説明

デジタルテレビ放送視聴制御方法及びデジタルテレビ放送視聴制御システム

【課題】課金なしではデジタルテレビ放送を視聴不可とするシステムで、無料の放送は無料で自由に視聴可能とする。
【解決手段】デジタルTVと視聴制御装置を接続し、B-CASカードを視聴制御装置にセットし、デジタルTVをリモコンでONにすると課金支払い状況を検出し、ECMがデジタルTVから視聴制御装置のB-CASカードに転送され、B-CASカードからデジタルTVにスクランブルキーが送られる。そのスクランブルキーによりデジタルテレビ放送のスクランブルが解除されて、デジタルテレビ放送を受像することができる。課金支払いが検出されないときは、ECMが視聴制御装置のB-CASカードに転送されず、B-CASカードからデジタルTVに偽スクランブルキーが送られて、デジタルテレビ放送のスクランブルが解除されずにデジタルテレビ放送を受像できないが、無料テレビ放送は受像できるようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明はデジタルテレビ放送の視聴制御方法及びデジタルテレビ放送視聴制御システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
病院、ホテルなどの施設では無料のテレビジョン放送(以下「テレビ放送という」)が有料テレビ放送として行われていることがある。有料のテレビ放送システム(ペイテレビシステム)は、無料で視聴されないように視聴制限をかけておき、有料で視聴制限を解除すると視聴できるようになっている。病院や老人ホーム等の施設におけるレンタルテレビも有料のペイテレビシステムである。
【0003】
ペイテレビシステムとしては、専用の視聴制御装置をはじめとする各種端末機器を用いたものや、VOD(ビデオオンデマンド)などのシステムが一般的である。
【0004】
視聴制限解除方法には各種方法があり、例えば、予めPETカード(ポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂を材料として作られたカード)を購入して視聴するPETカード方式、テレビ受信機(TV受信機)に取り付けられたコインタイマーにコインを投入して所定時間だけ視聴可能とするコインタイマー方式等がある。
【0005】
PETカード方式やコインタイマー方式の視聴制限解除方法の一例を図2に示す。これは、アナログテレビ信号の視聴制御方法の一例であり、有線のリモートコントローラ(以下「リモコン」という。)Eで視聴制御装置CのCPUを制御して、RFスイッチ(RF SW)DをON/OFFしたり、アナログテレビ(アナログTV)AのAC電源をON/OFFしたりして視聴制御するものである。図2では通常は視聴制限されていてアナログTVでテレビ放送を視聴することができないが、コインタイマーやPRTリーダー等の課金検出器Gにコインが投入されたり、PETカードが挿入されたりすると、CPUで視聴制限が解除され、リレーBがONとなりAC100VがアナログTVに給電されて、アナログTVでテレビ放送を視聴できるようになる。図2の表示器Hは投入されたコインの残額やPETカードの有効時間等を表示できる。
【0006】
テレビ放送の視聴制御にはデジタルテレビ信号の視聴制御もある。その一例として特許文献1に記載の方式がある。
【0007】
特許文献1の視聴制限方式は、デジタルテレビ受信機(デジタルTV)を改造せずに、視聴制限付きで有料放送を提供するデジタルテレビ放送視聴システムである。このデジタルテレビ放送視聴システムは、自主放送送出機能を有するヘッドエンド装置から有料コンテンツとともに、中間鍵生成関数、本鍵生成関数および全カードIDをデータ放送のBML(Broadcast Markup Language)コンテンツ内に含めてホテルの各室に配信する。各室内にPETカードリーダを有する端末装置を設置し、各室の端末装置をLANでデジタルTVに接続してある。有料コンテンツの視聴希望者はカード券売機で購入し、そのPETカードをPETカードリーダに差し込むと、そのデータがPETカードリーダに読み取られ、デジタルTVから受信した中間鍵データとPETカードから得られた認証IDデータに基づいて本鍵データを生成し、その本鍵データをデジタルTVへ送信する。デジタルTVは端末装置から受信した本鍵データと、自ら生成した本鍵データとを照合して、両者が一致したとき、カードIDの認証後に、視聴制限を解除して視聴可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2010−016557
