説明

デジタル信号を光伝送するための方法および機器

分散光チャネル上でデジタル情報を伝達する方法には、デジタル情報を複数のデータ・ブロックに符号化することが含まれ、それらのデータ・ブロックのそれぞれは、デジタル情報のうちのいくつかのビットを含む。前記データ・ブロックのそれぞれに対応する、時間変化する電気信号が生成される。時間変化する電気信号は、光送信機(122)に加えられて、非対称に振幅制限されて伝送され、光搬送波上に変調される信号を含む光信号を生成する。次いで、光信号は、分散光チャネル(106)上で伝送される。受信機器(104)において、光信号が検出されて、非対称に振幅制限されて伝送される信号に対応する電気信号を生成する。電気信号を周波数領域で等化することにより、伝送される光信号における光チャネル(106)の分散の影響を軽減し、等化された信号が復号されて、符号化されたデータ・ブロックおよび対応する伝送されたデジタル情報を復元する。この方法により、単極性の分散光チャネル上で両極性の信号を伝送することが可能になり、光学的な高いバイアス・レベルを送信機に加える必要性を低減または排除し、それにより、光パワーの効率を改善し、適用安全レベルを下回って出力パワー・レベルを維持することが可能になり、同時に、チャネル分散の影響を大幅に軽減することが可能になる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、全般的に光通信に関し、特に、デジタル信号を変調し伝送するための方法および機器に関し、それらは、分散的な光路を含む通信システムにおいて特に有利である。
【背景技術】
【0002】
光搬送波上に情報信号が変調される光伝送は、近年の通信システムにおいて広く利用されている。たとえば、長距離伝送網は、非常に高いビット・レートでデジタル情報を伝送するために単一モード光ファイバを使用し、各ファイバ上で、1つまたは複数の光搬送波または波長を使用する。さらに、カスタマ・アクセス・ネットワーク(customer access networks)またはローカル・エリア・データ・ネットワークなどにおける、より短い距離およびより低いビット・レートでの光伝送が知られており、それらは、単一モード光ファイバまたはマルチモード光ファイバのいずれかを使用する。さらには、見通し内通信向けに、ならびに/またはコンピュータおよび周辺機器、携帯型情報端末(PDA)、および他の携帯用装置などの装置を無線で相互接続する簡略な手段を提供するために、自由空間光伝送経路が使用されてもよく、典型的には赤外線の光源および検出器を使用する。
【0003】
したがって、こうした通信を、より長い伝送距離にわたって、ならびに/または、より高い信頼性、より高い効率および/またはより大きい容量で実施することを可能にする光通信の方法および装置を実現することに目下の関心がある。
【0004】
しかし、単一モードもしくはマルチモードの光ファイバ上であっても、または自由空間を介しても、光伝送経路では、伝送される光信号にひずみが生じることがある。さらに、光信号の送信および受信に使用される装置もまた、信号ひずみの源になる可能性がある。ひずみに共通する形態は、通信チャネルの応答における周波数に依存する変化であり、その変化の結果として、特定の周波数範囲および/または特定の周波数にわたる信号振幅の抑圧(すなわちフェージング)、ならびに周波数の関数としての、受信信号の遅延または位相での変化が生じる。こうしたひずみは、伝送システムで使用される様々な電子デバイスおよび光学デバイスの周波数特性、ならびに光伝送経路自体の特性の結果として生じることがある。
【0005】
特に、様々なタイプの光路は、一般的に分散の形態を示し、光路上で伝送される光信号またはその成分が遭遇する遅延における変化によって特徴づけられる。自由空間光路はマルチパス効果を示すことがあり、そのもとでは、光源から送出された信号が、直接(見通し)経路、ならびに周囲の環境にある様々な表面からの反射を含む1つまたは複数の経路が含まれ得るいくつかの異なる空間経路を介して、遠隔の光受信機に到達する。したがって、受信された光信号のうちの互いに異なる成分は互いに異なる伝送遅延に遭遇し、その結果、分散の一形態である受信された光信号内の時間広がり(time spread)が生じる。
【0006】
マルチモード光ファイバでは、ファイバに結合される信号は、ファイバによってサポートされる多数の横光学モードを励起し、これら横光学モードのそれぞれは、互いに異なる群速度によって特徴づけられる。したがって、互いに異なる横モードに結合された伝送信号の各成分は、マルチモード・ファイバにわたって異なる伝送遅延に遭遇し、やはり受信信号の分散を生じる。
【0007】
自由空間光伝送システムでのマルチパス伝搬、およびマルチモード・ファイバ内でのモード分散の結果として生じる分散は、相対的に静的でもよく、時間とともに変化してもよく、結果として、受信信号内での対応する静的または時間変化する周波数フェージングになることがある。
【0008】
単一モード光ファイバでは、マルチパスまたはモード分散は存在しないが、一般に、単一モード・ファイバを介して伝送される信号は、様々な形態の劣化を生じることになり、それらの形態には、信号の互いに異なる周波数成分が、それにより互いに異なる速度で伝搬する色分散、および、互いに異なる偏波状態に結合された信号の成分が、それにより互いに異なる速度で伝搬する偏波モード分散(PMD)が含まれる。様々な非線形プロセスを含む他の分散機構の間では、これらの分散機構の両方とも、結果として伝送パルスの広がりを生じることがある。
【0009】
さらに、すべての光伝送チャネルは、送信および受信用の、電子構成部品および光電子構成部品の各特性の結果として生じる、他の形態の周波数依存ひずみを示すことになる。
【0010】
通信チャネル内の周波数依存ひずみを軽減または補償するための方法が知られており、以前より、無線および有線システム双方を含む無線周波数(RF)通信システムに広く適用されてきた。RF通信チャネルの有害な影響を軽減するために特に有効な方法は、伝送する情報を符号化してデータの離散的なブロックにし、次いでこれらの離散的なブロックが通信チャネルを介して伝送されることを必要とする。受信機において、各ブロックは復元され、好ましくは周波数領域で等化機能が実行されて、チャネル内に生じる周波数依存する影響を低減または排除する。こうした多くの方法は、何らかの形態のマルチキャリア変調を使用し、シリアル・データ・ストリームがいくつかのパラレル・データ・ストリームから成るブロックに変換され、次いで、これらのブロックが別個の周波数の副搬送波上で伝送される。受信端では、パラレル・データ・ストリームのそれぞれが受け取られ、チャネル周波数応答に従って等化され、復号化されて、送信機に供給された元のシリアル・データ・ストリームを復元する。
【0011】
マルチキャリア変調方法の中で、より普及している形態には、直交周波数分割多重(OFDM)がある。OFDMシステムでは、各副搬送波は正弦波であり、各伝送シンボル期間にわたってすべての副搬送波が互いに直交するように、特定の組の副搬送波が選択される。特に簡便な実装形態では、求められる直交性は、送信機および受信機それぞれにおいて直交変換を使用することによって達成され、OFDMの特定の場合には、離散フーリエ変換が使用される。
【0012】
OFDMなどのマルチキャリア方式を含む前述のタイプの変調方法は、高い変調速度で変調された単一キャリアを使用する伝送をしのぐ、いくつかの利点を提供する。これらの利点には、複素時間の広がり(complex time spreading)特性、位相対周波数の特性、および振幅対周波数の特性を有する分散チャネルにわたって動作する能力が含まれる。したがって、自由空間チャネル、マルチモード・ファイバ、および単一モード・ファイバなどの分散型光通信チャネル(dispersive optical communications channels)にわたって、こうした変調方法を使用することが望ましいことが明らかになるはずである。
【0013】
しかし、光チャネル上でこうした変調方式を使用することは、今日まで問題の多いことが分かっている。RF通信システムにおいて非常に有効であると分かっている前述の変調方法はすべて、両極性の信号すなわち振幅において正および負の偏移を有する信号を生成し伝送することが必要である。RFシステムにおいて、両極性の信号は容易に生成され伝送され、搬送波は、時間変化する電圧および電流として生成され検出される電磁界であり、電圧および電流は、所望の信号振幅に従って、任意の正または負の値をとってもよい。
