デュアル物理量センサのセンサペアの選出方法
【課題】出力差の計測仕様を満足する物理量センサペアの組合せ方法を提案することを目的とする。
【解決手段】複数の物理量センサについて当該物理量センサの出力特性の精度指標の最大値と最小値を求める過程と、複数の物理量センサの中から出力特性の精度指標の最大値と最小値の差が予め定められた出力特性の精度指標の許容範囲内にあるものを第1又は第2の物理量センサの候補として複数選出する過程と、複数の候補の物理量センサから第1の物理量センサを選択し、当該第1の物理量センサの出力特性の精度指標の最大値及び最小値とセンサペアの差出力の精度指標とに基づいて第1の物理量センサとペアとなる第2の物理量センサが備えるべき出力特性の精度指標の上限値と下限値とを求める過程と、第2の物理量センサが備えるべき出力特性の精度指標の上限値と下限値に基づいて複数の候補の物理量センサの中から第2の物理量センサを決定する過程と、を有する。
【解決手段】複数の物理量センサについて当該物理量センサの出力特性の精度指標の最大値と最小値を求める過程と、複数の物理量センサの中から出力特性の精度指標の最大値と最小値の差が予め定められた出力特性の精度指標の許容範囲内にあるものを第1又は第2の物理量センサの候補として複数選出する過程と、複数の候補の物理量センサから第1の物理量センサを選択し、当該第1の物理量センサの出力特性の精度指標の最大値及び最小値とセンサペアの差出力の精度指標とに基づいて第1の物理量センサとペアとなる第2の物理量センサが備えるべき出力特性の精度指標の上限値と下限値とを求める過程と、第2の物理量センサが備えるべき出力特性の精度指標の上限値と下限値に基づいて複数の候補の物理量センサの中から第2の物理量センサを決定する過程と、を有する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、デュアル物理量センサを製造する際に複数のセンサからセンサペアを選択するセンサペアの選出方法及び選出情報の表示に関する。
【背景技術】
【0002】
圧力センサ、温度センサ、速度センサ等の物理量センサをペアで用いることがある。例えば、2つの圧力センサを用いてなるデュアル圧力センサは流量制御弁に取り付けられて弁体の上流側の流体圧力P1と弁体の下流側の流体圧力P2とを検出する差圧センサとして使用される。流体圧力P1とP2の圧力差に基づいて流量制御弁内を流れる流体の流量が計算される。例えば、特許文献1には出力補正回路を備えたデュアル圧力センサの例が記載されている。また、特許文献2には差圧センサを用いた流量制御弁の例が記載されている。
【0003】
上述したデュアル圧力センサには所定の差圧精度の仕様を満足することが要求される。そこで、デュアル圧力センサのセンサペアを選出するにあたっては、圧力センサ単体として定められた一定範囲の測定精度を満足する圧力センサの中から2つの圧力センサを選出して1つのパッケージに組み込んでデュアル圧力センサを構成している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−31003号公報
【特許文献2】特開平2009−115302号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、圧力センサ単体として定められた測定精度仕様を満足する2個の圧力センサをペアにしたとしても圧力センサの圧力対出力の特性カーブに相違があることによって、圧力センサの個々の組合せのケースによっては差圧に対して定められた測定精度を満たさない場合も生じ得る(後述)。圧力センサの全ての組合せにおいて差圧に対して定められた測定精度仕様を満たすことを保証することは難しい。
【0006】
また、圧力センサの全て間の組合せにおいて差圧に対して定められた測定精度仕様を満たすことを保証しようとすると圧力センサ単体として定められた測定精度仕様を厳しくせざるを得ず、そうすると測定精度仕様を満たす圧力センサの個数が減少し、デュアル圧力センサの生産性が悪化し、コストが上昇する不具合が考えられる。
【0007】
よって、本発明は、出力差の計測仕様を満足する物理量センサペアの組合せ方法及び組合せを容易にする表示媒体を提案することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の物理量センサのセンサペアの選出方法の一態様は、
第1及び第2の物理量センサを含むデュアル物理量センサのセンサペアの選出方法において、
複数の物理量センサについて当該物理量センサの出力特性の精度指標の最大値と最小値を求める第1ステップと、
上記複数の物理量センサの中から上記出力特性の精度指標の最大値と最小値の差が予め定められた出力特性の精度指標の許容範囲内にあるものを上記第1又は第2の物理量センサの候補として複数選出する第2ステップと、
上記複数の候補の物理量センサから上記第1の物理量センサを選択し、当該第1の物理量センサの上記出力特性の精度指標の最大値及び最小値と上記センサペアの差出力の精度指標とに基づいて上記第1の物理量センサとペアとなる第2の物理量センサが備えるべき出力特性の精度指標の上限値と下限値とを求める第3ステップと
上記第2の物理量センサが備えるべき出力特性の精度指標の上限値と下限値に基づいて上記複数の候補の物理量センサの中から上記第2の物理量センサを決定する第4ステップと、を有する。
【0009】
かかる構成とすることによって、デュアル物理量センサの出力差の計測仕様を満足する物理量センサペアを容易に決定することが出来る。
【0010】
望ましくは、上記第3ステップは、選択された上記第1の物理量センサの出力特性の精度指標の最大値に上記センサペアの差出力の精度指標の許容範囲(差出力精度仕様)の2分の1を減算したものを上記第2の物理量センサが備えるべき出力特性の精度指標の下限値とし、選択された上記第1の物理量センサの精度指標の最小値に上記センサペアの差出力の精度指標の許容範囲の2分の1を加算したものを上記第2の物理量センサが備えるべき出力特性の精度指標の上限値とする、ことを特徴とする。
【0011】
望ましくは、上記第4ステップは、上記第2の物理量センサが備えるべき出力特性の精度指標の上限値及び下限値の間に、当該物量センサの出力特性の精度指標の最大値及び最小値が存在する上記候補の物理量センサを選択するものである、ことを特徴とする。
【0012】
本発明の圧力センサのセンサペアの選出方法の一態様は、
第1及び第2の圧力センサを含むデュアル圧力センサのセンサペアの選出方法において、
複数の圧力センサについて当該圧力センサの出力特性の精度指標の最大値と最小値を求める第1ステップと、
上記複数の圧力センサの中から上記出力特性の精度指標の最大値と最小値の差が予め定められた出力特性の精度指標の許容範囲内にあるものを上記第1又は第2の圧力センサの候補として複数選出する第2ステップと、
上記複数の候補の圧力センサから上記第1の圧力センサを選択し、当該第1の圧力センサの上記出力特性の精度指標の最大値及び最小値と上記センサペアの差圧出力の精度指標とに基づいて上記第1の圧力センサとペアとなる第2の圧力センサが備えるべき出力特性の精度指標の上限値と下限値とを求める第3ステップと
上記第2の圧力センサが備えるべき出力特性の精度指標の上限値と下限値に基づいて上記複数の候補の圧力センサの中から上記第2の圧力センサを決定する第4ステップと、を有する。
【0013】
かかる構成とすることによって、デュアル圧力センサの差圧出力の計測仕様を満足する圧力センサペアを容易に決定することが出来る。
【0014】
望ましくは、上記第3ステップは、選択された上記第1の圧力センサの出力特性の精度指標の最大値に上記センサペアの差出力の精度指標の許容範囲の2分の1を減算したものを上記第2の圧力センサが備えるべき出力特性の精度指標の下限値とし、選択された上記第1の圧力センサの精度指標の最小値に上記センサペアの差圧出力の精度指標の許容範囲の2分の1を加算したものを上記第2の圧力センサが備えるべき出力特性の精度指標の上限値とする、ことを特徴とする。
【0015】
望ましくは、上記第4ステップは、上記第2の圧力センサが備えるべき出力特性の精度指標の上限値及び下限値の間に、当該圧力センサの出力特性の精度指標の最大値及び最初値が存在する上記候補の圧力センサを選択するものである、ことを特徴とする。
【0016】
望ましくは、上記物理量センサあるいは上記圧力センサが同一のパッケージ内に配置されている。それにより、物理量あるいは圧力以外のセンサ出力に影響するパラメータ(例えば、温度、気圧、湿度など)を同じにする。2つのセンサの差出力によって検出対象パラメータ以外のパラメータの影響を相殺することができる場合がある。
【0017】
望ましくは、更に、上記第1の物理量センサの上記出力特性の精度指標の最大値及び最小値と上記第2の物理量センサが備えるべき出力特性の精度指標の上限値と下限値とを媒体に記録する第5ステップを含む。それにより、媒体の記録を参照することによって第1の物理量センサとペア適合する第2の物理量センサを容易に選択することができる。媒体はメモリや印刷物などであっても良い。
【0018】
例えば、メモリは第1の物理量センサ内のメモリとすることができる。また、印刷物(ラベル)は第1の物理量センサの本体や包装容器に付することが出来る。デュアル物量センサの一方の物理量センサが故障した場合、全交換でなく一つの物理量センサを交換することによる補修作業が容易になる。
【0019】
望ましくは、更に、上記第1の圧力センサの上記出力特性の精度指標の最大値及び最小値と上記第2の圧力センサが備えるべき出力特性の精度指標の上限値と下限値とを媒体に記録する第5ステップを含む。それにより、媒体の記録を参照することによって第1の圧力センサとペア適合する第2の圧力センサを容易に選択することができる。媒体はメモリや印刷物などであっても良い。
【0020】
例えば、メモリは第1の圧力センサ内のメモリとすることができる。また、印刷物(ラベル)は第1の圧力センサの本体や包装容器に付することが出来る。デュアル圧力センサの一方の圧力センサが故障した場合、全交換でなく一つの圧力センサを交換することによる補修作業が容易になる。
【0021】
また、本発明の他の態様である物理量センサ用の記録媒体は、
第1の物理量センサの出力特性の精度指標の最大値及び最小値が記録された自己特性記録部と、
上記第1の物理量センサとペアで使用される第2の物理量センサが備えるべき出力特性の精度指標の上限値及び下限値が記録された相手特性記録部と、
を備える。
【0022】
かかる構成とすることによって、デュアル物理量センサのペアを容易に選択することが可能となる。
【0023】
