説明

ディスペンサ

【課題】ドレンパンの洗浄頻度に起因して発生する故障の可能性を低減するとともに、製品のコストを低減することを実現したディスペンサを提供することを目的とする。
【解決手段】チップアイスディスペンサ1の貯水タンク3には、水位センサ50とオーバーフローパイプ53とが設けられている。また、貯水タンク3とドレンパン40とは、オーバーフローパイプ53及びオーバーフロー接続パイプ54を介して接続されている。チップアイスディスペンサ1の制御部7は、貯水タンク3の内部における生成水の水位が下限水位に達したことを水位センサ50が検知すると、給水弁6を開弁させて貯水タンク3への給水動作を開始させる。また、制御部7は、生成水の水位が上限水位に達したことを水位センサ50が検知すると、給水弁6の閉弁を所定時間Tが経過するまで遅延させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、生成水から氷片及び飲料の少なくとも一方を生成するとともに、氷片及び飲料を受け入れ可能なドレンパンを備えたディスペンサに関する。
【背景技術】
【0002】
従来用いられているこの種のディスペンサの例として、チップアイスディスペンサと飲料ディスペンサとが挙げられる。チップアイスディスペンサは、利用者の操作に応じて氷片を放出するものである。また、飲料ディスペンサは、水、ジュース及びスープ等の飲料を利用者の操作に応じて注出するものである。これらのディスペンサは、例えばファミリーレストランのドリンクバーコーナ等のように利用客が自由に操作できる場所に設置されることが多く、利用客自身が氷片や好みの飲料を注出するようになっている。
【0003】
一般に、これらのディスペンサは、氷片や飲料の放出口の下方に設けられたドレンパンを備えており、ディスペンサをドリンクバーコーナ等に設置した場合、利用客が残した氷片や飲料はドレンパンに廃棄されることが多い。ここで、廃棄されたジュースやスープ等に含まれる成分がドレンパンの排水経路に付着すると、付着した成分によって排水経路が詰まることがある。したがって、これらのディスペンサでは、ドレンパンに所定の頻度で洗浄水を供給することによって洗浄を行うことが必要となる。
【0004】
例えば特許文献1には、氷片の放出回数に基づいてドレンパンの洗浄を行うチップアイスディスペンサが開示されている。これによれば、水道水を製氷水タンクに供給するための主給水管に洗浄水供給路の一端が接続されており、洗浄水供給路の他端にはドレンパンが接続されている。また、洗浄水供給路の途中には洗浄給水弁が設けられており、洗浄給水弁の開閉が制御手段によって制御される。制御手段は氷片の放出回数を計数しており、予め設定された放出回数に達すると洗浄給水弁を開弁させる。洗浄給水弁が開弁すると、主給水管からの水道水が洗浄給水路を介してドレンパンに供給され、それにより、ドレンパンの内部が洗浄される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−132314号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載のディスペンサは、氷片の放出回数に基づいてドレンパンの洗浄を行うため、氷片の放出頻度が極端に多い場合は洗浄給水弁の開閉頻度も多くなり、洗浄給水弁が故障する可能性が増大するという問題点を有していた。また、特許文献1における洗浄給水弁は、ドレンパンに洗浄水を供給するための専用部品であるため、部品点数の増加に伴って製品のコストが増大するという問題点も有していた。
【0007】
