説明

テープカートリッジおよびテープ印刷装置

【課題】本発明は、印刷ヘッドに対し、下端基準で着座調整する必要のないテープカートリッジおよびテープ印刷装置を提供することである。
【解決手段】テープ印刷装置1に装着された状態で、印刷テープTおよびインクリボンRを挟んでテープ印刷装置1の印刷ヘッド22が離接自在に当接するプラテンローラー15と、印刷テープT、インクリボンRおよびプラテンローラー15を収容したカートリッジケース16と、カートリッジケース16に形成され、印刷ヘッド22が挿通する挿通開口17と、を備え、印刷ヘッド22が臨む挿通開口17のヘッド受容部72に対し、印刷ヘッド22が当接するプラテンローラー15の被当接部分10が、突出しているものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、テープ印刷装置に着脱自在に装着されるプラテン搭載のテープカートリッジおよびテープ印刷装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種のテープカートリッジとして、カートリッジケースに形成された貫通開口(挿通開口)に、サーマルヘッド(印刷ヘッド)を挿通するようにしてテープ印刷装置に装着後、サーマルヘッドをテープカートリッジのプラテンローラ(プラテン)側に押圧して印刷状態とするものが知られている(特許文献1参照)。
このテープカートリッジは、上ケースおよび着座側の下ケースからなるカートリッジケースにより外形が構成されている。上ケースには、サーマルヘッドが挿通する上側貫通開口が形成されており、下ケースには、サーマルヘッドが挿通する下側貫通開口が形成されている。上側貫通開口は、サーマルヘッドが当接するプラテンローラの被当接部分が突出するように形成されており、下側貫通開口は、プラテンローラの被当接部分が突出しないように、上側貫通開口より幾分張り出して形成されている。これにより、テープ印刷装置への装着時に、プラテンローラの近傍に位置するインクリボンが他の部材に引っ掛かるのを防止している。
このテープカートリッジを装着したテープ印刷装置では、サーマルヘッド(ヘッド本体)とプラテンローラ(ゴムローラ部)とが同一高さ位置になるように、且つサーマルヘッドの下端部が下側貫通開口を構成する下ケースの縁端に干渉しないように、テープカートリッジが着座調整されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−329569号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、厚手のテープカートリッジ(広幅の印刷テープ)と薄手のテープカートリッジ(狭幅の印刷テープ)と、を装着可能なテープ印刷装置では、厚手のテープカートリッジに合せてサーマルヘッドを設けている。これにより、薄手のテープカートリッジは、下ケースの縁端がサーマルヘッドの下端部に干渉しないように、下端基準で着座調整する必要があった。このため、サーマルヘッドを中間位置基準でプラテンローラ(印刷テープ)に当接(押圧)することができず、印刷が適正に行われないという問題があった。
【0005】
そこで、本発明は、印刷ヘッドに対し、下端基準で着座調整する必要のないテープカートリッジおよびテープ印刷装置を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のテープカートリッジは、テープ印刷装置に装着された状態で、印刷テープおよびインクリボンを挟んでテープ印刷装置の印刷ヘッドが離接自在に当接するプラテンと、印刷テープ、インクリボンおよびプラテンを収容したカートリッジケースと、カートリッジケースに形成され、印刷ヘッドが挿通する挿通開口と、を備え、プラテンに当接したときの印刷ヘッドが臨む挿通開口のヘッド受容部に対し、印刷ヘッドが当接するプラテンの被当接部分が、突出していることを特徴とする。
【0007】
この構成によれば、印刷ヘッドが臨む挿通開口のヘッド受容部に対し、印刷ヘッドが当接するプラテンの被当接部分が、突出しているため、プラテンに当接する印刷ヘッドがヘッド受容部に干渉することがない。このため、印刷ヘッドに対し、下端基準で着座調整する必要がなく、プラテンおよび印刷ヘッドを相互に中間位置基準で位置合わせができる。したがって、ヘッド幅やテープ幅に関係なく、適正に印刷を実施することができる。