【0009】
前記したアナログテレビ信号の視聴制御方式やPETカード方式やコインタイマー方式の場合、次のような難点がある。
(1)図2に示すアナログテレビ信号の視聴制御方法を、地上デジタルテレビ放送に適用すると、RF信号のON/OFF、又はアナログTVの主電源のON/OFFにより、視聴制御を実現することになるため、制御をかけてはいけないEPG(電子番組表)データなどの信号までも止めてしまいEPGを表示できなくなる。
(2)テレビを視聴している間だけタイマーを動作させるために、専用のリモコンを使用するため、使い勝手が悪い。
(3)テレビに付属のリモコンが使用できない。
【0010】
特許文献1の場合、次のような難点がある。
(1)デジタルテレビ放送以外の有料放送の視聴制御はできるが、無料放送である地上デジタルテレビ放送/BSデジタルテレビ放送の視聴制御は行うことができない。このため、ホテルなどで採用されている、デジタルテレビ放送は無料で視聴でき、有料放送のみを視聴制限するシステムでは有効であるが、病院のレンタルテレビのように、課金なしではデジタルテレビ放送を視聴不可とするシステムでは、デジタルテレビ放送を無料視聴できるため、そのようなシステムには不適である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本願発明の課題は次の点にある。
1.病院内に設置されるテレビのように、課金なしではデジタルテレビ放送を視聴不可とするシステムで有効に視聴制限ができ(課金支払いなしではデジタルテレビ放送を視聴できない)、スクランブルのかからない無料の放送(院内の案内チャンネルや自主放送チャンネルなど)は無料で自由に視聴可能とする。
2.地上デジタルテレビ放送やBSデジタルテレビ放送を視聴制限しても、制限をかけてはならないEPGデータなどの情報に影響が及ばないようにする。
3.特殊な改造を行ったTV受信機を必要とせず、市販(汎用)のデジタルTVに本願発明の視聴制御装置を接続するだけで視聴制御ができ、送出側(ヘッドエンド)への高価な付属機器の設置を必要としない。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本願発明のデジタルテレビ放送視聴制御方法は、デジタルテレビ放送視聴用ICカード(B-CASカード)により、デジタルTVでのデジタルテレビ放送の視聴制御を行うことができるデジタルテレビ放送視聴制御方法において、デジタルTVと視聴制御装置が連結具で接続され、前記デジタルTVに付属のB-CASカードが前記視聴制御装置にセットされ、前記デジタルTVをリモコンでONにするとECM(Entitlement Control Message)が前記デジタルTVから前記視聴制御装置に転送され、前記視聴制御装置内で課金支払い状況が検出され、課金支払いが検出された場合は、デジタルテレビ放送と共に送られているECMが前記デジタルTVから前記視聴制御装置のB-CASカードに転送され、当該B-CASカードから前記デジタルTVにスクランブルキーが戻され、そのスクランブルキーによりデジタルテレビ放送及び有料テレビ放送のスクランブルが解除されて、前記デジタルTVで当該デジタルテレビ放送及び有料テレビ放送を受像することができ、課金支払いが検出されない場合は、前記ECMが前記視聴制御装置のB-CASカードに転送されるが、B-CASカードからデジタルTVにスクランブルキーが送られず、当該スクランブルキーの代わりに、スクランブルを解除できない偽スクランブルキーが前記視聴制御装置からデジタルTVに送られるか、又は、前記ECMを転送させず、ECM転送時間及びB-CASカードの処理時間経過後に当該スクランブルキーの代わりに前記偽スクランブルキーがデジタルTVに送られて、デジタルTVがデジタルテレビ放送及び有料テレビ放送のスクランブルを解除できず、当該デジタルテレビ放送及び有料テレビ放送を受像できないようにするものである。
【0013】
前記偽スクランブルキーは、データ形式は正規のスクランブルキーと同じであり、データ内容が正規のスクランブルキーの内容と異なるものである。
【0014】
前記リモコンには、デジタルTVに付属のリモコンを使用することができる。
【0015】
本願発明のデジタルテレビ放送視聴制御方法は、前記デジタルテレビ放送視聴制御方法において、前記リモコンでデジタルTVの電源をOFFにすると、デジタルTVが前記B-CASカードに対してECMの転送を停止するようにすることができる。また、課金支払いが検出されると、タイマー時間の計測、PETカードの有効時間の計測といった計測が行われ、課金の残金額、有効時間といった課金支払い状況が表示器に表示されるようにすることもできる。