この発明は、これらのような問題点を解決するためになされたもので、ドレンパンの洗浄頻度に起因して発生する故障の可能性を低減するとともに、製品のコストを低減することを実現したディスペンサを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明に係るディスペンサは、給水管を介して供給される生成水から氷片及び飲料の少なくとも一方を生成するとともに、氷片及び飲料を受け入れ可能なドレンパンを備えたディスペンサにおいて、給水管を介して供給される生成水を内部に貯める貯水タンクと、給水管を開閉する給水弁と、貯水タンクの内部における生成水の水位を検知する水位センサと、貯水タンクの上限水位を上回った生成水を、貯水タンクの外部に排出するオーバーフロー管と、給水管が開くように給水弁を開弁させることによって、貯水タンクに生成水を供給する給水動作を開始させるとともに、給水管が閉じるように給水弁を閉弁させることによって、給水動作を終了させる制御部とを備え、オーバーフロー管は、貯水タンクとドレンパンとを接続しており、制御部は、貯水タンクの内部における生成水の水位が下限水位に達したことを水位センサが検知すると、給水動作を開始させるとともに、貯水タンクの内部における生成水の水位が上限水位に達したことを水位センサが検知すると、予め設定された所定時間が経過するまで給水弁の閉弁を遅延させてから、給水動作を終了させることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0009】
この発明に係るディスペンサによれば、制御部は、貯水タンクの内部における生成水の水位が上限水位に達したことを水位センサが検知すると、予め設定された所定時間が経過するまで給水弁の閉弁を遅延させてから給水動作を終了させるため、貯水タンクの上限水位を上回った生成水がオーバーフロー管を介してドレンパンに供給され、それにより、ドレンパンが洗浄される。すなわち、ドレンパンの洗浄が行われるタイミングと、貯水タンクへの給水動作が行われるタイミングとが同期されており、ドレンパンの洗浄を行うためだけに給水弁を開閉することがないため、ドレンパンの洗浄を行うことに起因して給水弁が故障する可能性が増大することがない。また、通常、ディスペンサの貯水タンクには水位センサ及びオーバーフロー管が設けられることが一般的であるため、給水弁を開閉させるための制御部のプラグラムを変更するだけで、ドレンパンの洗浄を上記のように行うことができる。したがって、ディスペンサにおいて、ドレンパンの洗浄頻度に起因して発生する故障の可能性を低減するとともに、製品のコストを低減することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】この発明の実施の形態1に係るディスペンサの構成を示す断面側面図である。
【図2】実施の形態1に係るディスペンサにおける貯水タンクの構成を示す部分拡大断面側面図である。
【図3】実施の形態1に係るディスペンサにおけるドレンパンの構成を示す斜視図である。
【図4】実施の形態1に係るディスペンサにおける給水動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、この発明の実施の形態について添付図に基づいて説明する。
実施の形態1.
この発明の実施の形態1に係るディスペンサの構成について、生成水から氷片を生成するチップアイスディスペンサ1(以下、ディスペンサ1と略称する)として適用した場合を例として、図1〜3に基づいて説明する。尚、ディスペンサ1における前後方向及び上下方向を、図1に示す各矢印によって規定する。
【0012】
図1に示すように、ディスペンサ1は筐体2を備えており、筐体2の内部における後方側には、氷片を生成するための生成水を内部に貯める貯水タンク3が収容されている。貯水タンク3の上部には給水管4の一端が接続されており、給水管4の他端は外部水道系5に接続されている。また、給水管4の途中には、給水管4を開閉する給水弁6が設けられており、給水弁6が開弁して給水管4が開かれると、外部水道系5からの水道水が給水管4を介して貯水タンク3の内部に供給される。すなわち、ディスペンサ1は、外部水道系5から供給される水道水を生成水として氷片を生成する装置である。尚、給水弁6は、通電時に開弁して給水管4を開くとともに、非通電時に閉弁して給水管4を閉じるものである。
【0013】
