説明

デジタル表示式電波修正時計及び該時計の標準電波受信方法

【課題】 サイズの増加を避けつつ受信アンテナの信号受信性能を維持し得るデジタル表示式電波修正時計及び該時計の標準電波受信方法を提供すること
【解決手段】 時・分を含む時刻データをデジタル表示する表示器10を備えたデジタル表示式電波修正時計1では、デジタル表示を行なう表示器10の一側11bに配置した受信アンテナ7によって受信した標準電波信号JJYに含まれる時刻情報に基づいてデジタル表示を行なう表示器10の表示時刻を修正する際に、該時刻情報を受信している間、表示器10の前記一側11bから該表示器10への表示信号の入力を停止する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、デジタル表示式電波修正時計(すなわち、デジタル表示式電波時計)及び該時計の標準電波受信方法に係り、より詳しくは、腕時計の如き携帯型で小型の時計として用いられるに適したデジタル表示式電波修正時計及びその標準電波受信方法に係る。
【背景技術】
【0002】
40kHz又は60kHzの長波に、年月日データに加えて、時・分・秒データを載せた標準電波を受信し、該標準電波から取出した時刻情報に基づいて時刻修正をする電波修正時計は周知である。
【0003】
従来の腕時計の形態のデジタル表示式電波修正時計は、時・分・秒を含む時刻データやそれ以外の非時刻データをデジタル表示する液晶表示パネルの形態の液晶表示器を備えると共に表示用の時刻データを表す信号を出力する回路ブロックを備え、更に、時刻情報を含む標準電波信号を受信する受信アンテナを液晶表示パネルの近傍に備える。
【0004】
受信アンテナは、回路ブロックの回路基板の外縁に沿って配置される。なお、外縁に、受信アンテナ配置用の切欠が形成されることもある(例えば、特許文献1)。
【0005】
いずれの場合でも、従来のデジタル表示式電波修正時計では、回路ブロックの時計回路から液晶表示パネルへのデジタル式表示データの入力用の配線の少なくとも一部が、液晶表示パネルのうち該パネルの近傍に位置する受信アンテナに対面する一側において、該液晶パネルに入力されていた。
【0006】
従って、受信アンテナが標準電波を受信して該標準電波から時刻情報が取出される際、受信アンテナは、液晶パネルへのデジタル式表示データの入力用の配線を通る信号に起因するノイズの影響を多少なりとも受けるのを避け難く、標準電波の時刻情報の検出のS/N比が多少なりとも低下するのを避け難かった。
【0007】
なお、受信アンテナを、液晶パネルから十分に遠ざければこの問題を避けることは可能であるけれども、その場合、時計のサイズが大きくなり、デザインや実用性を損なうことになる。
【特許文献1】実開平6−25792号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は前記した点に鑑みなされたものであって、その目的とするところは、サイズの増加を避けつつ受信アンテナの信号受信性能を維持し得るデジタル表示式電波修正時計及び該時計の標準電波受信方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明のデジタル表示式電波修正時計は、前記目的を達成すべく、時・分を含む時刻データをデジタル表示する表示器を備えたデジタル表示式電波修正時計であって、前記表示器の一側の近傍に配置され時刻情報を含む標準電波信号を受信する受信アンテナと、該アンテナで受信した標準電波信号の時刻情報に基づいて修正された時刻データを生成する時計回路と、前記時刻データを含む表示用出力信号を該時計回路から前記表示器に送るための配線からなる時刻データ表示用出力ラインとを有し、前記時刻データ表示用出力ラインが前記表示器のうち前記受信アンテナに近接する前記一側とは異なる箇所で、前記表示器に接続されている。
【0010】
本発明のデジタル表示式電波修正時計では、「時刻データを含む表示用出力信号を該時計回路から前記表示器に送るための配線からなる時刻データ表示用出力ラインが、時・分を含む時刻データをデジタル表示する表示器のうち時刻情報を含む標準電波信号を受信する受信アンテナに近接する一側とは異なる箇所で、前記表示器に接続されている」ので、受信アンテナが時刻データ表示用出力ラインから離れたところに位置するから、時刻データを表示器によりデジタル式に常時表示すべく時刻データ表示用出力ラインを介して該表示器に時・分を含む時刻データを常時入力しつづけていても、時刻データ表示用出力ラインを介して伝送される表示データ用信号が受信アンテナの受信性能を低下させるノイズを生成する虞れが実際上ない。従って、本発明のデジタル表示式電波修正時計では、受信アンテナを表示器に近接させて配置することによりサイズを最低限に抑えても、受信アンテナの信号受信性能を維持し得、また、受信感度を高めることも可能になる。