【0008】
この場合、カートリッジケースは、着座面側の第1ケース壁と第1ケース壁に平行な第2ケース壁と、を有し、プラテンは、第1ケース壁に形成した第1軸受け孔と第2ケース壁に形成した第2軸受け孔とにより、両持ちで回転自在に支持され、ヘッド受容部は、第1ケース壁の挿通開口側の縁端および第2ケース壁の挿通開口側の縁端により構成され、第1軸受け孔に連通する第1連通部位および第2軸受け孔に連通する第2連通部位を有していることが好ましい。
【0009】
この構成によれば、プラテンの外形を大きくしなくても、すなわち第1ケース壁に形成した第1軸受け孔と第2ケース壁に形成した第2軸受け孔に回転自在に軸支されたプラテンが細径であっても、プラテンに当接する印刷ヘッドがヘッド受容部に干渉するのを、確実に防止することができる。言い換えれば、挿通開口のヘッド受容部に対し、プラテンの被当接部分を確実に突出させることができる。
【0010】
この場合、ヘッド受容部は、プラテンに当接した印刷ヘッドに非接触状態で対峙する形状に形成されていることが好ましい。
【0011】
この構成によれば、印刷ヘッドのヘッド本体(発熱素子部)のみならず、ヘッド本体を保持するホルダ部(保持部材)についても、ヘッド受容部に干渉するのを防止することができる。
【0012】
この場合、カートリッジケースは、被当接部分の近傍に送り経路が臨むように、インクリボンの送りをガイドする送りガイド部を、更に有していることが好ましい。
【0013】
この構成によれば、インクリボンが弛んだ場合であっても、インクリボンは印刷ヘッドの押圧(当接)によりプラテン側に弛むことになるため、テープ印刷装置への着脱に際しインクリボンが邪魔になることがない。
【0014】
本発明のテープ印刷装置は、厚みの異なる上記のテープカートリッジの複数種が利用可能なテープ印刷装置であって、テープカートリッジのいずれもが着脱自在に装着されるテープ装着部と、テープ装着部に突設され、装着した最大厚のテープカートリッジにおける第1ケース壁と第2ケース壁との内面間に対応する長さの印刷ヘッドと、テープ装着部に突設され、第1ケース壁の厚みに対応する高さを有すると共に、装着したテープカートリッジの第1連通部位に臨んでプラテンの回転をガイドするガイド突起と、を備えたことを特徴とする。
【0015】
この構成によれば、印刷テープの幅に関係なく、プラテンおよび印刷ヘッドを相互に中間位置基準で位置合わせでき、印刷品質が損なわれることがない。また、第1連通部位により第1軸受け孔の一部が切り欠かれていても、第1連通部位に臨むガイド突起により、プラテンの回転にブレが生ずることがない。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】第1実施形態に係るテープ印刷装置の開蓋状態の外観斜視図である。
【図2】(a)および(b)は、標準カートリッジにおける表裏斜視図であり、(c)は、プラテンローラーと印刷ヘッドの位置関係を模式的に示した断面図である。
【図3】(a)および(b)は、特殊カートリッジにおける表裏斜視図であり、(c)は、プラテンローラーと印刷ヘッドの位置関係を模式的に示した断面図である。
【図4】テープカートリッジの平面図である。
【図5】挿通開口廻りの部分拡大図である。
【図6】変型例に係るテープ印刷装置の部分拡大図である。
【図7】変型例に係るプラテンローラーと印刷ヘッドの位置関係を模式的に示した断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、添付した図面を参照して、本発明の一実施形態に係るテープカートリッジおよびこれが装着されるテープ印刷装置について説明する。このテープ印刷装置は、装着したテープカートリッジから印刷テープおよびインクリボンを繰り出しながら印刷を行い、印刷テープの印刷済み部分を切断して、ラベル(テープ片)を作成するものである。
【0018】