筐体2の内部における前方側には、貯水タンク3内の生成水から氷片を生成するオーガ式製氷機10が収容されている。オーガ式製氷機10は、略円筒形状を有する冷凍ケーシングを11有している。冷凍ケーシング11の下部と貯水タンク3の底部とは生成水供給路12を介して接続されており、貯水タンク3内の生成水を冷凍ケーシング11内に供給可能となっている。また、冷凍ケーシング11の外周部には、冷却パイプ21が巻回されている。冷却パイプ21には、圧縮機22、凝縮器23及び膨張弁24が冷媒通路25を介して順次接続されており、これらの間を冷媒が循環する冷凍回路20が形成されている。冷却パイプ21は、冷凍回路20における蒸発器を構成しており、冷却パイプ21内を流通する冷媒が蒸発すると、冷凍ケーシング11内の生成水が冷却されて凍結し、氷片の元となる氷が冷凍ケーシング11の内周面に形成される。
【0014】
冷凍ケーシング11の内部には、螺旋刃13aを有するオーガ13が回転可能に設けられている。オーガ13は、冷凍ケーシング11の下方に設けられたギヤードモータ14に連結されており、ギヤードモータ14に駆動されてオーガ13が回転すると、螺旋刃13aが冷凍ケーシング11の内周面に沿って回転移動する。冷凍ケーシング11の内周面に形成された氷は、回転移動する螺旋刃13aによって掻き取られ、冷凍ケーシング11の上方側に送られる。また、冷凍ケーシング11の上部には、螺旋刃13aによって送られてきた氷を圧縮する押圧頭15と、押圧頭15が圧縮した氷を適当な大きさに折って氷片を生成するカッタ16とが設けられている。押圧頭15及びカッタ16の周囲には中空の貯氷室30が設けられており、カッタ16が生成した氷片が貯氷室30内に貯められる。オーガ13の上端部は、押圧頭15を貫通してカッタ16に連結されており、オーガ13とカッタ16とが一体として回転可能となっている。また、カッタ16の外周部には、貯氷室30内の氷片を攪拌するためのアジテータ17が一体として固定されている。
【0015】
貯氷室30の側面における前方側且つ下方側に位置する部位には開口部31が形成されており、開口部31にはシャッタ32が設けられている。貯氷室30の前方側にはアクチュエータ33が設けられており、アクチュエータ33がシャッタ32を駆動することによって開口部31の開閉が行われる。また、アクチュエータ33の下方側には、開口部31に連通するとともに下方側に開口する放出口34が形成されており、放出口34には、ディスペンサ1の利用者によって操作されるレバー35が取り付けられている。図示しないカップ等の容器をレバー35に当接させながら図1の二点鎖線で示す位置まで回動させると、アクチュエータ33がシャッタ32を駆動して開口部31を開く。開口部31が開くことにより、貯氷室30内の氷片は開口部31及び放出口34を順次介して容器内に放出される。
【0016】
放出口34の下方側には、利用者が容器内に受け損なう等により落下した氷片を受け入れ可能なドレンパン40が設けられている。ドレンパン40は上方側が開口した箱形の部材であって、その底部41には、ドレンパン40の内部と外部とを連通する孔である排出口42が形成されている。排出口42には外部排水系43が接続されており、ドレンパン40内で氷片が溶けることによって発生した水等を、排出口42を介して外部排水系43に排出可能となっている。また、外部排水系43には、排出管18を介して冷凍ケーシング11が接続されており、冷凍ケーシング11内の生成水を外部排水系43に排出可能となっている。冷凍ケーシング11内の生成水には、例えばカルシウムやマグネシウム等の成分が含まれており、これらの成分は、製氷時間が進むにつれて生成水中で濃縮され、冷凍ケーシング11内に残留する。すなわち、冷凍ケーシング11内の生成水を排出可能とすることにより、残留した成分が冷凍ケーシング11の内周面に固着してオーガ式製氷機10の故障や異音発生等の原因となることが防止されている。尚、排出管18の途中には、排出管18を開閉する開閉弁18aが設けられている。
【0017】
筐体2の前部において、貯氷室30の周辺に位置する部位には前面パネル2aが取り付けられており、前面パネル2aを開閉することによって筐体2の内部を露出させることが可能となっている。前面パネル2aの裏側には、ディスペンサ1の動作を制御するための制御部7が設けられている。一方、前面パネル2aの表側には、ディスペンサ1の利用者によって操作される図示しないスイッチを有し、制御部7に所定の信号を入力するための操作部8が設けられている。制御部7は、利用者の操作に応じて操作部8から入力される信号や、予め記憶されているプログラム等に基づいて、給水弁6、ギヤードモータ14、開閉弁18a及びアクチュエータ33等の動作を制御する。
