10の前後方向への容易な水平折り曲げが可能な定量折目線13を設け、胴部10外周に形成した水平環状の線状凹部14で構成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はチューブ容器に関し、詳しくは、効率の良い内容物の定量吐出が可能なチューブ容器に関する。
【背景技術】
【0002】
下端を扁平状に閉塞した筒状の胴部より肩部を介して口頸部を起立した形態の合成樹脂製のチューブ容器が種々提案されている。
【0003】
これらは口頸部にキャップを着脱可能に嵌合させて、使用時にキャップを外して胴部を圧搾することで収容物を吐出する如く構成したもの(例えば、特許文献1を参照)、或いは、口頸部に嵌着させたキャップ基体と、蝶番機構を介してキャップ基体に開閉自在に取着された開閉蓋とからなるキャップを備え、使用時に開閉蓋を開いて胴部を圧搾することで収容物を吐出する如く構成したもの(例えば、特許文献2を参照)等がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−255202号公報
【特許文献2】特開2002−104460号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記従来のチューブ容器は使用に当たり、胴部を圧搾して収容物を吐出すれば、減容分だけ胴部が凹み、収容物と外気との接触を極力防止でき、収容物の酸化防止等を図れる特徴がある。胴部が金属製の場合には一旦変形したものが元に戻ることはないが、合成樹脂製の胴部では一般に弾性を有するため、一旦凹んだ胴部の一部が再び弾性復元する場合も考えられる。
【0006】
本発明は上記した点に鑑みてなされたもので、収容物が減少した際に収容物への空気の混入を極力防止でき、また、吐出量の特定を容易に行え、しかもその取り扱い操作も簡単なチューブ容器を提案する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1の手段として、以下の通り構成した。即ち、下端を左右方向に扁平に閉塞した筒状の胴部10の上端より肩部11を介して口頸部12を起立した合成樹脂製の容器体Aを備えたチューブ容器であって、胴部10の前後方向への容易な水平折り曲げが可能な定量折目線13を設けた。
【0008】
第2の手段として、以下の通り構成した。即ち、前記第1の手段に於いて、定量折目線13を、胴部10外周に形成した水平環状の線状凹部14で構成した。
【0009】
第3の手段として、以下の通り構成した。即ち、前記第1の手段に於いて、定量折目線13を、胴部10の前後位置の少なくとも一方に不連続部分16を備えた水平非環状の線状凹部15で構成した。
【0010】
第4の手段として、以下の通り構成した。即ち、第3の手段に於いて、胴部10外面の不連続部分16を表示面17として構成した。
【0011】
第5の手段として、以下の通り構成した。即ち、前記第1の手段乃至第4の手段のいずれかの手段に於いて、定量折目線13を複数設けた。
【0012】
第6の手段として、以下の通り構成した。即ち、前記第1の手段乃至第5の手段のいずれかの手段に於いて、口頸部12に嵌合させた周壁20の上端より延設した頂板22に吐出口21を開口したキャップ本体B1と、該キャップ本体B1上を開閉可能に設けるとともに、吐出口21を閉塞する棒栓33を備えた蓋体B2とからなるキャップBを装着した。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、胴部10の前後方向への容易な水平折り曲げが可能な定量折目線13を設けているため、胴部10内の収容物を下端部から押し出していき、定量折目線13部分まで押し出すことで定量の収容物の吐出が可能であり、その後定量折目線13部分から胴部10を折り曲げることで、胴部10内の充填領域と非充填領域(胴部10を押圧することで押し潰して充填領域に収容物を移行させた領域)とを容易に区分することができ、しかも、折り曲げた下方の非充填領域は充填領域の胴部10後面或いは前面に折り返しておくことができるため、その折り曲げ状態を安定維持することができる。
【0014】
定量折目線13を、胴部10外周に形成した水平環状の線状凹部14で構成した場合には、上記段落13に記載の効果と同様の効果を発揮するとともに、定量折目線13の長さを目一杯長く形成できるため、より容易な折り曲げが可能となる。
【0015】
定量折目線13を、胴部10の前後位置の少なくとも一方に不連続部分16を備えた水平非環状の線状凹部15で構成した場合には、上記段落13に記載の効果と同様の効果を発揮するとともに、不連続部分16の胴部10外面の有効利用が可能となり、例えばその部分へのラベルの貼着等が可能となる。
【0016】
胴部10外面の不連続部分16を表示面17として構成した場合には、上記段落13に記載の効果と同様の効果を発揮するとともに、表示面17を印刷等で施しても歪みなく形成できる利点がある。
【0017】
定量折目線13を複数設けた場合には、収容物の使用目的等により収容物を二分割使用以上の多分割使用が可能であり、しかも容器の使用始めから終わりまで、上記した如く充填領域と非充填領域の安定した分離状態維持が可能である。
【0018】
口頸部12に嵌合させた周壁20の上端より延設した頂板22に吐出口21を開口したキャップ本体B1と、該キャップ本体B1上を開閉可能に設けるとともに、吐出口21を閉塞する棒栓33を備えた蓋体B2とからなるキャップBを装着した場合には、収容物を吐出した後蓋体B2を閉めることで棒栓33により吐出口21が閉じられるため、吐出口21の開閉を迅速に行えて内部に画成された収容物の充填領域と外気との接触を極力少なくする利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】チューブ容器の正面図である。(実施例1)
【図2】チューブ容器の使用状態を示す説明図である。(実施例1)
【図3】チューブ容器の正面図である。(実施例2)
【図4】チューブ容器の収容物充填前の正面図である。(実施例2)
