説明

デジタルカメラ

【課題】 固体撮像素子や集積回路を十分に冷却でき、剛性も高く、更に、デザイン意匠に与える影響も少ない放熱手段を備えたデジタルカメラを提供する。
【解決手段】 レンズユニット15と、固体撮像素子31と、集積回路41とを備えるデジタルカメラにおいて、該デジタルカメラは、熱伝導率の低い部材によって形成された外側筐体11と、剛性が高く熱伝導率が高い部材によって形成され放熱手段とされる内側筐体61とにより二重構造とされ、外側筐体11と内側筐体61との間に放熱空間を有したカメラ筐体を備えるものであり、カメラ筐体の内部において熱源となる集積回路41と内側筐体61とが熱伝導率の高い部材によって接続され、更に、内側筐体61は、固体撮像素子31及び集積回路41の近傍に位置する本体側筐体と、レンズユニット15の周縁を覆うレンズ側筐体62とから形成され、本体側筐体及びレンズ側筐体の全面で放熱するものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、デジタルカメラに関する。
【背景技術】
【0002】
静止画や動画のデータをプロジェクタやパーソナルコンピュータ等へ出力したり、所定の記録媒体に記録したりする装置としてデジタルカメラがある。このデジタルカメラは、固定レンズ群及び可動レンズ群を有したレンズユニットと、レンズユニットの近傍に配置された固体撮像素子としてのCCD(Charge Coupled Devices)やCMOS(Complementary Metal-Oxide Semiconductor)等と、液晶表示装置と、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)等の集積回路とを備えて形成されている。
【0003】
このようなデジタルカメラは、固体撮像素子や集積回路が高温となるため、これらを冷却して動作保証温度以下に抑える必要があり、高温となるこれらの固体撮像素子や集積回路等を冷却する手段について様々な提案がなされている。
【0004】
例えば、特開2006−91399号公報(特許文献1)では、レンズユニットのカメラ筐体近傍位置に通気口を形成し、固体撮像素子の背面に伝熱部材(ヒートパイプ)を配置してこの伝熱部材の端部をレンズユニットの通気口まで延設することにより伝熱部材を冷却することで固体撮像素子を冷却する提案がなされている。
【特許文献1】特開2006−91399号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
近年のデジタルカメラは、小型化及び薄型化しており、固体撮像素子や集積回路、各種基板、バッテリー、液晶表示装置等の様々な装置を小型及び薄型のカメラ筐体内に収納しているため、固体撮像素子や集積回路を冷却するための十分な空間を確保することが困難であるという問題点があった。
【0006】
又、固体撮像素子や集積回路等の熱を金属材料等の伝熱部材に逃し、この金属材料を冷却することにより固体撮像素子や集積回路を冷却する手段が取られているが、デジタルカメラが小型及び薄型であるため伝熱部材の熱がカメラ筐体(外装ケース)に伝わり、撮像者の手に熱が伝わってしまうという問題が発生していた。
【0007】
そこで、カメラ筐体を熱伝導率が低い金属以外の材料を用いて形成することもあるが、この場合にはカメラの剛性が低くなり、衝撃等に対する耐性が小さくなるという問題点があった。
【0008】
本発明は、このような従来技術の問題点に鑑みて成されたものであり、固体撮像素子や集積回路を十分に冷却でき、又、剛性の向上にも寄与する放熱手段を備えたデジタルカメラを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明のデジタルカメラは、レンズユニットと、固体撮像素子と、集積回路とを備え、カメラ筐体が、熱伝導率の低い部材によって形成された外側筐体と、剛性が高く熱伝導率が高い部材によって形成され放熱手段とされる内側筐体とにより二重構造とされ、且つ、前記外側筐体と内側筐体との間に放熱空間を有するものである。
【0010】
又、前記カメラ筐体内において熱源となる部品と前記内側筐体とが熱伝導率の高い部材によって接続されているものである。
【0011】