図1に示すように、テープ印刷装置1は、外殻を形成する筐体2と、筐体2の上面に窪入形成され、印刷テープT等を収容したテープカートリッジ11を着脱自在に装着するカートリッジ装着部3(テープ装着部)と、カートリッジ装着部3を開閉する開閉蓋4と、カートリッジ装着部3に立設した印刷ヘッド22を有し印刷テープTに印刷を行う印刷機構5と、テープカートリッジ11から印刷テープTを繰り出しながら送るテープ送り機構6と、印刷済みの印刷テープTを切断する切断機構7と、印刷情報を入力するキーボード8と、入力結果を表示するディスプレイ9と、を備えている。ユーザーは、キーボード8で印刷情報を入力した後、ディスプレイ9で印刷情報を確認しながら印刷動作を実行させる。
【0019】
テープカートリッジ11は、印刷テープTをテープコア18に巻回したテープ体12と、インクリボンRをリボン繰出しコア19に巻回したリボン体13と、使用後のインクリボンRを巻取るリボン巻取りコア14と、印刷テープTをテープ体12から繰り出して送るプラテンローラー15(プラテン)と、テープ体12、リボン体13、リボン巻取りコア14およびプラテンローラー15を収容したカートリッジケース16と、カートリッジケース16に形成され、印刷ヘッド22が挿通する挿通開口17と、を備えている(詳細は後述する。)。なお、テープカートリッジ11には、テープ幅の狭い印刷テープTが収容された薄手の標準カートリッジ11Aや、テープ幅の広い印刷テープTが収容された厚手の特殊カートリッジ11Bが用意されている(図1参照)。
【0020】
カートリッジ装着部3は、テープカートリッジ11と相補的形状に形成され、底板26上に、テープコア18を位置決めする位置決め突起21と、ヘッドカバー20に覆われた印刷ヘッド22と、印刷ヘッド22に対峙し、プラテンローラー15を回転駆動するプラテン駆動軸23と、リボン巻取りコア14を介してインクリボンRを巻取り駆動するリボン巻取り駆動軸24と、を備えている。また、カートリッジ装着部3の底板26上には、カートリッジケース16の厚みに対応して、テープカートリッジ11(標準カートリッジ11A)を底上げする複数の底上げ凸部25と、テープカートリッジ11の種別を検出する検出手段(図示省略)と、が設けられている。そして、底板26の下側には、プラテン駆動軸23およびリボン巻取り駆動軸24を回転させるモーター駆動のテープ送り機構6が内蔵されている。
【0021】
印刷ヘッド22は、いわゆるサーマルヘッドであり、発熱素子が列設されたヘッド本体31と、先端部にヘッド本体31を保持する保持部材32と、保持部材32をその基端部で回動自在に支持するヘッド支持軸33と、を有している(図4参照)。特に図示しないが、保持部材32には、ヘッドリリース機構が係合しており、上記の開閉蓋4の開閉に連動して、ヘッド本体31(印刷ヘッド22)がプラテンローラー15に離接する。また、保持部材32は、ヘッド本体31を上下中間位置で揺動自在に保持しており、プラテンローラー15に当接(押圧)したヘッド本体31が、発熱素子の列設方向において、プラテンローラー15に均一に押圧されるようになっている。
【0022】
複数の底上げ凸部25は、カートリッジ装着部3の平面視上側両隅部と、平面視下側左隅部と、に配設されており、各種テープカートリッジ11を装着した際に、ヘッド本体31の高さ方向の中心(発熱素子列の中心)と、印刷テープTの幅方向の中心(プラテンローラー15の上下方向の中心)と、を位置合わせできるようになっている。上述のように、テープカートリッジ11には、薄手の標準カートリッジ11Aと厚手の特殊カートリッジ11Bとが用意されており、標準カートリッジ11Aの着座面が複数の底上げ凸部25により構成され、特殊カートリッジ11Bの着座面が上記の底板26により構成されている。このため、特殊カートリッジ11Bには、複数の底上げ凸部25を逃げる複数の凹部27(図3参照)が形成されている。
【0023】
テープカートリッジ11をカートリッジ装着部3に装着すると、位置決め突起21にテープコア18が係合し、プラテン駆動軸23にプラテンローラー15が係合すると共に、リボン巻取り駆動軸24にリボン巻取りコア14が係合する。そして、開閉蓋4を閉塞すると、印刷ヘッド22が印刷テープTおよびインクリボンRを挟んでプラテンローラー15に当接し、印刷待機状態となる。印刷が開始されると、インクリボンRおよび印刷テープTは、重なって併走する。そして、印刷ヘッド22により所望の印刷が行われた印刷テープTは、テープカートリッジ11および筐体2の外部に送り出され、その印刷済み部分が切断機構7によって切断される。一方、印刷に使用されたインクリボンRは、テープカートリッジ11内を経路に沿って送られ、リボン巻取りコア14に巻き取られる(詳細は、後述する。)。そして、印刷終了後、開閉蓋4を開放すると、印刷ヘッド22が回動してプラテンローラー15から離れ、テープカートリッジ11が着脱可能になる。