望ましくは、上記記録媒体がラベルで有り、上記自己特性記録部及び上記相手特性記録部が可視的表示(例えば、印刷表示)欄である。それにより、第1の物理量センサ本体やその包装容器などに簡単に表示が行われる。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、歩留まりの良いデュアル物理量センサのセンサペアの選択を行うことが可能となって具合が良い。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明を実施する計測システムの例を説明するブロック図である。
【図2】本発明の物理量センサペアの選択手順を説明するフローチャートである。
【図3】本発明の物理量センサペアの選択手順を説明するフローチャートである。
【図4】物理量センサペアにおける差出力精度(差圧精度)を説明する説明図である。
【図5】精度指標の例(圧力)を説明するグラフである。
【図6】精度指標の例(リニアリティ)を説明するグラフである。
【図7】精度指標の例(電圧)を説明するグラフである。
【図8】差圧精度を求めるための比較パターン例を説明する説明図である。
【図9】最悪の差圧精度となる例を説明する説明図である。
【図10】最悪の差圧精度となる例を説明する説明図である。
【図11】物理量センサの出力例を説明するグラフである。
【図12】物理量センサ(圧力センサ)単体の精度条件を説明するグラフである。
【図13】物理量センサ(圧力センサ)単体の精度条件を説明するグラフである。
【図14】物理量センサ(圧力センサ)ペアの第1のセンサの出力特性例を説明する説明図である。
【図15】物理量センサ(圧力センサ)ペアの第1のセンサの出力精度範囲を説明する説明図である。
【図16】物理量センサ(圧力センサ)ペアの差圧精度が精度仕様内に入る条件を説明する説明図である。
【図17】物理量センサ(圧力センサ)ペアの組合せ例(第2のセンサ)を説明する説明図である。
【図18】物理量センサの組合せ選択を容易にするラベル表示の例(精度表示)を説明する説明図である。
【図19】物理量センサの組合せ選択を容易にするラベル表示の例(簡易化表示)を説明する説明図である。
【図20】物理量センサの組合せ選択を容易にするラベル表示の例(バーコード表示)を説明する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の実施例等について図面を参照して説明する。
【0027】
まず、物理量センサペアの出力特性の精度指標として差出力精度を用いる場合について図4を参照して説明する。同図は、2つの圧力センサからなる差圧センサの出力例を示しており、横軸は圧力[kPa]、縦軸は精度[%FS]を示している。ここで、%FSはフルスケール誤差を表している。フルスケールは調節計や記録計などの測定レンジを持っている機器の入力レンジ幅であり、フルスケール誤差は測定レンジを持っている機器で制御精度や表示精度を表すときに使用するパラメータである。機器設定の固有レンジ幅にフルスケール誤差の比率をかけた数値が誤差範囲となる。
【0028】
例えば、2つの静圧センサS1とS2とからなる差圧センサの差圧精度を±0.2[%FS]とした場合、差圧が0[kPa]ならば、(すなわち、圧力センサS1と圧力センサS2への印加圧力が一緒ならば、)どの圧力値で差圧(P1−P2)を計算しても精度は±0.2[%FS]以内となる差圧センサでも、例えば、差圧が1000[kPa]の場合について考えると、圧力センサS1の出力P1が2000[kPa]、センサS2の出力が1000[kPa]のときに、差圧精度は0.2[%FS]を越える場合がある(図4参照)。
【0029】
このように物理量センサ単体では所定の精度指標を満足するが、センサペアとすることによって所要の差出力精度指標を満たさなくなる場合が生じ得る。
【0030】
図5乃至図7は、物理量センサS1,S2の他の精度指標の例を示している。図5は圧力値[kPa]を精度指標とした例を示している。図6はリニアリティ[%]を精度指標とした例を示している。図7は電圧出力[V]を精度指標とした例を示している。
【0031】
図1は、本発明のデュアル物理量センサのセンサペアの選出方法を実施するセンサペア選出支援装置(コンピュータシステム)の構成例を示している。この構成例では、物理量センサが圧力センサの例である。
【0032】
同図に示すように、高圧ガスボンベやコンプレッサーなどの高圧ガス供給源11から検査用の流体(例えば、圧縮空気)が供給される。流体は減圧弁12によって減圧されて圧力発生装置13に供給される。圧力発生装置13は流体を後述の周辺機器制御部31からの指令に応じた圧力値に調整して(圧力値可変)検査対象の複数の圧力センサ21に供給する。
【0033】
各圧力センサ21には図示しない切替弁を介して流体が供給され、この切替弁は周辺機器制御部31によって制御される。また、各圧力センサ21には、圧力センサ21を動作させる電源が電源装置14から供給される。電源装置14は周辺機器制御部31によって制御され、各圧力センサ21への電源供給の有無、供給電圧値などが設定可能である。
【0034】
コンピュータシステムによって検査対象の圧力センサ21に所要の電源を供給し、切替弁を制御して検査対象の圧力センサ21に流体を供給することによって圧力センサを選択する。圧力発生装置13に流体の圧力を変化させて対象圧力センサ21の出力特性を測定する。圧力センサ21の出力は圧力センサ通信ユニット34に供給される。
【0035】
センサペア選出支援装置の主要な構成部分であるコンピュータシステム30は、周辺機器制御部31、記憶媒体部32、入出力インタフェース33、圧力センサ通信ユニット34、演算処理部35等を含んでいる。
【0036】
周辺機器制御部31は、電源装置14、圧力発生装置13、切替弁(図示せず)などを制御する制御信号を演算処理部35の指令に基づいて出力する。記憶媒体32は、制御プログラムやデータベースを不揮発に保存するROM、ハードディスク、SSD(Solid State Drive)などの大容量記憶装置等からなる。入出力インタフェース33は、入力装置、出力装置、外部接続装置などと演算処理部35などとの情報伝送を媒介する。圧力センサ通信ユニット34は圧力センサ21から所定の形式で出力される信号を信号変換して記憶媒体32や演算処理部35などに伝送する。また、圧力センサ21が内蔵する制御部(MPU:マイクロプロセッサ)などと必要により通信を行う。演算処理部35はMPU、メモリなどを含み、センサペア選出支援などの制御プログラムを実行する。また、演算処理部35はプログラムに基づいて各部の制御を行う。演算処理部35には、プログラムによって出力特性演算部、第1のセンサ選択部、第2のセンサ選択部などの各機能が構成される。
【0037】
コンピュータシステム30には、キーボード、マウス、タッチパネルなどの入力装置41、制御情報や装置状態、プログラムなどの表示を行うモニタ装置42(上記出力装置に相当する)、物理量センサの選択を容易にする情報をシール紙などに印刷するラベルプリンタ43(上記外部接続装置に相当する。)などが接続される。
【0038】
次に、上述したセンサペア選出支援装置における動作を説明する。まず、センサペア選出の方法(理論)について説明する。
【0039】
図8は、センサペア(圧力センサ)の精度指標の1つである差圧精度を求めるための説明図である。差圧センサは、2つの圧力センサS1及びS2、圧力センサS1の出力を補正する補正回路1、圧力センサS2の出力を補正する補正回路2(図示せず)を含んでいる。差圧センサは、2つの圧力差センサのそれぞれに加えられる圧力を検出し、出力の差を差圧として計算する。2つの圧力センサをセンサS1、センサS2とすると、差圧精度は、真の差圧値とS1とS2の出力から求められた差圧との差で計算することができるが、その計算式は単位などによって異なるため一概には言えない。
【0040】
このとき、差圧精度を求めるための2つの出力の比較パターンは、図8に示すようにセンサS1の出力とセンサS2の出力の組合せから多数のパターンが考えられる。これ等の多数の組合せパターンのうちで図9に示す矢印の組合せパターンが最も差圧精度の悪いパターンである。
【0041】
また、図10に示すような、センサS1の凹状の出力特性とセンサS2の凸状の出力特性相互間における組合せパターンの場合には、同図中に矢印で示される組合せパターンが最も差圧精度の悪いパターンである。
【0042】
上記最も差圧精度が悪くるなるパターンの例により、差圧精度が所定の仕様範囲内に入るかどうかを下記(a),(b)部分の2つの比較パターンについて計測すれば差圧精度仕様を満たし得るかどうかを判別することができる。
【0043】
(a)「センサS1の最大値」と「センサS2の最小値」より、
差圧精度仕様の絶対値≧(センサS1の最大値−センサS2の最小値)の絶対値
(b)「センサS1の最小値」と「センサS2の最大値」より
差圧精度仕様の絶対値≧(センサS2の最大値−センサS1の最小値)の絶対値
そこで、まず、図11に示すように、各圧力センサについて出力特性(出力精度)を測定し、特性曲線から最小値と最大値を求める。圧力センサ単体の精度条件を満たすか判断する。満たす場合には、圧力センサペアの第1の圧力センサの選択対象となる。
【0044】
図12及び図13は、圧力センサ単体の精度条件を説明する説明図である。図12に示すように、差圧精度仕様を満足するためには、圧力センサ単体の精度幅(最小値と最大値の差)は差圧精度仕様の2倍以内でなければならない。図示の例では、差圧センサの精度仕様が±2.0[%FS]の場合であり、圧力センサの精度幅は±4.0[%FS]以内であることが要求される。
【0045】
ここで、圧力センサ単体の精度幅が差圧センサの差圧精度仕様の2倍以内である理由は、図13に示すように、仮に、圧力センサS1の精度幅が差圧精度仕様の2倍であったとしても、精度幅が0[%FS]で且つセンサS1の精度幅の中間点を通っている精度特性を持つセンサS2と組み合わせれば差圧精度仕様±2.0[%FS]を満足することができるからである(後述の図16参照)。
【0046】
次に、第2の圧力センサの選択について説明する。既述のように差圧精度は2つの圧力センサの精度特性相互間の最小値と最大値の比較となる。そこで、図14に示すような、精度特性の最小値PAminが−0.8[%FS]、最大値PAmaxが0.5[%FS]である圧力センサS1に適合する圧力センサS2を選択する場合について考える。
【0047】