更に、前記内側筐体は、前記固体撮像素子及び集積回路の近傍に位置する本体側筐体と、前記レンズユニットの周縁を覆うレンズ側筐体とから形成され、前記本体側筐体及びレンズ側筐体の全面で放熱することを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、固体撮像素子や集積回路を高温にすることなく十分に冷却でき、又、剛性の向上にも寄与する放熱手段を備えたデジタルカメラを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明を実施するための最良の形態のデジタルカメラ1は、レンズユニット15と、固体撮像素子31と、集積回路41とを備え、カメラ筐体が、熱伝導率の低い部材によって形成された外側筐体11と、剛性が高く熱伝導率が高い部材によって形成され放熱手段とされる内側筐体61とにより二重構造とされ、且つ、外側筐体11と内側筐体61との間に放熱空間を有するものであり、又、カメラ筐体の内部において熱源となる部品と内側筐体61とが熱伝導率の高い部材によって接続されているものである。
【0014】
更に、内側筐体61は、固体撮像素子31及び集積回路41の近傍に位置する本体側筐体63と、レンズユニット15の周縁を覆うレンズ側筐体62とから形成され、本体側筐体63及びレンズ側筐体62の全面で放熱するものである。
【実施例1】
【0015】
以下、本発明の実施例を図に基づいて詳説する。本実施例のデジタルカメラ1は、熱伝導率の低い部材(例えば、ポリカーボネイト等の樹脂)によって形成された外側筐体(外装ケース)11と、剛性が高く熱伝導率が高い部材(例えば、マグネシウム合金等の金属)によって形成され放熱手段とされる内側筐体(フレーム)61とにより二重構造とされたカメラ筐体を備え、静止画及び動画を撮影可能とするデジタルカメラである。
【0016】
そして、図1に示すように、外側筐体11は、内部にレンズユニット15を有し正面方向に突出して形成された正面側突出部12と、正面側突出部12の後方に位置しカメラ本体を覆う本体部13とを備え、外側筐体11の背面側には外側筐体11の背面を覆う背面側筐体20が配置されているものである。又、外側筐体11の本体部13の上方には、シャッターボタン16や撮影モード切替ダイヤル17、ストロボ18等が配置され、背面側筐体20には、図2に示すように、表示装置21や方向キー22、メニューボタン23等が配置されているものである。
【0017】
そして、デジタルカメラ1の内部には、図3に示すように、可動レンズ群や固体レンズ群を備えたレンズユニット15と、固体撮像素子31としてのCMOS(Complementary Metal-Oxide Semiconductor)を備えレンズユニット15の背面側に近接して配置される固体撮像素子ブロック35と、固体撮像素子31を手振れ補正のために稼動させる可動ユニット25と、集積回路41としてのASIC(Application Specific Integrated Circuit)を備える集積回路ブロック45と、表示装置21と、図4に示すように、ストロボ制御基板51と、電池収納ボックス52とを有し、これらの各種装置を外側筐体11との間で所定の空間を備えた状態で保持する内側筐体61を備えるものである。
【0018】
レンズユニット15は、図示しないが、可動レンズ群や固体レンズ群を備えると共に可動レンズ群を稼働させるレンズモータやレンズモータを駆動させる基板等を備えており、可動レンズ群が稼働することにより倍率変更や焦点調整が可能とされるものである。又、レンズユニット15は、図5に示すように、ポリカーボネイト等の樹脂で形成された略円柱形状のレンズ鏡筒とレンズ鏡筒の背面側端部に形成された方形状の縁部とを有し、レンズ鏡筒の外周縁の左右対称位置に外方に突出するように形成され内側筐体61が固定される固定板15aを備えるものである。
【0019】
又、固体撮像素子ブロック35は、図6に示すように、CMOS等の第一の熱源とされる固体撮像素子31と、固体撮像素子31が固定される固体撮像素子固定基板32と、固体撮像素子31に絶縁体である伝熱シート37を介して接続される固体撮像素子放熱板33と、固体撮像素子ブロック35を上述した可動ユニット25に固定する連結板34と、固体撮像素子31と後述する集積回路ブロック45のメイン基板42とを電気的に接続するフレキシブルシート38とを備え、レンズユニット15の背面側端部近傍位置で可動ユニット25に固定されているものである。
【0020】
固体撮像素子固定基板32は、方形状の板であって、中央近傍に伝熱シート37が位置する開口32aを有し、正面に固体撮像素子31が固定され、連結板34にロウ付けされているものである。
【0021】