【0016】
本願発明のデジタルテレビ放送視聴制御方法は、前記デジタルテレビ放送視聴制御方法において、視聴制御装置でデジタルTVからB-CASカードへのECMの転送状況を検出し、ECMが一定時間以上転送されない場合は、デジタルTVの電源がOFFになったと判断して、前記計測を停止して表示器への課金支払い状況の表示をOFFにすることができる。この場合、前記ECM検出時間を、地上デジタル放送におけるECMの転送周期時間以上の時間に設定し、設定された検出時間内でECMの検出を行い、ECMが検出されない(無の)ときはデジタルTVがOFFであるか無料放送受信であることを検出して、課金なしにすることもできる。
【0017】
本願発明のデジタルテレビ放送視聴制御方法は、前記何れの場合も、無料放送(院内の案内チャンネル、自主放送チャンネル等)はノンスクランブルで送って、課金を支払うことなく自由に受信可能としてある。
【0018】
本願発明のデジタルテレビ放送視聴制御システムは、B-CASカードにより、デジタルTVでのデジタルテレビ放送の視聴制御を行うことができるデジタルテレビ放送視聴制御システムにおいて、デジタルTVに接続される視聴制御装置と、デジタルTVと視聴制御装置を接続する連結具と、課金検出器を備え、前記視聴制御装置は、前記B-CASカードを実装可能な実装部と、スイッチ(SW)と、マイコン(CPU)と、課金料金の支払いを検出する課金検出器と、検出された課金支払い状況を表示する表示部を備え、前記視聴制御装置のB-CASカード実装部にB-CASカードが実装され、当該B-CASカードとデジタルTVとが前記連結具を通して接続され、前記スイッチはデジタルTVから前記B-CASカードに転送されるECMと、B-CASカードからデジタルTVに戻されるスクランブルキーの通過、阻止を切り替え可能であり、前記マイコンは、前記課金検出器で課金の支払いが検出された場合は、デジタルTVからのECMは前記スイッチを通過してB-CASカードに転送できるように、B-CASカードからのスクランブルキーは当該スイッチを通過してデジタルTVに戻ることができるように、前記スイッチを制御し、前記課金検出器で課金の支払いが検出されない場合は、デジタルTVからのECMは前記スイッチを通過してB-CASカードに転送されるが、B-CASカードからデジタルTVに送られるスクランブルキーは停止させるように前記スイッチを制御し、当該スクランブルキーの代わりに、スクランブルを解除できない偽スクランブルキーをデジタルTVに送るようにしたものである。
【0019】
本願発明のデジタルテレビ放送視聴制御システムでは、課金検出器が課金の支払いを検出しない場合に、マイコンにより、デジタルTVからB-CASカードに送られるECMを止めるようにスイッチを制御し、ECM転送時間及びB-CASカードの処理時間経過後に、当該スクランブルキーの代わりに、スクランブルを解除できない偽スクランブルキーをデジタルTVに送るようにすることができる。
【0020】
本願発明のデジタルテレビ放送視聴制御システムにおける接続具は、デジタルTVのB-CASカード実装部に接続可能なTV接続部と、視聴制御装置に接続可能な装置接続部を備えたものである。
【0021】
本願発明のデジタルテレビ放送視聴制御システムにおける課金検出器は、視聴制御装置内に組み込むことも、視聴制御装置に外付けされるものであっても良い。
【発明の効果】
【0022】
本願発明のデジタルテレビ放送視聴制御方法は次のような効果がある・
1.課金支払いなしではデジタルテレビ放送を視聴不可とするレンタルテレビ等で、デジタルテレビ放送を有効に視聴制限することができ、案内放送のようなノンスクランブル放送は、ECMがないため無料で自由に視聴することができる。
2.デジタルTVからB-CASカードへのECMの転送状況を検出して、ECMが一定時間以上検出されない場合はデジタルTVの電源がOFFになったと判断して、課金支払いの計測を停止するので、無料放送の受信中はECMがないため時間計測が停止し、課金されることなく無料視聴でき、ECMが検出される場合はデジタル放送有りと判断して視聴制限して有料化することができる。
3.課金が支払われなくてもRF信号のON/OFF制御を行う方式ではないので、視聴制御を行ってもEPGデータへの悪影響がない。
4.課金が支払われなくてもデジタルTVの主電源を止める方式ではないため、視聴制御を行ってもEPGデータへの悪影響がない。