【0018】
以上のように構成されるディスペンサ1において、貯水タンク3には、その内部における生成水の水位を検知する水位センサ50が設けられている。図2に示すように、水位センサ50は、貯水タンク3の内部で高さ方向に沿って延びるステム51と、ステム51に案内されながら生成水の水面とともに移動するフロート52とを備えている。ステム51は、貯水タンク3内における上限水位A付近に設けられた上限スイッチ51aと、下限水位B付近に設けられた下限スイッチ51bとを有しており、上限スイッチ51a及び下限スイッチ51bは、例えばリードスイッチ等によって構成されている。一方、フロート52の内部には図示しない磁石が設けられており、この磁石の磁力によって上限スイッチ51a及び下限スイッチ51bのON/OFFが切り替えられる。また、上限スイッチ51a及び下限スイッチ51bは制御部7に電気的に接続されており、フロート52の位置が上限水位Aまたは下限水位Bに達すると、それらを示す信号を制御部7に出力するようになっている。
【0019】
また、貯水タンク3の内部には、例えば給水弁6や水位センサ50の故障等に起因して上限水位Aを上回る量の生成水が貯水タンク3内に供給された場合に、上限水位Aを上回った生成水を外部に排出するオーバーフローパイプ53が設けられている。オーバーフローパイプ53は円筒形状を有する部材であって、その上端部は、貯水タンク3内の上限水位Aと同じ高さに位置するように配置されている。一方、オーバーフローパイプ53の下端部は、貯水タンク3の底部を貫通して外部に延出しており、オーバーフロー接続パイプ54を介してドレンパン40に接続されている。すなわち、貯水タンク3内に上限水位Aを上回る量の生成水が供給されると、上限水位Aを上回った分の生成水が排出される、いわゆるオーバーフローが発生する。オーバーフローの発生によって排出された生成水は、オーバーフローパイプ53及びオーバーフロー接続パイプ54を順次介してドレンパン40に供給され、供給された生成水によってドレンパン40の内部が洗浄される。ここで、オーバーフローパイプ53及びオーバーフロー接続パイプ54は、ディスペンサ1におけるオーバーフロー管を構成するものである。
【0020】
図3に示すように、ドレンパン40の後部壁面44には洗浄水吐出口45が形成されており、洗浄水吐出口45にオーバーフロー接続パイプ54が接続されている(図1参照)。また、排出口42と洗浄水吐出口45とは、図3の矢印Wで示すドレンパン40の幅方向において、互いに逆側に配置されるように形成されている。したがって、洗浄水吐出口45を介してドレンパン40内に供給された生成水が直に排出口42に流入することがなく、ドレンパン40の底部41のより広い領域を生成水によって洗浄することが可能となっている。
【0021】
図1に戻って、制御部7は、貯水タンク3内における水位が下限水位B(図2参照)に達したことを示す信号を水位センサ50の下限スイッチ51bから受け取ると、給水弁6に対して通電を開始するように設定されている。また、制御部7は、貯水タンク3内における水位が上限水位A(図2参照)に達したことを示す信号を水位センサ50の上限スイッチ51aから受け取ると、予め設定された所定時間Tが経過するまでの間、給水弁6に対する通電を継続するように設定されている。すなわち、制御部7は、給水弁6が開弁して給水管4を開くことによる貯水タンク3への給水動作が開始されると、意図的にオーバーフローを発生させるように設定されている。
【0022】
次に、この発明の実施の形態1に係るディスペンサ1の動作について説明する。
