説明

テーブル収納装置

【課題】略水平な使用状態から略垂直に起立されて、上面開口した収納部に収納可能なテーブル天板の収納時に、天板の下降速度を緩やかにし、振動や騒音を発することなくスムースに収納可能で、天板の引き上げ時にも、軽い力で天板を持ち上げることが可能なテーブル収納装置を提供する。
【解決手段】テーブルが備える昇降機構を、収納部5内の左右両側に対向して形成される縦方向のガイドレール21に案内されて昇降する縦部材31を連結する横部材32と、横部材32に沿って移動可能であり、かつ当該移動に伴い漸次付勢力が増大するように付勢部材Aに連繋した付勢ローラBとを有するものとし、昇降機構の下降に伴い、付勢ローラBに連係されて、付勢力が増大する方向に付勢ローラBを案内して移動させるガイドレール21を収納部5内に設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、講義椅子や劇場椅子等の椅子の背面テーブルに関し、特に、テーブルの収納装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、講義椅子や劇場椅子等に用いられる椅子の背凭れの背面に設けられたテーブルが知られている。このようなテーブルは、椅子の背面に一体に取付けられた箱状の収納部に、テーブルの天板を上下昇降自在に収納し、テーブル使用時には、天板を上方に持ち上げた後、天板を使用者方に回動し略水平状態で使用する構成である。(例えば、特許文献1)
【0003】
しかしながら、上記テーブルは、前席の背面に一体に形成されていることから、テーブル使用時に生じる振動が前席に伝わりやすいといった問題がある。特に、テーブル収納時において、テーブルが勢い良く収納されてしまうと、前席に大きな振動が生じてしまう恐れがある。また、天板の重量が重いテーブルの場合、収納時の振動のみならず、天板の引き上げ時に大きな力がいるため、テーブルを引き出しづらいといった問題があった。
【0004】
【特許文献1】特許第3459219号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、収納部に収納可能なテーブルに関し、特に、天板の収納時において、天板の下降速度を緩やかにし、振動や騒音を発することなくスムースに収納可能なテーブルを提供することを課題とする。さらには、天板の下降速度を緩和するのみならず、天板の引き上げ時にも、軽い力で天板を持ち上げることが可能なテーブル収納装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決すべく、本発明の請求項1に記載の発明は、略水平な使用状態から略垂直に起立されて上面開口した収納部に収納されるテーブル収納装置において、前記テーブルが備える昇降機構を、前記収納部内の左右両側に対向して形成される縦方向のスライドレールに案内されて昇降する縦部材を連結する横部材と、前記横部材に沿って移動可能であり、かつ当該移動に伴い漸次付勢力が増大するように付勢部材に連繋した付勢ローラとを有するものとするとともに、昇降機構の下降に伴い、前記付勢ローラに連係されて、付勢力が増大する方向に付勢ローラを案内して移動させるガイドレールを収納部内に設けたことを特徴とする、テーブル収納装置である。
【0007】
当該構成によれば、昇降部材の横部材に沿って移動可能であり、かつ当該移動に伴い漸次付勢力が増大するように連繋された付勢ローラを、収納部に設けられたガイドレールに連係させることにより、付勢ローラがガイドレールを押圧し、テーブルの下降に伴い上向きの補助力が生じ、テーブルの下降速度を徐々に緩和することが可能である。よって、天板収納時の振動や騒音を抑え、安全かつスムースにテーブルを収納することが可能である。さらには、テーブルの収納状態から引き出す際に、テーブルに上向きの補助力が生じているため、軽い力で天板を持ち上げることが可能である。
【0008】
例えば、延伸力を有するダンパの一端に備える付勢ローラをガイドレールに連係させ、付勢ローラがガイドレールを押圧する構成や、他方、収縮力を有するバネに付勢ローラを備え、バネの収縮力により付勢ローラがガイドレールを押圧する等の簡単な構成により、テーブルの下降に伴い、テーブルに上向きの補助力を生じさせることが可能である。