【0011】
本発明のデジタル表示式電波修正時計において、「時・分を含む時刻データ」とは、各時点における「時」及び「分」を特定する情報を含むデータをいい、典型的には、各時点における「秒」を特定する情報をも含むけれども、場合によっては、「秒」データは含まれなくてもよく、「秒」は表示等されなくてもよい。
【0012】
本発明のデジタル表示式電波修正時計において、表示に関して、「デジタル(式)」とは、表示が、典型的には「数値」によって表示されるものをいい、目盛に対して連続的に変化する指針による「アナログ(式)」とは異なることを指す。このようなデジタル式表示では、表示されるべきデータを表すために表示器に与えられる信号線の数が多くなるので、信号線が占める領域が大きくなり、該信号線を流れる電気信号が標準電波受信アンテナに対してノイズ源になり易い。
【0013】
一方、本発明のデジタル表示式電波修正時計においては、即ち、この明細書においては、「非時刻データ」とは、通常使用する電波修正時計として現在の時刻を表示するために不可欠ではないデータであって「上記の時刻データ」以外のデータをいい、例えば、電池残量の如く各時点における「時」や「分」を特定する情報とは関係のない情報のみでなく、いわゆる「カレンダー」データ、すなわち、「日」データや「曜日」データも「非時刻データ」も非時刻データに区分されるものとする。非時刻データは、日もしくはそれよりも長い期間を表すカレンダーデータ、又は時刻に依存しないデータである。時刻に依存しないデータとしては、時計機能以外の機能に関連するデータであってもよい。
【0014】
なお、本発明のデジタル表示式電波修正時計では、典型的には、前記表示器が更に前記時刻データ以外の非時刻データをデジタル表示するように構成されている場合に、前記非時刻データを生成する非時刻データ発生手段と、該非時刻データ発生手段と前記表示器の前記一側とをつなぐ配線からなる非時刻データ表示用出力ラインと、該非時刻データ表示用出力ラインを介する前記非時刻データの前記表示器への伝送を制御する非時刻データ表示制御手段とが更に設けられ、前記非時刻データ表示制御手段は、前記時計回路が標準電波信号の時刻情報に基づいて時刻修正を行なうべく受信アンテナが標準電波信号を受信している間、前記非時刻データの前記表示器への伝送を停止するように構成される。
【0015】
この場合、「非時刻データ表示制御手段は、時計回路が標準電波信号の時刻情報に基づいて時刻修正を行なうべく受信アンテナが標準電波信号を受信している間、非時刻データの表示器への伝送を停止するように構成されている」ので、非時刻データ表示用出力ラインが表示器のうち受信アンテナに近接した一側において該表示器に接続されていても、時刻修正のために標準電波信号が受信アンテナで受信される間は該非時刻データ表示用出力ラインから表示器に非時刻データ表示用信号が入力されないから、受信アンテナが非時刻データ表示用信号に起因するノイズを拾う虞れがない。従って、この本発明のデジタル表示式電波修正時計では、サイズの増加を避けつつ受信アンテナの信号受信性能を維持し得る。
【0016】
なお、非時刻データの表示器への伝送を停止しうる限り、単なる伝送の停止に止まらず、非時刻データの生成自体を停止してもよい。
【0017】
但し、本発明のデジタル表示式電波修正時計において、前記非時刻データ表示用出力ラインが表示器の前記一側に接続される代わりに、前記表示器のうち前記受信アンテナに近接する前記一側とは異なる箇所で、前記表示器に接続されていてもよい。その場合、非時刻データを常時表示しつづけても、受信アンテナによる信号受信性能が低下する虞れが実際上ないことは、前述の場合と同様である。
【0018】
本発明のデジタル表示式電波修正時計では、典型的には、前記時計回路及び前記非時刻データ表示制御手段が回路基板に実装され、該回路基板が、時刻データ表示用出力ライン及び非時刻データ表示用出力ラインを構成する配線パターンを備える。
【0019】
本発明のデジタル表示式電波修正時計では、典型的には、前記表示器が、その前記一側に表示信号入力用の多数の接点部分を含む非時刻データ表示用入力端子を備え、非時刻データ表示用出力ラインが、表示器側の端部に表示信号出力用の多数の接点部分を含む非時刻データ表示用出力端子を備え、非時刻データ表示用出力ラインの該非時刻データ表示用出力端子が、コネクタを介して、表示器と受信アンテナとの間において、表示器の非時刻データ表示用入力端子に接続されている。
【0020】