【0024】
次に、図2ないし図5を参照して、テープカートリッジ11について、更に詳細に説明する。テープカートリッジ11は、上記したように、カートリッジケース16内に、テープ体12、リボン体13、リボン巻取りコア14およびプラテンローラー15を搭載すると共に、プラテンローラー15の近傍に位置して、カートリッジケース16に挿通開口17が形成されている。
【0025】
カートリッジケース16は、テープカートリッジ11の外殻を形成しており、着座側となる下ケース41と、下ケース41に対応した上ケース42と、を有すると共に、内部に、隔壁部やインクリボンRの送りをガイドするリボン送りガイド部(送りガイド部)43を有している。下ケース41は、着座側の下ケース壁44(第1ケース壁)と、下ケース壁44から立ち上がる下周壁45と、を有し、上ケース42は、下ケース壁44に平行な上ケース壁46(第2ケース壁)と、上ケース壁46から立ち下がる上周壁47と、を有している。
【0026】
図2(c)に示すように、上記した標準カートリッジ11Aのカートリッジケース16は、着座面となる複数の底上げ凸部25に着座させた場合に、ヘッド本体31の高さ方向の中心に印刷テープTの幅方向の中心が一致する厚さに形成されている。一方、図3(b)および(c)に示すように、厚手の特殊カートリッジ11Bのカートリッジケース16には、底上げ凸部25を逃げる複数の凹部27が下ケース41に形成されており、底板26に着座した際に、ヘッド本体31の高さ方向の中心に印刷テープTの幅方向の中心が一致するようになっている。なお、厚さの異なる3種以上のテープカートリッジ11が用意されている場合には、各底上げ凸部25を階段状に形成することが好ましく、凹部27は、階段状の各底上げ凸部25と相補的形状に形成されていることが好ましい(図示省略)。
【0027】
図4に示すように、下ケース壁44および上ケース壁46の平面視略中央には、テープコア18を両持ちで回転自在に軸支する下テープ軸受部51および上テープ軸受部52が、それぞれ形成されており、平面視右側端部には、リボン繰出しコア19を両持ちで軸支する下コア軸受部53および上コア軸受部54が、それぞれ形成されている。また、下ケース壁44および上ケース壁46の平面視左側端部には、印刷ヘッド22を挿通し、挿通開口17を構成する下挿通開口17aおよび上挿通開口17bが、それぞれ形成されており、挿通開口17の平面視右側には、リボン巻取りコア14を両持ちで軸支する下巻取り軸受孔55および上巻取り軸受孔56が、それぞれ形成されている。また、挿通開口17の平面視上側には、プラテンローラー15を両持ちで回転自在に軸支する下プラテン軸受孔57(第1軸受け孔)および上プラテン軸受孔58(第2軸受け孔)が、それぞれ形成されている。さらに、挿通開口17の周囲には、インクリボンRの送りをガイドするリボン送りガイド部43と、印刷テープTの送りをガイドするテープガイドピン66が形成されている。
【0028】
リボン送りガイド部43は、インクリボンRの送り経路を構成するものであり、インクリボンRの繰出し側から巻取り側に向って配設された第1リボンピン61、第2リボンピン62、第3リボンピン63および挿通開口17の周壁ガイド部64により構成されている。このうち第2リボンピン62および第3リボンピン63は、インクリボンRの送り経路がプラテンローラー15の近傍、すなわち、印刷ヘッド22が当接するプラテンローラー15の被当接部分10の近傍に臨むように配設されている。これにより、印刷ヘッド22が接触するインクリボンRの露出部分は、プラテンローラー15の被当接部分10との間に微小な間隙を存して対峙する。
【0029】