又、固体撮像素子放熱板33は、アルミニウム等の計量な薄板を方形状の板としたものであって、略中央に正面側に突出する凸部33aを備え、両側辺には正面方向に突出するように形成された脚部33bを備えるものである。そして、この固体撮像素子放熱板33は、凸部33aが固体撮像素子固定基板32の開口32aに配置された伝熱シート37と接した状態で後述する連結板34の脚部34bと固体撮像素子放熱板33の脚部33bを対向させてビス等によって固定され、固体撮像素子31から伝熱シート37を介して伝わった熱を放熱するものである。
【0022】
更に、連結板34は、方形状の板であって略中央に固体撮像素子31が貫挿する方形状の開口34aを備え、両側辺には背面方向に突出するように形成された脚部34bを備えるものである。そして、連結板34は、背面が固体撮像素子固定基板32に固着され、正面は可動ユニット25にビス等で固定されているものであり、可動ユニット25の動きに合わせて固体撮像素子ブロック35を稼動させるものである。
【0023】
可動ユニット25は、撮像時の手振れを補正するために固体撮像素子31を稼動させるものであり、図3及び図5に示したように、固体撮像素子31に光を透過する透過レンズを固体撮像素子31の光軸上に備えて固定枠26に可動に保持され、レンズユニット15の背面側端部に近接して配置されるものであり、固定枠26に配置された縦方向可動モータ及び横方向可動モータによって縦方向及び横方向の動きを制御されるものである。又、可動ユニット25の背面に固体撮像素子ブロック35の連結板34がビス等により固着されており、固体撮像素子31は、可動ユニット25と一体に上下左右にモータによって駆動されることによって手振れ補正を行うものである。
【0024】
そして、内側筐体61は、レンズユニット15の周縁を覆う円筒形状で正面及び背面側端部を開口とするレンズ側筐体62と、レンズ側筐体62の背面側端部に形成された中空直方体形状で背面を開口とする本体側筐体63とを有し、剛性があって熱伝導率の高いマグネシウム合金等の金属材料によって形成されているものである。この本体側筐体63は、図4に示したように、外側筐体11の本体部13に収納した場合に、右側側壁の近傍であるシャッターボタン16等が配置された位置の下方に広い空間ができるよう、本体部13の幅よりも小さく形成されている。
【0025】
又、この内側筐体61は、図5に示したように、上下中心位置で上筐体65と下筐体66に分割されており、上筐体65は、レンズ側筐体62の下方縁部から外方に突出して形成されレンズユニット15の固定板15a及び下筐体66と連結する連結板65aを有し、レンズ側筐体62の正面側端部の外周縁には上述した外側筐体11に固定される複数の固定突起65bを有している。又、下筐体66は、レンズ側筐体62の上方縁部から外方に突出して形成されレンズユニット15の固定板15a及び上筐体65の連結板65aと連結する連結板66aを有し、レンズ側筐体62の正面側端部の外周縁には外側筐体11に固定される複数の固定突起66bを有しているものである。
【0026】
そして、上筐体65と下筐体66は、上筐体65の下方縁部と下筐体66の上方縁部を対向させた状態でレンズユニット15に被せ、夫々の連結板65a,66aをレンズユニット15の固定板15aに近接させてビス等で固定することによりレンズユニット15に固定されるものである。又、レンズユニット15と内側筐体61の間には僅かな空間が形成されており、内側筐体61の熱がレンズユニット15に伝達され難いようにされているものである。
【0027】
又、レンズユニット15に固定された内側筐体61は、図4に示したように、外側筐体11に収納され、図示しないが、上筐体65及び下筐体66の固定突起65b,66bが外側筐体11の正面側突出部12の正面側端部に螺子等によって螺着されることにより固定されているものである。尚、図3に示したように、内側筐体61は、外側筐体11との間に所定の空間を形成した状態で固定されており、この空間が放熱空間とされているものである。
【0028】
そして、図4に示したように、外側筐体11の内部に収納された内側筐体61の本体側筐体63内右側端近くにストロボ制御基板51が配置され、内側筐体61の右外側に形成された外側筐体11との間隙の中で最も広い間隙となるシャッターボタン16等の下方の空間に電池収納ボックス52が配置されるものである。
【0029】
集積回路ブロック45は、図7に示すように、第二の熱源とされる複数の集積回路41と、集積回路41が固定されるメイン基板42と、集積回路41を上述した内側筐体61に固定すると共に集積回路41の熱を内側筐体61に逃す集積回路伝熱板とされる正面側基板保持部材43及び背面側基板保持部材44と、集積回路41と背面側基板保持部材44の間に配置されるシリコーンゴム等で形成された複数の伝熱シート47とを備えるものである。
