説明

ディビィジョンバー構造

【課題】水の浸入を抑制する。
【解決手段】ディビィジョンバー構造10では、インナキャップ44及びアウタキャップ46がそれぞれインナフレーム部30の車両上側端及びアウタフレーム部32の車両上側端に嵌合されると共に、ランナ48のバネ形状部48Aがアッパブラケット40の凸状部40Aの車両下側に接触配置されて、キャップ連結体42がディビジョンバー22に固定されている。ここで、ランナ48の車両下側端縁がインナフレーム部30とインナキャップ44との嵌合部分の車両下側端縁及びアウタフレーム部32とアウタキャップ46との嵌合部分の車両下側端縁に比し車両下側に配置されている。このため、雨水のアウタキャップ46、ランナ48及びインナキャップ44を伝っての車室側への浸入を抑制できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ディビィジョンバーのインナフレーム部及びアウタフレーム部の車両上側にそれぞれインナカバー及びアウタカバーが設けられたディビィジョンバー構造に関する。
【背景技術】
【0002】
ディビィジョンバー構造としては、ディビィジョンバーの車両上側に一対のシール部材が設けられたものがある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
しかしながら、このようなディビィジョンバー構造では、仮に一対のシール部材を連結部によって連結した場合に、車両外側のシール部材、連結部及び車両内側のシール部材を伝って車室側へ水が浸入することを抑制できるのが好ましい。
【特許文献1】実開平4−23519号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、上記事実を考慮し、水の浸入を抑制できるディビィジョンバー構造を得ることが目的である。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1に記載のディビィジョンバー構造は、車両の窓部を分割するディビィジョンバーと、前記ディビィジョンバーの車両内側部に設けられたインナフレーム部と、前記ディビィジョンバーの車両外側部に設けられたアウタフレーム部と、前記インナフレーム部の車両上側に設けられたインナカバーと、前記アウタフレーム部の車両上側に設けられたアウタカバーと、前記インナカバーと前記アウタカバーとを連結し、車両下側端が前記インナフレーム部と前記インナカバーとの境界部分及び前記アウタフレーム部と前記アウタカバーとの境界部分に比し車両下側に配置された連結部と、を備えている。
【0006】
請求項2に記載のディビィジョンバー構造は、請求項1に記載のディビィジョンバー構造において、前記インナフレーム部と前記アウタフレーム部とを連結する連結フレーム部と、前記連結フレーム部に配置された凸状部と、前記連結部に設けられ、前記凸状部の車両下側に接触配置された接触部と、を備えたことを特徴としている。
【0007】
請求項3に記載のディビィジョンバー構造は、請求項2に記載のディビィジョンバー構造において、前記連結フレーム部に配置され、車両のドアフレームに前記ディビィジョンバーを結合すると共に、前記凸状部を構成する結合部材を備え、かつ、前記接触部は、弾性変形可能にされた、ことを特徴としている。
【発明の効果】
【0008】
請求項1に記載のディビィジョンバー構造では、車両の窓部をディビィジョンバーが分割しており、ディビィジョンバーの車両内側部にインナフレーム部が設けられると共に、ディビィジョンバーの車両外側部にアウタフレーム部が設けられている。
【0009】
さらに、インナフレーム部の車両上側にインナカバーが設けられると共に、アウタフレーム部の車両上側にアウタカバーが設けられており、インナカバーとアウタカバーとを連結部が連結している。
【0010】
ここで、連結部の車両下側端が、インナフレーム部とインナカバーとの境界部分及びアウタフレーム部とアウタカバーとの境界部分に比し車両下側に配置されている。このため、アウタカバー、連結部及びインナカバーを伝って水が浸入することを抑制できる。
【0011】
請求項2に記載のディビィジョンバー構造では、インナフレーム部とアウタフレーム部とを連結フレーム部が連結しており、連結フレーム部には凸状部が配置されている。さらに、連結部に設けられた接触部が、凸状部の車両下側に接触配置されている。このため、インナカバー及びアウタカバーをディビィジョンバーに接着する必要をなくすことができる。
【0012】
請求項3に記載のディビィジョンバー構造では、連結フレーム部に配置された結合部材が、車両のドアフレームにディビィジョンバーを結合すると共に、凸状部を構成している。