テープコア18から繰り出された印刷テープTは、テープガイドピン66によりプラテンローラー15の被当接部分10に導かれ、この部分で印刷に供される。そして、印刷された後、カートリッジケース16に形成したテープ送出口67から送り出される。一方、リボン繰出しコア19から繰り出されたインクリボンRは、第1リボンピン61および第2リボンピン62に案内され、プラテンローラー15の被当接部分10に導かれ、この部分で印刷テープTと重なった状態で印刷に供される。さらにインクリボンRは、第3リボンピン63および周壁ガイド部64を経て(挿通開口17を周回するようにして)、リボン巻取りコア14に巻き取られる。すなわち、インクリボンRは、第2リボンピン62と第3リボンピン63との間の露出部分で、弛んだ場合であっても印刷ヘッド22の押圧(当接)によりプラテンローラー15側に押圧されることになり、テープ印刷装置1への着脱に際し邪魔になることがない。
【0030】
次に、図5を参照して、挿通開口17廻りについて詳細に説明する。上記したように、カートリッジケース16の平面視左側端部には、印刷ヘッド22が挿通する挿通開口17が形成されており、挿通開口17の平面視上側には、プラテンローラー15が回転自在に軸支されている。
【0031】
挿通開口17は、下ケース壁44の下挿通開口17aと、上ケース壁46の上挿通開口17bと、内周壁部71(下ケース41の一部)と、で構成されている。ただし、印刷ヘッド22が臨む部分であるヘッド受容部72には、内周壁部71が形成されておらず、挿通開口17のヘッド受容部72は、下挿通開口17aと上挿通開口17bと、で構成されている。
【0032】
ヘッド受容部72は、下挿通開口17aにおけるプラテンローラー15側の縁端と、上挿通開口17bにおけるプラテンローラー15側の縁端と、により構成されている。そして、下挿通開口17aの縁端および上挿通開口17bの縁端は、プラテンローラー15の被当接部分10が、突出するように切り欠かれて形成されている。より具体的には、ヘッド受容部72を構成する下挿通開口17aの縁端は、下プラテン軸受孔57に連通する下側連通部位73を有し、上挿通開口17bの縁端は、上プラテン軸受孔58に連通する上側連通部位74を有しており、プラテンローラー15に当接した印刷ヘッド22に非接触状態で対峙する形状に形成されている。
【0033】
下側連通部位73は、下挿通開口17aの縁部および下プラテン軸受孔57を連通するように窪入形状に形成されている。具体的には、下側連通部位73は、プラテンローラー15の回転軸および被当接部分10を結んだ領域に対応する位置に、且つプラテンローラー15が下プラテン軸受孔57から外れないように形成されている。同様に、上側連通部位74は、上挿通開口17bの縁部および上プラテン軸受孔58を連通しており、プラテンローラー15の回転軸および被当接部分10を結んだ領域に対応する位置に、プラテンローラー15が上プラテン軸受孔58から外れないように形成されている。これにより、プラテンローラー15が細径であっても、プラテンローラー15に当接する印刷ヘッド22(この場合には、ヘッド本体31および保持部材32の一部)がヘッド受容部72に干渉するのを確実に防止することができる。
【0034】
以上の構成によれば、プラテンローラー15の被当接部分10が、ヘッド受容部72より突出しているため、印刷ヘッド22がヘッド受容部72に干渉することがない。これにより、プラテンローラー15および印刷ヘッド22を相互に中間位置基準で位置を合わせることができる。また、印刷ヘッド22を十分に長く(高さ方向)形成することができるため、地紋や背景等の全面印刷も可能となる。
【0035】
次に、図6および図7を参照して、本発明の変型例に係るテープ印刷装置1について説明する。なお、重複した記載を避けるべく、第1実施形態と異なる部分を主として説明する。このテープ印刷装置1のカートリッジ装着部3には、プラテンローラー15の回転をガイドするガイド突起75が、突設されている。ガイド突起75は、装着したテープカートリッジ11の下側連通部位73に臨むように、プラテン駆動軸23の近傍に配設されている。また、ガイド突起75は、下ケース壁44の厚みに対応する高さに形成されている。
【0036】