【0030】
この第二の熱源とされる集積回路41は、メイン基板42に固定されており、集積回路41としてのASICには、音声や画像等のデジタル信号を処理するDSP(Digital Signal Processor)、音声や映像のアナログデータをデジタルコードに変換し、そのデジタルコードを元のアナログデータに戻す機能を持つCODEC(coder/decoder)、固体撮像素子31から出力された画像信号を一時保存するRAM(Random Access Memory)等がある。
【0031】
又、メイン基板42は、高さが上述した内側筐体61の本体側筐体63の高さよりも僅かに小さく形成され、幅は上述した外側筐体11の本体部13の幅よりも僅かに小さく形成された方形板であり、複数の集積回路41が固定されると共に固体撮像素子31及び表示装置21とフレキシブルシート38を介して接続されているものである。
【0032】
集積回路伝熱板とされる正面側基板保持部材43及び背面側基板保持部材44は、熱伝導性が高い銅板等の金属材料で形成され、集積回路41が固定されたメイン基板42のプリント配線に影響を及ぼさないように僅かな間隙を開けた状態でメイン基板42にビス等で取り付けられているものである。
【0033】
そして、集積回路伝熱板とされる正面側基板保持部材43は、略方形状の板であって、メイン基板42に所定の間隔を開けて取付けるための取付脚43aが四隅近傍から背面側に突出するように形成され、上端縁部には内側筐体61と面で接触させるための伝熱板43bが正面側に突出するように形成され、上下の高さがメイン基板42の高さよりも僅かに小さく形成されているものである。又、正面側基板保持部材43は、メイン基板42の正面側でプリント配線と接することが無い位置に取付脚43aを近接させてビス等で取り付けられるものである。更に、正面側基板保持部材43は、上述した固体撮像素子ブロック35の固体撮像素子放熱板33と近接する位置に配置されているものである。
【0034】
又、集積回路伝熱板とされる背面側基板保持部材44は、正面側基板保持部材43と同様に熱伝導性が高い銅板等の金属材料で形成された略方形状の板であり、メイン基板42に所定の間隔を開けて取付けるための取付脚44aが四隅近傍から正面側に突出するように形成され、上下端縁部には内側筐体61と面で接触させるための伝熱板44bが正面側に突出するように形成され、高さがメイン基板42の高さよりも僅かに高く形成されているものである。又、この背面側基板保持部材44は、メイン基板42の背面側でプリント配線と接することが無い位置に取付脚44aを近接させてビス等で取り付けられ、集積回路41と伝熱シート47を介して接触しているものである。更に、背面側基板保持部材44の上方に形成された伝熱板44bは、正面側基板保持部材43の伝熱板43bの上方に位置し、正面側基板保持部材43の伝熱板43bとの間に所定の間隙が形成されているものである。
【0035】
そして、集積回路ブロック45は、図3及び図4に示したように、内側筐体61の背面側端部に近接したレンズ鏡筒の後方近傍に配置され、正面側基板保持部材43の伝熱板43bと背面側基板保持部材44の上方の伝熱板44bとの間に形成された間隙に内側筐体61の本体側筐体63の上面が挿嵌され、背面側基板保持部材44の上下の伝熱板44b間で内側筐体61の本体側筐体63を挟持するように内側筐体61にビス等で取付けられているものである。
【0036】
又、集積回路ブロック45の背面側には、図3及び図4に示したように、表示装置21が近接して配置され、表示装置21の背面側から背面側筐体20が外側筐体11に固定されるものである。
【0037】
次に、本実施例における放熱手段について述べる。上述したように、本実施例のデジタルカメラ1では、内側筐体61を放熱手段としており、熱源の熱を銅板等の熱伝導率の高い部材によって内側筐体61に逃すことにより熱源が高温となることを防止できるものである。
【0038】
そして、本実施例において熱源とされる部品としては、第一の熱源とされる固体撮像素子31や第二のに熱源とされる集積回路41があるが、この固体撮像素子31や集積回路41には、動作保証温度と呼ばれるものがあり、この温度を超えた場合には画像データにノイズを多く含むこととなり、時には適正な動作をしなくなるおそれがあるため、固体撮像素子31や集積回路41は、動作保証温度よりも常に低く保つ必要がある。
【0039】