この場合、コネクタは、例えば、回路基板の非時刻データ表示用出力ラインの非時刻データ表示用出力端子と表示器の非時刻データ表示用入力端子との間において、表示用出力端子の多数の接点と表示用入力端子の多数の接点とを夫々電気的に接続すべく、導電層と絶縁層とを積層してなるゴム状体からなる。但し、コネクタは、例えば、オス型及びメス型の組合せ等他の形態のものでもよい。また、回路基板の非時刻データ表示用出力ラインの非時刻データ表示用出力端子と表示器の非時刻データ表示用入力端子とが、中間に他の電気的・機械的接続手段を介することなく、直接に、接続されていてもよい。
【0021】
本発明のデジタル表示式電波修正時計では、前記表示器は、典型的には、液晶表示式でであるけれども、その代わりに、発光ダイオード式や有機EL(エレクトロルミネセンス)ディスプレイ式、電子ペーパ式の如く他のデジタル表示式のものでもよい。表示器が例えば液晶表示式の場合、デジタル表示し得る限りどのようなものでもよく、セグメント電極や固定パターン電極を備えたタイプのものでも、マトリックス電極を備えたタイプのものでも、それらが併用されたタイプのものでもよい。また、液晶表示式の駆動方式も、セグメント電極の場合にはスタティック駆動方式であってもダイナミック駆動方式であってもよく、マトリックス電極の場合にはパッシブマトリックス駆動方式であってもアクティブマトリックス駆動方式であってもよい。色表示は、電池容量の制約から典型的には白黒表示であるけれども、カラー表示であってもよい。液晶表示方式も、典型的には白黒表示用のSTN形であるけれども、その代わりに、ねじれTN形でも、FLC(強誘電性)形やGH(ゲスト・ホスト)形やECB(複屈折制御)形やPD(高分子分散)形やIPS(面内スイッチング)形その他のどのような形式のものであってもよい。
【0022】
本発明のデジタル表示式電波修正時計では、典型的には、表示器が細長い平面形状を備え、受信アンテナが表示器の前記一側をなす長い辺に沿って配置されている。但し、表示器は、円形や正方形や正多角形の如く細長くない形状であってもよい。細長い平面形状のうち短い辺に沿って受信アンテナが配置されていてもよい。アンテナは、直線状であっても湾曲していてもよい。
【0023】
本発明のデジタル表示式電波修正時計では、典型的には、受信アンテナがアナログ式表示の場合の12時側(表示器に向かってみて表示器の上縁ないし上側)又は6時側(表示器の下縁ないし下側)に配置されている。但し、その代わりに、3時側や9時側に配置されていてもよく、また、他の斜め方向の位置に配置されていてもよい。
【0024】
本発明のデジタル表示式電波修正時計は、典型的には、携帯式の時計であり、典型的には腕時計の形態である。但し、例えば、携帯電話その他の携帯式の電子機器に組込まれていてもよい。
【0025】
また、本発明のデジタル表示式電波修正時計の標準電波受信方法は、前記目的を達成すべく、デジタル表示を行なう表示器の表示時刻を、該表示器の一側に配置した受信アンテナによって受信した標準電波信号に含まれる時刻情報に基づいて修正する際に、該時刻情報を受信している間、表示器の前記一側から該表示器への表示信号の入力を停止するようにした。
【0026】
この場合、受信アンテナによる電波修正の性能が低下する虞れが無いことは、前述のとおりである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
本発明の好ましい一実施の形態を添付図面に示した好ましい一実施例に基づいて説明する。
【実施例】
【0028】
本発明の好ましい一実施例のデジタル表示式電波修正腕時計1は、図4に模式的に示したように、デジタル式表示器としての液晶表示部10を備えた腕時計部2と、腕装着用の時計バンド部3とを有する。腕時計部2は、ケース4と、図1に示したようにケース4内に配置され電池5により給電される時計本体部6とを有する。
【0029】
時計本体部6は、図1の(a)及び(b)に示したように、時計本体用集積回路(時計IC)21及び受信用集積回路(受信IC)22を含む回路ブロック20、デジタル表示用の液晶表示部10、並びに時刻情報を含む標準電波JJYを受信する受信アンテナ7等を含む。
【0030】