【0014】
しかし、もっとも簡潔で容易に実装される光変調の形態は、伝送される信号の振幅が、ある瞬間の光パワーによって表される強度変調(IM)である。パワーまたは強度の負の値は物理的に意味がなく、生成することができないので、これは元々単極の変調システムである。
【0015】
単極の強度変調に固有の制限を克服するための過去の努力は、主として無効または実際的ではないことが分かってきた。1つのソリューションは、相対的に高いバイアス・レベルを送信機に与えることであり、その結果、伝送される信号の振幅における正および負の偏移が、送信機の固定した平均光学的出力パワーのまわりでの変動によって表される。しかし、特にピーク対平均のパワー比が非常に大きい信号を生成することがあるマルチキャリア方式の場合に、これは、利用可能な光伝送パワーの送信機の利用率において非常に非効率であり、したがってピークの偏移は、信号平均値よりもはるかに大きい。光パワーの非能率が、あらゆるタイプの光伝送システムで問題になることがあるが、自由空間システムにおけるさらなる問題は、必要となる光学的出力パワーが、目に安全なレベルを超える可能性があることである。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
両極性の信号を光チャネル上に符号化するための他の方法には、差分変調された複数の光搬送波など、より複雑な光変調方式の使用、あるいは周波数変調法、位相変調法または偏光変調法の使用が含まれる。しかし、これらの方法すべては、さらなる費用および複雑さをもたらし、中にはコヒーレントな光チャネルの使用を必要とするものもあり、したがって、これらの方法は、一般的に高価過ぎ、さもなければ多くの関連ある用途に対して実際的ではない。したがって、両極性の信号に適用されるときに、知られている光変調方法の前述の不利な点を軽減しながら、光チャネル特性、特に光チャネル内で発生する様々なタイプの分散の影響を補償するための適切な変調方式および等化方式を使用する、方法および機器を実現することが望ましく、したがって本発明の目的である。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明のある態様によれば、
光送信機を操作して、分散光チャネル上でデジタル情報を伝送する方法であって、
前記デジタル情報を、それぞれ前記情報のうちのいくつかのビットを含む複数のデータ・ブロックに符号化するステップと、
前記データ・ブロックのそれぞれに対応する、時間変化する電気信号(time-varying electrical signal)を生成するステップと、
前記時間変化する電気信号を光送信機に加えて、非対称に振幅制限されて伝送され、光搬送波上に変調される信号を含む光信号を生成するステップとを備え、
伝送される情報は、受信信号の周波数領域の等化を含む方法を使用して、前記分散光チャネル上で伝送された後に復元される方法が提供される。
【0018】
したがって、発明性のある方法は、非対称に振幅制限されてもよく、より具体的には光学的出力パワー・レベルがゼロで振幅制限される強度変調された信号でもよい光信号の伝送を必要とする。それにより、この方法によって、光チャネル上の伝送について、単に伝送信号の正または負いずれかの振幅偏移が制限されるようにするだけで、両極性の信号を単極の光チャネル上で伝送することが可能になる。これにより、送信機において、光学的な高いバイアス・レベルを与える必要性を低減または排除し、それにより、光パワーの効率を改善し、適用安全レベルを下回って出力パワー・レベルを維持することができるようにする。
【0019】
本発明の別の態様によれば、
分散光チャネル上で伝送されるデジタル情報を受信する、前記デジタル情報は、それぞれ前記情報のうちのいくつかのビットを含む複数のデータ・ブロックに符号化され、前記データ・ブロックに対応する、時間変化する信号は、光搬送波上に変調されて非対称に振幅制限されて伝送される信号を含む光信号を生成する、方法であって、
前記光信号を検出して、前記非対称に振幅制限されて伝送される信号に対応する電気信号を生成するステップと、
前記電気信号の周波数領域の等化を実行して、前記伝送される光信号における前記光チャネルの分散の影響を軽減するステップと、
前記等化された信号を復号化して、前記符号化されたデータ・ブロックおよび前記対応する伝送されたデジタル情報を復元するステップと、を備えた方法が提供される。
【0020】
本発明のさらに別の態様によれば、
分散光チャネル上でデジタル情報を伝達する方法であって、
前記デジタル情報を、それぞれ前記情報のうちのいくつかのビットを含む複数のデータ・ブロックに符号化するステップと、
前記データ・ブロックのそれぞれに対応する、時間変化する電気信号を生成するステップと、
前記時間変化する電気信号を光送信機に加えて、非対称に振幅制限されて伝送され、光搬送波上に変調される信号を含む光信号を生成するステップと、
前記分散光チャネル上で前記光信号を伝送するステップと、
前記光信号を検出して、前記非対称に振幅制限されて伝送される信号に対応する電気信号を生成するステップと、
前記電気信号の周波数領域の等化を実行して、前記伝送される光信号における前記光チャネルの分散の影響を軽減するステップと、
前記等化された信号を復号化して、前記符号化されたデータ・ブロックおよび前記対応する伝送されたデジタル情報を復元するステップとを備えた方法が提供される。
【0021】
符号化のステップは、情報ビットに対応する複数のシンボル値を生成するステップを含むことが好ましい。前記各シンボル値は、1つまたは複数の情報ビットを符号化してもよく、したがって、シンボル値の数は、各データ・ブロック内で符号化される情報ビットの数以下でもよい。
【0022】
シンボル値は、たとえば、情報ビットとシンボル値の間の所望のマッピングに従って生成される実数値または複素数値でもよい。適切なマッピング方法は、通常の信号変調フォーマットに対応してもよく、それだけには限らないが、オンオフ・キーイング(OOK)、振幅シフト・キーイング(ASK)、直交振幅変調(QAM)、位相シフト・キーイング(PSK)、周波数シフト・キーイング(FSK)などを含み得る。
【0023】
本発明の好ましい一実施形態では、符号化および生成のステップは、周波数領域でのマルチキャリア法に従って実行され、有利な一実装形態では、OFDM法に従って実行される。
【0024】
したがって、時間変化する電気信号を生成するステップには、各データ・ブロックのデジタル・シンボル値の離散逆フーリエ変換(IDFT)を計算するステップが含まれ得る。有利には、IDFTは、高速フーリエ変換(FFT)アルゴリズムを使用して計算してもよい。他の実施形態では、たとえば、直交基底関数(orthogonal basis functions)の代替セットおよび対応する変換に基づく、時間領域への代替の変換を使用してもよいことが、当業者には理解されよう。
【0025】
逆変換から生成される離散デジタル値は、パラレル・フォーマットからシリアル・フォーマットに変換され、デジタル・アナログ変換を使用して、実際の時間変化する電気信号を生成することが好ましい。
【0026】
生成するステップにはまた、デジタル・アナログ変換に先立って、保護周波数帯またはサイクリック・プレフィックス(cyclic prefix)を付加するステップが含まれてもよく、有利には受信機での等化処理の助けとなる。
【0027】
非対称に振幅制限されて伝送される光信号の生成は、いくつかの異なる方法を使用して実現されてもよい。たとえば、一構成では、発光ダイオード(LED)または半導体レーザ・ダイオードは、低減されたバイアス・レベルを使用して直接変調され、このバイアス・レベルにより光学的出力パワー・レベルがゼロで伝送信号がクリッピングされる。適切なバイアス・レベルは、電気信号のピークトゥピーク振幅の50パーセント未満でもよく、実施形態によっては、有効な負バイアスを与えることさえ可能でもよく、その結果、負の偏移が完全に抑圧されるとともに、信号の正の偏移がいくらか抑圧される。
【0028】