図1に示すように、ディスペンサ1の動作が開始されると、制御部7は、水位センサ50による水位の検知結果に応じて給水弁6への通電及び非通電を制御し、貯水タンク3内の水位を所定の範囲内に維持する。また、貯水タンク3内の生成水は生成水供給路12を介して冷凍ケーシング11内に供給され、冷凍ケーシング11内における生成水の水位も所定の範囲内に維持される。冷凍ケーシング11内に生成水が供給されると、制御部7はオーガ式製氷機10及び冷凍回路20の作動を開始させる。冷凍回路20を循環する冷媒は、冷却パイプ21内で蒸発する際に冷凍ケーシング11を冷却し、冷凍ケーシング11の内周面に氷が形成される。
【0023】
ギヤードモータ14に駆動されて回転するオーガ13は、螺旋刃13aによって冷凍ケーシング11の内周面に形成された氷を掻き取るとともに、掻き取った氷を上方側に送る。オーガ13の螺旋刃13aによって上方側に送られた氷は、押圧頭15を通過する際に圧縮されて棒状の氷となる。カッタ16は、この棒状の氷を適当な大きさに折って氷片を生成し、生成された氷片が貯氷室30内に貯められる。ディスペンサ1の利用者によるレバー35の操作に応じてシャッタ32が開口部31を開くと、貯氷室30内に貯められた氷片が放出口34を介して下方側に放出され、利用者に提供される。
【0024】
以上のように動作するディスペンサ1において、氷片の生成及び放出に伴って貯水タンク3内の生成水が減少すると、貯水タンク3内への給水動作が開始される。以下に、ディスペンサ1における給水動作について、図4に基づいて説明する。
【0025】
まず、貯水タンク3の内部における生成水の水位が下限水位Bに達したことを水位センサ50が検知したかどうかが判定される(S1)。生成水の水位が下限水位Bに達していない場合、水位センサ50の下限スイッチ51bはONに切り替わらないため、それを示す信号は制御部7に出力されない。制御部7は、下限スイッチ51bがONに切り替わったことを示す信号が入力されるまで、待機状態を継続する。一方、生成水の水位が下限水位Bに達した場合、ONに切り替わったことを示す信号が下限スイッチ51bから制御部7に出力される。制御部7は、下限スイッチ51bがONに切り替わったことを示す信号を受け取ると、給水弁6に対する通電を開始して給水弁6を開弁させる(S2)。給水弁6が開弁して給水管4が開かれると、外部水道系5からの水道水が給水管4を介して貯水タンク3内に供給される。
【0026】
次いで、貯水タンク3の内部における生成水の水位が上限水位Aに達したことを水位センサ50が検知したかどうかが判定される(S3)。生成水の水位が上限水位Aに達していない場合、水位センサ50の上限スイッチ51aはONに切り替わらないため、それを示す信号は制御部7に出力されない。この場合、制御部7が給水弁6に対する通電を継続させることにより、貯水タンク3内への給水も継続される。一方、生成水の水位が上限水位Aに達した場合、ONに切り替わったことを示す信号が上限スイッチ51aから制御部7に出力される。制御部7は、上限スイッチ51aがONに切り替わったことを示す信号を受け取ると、その時点から予め設定されている所定時間Tが経過するまでの間、給水弁6の開弁を継続する(S4)。したがって、貯水タンク3には、上限水位Aに達してから所定時間Tが経過するまでの間、余剰分となる生成水が供給され続けている状態となるため、余剰分となった生成水のオーバーフローが発生する。
【0027】
次いで、貯水タンク3内の生成水の水位が上限水位Aに達してから所定時間Tが経過すると、制御部7は給水弁6に対する通電を終了させ、給水弁6を閉弁させる(S5)。給水弁6が閉弁して給水管4が閉じられることにより、貯水タンク3内への給水動作が終了する。以後、貯水タンク3内における生成水の水位が下限水位Bに達するたびに、同様の動作が繰り返される。ここで、貯水タンク3は、オーバーフローパイプ53及びオーバーフロー接続パイプ54を介してドレンパン40に接続されている。したがって、貯水タンク3内でオーバーフローが発生している間に排出された生成水はドレンパン40内に供給され、ドレンパン40の内部を洗浄した後に排出口42を介して外部排水系43に排出される。
【0028】