この例では、液晶表示部10は、図1の(a)及び図3からわかるとおり、表示領域のうち横長の長方形の形態の液晶パネル11からなり、中央のやや下部(下段)に時刻データDtとしての「時・分・秒」を数値でデジタル表示するセグメント式の時刻表示部12を備えると共に、上部(上段)に第一の非時刻データDn1としての「日」及び「曜日」の如きカレンダー情報をデジタル式に表示するセグメント式のカレンダー表示部13aを備え、更に、最下段に、電池残量の如く現在時刻に関係ない第二の非時刻データDn2をデジタル表示する一種のセグメント式の電池残量表示部13bを備える。この例では、非時刻データ表示部13は、カレンダー表示部13a及び電池残量表示部13bからなる。液晶パネル11は、更に、その下側縁部11a及び上側縁部11bに、デジタル表示用データ入力端子部14,15を有する。ここで、下段の時刻データ入力端子14は、時刻データDtを入力するためのデータ入力端子であり、上段の非時刻データ入力端子15は、「カレンダーデータDn1」や「電池残量データDn2」のような非時刻データDnを入力するためのデータ入力端子である。
【0031】
図1に加えて図2及び図3からわかるとおり、時刻データ入力端子14は、時・分・秒の時刻データDtをデジタル表示するための多数の時刻データ表示用出力ラインとしての配線パターン群(伝送用配線)Ltiに応じた多数の入力用接点部分Atiを含む。同様に、非時刻データ入力端子15は、非時刻データをデジタル表示するための多数の非時刻データ表示用出力ラインとしての配線パターン群(伝送用配線)Lnjに応じた多数の入力用接点部分Anjを含む。
【0032】
回路ブロック20は、図1の(a)に加えて図2からわかるとおり、時計IC21及び受信IC22が実装された回路基板23を含み、該回路基板23には多数の配線パターンLが形成されている。回路基板23の配線パターンLは、時計IC21と受信IC22とをつなぐ配線パターンLaや受信IC22と受信アンテナ7とをつなぐ配線パターンLbに加えて、時刻データ出力用配線パターン群Lti及び非時刻データ出力用配線パターン群Lnjを含む。時刻データ出力用配線パターン群Ltiの一端は時刻データ出力端子24になっており、該時刻データ出力端子24は多数の時刻データ表示用出力ラインLtiに応じた多数の時刻データ出力用接点部分Btiを含む。非時刻データ表示用出力ラインLnjの一端は非時刻データ出力端子25になっており、該非時刻データ出力端子25は多数の信号線Lnjに応じた多数の非時刻データ出力用接点部分Bnjを含む。
【0033】
回路ブロック20の基板23の時刻データ及び非時刻データ出力端子24,25と液晶パネル10の時刻データ及び非時刻データ入力端子14,15との間には、コネクタ26,27が配設されている。コネクタ26は多数の導電層Ctiが絶縁層を介して積層一体化されたゴム状弾性体からなり、回路ブロック20の時刻データ出力用接点部分Btiの夫々と液晶パネル11の時刻データ入力用接点部分Atiの夫々とを接続している。コネクタ27は、コネクタ26と同様に多数の導電層Cnjが絶縁層を介して積層一体化されたゴム状弾性体からなり、回路ブロック20の非時刻データ出力用接点部分Bnjの夫々と液晶パネル11の非時刻データ入力用接点部分Anjの夫々とを接続している。
【0034】
なお、例えば、基板23がフレキシブル基板からなるような場合には、コネクタ26,27を用いる代わりに、回路ブロック20の基板23のデータ出力用接点部分Ati,Anjと液晶パネル11の対応するデータ入力用接点部分Bti,Bnjとを熱圧着その他の手段により直接接続してもよく、接続の仕方は所望に応じて選択され得る。
【0035】
受信アンテナ7は、棒状の磁気コア7aに絶縁被覆導体線7bを多数回巻回してなり、非時刻データ出力用コネクタ26及び液晶パネル11の上縁に沿って、回路基板23に固定されている。なお、その代わりに、回路基板23の上縁部23aに切欠を形成しておき該切欠部内に受信アンテナ7を配設し、液晶パネル11の剛性のパネル枠や電池5の剛性の電池枠その他の所望の固定支持手段ないし位置決め手段によりケースに対して受信アンテナ7を静置するようにしてもよい。受信アンテナ7の巻線7bは配線パターンLbを介して受信ICに接続されている。
【0036】
次に、以上のような構造を有するデジタル表示式電波修正腕時計1の機能について、図5に示した機能関連ブロック図に基づいて、説明する。
【0037】
デジタル表示式電波修正腕時計1は、時計回路本体部40、電波修正機構本体部50、電波修正制御部60、デジタル表示制御部70及びデジタル表示部80に加えて、非時刻データ表示制御手段としての受信・表示制御部90を有する。
【0038】
時計回路本体部40は、水晶発振器を備えた通常の時計回路の本体部であって、水晶発振器を含む発振回路41、該発振回路41からのクロックパルスを分周して分周パルスを発する分周回路42と、分周パルスの形態の秒パルスPsを計数し、時刻データとしての時・分・秒データDtを生成する時計回路としての計時回路43とを含む。なお、計時回路43は、また非時刻データ発生手段としても機能し、非時刻データDnに該当するカレンダーデータDn1を生成する。