図15は、図14の表現を変えたもので、横軸を圧力精度[%FS]として圧力センサの出力特性の範囲を示している。2つの圧力センサを組み合わせて差圧精度が精度仕様内に収まるようにするために、2つの圧力センサの精度特性の最小値と最大値を比較する。圧力センサS1と圧力センサS2の出力特性の各最小値をPAmin1、PAmin2とし、圧力センサS1と圧力センサS2の出力特性の各最大値をPAmax1、PAmax2とすると、圧力センサS1に組み合わせることのできる圧力センサS2の出力特性の条件は次のようになる。
【0048】
条件:「圧力センサS1のPAmin1±差圧精度仕様の範囲内」且つ「圧力センサS1のPAmax1±差圧精度仕様の範囲内」に圧力センサS2のPAmin2とPAmax2が存在する。
【0049】
図16は、図15に上記条件を図示したものである。圧力センサS2の出力特性の許容範囲は、「圧力センサS1のPAmin1±差圧精度仕様の範囲」と「圧力センサS1のPAmax1±差圧精度仕様の範囲」が重複する部分であり、この範囲内に圧力センサS2のPAmin2とPAmax2が存在することが条件となる。この条件から次の関係式を得る。
【0050】
PAmin2≧PAmax1−差圧精度仕様の絶対値 (1)式
PAmax2≧PAmin1+差圧精度仕様の絶対値 (2)式
ここで、差圧精度仕様の絶対値は±差圧精度仕様(差出力の精度指標の許容範囲)の1/2に相当する。
【0051】
したがって、図14に示すような、精度特性の最小値PAminが−0.8[%FS]、最大値PAmaxが0.5[%FS]である圧力センサS1に適合する圧力センサS2は、(1)式より、
PAmin2≧0.5−2.0
≧−1.5 [%FS]
PAmax2≧−0.8+2.0
≧―1.2 [%FS]
の範囲となる圧力センサが該当する。
【0052】
図17は、圧力センサS1の出力特性例とこの圧力センサS1と組合せ可能な圧力センサ2の出力特性例を示している。
【0053】
図18は、圧力センサS1に対応する圧力センサS2を選択する例を示している。上述した手順によって各圧力センサには、出力特性の計測によって求められた自己の最小値及び最大値が記録される。また、この圧力センサS1に対応する圧力センサS2の下限値、上限値が記録される。例えば、記録は圧力センサの製造番号などで検索可能にセンサペア選出支援装置内にデータベース化される。記録は各圧力センサ内の電気回路(MPU)に記憶しても良い。また、記録を図18に示すような表現形式でラベル(表示体)に印刷して可視的に表示し、圧力センサに貼り付けても良い。
【0054】
図18に示すように、例えば、圧力センサS1の最小値が0.8、最大値が0.5で、ペアとなるべき圧力センサS2の下限値が−1.5、上限値が1.2と表示されている場合、圧力センサS2として自己の出力特性が−0.2〜0.6の圧力センサを選択することができる。また、圧力センサS2として自己の出力特性が−1.0〜0.7の圧力センサを選択することもできる。
【0055】
図19は、ラベル表示を見やすくした例を示している。この例では、図18に示す特性値に10を足し、更に10倍している。各圧力センサの最小値及び最大値、この圧力センサと適合する圧力センサの下限値、上限値の他の表示形式である。例えば、図18に示す形式では「0」となる数値が「100」として表示され、小数点とマイナス表示がなくなるので見やすくなる。
【0056】
図20は、バーコードラベルに表示されるバーコードに製品型番や製造番号などと共に特性値を含める例を示している。この表示例では、図18の表示値を10倍して3桁で表示し、プラス値にPを付し、マイナス値にMを付している。圧力センサS1の「−0.8」は「M008」、「0.5」は「P005」と表示されている。なお、表示の数値は16進数や2進数表示などでも良い。また、全ての数値が正の値となるように所定値(定数)を足して表記しても良い。
【0057】
次に、図2及び図3を参照してセンサペア選出支援装置における第1の物理量センサ及び第2の物理量センサの選択手順について説明する。この実施例では、圧力センサを例として説明する。
【0058】
上述したように、演算処理部35のMPUは、プログラムによって出力特性演算部、第1のセンサ選択部、第2のセンサ選択部などの機能を実現している。
【0059】
図1に示すように、複数の圧力センサに圧力発生装置13の配管、電源装置14のコードが接続されて圧力センサの検査の準備が整う。例えば、入力装置41からオペレータによって圧力センサの検査がコンピュータシステム30に指令されると、MPUは、図2に示す処理手順を実行する。
【0060】
まず、MPUは、準備された複数のセンサ21についてセンサペアとして使用可能か判別する仕分けを行う(ステップS1)。
【0061】
MPUは、複数の圧力センサ21のいずれかを選択する。選択は予め圧力センサに順番を付けて順次に選んでもよい。また、任意に選択しても良い。
【0062】
MPUは、選択した被測定圧力センサ21に流体の供給ルートを設定し、圧力発生装置13の出力を所定範囲で変化させ、被測定圧力センサ21の一連の出力を圧力通信ユニット34を介して入手する。MPUは被測定圧力センサの入出力特性における精度指標のデータを読み取り、最大値と最小値を求める。例えば、図11に示すような出力精度[%FS]の最大値と最小値を求める(ステップS2)。
【0063】
次に、MPUは、最大値と最小値との差の絶対値ΔD(最大値と最小値との幅の値)を計算する(ステップS3)。この差ΔDが予め定められた出力の精度指標の許容範囲内にあるか判断する。例えば、既述図12及び13に示した例では差圧精度仕様の2倍に設定されている(ステップS4)。
【0064】
差ΔDが許容範囲外であるときは(ステップS4:NO)、当該圧力センサはデュアルセンサとして使用することが不適当であるので選択対象から除外する。MPUは選択対象外に仕分けした圧力センサを、記憶媒体32などのデータベースに識別番号、出力特性等と共に記録する(ステップS5)。また、差ΔDが許容範囲内であるときは(ステップS4:YES)、当該圧力センサはデュアルセンサとして使用することができる。MPUは選択対象となることを記憶媒体32などのデータベースに識別番号、出力特性等と共に記録する(ステップS5)。
【0065】
次に、MPUは、複数の圧力センサ21の仕分けが全て終了したかどうかを判別する(ステップS7)。未計測の圧力センサ21が存在するときには(ステップS7:NO)、上記ステップS2乃至S6を繰り返して圧力センサの仕分けを行う。未計測の圧力センサ21が存在しないときには(ステップS7:YES)、仕分けを終了する(ステップS8)。
【0066】
このようにして、全ての圧力センサ21に対して圧力センサペアとして選択可能かどうかの仕分けが行われる。また、圧力センサペアの第1の圧力センサとして選択可能なものが仕分けられる。
【0067】
次に、仕分けされた許容範囲内の圧力センサグループの中から2つの圧力センサを組み合わせて圧力センサペアを構成する(ステップS11)。
【0068】
まず、MPUは許容範囲内に仕分けされた圧力センサグループ中からいずれかの圧力センサを第1の圧力センサとして選択する(ステップS12)。順番付けられた圧力センサを順次選択しても良い。
【0069】
MPUは、既述した図16及び図17に示すように、選択した第1の圧力センサと組合せ可能な第2の圧力センサの精度特性の下限値と上限値とを(1)式及び(2)式から求める(ステップS13)。
【0070】
MPUは圧力センサグループの残りの圧力センサの中に上記精度特性の下限値と上限値内に自己の精度特性の最小値と最大値が存在する(第2の)圧力センサの有無を判別する(ステップS14)。選択した第1の圧力センサに対応する第2の圧力センサが存在しない場合には(ステップS14:NO)、第1の圧力センサを他の圧力センサに変えてステップS12からS14を繰り返し、選択した新たな第1の圧力センサに適合する第2の圧力センサが存在するか判別する。もし、新たに選択する第1の圧力センサが存在しない場合には終了する。
【0071】
選択した第1の圧力センサに対応する第2の圧力センサが存在する場合には(ステップS14:YES)、MPUは当該圧力センサを第2の圧力センサとして選択する(ステップS15)。選択された第1の圧力センサと第2の圧力センサとを画面に表示する。例えば、第1の圧力センサの製造番号、精度特性の最小値と及び最大値、第2の圧力センサの製造番号、精度特性の最小値及び上限最大値等を表示する(ステップS16)。
【0072】
必要により、図示しない後工程においてロボット装置あるいはオペレータによって第1及び第2のセンサがセンサペアとして扱われ、差圧センサが組み立てられる。
【0073】
また、MPUはこれ等の圧力センサについて求めた特性情報を既述した図18乃至図20に示すようにラベルプリンタ43によってラベルに印刷することができる(ステップS17)。このラベルを該当する圧力センサやそのパッケージに貼り付けることによって作業者が各圧力センサの特性を可視的に判断することができる。作業者は各圧力センサに自己の特性とこれに適合する相手の特性の範囲が示されることによって圧力センサペアを選択して組合せることができる。また、図示しない圧力センサ内部の電気回路(ASIC)のメモリに自己(第1の圧力センサ)の製造番号、精読特性の最小値と及び最大値、ペアの相手(第2の圧力センサ)の製造番号、精度特性の最小値と及び最大値等を記録し、適宜に読み出し可能に構成しても良い。
【0074】
上述したステップS11〜S17を必要回数繰り返して第1及び多勢2の圧力センサを選択し、必要数の圧力センサペアを得ることが可能となる(ステップS18)。
【0075】
なお、実施例では、物理量センサとして圧力センサを例に説明したが、これに限定されるものではない。上述したように温度センサ、加速度センサ、加速度センサ、液面センサ、計量センサ、電流センサ、電圧センサなどの2つのセンサで差を計測するものであればよい。
【0076】
また、センサの出力特性を判断する精度指標としては、実施例の精度[%FS]に限られるものではない。出力電圧[V]、リニアリティ[%]など必要により適宜に選択される。
【0077】
(実施例の他の表現形式)
上述した実施例に記載の発明は以下のようにも表現することが可能である。
【0078】
1. 第1の出力特性を有し、第1の物理量を検出してその第1の物理量に応じた信号を出力する第1の物理量検出素子と、
第2の出力特性を有し、前記第1の物理量と同種の第2の物理量を検出してその第2の物理量に応じた信号を出力する第2の物理量検出素子と、
前記第1の物理量検出素子と前記第2の物理量検出素子を同一のパッケージに搭載し、少なくとも前記第1の物理量及び前記第2の物理量の関数を出力するデュアル物理量センサに搭載する前記第1及び第2の物理量センサとを複数の同種の物理量センサの中から前記第1及び第2の物理量センサの出力の差の精度指標が物理量センサの検出レンジ内で予め定められた制度指標の許容範囲内に入るように選出するデュアル物理量センサのセンサペアの選出方法であって、