振幅制限されて伝送される光信号を生成する代替方法には、光送信機による固有の制限への依存を排除または低減するために、変調に先立ってデジタルまたはアナログ(電気的な)領域において、制限、バイアス印加および/または他の振幅調整を実行することが含まれる。たとえば、バイアス調整を行うことに加えて、電気信号は、光搬送波への変調に先立って、増幅、減衰、および/または反転されてもよく、反転を加えることにより、結果として、伝送信号の負の偏移ではなく、正の遷移の振幅を有効に制限してもよいことに留意されたい。変換ハードウェアの変換範囲および分解能をもっとも有効に利用するために、デジタル・アナログ変換に先立って、デジタル領域においてこうした操作を実行することは、特に有益になることがある。
【0029】
本発明者は、ゼロ・バイアス・レベルを加え、その結果信号の負の偏移を実質上完全に抑圧することが特に有利であると決定し、特に、本発明者は、この構成により、より高いバイアス・レベルに比べて光パワー・バジェットを改善することができることを示した。特に、振幅制限が実質上避けられる従来の構成に比べて、パワー・バジェットにおいて著しい改善を達成することが可能である。さらに、少なくともある環境では、ノンリターンツーゼロ(NRZ)またはリターンツーゼロ(RZ)波形を使用するOOK IM信号などの一般的な直列伝送フォーマットに比べて、光パワー・バジェットにおける改善が達成可能でもよい。
【0030】
非対称に振幅制限されて伝送される信号で光搬送波を変調する他の方法には、マッハツェンダーまたは電子吸収タイプの変調器など、別個のまたは集積化された外部変調器と一緒に、レーザまたはLEDなどの連続波(CW)光源を使用することが含まれ得る。当業者には理解されるように、光搬送波を変調する数多くの適切な方法が使用可能である。
【0031】
光信号を伝送するステップには、自由空間、マルチモード光ファイバ、単一モード光ファイバ、または代替的に、あらゆる他の適切な誘導または無誘導の(guided or unguided)光媒体を介する伝送が含まれ得る。
【0032】
光信号を検出するステップには、たとえば、要求に応じた電気的な増幅とともに、フォトダイオード、アバランシェ・フォトダイオード(APD)、または同様のものなどの検出器を使用して、光電気変換を実行するステップが含まれることが好ましい。
【0033】
電気信号の周波数領域の等化を実行するステップには、信号をサンプリングして、一連の離散デジタル値を生成するステップが含まれることが好ましい。時間領域からの変換は、時間変化する電気信号を生成するときに実行される逆変換に対応し、この場合、対応する複数の受信シンボル値を生成するために実行されてもよい。好ましい一実施形態では、受信シンボル値を計算するために、有利にはFFTアルゴリズムを使用して、サンプリングされた信号の離散フーリエ変換(DFT)が実行される。次いで、伝送される光信号への光チャネルの分散の影響を大幅に等化し、その結果、受信され等化されたシンボル値が、送信シンボル値により近づくように、等化には、各受信シンボル値の振幅および/または位相の調整を実行するステップが含まれることが好ましい。
【0034】
等化された信号を復号化するステップは、等化された受信シンボルの値から元の情報ビットを復元するステップが含まれることが好ましい。デマッピング法(demapping method)を使用して、符号化ステップで加えられたマッピングに対応する元の情報ビットを復元することが特に好ましい。前述の通り、適切なマッピングおよびデマッピングの方法は、OOK、ASK、QAM、PSK、FSKなどを含む通常の信号変調フォーマットに対応する。
【0035】
本発明の別の態様によれば、
分散光チャネル上でデジタル情報を伝送する機器であって、
前記デジタル情報を、それぞれ前記情報のうちのいくつかのビットを含む複数のデータ・ブロックに符号化するエンコーダと、
前記データ・ブロックのそれぞれに対応する、時間変化する電気信号を生成する信号発生器と、
前記時間変化する電気信号で光搬送波を変調して、非対称に振幅制限されて伝送され、前記光搬送波上に変調される信号を含む光信号を生成する手段を含む光送信機とを備え、
前記伝送される情報は、前記分散光チャネル上での伝送の後に、受信信号の周波数領域の等化を実行する手段を含む対応する受信機によって復元される機器が提供される。
【0036】
好ましい一実施形態では、エンコーダは、情報ビットを受信し、対応する複数のシンボル値を生成する複数のマッピング・ユニットを備える。マッピング・ユニットは、OOK、ASK、QAM、PSK、FSKなどの通常の変調フォーマットに対応するマッピングを含む、いくつかの適切なマッピング法のうちのいかなる1つまたは複数の方法を実施してもよい。好ましい実施形態では、マッピング・ユニットは、デジタル信号処理の技術分野でよく知られた、デジタルのハードウェアおよび/またはソフトウェアの手段を使用して実施されてもよい。
【0037】
信号発生器には、逆変換を実施してデジタルの時間領域の信号を発生させる、デジタルのハードウェアおよび/またはソフトウェアの手段が含まれ得る。特に好ましい実施形態では、信号発生器は、好ましくはFFTアルゴリズムを使用してIDFTを計算するための手段を含む。信号発生器は、変換発生器(transform generator)の出力からデジタル・サンプルの時間系列を生成する並列−直列変換器、および時間とともに絶えず変化する電気信号を生成するデジタル・アナログ変換器(DAC)をさらに備えてもよい。好ましい実施形態では、信号発生器は、ガード・タイムおよび/またはサイクリック・プレフィックスを時間変化する信号に挿入して、対応する受信機における周波数領域での受信信号の等化を助けるように構成される。
【0038】
光送信機は、LED、半導体レーザ、または光を放射する他の光源などの光源を備えることが好ましい。光送信機には、光源を直接変調する電気的な駆動回路がさらに含まれてもよく、二者択一的にまたは追加的に、マッハツェンダーもしくは電子吸収タイプの変調器、または同様のものなど、外部の光変調器が含まれ得る。
【0039】
本発明のさらに別の態様によれば、
分散光チャネル上で伝送されるデジタル情報を受信する、前記デジタル情報は、それぞれ前記情報のうちのいくつかのビットを含む複数のデータ・ブロックに符号化され、前記データ・ブロックに対応する、時間変化する信号は、光搬送波上に変調されて、非対称に振幅制限されて伝送される信号を含む光信号を生成する、機器であって、
前記光信号を検出して、前記非対称に振幅制限されて伝送される信号に対応する電気信号を生成する光検出器と、
前記電気信号の周波数領域の等化を実行して、前記伝送される光信号における前記光チャネルの分散の影響を軽減する手段と、
前記等化された信号を復号化して、前記符号化されたデータ・ブロックおよび前記対応する伝送されたデジタル情報を復元するデコーダとを備える機器が提供される。
【0040】
好ましい実施形態では、光検出器には、フォトダイオード、アバランシェ・フォトダイオード(APD)または同様のものなど、光信号を光電気変換するための適切な装置が含まれる。光検出器には、信号レベルを調節し受信信号を調整するための、増幅器、フィルタなどの電子装置がさらに含まれ得る。
【0041】
周波数領域の等化手段は、検出された信号をサンプリングし、その信号を表すデジタル化された時間系列を生成するアナログ・デジタル変換器(ADC)を備えることが好ましい。
【0042】
周波数領域の等化手段は、サンプリングされたデータの直列−並列変換を実行するデジタルのハードウェアおよび/またはソフトウェアの手段をさらに備えることが好ましい。さらに、好ましい実施形態では、周波数領域の等化手段は、デジタル化された信号を周波数領域に変換する計算を行うハードウェアおよび/またはソフトウェアの手段を備え、たとえばFFTアルゴリズムを使用してDFTを実行する手段であることがより好ましい。好ましい実施形態によれば、前記変換の出力は、複数の受信シンボル値である。
【0043】
周波数領域の等化手段は、伝送信号への分散光チャネルの影響を大幅に等化するために各受信シンボル値の振幅および/または位相を調節する、複数のフィルタを含む等化器バンク(equaliser bank)をさらに備えることが好ましい。
【0044】