【0039】
電波修正時計1は、この例では、図5において想像線で示した非時刻データ生成部30を更に備える。この例では、非時刻データ生成部30は、電池5の使用電力量をモニターして電池残量Dn2を非時刻データDnとして発する。この非時刻データ生成部30も、時計IC21に含まれる。なお、電波修正時計1が、歩数計の如く時計機能とは全く異なる機能を併せ持つ場合、歩数データ等も第二の種類の非時刻データDn2に含まれる。但し、歩数データのような非時刻データDn2は、当然ながら、時計IC21とは異なる別の集積回路で処理されることになる。また、電波修正時計1が中間のスプリットタイムを記憶可能なストップウォッチとしても機能する場合、電波修正時計1をストップウォッチモードに設定すると、当該ストップウォッチの計時データは、非時刻データDn2と扱われ、例えば、カレンダデータDn1の代わりに非時刻データ表示部13aで表示され得る。この非時刻データの形態のストップウォッチデータDn2は、その表示が以下で詳述されるカレンダーデータDn1と同様に停止制御される。ストップウォッチ機能は、所望ならば、時計IC21に組込まれ得る。
【0040】
ここで、時計回路本体部40のうち水晶発振器41(図2では図示省略)以外の部分及びデジタル表示制御部70は時計IC21に含まれる。一方、電波修正機構本体部50のうち受信アンテナ7以外の部分及び電波修正制御部60は、受信IC22に含まれる。受信・表示制御部90は、時計IC21に含まれても、受信IC22に含まれてもよく、時計IC21の汎用性を重視する場合受信ICに含まれ、受信ICを単純化する場合時計ICに含まれる。
【0041】
電波修正機構本体部50は、受信アンテナ7に加えて、該受信アンテナ7と共同して標準電波信号JJYを受信する受信回路51と、受信回路51で受信した標準電波JJYから時刻情報Jを取り出すデコード回路52とを有する。電波修正機構本体部50は、更に、受信開始信号Fを受信回路51に与えて該受信回路51による標準電波JJYの受信を開始させると共に該受信回路51による標準電波JJYの受信及びデコード回路52による時刻情報Jの抽出が正常に行われたか否かを判定する受信制御回路53を有する。受信制御回路53は、時刻情報Jの受信・抽出が正常に行われた場合には正常完了(受信成功)信号G1及び受信時刻情報Jを発し、時刻情報Jの受信・抽出に失敗した場合には受信失敗信号G2を発する。
【0042】
電波修正制御部60は、電波修正機構本体部50から正常完了(受信成功)信号G1及び受信時刻情報Jを受取った場合、該電波修正時刻情報Jを時刻情報格納部61に格納すし、該時刻情報Jを時計回路本体部40の計時回路43に送って、計時回路43の計時値を修正させると共に、受信・表示制御部90の後述する受信実行制御部91に正常完了(受信成功)信号G1を送る。一方、電波修正制御部60は、電波修正機構本体部50から受信失敗信号G2を受取った場合、受信・表示制御部90の受信実行制御部91に受信失敗信号G2を送る。
【0043】
非時刻データ表示制御手段としての受信・表示制御部90は、標準電波JJYの受信及び非時刻データDnの表示停止を制御すべく、上記受信実行制御部91と表示停止制御部92とを有する。
【0044】
受信実行制御部91は、予め指定若しくは予め決定された時刻(例えば、通常の就寝時間帯の特定の時刻、例えば午前2時)又は指示される毎に、電波修正動作を開始させるべく、受信実行指示信号Hを電波修正機構本体部50の受信制御回路53に与えて、受信制御回路53に受信開始信号Fを発生させる。より詳しくは、受信実行制御部91は、例えば、指定又は予定時刻情報を内部に保持しておき、計時回路43から受取る時刻情報が指定又は予定時刻情報に一致すると、受信実行指示信号Hを発する。なお、指定又は予定時刻情報は、受信実行制御部91に保持される代わりに、時計回路本体部50側に保持されてもよい。また、受信実行制御部91は、ユーザによる押ボタンスイッチの押圧等により電波修正動作の指示Kを受取った場合にも、受信実行指示信号Hを発する。
【0045】
なお、受信実行制御部91は、更に、受信実行指示信号Hを発した後、受信失敗信号G2を受取る毎に、所定の繰り返しのタイミングで、再度の受信実行指示信号Hを発して、電波修正指示を繰返す。この繰返制御は、正時毎に行われるようになっていても、所定の複数回に限り受信失敗信号G2の受取り後直ちに行われるようになっていても、指示Kを受けた場合にのみ所定の複数回に限り受信失敗信号G2の受取り後直ちに行われるようになっていてもよい。
【0046】