5.課金が支払われなくてもB-CASカードに対しては正規のECMを転送しているので、B-CASカードに対する悪影響がない。
6.デジタルTVに対して、偽スクランブルキーを転送するが、そのデータ形式は正規のスクランブルキーと同じであるため、デジタルTVのスクランブル回路への悪影響もない。
7.市販のデジタルTVに視聴制御装置を接続するだけで視聴制御ができ、送出側への高価な付属機器の設置が不要であるため、システム導入コストが安価になる。
【0023】
本願発明のデジタルテレビ視聴制御デジタルテレビ放送視聴制御システムは次のような効果がある。
1.既存のデジタル放送視聴システムに、PETカードリーダ、コインタイマーなどの課金検出装置等を組み合わせることにより、手軽に有料放送制御システムを構築できるため、システム導入コストが安い。
2.デジタルTVの電源を制御するリレーなどの機器を設ける必要がないため、コストアップにもならない。
3.デジタルTVに付属のリモコンでデジタルTVをONにして、無料放送以外の放送を視聴しているときだけタイマーを動作させて視聴制御するので、タイマー時間制御のための専用の有線リモコンが不要となり、操作し易い。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本願発明のデジタルテレビ放送視聴制御システムの一例を示す説明図。
【図2】従来のアナログテレビ放送視聴制御装置の一例を示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本願発明のデジタル放送視聴制御方法及び視聴制御システムの一例を図1に基づいて説明する。図1のデジタルテレビ放送視聴制御システムは市販のデジタルTV1に本願発明の視聴制御装置2を接続した場合の例である。
【0026】
(既存のデジタルテレビ放送視聴制御方法の説明)
図1の視聴制御システムの説明に先立って、通常のデジタルテレビ放送の視聴システムを説明する。市販のデジタルTVに付属のリモコンでデジタルTVをONにすると、スクランブルのかかったRF信号(デジタル放送信号)がデジタルTVのチューナに受信される。デジタルテレビ放送信号と共に送られるECMが、デジタルTV内のマイコン(CPU)を経由してデジタルTV内のB-CASカードに送られ、スクランブルキーが要求される。B-CASカードは前記要求に応じて、スクランブルキーをCPU経由でデジタルTV内のデスクランブラに転送する。デスクランブラは前記スクランブルキーによりデジタルテレビ放送のスクランブルを解除してデジタルTVでデジタルテレビ放送が視聴可能となる。
【0027】
(本願発明のデジタルテレビ放送視聴制御システムの実施形態)
図1の視聴制御システムは、市販のデジタルTV1に、視聴制御装置2を接続したものである。図1の3はデジタルTV1と視聴制御装置2を連結するための連結具、4はデジタルTVに付属のリモコンである。
【0028】
前記視聴制御装置2は、スイッチ(SW:電子スイッチ)5、デジタルTVに付属のデジタル放送視聴用ICカード(通称:B-CASカード)を実装可能なB-CASカード実装部6、マイコン(CPU)7、課金検出器8、表示器9を備えている。
【0029】
前記連結具3は、デジタルTV1の接続部1aに実装可能なTV側接続部3aと、視聴制御装置2の接続部2aに接続可能な装置側接続部3bを備えたものである。TV側接続部3aはデジタルTV1の接続部1aに、装置側接続部3bは視聴制御装置2の接続部2aに接続可能であれば、コネクタ形式、カード形式、他の形式のいずれの形式であってもよいが、TV側接続部3aはデジタルTV1の接続部1aを介してデジタルTV1内のB-CASカード実装部6に接続され、装置側接続部3bは接続部2aを介して視聴制御装置2のスイッチ5及びCPU7に接続される必要がある。
【0030】
B-CASカードはデジタルTV1に付属の既存のものであり、ID番号およびマスター鍵が格納された接触型ICカードであり、通常は、デジタルTV1のB-CASカード実装部6にセットされて、暗号化された(スクランブルされた)デジタル放送コンテンツを視聴可能にするものである。視聴制御装置2内の前記B-CASカード実装部6はデジタルTV1に付属のB-CASカードを実装(差込み)できるものである。
【0031】
前記CPU7は視聴制御装置2のスイッチ5、課金検出器8、表示器9等を制御するものであり、それら機器の制御に適した機能やソフトウエアを備えている。
【0032】