【0009】
さらには、付勢ローラの一端に収縮力を有するバネを連結し、付勢ローラの他端に延伸力を有するダンパの一端を連係させて、バネの収縮力とダンパの延伸力とを合成することが可能であり、付勢ローラの押圧力を増大させることが可能である。
これにより、天板下降時に、ガイドレールに対する付勢ローラの押圧力を安定して付与することが可能であり、たとえ重量の重いテーブルであっても、よりスムースに天板の下降速度を緩和することが可能である。さらには、テーブルに上向きの補助力を生じるため、天板の持ち上げ時に、軽い力で天板を持ち上げることが可能である。
【0010】
また、請求項2に記載の発明は、前記ガイドレールが前記付勢ローラの移動を案内するように傾斜されて設けられている請求項1に記載のテーブル収納装置である。
【0011】
当該構成によれば、ガイドレールを傾斜して設ける簡単な構成により、前記天板の下降に伴い、前記付勢ローラの押圧力を漸次増大させることが可能である。さらには、付勢ローラの押圧力に伴い、上向きの補助力が生じるため、天板の下降速度を緩和するのみならず、天板持ち上げ時にも、軽い力で天板を持ち上げることが可能である。
【0012】
また、請求項3に記載の発明は、前記付勢ローラを複数有するものとして、横部材に沿って互いに近接方向に移動させるのに伴い、前記付勢部材の付勢力を漸次増大させるようにするとともに、前記ガイドレールが、前記付勢ローラの近接方向の移動を案内するように、ハの字状に設けられている請求項2に記載のテーブル収納装置である。
【0013】
当該構成によれば、昇降部材の横部材に、付勢力をもって互いに近接するように設けられた複数の付勢ローラを、収納部に設けられた略ハの字状のガイドレールに対して、前記付勢ローラの付勢力が前記テーブルの下降に伴い漸次増大するように連係させることにより、付勢ローラがガイドレールを押圧し、テーブルの下降に伴い上向きの補助力が生じ、テーブルの下降速度を徐々に緩和することが可能である。よって、天板収納時の振動や騒音を抑え、安全かつスムースにテーブルを収納することが可能である。さらには、テーブルの収納状態から引き出す際に、テーブルに上向きの補助力が生じているため、軽い力で天板を持ち上げることが可能である。
【0014】
例えば、横部材に移動自在に2の付勢ローラを形成し、かつ収縮力を有するバネの両端に付勢ローラをそれぞれ連結し、ハの字状のガイドレールのそれぞれ外方に、左右の付勢ローラを挟み込むように連係させることで、天板の下降に伴い左右の付勢ローラが離間するため、バネが伸びるとともにガイドレールに対する付勢ローラの押圧力が増大し、テーブルの下降速度を確実に緩和することが可能である。特に、左右一対のガイドレールを用いることで、左右均一に押圧力を生じさせることが可能であり、安定してテーブルの下降速度を緩和する効果があるとともに、天板の持ち上げ時に、より軽い力で天板を持ち上げることが可能である。
【0015】
また、請求項4に記載の発明は、前記付勢ローラを複数有するものとして、横部材に沿って互いに離間方向に移動させるのに伴い、前記付勢部材の付勢力を漸次増大させるようにするとともに、前記ガイドレールが、前記付勢ローラの離間方向の移動を案内するように、逆ハの字状に設けられている請求項2に記載のテーブル収納装置である。
【0016】
当該構成によれば、昇降部材の横部材に、付勢力をもって互いに離間するように設けられた複数の付勢ローラを、収納部に設けられた略逆ハの字状のガイドレールに対して、前記付勢ローラの付勢力が前記テーブルの下降に伴い漸次増大するように連係させることにより、付勢ローラがガイドレールを押圧し、テーブルの下降に伴い上向きの補助力が生じ、テーブルの下降速度を徐々に緩和することが可能である。よって、天板収納時の振動や騒音を抑え、安全かつスムースにテーブルを収納することが可能である。さらには、テーブルの収納状態から引き出す際に、テーブルに上向きの補助力が生じているため、軽い力で天板を持ち上げることが可能である。
【0017】