【0013】
ここで、接触部が弾性変形可能にされている。このため、結合部材の連結フレーム部に対する位置バラツキを接触部が吸収することができ、インナカバーのインナフレーム部への設置不良及びアウタカバーのアウタフレーム部への設置不良を抑制することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
図1には、本発明の実施の形態に係るディビィジョンバー構造10が車両右斜め後方から見た斜視図にて示されており、図2には、ディビィジョンバー構造10が車両左斜め後方から見た斜視図にて示されている。さらに、図8には、ディビィジョンバー構造10が適用されて構成された車両のドアとしてのリヤドア12が車両右方から見た正面図にて示されている。なお、図面では、車両前方を矢印FRで示し、車幅方向外方(車両右方)を矢印OUTで示し、車両上方を矢印UPで示す。
【0015】
図8に示す如く、本実施の形態に係るディビィジョンバー構造10は、リヤドア12上側部分の窓部14に適用されており、リヤドア12は車室16を閉じている。
【0016】
窓部14の下端を除く外周には、フレームとしての正面視略逆U字状のドアフレーム18が設けられている。ドアフレーム18の内部には、断面略矩形状の収容溝20が形成されており、収容溝20は、ドアフレーム18の内周側(窓部14内側)へ開口されている。また、収容溝20の車幅方向内側壁は、収容溝20の車幅方向外側壁に比し、ドアフレーム18の内周側(窓部14内側)まで延伸されている。
【0017】
窓部14には、ディビジョンバー22が設けられており、ディビジョンバー22は、窓部14を車両前側の前窓部14Aと車両後側の後窓部14Bとに分割している。
【0018】
前窓部14Aは、略矩形板状のリヤガラス24によって閉じられており、リヤガラス24は、車両上下方向へ移動可能にされて、前窓部14Aを開閉可能にしている。前窓部14Aの全周(収容溝20内を含む)には、弾性を有する前シール(図示省略)が設けられており、前シールは前窓部14Aの全周をシールしている。
【0019】
後窓部14Bは、略三角形板状のクォータガラス26によって閉じられており、クォータガラス26は、移動不能にされて、後窓部14Bを開放不能にしている。後窓部14Bの全周(収容溝20内を含む)には、弾性を有する後シール(図示省略)が設けられており、後シールは後窓部14Bの全周をシールしている。
【0020】
図1及び図2に示す如く、ディビジョンバー22は、金属製のディビジョンバー本体28を備えている。ディビジョンバー本体28は、車両上側から見た断面が略H字状にされており、ディビジョンバー本体28は、車幅方向内側の略矩形筒状のインナフレーム部30と、車幅方向外側の略矩形筒状のアウタフレーム部32と、インナフレーム部30とアウタフレーム部32とを車幅方向において連結する平板状の連結フレーム部34と、を有している。これにより、ディビジョンバー本体28の車両前側部及び車両後側部には、それぞれ断面略矩形状の前溝36及び後溝38が形成されており、前溝36は車両前側へ開口されて内部に上記前シールが配置されると共に、後溝38は車両後側へ開口されて内部に上記後シールが配置されている。また、インナフレーム部30の車両上側端は、アウタフレーム部32の車両上側端に比し、車両下側に配置されている。
【0021】
連結フレーム部34の車両上側端には、車両後側において、結合部材としての金属製で断面逆L字形板状のアッパブラケット40が溶接によって固定されており、アッパブラケット40は、ディビジョンバー本体28から車両上側へ突出すると共に、車両上側端が車両後側へ延伸されている。アッパブラケット40の車両上側端は、ドアフレーム18の収容溝20の底壁(車両上側壁)に結合(固定)されており、これにより、ディビジョンバー22の車両上側端がドアフレーム18に結合されている。また、アッパブラケット40の車両下側端は凸状部40Aにされており、凸状部40Aは、連結フレーム部34から車両後側へ突出すると共に、インナフレーム部30の車両上側端及びアウタフレーム部32の車両上側端に比し車両下側に配置されている。
【0022】
ディビジョンバー22の上端には、図3乃至図5に詳細に示す、カバー連結体としてのキャップ連結体42が設けられており、キャップ連結体42は、樹脂製の材料によって一体成形されている。
【0023】
キャップ連結体42には、インナカバーとしての略矩形柱状のインナキャップ44(意匠キャップ)が形成されており、インナキャップ44は、インナフレーム部30の車両上側端及びドアフレーム18の収容溝20の車幅方向内側壁に嵌合されている。
【0024】