【図5】チューブ容器の使用状態を示す説明図である。(実施例2)
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の形態を図面を参照して説明する。
【0021】
図1及び図2はチューブ容器1の一例を示す。
【0022】
チューブ容器1は、容器体Aと、キャップBとを備えている。
【0023】
容器体Aは、下端を左右方向に扁平に閉塞した閉塞部10a とした筒状の胴部10の上端より肩部11を介して口頸部12を起立している。
【0024】
容器体Aは、胴部10の複数レベルにおいて、胴部10の前後方向の容易な水平折り曲げが可能な定量折目線13…をそれぞれ設けている。本例に於ける定量折目線13…は、それぞれ胴部10外周に形成した水平環状の線状凹部14…で構成しており、胴部10の下部から上部に亘り、各定量折目線13…間の収容物量が同じとなる間隔で凹設されている。従って図示例では等間隔に複数凹設している。但し、最下方の定量折目線13a と容器体A下端部の閉塞部10a との間の距離は、その直上の下から二番目の定量折目線13b との間の胴部10形状が異なることから、最下方の定量折目線13a 下方の容量と、その上方の容量とが同じとなる如く下端から所定の長さ位置に凹設されている。また、下から二番目の定量折目線13b 上方は胴部形状が同じであるため、等間隔に形成されている。尚、定量折目線13の数は収容物を何回に分けて使用するかによって適宜選択すれば良く、本例の如く複数設ける場合に限らず、一本の定量折目線13を設けて二分割吐出を行う如く構成しても良い。
【0025】
水平環状の線状凹部14…で構成する定量折目線13…を形成するのは容器体Aの形成前であっても形成後であっても可能である。線状凹部の形成に関しては他の実施例も同様である。
【0026】
キャップBは、キャップ本体B1と蓋体B2とから構成されている。キャップ本体B1は、口頸部12外周に嵌合させた周壁20の上端より、中央に吐出口21を開口した頂板22を延設している。また、頂板22裏面より垂設したシール筒23を口頸部12内周上端部に液密に嵌合させている。蓋体B2は、周壁部30の上端縁より頂壁部31を延設した伏せ皿状をなし、周壁部30の後部下端をキャップ本体B1の周壁20後部上端とヒンジ32で一体に連結し、キャップ本体B1上面を開閉可能に設けている。また、頂壁部31の裏面から垂設した棒栓33を吐出口21に嵌合させて吐出口21を閉塞している。
【0027】
上記の如く構成したチューブ容器1は、使用に当たり、図1の状態から蓋体B2を開いて胴部10の下端部を圧搾することで収容物を吐出口21より吐出することができ、最下方の定量折目線13a まで胴部10を押し潰した後、図2に示す如く、最下方の定量折目線13の部分で胴部10を水平折り曲げして、充填領域と非充填領域とを区画する。折り曲げた下端部は、例えば図2の状態から胴部10の前面に接触するまで折り曲げて保管することができる。
【0028】
図3乃至図5は他の例を示すもので、本例では、形態の異なる定量折目線13を設けた例を示す。本例では各定量折目線13…を、胴部10の前後位置に不連続部分16を備えた水平非環状の線状凹部15で構成している。また、不連続部分16を縦断する胴部10外面を表示面17として構成しており、この部分に印刷等により文字、図形、模様等を施す如く構成している。
【0029】
その他の構成は図1の例と同様であるため、同符号を付して説明を省略する。また、使用方法も図1の例と同様であるため説明を省略する。
【符号の説明】
【0030】
1…チュー部容器
A…容器体
10…胴部、10a …閉塞部、11…肩部、12…口頸部、13…定量折目線、
13a …最下方の定量折目線、13b …下から二番目の定量折目線、
14…水平環状の線状凹部、15…水平非環状の線状凹部、16…不連続部分、17…表示面
B…キャップ
B1…キャップ本体
20…周壁、21…吐出口、22…頂板、23…シール筒
B2…蓋体
30…周壁部、31…頂壁部、32…ヒンジ、33…棒栓

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下端を左右方向に扁平に閉塞した筒状の胴部(10)の上端より肩部(11)を介して口頸部(12)を起立した合成樹脂製の容器体(A)を備えたチューブ容器であって、胴部(10)の前後方向への容易な水平折り曲げが可能な定量折目線(13)を設けたことを特徴とするチューブ容器。
【請求項2】
定量折目線(13)を、胴部(10)外周に形成した水平環状の線状凹部(14)で構成した請求項1記載のチューブ容器。
【請求項3】
定量折目線(13)を、胴部(10)の前後位置の少なくとも一方に不連続部分(16)を備えた水平非環状の線状凹部(15)で構成した請求項1記載のチューブ容器。
【請求項4】
胴部(10)外面の不連続部分(16)を表示面(17)として構成した請求項3記載のチューブ容器。
【請求項5】
定量折目線(13)を複数設けた請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載のチューブ容器。
【請求項6】
口頸部(12)に嵌合させた周壁(20)の上端より延設した頂板(22)に吐出口(21)を開口したキャップ本体(B1)と、該キャップ本体(B1)上を開閉可能に設けるとともに、吐出口(21)を閉塞する棒栓(33)を備えた蓋体(B2)とからなるキャップ(B)を装着した請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載のチューブ容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−12028(P2012−12028A)
【公開日】平成24年1月19日(2012.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−147750(P2010−147750)
【出願日】平成22年6月29日(2010.6.29)
【出願人】(000006909)株式会社吉野工業所 (2,913)
【Fターム(参考)】