前記デュアル物理量センサに搭載される候補の前記物理量センサの検出レンジ内での出力特性の精度指標の最大値と最小値を求める第1ステップと、
前記デュアル物理量センサに搭載される候補の物理量センサの中から、前記第1ステップで求められた前記物理量センサの出力特性の精度指標の最大値と最小値とを求め、その差が予め定められた出力特性の精度指標の許容範囲内にあるか否か判断し、その差が出力特性の精度指標の許容範囲内にあるものを前記第1又は第2の物理量センサとして選出可能な物理量センサとして仕分けする第2ステップと、
前記第2ステップで前記第1又は第2の物理量センサとして選出可能な物理量センサの中から前記第1の物理量センサに選出された物理量センサの前記出力特性の精度指標の最大値と最小値に基づいて、前記第2の物理量センサとして選出可能な物理量センサの出力特性の精度指標の上限値と下限値を求める第3ステップと、
前記第3ステップで求めた前記第2の物理量センサとして選出可能な圧力センサの検出レンジ内での出力特性の精度指標の上限値と下限値に基づいて、第2の物理量センサとして選出可能な物理量センサを決定する第4ステップと、
を有する。
【0079】
2. 請求項1に記載のデュアル物理量センサのセンサペアの選出方法において、
前記第4ステップは、前記第3ステップで、前記第2ステップで前記第1又は第2の物理量センサとして選出可能な物理量センサの中から前記第1の物理量センサに選出された物理量センサの前記出力特性の精度指標の最大値に前記第1及び第2の物理量センサの出力の差の精度指標の許容範囲の2分の1を減算したものを前記第2の物理量センサとして選出可能な物理量センサの出力特性の精度指標の下限値Aとする一方、前記第1の物理量センサに選出された物理量センサの前記出力特性の精度指標の最小値に前記第1及び第2の物理量センサの出力の差の精度指標の許容範囲の2分の1を加算したものを前記第2の物理量センサとして選出可能な物理量センサの出力特性の精度指標の上限値Bとし、前記物理量センサのうち、その出力特性の最大値及び最小値が前記第2の物理量センサとして選出可能な物理量センサの出力特性の精度指標の下限値Aと上限値Bの間にあるものを第2の物理量センサとして選出可能であると決定すること、
を特徴とするデュアル物理量センサのセンサペアの選出方法。
【0080】
3. 第1の出力特性を有し、第1の圧力を検出してその第1の圧力に応じた信号を出力する第1の圧力検出素子と、
第2の出力特性を有し、第2の圧力を検出してその第2の圧力に応じた信号を出力する第2の圧力検出素子と、
前記第1の圧力検出素子と前記第2の圧力検出素子を同一のパッケージ内に搭載し、少なくとも前記第1の圧力及び前記第2の圧力の関数を出力するデュアル圧力センサに搭載する前記第1及び前記第2の圧力センサとを複数の圧力センサの中から前記第1及び第2の圧力センサの出力の差の精度指標が前記圧力センサの検出レンジ内で予め定められた精度指標の許容範囲内に入るように選出するデュアル圧力センサのセンサペアの選出方法であって、
前記デュアル圧力センサに搭載される候補の前記圧力センサの検出レンジ内での検出特性の精度指標の最大値と最小値を求める第1ステップと、
前記デュアル圧力センサに搭載される候補の圧力センサの中から、前記第1ステップで求められた前記圧力センサの出力特性の精度指標の最大値と最小値の差を求め、その差が予め定められた出力特性の精度指標の許容範囲内におるか否かを判断し、その差が出力特性の精度指標の許容範囲内にあるものを前記第1又は第2の圧力センサとして選出可能な圧力センサとして仕分けする第2ステップと、
前記第2ステップで前記第1又は第2の圧力センサとして選出可能な圧力センサの中から前記第1の圧力センサに選出された圧力センサの前記出力特性の精度指標の最大値と最小値に基づいて、前記第2の圧力センサとして選出可能な圧力センサの出力特性の精度指標の上限値と下限値を求める第3ステップと、
前記第3ステップで求めた前記第2の圧力センサとして選出可能な圧力センサの検出レンジ内での出力特性の精度指標の上限値と下限値に基づいて、第2の圧力センサとして選出可能な圧力センサを決定する第4ステップと、
を有するデュアル圧力センサのセンサペアの選出方法。
【0081】
4. 請求項3に記載のデュアル圧力センサのセンサペアの選出方法において、
前記第4ステップは、前記第3ステップで、前記第2ステップで前記第1又は第2の圧力センサとして選出可能な圧力センサの中から前記第1の圧力センサに選出された圧力センサの前記出力特性の精度指標の最大値に前記第1及び第2の圧力センサの出力の差の精度指標の許容範囲の2分の1を減算したものを前記第2の圧力センサとして選出可能な圧力センサの出力特性の精度指標の下限値Aとする一方、前記第1の圧力センサに選出された圧力センサの前記出力特性の精度指標の最小値に前記第1及び第2の圧力センサの出力の差の精度指標の許容範囲の2分の1を加算したものを前記第2の圧力センサとして選出可能な圧力センサの出力特性の精度指標の上限値Bとし、前記圧力センサのうち、その出力特性の最大値及び最小値が前記第2の圧力センサとして選出可能な圧力センサの出力特性の精度指標の下限値Aと上限値Bの間にあるものを第2の圧力センサとして選出可能であると決定すること、
を特徴とするデュアル圧力センサのセンサペアの選出方法。
【産業上の利用可能性】
【0082】
本発明によれば、物量センサペアの選択が容易になる。
【符号の説明】
【0083】
11 圧力発生装置、14 電源装置、21 圧力センサ、30 コンピュータシステム、31 周辺機器制御部、32 記憶媒体、33 入出力インタフェース、34 圧力センサ通信ユニット、35 演算処理部
【技術分野】
【0001】
本発明は、デュアル物理量センサを製造する際に複数のセンサからセンサペアを選択するセンサペアの選出方法及び選出情報の表示に関する。
【背景技術】
【0002】
圧力センサ、温度センサ、速度センサ等の物理量センサをペアで用いることがある。例えば、2つの圧力センサを用いてなるデュアル圧力センサは流量制御弁に取り付けられて弁体の上流側の流体圧力P1と弁体の下流側の流体圧力P2とを検出する差圧センサとして使用される。流体圧力P1とP2の圧力差に基づいて流量制御弁内を流れる流体の流量が計算される。例えば、特許文献1には出力補正回路を備えたデュアル圧力センサの例が記載されている。また、特許文献2には差圧センサを用いた流量制御弁の例が記載されている。
【0003】
上述したデュアル圧力センサには所定の差圧精度の仕様を満足することが要求される。そこで、デュアル圧力センサのセンサペアを選出するにあたっては、圧力センサ単体として定められた一定範囲の測定精度を満足する圧力センサの中から2つの圧力センサを選出して1つのパッケージに組み込んでデュアル圧力センサを構成している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−31003号公報
【特許文献2】特開平2009−115302号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、圧力センサ単体として定められた測定精度仕様を満足する2個の圧力センサをペアにしたとしても圧力センサの圧力対出力の特性カーブに相違があることによって、圧力センサの個々の組合せのケースによっては差圧に対して定められた測定精度を満たさない場合も生じ得る(後述)。圧力センサの全ての組合せにおいて差圧に対して定められた測定精度仕様を満たすことを保証することは難しい。
【0006】
また、圧力センサの全て間の組合せにおいて差圧に対して定められた測定精度仕様を満たすことを保証しようとすると圧力センサ単体として定められた測定精度仕様を厳しくせざるを得ず、そうすると測定精度仕様を満たす圧力センサの個数が減少し、デュアル圧力センサの生産性が悪化し、コストが上昇する不具合が考えられる。
【0007】
よって、本発明は、出力差の計測仕様を満足する物理量センサペアの組合せ方法及び組合せを容易にする表示媒体を提案することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の物理量センサのセンサペアの選出方法の一態様は、
第1及び第2の物理量センサを含むデュアル物理量センサのセンサペアの選出方法において、
複数の物理量センサについて当該物理量センサの出力特性の精度指標の最大値と最小値を求める第1ステップと、
上記複数の物理量センサの中から上記出力特性の精度指標の最大値と最小値の差が予め定められた出力特性の精度指標の許容範囲内にあるものを上記第1又は第2の物理量センサの候補として複数選出する第2ステップと、
上記複数の候補の物理量センサから上記第1の物理量センサを選択し、当該第1の物理量センサの上記出力特性の精度指標の最大値及び最小値と上記センサペアの差出力の精度指標とに基づいて上記第1の物理量センサとペアとなる第2の物理量センサが備えるべき出力特性の精度指標の上限値と下限値とを求める第3ステップと
上記第2の物理量センサが備えるべき出力特性の精度指標の上限値と下限値に基づいて上記複数の候補の物理量センサの中から上記第2の物理量センサを決定する第4ステップと、を有する。
【0009】
かかる構成とすることによって、デュアル物理量センサの出力差の計測仕様を満足する物理量センサペアを容易に決定することが出来る。
【0010】
望ましくは、上記第3ステップは、選択された上記第1の物理量センサの出力特性の精度指標の最大値に上記センサペアの差出力の精度指標の許容範囲(差出力精度仕様)の2分の1を減算したものを上記第2の物理量センサが備えるべき出力特性の精度指標の下限値とし、選択された上記第1の物理量センサの精度指標の最小値に上記センサペアの差出力の精度指標の許容範囲の2分の1を加算したものを上記第2の物理量センサが備えるべき出力特性の精度指標の上限値とする、ことを特徴とする。
【0011】
望ましくは、上記第4ステップは、上記第2の物理量センサが備えるべき出力特性の精度指標の上限値及び下限値の間に、当該物量センサの出力特性の精度指標の最大値及び最小値が存在する上記候補の物理量センサを選択するものである、ことを特徴とする。
【0012】
本発明の圧力センサのセンサペアの選出方法の一態様は、
第1及び第2の圧力センサを含むデュアル圧力センサのセンサペアの選出方法において、
複数の圧力センサについて当該圧力センサの出力特性の精度指標の最大値と最小値を求める第1ステップと、