キャップ連結体42には、アウタカバーとしての略矩形柱状のアウタキャップ46(意匠キャップ)が形成されており、アウタキャップ46は、アウタフレーム部32の車両上側端及びドアフレーム18の収容溝20の車幅方向外側壁に嵌合されている。
【0025】
キャップ連結体42には、連結部としての略J字形棒状のランナ48が形成されており、ランナ48は、インナキャップ44とアウタキャップ46とを連結している。ランナ48の車両下側端には、接触部としての断面略逆U字形状のバネ形状部48Aが形成されており、バネ形状部48Aは、車両上下方向(ディビジョンバー22長手方向)への弾性を有して、アッパブラケット40の凸状部40Aの車両下側に弾性変形された状態で接触配置されている。これにより、インナキャップ44及びアウタキャップ46に車両下側への付勢力が付与されて、キャップ連結体42がディビジョンバー22に固定されている。
【0026】
次に、本実施の形態の作用を説明する。
【0027】
以上の構成のディビィジョンバー構造10では、キャップ連結体42をディビジョンバー22に固定する際に、図6(A)に示す如く、キャップ連結体42をアッパブラケット40に車両後側から接近させて、キャップ連結体42のインナキャップ44及びアウタキャップ46をそれぞれアッパブラケット40の車幅方向内側及び車幅方向外側に配置すると共に、キャップ連結体42のランナ48のバネ形状部48Aをアッパブラケット40の車両上側端の車両下側かつアッパブラケット40の車両後側に配置する。さらに、図6(B)に示す如く、キャップ連結体42を車両下側へ移動(スライド)させる。最後に、図6(C)に示す如く、インナキャップ44及びアウタキャップ46をそれぞれインナフレーム部30の車両上側端及びアウタフレーム部32の車両上側端に嵌合させた後に、ランナ48のバネ形状部48Aをアッパブラケット40の凸状部40Aの車両下側に接触配置させる。
【0028】
ここで、ランナ48の車両下側端縁が、インナフレーム部30とインナキャップ44との嵌合部分(境界部分、見切り部)の車両下側端縁及びアウタフレーム部32とアウタキャップ46との嵌合部分(境界部分、見切り部)の車両下側端縁に比し車両下側に配置されている。
【0029】
このため、仮に、車両外側からアウタキャップ46及びランナ48を伝ってランナ48のバネ形状部48Aまで雨水が浸入しても、雨水がランナ48のバネ形状部48Aからランナ48を伝って車両上側のインナキャップ44まで浸入することは困難である。これにより、雨水の所謂水切りが可能であり、雨水が車両外側からアウタキャップ46、ランナ48及びインナキャップ44を伝って車室16側への浸入することを抑制できる。
【0030】
しかもこのため、ランナ48の長さが長くなることで、ディビジョンバー22と後シールとランナ48とのランナ48に沿った隙間の長さを長くすることができる。これにより、車両の風切り音が車両外側から当該隙間を介して車室16側への侵入することを抑制できる。
【0031】
また、ランナ48のバネ形状部48Aがアッパブラケット40の凸状部40Aの車両下側に接触配置されて、キャップ連結体42がディビジョンバー22に固定されている。このため、キャップ連結体42をディビジョンバー22に接着して固定する必要がなく、キャップ連結体42のディビジョンバー22への接着工程を不要にすることができると共に、接着剤を不要にすることができる。
【0032】
さらに、ランナ48のバネ形状部48Aが、弾性変形された状態で、アッパブラケット40の凸状部40Aの車両下側に接触配置されている。すなわち、図7(A)に示す如くアッパブラケット40が連結フレーム部34に正規位置より車両上側の限度位置に固定された場合、図7(B)に示す如くアッパブラケット40が連結フレーム部34に正規位置において固定された場合、及び、図7(C)に示す如くアッパブラケット40が連結フレーム部34に正規位置よりも車両下側の限度位置に固定された場合の何れの場合でも、ランナ48のバネ形状部48Aが、ディビジョンバー22長手方向における弾性変形量を変化されることで、アッパブラケット40の凸状部40Aの車両下側に接触配置される。このため、アッパブラケット40のディビジョンバー本体28(連結フレーム部34)への固定位置のディビジョンバー22長手方向におけるバラツキ(位置バラツキ)をランナ48のバネ形状部48Aが吸収することができ、インナキャップ44のインナフレーム部30への嵌合不良(インナフレーム部30に対する浮きや嵌合不能)及びアウタキャップ46のアウタフレーム部32への嵌合不良(アウタフレーム部32に対する浮きや嵌合不能)を抑制することができる。
【0033】