本実施例において第二の熱源とされる集積回路41は、図8に示すように、背面側基板保持部材44と伝熱シート47を介して接触しているため、集積回路41の熱を背面側基板保持部材44に逃すことができ、背面側基板保持部材44は、内側筐体61と伝熱板44b部分で接触しているため、集積回路41から伝わった熱を内側筐体61に逃すことができる。又、内側筐体61は、マグネシウム合金等の熱伝導率の高い部材によって形成されると共にレンズユニット15の周縁まで覆う大きさとされることにより、蓄熱容積を極めて大きく取ることができると共に放熱面積を広く取ることができる。よって、背面側基板保持部材44から内側筐体61に伝わった熱は、内側筐体61の全体に分散されて蓄熱され、広い面積で放熱されることとなり、外装ケースである外側筐体11の本体部13側は勿論のこと、正面側突出部12側もあまり熱くならない。又、図9に示すように、内側筐体61と外側筐体11の間には空間が形成されているため、この空間を放熱空間とすることにより放熱効果を更に高めることができるものである。
【0040】
又、本実施例においては、図3及び図7に示したように、メイン基板42の正面側には、メイン基板42の正面側を覆う正面側基板保持部材43が取り付けられ、且つ、正面側基板保持部材43は、内側筐体61と伝熱板43b部分で接触しているため、メイン基板42の正面側から漏れる集積回路41の熱を正面側基板保持部材43を介して内側筐体61に逃すことができ、集積回路41の熱が固体撮像素子31に伝わることを防止できるものである。
【0041】
又、図3に示したように、正面側基板保持部材43は固体撮像素子放熱板33と極めて近接させているため、正面側基板保持部材43の温度が固体撮像素子放熱板33の温度よりも低い場合には、固体撮像素子31の熱を正面側基板保持部材43を介して内側筐体61に逃すことができる。このため、固体撮像素子31が高温となることを防止できるものであり、この効果は、正面側基板保持部材43が固体撮像素子放熱板33に近接していればいるほど大きなものとなる。
【0042】
尚、固体撮像素子31及び固体撮像素子放熱板33を手振れ防止のために可動ユニット25と共に移動可能としつつ、固体撮像素子放熱板33から正面側基板保持部材43への熱伝達効率を高めるため、固体撮像素子放熱板33と正面側基板保持部材43との間隙にオイル等の液体を注入保持する場合やベアリング等を介在させることもある。
【0043】
本実施例のデジタルカメラ1によれば、熱伝導率の低い部材によって形成された外側筐体11と、剛性が高く熱伝導率が高い部材によって形成され放熱手段とされる内側筐体61とにより二重構造とし、外側筐体11と内側筐体61との間に放熱空間を形成することにより、カメラ内部の熱が外側筐体11を介して撮像者に伝わることを防止でき、又、蓄熱容積が極めて大きく放熱面積も広い内側筐体61で蓄熱及び放熱できるため、熱源となる素子の放熱効果をより高めることができる。更に、二重構造となっているため外側に位置する外側筐体11は自由なデザインとすることができ、内側筐体61の剛性が高いため、デジタルカメラ1の剛性を高くすることができる。
【0044】
又、第二の熱源とされる集積回路41と内側筐体61とが熱伝導率の高い部材によって形成された部品である背面側基板保持部材44によって接続されていることにより、集積回路41の熱を背面側基板保持部材44を介して内側筐体61に逃すことができるため、集積回路41が動作保証温度を超えることを防止できる。更に、集積回路41の熱を内側筐体61に逃すことができるため、集積回路ブロック45が高温となることが無く、表示装置21を集積回路ブロック45に近接させて配置することができる。よって、省スペース設計が可能となるため、カメラ本体を薄型化及び小型化することもできる。
【0045】
更に、内側筐体61は、固体撮像素子31及び集積回路41の近傍に位置する本体側筐体63と、レンズユニット15の周縁を覆うレンズ側筐体62とから形成することにより、最も面積の広いレンズユニット15の周縁も蓄熱及び放熱に利用できるため、放熱効果を高めることができるものである。
【0046】
そして、正面側基板保持部材43及び背面側基板保持部材44を熱伝導率の高い金属製として集積回路41等の制御回路を覆うとともに、内側筐体61を熱伝導率の高い金属製として集積回路41等の制御回路を覆うように囲っているため、電磁ノイズの遮断や静電防止により安定した制御動作を行わせることもできる。
【0047】
又、集積回路41の熱を内側筐体61に逃す集積回路伝熱板は、集積回路41と絶縁体である伝熱シート47を介して接しているため、集積回路41の熱を逃すことができると共に回路を流れる電流に影響与えることを防止できるものである。
【0048】