前記課金検出器8にはコインタイマーやPETリーダー等を使用することができる。コインタイマーはコインの投入、PETリーダーはそれに実装されたPETカードの差込を確認でき、コイン投入後の有効残存金額を計測したり、PETカード差込後の有効時間(残存時間)等を計測したりできるものである。
【0033】
前記表示器9は課金検出器8での計測に基づいて各種情報、例えば、視聴可能な残り時間、残金、その他、視聴者に必要な情報を数値、文字等で表示できるものである。
【0034】
(デジタルテレビ放送視聴制御方法の実施形態1)
本願発明のデジタルテレビ視聴制御方法の一例を図1に基づいて説明する。
市販のデジタルTV1をそれに付属のリモコン4でONにすると、デジタルTV1は視聴制御装置2へのB-CASカードの挿入/未挿入を確認し、挿入されている場合は、B-CASカードに対してECMを転送し、スクランブルキーの要求をする。
【0035】
課金検出器8にコインを投入するか、有効なPETカードを挿入すると、CPU7が課金料金の支払いを検出し、スイッチ5をスルー状態に制御して、デジタルTV1から転送されECMと、視聴制御装置2内のB-CASカードからデジタルTV1に戻るスクランブルキー(信号)がスイッチ5を介して相互に伝送可能となるようにする。
【0036】
デジタルTV1は受け取った解除キーで、デジタルテレビ放送及び有料テレビ放送のスクランブルを解除(デスクランブル)して、デジタルTV1に画像が映るようにする。
【0037】
課金検出器8で課金料金の支払いを検出できない場合(例えば、コインタイマーの時間切れ、PETカードが無効等の場合)は、CPU7がスイッチ5を制御して、ECMは通すがB-CASカードから出力されるスクランブルキーは止め、代わりにCPU7から偽スクランブルキーをデジタルTV1に転送する。偽スクランブルキーは、データ形式は正規のスクランブルキーと同じであるが、データ内容は正規のスクランブルキーとは異なって、スクランブル前のデータを復元することのできない(スクランブルを解除できない)内容(キー)である。
【0038】
デジタルTV1は偽スクランブルキーでスクランブルの解除を試みるが解除できず、デジタルTV1に映像が映らない(視聴が制限される)。このとき、B-CASカードに対して正規のECMを転送しているので、B-CASカードに対する悪影響はない。デジタルTV1に対して偽スクランブルキーを転送するが、そのデータ形式は正規のスクランブルキーと同一であるためデジタルTV1のデスクランブル回路への悪影響もない。
【0039】
課金支払いがコインタイマーへのコインの投入により行われた場合はコインタイマーで時間計測して、カード読み取り機へのPETカードの挿入により行われた場合はカード読み取り機でPETカードの有効時間や残金を計測して、夫々、残時間、残額等を表示器9に表示することができる。これら計測中にCPU7がデジタルTV1からB-CASカードへのECMの転送を監視し、ECMが一定時間以上転送されないときは、デジタルTV1の電源がOFFにされたと判断して、タイマー時間の計測、PETカードの有効期間の計測を止め、表示器9への前記表示をOFFにする。ECMは地上デジタル放送の場合、数秒周期で転送されるので、CPU7によるECMの転送監視時間(監視時間)をその時間以上に設定し、その時間内でECMを監視すれば、ECMの有無によりデジタルTV1のON/OFF、又は無料放送(スクランブルのかかっていない放送やECMのない院内の案内放送や緊急放送等)であるか否かを検出することができ、ECM有りの場合(デジタルテレビ放送の場合)は視聴制限し、ECM無しの場合は視聴制限することなく無料視聴可能とすることができる。
【0040】
リモコン4でデジタルTV1の電源をOFFにすると、デジタルTV1はB-CASカードに対するECMの転送を停止する。再び、デジタルTV1の電源がONになると、ECMの転送が開始され、CPU7でECMの転送開始を検出し、タイマー時間の計測、PETカードの有効期間の計測を開始する。
【0041】
(デジタルテレビ放送視聴制御方法の実施形態2)
この実施形態は基本的にはデジタルテレビ放送視聴制御方法の実施形態1と同じであるが、異なるのは、前記課金検出器8で課金料金の支払いを検出できない場合に、CPU7がスイッチ5を制御してECMデータの転送を止め、ECM転送時間及びB-CASカード処理時間の経過後に、CPU7から前記と同様の偽スクランブルキーをデジタルTV1に送るようにしたことである。この場合も、偽スクランブルキー受けたデジタルTV1は、スクランブルの解除を試みるが解除することができないため、デジタルTV1に映像が映らない(視聴が制限される)。