例えば、横部材に移動自在に2の付勢ローラを形成し、かつ収縮力を有するバネの一端を縦部材に連結するとともに、バネの他端を1の付勢ローラに連結して、2の付勢ローラを互いに離間するように設け、逆ハの字状のガイドレールのそれぞれ内方に、左右の付勢ローラを連係させることで、天板の下降に伴い左右の付勢ローラが近接するため、バネが伸びるとともにガイドレールに対する付勢ローラの押圧力が増大し、テーブルの下降速度を確実に緩和することが可能である。特に、左右一対のガイドレールを用いることで、左右均一に押圧力を生じさせることが可能であり、安定してテーブルの下降速度を緩和する効果があるとともに、天板の持ち上げ時に、より軽い力で天板を持ち上げることが可能である。
【0018】
また、延伸力を有するダンパの両端に付勢ローラを形成し、逆ハの字状のガイドレールのそれぞれ内方に、左右の付勢ローラを連係させることで、天板の下降に伴い、左右の付勢ローラが近接するため、逆ハの字状のガイドレールに対する付勢ローラの押圧力が増大し、テーブルの下降速度を確実に緩和することが可能である。
【0019】
また、請求項5に記載の発明は、前記ガイドレールは、曲線部を有することを特徴とする、請求項1乃至4に記載のテーブル収納装置である。
【0020】
当該構成によれば、ガイドレールの曲線部に沿って付勢ローラが走行することにより、付勢ローラの横部材上での移動量が急激に増大し、付勢部材の付勢力が増大する効果がある。よって、ガイドレールに対する付勢ローラの押圧力を簡単に増大させることが可能であり、天板の下降速度を大きく緩和することが可能であり、天板の下降速度に変化を与えることが可能である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明のテーブル収納装置1が用いられる好適な一例としては、図1に示すように、劇場や会議場などで好適に使用される椅子2の背凭れ2aの背面に設けられたテーブル収納装置1が挙げられる。このような椅子2は、横方向に連結された複数の椅子2が、前後方向へと複数列にわたって配置されており、座面2bを上下に回動可能なそれぞれの椅子の背凭れ2aの背面には、内部にテーブル3を有するテーブル収納装置1が形成されている。そして、該テーブル収納装置1のテーブル3を使用する際には、前方の椅子2のテーブル収納装置1のテーブル3を引き出して使用する構成である。
【0022】
すなわち、個々の椅子2は、図2に示すように、背凭れ2aの背面部分に箱状の収納部5を有し、該収納部5の内部に収納されたテーブル3の天板3(図中点線部分)を、該テーブル3の使用時において、天板の把手部Tを持ち天板3を上方に引き出した後、略水平方向に回動させることにより水平状態でテーブル3を使用する構成である。
【0023】
一般にこのようなテーブル収納装置1は、前席の背凭れ2aの背面に形成されていることから、テーブル使用時に生じる振動等が、前席に伝わりやすいといった欠点がある。特に、テーブル3の収納時において、天板3が収納部内2に勢い良く下降してしまうと、前席に大きな振動が生じてしまう恐れがある。これに対して、本発明のテーブル収納装置1は、後述する、テーブル3の収納時において、収納部内で天板3の下降速度を緩やかにすることで、天板収納時の振動や騒音を軽減する効果がある。
【0024】
(実施例1)
以下に、本発明のテーブル収納装置1の構成について詳述する。
まず、本発明のテーブル3は、図3に示すように、テーブル使用時において、天板3を水平方向へと回動して使用する構成であり、他方、テーブル収納時において、天板3を垂直方向に起立させた状態で、図示しない収納部5の上方開口から収納部5の内部へと収納する構成である。
【0025】
前記天板3は、天板3の下方に形成された左右の回動軸33を支点に回動自在となっており、さらに、前記回動軸33には、後述する収納部内を天板3とともに上下昇降する昇降機構としての昇降部材4が連結されている。
【0026】
該昇降部材4は、前記左右の回動軸33にそれぞれ軸支される長板状の縦部材31と、該左右の縦部材31を連結する断面コ字状のスライドレールからなる横部材32とからなる。前記縦部材31は、上下にそれぞれ昇降ローラ34を有し、該昇降ローラ34は、後述する収納部内に設けられた縦方向のスライドレール22に沿って上下方向に昇降自在である。
【0027】