印刷ヘッド22は、装着可能な最大厚のテープカートリッジ11(本願では、特殊カートリッジ11B)における下ケース壁44と上ケース壁46との内面間に対応する長さを有している。これにより、下プラテン軸受孔57の一部が、下側連通部位73によって切り欠かれていても、プラテンローラー15の回転にブレが生ずることがない。
【0037】
なお、本実施形態では、下挿通開口17aの縁部と下プラテン軸受孔57とを連通する下側連通部位73、および上挿通開口17bの縁部と上プラテン軸受孔58とを連通する上側連通部位74により、ヘッド受容部72を構成したが、プラテンローラー15の被当接部分10が、下挿通開口17aの縁部および上挿通開口17bの縁部に対して相対的に突出する限りにおいて、ヘッド受容部72が、下プラテン軸受孔57および上プラテン軸受孔58の近傍に達するものであっても良い。すなわち、ヘッド受容部72と、下プラテン軸受孔57および上プラテン軸受孔58の間を、連通することなく薄肉に形成する。
【符号の説明】
【0038】
1…テープ印刷装置 3…カートリッジ装着部 10…被当接部分 15…プラテンローラー 16…カートリッジケース 17…挿通開口 22…印刷ヘッド 43…送りガイド部 44…下ケース壁 46…上ケース壁 57…下プラテン軸受孔 58…上プラテン軸受孔 72…ヘッド受容部 73…下連通部位 74…上側連通部位 75…ガイド突起 R…インクリボン T…印刷テープ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
テープ印刷装置に装着された状態で、印刷テープおよびインクリボンを挟んでテープ印刷装置の印刷ヘッドが離接自在に当接するプラテンと、
前記印刷テープ、前記インクリボンおよび前記プラテンを収容したカートリッジケースと、
前記カートリッジケースに形成され、前記印刷ヘッドが挿通する挿通開口と、を備え、
前記プラテンに当接したときの前記印刷ヘッドが臨む前記挿通開口のヘッド受容部に対し、前記印刷ヘッドが当接する前記プラテンの被当接部分が、突出していることを特徴とするテープカートリッジ。
【請求項2】
前記カートリッジケースは、着座面側の第1ケース壁と前記第1ケース壁に平行な第2ケース壁と、を有し、
前記プラテンは、前記第1ケース壁に形成した第1軸受け孔と前記第2ケース壁に形成した第2軸受け孔とにより、両持ちで回転自在に支持され、
前記ヘッド受容部は、前記第1ケース壁の前記挿通開口側の縁端および前記第2ケース壁の前記挿通開口側の縁端により構成され、前記第1軸受け孔に連通する第1連通部位および前記第2軸受け孔に連通する第2連通部位を有していることを特徴とする請求項1に記載のテープカートリッジ。
【請求項3】
前記ヘッド受容部は、前記プラテンに当接した前記印刷ヘッドに非接触状態で対峙する形状に形成されていることを特徴とする請求項2に記載のテープカートリッジ。
【請求項4】
前記カートリッジケースは、前記被当接部分の近傍に送り経路が臨むように、前記インクリボンの送りをガイドする送りガイド部を、更に有していることを特徴とする請求項2または3に記載のテープカートリッジ。
【請求項5】
厚みの異なる請求項2ないし4のいずれかに記載のテープカートリッジの複数種が利用可能なテープ印刷装置であって、
前記テープカートリッジのいずれもが着脱自在に装着されるテープ装着部と、
前記テープ装着部に突設され、装着した最大厚の前記テープカートリッジにおける前記第1ケース壁と前記第2ケース壁との内面間に対応する長さの前記印刷ヘッドと、
前記テープ装着部に突設され、前記第1ケース壁の厚みに対応する高さを有すると共に、装着した前記テープカートリッジの前記第1連通部位に臨んで前記プラテンの回転をガイドするガイド突起と、を備えたことを特徴とするテープ印刷装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−20543(P2012−20543A)
【公開日】平成24年2月2日(2012.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−161840(P2010−161840)
【出願日】平成22年7月16日(2010.7.16)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】