【0042】
この実施形態でも、B-CASカードに対して正規のECMを転送しないが、デジタルTV1への偽スクランブルキーの送信を、ECM転送時間及びB-CASカード処理時間の経過後に行うため、B-CASカードに対する悪影響はない。また、偽のスクランブルキーは、データ内容は偽である(正規のスクランブルキーと異なる)が、データ形式は正規のスクランブルキーと同一であるため、デジタルTV1のデスクランブル回路への悪影響もない。
【産業上の利用可能性】
【0043】
本願発明は、放送コンテンツの視聴制限であれば、前記した以外の施設やシステムでも利用できる。
【符号の説明】
【0044】
1 デジタルTV
1a デジタルTVの接続部
2 視聴制御装置
2a 視聴制御装置の接続部
3 連結具
3a TV側接続部
3b 装置側接続部
4 リモコン
5 スイッチ(SW)
6 B-CASカード実装部
7 マイコン(CPU)
8 課金検出器
9 表示器
A アナログTV
B リレー
C 視聴制御装置(STB)
D RFスイッチ(RF SW)
E リモコン
F CPU
G 課金検出器
H 表示器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
デジタルテレビ放送視聴用ICカード(B-CASカード)により、デジタルテレビ受像機(デジタルTV)でのデジタルテレビ放送の視聴制御を行うことができるデジタルテレビ放送視聴制御方法において、
デジタルTVと視聴制御装置が連結具で接続され、
前記デジタルTVに付属のB-CASカードが前記視聴制御装置にセットされ、
前記デジタルTVをリモコンでONにするとECM(Entitlement Control Message)が前記デジタルTVから前記視聴制御装置に転送され、前記視聴制御装置内で課金支払い状況が検出され、
課金支払いが検出された場合は、デジタルテレビ放送と共に送られているECMが前記デジタルTVから前記視聴制御装置のB-CASカードに転送され、当該B-CASカードから前記デジタルTVにスクランブルキーが戻され、そのスクランブルキーによりデジタルテレビ放送及び有料テレビ放送のスクランブルが解除されて、前記デジタルTVで当該デジタルテレビ放送及び有料テレビ放送を受像することができ、
課金支払いが検出されない場合は、前記ECMが前記視聴制御装置のB-CASカードに転送されるが、B-CASカードからデジタルTVにスクランブルキーが送られず、当該スクランブルキーの代わりに、スクランブルを解除できない偽スクランブルキーが前記視聴制御装置からデジタルTVに送られるか、又は、前記ECMを転送させず、ECM転送時間及びB-CASカードの処理時間経過後に当該スクランブルキーの代わりに前記偽スクランブルキーがデジタルTVに送られて、デジタルTVがデジタルテレビ放送及び有料テレビ放送のスクランブルを解除できず、当該デジタルテレビ放送及び有料テレビ放送を受像できないようにするようにした、
ことを特徴とするデジタルテレビ放送視聴制御方法。
【請求項2】
請求項1記載のデジタルテレビ放送視聴制御方法において、
偽スクランブルキーが、データ形式は正規のスクランブルキーと同じであり、データ内容が正規のスクランブルキーの内容と異なるものである、
ことを特徴とするデジタルテレビ放送視聴制御方法。
【請求項3】
請求項1又は請求項2記載のデジタルテレビ放送視聴制御方法において、
リモコンがデジタルTVに付属のリモコンである、
ことを特徴とするデジタルテレビ放送視聴制御方法。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3のいずれか1項記載のデジタルテレビ放送視聴制御方法において、
リモコンでデジタルTVの電源をOFFにすると、デジタルTVが前記B-CASカードに対してECMの転送を停止するようにした、
ことを特徴とするデジタルテレビ放送視聴制御方法。
【請求項5】
請求項1乃至請求項4のいずれか1項記載のデジタルテレビ放送視聴制御方法において、
課金支払いが検出されると、タイマー時間の計測、PETカードの有効時間の計測といった計測が行われ、課金の残金額、有効時間といった課金支払い状況が表示器に表示される、ことを特徴とするデジタルテレビ放送視聴制御方法。
【請求項6】
請求項1乃至請求項5のいずれか1項記載のデジタルテレビ放送視聴制御方法において、