本発明の好ましい実施形態によれば、デコーダは、等化されたシンボル値を受け取り、デジタル情報の対応するビットを生成する複数のデマッピング・ユニットを備える。理解されるように、デマッピング・ユニットは、対応する送信機で使用されるマッピング・ユニットに対応してもよく、したがってOOK、ASK、QAM、PSK、FSKなどを含む通常の変調フォーマットに対応するデマッピングなど、どんな適切なデマッピング方法を実装してもよい。好ましい実施形態では、デマッピング・ユニットは、デジタル信号処理の技術分野でよく知られたデジタルのハードウェアおよび/またはソフトウェアの手段を使用して実装されてもよい。
【0045】
他の態様では、1つまたは複数の分散光チャネル上で、本発明による1つまたは複数の受信機器と通信する、やはり本発明による1つまたは複数の送信機器を備えるシステムも提供される。
【0046】
本発明の好ましい実施形態の以下の説明から、本発明のさらなる好ましい特徴および利点が当業者には明白になるが、これら実施形態は、前述の説明または本発明に添付の特許請求の範囲で定義される本発明の範囲を限定するものとみなされるべきではない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0047】
添付図を参照して、本発明の好ましい実施形態が説明される。
【0048】
まず図1に戻ると、本発明の好ましい一実施形態による、光チャネル上でデジタル情報を伝達するシステムが概略的に示してある。本発明は、本明細書においてシステム100で例示され、システム100は、光チャネル上での伝送のために信号を符号化および変調するのに直交周波数分割多重(OFDM)を使用するが、本発明は、この特定の実施形態に限定されないことを理解されたい。むしろ、本発明の実施形態は、デジタル情報のブロックでの符号化、送信機におけるガード・タイムまたはサイクリック・プレフィックスの任意選択での追加、および光チャネル上での伝送の後の、周波数領域での受信信号の等化により、全体的に特徴づけられる。OFDMは、これらの機能を実装するのに有利な1つの手段を提供するが、OFDMの実装形態を参照することにより、好ましい実施形態の説明は、単に例示的なものであり、前述の要約および本明細書に添付の特許請求の範囲でより広く定義される本発明を限定するものではないことが理解されよう。
【0049】
例示的なシステム100は、送信機器102および受信機器104を備え、本明細書においては、これらは便宜上、より一般的にそれぞれ「送信機」および「受信機」と呼ばれる。
【0050】
送信機102は、分散光チャネル106を介して受信機104と通信する。図1では、光チャネル106は、マルチモード・ファイバなどのコイル状の光ファイバとして概略的に表されているが、光チャネル106には、単一モードまたはマルチモードの光ファイバ、自由空間リンク、または他のどんな適切な誘導または無誘導の光媒体も含まれ得ることが理解されよう。
【0051】
送信機102は、マッピング・ユニット110、信号発生器114および光送信機122を備え、これらの詳細および動作が以下でより詳細に説明される。受信機104は、光検出器124、信号復号化構成部品128、130、132および等化器バンク136を含む周波数領域の等化器、ならびにデマッピング・ユニット140を備える。この場合も、受信機104の詳細およびその動作は、以下に示される。
【0052】
光チャネル106上で伝送するためのデジタル情報は、パラレル入力ポート108を介して送信機102に入力される。入力デジタル情報はブロック単位で入力され、各ブロックは、入力ポート108でのパラレル入力の数に対応するいくつかのビットの情報を含む。あるいは、シリアル入力ポートなど、デジタル情報用の他の形式の入力が設けられてもよいことが理解されよう。各ブロック内に含まれる情報のビット数は、通常は所定の数であり、どんな特定の実施形態においても、固定したビット数でもよく、時間とともに変化してもよい。たとえば、ブロック当たりのビット数は、測定されたチャネル品質、所望の情報ビット・レート、および/または他のシステム・パラメータなど、様々な要因に従って、動的にあらかじめ決定してもよい。
【0053】
いくつかの入力ビットから成る各ブロックは、符号化されて複数のシンボル値を生成し、例示的な送信機102において、これらのシンボル値は並列な信号経路112で伝達される。システム100の好ましい実施形態によれば、マッピング・ユニット110によってQAMマッピングが使用されて、結果として符号化されたシンボル値をもたらすように、入力データ・ビットを符号化する。各QAM信号値は、伝送信号の対応する周波数の搬送波に加える、振幅および位相の変調を表す複素数である。しかし、OOK、ASK、PSK、FSKなどを含むが、それらだけに限定されない代替のマッピング方式が、入力データの符号化に使用されてもよいことが理解されよう。
【0054】
送信機102内の信号発生器114は、並列な信号ライン112に供給される各データ・ブロックのシンボル値を、時間とともに絶えず変化する対応する電気信号に変換する。システム100の例示的な実施形態、およびOFDM法によれば、信号発生器114は、周波数−時間変換器116、並列−直列変換器118、およびデジタル・アナログ変換器(DAC)120を備える。周波数−時間変換器116は、離散逆フーリエ変換(IDFT)を使用して実装され、IDFTは、デジタル電子ハードウェアもしくはソフトウェアの手段、または当技術分野でよく知られたハードウェアおよびソフトウェアの組合せを使用して容易に実現してもよい。
【0055】
例示的な実施形態100では、IDFT 116は、パラレル・データ出力を生成し、この出力は、並列−直列変換器118により、時間変化する必要とされる電気信号波形の一連のデジタル化されたサンプルに変換される。次いで、DAC 120が使用されて、時間とともに絶えず変化する電気信号を生成する。
【0056】
時間変化する電気信号は、電気−光(E/O)変換器122により、光学的な形態に変換される。E/O変換器122は、光搬送波上に変調される非対称に振幅制限されて伝送される信号を含む光信号を生成するのに使用される光送信機である。特に、光送信機122からの光信号出力は、DAC 120からの時間変化する電気信号出力を用いて、光送信機122が適切な変調を行うことによって生成される、強度変調された信号である。
【0057】
IDFT 116の出力は、全体的に複素数値化されるが、光送信機122を変調するには、実数値化された波形が必要となることが理解されよう。必要となる実数値化された信号を実現するための様々な方法が当技術分野でよく知られており、例示的な実施形態100では、アップコンバージョン法が使用され、電気的な領域で、複素数値の実数成分および虚数成分が、RF副搬送波上に直角位相で変調される。たとえば、デジタル的に(すなわちDAC 120に先立って)、または実数成分および虚数成分それぞれに対して2つのDAC 120を使用し、これに続いて適切なアナログ電子装置を使用することにより、必要となる操作を実行してもよい。必要となる構成部品および操作は当業者には明白になるであろうから、それらは図1の概略図では省略してある。
【0058】
非対称に振幅制限されて伝送され、光搬送波上に変調される信号を含む光信号を生成するために、時間変化する電気信号を光送信機122に加える様子が、図2および3に示す波形によって示される。図2には、DAC 120の出力で生成される例示的なOFDM波形200が示してある。OFDM波形200は両極性の波形であり、正の振幅偏移、たとえば202、および負の振幅偏移、たとえば204を含むことが明白である。波形200などの両極性の信号は、強度変調/直接検出(intensity modulation with direct detection)(IM/DD)を使用する光伝送システムに対して特に困難を伴うと、以前は一般に考えられてきた。特に、光送信機の出力パワーまたは強度は、常にゼロまたは正のいずれかでなければならないので、IM/DD光チャネル上で、波形200などの平均値がゼロの両極性の波形を直接伝送することは不可能である。したがって、一般的な手法は、負の信号偏移、たとえば204に適応させるように平均出力パワーをオフセットするために、光送信機にバイアス・レベルを与えることであった。しかし、この手法は、光パワー・バジェットを浪費し、相対的に高い光学的出力パワー・レベルを必要とすることがあり、それにより、特に自由空間の光リンク上では潜在的な安全上の問題を生じる。
【0059】