また、前記横部材32は、該横部材32に沿って左右方向に走行する複数のガイドローラ35を有し、2のガイドローラ35を裏面に軸支する1の走行板36が、横部材32に沿って左右に移動自在に構成されている。また、前記走行板36の表面中央には、1の付勢ローラBを回動自在に軸支しており、該付勢ローラBが前記走行板36とともに、横部材32を左右方向(水平方向)に移動自在に構成されている。
【0028】
特に、前記横部材32は、左右一対の前記走行板36,36を有しており、左右の走行板36,36を収縮自在な付勢部材A(例えば、収縮するバネA)により連繋することで、左右一対の走行板36,36が、常に近接する方向に付勢力を生じている。
【0029】
このように、昇降部材4の縦部材31の上端に、天板3を回動自在に軸支33するとともに、左右の縦部材31、31を連結する横部材32に、該横部材32に沿って左右方向に移動自在な左右一対の走行板36,36を設け、左右一対の走行板をバネ等の付勢部材Aで連繋することにより、後述する、天板3の下降に伴い、走行板36に軸支される付勢ローラBが収納部5に形成されるガイドレール21に沿って走行するとともに走行板36が徐々に離間を開始し、当該走行板36の離間によりバネAの付勢力を漸次増大せしめ、走行板36の付勢ローラBが収納部5のガイドレール21を押圧することにより昇降部材4に上向きの補助力を生じさせ、天板3の下降速度を緩和させる構成である。
【0030】
すなわち、テーブル3を収納する際には、まず、図4に示すように、水平状態のテーブルの天板3を、回動軸33を支点に上方へと回動し、天板3を略垂直に起立させる。天板3の起立状態では、天板3と昇降部材4の縦部材31とが略一直線に起立となり、収納部の上部開口から天板3が下降を開始することとなる。
【0031】
このとき、前記収納部5の内部における左右側面には、断面コ字状のスライドレール22がそれぞれ形成されており、昇降部材4の縦部材31に設けられた上下の昇降ローラ34,34が、収納部5の前記昇降レール22に上下昇降自在に連係されている。
【0032】
他方、収納部5の中央には、斜めに傾斜するガイドレール21が、左右一対かつ略ハの字状に形成されている。このガイドレール21は、収納部5の前面パネルの裏面かつテーブル3の天板面と平行に止め具25を介して固定されている。
【0033】
また、ガイドレール21の側面部分は、前記付勢ローラBが摺動もしくは回動してガイドレール21に沿って走行することが可能な形状であり、後述する、付勢ローラBがガイドレール21の側面部分を押圧することで、付勢ローラBとガイドレール21との間に摩擦抵抗を生じるとともに、傾斜面を水平方向から押圧することによる上方向への補助力を生じさせる構成である。
【0034】
特に、前記左右の付勢ローラB、Bが、収納部5のガイドレール21を左右外方から挟み込むように連係しており、図5に示すように、天板3の下降に伴い、昇降部材4に設けられた付勢ローラBがガイドレール21に沿って走行しつつ下降し、同時に、付勢ローラBが横部材32に沿って左右方向にそれぞれ移動するため、左右の付勢ローラB、Bが互いに離間を開始することとなる。
【0035】
そして、左右の付勢ローラBが離間することで、左右の走行板間36,36に連結された付勢部材A(バネA)が伸びて、左右の付勢ローラBを内方に引く力が増大することとなる。このとき、斜めに傾斜するガイドレール21に対して、付勢ローラBを横方向から水平に押圧することで、昇降部材4の自然落下に対する抗力を発生させることが可能である。
【0036】
すなわち、図6に示すように、天板3の自重により自由落下する力F1に対して、左右の付勢ローラBがバネ等の付勢部材Aによる付勢力F2によりガイドレール21の傾斜面を水平方向に押圧するため、上方向の補助力F3が生じることとなる。この補助力F3は、バネAの伸びに比例して増大するため、天板3の下降に伴い、上向きの補助力F3が漸次増大することとなる。よって、天板3の下降に伴い、走行レール21に対する回動ローラBの押圧力が増すとともに、上方向への補助力F3が増大すため、天板3の下降速度を徐々に緩和することが可能である。
【0037】