上記複数の圧力センサの中から上記出力特性の精度指標の最大値と最小値の差が予め定められた出力特性の精度指標の許容範囲内にあるものを上記第1又は第2の圧力センサの候補として複数選出する第2ステップと、
上記複数の候補の圧力センサから上記第1の圧力センサを選択し、当該第1の圧力センサの上記出力特性の精度指標の最大値及び最小値と上記センサペアの差圧出力の精度指標とに基づいて上記第1の圧力センサとペアとなる第2の圧力センサが備えるべき出力特性の精度指標の上限値と下限値とを求める第3ステップと
上記第2の圧力センサが備えるべき出力特性の精度指標の上限値と下限値に基づいて上記複数の候補の圧力センサの中から上記第2の圧力センサを決定する第4ステップと、を有する。
【0013】
かかる構成とすることによって、デュアル圧力センサの差圧出力の計測仕様を満足する圧力センサペアを容易に決定することが出来る。
【0014】
望ましくは、上記第3ステップは、選択された上記第1の圧力センサの出力特性の精度指標の最大値に上記センサペアの差出力の精度指標の許容範囲の2分の1を減算したものを上記第2の圧力センサが備えるべき出力特性の精度指標の下限値とし、選択された上記第1の圧力センサの精度指標の最小値に上記センサペアの差圧出力の精度指標の許容範囲の2分の1を加算したものを上記第2の圧力センサが備えるべき出力特性の精度指標の上限値とする、ことを特徴とする。
【0015】
望ましくは、上記第4ステップは、上記第2の圧力センサが備えるべき出力特性の精度指標の上限値及び下限値の間に、当該圧力センサの出力特性の精度指標の最大値及び最初値が存在する上記候補の圧力センサを選択するものである、ことを特徴とする。
【0016】
望ましくは、上記物理量センサあるいは上記圧力センサが同一のパッケージ内に配置されている。それにより、物理量あるいは圧力以外のセンサ出力に影響するパラメータ(例えば、温度、気圧、湿度など)を同じにする。2つのセンサの差出力によって検出対象パラメータ以外のパラメータの影響を相殺することができる場合がある。
【0017】
望ましくは、更に、上記第1の物理量センサの上記出力特性の精度指標の最大値及び最小値と上記第2の物理量センサが備えるべき出力特性の精度指標の上限値と下限値とを媒体に記録する第5ステップを含む。それにより、媒体の記録を参照することによって第1の物理量センサとペア適合する第2の物理量センサを容易に選択することができる。媒体はメモリや印刷物などであっても良い。
【0018】
例えば、メモリは第1の物理量センサ内のメモリとすることができる。また、印刷物(ラベル)は第1の物理量センサの本体や包装容器に付することが出来る。デュアル物量センサの一方の物理量センサが故障した場合、全交換でなく一つの物理量センサを交換することによる補修作業が容易になる。
【0019】
望ましくは、更に、上記第1の圧力センサの上記出力特性の精度指標の最大値及び最小値と上記第2の圧力センサが備えるべき出力特性の精度指標の上限値と下限値とを媒体に記録する第5ステップを含む。それにより、媒体の記録を参照することによって第1の圧力センサとペア適合する第2の圧力センサを容易に選択することができる。媒体はメモリや印刷物などであっても良い。
【0020】
例えば、メモリは第1の圧力センサ内のメモリとすることができる。また、印刷物(ラベル)は第1の圧力センサの本体や包装容器に付することが出来る。デュアル圧力センサの一方の圧力センサが故障した場合、全交換でなく一つの圧力センサを交換することによる補修作業が容易になる。
【0021】
また、本発明の他の態様である物理量センサ用の記録媒体は、
第1の物理量センサの出力特性の精度指標の最大値及び最小値が記録された自己特性記録部と、
上記第1の物理量センサとペアで使用される第2の物理量センサが備えるべき出力特性の精度指標の上限値及び下限値が記録された相手特性記録部と、
を備える。
【0022】
かかる構成とすることによって、デュアル物理量センサのペアを容易に選択することが可能となる。
【0023】
望ましくは、上記記録媒体がラベルで有り、上記自己特性記録部及び上記相手特性記録部が可視的表示(例えば、印刷表示)欄である。それにより、第1の物理量センサ本体やその包装容器などに簡単に表示が行われる。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、歩留まりの良いデュアル物理量センサのセンサペアの選択を行うことが可能となって具合が良い。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明を実施する計測システムの例を説明するブロック図である。
【図2】本発明の物理量センサペアの選択手順を説明するフローチャートである。
【図3】本発明の物理量センサペアの選択手順を説明するフローチャートである。
【図4】物理量センサペアにおける差出力精度(差圧精度)を説明する説明図である。
【図5】精度指標の例(圧力)を説明するグラフである。
【図6】精度指標の例(リニアリティ)を説明するグラフである。
【図7】精度指標の例(電圧)を説明するグラフである。
【図8】差圧精度を求めるための比較パターン例を説明する説明図である。
【図9】最悪の差圧精度となる例を説明する説明図である。
【図10】最悪の差圧精度となる例を説明する説明図である。
【図11】物理量センサの出力例を説明するグラフである。
【図12】物理量センサ(圧力センサ)単体の精度条件を説明するグラフである。
【図13】物理量センサ(圧力センサ)単体の精度条件を説明するグラフである。
【図14】物理量センサ(圧力センサ)ペアの第1のセンサの出力特性例を説明する説明図である。
【図15】物理量センサ(圧力センサ)ペアの第1のセンサの出力精度範囲を説明する説明図である。
【図16】物理量センサ(圧力センサ)ペアの差圧精度が精度仕様内に入る条件を説明する説明図である。
【図17】物理量センサ(圧力センサ)ペアの組合せ例(第2のセンサ)を説明する説明図である。
【図18】物理量センサの組合せ選択を容易にするラベル表示の例(精度表示)を説明する説明図である。
【図19】物理量センサの組合せ選択を容易にするラベル表示の例(簡易化表示)を説明する説明図である。
【図20】物理量センサの組合せ選択を容易にするラベル表示の例(バーコード表示)を説明する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の実施例等について図面を参照して説明する。
【0027】
まず、物理量センサペアの出力特性の精度指標として差出力精度を用いる場合について図4を参照して説明する。同図は、2つの圧力センサからなる差圧センサの出力例を示しており、横軸は圧力[kPa]、縦軸は精度[%FS]を示している。ここで、%FSはフルスケール誤差を表している。フルスケールは調節計や記録計などの測定レンジを持っている機器の入力レンジ幅であり、フルスケール誤差は測定レンジを持っている機器で制御精度や表示精度を表すときに使用するパラメータである。機器設定の固有レンジ幅にフルスケール誤差の比率をかけた数値が誤差範囲となる。
【0028】
例えば、2つの静圧センサS1とS2とからなる差圧センサの差圧精度を±0.2[%FS]とした場合、差圧が0[kPa]ならば、(すなわち、圧力センサS1と圧力センサS2への印加圧力が一緒ならば、)どの圧力値で差圧(P1−P2)を計算しても精度は±0.2[%FS]以内となる差圧センサでも、例えば、差圧が1000[kPa]の場合について考えると、圧力センサS1の出力P1が2000[kPa]、センサS2の出力が1000[kPa]のときに、差圧精度は0.2[%FS]を越える場合がある(図4参照)。
【0029】
このように物理量センサ単体では所定の精度指標を満足するが、センサペアとすることによって所要の差出力精度指標を満たさなくなる場合が生じ得る。
【0030】
図5乃至図7は、物理量センサS1,S2の他の精度指標の例を示している。図5は圧力値[kPa]を精度指標とした例を示している。図6はリニアリティ[%]を精度指標とした例を示している。図7は電圧出力[V]を精度指標とした例を示している。
【0031】
図1は、本発明のデュアル物理量センサのセンサペアの選出方法を実施するセンサペア選出支援装置(コンピュータシステム)の構成例を示している。この構成例では、物理量センサが圧力センサの例である。
【0032】
同図に示すように、高圧ガスボンベやコンプレッサーなどの高圧ガス供給源11から検査用の流体(例えば、圧縮空気)が供給される。流体は減圧弁12によって減圧されて圧力発生装置13に供給される。圧力発生装置13は流体を後述の周辺機器制御部31からの指令に応じた圧力値に調整して(圧力値可変)検査対象の複数の圧力センサ21に供給する。
【0033】
各圧力センサ21には図示しない切替弁を介して流体が供給され、この切替弁は周辺機器制御部31によって制御される。また、各圧力センサ21には、圧力センサ21を動作させる電源が電源装置14から供給される。電源装置14は周辺機器制御部31によって制御され、各圧力センサ21への電源供給の有無、供給電圧値などが設定可能である。
【0034】
コンピュータシステムによって検査対象の圧力センサ21に所要の電源を供給し、切替弁を制御して検査対象の圧力センサ21に流体を供給することによって圧力センサを選択する。圧力発生装置13に流体の圧力を変化させて対象圧力センサ21の出力特性を測定する。圧力センサ21の出力は圧力センサ通信ユニット34に供給される。
【0035】
センサペア選出支援装置の主要な構成部分であるコンピュータシステム30は、周辺機器制御部31、記憶媒体部32、入出力インタフェース33、圧力センサ通信ユニット34、演算処理部35等を含んでいる。
【0036】
周辺機器制御部31は、電源装置14、圧力発生装置13、切替弁(図示せず)などを制御する制御信号を演算処理部35の指令に基づいて出力する。記憶媒体32は、制御プログラムやデータベースを不揮発に保存するROM、ハードディスク、SSD(Solid State Drive)などの大容量記憶装置等からなる。入出力インタフェース33は、入力装置、出力装置、外部接続装置などと演算処理部35などとの情報伝送を媒介する。圧力センサ通信ユニット34は圧力センサ21から所定の形式で出力される信号を信号変換して記憶媒体32や演算処理部35などに伝送する。また、圧力センサ21が内蔵する制御部(MPU:マイクロプロセッサ)などと必要により通信を行う。演算処理部35はMPU、メモリなどを含み、センサペア選出支援などの制御プログラムを実行する。また、演算処理部35はプログラムに基づいて各部の制御を行う。演算処理部35には、プログラムによって出力特性演算部、第1のセンサ選択部、第2のセンサ選択部などの各機能が構成される。