視聴制御装置でデジタルTVからB-CASカードへのECMの転送状況を検出し、ECMが一定時間以上転送されない場合は、デジタルTVの電源がOFFになったと判断して、計測を停止して表示器への課金支払い状況の表示をOFFにする、
ことを特徴とするデジタルテレビ放送視聴制御方法。
【請求項7】
請求項1乃至請求項6のいずれか1項記載のデジタルテレビ放送視聴制御方法において、
視聴制御装置でデジタルTVからB-CASカードへのECMの転送状況を検出し、ECM検出時間を、地上デジタル放送におけるECMの転送周期時間以上の時間に設定し、設定された検出時間内でECMの検出を行い、ECMが検出されない(無の)ときはデジタルTVがOFFであるか無料放送受信であることを検出して、課金なしにする、
ことを特徴とするデジタルテレビ放送視聴制御方法。
【請求項8】
請求項1乃至請求項7のいずれか1項記載のデジタルテレビ放送視聴制御方法において、
無料放送はノンスクランブルで送って、課金を支払うことなく自由に受信可能とした、ことを特徴とするデジタルテレビ放送視聴制御方法。
【請求項9】
デジタルテレビ放送視聴用ICカード(B-CASカード)により、デジタルTVでのデジタルテレビ放送の視聴制御を行うことができるデジタルテレビ放送視聴制御システムにおいて、
デジタルTVに接続される視聴制御装置と、デジタルTVと視聴制御装置を接続する連結具と、課金検出器を備え、
前記視聴制御装置は、前記B-CASカードを実装可能な実装部と、スイッチ(SW)と、マイコン(CPU)と、課金料金の支払いを検出する課金検出器と、検出された課金支払い状況を表示する表示部を備え、
前記視聴制御装置のB-CASカード実装部にB-CASカードが実装され、当該B-CASカードとデジタルTVとが前記連結具を通して接続され、
前記スイッチはデジタルTVから前記B-CASカードに転送されるECMと、B-CASカードからデジタルTVに戻されるスクランブルキーの通過、阻止を切り替え可能であり、
前記マイコンは、前記課金検出器で課金の支払いが検出された場合は、デジタルTVからのECMは前記スイッチを通過してB-CASカードに転送できるように、B-CASカードからのスクランブルキーは当該スイッチを通過してデジタルTVに戻ることができるように、前記スイッチを制御し、前記課金検出器で課金の支払いが検出されない場合は、デジタルTVからのECMは前記スイッチを通過してB-CASカードに転送されるが、B-CASカードからデジタルTVに送られるスクランブルキーは停止させるように前記スイッチを制御し、当該スクランブルキーの代わりに、スクランブルを解除できない偽スクランブルキーをデジタルTVに送るようにした、
ことを特徴とするデジタルテレビ放送視聴制御システム。
【請求項10】
請求項9記載のデジタルテレビ放送視聴制御システムにおいて、
マイコンは、課金検出器が課金の支払いを検出しない場合に、デジタルTVからB-CASカードに送られるECMを止めるようにスイッチを制御し、ECM転送時間及びB-CASカードの処理時間経過後に、当該スクランブルキーの代わりに、スクランブルを解除できない偽スクランブルキーをデジタルTVに送る、
ことを特徴とするデジタルテレビ放送視聴制御システム。
【請求項11】
請求項9又は請求項10記載のデジタルテレビ放送視聴制御システムにおいて、
デジタルTVと視聴制御装置を接続する接続具は、デジタルTVのB-CASカード実装部に接続可能なTV接続部と、視聴制御装置に接続可能な装置接続部を備えた、
ことを特徴とするデジタルテレビ放送視聴制御システム。
【請求項12】
請求項9乃至請求項11のいずれか1項記載のデジタルテレビ放送視聴制御システムにおいて、
課金検出器が視聴制御装置内に組み込まれるか、視聴制御装置に外付けされるものである、
ことを特徴とするデジタルテレビ放送視聴制御システム。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2012−235245(P2012−235245A)
【公開日】平成24年11月29日(2012.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−101432(P2011−101432)
【出願日】平成23年4月28日(2011.4.28)
【特許番号】特許第4791610号(P4791610)
【特許公報発行日】平成23年10月12日(2011.10.12)
【出願人】(000114226)ミハル通信株式会社 (38)
【出願人】(502340756)ヒロテック株式会社 (6)
【Fターム(参考)】