したがって、本発明によれば、著しく低いまたはゼロのバイアス・レベルでさえも光送信機122内に加えられ、その結果、負の偏移、たとえば204がゼロ出力パワー・レベルでクリップされるために、非対称に振幅制限される光学的出力信号が生じる。図3には、本発明に従って生成される例示的な光学的出力パワー波形300が示してあり、送信機122では光学的なバイアスは加えられていない。波形300は、正のパワー偏移、たとえば302を含むが、負の偏移は、ゼロ出力パワー・レベル304で実質上抑圧される。
【0060】
OFDM波形200で表される電気信号など、両極性の時間変化する電気信号から出力光波形300を生成するために、光送信機122内には様々な異なる構成が使用されてもよい。たとえば、LEDまたは半導体レーザは、ゼロ・バイアス・レベルで、または電気信号200のピークトゥピーク振幅の50%未満の低減されたバイアス・レベルを使用して、直接変調されてもよい。確かに、実施形態によっては、有効な負バイアスでさえも加えてよい。送信機の必要とされるバイアス印加および/または制限は、光源および関連する駆動回路によって実行されてもよく、あるいは、LEDまたは半導体レーザなどの光源の変調に先立って、デジタルまたはアナログ(電気的な)いずれかの領域で加えられてもよい。たとえば、両極性の波形、たとえば200を、光源に直接加えることで、波形における大きい負の偏移、たとえば204の結果として、損傷および/またはターンオン遅延などの望ましくない影響を生じることがある場合に、こうしたデジタルまたはアナログでの制限が適切になることがある。確かに、直接変調された光源におけるターンオン遅延などのいわゆる「メモリ効果」を回避するために、光源のターンオフおよび/または飽和を避けるのに十分な正バイアスと一緒に、負の信号偏移の事前変調制限を行うことが望ましいことがあり、本発明の範囲内である。
【0061】
DAC 120の変換範囲および分解能をもっとも有効に使用するために、デジタル・アナログ変換に先立って、こうした信号処理のある部分またはすべてをデジタル領域で実行することは、特に有利になることがある。
【0062】
あるいは、出力光波形300は、光源の外部変調と一緒に、たとえばマッハツェンダーまたは電子吸収タイプの変調器を使用し、適切なデジタルおよび/またはアナログ制限、バイアス印加または他の振幅調整を用いて生成してもよい。当業者には明白になるはずの、光出力波形300を生成するためのすべての方法は、本発明の範囲内にあることが理解されよう。
【0063】
次に図1に戻ると、非対称に振幅制限された光信号は、光チャネル106上で伝送され、光−電気(O/E)変換器124を使用して、受信機104で受信される。O/E変換器124は、典型的には、適切なフォトダイオードまたは均等物、ならびに受信機104内でさらに処理するのに適した特性を有する受信電気信号を生成するための、増幅器、フィルタなどの関連する電子回路を備える光検出器である。
【0064】
受信機104の例示的な実施形態によれば、結果として得られる受信電気信号は、非対称に振幅制限されて伝送される光信号に対応し、アナログ・デジタル変換器(ADC)128を使用して、対応する一連のデジタル化されたサンプルに変換される。デジタル・サンプルのシリアル・シーケンスは、直列−並列変換器130内で並列な形式に変換され、サンプルの並列ブロックは、離散フーリエ変換器(DFT)132により、対応する組の周波数領域の値に変換され、並列な信号経路134に出力される。システム100の例示的な実施形態では、FFTアルゴリズムを使用して実装されることが好ましいDFT 132は、送信機102内で実行されるIFFT 116に対応する逆変換であることが留意されよう。
【0065】
DFT 132から出力される周波数領域の値は、送信機102内でIFFT 116に入力される送信シンボル値に対応する、1組の変調されたシンボル値を含む。しかし、受信シンボル値は、分散光チャネル106上の伝送によって影響を受けてきており、その結果、送出された元のデジタル情報の復元において誤りが発生することがある。変調されたシンボル値への光チャネル106の影響を補償するために、等化器バンク136を使用して等化が行われる。受信機104の例示的な実施形態では、等化器バンクは複数のフィルタを備える。もっとも簡潔な場合では、各フィルタは、伝送信号への分散光チャネル106の影響を大幅に等化するために、DFT 132から出力される対応する受信シンボル値の振幅および/または位相を調整する複素乗算器である。こうした等化は、送信機102および受信機104の様々な電子構成部品および光電子構成部品の非理想的な周波数依存特性をさらに補償してもよいことが理解されよう。
【0066】
結果として得られる等化されたシンボル値は、並列な信号ライン138を通って、マッピング・ユニット110に対応するデマッピング・ユニット140に出力される。デマッピング・ユニット140は、等化されたシンボル値を受け取り、デジタル情報の対応するビットを生成する。その結果生じる復号化された情報は、並列な信号ライン142を通って出力され、システム100内の雑音および/またはひずみのレベルが過度に高くはない場合、信号ライン142上の出力デジタル情報ビットは、信号ライン108で入力される元のデジタル情報ビットに全体的に一致することになる。もちろん、あらゆる通信システム内の雑音および/またはひずみによって誤りが生じることがあり、したがって伝送される情報ビット内で誤り率がゼロになることは達成不可能でもよいことが当業者には理解されよう。しかし、こうしたビット誤りを検出および/または訂正するために、デジタル情報内に挿入される誤り検出および誤り訂正の符号を含む追加の手段が使用されてもよいことも理解されよう。
【0067】
前述の議論から、ADC 128、直列−並列変換器130、DFT 132および等化器バンク136を組み合わせて、伝送される光信号への光チャネル106の分散の影響を軽減するために、受信信号の周波数領域の等化を実行する手段を提供することが理解されよう。さらに、デマッピング・ユニット140の機能は、符号化されて伝送されたデータ・ブロック、および対応する伝送されたデジタル情報を復元するために、等化された信号を復号化することである。離散フーリエ変換の使用を含むOFDM技法は、本発明の例示的な実施形態100の中でこれらの機能を提供するために使用されるが、代替実施形態では、周波数領域の等化を実現するための、また等化された信号を復号化するための他の手段が提供されてもよいことが理解されよう。
【0068】
図4Aには、光送信機122内に加えられる光学的なバイアス・レベルの関数として、システム伝送性能の測定値を図示するグラフ400が示してある。図4に示す性能の具体的な測定値は、平均信号レベルの2乗と信号の分散値の比(すなわち、特定の伝送信号値を識別する容易さの測定値)を平均光パワーで除算した値である。従来の方法によれば、伝送信号の負の偏移のクリッピングまたは制限を避けるために、範囲402内の相対的に高い光学的なバイアス・レベルが加えられることになる。この従来の方法は、情報伝送においては対応するいかなるパワーの増加もなしに、より高いレベルの光パワーの伝送を必要とするので、グラフ400に示す測定値に従って相対的に低い性能に対応する。対照的に、送信機122内にゼロ・バイアス404が加えられるとき、平均伝送光パワーは著しく低減され、その結果、伝送信号上の非対称な振幅制限の影響にもかかわらず、この測定値に従って総合的な性能の増大が実現される。
【0069】
同様に、所与の伝送光パワーおよび合計の光リンク損失について、バイアス・レベル404に対応する受信信号の質は、範囲402にある通常のバイアス・レベルに対応する質よりも優れることになる。これが、図4Bおよび4Cに示されており、損失が30dBの光リンク上で同じ平均ソース・パワーを使用して伝送した後、4−QAM方式に従ってマッピングされた受信シンボルに対する例示的な信号点配置パターンを示す。信号点配置406はゼロ・バイアス・レベル404に対応するが、信号点配置408は範囲402内のバイアス・レベルに対応する。信号点配置408では受信機雑音の影響が相対的により大きいために、信号点配置406によって表される受信シンボルの質は、信号点配置408によって表される受信シンボルの質よりも優れていることは明白である。
【0070】