よって、天板3の下降に伴い、ガイドレール21に対する付勢ローラBの押圧力が増すとともに、上方向への補助力F3が増大すため、天板3の下降速度を徐々に緩和することが可能である。
【0038】
さらに、本発明のテーブル収納装置1は、天板3の収納状態から再び天板3を持ち上げる際にも、軽い力で天板3を持ち上げ始めることが可能である。すなわち、天板3の収納状態では、図7に示すように、付勢ローラBの離間が最大であり、付勢ローラ間を連結するバネ力が最大である。よって、天板3に働く上方向への補助力が最大の状態であり、天板3を持ち上げる際に前記補助力が合成されるため、天板3を軽い力で持ち上げることが可能である。
【0039】
このように、本発明のテーブル収納装置1は、収縮力を有するバネAの両端に付勢ローラBを形成し、ハの字状のガイドレール21のそれぞれ外方に、左右の付勢ローラBを連係させることで、天板3の下降に伴い左右の付勢ローラBが離間するため、ハの字状のガイドレール21に対する付勢ローラBの押圧力が漸次増大し、テーブル3の下降速度を徐々に緩和することが可能である。特に、左右一対のガイドレール21を用いることで、左右均一に押圧力を生じさせることが可能であり、安定かつ確実にテーブル3の下降速度を緩和する効果があるとともに、天板3の持ち上げ時にも、より軽い力で天板を持ち上げることが可能である。
【0040】
上記例では、バネAの両端に付勢ローラBを形成した例を示したが、これに限らず、例えば、延伸力を有するダンパA’の両端に付勢ローラBを形成してもよく、ダンパの延伸力によりテーブル3の下降速度をに緩和する構成であってもよい。
【0041】
(実施例2)
また、上記例では、ハの字状のガイドレール21に連係させる例を示したが、逆ハの字状のガイドレール21のそれぞれ内方に、左右の付勢ローラBを連係させる構成であってもよく、上記同様、天板3の下降に伴い、左右の付勢ローラBが近接し、付勢部材の付勢力が、逆ハの字状のガイドレール21に対する付勢ローラBの押圧力となり、該押圧力の増大によりテーブル3の下降速度を確実に緩和することが可能である。
【0042】
さらに、ガイドレール21が直線の場合を示したが、これに限らず、ガイドレール21に曲線部Wを設けてもよく、付勢ローラBがガイドレール21を押圧する力を、天板3の下降高さによって調整することが可能である。また、付勢ローラを左右の縦部材にそれぞれバネを持って連結してもよく、何れにせよ、付勢ローラBがガイドレール21を押圧する方向が傾いている状態、かつ、上方向に補助力を生じさせる構成であれば、付勢ローラBやガイドレール21の位置および形状は限定されるものではない。
【0043】
例えば、図8に示すように、付勢ローラBの走行経路の一部に曲線部Wをガイドレール21に設け、かつ、ガイドレール21を逆ハの字状に配置する。また、横部材32に沿って移動する走行板36の一端と縦部材31とを、バネ等の収縮力を有する付勢部材Aにより連結する。これにより、左右の付勢ローラBが互いに離間する方向へと付勢力を生じている。
【0044】
そして、左右の付勢ローラBを、それぞれ左右のガイドレール21の内側面に当接させることで、上記同様の効果を奏することが可能である。すなわち、左右の付勢ローラBが、ガイドレール21を内方から外方へと押圧し、かつ、ガイドレール21が、付勢ローラの下降に伴いバネAが伸びる方向に傾斜しているため、天板3の下降に伴い、図9に示すように、付勢ローラBがガイドレール21に沿って横部材32の中央方へと移動するとともに、縦部材31と走行板36との間に連結されるバネAがそれぞれ伸びるため、付勢ローラBのガイドレール21に対する押圧力が漸次増大することとなる。よって、上記例と同様に天板3の自重を打ち消す上方向に補助力が生じることとなるため、天板3の下降速度が緩和される効果がある。
【0045】
特に、図10に示すように、付勢ローラBがガイドレール21の曲線部Wを走行するとき、付勢ローラBの左右方向への移動量が急激に増加するため、これに伴い、バネAの伸びが急激に増して、ガイドレール21に対する付勢ローラBの押圧力が大きく増大することとなる。よって、ガイドレール21の曲線部Wにおいて、天板3の下降速度が大きく緩和される効果がある。
【0046】