また、仮に、ランナ48が前窓部14A側(連結フレーム部34の車両前側)に配置されている場合には、前窓部14Aのリヤガラス24が車両上下方向へ移動可能にされているため、ランナ48のリヤガラス24との干渉を抑制するために、ランナ48の厚さを細くする必要がある。一方、本実施の形態では、ランナ48が後窓部14B側(連結フレーム部34の車両後側)に配置されており、後窓部14Bのクォータガラス26は移動不能にされている。このため、ランナ48のクォータガラス26との干渉を考慮する必要がなく、ランナ48の厚さを太くすることができる。これにより、キャップ連結体42の樹脂成形時にランナ48成形部分において樹脂材料の流動性が悪くなってショートカットが発生する等の問題の発生を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明の実施の形態に係るディビィジョンバー構造を示す車両右斜め後方から見た斜視図である。
【図2】本発明の実施の形態に係るディビィジョンバー構造を示す車両左斜め後方から見た斜視図である。
【図3】本発明の実施の形態に係るディビィジョンバー構造のキャップ連結体を示す車両左斜め後方から見た斜視図である。
【図4】本発明の実施の形態に係るディビィジョンバー構造のキャップ連結体を示す車両右斜め後方から見た斜視図である。
【図5】本発明の実施の形態に係るディビィジョンバー構造のキャップ連結体を示す車両左斜め前方から見た斜視図である。
【図6】(A)乃至(C)は、本発明の実施の形態に係るディビィジョンバー構造におけるキャップ連結体のディビィジョンバーへの固定工程を示す車両右斜め後方から見た斜視図であり、(A)は、当該固定工程の初期工程を示し、(B)は、当該固定工程の中期工程を示し、(C)は、当該固定工程の後期工程を示している。
【図7】(A)乃至(C)は、本発明の実施の形態に係るディビィジョンバー構造におけるランナのバネ形状部のアッパブラケット車両下側への接触配置状況を示す車両後側から見た正面図であり、(A)は、アッパブラケットが連結フレーム部に正規位置より車両上側の限度位置に固定された場合を示し、(B)は、アッパブラケットが連結フレーム部に正規位置において固定された場合を示し、(C)は、アッパブラケットが連結フレーム部に正規位置よりも車両下側の限度位置に固定された場合を示している。
【図8】本発明の実施の形態におけるリヤドアを示す車両右方から見た正面図にて示されている。
【符号の説明】
【0035】
10 ディビィジョンバー構造
14 窓部
18 ドアフレーム
22 ディビィジョンバー
30 インナフレーム部
32 アウタフレーム部
34 連結フレーム部
40 アッパブラケット(結合部材)
40A 凸状部
44 インナキャップ(インナカバー)
46 アウタキャップ(アウタカバー)
48 ランナ(連結部)
48A バネ形状部(接触部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の窓部を分割するディビィジョンバーと、
前記ディビィジョンバーの車両内側部に設けられたインナフレーム部と、
前記ディビィジョンバーの車両外側部に設けられたアウタフレーム部と、
前記インナフレーム部の車両上側に設けられたインナカバーと、
前記アウタフレーム部の車両上側に設けられたアウタカバーと、
前記インナカバーと前記アウタカバーとを連結し、車両下側端が前記インナフレーム部と前記インナカバーとの境界部分及び前記アウタフレーム部と前記アウタカバーとの境界部分に比し車両下側に配置された連結部と、
を備えたディビィジョンバー構造。
【請求項2】
前記インナフレーム部と前記アウタフレーム部とを連結する連結フレーム部と、
前記連結フレーム部に配置された凸状部と、
前記連結部に設けられ、前記凸状部の車両下側に接触配置された接触部と、
を備えたことを特徴とする請求項1記載のディビィジョンバー構造。
【請求項3】
前記連結フレーム部に配置され、車両のドアフレームに前記ディビィジョンバーを結合すると共に、前記凸状部を構成する結合部材を備え、かつ、前記接触部は、弾性変形可能にされた、ことを特徴とする請求項2記載のディビィジョンバー構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2008−18782(P2008−18782A)
【公開日】平成20年1月31日(2008.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−190691(P2006−190691)
【出願日】平成18年7月11日(2006.7.11)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【出願人】(598059675)株式会社ヴイテック (14)