受信実行制御部91は、また、受信実行指示信号Hを発する際に、同時に、非時刻情報表示停止制御開始信号M1を表示停止制御部92に与えて該表示停止制御部92に非時刻情報表示停止信号Rを出させ、更に、正常完了(受信成功)信号G1又は受信失敗信号G2を受取る毎に、非時刻情報表示停止制御解除信号M2を表示停止制御部92に与えて該表示停止制御部92に非時刻情報表示停止信号Rの送信を止めさせる。
【0047】
デジタル式表示器としてのデジタル表示部80は液晶表示部10ないし液晶パネル11により構成される。このブロック図では、液晶表示部10の如きデジタル式表示部は、符号80で表す。デジタル表示部80は、時刻データデジタル表示部81及び非時刻データデジタル表示部82を有し、デジタル表示制御部70は、時刻データ表示制御部71及び非時刻データ表示制御部72を有する。
【0048】
時刻データ表示制御部71は、時計回路本体部40の計時回路43の時刻データ(時・分・秒データ)Dtをデジタル表示部80の時刻データデジタル表示部81で表示させる。時計回路本体部40の計時回路43が電波修正時刻情報Jを受取った場合には、この時刻データDtは、該時刻情報Jに基づいて修正された時刻データになる。
【0049】
非時刻データ表示制御部72は、表示可能状態Q1(図示せず)と表示停止状態Q2(図示せず)との二種類の状態を採り、表示可能状態Q1(図示せず)にある場合、カレンダーデータ(日・曜日データ)Dn1や電池残量Dn2の如き非時刻データDnを、デジタル表示部80の非時刻データデジタル表示部82で表示させる。
【0050】
デジタルデータ表示制御部70の非時刻データ表示制御部72は、通常は、表示可能状態Q1(図示せず)を採り、受信・表示制御部90の表示停止制御部92からの非時刻情報表示停止信号Rが入力されている間は、表示停止状態Q2(図示せず)に設定されて、非時刻データDnの表示を停止する。
【0051】
すなわち、受信実行制御部91が、受信実行指示信号Hを発すると同時に非時刻情報表示停止制御開始信号M1を発すると、表示停止制御部92が表示停止信号Rを非時刻データ表示制御部72に送るので、非時刻データDn(すなわち、Dn1やDn2)の表示が停止される。この非時刻データDnの表示停止は、受信実行制御部91が受信成功信号G1又は受信失敗信号G2を受取って非時刻情報表示停止制御解除信号M2を発することにより解除され、表示停止制御部92の制御下で非時刻データ表示制御部72が表示可能状態Q1(図示せず)に戻って、非時刻データDnの表示が再開される。
【0052】
従って、電波修正機構本体部50により標準電波JJYの受信が行われている間は、非時刻データ表示用配線ないし導電路Lnj,Bnj,Cnj,Anjには信号が流れず、デジタル表示部80の非時刻データデジタル表示部82による非時刻データDnの表示が停止されるから、電波修正機構本体部50の標準電波JJYの受信が非時刻データ表示用配線Lnj,Bnj,Cnj,Anjを信号が通る場合に生じるノイズによって、受信アンテナ7での標準電波JJYの受信が妨害される虞れがない。その結果、受信アンテナ7を液晶パネル11の一側11bにあるコネクタ27に近接させて配置することが可能になり、時計1の小型化が図られ得る。
【0053】
ここで、デジタル表示部80は、液晶表示部10の液晶パネル11からなり、時刻データデジタル表示部81及び非時刻データデジタル表示部82は、夫々、液晶パネル11の表示部12及び13からなる。
【0054】
以上において、「〜回路」や「〜部」として表された機能ブロックは、当該機能ブロックが果たすべき機能を果たし得る限り、当該特定の機能を果たすように構成された電気・電子回路(論理回路を含む)であっても、マイクロプロセッサとプログラムとの組合せであってもよい。また、各種の信号は、電気・電子信号であっても、プログラムの実行過程で処理されるデータ又は情報であってもよい。
【0055】
次に、以上の如く構成されたデジタル表示式電波修正時計の動作について、図1から図5に加えて、該時計1の動作を模式的した図6に基づいて、簡単に説明する。
【0056】
例えば、ユーザが押ボタンスイッチ等を押圧して電波修正指示信号Kを発すると、受信・表示制御部90の受信実行制御部91が表示停止制御部92に非時刻情報表示停止開始信号M1を与えると共に、受信実行指示信号Hを電波修正機構本体部50の受信制御回路53に与える。表示停止制御部92が、信号M1に応じて非時刻情報表示停止信号Rを非時刻データ表示制御部72与えて、非時刻情報Dnの表示を停止させる。一方、受信制御回路53が、受信回路Fに受信開始信号Fを与えて受信を開始させる。
【0057】