尚、上述した実施例においては、インナーズーム型のレンズユニット15とカメラ本体が一体のデジタルカメラ1について述べているが、レンズの交換が可能なデジタルカメラにおいても、交換レンズ及びカメラ本体を外側筐体と内側筐体とで二重構造とし、カメラ本体に交換レンズを取付けた場合に、カメラ本体の内側筐体と交換レンズの内側筐体を接触するように形成することにより、同一の放熱効果を得ることができる。
【0049】
又、レンズの前玉等を前後に移動させるズームレンズの如くレンズ鏡筒の長さが変化する沈胴式のデジタルカメラにおいては、内側筐体を本体側筐体と、本体側筐体に対して固定レンズ群の鏡筒長さよりも僅かに長いレンズ側筐体とすることにより、同一の効果を得ることができる。
【0050】
更に、本発明は、以上の実施例の形態に限定されるものでなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で自由に変更、改良が可能である。例えば、メイン基板42と固体撮像素子放熱板33との間に位置する伝熱板(正面側基板保持部材43)は、集積回路41の熱を内側筐体61に逃す集積回路伝熱板としてメイン基板42と内側筐体61とに接続する構成にしたが、固体撮像素子31の熱を内側筐体61に逃すことを主たる目的にした伝熱板として、固体撮像素子放熱板33に近接させて配置し、その端部を内側筐体61に接続する構成にしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】本発明の実施例に係るデジタルカメラの正面斜視図。
【図2】本発明の実施例に係るデジタルカメラの背面斜視図。
【図3】本発明の実施例に係るデジタルカメラの断面図。
【図4】本発明の実施例に係るデジタルカメラの分解斜視図。
【図5】本発明の実施例に係る内側筐体の分解斜視図。
【図6】本発明の実施例に係る固体撮像素子ブロックの分解斜視図。
【図7】本発明の実施例に係る集積回路ブロックの分解斜視図。
【図8】本発明の実施例に係る内側鏡筒と集積回路ブロックの放熱手段を説明する斜視図。
【図9】本発明の実施例に係る内側鏡筒と外側鏡筒の間の間隙を示す斜視図。
【符号の説明】
【0052】
1 デジタルカメラ
11 外側筐体 12 正面側突出部
13 本体部 15 レンズユニット
15a 固定板 16 シャッターボタン
17 撮影モード切替ダイヤル 18 ストロボ
20 背面側筐体 21 表示装置
22 方向キー 23 メニューボタン
25 可動ユニット 26 固定枠
31 固体撮像素子 32 固体撮像素子固定基板
32a 開口 33 固体撮像素子放熱板
33a 凸部 33b 脚部
34 連結板 34a 開口
34b 脚部 35 固体撮像素子ブロック
37 伝熱シート 38 フレキシブルシート
41 集積回路 42 メイン基板
43 正面側基板保持部材 43a 取付脚
43b 伝熱板 44 背面側基板保持部材
44a 取付脚 44b 伝熱板
45 集積回路ブロック 47 伝熱シート
51 ストロボ制御基板 52 電池収納ボックス
61 内側筐体 62 レンズ側筐体
63 本体側筐体 65 上筐体
65b 固定突起 65a 連結板
66 下筐体 66a 連結板
66b 固定突起

【特許請求の範囲】
【請求項1】
レンズユニットと、固体撮像素子と、集積回路とを備えたデジタルカメラにおいて、
カメラ筐体が、熱伝導率の低い部材によって形成された外側筐体と、剛性が高く熱伝導率が高い部材によって形成され放熱手段とされる内側筐体とにより二重構造とされ、且つ、前記外側筐体と内側筐体との間に放熱空間を有することを特徴とするデジタルカメラ。
【請求項2】
前記カメラ筐体内において熱源となる部品と前記内側筐体とが熱伝導率の高い部材によって接続されていることを特徴とする請求項1に記載のデジタルカメラ。
【請求項3】
前記内側筐体は、前記固体撮像素子及び集積回路の近傍に位置する本体側筐体と、前記レンズユニットの周縁を覆うレンズ側筐体とから形成され、前記本体側筐体及びレンズ側筐体の全面で放熱することを特徴とする請求項1又は2に記載のデジタルカメラ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2009−229582(P2009−229582A)
【公開日】平成21年10月8日(2009.10.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−72219(P2008−72219)
【出願日】平成20年3月19日(2008.3.19)
【出願人】(000001443)カシオ計算機株式会社 (8,748)
【Fターム(参考)】