図5には、光チャネル106の総合損失の関数としての受信信号の質を図示する、対応するグラフ500が示してある。グラフ500には2本の線が示してあり、第1の線502は、範囲402内の光学的なバイアス・レベルが加えられる従来のシステムに対応し、第2の線504は、光送信機122内でゼロ・バイアス・レベル404が加えられる、本発明によるシステムに対応する。リンク損失の値が低い場合、伝送信号への振幅制限の影響はひずみの形態であり、このひずみにより、結果として、同等な従来のシステムよりも発明性のあるシステムに対して、受信信号の質がより低くなることが、グラフ500から明白である。しかし、リンク損失の値がより高い場合、たとえば例示的なグラフ500において20dBよりも大きい場合、また図4Bおよび4Cに示す信号点配置パターン406、408に対応する点508、510での30dBの損失の場合も含めて、使用可能な光送信機パワーをより効率的に使用するという利点が実現される。したがって、高いレベルのリンク損失においては、発明性のあるシステムを使用して、パワー・バジェットでの7dBの改善506が達成できる。したがって、本発明の実施形態により、自由空間システムにおいて遭遇することがあるリンク損失の変化に対して、より大きい伝送範囲、ならびに/またはより大きい信頼性および許容度を提供する光伝送システムを実装することができる。
【0071】
前に示したように、本発明の範囲内では多くの変形形態が可能であり、したがって、実現可能な一代替構成600が図6に示される。代替の伝送システム600は、例示的なシステム100と同様にOFDM技法を使用するが、奇数のOFDMチャネルのみが使用されて情報を伝送する。この点に関して、本明細書において記述され図示される特定の実施形態に対して使用される規定は、チャネル番号ゼロを最も低い周波数のOFDMチャネルに割り当て、それにより、奇数チャネルには、対応する隣接したより高い周波数のチャネル(すなわちチャネル1)、およびその後1つおきにより高い周波数の各チャネル(すなわちチャネル3、5、7など)が含まれることに留意されたい。一般的な場合についての誤解を避けるため、この規定は、以下のようにより正確な数学的表現で表されてもよい。N点の逆DFTは、N個の(一般的に複素数の)周波数領域のサンプルX(0)・・・X(N−1)を、N個の(一般的に複素数の)時間領域のサンプルx(0)・・・x(N−−1)に変換し、ここでk番目の時間領域のサンプルの値は次式で与えられる。
【数1】

この公式化によれば、奇数チャネルは、mが奇数である逆DFT入力X(m)である。
【0072】
この議論を簡単にするために、図6には、それぞれ奇数チャネル1および3に対応する2つだけの並列の情報入力608が示されるが、図1を参照して前に説明してきたように、各データ・ブロック内にはより多数の情報ビットが含まれてもよいことが理解されよう。
【0073】
実施形態600では、入力情報ビットは、マッピング・ユニット610によりQAM方式に従って符号化されて、対応するシンボル値612a、612bを生成する。これらのシンボルの複素共役値は、共役器613によって生成され、共役器613により、実数値化された時間変化する出力信号を生成するために、適切な入力が確実にIFFT 616に設けられる。シンボル値612a、612b、およびそれらの対応する複素共役値は、IFFT 616の奇数番号の入力に供給されるが、偶数番号の入力、および例における他の未使用の入力には、ゼロ値650が供給される。入力されたシンボルは、図1の構成部品114に関して前述したのと同様に、構成部品614によって処理される。結果として得られる時間変化する信号は、光送信機622に加えられ、対応する非対称的に制限された信号は、光チャネル606上で光検出器624まで伝送される。
【0074】
図1を参照して前に説明したのと同様に、受信信号は、周波数領域の等化器構成部品626によって処理される。送信シンボル値612a、612bに対応する値634a、634bは、等化器バンク636に入力されて、等化されたシンボル値638a、638bを生成する。次いで、等化された値は、伝送された情報ビット642を復元するために、復調器バンク640によって復号化される。
【0075】
実施形態600では、IFFT 616へのゼロ入力値に対応する出力値、たとえば、FFT632からの652は廃棄される。しかし、代替実施形態では、ゼロ入力値に対応する受信シンボル値を、たとえばひずみレベルを監視および/または最適化するための、あるいは受信信号の復調および復号化の信頼性を改善するためのフィードバック機構として使用することが可能でもよい。
【0076】
マルチキャリアOFDM信号のうちの1つおきの副搬送波のみが利用されるので、代替実施形態600は、実施形態100と比較して帯域幅の効率を低減させた。しかし、伝送される光信号の振幅制限の結果として生成されるひずみ成分は、偶数番号の副搬送波に対応する周波数でのみ妨害成分を生成することが示され得る。したがって、代替実施形態600は、実施形態100によって生じる信号よりも質の高い受信信号を実現することができる。
【0077】
利用可能な帯域幅の低周波部分が使用されないOFDM伝送を利用することにより、非対称な振幅制限によるひずみ成分の影響における同様の低減が達成されてもよいことも示され得る。たとえば、適切に選択された周波数を有するRF搬送波上に電気的なOFDM信号を変調することにより、たとえば受信信号帯域幅の外側に1次の差周波ひずみ成分が大幅に生成されるように、OFDM信号のRF帯域幅に対応する低周波の「保護周波数帯」が実現されてもよい。伝送されるシンボルへのひずみ成分の影響を依然として大幅に低減しながら、ひずみの許容レベルに応じて、たとえばOFDM信号のRF帯域幅の50%を有する、より狭い保護周波数帯が許容可能でもよい。こうした構成はやはり、帯域幅の効率を低減させることを犠牲にして受信信号の質が改善されてもよい代替実施形態を提供する。特に自由空間光伝送を利用するときに低周波の保護周波数帯を使用するさらなる利点は、白熱灯および蛍光灯を含む周囲の照明などの低周波光源からの干渉が、受信機内で実質上排除されてもよいことである。
【0078】
図7には、本発明の実施形態で使用するための非対称で時間変化する電気信号を生成するための他の実現可能な技法を図示する2つの波形702、704が示してある。波形702、704は、この場合適切なバイアス・レベルで光送信機に加えられてもよい対応する非対称な波形を生成するために、周波数副搬送波の各対を組み合わせることによって生成される。図7に示す波形など、非対称な波形を構成することにより、信号の対応するクリッピングおよび関連するひずみを生成することなく、非対称に振幅制限されて伝送される信号を含む光信号を生成するために、光送信機に低いバイアス・レベルを加えてもよい、本発明の一実施形態を提供することが可能でもよい。この場合も、各波形、たとえば702、704を生成するために複数の副搬送波を使用することが必要であるため、受信信号の質の改善は、帯域幅の効率を犠牲にして達成される。
【0079】
本発明の実施形態によっては、OFDMの代わりに、パルス位置変調(PPM)など、代替の変調技法を利用することも可能になることがある。
【0080】
実施形態100および600は、複素数値化されたシンボルを、強度変調された光源によって提供される連続的で実数値化されたチャネル上にマッピングするための、当技術分野で知られている2つの一般的な方法を例示することも、当業者には理解されたい。このような1つの方法は、電気的な領域での、位相が直角の複素数値の実数成分および虚数成分のRF副搬送波上への変調を必要とし、次いで、結果として生じる実数値化された信号で光源を変調する。第2の方法は、光源を変調するのに使用してもよい実数値化されたベースバンド信号を生成するために、適切な共役対称の入力を有する送信機のIDFT、たとえば616を設けること、または代替的に同等な実数値化された変換を実施することを必要とする。これらの方法、およびそれらの均等物は、両方とも本発明の範囲内にあることが理解されよう。
【0081】
さらに、単一の光送信機および単一の光受信機が設けられた本発明の実施形態が説明されてきたが、本発明は、MIMO(multiple−input−multiple−output)光無線システムなど、複数の送信機および/または受信機を使用するシステムでの用途に適していることが理解されよう。確かに、従来の強度変調された光学システムは、RF無線システムにおいては達成可能であると知られている、複数の送信源および/または受信機を使用することから恩恵を受けることができないので、本発明は、こうしたシステムにおいて、具体的な利点を提供することがある。