このように、この発明の実施の形態1に係るディスペンサ1によれば、制御部7は、貯水タンク3の内部における生成水の水位が上限水位Aに達したことを水位センサ50が検知すると、その時点から所定時間Tが経過するまで給水弁6の閉弁を遅延させてから給水動作を終了させる。したがって、貯水タンク3の上限水位Aを上回った生成水はオーバーフローパイプ53及びオーバーフロー接続パイプ54を介してドレンパン40に供給され、それにより、ドレンパン40が洗浄される。すなわち、ディスペンサ1において、ドレンパン40の洗浄が行われるタイミングと、貯水タンク3への給水動作が行われるタイミングとが同期されており、ドレンパン40の洗浄を行うためだけに給水弁6を開閉することがないため、ドレンパン40の洗浄を行うことに起因して給水弁6が故障する可能性が増大することがない。また、一般的なディスペンサの貯水タンクには水位センサ及びオーバーフロー管が設けられているため、給水弁6を開閉させるための制御部7のプラグラムを変更するだけでドレンパンの洗浄を行うことが可能となり、ドレンパンを洗浄するための専用の部材を設けることを必要としない。したがって、ディスペンサ1において、ドレンパン40の洗浄頻度に起因して発生する故障の可能性を低減すること、及び製品のコストを低減することが可能となる。
【0029】
実施の形態1において、この発明に係るディスペンサをチップアイスディスペンサとして適用した場合を例として説明したが、ディスペンサの構成を限定するものではない。貯水タンク及びドレンパンを備えたディスペンサであればよく、例えば、シロップや粉末原料を生成水で希釈して飲料を生成する飲料ディスペンサや、氷片及び飲料の双方を生成可能なディスペンサ等に適用することも可能である。
また、実施の形態1における水位センサを、フロート、上限スイッチ及び下限スイッチによって水位を検知するものとして説明したが、水位センサの種類を限定するものではない。貯水タンクの内部における水位を検出可能であれば、他の種類のセンサを用いることも可能である。
【符号の説明】
【0030】
1 ディスペンサ、3 貯水タンク、4 給水管、6 給水弁、7 制御部、40 ドレンパン、50 水位センサ、53 オーバーフローパイプ(オーバーフロー管)、54 オーバーフロー接続パイプ(オーバーフロー管)、A 上限水位、B 下限水位、T 所定時間。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
給水管を介して供給される生成水から氷片及び飲料の少なくとも一方を生成するとともに、前記氷片及び前記飲料を受け入れ可能なドレンパンを備えたディスペンサにおいて、
前記給水管を介して供給される前記生成水を内部に貯める貯水タンクと、
前記給水管を開閉する給水弁と、
前記貯水タンクの内部における前記生成水の水位を検知する水位センサと、
前記貯水タンクの上限水位を上回った前記生成水を、前記貯水タンクの外部に排出するオーバーフロー管と、
前記給水管が開くように前記給水弁を開弁させることによって、前記貯水タンクに前記生成水を供給する給水動作を開始させるとともに、前記給水管が閉じるように前記給水弁を閉弁させることによって、前記給水動作を終了させる制御部と
を備え、
前記オーバーフロー管は、前記貯水タンクと前記ドレンパンとを接続しており、
前記制御部は、
前記貯水タンクの内部における前記生成水の水位が下限水位に達したことを前記水位センサが検知すると、前記給水動作を開始させるとともに、
前記貯水タンクの内部における前記生成水の水位が前記上限水位に達したことを前記水位センサが検知すると、予め設定された所定時間が経過するまで前記給水弁の閉弁を遅延させてから、前記給水動作を終了させることを特徴とするディスペンサ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−91795(P2012−91795A)
【公開日】平成24年5月17日(2012.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−238316(P2010−238316)
【出願日】平成22年10月25日(2010.10.25)
【出願人】(000194893)ホシザキ電機株式会社 (989)
【Fターム(参考)】