このように、ガイドレール21の曲線部Wに沿って付勢ローラBが走行することにより、付勢ローラBの左右方向への移動量が急激に増大し、付勢部材Aの付勢力が大きく増大する効果がある。よって、天板3の下降速度を大きく緩和することが可能であり、天板の下降速度に変化を与えることが可能である。
【0047】
(実施例3)
上記例では、ガイドレール21を左右対称に設けた例を示したが、さらに、簡単な構成とすべく、1のガイドレール21に付勢ローラBの押圧力を付与する構成であってもよい。また、前記付勢部材Aは収縮方向に付勢力を生じるバネAに限らず、延伸方向に付勢力を生じるバネまたはダンパ等の付勢部材A’であってもよい。
【0048】
例えば、図11に示すように、収納部5の上方から下方にかけて、右方向に傾斜する1のガイドレール21を設け、1の付勢ローラBをガイドレール21の右側面に連係させる。そして、付勢ローラBを軸支する横部材上の走行板36の左側と、昇降部材の左側の縦部材31との間を、収縮力を有するバネAにより連結する。さらには、走行板36の右側と、昇降部材の右側の縦部材31との間を、延伸力を有するダンパA’により連結する。
【0049】
これにより、天板3の下降に伴い、図12に示すように、ガイドレール21に沿って付勢ローラBが走行するとともに、付勢ローラBが横部材に沿って右方へと移動することとなる。このとき、走行板36の左方のバネAが延伸し、他方、走行板36の右方のダンパA’が収縮することとなる。
【0050】
そして、バネAの収縮力およびダンパA’の延伸力により付勢ローラBがガイドレール21に対して左方への押圧力を生じることとなり、天板3の下降に伴い、付勢ローラBの押圧力が漸次増大する構成である。よって、天板3の下降速度が徐々に緩和され、上記同様、天板3を緩やかに収納することが可能である。
【0051】
以上のように、本発明のテーブル収納装置1は、収納部5に設けられたガイドレール21に沿って、テーブル3の昇降部材4の付勢ローラBが連係することにより、当該付勢ローラBがガイドレール21を押圧し、テーブル3の下降に伴い、ガイドレール21に対する付勢ローラBの押圧力が漸次増大するため、テーブル3に上向きの補助力が生じ、テーブル3の下降速度を徐々に緩和することが可能である。よって、天板収納時の振動や騒音を抑えることが可能である。さらには、テーブル3を引き出すときも、テーブル3に生じる上向きの補助力により、軽い力で天板3を持ち上げることが可能である。
【0052】
何れにせよ、本発明のテーブル収納装置1は、天板3の下降時において、付勢ローラBがガイドレール21の傾斜に沿って下降し、天板3の上昇時において、付勢ローラBがガイドレール21の傾斜に沿って登る構成であって、特に、天板3の下降に伴い、付勢ローラBがガイドレール21を押圧することで、天板3に上方向への補助力を生じる構成であればよく、ガイドレール21の配置や形状、さらには、付勢ローラBを付勢する方向や部材など、上記効果を奏するものであれば適宜採用することが可能である。
【0053】
例えば、延伸力を有するダンパA’に付勢ローラBを備え、該付勢ローラBをガイドレール21に連係させることで、テーブル3の下降に伴い、ダンパA’の延伸力により付勢ローラBがガイドレール21を押圧する構成や、収縮力を有するバネAに付勢ローラBを備え、バネAの収縮力により付勢ローラBがガイドレール21を押圧する簡単な構成により、テーブル3に上向きの補助力を生じさせることが可能である。
【0054】
さらには、収縮力を有するバネAの一端に付勢ローラBを備え、他方、延伸力を有するダンパA’の一端に前記付勢ローラBを連係させることで、バネAの収縮力と、ダンパA’の延伸力とを合成させ、付勢ローラBの押圧力を増大させることが可能である。これにより、天板下降時に、ガイドレール21に対する付勢ローラBの押圧力を安定かつ強力に付与することが可能であり、たとえ、重量の重い天板であっても天板3の下降速度を確実に緩和することが可能である。さらには、天板3の持ち上げ時にも、軽い力で天板3を持ち上げることが可能である。
【0055】
特に、本発明のテーブル収納装置1は、ガイドレール21の傾斜角度を適宜変更させることにより、ガイドレール21に対する付勢ローラBの付勢力が調整可能であり、昇降機構の減速速度を適宜調整することが可能である。