【0082】
たとえば、実現可能な一構成では、複数の送信源(たとえば複数のレーザまたはLED)を使用して、共通の信号を送信してもよい。次いで、結果として得られる複数の光信号は、1つまたは複数の光検出器で受信され、等化され、再結合されて、物陰に隠れることなどにより、どんな個々の送信源から受信した信号の強さも変化し、さもなければ障害が生じる環境において、信頼性を改善することがある。同様に、1つまたは複数の送信源とともに複数の検出器を使用することで、どんな1つの検出器で受信された信号の強さも変化し、さもなければ障害が生じることがあるときに、信頼性を改善することができる。
【0083】
他のMIMO構成では、複数の光源を使用して、複数の光検出器を備える受信機に、互いに異なる情報ストリームを送信してもよい。このようなシステムで空間多重化を実現するために、BLAST符号化、Alamouti符号化などを含め、様々な手法が開発されてきた。典型的な無線システムと異なり、自由空間光路は、典型的な室内用途では数多くの反射を含み得るので、こうした方式は、一般的に、散乱の多い環境でもっとも有効であり、無線光学システムは、この点に関しては特に有利になることがある。
【0084】
複数の送信機および受信機を含むさらなる構成には、当技術分野で知られているいくつかの適切な多元接続方法のうちの任意の1つを使用して、自由空間環境などの共用光媒体上で複数の装置が通信する構成が含まれる。たとえば、通信装置の互いに異なる対は、周波数分割多元接続(FDMA)、時分割多元接続(TDMA)、直交周波数分割多元接続(OFDMA)、符号分割多元接続(CDMA)、マルチキャリアCDMA(MC−CDMA)などの多元接続方法と一緒に、本発明による方法および機器を使用して、共通の光媒体上で互いと通信してもよい。
【0085】
本発明の範囲内にある他の有利な変形形態には、達成すべき伝送距離、信頼性、効率および/または容量における、さらなる改善を可能にする形態が含まれる。たとえば、本発明の実施形態によっては、増大した干渉、雑音または他の形態の劣化にさらされ、あるいはそれらを生じる周波数での伝送を避けるように構成されてもよい。周波数に依存する干渉、雑音、減衰またはフェージングを示すチャネルの利用効率を改善するための技法は、特にOFDMとともに使用する場合に、当技術分野で知られている。たとえば、より高いレベルの干渉、または低減された信号対雑音比にさらされている副搬送波は、完全に使用を避けてもよく、または情報コンテンツが低減された(すなわち、情報ビットがより少ない)シンボルを伝送するように使用されてもよい。
【0086】
実現すべき伝送性能の改善を可能にすることがある、本発明の範囲内にある他の技法は、より低いパワーおよびデータ転送速度で連続的に伝送するのではなく、高出力、高データ転送速度のバーストでデータ・ブロックを伝送することである。この技法は、容量および/または伝送距離を総合的に増大させることを達成するのに使用してよい光検出器において、結果として、信号対雑音比の総合的な改善を実現することがある。
【0087】
したがって、本発明の多くの変形形態が実現可能であり、本発明は、本明細書に記述された特定の実施形態に限定されるべきではないことが、当業者には容易に明らかになろう。むしろ、本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲によって定義される。
【図面の簡単な説明】
【0088】
【図1】本発明の一実施形態による、光チャネル上でデジタル情報を伝達するシステムを概略的に示す図である。
【図2】図1に示すシステムの送信機内で生成される両極性のOFDM波形を示す図である。
【図3】図1の光チャネル上で伝送される単極性のOFDM波形を示す図である。
【図4】図4Aは、本発明の一実施形態による、光学的なバイアス・レベルの関数としての伝送性能を示すグラフである。図4Bは、図4Aに示す2つの異なる光学的なバイアス・レベルに対応する信号点配置パターンの例を示す図である。図4Cは、図4Aに示す2つの異なる光学的なバイアス・レベルに対応する信号点配置パターンの例を示す図である。
【図5】本発明の一実施形態による、リンク損失の関数としての受信信号の質を示すグラフである。
【図6】本発明の一実施形態による、奇数のOFDMチャネルのみを使用して光チャネル上でデジタル情報を伝達する代替のシステムを概略的に示す図である。
【図7】本発明の一代替実施形態による、副搬送波に各対に伝送信号をマッピングすることによって生成される波形を示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光送信機を操作して、分散光チャネル上でデジタル情報を伝送する方法であって、
前記デジタル情報を、それぞれ前記情報のうちのいくつかのビットを含む複数のデータ・ブロックに符号化するステップと、
前記データ・ブロックのそれぞれに対応する、時間変化する電気信号を生成するステップと、
前記時間変化する電気信号を光送信機に加えて、非対称に振幅制限されて伝送され、光搬送波上に変調される信号を含む光信号を生成するステップとを備え、
伝送される情報は、受信信号の周波数領域の等化を含む方法を使用して、前記分散光チャネル上で伝送された後に復元される方法。
【請求項2】
符号化する前記ステップは、前記情報ビットに対応する複数のシンボル値を生成することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
複数のシンボル値を生成することは、所定の変調フォーマットに従って、前記情報ビットを対応するシンボル値にマッピングすることを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記所定の変調フォーマットは、オンオフ・キーイング(OOK)、振幅シフト・キーイング(ASK)、直交振幅変調(QAM)、位相シフト・キーイング(PSK)、および周波数シフト・キーイング(FSK)から成るグループから選択される、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
符号化および生成の前記ステップは、前記周波数領域でのマルチキャリア法に従って実行される、請求項1ないし4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記マルチキャリア法は、直交周波数分割多重(OFDM)方法である、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
時間変化する電気信号を生成する前記ステップは、ガード・タイムおよび/またはサイクリック・プレフィックスを挿入することを含む、請求項1ないし6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記時間変化する電気信号を加える前記ステップは、結果として伝送信号を光学的出力パワー・レベルがゼロでクリッピングするように選択されたバイアス・レベルを使用して光源を変調することを含む、請求項1ないし7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記バイアス・レベルは、前記時間変化する電気信号のピークトゥピーク振幅の50パーセント未満である、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記バイアス・レベルは、実質上ゼロ・バイアス・レベルである、請求項8または請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記光源は、発光ダイオード(LED)および半導体レーザ・ダイオードから成るグループから選択される、直接変調された光源である、請求項8から10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記光源には、個別のまたは集積化された外部変調器と組み合わせた連続波光源が含まれる、請求項8から10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