従って、受信IC22を含む集積回路21,22が、受信開始信号Fを受取って受信アンテナ7による標準電波JJYの受信すなわち時刻情報Jの受信が行われる間は、非時刻データ表示出力ラインLnjを介する表示がOFF状態にされて、非時刻データ表示出力ラインLnjを介する非時刻データDnの送信・表示が停止される。その結果、図6からわかるとおり、非時刻データDnに該当するカレンダーデータDn1の表示部13aの表示自体が消えている。この状態では、非時刻データ表示出力ラインLnjを介するカレンダーデータDn1及びその表示制御信号の液晶パネル11への送信が停止されているので、受信アンテナ7が配置された液晶パネル11の上縁部11b近傍に表示用の電気信号が流れることがないから、受信アンテナ7が液晶パネル11の上縁部11bに近接して配置されても、受信アンテナ7による標準電波JJYの受信が表示信号によるノイズを受けることなく行われ得る。従って、デジタル表示式電波修正時計1では、サイズの増加を避けつつ受信アンテナの信号受信性能を維持し得る。
【0058】
標準電波JJYの受信による時刻情報Jの取得に成功すると、受信制御回路53から電波修正制御部60を介して計時回路43の時刻データDtが受信時刻情報Jに基づいて修正されると共に、受信成功信号G1の受信に応じて、受信・表示制御部90が非時刻情報表示停止信号Rの送出を停止し、非時刻データ表示制御部72が非時刻データDnの表示を可能にし、非時刻データデジタル表示部82により、非時刻データDnの表示が再開される。
【0059】
以上においては、非時刻データDn1,Dn2の全てを、液晶パネル11の12側縁部11bにおいて受信アンテナ7の近傍に位置する端子15,25及びコネクタ27から液晶パネル11に入力する例について説明したけれども、非時刻データDnの一部、例えば、電池残量データDn2を、側縁部11bの代わりに側縁部11aの端子14,24およびコネクタ26の一部を利用して液晶パネル11に入力するようにしてもよい。その場合、側縁部11aから入力される非時刻データDn2は、標準電波JJYの時刻情報Jの受信・抽出の間も停止されることなく表示されてもよい。従って、表示停止制御部92及び非時刻データ表示制御部72は、非時刻データDnの種類Dn1,Dn2に応じて、表示の停止を制御することになる。但し、所望ならば、非時刻データDn2も表示停止されてもよい。
【0060】
更に、例えば、受信アンテナ7が液晶パネル11に対して図1に示した12側に配置される場合であって、端子15,25及びコネクタ27が、12時側ではなくて、3時側(液晶パネル11の右側縁)や9時側(液晶パネル11の左側縁)の如く受信アンテナ7とは離れた側縁部に配置される場合、非時刻データDnは、標準電波JJYの時刻情報Jの受信・抽出の間も停止されることなく表示されてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】本発明による好ましい一実施例のデジタル表示式電波修正時計の主要部分を示したもので、(a)は平面説明図(但し、液晶表示部の背後に位置する配線パターンを重なり状態がわかるように破線で明示してある)、(b)は(a)IB−IB線の断面説明図。
【図2】図1の電波修正時計の回路ブロックの平面説明図。
【図3】図1の電波修正時計の液晶表示部の平面説明図。
【図4】図1の電波修正時計の外観説明図。
【図5】図1の電波修正時計の機能を模式的に示した機能関連ブロック図。
【図6】図1の電波修正時計による非時刻データの表示停止制御を模式的に示した説明図。
【符号の説明】
【0062】
1 デジタル表示式電波修正時計
2 腕時計部
3 時計バンド部
4 ケース
5 電池
6 時計本体部
7 受信アンテナ
10 液晶表示部
11 液晶パネル
12 時刻表示部
13 非時刻データ表示部
13a カレンダー(日・曜日)表示部
13b 電池残量表示部
14 時刻データ表示用入力端子
15 非時刻データ表示用入力端子
20 回路ブロック
21 時計IC
22 受信IC
23 回路基板
24 時刻データ表示用出力端子
25 非時刻データ表示用出力端子
26 非時刻データ用コネクタ
27 時刻データ用コネクタ
40 時計回路本体部
41 発振回路
42 分周回路
43 計時回路
50 電波修正機構本体部
51 受信回路
52 デコード回路
53 受信制御回路
60 電波修正制御部
61 受信時刻情報格納部
70 デジタル表示制御部
71 時刻データ表示制御部
72 非時刻データ表示制御部
80 デジタル表示部
81 時刻データデジタル表示部
82 非時刻データデジタル表示部
90 受信・表示制御部
91 受信実行制御部
92 表示停止制御部
Anj 非時刻データ入力用接点部分
Ati 時刻データ入力用接点部分