【0056】
上記例では、前記ガイドレール21が長尺状の部材を用いているが、これに限らず、収納部5の内側壁に、溝条や凸条などを直接設けても良い。さらに、上記例では、収納部5の前方パネルの裏面に前記ガイドレール等を設けているが、これに限らず、収納部の裏面パネルにこれらを設ける構成であってもよい。
【0057】
また、本発明のテーブル収納装置1は椅子2に限らず、壁面やパネルに形成してもよく、例えば、最前列の席の場合、図13に示すように、最前席の正面にパネル6を形成し、該パネル6にテーブル3を収納した収納部5を取付ける構成であってもよい。さらには、椅子2の肘掛けに設けることも可能であり、通常の使用形態において形成し得るいかなる方法をも採用することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】本発明のテーブル収納装置の使用状態の一例を示す略正面斜視図である。
【図2】本発明のテーブル収納装置の使用状態の一例を示す略背面斜視図である。
【図3】テーブルと昇降機構とを示す説明図である。
【図4】テーブルの収納時を示す説明図である。
【図5】テーブルの収納時を示す説明図である。
【図6】テーブルの収納時を示す説明図である。
【図7】テーブルの収納状態を示す説明図である。
【図8】本発明の別の例を示す説明図である。
【図9】本発明の別の例を示す説明図である。
【図10】本発明の別の例を示す説明図である。
【図11】本発明のさらに別の例を示す説明図である。
【図12】本発明のさらに別の例を示す説明図である。
【図13】本発明のテーブル収納装置の使用状態の一例を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0059】
1 テーブル収納装置
2 椅子
3 テーブル(天板)
4 昇降機構
5 収納部
A 付勢部材(バネ)
A’ 付勢部材(ダンパ)
B 付勢ローラ
21 ガイドレール
22 スライドレール
31 縦部材
32 横部材(スライドレール)
36 走行板



【特許請求の範囲】
【請求項1】
略水平な使用状態から略垂直に起立されて上面開口した収納部に収納されるテーブル収納装置において、前記テーブルが備える昇降機構を、前記収納部内の左右両側に対向して形成される縦方向のガイドレールに案内されて昇降する縦部材を連結する横部材と、前記横部材に沿って移動可能であり、かつ当該移動に伴い漸次付勢力が増大するように付勢部材に連繋した付勢ローラとを有するものとするとともに、昇降機構の下降に伴い、前記付勢ローラに連係されて、付勢力が増大する方向に付勢ローラを案内して移動させるガイドレールを収納部内に設けたことを特徴とする、テーブル収納装置。
【請求項2】
前記ガイドレールが前記付勢ローラの移動を案内するように傾斜されて設けられている請求項1に記載のテーブル収納装置。
【請求項3】
前記付勢ローラを複数有するものとして、横部材に沿って互いに近接方向に移動させるのに伴い、前記付勢部材の付勢力を漸次増大させるようにするとともに、前記ガイドレールが、前記付勢ローラの近接方向の移動を案内するように、ハの字状に設けられている請求項2に記載のテーブル収納装置。
【請求項4】
前記付勢ローラを複数有するものとして、横部材に沿って互いに離間方向に移動させるのに伴い、前記付勢部材の付勢力を漸次増大させるようにするとともに、前記ガイドレールが、前記付勢ローラの離間方向の移動を案内するように、逆ハの字状に設けられている請求項2に記載のテーブル収納装置。
【請求項5】
前記ガイドレールは、曲線部を有することを特徴とする、請求項1乃至4に記載のテーブル収納装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2012−24224(P2012−24224A)
【公開日】平成24年2月9日(2012.2.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−164602(P2010−164602)
【出願日】平成22年7月22日(2010.7.22)
【出願人】(000000561)株式会社岡村製作所 (1,415)
【Fターム(参考)】