分散光チャネル上で伝送されるデジタル情報を受信する、前記デジタル情報は、それぞれ前記情報のうちのいくつかのビットを含む複数のデータ・ブロックに符号化され、前記データ・ブロックに対応する、時間変化する信号は、光搬送波上に変調されて非対称に振幅制限されて伝送される信号を含む光信号を生成する、方法であって、
前記光信号を検出して、前記非対称に振幅制限されて伝送される信号に対応する電気信号を生成するステップと、
前記電気信号の周波数領域の等化を実行して、前記伝送される光信号における前記光チャネルの分散の影響を軽減するステップと、
前記等化された信号を復号化して、前記符号化されたデータ・ブロックおよび前記対応する伝送されたデジタル情報を復元するステップと、を備えた方法。
【請求項14】
周波数領域の等化を実行する前記ステップは、時間領域から前記周波数領域への変換を加えて、前記電気信号に対応する複数の受信シンボル値を生成することを含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
周波数領域の等化を実行する前記ステップは、前記伝送される光信号における前記光チャネルの前記分散の前記影響を大幅に等化するように、各受信シンボル値の振幅および/または位相の調整を実行し、その結果、前記等化されたシンボル値が送信シンボル値により近づくことをさらに含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記等化された信号を復号化する前記ステップは、前記等化されたシンボル値から元の情報ビットを復元することを含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記元の情報ビットを復元することは、所定の変調フォーマットに従って、前記等化されたシンボル値にデマッピング法を適用することを含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記所定の変調フォーマットは、OOK、ASK、QAM、PSK、およびFSKから成るグループから選択される、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
分散光チャネル上でデジタル情報を伝達する方法であって、
前記デジタル情報を、それぞれ前記情報のうちのいくつかのビットを含む複数のデータ・ブロックに符号化するステップと、
前記データ・ブロックのそれぞれに対応する、時間変化する電気信号を生成するステップと、
前記時間変化する電気信号を光送信機に加えて、非対称に振幅制限されて伝送され、光搬送波上に変調される信号を含む光信号を生成するステップと、
前記分散光チャネル上で前記光信号を伝送するステップと、
前記光信号を検出して、前記非対称に振幅制限されて伝送される信号に対応する電気信号を生成するステップと、
前記電気信号の周波数領域の等化を実行して、前記伝送される光信号における前記光チャネルの分散の影響を軽減するステップと、
前記等化された信号を復号化して、前記符号化されたデータ・ブロックおよび前記対応する伝送されたデジタル情報を復元するステップとを備えた方法。
【請求項20】
前記光信号を伝送する前記ステップは、自由空間、マルチモード光ファイバ、および単一モード光ファイバのうちの1つまたは複数を介して前記光信号を伝送することを含む、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
分散光チャネル上でデジタル情報を伝送する機器であって、
前記デジタル情報を、それぞれ前記情報のうちのいくつかのビットを含む複数のデータ・ブロックに符号化するエンコーダと、
前記データ・ブロックのそれぞれに対応する、時間変化する電気信号を生成する信号発生器と、
前記時間変化する電気信号で光搬送波を変調して、非対称に振幅制限されて伝送され、前記光搬送波上に変調される信号を含む光信号を生成する手段を含む光送信機とを備え、
前記伝送される情報は、前記分散光チャネル上での伝送の後に、受信信号の周波数領域の等化を実行する手段を含む対応する受信機によって復元される機器。
【請求項22】
前記エンコーダは、前記情報ビットを受信し、対応する複数のシンボル値を生成する複数のマッピング・ユニットを有するマッピング装置(a mapper)を備える、請求項21に記載の機器。
【請求項23】
前記マッピング・ユニットは、所定の変調フォーマットに従ってマッピングを実行するように構成される、請求項22に記載の機器。
【請求項24】
前記信号発生器は、入力として前記シンボル値を受信し、対応するデジタルの時間領域の信号を出力するように構成された周波数/時間変換装置を備える、請求項22または請求項23に記載の機器。
【請求項25】
前記信号発生器は、前記周波数/時間変換装置の出力からデジタル・サンプルの時間系列を生成するように構成された並列−直列変換器、および時間とともに絶えず変化する電気信号を生成するデジタル・アナログ変換器をさらに備える、請求項24に記載の機器。
【請求項26】
前記信号発生器は、デジタル・サンプルの前記時間系列内に、ガード・タイムおよび/またはサイクリック・プレフィックスを挿入するようさらに構成される、請求項25に記載の機器。
【請求項27】
前記光送信機は、入力として前記時間変化する信号を受信するように構成され、その信号により、結果として光学的出力パワー・レベルがゼロで前記伝送信号のクリッピングを生じるように選択されるバイアス・レベルを使用して変調される光源を備える、請求項21から26のいずれか一項に記載の機器。
【請求項28】
前記光源は、発光ダイオード(LED)および半導体レーザ・ダイオードから成るグループから選択される直接変調された光源である、請求項27に記載の機器。
【請求項29】
前記光源は、個別のまたは集積化された外部変調器と組み合わせた連続波光源を備える、請求項27に記載の機器。
【請求項30】
分散光チャネル上で伝送されるデジタル情報を受信する、前記デジタル情報は、それぞれ前記情報のうちのいくつかのビットを含む複数のデータ・ブロックに符号化され、前記データ・ブロックに対応する、時間変化する信号は、光搬送波上に変調されて、非対称に振幅制限されて伝送される信号を含む光信号を生成する、機器であって、
前記光信号を検出して、前記非対称に振幅制限されて伝送される信号に対応する電気信号を生成する光検出器と、
前記電気信号の周波数領域の等化を実行して、前記伝送される光信号における前記光チャネルの分散の影響を軽減する手段と、
前記等化された信号を復号化して、前記符号化されたデータ・ブロックおよび前記対応する伝送されたデジタル情報を復元するデコーダとを備える機器。
【請求項31】
前記周波数領域の等化手段は、
前記光検出器からの前記電気信号出力をサンプリングし、前記信号を表すデジタル化された時間系列を生成するように構成されたアナログ・デジタル変換器と、
前記デジタル化された時間系列を、直列フォーマットから並列フォーマットに変換するように構成される直列−並列変換器と、
前記並列フォーマットのデジタル化された時間系列を、前記周波数領域での対応する一連の受信シンボル値に変換するように構成された時間/周波数変換装置とを備える、請求項30に記載の機器。
【請求項32】
前記周波数領域の等化手段は、前記伝送信号における前記分散光チャネルの前記影響を大幅に等化するために、各受信シンボル値の振幅および/または位相を調整するための複数のフィルタを有する等化器バンクをさらに備える、請求項31に記載の機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【図4C】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2009−507405(P2009−507405A)
【公表日】平成21年2月19日(2009.2.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−528296(P2008−528296)
【出願日】平成18年9月1日(2006.9.1)
【国際出願番号】PCT/AU2006/001282
【国際公開番号】WO2007/025346
【国際公開日】平成19年3月8日(2007.3.8)
【出願人】(304044531)モナシュ ユニバーシティー (9)
【Fターム(参考)】