【0037】
コンピュータシステム30には、キーボード、マウス、タッチパネルなどの入力装置41、制御情報や装置状態、プログラムなどの表示を行うモニタ装置42(上記出力装置に相当する)、物理量センサの選択を容易にする情報をシール紙などに印刷するラベルプリンタ43(上記外部接続装置に相当する。)などが接続される。
【0038】
次に、上述したセンサペア選出支援装置における動作を説明する。まず、センサペア選出の方法(理論)について説明する。
【0039】
図8は、センサペア(圧力センサ)の精度指標の1つである差圧精度を求めるための説明図である。差圧センサは、2つの圧力センサS1及びS2、圧力センサS1の出力を補正する補正回路1、圧力センサS2の出力を補正する補正回路2(図示せず)を含んでいる。差圧センサは、2つの圧力差センサのそれぞれに加えられる圧力を検出し、出力の差を差圧として計算する。2つの圧力センサをセンサS1、センサS2とすると、差圧精度は、真の差圧値とS1とS2の出力から求められた差圧との差で計算することができるが、その計算式は単位などによって異なるため一概には言えない。
【0040】
このとき、差圧精度を求めるための2つの出力の比較パターンは、図8に示すようにセンサS1の出力とセンサS2の出力の組合せから多数のパターンが考えられる。これ等の多数の組合せパターンのうちで図9に示す矢印の組合せパターンが最も差圧精度の悪いパターンである。
【0041】
また、図10に示すような、センサS1の凹状の出力特性とセンサS2の凸状の出力特性相互間における組合せパターンの場合には、同図中に矢印で示される組合せパターンが最も差圧精度の悪いパターンである。
【0042】
上記最も差圧精度が悪くるなるパターンの例により、差圧精度が所定の仕様範囲内に入るかどうかを下記(a),(b)部分の2つの比較パターンについて計測すれば差圧精度仕様を満たし得るかどうかを判別することができる。
【0043】
(a)「センサS1の最大値」と「センサS2の最小値」より、
差圧精度仕様の絶対値≧(センサS1の最大値−センサS2の最小値)の絶対値
(b)「センサS1の最小値」と「センサS2の最大値」より
差圧精度仕様の絶対値≧(センサS2の最大値−センサS1の最小値)の絶対値
そこで、まず、図11に示すように、各圧力センサについて出力特性(出力精度)を測定し、特性曲線から最小値と最大値を求める。圧力センサ単体の精度条件を満たすか判断する。満たす場合には、圧力センサペアの第1の圧力センサの選択対象となる。
【0044】
図12及び図13は、圧力センサ単体の精度条件を説明する説明図である。図12に示すように、差圧精度仕様を満足するためには、圧力センサ単体の精度幅(最小値と最大値の差)は差圧精度仕様の2倍以内でなければならない。図示の例では、差圧センサの精度仕様が±2.0[%FS]の場合であり、圧力センサの精度幅は±4.0[%FS]以内であることが要求される。
【0045】
ここで、圧力センサ単体の精度幅が差圧センサの差圧精度仕様の2倍以内である理由は、図13に示すように、仮に、圧力センサS1の精度幅が差圧精度仕様の2倍であったとしても、精度幅が0[%FS]で且つセンサS1の精度幅の中間点を通っている精度特性を持つセンサS2と組み合わせれば差圧精度仕様±2.0[%FS]を満足することができるからである(後述の図16参照)。
【0046】
次に、第2の圧力センサの選択について説明する。既述のように差圧精度は2つの圧力センサの精度特性相互間の最小値と最大値の比較となる。そこで、図14に示すような、精度特性の最小値PAminが−0.8[%FS]、最大値PAmaxが0.5[%FS]である圧力センサS1に適合する圧力センサS2を選択する場合について考える。
【0047】
図15は、図14の表現を変えたもので、横軸を圧力精度[%FS]として圧力センサの出力特性の範囲を示している。2つの圧力センサを組み合わせて差圧精度が精度仕様内に収まるようにするために、2つの圧力センサの精度特性の最小値と最大値を比較する。圧力センサS1と圧力センサS2の出力特性の各最小値をPAmin1、PAmin2とし、圧力センサS1と圧力センサS2の出力特性の各最大値をPAmax1、PAmax2とすると、圧力センサS1に組み合わせることのできる圧力センサS2の出力特性の条件は次のようになる。
【0048】
条件:「圧力センサS1のPAmin1±差圧精度仕様の範囲内」且つ「圧力センサS1のPAmax1±差圧精度仕様の範囲内」に圧力センサS2のPAmin2とPAmax2が存在する。
【0049】
図16は、図15に上記条件を図示したものである。圧力センサS2の出力特性の許容範囲は、「圧力センサS1のPAmin1±差圧精度仕様の範囲」と「圧力センサS1のPAmax1±差圧精度仕様の範囲」が重複する部分であり、この範囲内に圧力センサS2のPAmin2とPAmax2が存在することが条件となる。この条件から次の関係式を得る。
【0050】
PAmin2≧PAmax1−差圧精度仕様の絶対値 (1)式
PAmax2≧PAmin1+差圧精度仕様の絶対値 (2)式
ここで、差圧精度仕様の絶対値は±差圧精度仕様(差出力の精度指標の許容範囲)の1/2に相当する。
【0051】
したがって、図14に示すような、精度特性の最小値PAminが−0.8[%FS]、最大値PAmaxが0.5[%FS]である圧力センサS1に適合する圧力センサS2は、(1)式より、
PAmin2≧0.5−2.0
≧−1.5 [%FS]
PAmax2≧−0.8+2.0
≧―1.2 [%FS]
の範囲となる圧力センサが該当する。
【0052】
図17は、圧力センサS1の出力特性例とこの圧力センサS1と組合せ可能な圧力センサ2の出力特性例を示している。
【0053】
図18は、圧力センサS1に対応する圧力センサS2を選択する例を示している。上述した手順によって各圧力センサには、出力特性の計測によって求められた自己の最小値及び最大値が記録される。また、この圧力センサS1に対応する圧力センサS2の下限値、上限値が記録される。例えば、記録は圧力センサの製造番号などで検索可能にセンサペア選出支援装置内にデータベース化される。記録は各圧力センサ内の電気回路(MPU)に記憶しても良い。また、記録を図18に示すような表現形式でラベル(表示体)に印刷して可視的に表示し、圧力センサに貼り付けても良い。
【0054】
図18に示すように、例えば、圧力センサS1の最小値が0.8、最大値が0.5で、ペアとなるべき圧力センサS2の下限値が−1.5、上限値が1.2と表示されている場合、圧力センサS2として自己の出力特性が−0.2〜0.6の圧力センサを選択することができる。また、圧力センサS2として自己の出力特性が−1.0〜0.7の圧力センサを選択することもできる。
【0055】
図19は、ラベル表示を見やすくした例を示している。この例では、図18に示す特性値に10を足し、更に10倍している。各圧力センサの最小値及び最大値、この圧力センサと適合する圧力センサの下限値、上限値の他の表示形式である。例えば、図18に示す形式では「0」となる数値が「100」として表示され、小数点とマイナス表示がなくなるので見やすくなる。
【0056】
図20は、バーコードラベルに表示されるバーコードに製品型番や製造番号などと共に特性値を含める例を示している。この表示例では、図18の表示値を10倍して3桁で表示し、プラス値にPを付し、マイナス値にMを付している。圧力センサS1の「−0.8」は「M008」、「0.5」は「P005」と表示されている。なお、表示の数値は16進数や2進数表示などでも良い。また、全ての数値が正の値となるように所定値(定数)を足して表記しても良い。
【0057】
次に、図2及び図3を参照してセンサペア選出支援装置における第1の物理量センサ及び第2の物理量センサの選択手順について説明する。この実施例では、圧力センサを例として説明する。
【0058】
上述したように、演算処理部35のMPUは、プログラムによって出力特性演算部、第1のセンサ選択部、第2のセンサ選択部などの機能を実現している。
【0059】
図1に示すように、複数の圧力センサに圧力発生装置13の配管、電源装置14のコードが接続されて圧力センサの検査の準備が整う。例えば、入力装置41からオペレータによって圧力センサの検査がコンピュータシステム30に指令されると、MPUは、図2に示す処理手順を実行する。
【0060】
まず、MPUは、準備された複数のセンサ21についてセンサペアとして使用可能か判別する仕分けを行う(ステップS1)。
【0061】
MPUは、複数の圧力センサ21のいずれかを選択する。選択は予め圧力センサに順番を付けて順次に選んでもよい。また、任意に選択しても良い。
【0062】
MPUは、選択した被測定圧力センサ21に流体の供給ルートを設定し、圧力発生装置13の出力を所定範囲で変化させ、被測定圧力センサ21の一連の出力を圧力通信ユニット34を介して入手する。MPUは被測定圧力センサの入出力特性における精度指標のデータを読み取り、最大値と最小値を求める。例えば、図11に示すような出力精度[%FS]の最大値と最小値を求める(ステップS2)。
【0063】
次に、MPUは、最大値と最小値との差の絶対値ΔD(最大値と最小値との幅の値)を計算する(ステップS3)。この差ΔDが予め定められた出力の精度指標の許容範囲内にあるか判断する。例えば、既述図12及び13に示した例では差圧精度仕様の2倍に設定されている(ステップS4)。
【0064】
差ΔDが許容範囲外であるときは(ステップS4:NO)、当該圧力センサはデュアルセンサとして使用することが不適当であるので選択対象から除外する。MPUは選択対象外に仕分けした圧力センサを、記憶媒体32などのデータベースに識別番号、出力特性等と共に記録する(ステップS5)。また、差ΔDが許容範囲内であるときは(ステップS4:YES)、当該圧力センサはデュアルセンサとして使用することができる。MPUは選択対象となることを記憶媒体32などのデータベースに識別番号、出力特性等と共に記録する(ステップS5)。
【0065】
次に、MPUは、複数の圧力センサ21の仕分けが全て終了したかどうかを判別する(ステップS7)。未計測の圧力センサ21が存在するときには(ステップS7:NO)、上記ステップS2乃至S6を繰り返して圧力センサの仕分けを行う。未計測の圧力センサ21が存在しないときには(ステップS7:YES)、仕分けを終了する(ステップS8)。
【0066】
このようにして、全ての圧力センサ21に対して圧力センサペアとして選択可能かどうかの仕分けが行われる。また、圧力センサペアの第1の圧力センサとして選択可能なものが仕分けられる。
【0067】