Bnj 非時刻データ出力用接点部分
Bti 時刻データ出力用接点部分
Cnj,Cti 導電層
Dt 時刻データ
Dn 非時刻データ
Dn1 カレンダーデータ(非時刻データ)
Dn2 現在時刻に関係しない非時刻データ
受信開始信号
G1 受信成功信号
G2 受信失敗信号
H 受信実行指示信号
J 受信時刻情報
JJY 標準電波信号
L 配線パターン
Lnj 非時刻データ表示用出力ライン(伝送用配線)
Lti 時刻データ表示用出力ライン(伝送用配線)
M1 表示停止制御開始信号
M2 表示停止制御解除信号
Ps 秒パルス
R 非時刻情報表示停止信号

【特許請求の範囲】
【請求項1】
時・分を含む時刻データをデジタル表示する表示器を備えたデジタル表示式電波修正時計であって、
前記表示器の一側の近傍に配置され時刻情報を含む標準電波信号を受信する受信アンテナと、
該アンテナで受信した前記標準電波信号の時刻情報に基づいて修正された時刻データを生成する時計回路と、
前記時刻データを含む表示用出力信号を該時計回路から前記表示器に送るための配線からなる時刻データ表示用出力ラインとを有し、
前記時刻データ表示用出力ラインが前記表示器のうち前記受信アンテナに近接する前記一側とは異なる箇所で、前記表示器に接続されているデジタル表示式電波修正時計。
【請求項2】
前記表示器が前記時刻データ以外の非時刻データをデジタル表示するように構成され、
前記電波修正時計が、
前記非時刻データを生成する非時刻データ発生手段と、
該非時刻データ発生手段と前記表示器の前記一側とをつなぐ配線からなる非時刻データ表示用出力ラインと、
該非時刻データ表示用出力ラインを介する前記非時刻データの前記表示器への伝送を制御する非時刻データ表示制御手段とを更に有し、
前記非時刻データ表示制御手段は、前記時計回路が前記標準電波信号の時刻情報に基づいて時刻修正を行なうべく前記受信アンテナが前記標準電波信号を受信している間、前記非時刻データの前記表示器への伝送を停止するように構成されている
請求項1に記載のデジタル表示式電波修正時計。
【請求項3】
前記非時刻データが、日もしくはそれよりも長い期間を表すカレンダーデータ、又は時刻に依存しないデータである請求項2に記載のデジタル表示式電波修正時計。
【請求項4】
前記時計回路及び前記非時刻データ表示制御手段が回路基板に実装され、該回路基板が、前記時刻データ表示用出力ライン及び前記非時刻データ表示用出力ラインを構成する配線パターンを備える請求項2又は3に記載のデジタル表示式電波修正時計。
【請求項5】
前記表示器が、その前記一側に表示信号入力用の多数の接点部分を含む非時刻データ表示用入力端子を備え、前記非時刻データ表示用出力ラインが、表示器側の端部に表示信号出力用の多数の接点部分を含む非時刻データ表示用出力端子を備え、前記非時刻データ表示用出力ラインの該非時刻データ表示用出力端子が、コネクタを介して、前記表示器と前記受信アンテナとの間において、前記表示器の前記非時刻データ表示用入力端子に接続されている請求項4に記載のデジタル表示式電波修正時計。
【請求項6】
前記表示器が、液晶ディスプレイ式、発光ダイオード式、又は有機ELディスプレイ式、電子ペーパ式である請求項1から5までのいずれか一つの項に記載のデジタル表示式電波修正時計。
【請求項7】
前記表示器が細長い平面形状を備え、前記受信アンテナが前記表示器の前記一側をなす長い辺に沿って配置されている請求項1から6までのいずれか一つの項に記載のデジタル表示式電波修正時計。
【請求項8】
前記受信アンテナがアナログ式表示の場合の12時側又は6時側に配置されている請求項1から7までのいずれか一つの項に記載のデジタル表示式電波修正時計。
【請求項9】
腕時計の形態である請求項1から8までのいずれか一つの項に記載のデジタル表示式電波修正時計。
【請求項10】
デジタル表示を行なう表示器の表示時刻を、該表示器の一側に配置した受信アンテナによって受信した標準電波信号に含まれる時刻情報に基づいて修正する際に、該時刻情報を受信している間、表示器の前記一側から該表示器への表示信号の入力を停止するようにしたデジタル表示式電波修正時計の標準電波受信方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−187504(P2007−187504A)
【公開日】平成19年7月26日(2007.7.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−4638(P2006−4638)
【出願日】平成18年1月12日(2006.1.12)
【出願人】(000002325)セイコーインスツル株式会社 (3,629)
【Fターム(参考)】