次に、仕分けされた許容範囲内の圧力センサグループの中から2つの圧力センサを組み合わせて圧力センサペアを構成する(ステップS11)。
【0068】
まず、MPUは許容範囲内に仕分けされた圧力センサグループ中からいずれかの圧力センサを第1の圧力センサとして選択する(ステップS12)。順番付けられた圧力センサを順次選択しても良い。
【0069】
MPUは、既述した図16及び図17に示すように、選択した第1の圧力センサと組合せ可能な第2の圧力センサの精度特性の下限値と上限値とを(1)式及び(2)式から求める(ステップS13)。
【0070】
MPUは圧力センサグループの残りの圧力センサの中に上記精度特性の下限値と上限値内に自己の精度特性の最小値と最大値が存在する(第2の)圧力センサの有無を判別する(ステップS14)。選択した第1の圧力センサに対応する第2の圧力センサが存在しない場合には(ステップS14:NO)、第1の圧力センサを他の圧力センサに変えてステップS12からS14を繰り返し、選択した新たな第1の圧力センサに適合する第2の圧力センサが存在するか判別する。もし、新たに選択する第1の圧力センサが存在しない場合には終了する。
【0071】
選択した第1の圧力センサに対応する第2の圧力センサが存在する場合には(ステップS14:YES)、MPUは当該圧力センサを第2の圧力センサとして選択する(ステップS15)。選択された第1の圧力センサと第2の圧力センサとを画面に表示する。例えば、第1の圧力センサの製造番号、精度特性の最小値と及び最大値、第2の圧力センサの製造番号、精度特性の最小値及び上限最大値等を表示する(ステップS16)。
【0072】
必要により、図示しない後工程においてロボット装置あるいはオペレータによって第1及び第2のセンサがセンサペアとして扱われ、差圧センサが組み立てられる。
【0073】
また、MPUはこれ等の圧力センサについて求めた特性情報を既述した図18乃至図20に示すようにラベルプリンタ43によってラベルに印刷することができる(ステップS17)。このラベルを該当する圧力センサやそのパッケージに貼り付けることによって作業者が各圧力センサの特性を可視的に判断することができる。作業者は各圧力センサに自己の特性とこれに適合する相手の特性の範囲が示されることによって圧力センサペアを選択して組合せることができる。また、図示しない圧力センサ内部の電気回路(ASIC)のメモリに自己(第1の圧力センサ)の製造番号、精読特性の最小値と及び最大値、ペアの相手(第2の圧力センサ)の製造番号、精度特性の最小値と及び最大値等を記録し、適宜に読み出し可能に構成しても良い。
【0074】
上述したステップS11〜S17を必要回数繰り返して第1及び多勢2の圧力センサを選択し、必要数の圧力センサペアを得ることが可能となる(ステップS18)。
【0075】
なお、実施例では、物理量センサとして圧力センサを例に説明したが、これに限定されるものではない。上述したように温度センサ、加速度センサ、加速度センサ、液面センサ、計量センサ、電流センサ、電圧センサなどの2つのセンサで差を計測するものであればよい。
【0076】
また、センサの出力特性を判断する精度指標としては、実施例の精度[%FS]に限られるものではない。出力電圧[V]、リニアリティ[%]など必要により適宜に選択される。
【0077】
(実施例の他の表現形式)
上述した実施例に記載の発明は以下のようにも表現することが可能である。
【0078】
1. 第1の出力特性を有し、第1の物理量を検出してその第1の物理量に応じた信号を出力する第1の物理量検出素子と、
第2の出力特性を有し、前記第1の物理量と同種の第2の物理量を検出してその第2の物理量に応じた信号を出力する第2の物理量検出素子と、
前記第1の物理量検出素子と前記第2の物理量検出素子を同一のパッケージに搭載し、少なくとも前記第1の物理量及び前記第2の物理量の関数を出力するデュアル物理量センサに搭載する前記第1及び第2の物理量センサとを複数の同種の物理量センサの中から前記第1及び第2の物理量センサの出力の差の精度指標が物理量センサの検出レンジ内で予め定められた制度指標の許容範囲内に入るように選出するデュアル物理量センサのセンサペアの選出方法であって、
前記デュアル物理量センサに搭載される候補の前記物理量センサの検出レンジ内での出力特性の精度指標の最大値と最小値を求める第1ステップと、
前記デュアル物理量センサに搭載される候補の物理量センサの中から、前記第1ステップで求められた前記物理量センサの出力特性の精度指標の最大値と最小値とを求め、その差が予め定められた出力特性の精度指標の許容範囲内にあるか否か判断し、その差が出力特性の精度指標の許容範囲内にあるものを前記第1又は第2の物理量センサとして選出可能な物理量センサとして仕分けする第2ステップと、
前記第2ステップで前記第1又は第2の物理量センサとして選出可能な物理量センサの中から前記第1の物理量センサに選出された物理量センサの前記出力特性の精度指標の最大値と最小値に基づいて、前記第2の物理量センサとして選出可能な物理量センサの出力特性の精度指標の上限値と下限値を求める第3ステップと、
前記第3ステップで求めた前記第2の物理量センサとして選出可能な圧力センサの検出レンジ内での出力特性の精度指標の上限値と下限値に基づいて、第2の物理量センサとして選出可能な物理量センサを決定する第4ステップと、
を有する。
【0079】
2. 請求項1に記載のデュアル物理量センサのセンサペアの選出方法において、
前記第4ステップは、前記第3ステップで、前記第2ステップで前記第1又は第2の物理量センサとして選出可能な物理量センサの中から前記第1の物理量センサに選出された物理量センサの前記出力特性の精度指標の最大値に前記第1及び第2の物理量センサの出力の差の精度指標の許容範囲の2分の1を減算したものを前記第2の物理量センサとして選出可能な物理量センサの出力特性の精度指標の下限値Aとする一方、前記第1の物理量センサに選出された物理量センサの前記出力特性の精度指標の最小値に前記第1及び第2の物理量センサの出力の差の精度指標の許容範囲の2分の1を加算したものを前記第2の物理量センサとして選出可能な物理量センサの出力特性の精度指標の上限値Bとし、前記物理量センサのうち、その出力特性の最大値及び最小値が前記第2の物理量センサとして選出可能な物理量センサの出力特性の精度指標の下限値Aと上限値Bの間にあるものを第2の物理量センサとして選出可能であると決定すること、
を特徴とするデュアル物理量センサのセンサペアの選出方法。
【0080】
3. 第1の出力特性を有し、第1の圧力を検出してその第1の圧力に応じた信号を出力する第1の圧力検出素子と、
第2の出力特性を有し、第2の圧力を検出してその第2の圧力に応じた信号を出力する第2の圧力検出素子と、
前記第1の圧力検出素子と前記第2の圧力検出素子を同一のパッケージ内に搭載し、少なくとも前記第1の圧力及び前記第2の圧力の関数を出力するデュアル圧力センサに搭載する前記第1及び前記第2の圧力センサとを複数の圧力センサの中から前記第1及び第2の圧力センサの出力の差の精度指標が前記圧力センサの検出レンジ内で予め定められた精度指標の許容範囲内に入るように選出するデュアル圧力センサのセンサペアの選出方法であって、
前記デュアル圧力センサに搭載される候補の前記圧力センサの検出レンジ内での検出特性の精度指標の最大値と最小値を求める第1ステップと、
前記デュアル圧力センサに搭載される候補の圧力センサの中から、前記第1ステップで求められた前記圧力センサの出力特性の精度指標の最大値と最小値の差を求め、その差が予め定められた出力特性の精度指標の許容範囲内におるか否かを判断し、その差が出力特性の精度指標の許容範囲内にあるものを前記第1又は第2の圧力センサとして選出可能な圧力センサとして仕分けする第2ステップと、
前記第2ステップで前記第1又は第2の圧力センサとして選出可能な圧力センサの中から前記第1の圧力センサに選出された圧力センサの前記出力特性の精度指標の最大値と最小値に基づいて、前記第2の圧力センサとして選出可能な圧力センサの出力特性の精度指標の上限値と下限値を求める第3ステップと、
前記第3ステップで求めた前記第2の圧力センサとして選出可能な圧力センサの検出レンジ内での出力特性の精度指標の上限値と下限値に基づいて、第2の圧力センサとして選出可能な圧力センサを決定する第4ステップと、
を有するデュアル圧力センサのセンサペアの選出方法。
【0081】
4. 請求項3に記載のデュアル圧力センサのセンサペアの選出方法において、
前記第4ステップは、前記第3ステップで、前記第2ステップで前記第1又は第2の圧力センサとして選出可能な圧力センサの中から前記第1の圧力センサに選出された圧力センサの前記出力特性の精度指標の最大値に前記第1及び第2の圧力センサの出力の差の精度指標の許容範囲の2分の1を減算したものを前記第2の圧力センサとして選出可能な圧力センサの出力特性の精度指標の下限値Aとする一方、前記第1の圧力センサに選出された圧力センサの前記出力特性の精度指標の最小値に前記第1及び第2の圧力センサの出力の差の精度指標の許容範囲の2分の1を加算したものを前記第2の圧力センサとして選出可能な圧力センサの出力特性の精度指標の上限値Bとし、前記圧力センサのうち、その出力特性の最大値及び最小値が前記第2の圧力センサとして選出可能な圧力センサの出力特性の精度指標の下限値Aと上限値Bの間にあるものを第2の圧力センサとして選出可能であると決定すること、
を特徴とするデュアル圧力センサのセンサペアの選出方法。
【産業上の利用可能性】
【0082】
本発明によれば、物量センサペアの選択が容易になる。
【符号の説明】
【0083】
11 圧力発生装置、14 電源装置、21 圧力センサ、30 コンピュータシステム、31 周辺機器制御部、32 記憶媒体、33 入出力インタフェース、34 圧力センサ通信ユニット、35 演算処理部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1及び第2の物理量センサを含むデュアル物理量センサのセンサペアの選出方法であって、
複数の物理量センサについて当該物理量センサの出力特性の精度指標の最大値と最小値を求める第1ステップと、
前記複数の物理量センサの中から前記出力特性の精度指標の最大値と最小値の差が予め定められた出力特性の精度指標の許容範囲内にあるものを前記第1又は第2の物理量センサの候補として複数選出する第2ステップと、
前記複数の候補の物理量センサから前記第1の物理量センサを選択し、当該第1の物理量センサの前記出力特性の精度指標の最大値及び最小値と前記センサペアの差出力の精度指標とに基づいて前記第1の物理量センサとペアとなる第2の物理量センサが備えるべき出力特性の精度指標の上限値と下限値とを求める第3ステップと、
前記第2の物理量センサが備えるべき出力特性の精度指標の上限値と下限値に基づいて前記複数の候補の物理量センサの中から前記第2の物理量センサを決定する第4ステップと、
を有するデュアル物理量センサのセンサペアの選出方法。
【請求項2】
前記第3ステップは、選択された前記第1の物理量センサの出力特性の精度指標の上限値に前記センサペアの差出力の精度指標の許容範囲の2分の1を減算したものを前記第2の物理量センサが備えるべき出力特性の精度指標の下限値とし、選択された前記第1の物理量センサの精度指標の下限値に前記センサペアの差出力の精度指標の許容範囲の2分の1を加算したものを前記第2の物理量センサが備えるべき出力特性の精度指標の上限値とする、ことを特徴とする請求項1に記載のデュアル物理量センサのセンサペアの選出方法
【請求項3】
前記第4ステップは、前記第2の物理量センサが備えるべき出力特性の精度指標の上限値及び下限値の間に、当該物量センサの出力特性の精度指標の最大値及び最小値が存在する前記候補の物理量センサを選択するものである、ことを特徴とする請求項1又は2に記載のデュアル物理量センサのセンサペアの選出方法。
【請求項4】
第1及び第2の圧力センサを含むデュアル圧力センサのセンサペアの選出方法であって、
複数の圧力センサについて当該圧力センサの出力特性の精度指標の最大値と最小値を求める第1ステップと、
前記複数の圧力センサの中から前記出力特性の精度指標の最大値と最小値の差が予め定められた出力特性の精度指標の許容範囲内にあるものを前記第1又は第2の圧力センサの候補として複数選出する第2ステップと、
前記複数の候補の圧力センサから前記第1の圧力センサを選択し、当該第1の圧力センサの前記出力特性の精度指標の最大値及び最小値と前記センサペアの差圧出力の精度指標とに基づいて前記第1の圧力センサとペアとなる第2の圧力センサが備えるべき出力特性の精度指標の上限値と下限値とを求める第3ステップと、
前記第2の圧力センサが備えるべき出力特性の精度指標の上限値と下限値に基づいて前記複数の候補の圧力センサの中から前記第2の圧力センサを決定する第4ステップと、
を有するデュアル圧力センサのセンサペアの選出方法。
【請求項5】
前記第3ステップは、選択された前記第1の圧力センサの出力特性の精度指標の最大値に前記センサペアの差出力の精度指標の許容範囲の2分の1を減算したものを前記第2の圧力センサが備えるべき出力特性の精度指標の下限値とし、選択された前記第1の圧力センサの精度指標の最小値に前記センサペアの差圧出力の精度指標の許容範囲の2分の1を加算したものを前記第2の圧力センサが備えるべき出力特性の精度指標の上限値とする、ことを特徴とする請求項4に記載のデュアル圧力センサのセンサペアの選出方法。
【請求項6】
前記第4ステップは、前記第2の圧力センサが備えるべき出力特性の精度指標の上限値及び下限値の間に、当該圧力センサの出力特性の精度指標の最大値及び最小値が存在する前記候補の圧力センサを選択するものである、ことを特徴とする請求項4又は5に記載のデュアル圧力センサのセンサペアの選出方法。
【請求項7】
更に、前記第1の物理量センサの前記出力特性の精度指標の最大値及び最小値と前記第2の物理量センサが備えるべき出力特性の精度指標の上限値と下限値とを媒体に記録する第5ステップを含む、請求項1乃至3のいずれかに記載のデュアル物理量センサのセンサペアの選出方法。
【請求項8】
更に、前記第1の圧力センサの前記出力特性の精度指標の最大値及び最小値と前記第2の圧力センサが備えるべき出力特性の精度指標の上限値と下限値とを媒体に記録する第5ステップを含む、請求項4乃至7のいずれかに記載のデュアル圧力センサのセンサペアの選出方法。
【請求項9】
第1の物理量センサの出力特性の精度指標の最大値及び最小値が記録された自己特性記録部と、
前記第1の物理量センサとペアで使用される第2の物理量センサが備えるべき出力特性の精度指標の上限値及び下限値が記録された相手特性記録部と、
を備える物理量センサ用の記録媒体。
【請求項10】
前記記録媒体がラベルであり、
前記自己特性記録部及び前記相手特性記録部が可視的表示欄である、請求項9に記載の物理量センサ用の記録媒体。
【請求項1】
第1及び第2の物理量センサを含むデュアル物理量センサのセンサペアの選出方法であって、
複数の物理量センサについて当該物理量センサの出力特性の精度指標の最大値と最小値を求める第1ステップと、
前記複数の物理量センサの中から前記出力特性の精度指標の最大値と最小値の差が予め定められた出力特性の精度指標の許容範囲内にあるものを前記第1又は第2の物理量センサの候補として複数選出する第2ステップと、
前記複数の候補の物理量センサから前記第1の物理量センサを選択し、当該第1の物理量センサの前記出力特性の精度指標の最大値及び最小値と前記センサペアの差出力の精度指標とに基づいて前記第1の物理量センサとペアとなる第2の物理量センサが備えるべき出力特性の精度指標の上限値と下限値とを求める第3ステップと、
前記第2の物理量センサが備えるべき出力特性の精度指標の上限値と下限値に基づいて前記複数の候補の物理量センサの中から前記第2の物理量センサを決定する第4ステップと、
を有するデュアル物理量センサのセンサペアの選出方法。
【請求項2】
前記第3ステップは、選択された前記第1の物理量センサの出力特性の精度指標の上限値に前記センサペアの差出力の精度指標の許容範囲の2分の1を減算したものを前記第2の物理量センサが備えるべき出力特性の精度指標の下限値とし、選択された前記第1の物理量センサの精度指標の下限値に前記センサペアの差出力の精度指標の許容範囲の2分の1を加算したものを前記第2の物理量センサが備えるべき出力特性の精度指標の上限値とする、ことを特徴とする請求項1に記載のデュアル物理量センサのセンサペアの選出方法
【請求項3】
前記第4ステップは、前記第2の物理量センサが備えるべき出力特性の精度指標の上限値及び下限値の間に、当該物量センサの出力特性の精度指標の最大値及び最小値が存在する前記候補の物理量センサを選択するものである、ことを特徴とする請求項1又は2に記載のデュアル物理量センサのセンサペアの選出方法。
【請求項4】
第1及び第2の圧力センサを含むデュアル圧力センサのセンサペアの選出方法であって、
複数の圧力センサについて当該圧力センサの出力特性の精度指標の最大値と最小値を求める第1ステップと、
前記複数の圧力センサの中から前記出力特性の精度指標の最大値と最小値の差が予め定められた出力特性の精度指標の許容範囲内にあるものを前記第1又は第2の圧力センサの候補として複数選出する第2ステップと、
前記複数の候補の圧力センサから前記第1の圧力センサを選択し、当該第1の圧力センサの前記出力特性の精度指標の最大値及び最小値と前記センサペアの差圧出力の精度指標とに基づいて前記第1の圧力センサとペアとなる第2の圧力センサが備えるべき出力特性の精度指標の上限値と下限値とを求める第3ステップと、
前記第2の圧力センサが備えるべき出力特性の精度指標の上限値と下限値に基づいて前記複数の候補の圧力センサの中から前記第2の圧力センサを決定する第4ステップと、
を有するデュアル圧力センサのセンサペアの選出方法。
【請求項5】
前記第3ステップは、選択された前記第1の圧力センサの出力特性の精度指標の最大値に前記センサペアの差出力の精度指標の許容範囲の2分の1を減算したものを前記第2の圧力センサが備えるべき出力特性の精度指標の下限値とし、選択された前記第1の圧力センサの精度指標の最小値に前記センサペアの差圧出力の精度指標の許容範囲の2分の1を加算したものを前記第2の圧力センサが備えるべき出力特性の精度指標の上限値とする、ことを特徴とする請求項4に記載のデュアル圧力センサのセンサペアの選出方法。
【請求項6】
前記第4ステップは、前記第2の圧力センサが備えるべき出力特性の精度指標の上限値及び下限値の間に、当該圧力センサの出力特性の精度指標の最大値及び最小値が存在する前記候補の圧力センサを選択するものである、ことを特徴とする請求項4又は5に記載のデュアル圧力センサのセンサペアの選出方法。
【請求項7】
更に、前記第1の物理量センサの前記出力特性の精度指標の最大値及び最小値と前記第2の物理量センサが備えるべき出力特性の精度指標の上限値と下限値とを媒体に記録する第5ステップを含む、請求項1乃至3のいずれかに記載のデュアル物理量センサのセンサペアの選出方法。
【請求項8】
更に、前記第1の圧力センサの前記出力特性の精度指標の最大値及び最小値と前記第2の圧力センサが備えるべき出力特性の精度指標の上限値と下限値とを媒体に記録する第5ステップを含む、請求項4乃至7のいずれかに記載のデュアル圧力センサのセンサペアの選出方法。
【請求項9】
第1の物理量センサの出力特性の精度指標の最大値及び最小値が記録された自己特性記録部と、
前記第1の物理量センサとペアで使用される第2の物理量センサが備えるべき出力特性の精度指標の上限値及び下限値が記録された相手特性記録部と、
を備える物理量センサ用の記録媒体。
【請求項10】
前記記録媒体がラベルであり、
前記自己特性記録部及び前記相手特性記録部が可視的表示欄である、請求項9に記載の物理量センサ用の記録媒体。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図2】
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【図5】
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【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【公開番号】特開2013−53964(P2013−53964A)
【公開日】平成25年3月21日(2013.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−193238(P2011−193238)
【出願日】平成23年9月5日(2011.9.5)
【出願人】(000006666)アズビル株式会社 (1,808)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年3月21日(2013.3.21)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年9月5日(2011.9.5)
【出願人】(000006666)アズビル株式会社 (1,808)
【Fターム(参考)】
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